当時、クラン【旅狼】に新たに入った剣客もどきは言った。
──やっぱ胸にぶら下がってたメロンがないと動きやすいの?
──最近またブラ破壊したって聞いたけどマジなの?
或いは、それは比喩表現だと思っていた節もあった。
まさかそんな、とんだクソゲーでも滅多に見ないぞと。
それが現実だった時のことすら考えもせずに。
それを目の当たりにして、あまつさえ自分の為だけに曝け出されるなどと思うこともなく。
断言しよう。
アレは、狂気の産物だと。肉で出来た凶器だと。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
サイガ-100:最近は妙に胸が張るようになってな
サイガ-100:またマッサージをしてほしい
サンラク:何言ってんですかね
サンラク:アレを目の当たりにして落ち着いたフリをするのがどれだけ辛いと思ってんですか
サイガ-100:興奮してくれていたのか?
サンラク:そりゃそうでしょ
サンラク:ほんの少し前まで処女とか信じられなかったし
サイガ-100:互いに初めて同士だった…な
サイガ-100:あの痛みは確かに耐え難いものがあったとも
サイガ-100:君に抱かれて、乳房を愛でられていた。君の温もりを感じられていた。私の泣き言を、君は真摯に受け止めてくれた。
サイガ-100:トワに見られながらというのは奇妙な感じもあったが
サンラク:水着の感想を聞かせろって呼び出されて
サンラク:そのままとか普通考えないんだよなぁ……
サンラク:結局ペンシルも一緒にヤッてるし
サイガ-100:ペンシルではなく、トワ……永遠と呼んでやれ
サイガ-100:あれで恥ずかしがっているようでな
サンラク:えと、斎賀姉はそれでいいんで?
サイガ-100:構わん、玲とトワに関してはどれだけ手を付けても浮気とは思わんからな
サイガ-100:それと、斎賀姉はやめろとあれほど言っただろう
サイガ-100:モモ、もしくは百と呼べ
サンラク:分かりましたよ、モモ
サイガ-100:それでいい
サイガ-100:胸のこともある、また早いうちに会いたい
サイガ-100:時間も遅いな。今日はお休み。愛しているぞ
サンラク:お休みです
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『や、やだ、モモちゃんったら、あんまり見ないでよ……』
『確かに見られる仕事だけどさ……』
『友達に初体験してるの見られるなんて、普通じゃないし…』
『あ……うぅ、確かにモモちゃんの初体験は見てたし、』
『モモちゃんがダメになるところも見てたけどさ…』
『あの………サンラク君……ううん、楽郎君……』
『………優しくしてね?』
『うん……キス、してほしい』
『もっと、ぎゅっとして……ね?』
今でも精細に思い出せる、初体験の記憶。
腐れ縁とは言われるものの、友人と二人、水着姿を彼に見られて。
年下の男の子に初体験を捧げた友人を目の当たりにして。
普段ならからかっていたのに、軽口を叩いていたのに。
羨ましいと思ってしまった。
最初は自分を気にしていたようだったのに、あっさりと二人だけの世界に入り込んで───
媚びた。
カリスマモデルと言われる自分が、媚びて、媚びて、おねだりして、友人の目の前で情けなく泣きながら初体験をした。
その日から、三人での密会は繰り返されていて。
堕ちていくのが分かる。
悪友が、友達の恋人になって、その恩恵を受けられる立場になって。
堕ちることを快く思う自分がいる。
たっぷりと重なったカリスマモデルという仮面を剥ぎ取られ、一人の女として屈服することの悦びを知って。
同じ少年に愛でられる仲間から、メールが一通。
時間だけが書かれたソレに、永遠は牝の顔で返信したのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
続くかもしれない
……R18になってないしね?