斎賀百は完熟メロンを二玉胸に装備しているとは京極の言葉だが、じっくりと愛でる機会を幾度となく与えられたサンラクからの意見は違う。
これは、完熟メロンなんかじゃあない。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ほんっと、百サンの胸って柔らかいですよね」
「贅肉をこれだけ溜め込んだということだ、恥じるばかりだよ」
「俗に言うと、胸が大きいと感度は悪いらしいよね」
「悪い………のか、私は?」
「少なくとも胸だけで何度も絶頂するようなら、感度はバリバリに良いと思いますよ?」
「………仕方ないだろう。楽郎に何時間も何時間も胸を愛でられて、胸の快楽を刻まれたんだ。楽郎と交合しているときはトワが好き放題しているしな」
今は君だけの胸だが、赤子を産んだらどうするつもりだ?と苦笑する恋人。
未だ恋人だが、睦み合いを繰り返せば遠からず子を授かる日も来るだろう。
その時きっちりと責任を取れる人間になっていなければ、と再確認して。
「だが、子を孕んでは私の胸がまた育つ恐れもあるのか」
「モモちゃんの胸が育つとか悪夢なんだよねぇ」
「これ以上は流石にいらんぞ。今でも大概邪魔なんだ」
「それ、私に対する当てつけなのかな?」
「違うぞ、それに私は胸だけではない。むしろ胸よりも楽郎に愛でられたい場所があるのでな」
ぷるんと曝け出される、やはり肉付きの良さそうな尻肉。
太腿を伝うのは、少し前に楽郎におねだりして種付けを懇願した残滓たる白濁。
もったいなーいと舐め取る天音永遠が、どうにも艶めかしい。
永遠も永遠で、こちらは口を穢されることを好んでいた。
一度、楽郎が永遠に呼び出されたときには、二人きりで夕方から翌日の昼まで愛し合い続けたが、直接の交合は少なくて。
「前に楽郎と正常位で交わった時から、よく腹を撫でられてな。後は尻もそうだ。こちらは後背位のとき、撫でられるぞ」
こちらの孔もいつかは捧げようと思う、そう笑む姿は、長年の付き合いである永遠でさえ、悔しいが見惚れるほどのものだった。
一方楽郎はといえば、まさか二人の性生活を暴露されるとは思わずに、羞恥で顔を染めていた。
「私は……うん、モモちゃんとは違うけど、頭を撫でられたり、甘えさせて貰ったり、膝枕とか腕枕とかおねだりしてるよぉ?」
「お前も率先してバラしに行くなってのよ!?」
「えぇ、いいじゃん?モモちゃんには教えてもらったからね!」
「そうとも、少なくとも性の不満ですれ違い…などと哀しい離別を味わいたくはないからな」
「そんなんで別れる別れないとかやりたくねぇんだよなぁ…」
確かに性的なことでも揉め事は多いらしい。
カッツォなどは恋人のシルヴィアが性的に大胆すぎる程なのに、逆にコンプレックス持ちなのが災いしてか、時折死にそうになっている。
曰く『メグとデートしてたら、夕方から翌朝までノンストップで合体し続けるとか拷問かな』とのこと。
そんな彼でさえ、それでも別れるとは言わない辺りは意地を感じるが。
「楽郎、やりたいやりたくないの話ではないんだ。……あぁ、はっきりと言おう。私はまだカラダを君に捧げきっていない。胸を愛でられて、子作りをして、キスをして……それだけなんだ」
「十二分にヤることはヤってますね」
「でも、それでは足りない。目も、耳も、口も、腹も、鼻も、尻も、膣穴も、全てを君に愛でられたい。君の色に染められたい。そして、君に愛でられていることを周囲に吹聴したい」
「それはオレが社会的に死ぬからやめてほしいんだよなァ」
「私もそうだよ。楽郎君に可愛がられて、裸で真っ白の『天音永遠』を君の色に塗りつぶしてほしい。それは、嘘偽りないお願いだから」
「ペンシ……………永遠は、なまじっか影響力が強いんだからマジでやめてくれよ?ただ付き合うだけで瑠美から滅茶苦茶言われてるんだから」
「楽郎君が大切にしてくれてるうちは、少なくともこのコミュニティの外に漏らしたりはしない。約束するよ!」
「私もそうだ。誰が好き好んで幸せな時間を壊すものか」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
裸体の美女二人が、左右に陣取ってキスをおねだり。
唇を重ねあうだけのキスを繰り返して、やがてどちらからともなく舌を絡めるキスを求めてきて。
「……さて、名残惜しいが。このまま楽郎といちゃついていたい気持ちも強いが。楽郎の家では、日曜の夕食は家族で食べないといけないんだろう?」
「あー、うん。ソデスネ」
「前のカッツォ君の助けのときは、きちんと理由の説明もしたから許されたみたいなものだもんねぇ。一緒にシャンフロ出来なくなるのも嫌だし、今日はここまでかな?」
流されるだけかと思いきや、きちんと陽務家のルールを覚えてくれていたらしい。
ここいらは、やはり出来る女ということか。
「しかし、仕方ないとはいえ週に一日、二日だけしか愛し合えないとなると持て余すものもあるな……」
「モモちゃんはそうなの?私はむしろ、楽郎君と会う時に胸を張っていられるように頑張れるぞぉ?」
「毎日毎日会ってたら、メリハリも何もあったもんじゃないですし。週末会えるんだし、そこらの遠恋とかよりマシでしょ」
付き合い始めはピザ留学が呪詛の如く脳裏を支配していたが、今はむしろ彼女たちの方を心配していたりする。
特に斎賀百は、当初こそデートや性的な事に強い不安を抱えていたのに、今は嬉々として調べ、学び、尽くしてくれる。
天音永遠も然り。
──そして、こんなに出来た恋人たちに恥じぬ自分でいよう、この恋人たちが誇れる人間になろうと、楽郎も努力を絶やさない人間になっている。
それは、或いは武田氏への憧憬と比べて穢れた理由にもなるのだが。
その穢れこそが、その欲にまみれた姿こそが、人間らしさなのかもしれない。
家族との夕食を済ませた楽郎は、【サンラク】となる。
数時間前に別れたばかりの恋人たちと会えるかはわからないが、少しだけでも自分の活躍が彼女たちに届くように。
彼は、世界を駆ける。
大人なんだから分別はつけるよねって話
斎賀姉も天音永遠も、きちんと仕事を持って、誇りを持って働いてそうだからね