掴み所の無い女の子だ。
それが園子への第一印象だった。
とてもかわいらしく、美しく、独特な空気感を持つ少女。
転校初日から多くの男子生徒の心を奪った美少女は、陽気な笑顔で悠人に握手を求めてきた。
『わっしーからいろいろ話は聞いてたよ~? 一度会ってみたいと思ってたんだ~♪』
美少女に人懐っこい笑顔でそんなことを言われて、ときめかない男子はいない。
悠人も例外でなく、心が浮き足立った。
友奈や美森たちの前なのに、ついつい顔がだらしなく崩れてしまいそうになった。
初対面の、それもとてもかわいい女の子の前で、そんな軟派な印象を植え付けたくはない。
なので自慢の筋肉を見せびらかして、硬派な男子であることをアピールした。
『光栄の極みだぜ乃木さん。見てくれこの筋肉を。ピンチになったときいつでも俺を呼んでくれ。この鍛えたカラダで必ず君を守ってみせ……って痛てええ! なぜ殴るにぼっしー!』
『初対面の相手の前でいきなり上半身裸になるやつがあるかっ、この変態があ!』
『あはは~♪ 面白い人だな~♪ 悠人くんだから、あだ名はユッティだね~。よろしく~ユッティ♪』
ぽわぽわとした笑顔が似合う、かわいい女の子。
……けれど、心の内があまり読めない、隙の無さを感じさせる女の子。
武術をやっていると、対峙する相手がどういうタイプの人間なのか、言葉で語らなくとも感覚的にわかるようになる。
しかし、園子の思考はまったく読めなかった。
とつぜん居眠りしだしたり、とつぜん興味の対象が変わったり、泣いていたと思ったら喜びだしたりと感情の振り幅が激しく、とにかく行動が読めない。
しかし……
『ふむふむ……なるほどな~。うん♪ なんとなく、わっしーが心を許してるのがわかる気がするんよ~♪』
園子のほうは、ひと目見ただけで悠人の人となりを──恐らく常人では理解できない感性で──把握できたらしい。
悠人は負けず嫌いだ。
勝負事になると自分が勝つまでは譲らない。
同じく諦めの悪い夏凜と張り合うのは、もはや日常と化していた。
そんな悠人が、園子を前にして真っ先にこう感じた。
(この子には、たぶん勝てないな……)
いったい何の勝ち負けなのか、悠人自身もわからなかった。
ただ、あらゆることで園子の上にはいけない。そう直感した。
悠人が『負けてもいいと思った相手』はこの世で友奈ただ一人だけだったが……『勝てない相手』と確信したのは園子が初めてだった。
不思議と、悔しいとは思わなかった。
姉の友奈と波長が似ているからなのか。
園子なら大抵のことを許せてしまえそうな、無条件で人を寛容にさせる毒気の無さが彼女にはあった。
『《運命的な出会い》か~。……えへへ♪ とっても素敵~♪』
樹がタロットカードで『運命の輪』を引き、意味が《運命的な出会い》と伝えると、園子は目を輝かせてはしゃいだ。
『……本当に、あるんだね。そういう、出会いって』
夢見るような乙女の表情で園子は、意味ありげに微笑んだ。
園子の心は読めない。
ただ……そのときだけは、彼女の胸の中で仄かに燃え上がるものを垣間見た気がした。
* * *
「はい、ユウちゃん♪ あ~ん♪」
「あ、あ~ん……」
勇者部の部室。
友奈が家と同じようにダダ甘お姉ちゃんオーラー全開でお菓子を食べさせてくる。
小っ恥ずかしいので皆がいる部室ではやめてほしいのだが、もはや見慣れた光景だからか、ツッコムことに疲れたのか、最初のうちは騒いでいた少女たちも、いまとなっては何も言ってこない。
「やれやれ、またか」と内心、呆れている程度だろう。
……しかし、
「悠人くん、ぼた餅もあるわよ? はい、あ~んして♪」
「と、東郷さん!? い、いいからそういうの!」
「むぅ。友奈ちゃんのは食べたのに、私のぼた餅は食べてくれないの?」
「い、いや、もちろん食べるけど……は、恥ずかしいから」
「まあ、悠人くんったら照れちゃって♪ かわいい♪ うふふ、たくさん作ってきたから好きなだけ食べてね? はい、あ~ん♪ ……どう、おいしい?」
「う、うん、とっても」
美森の手作りぼた餅は大好物だが、今日のぼた餅はやたらと甘く感じた。
「あら、悠人さん。あんこが付いてますよ?」
「え? どこに?」
「うふふ♪ 拭いてあげますからジッとしててください♪」
「あ、ありがとう、ひなたさん」
にこやかな笑顔でひなたが甲斐甲斐しく、あんこを拭き取ってくれる。
「今日は私もおやつにクッキーを作ってきたんです。悠人さんのお好きなチョコ味ですよ♪ はい、あ~ん♡」
「ちょっ!? ひなたさんまで」
「ずるいわ、ひなたさん。悠人くんはいま私のぼた餅を……。悠人くん? 私のぼた餅も好きよね?」
「ユウちゃんユウちゃん♪ お姉ちゃんにして欲しいことがあったら何でも言ってね?」
我先にと悠人のお世話をしようとする美少女三人。
勇者部の部室に、ハートが飛び交うような甘々空間ができあがっていた。
そんな空気が耐えられんとばかりに……
「……甘ぁああああああああああああい!!」
風の絶叫が部室に広がった。
「風先輩? そんなにぼた餅甘かったですか?」
「ちゃうわい! なんなのアンタたちさっきから!? 人目も気にせずイチャイチャと!」
「イチャイチャ? いつもどおりだと思いますけど?」
「友奈はそうね! 問題は他の二人! 東郷! ひなた! アンタたちどうしたの!? いつからそんな悠人にベッタリになったの!?」
「え? それはその……いろいろありましてぇ……。ねえ? ひなたさん?」
「そ、そうですね~。いろいろありましてぇ……ぽっ♡」
「な、なんじゃ? 後輩二人が急に私より女子力を高めて、大人っぽくなっているような気がする……」
艶っぽく頬を赤く染める美森とひなたに、風は底知れぬ貫禄を感じて震え上がった。
「というか、この際だから私も聞くけど、アンタたちこの短い期間で随分と仲良くなってない?」
「はい! 私もそう思います!」
風に便乗して夏凜と樹もジト目で尋ねてくる。
探りを入れられて、悠人は内心ドキリとする。
「な、なにを言うんだ、にぼっしーに樹ちゃん! 俺たちはもともと超仲良しだぞ! ははははは!」
「いやいや、どう考えても距離感がおかしいから。友奈はともかく、東郷とひなたは色ボケになりすぎでしょ」
「「色ボケ!?」」
「はい。友奈さんはともかく、お二人はなんだか表情とか仕草が……エッチです!」
「「エッチ!?」」
夏凜と樹の直球な物言いに、美森とひなたは同時に驚く。
「吐けぃアンタたちぃ! いったいこっちの世界に来てから何があったというの~!」
「あ~っと! 俺の筋肉たちが急に筋トレをしたいと騒ぎだしたのでちょっと失礼しますぜ! ゆう姉! 東郷さん! ひなたさん! 手伝ってほしいから一緒に来てくれや!」
「いいよ~」
「え? ゆ、悠人くん?」
「あん、悠人さん。そんな大胆な♪」
「こらー! 逃げるなー! 筋肉たちが騒ぐとかなんじゃそりゃー!」
まさか自分たちの爛れた関係を説明するわけにもいかないので、友奈たちを連れて戦略的撤退をすることにした。
「ふぅ……とりあえずここまで来れば……」
人気の無い場所に三人を連れて行き、ひと息吐く。
「ゆ、悠人くん。こんな人のいない所に連れてきたってことは……もう♡ 我慢できないならそう言ってくれればいいのに♡」
「まあ♡ まさかこのまま四人で? も、もう、悠人さんたら欲張りさんなんですから♡」
「えええ!? 東郷さんとヒナちゃんと一緒に!? そ、そういうの初めてで恥ずかしいけど……ユ、ユウちゃんが望むなら♡」
「ちゃうわい! こら制服を脱ごうとするんじゃない!」
何を勘違いしたか、少女たちが期待の眼差しを向けて制服に手をかけようとするのを慌てて止める。
これでは夏凜や樹に『色ボケ』『エッチ』と言われても仕方がない。
「ちょっと慎みを持ちなさいよ君たちは!」
「ここにいる女の子全員の初めてを奪った悠人さんがそれを言うんですか?」
「まあそうなんだけど! それでも! 部室では露骨な真似はしないの! 俺たちの関係がバレちゃうでしょうが!」
悠人が三人の少女たちと肉体関係を持っていることは、ここいる四人だけの秘密だ。
美森との関係を明かした頃は「ユウちゃんの節操なし……」「悠人さんたら本当にケダモノですね♡」と散々言われたが、いまのところ
美森が提案したとおり、平等に公平な関係を保つということで少女たちの間では話がまとまったらしい。
……だからといって、あからさまに部室でイチャイチャをしていたら先ほどのように風たちに不審がられてしまう。
「ごめんなさい悠人くん。なんだか友奈ちゃんを見ていたら羨ましくなってしまって……」
「ついついお世話を焼きたくなってしまうんですよね~」
「あ、わかる~♪ ユウちゃんって見てて放っておけないもんね♪」
「「「ね~♪」」」
「仲いいね君ら……」
険悪な仲になられるよりはずっといいが、逆に結束力が高いというのも考えものだった。
先ほどの甘々空間のように、歯止めが効かなくなる場合がある。
「……皆の気持ちはすごく嬉しいけどさ、とりあえず部室ではああいうことは止めておこうぜ? ただでさえ最近……」
「? 最近何かあったのユウちゃん?」
「あ、いや……」
風たちに自分たちの関係を怪しまれると困ることもあるが……。
それ以上に、園子が最近ずっとぎこちない態度でいることが、悠人は気になっていた。
園子は恋愛小説が好きで、自らも執筆しているほどだ。
そんな園子にとって、さっきまでの
……にも関わらず、園子はずっと大人しかった。
いつも目を輝かしながら「メモメモ~♪」と貪欲に小説のアイディアを求めている、あの園子がだ。
それだけでも充分に奇妙だというのに、この頃の園子はどうも悠人を避けているような気がした。
目が合うと、頬を真っ赤にして顔を逸らしたり、声をかけても「ひょえ!?」と奇声をあげては、いろいろはぐらかして「ま、また今度ね~!」と踵を返されることが多い。
園子とは出会ってまだそんなに月日は経っていないが、短い期間だけでコントじみたやり取りをするようになる程度には気安い仲になったつもりである。
『ユッティー、前世って信じる~?』
『ああ信じるとも。俺がゆう姉の弟に生まれたのは前世で徳をたくさん積んだからに違いないからな』
『ユッティは本当にゆーゆが好きだね~。じゃあ前世は何だったの~? ワカメとか~?』
『ははは、ワカメがどうやって徳を積むんだよ~』
『おいしく食べてもらえたからとか~?』
『いや、ゆう姉の弟に生まれるにはもっと凄い徳を積まなくちゃダメだね』
『じゃあ、ユッティの前世ってな~に~?』
『神様に決まってんだろ』
『ユッティったら超シスコ~ン』
『褒め言葉だぜ!』
『『あはははは~♪』』
『風、あの二人の会話聞いてるとすっごいチカラ抜けそうになるんだけど……』
『耐えなさい夏凜。生きている世界が違うのよ』
そんなやり取りも、最近ではすっかりない。
何か園子の気に障ることでもしてしまったのだろうか。
悠人にはまったく身に覚えがなかったが……。
気になるのは、園子の様子がおかしくなったのが初めてひなたと関係を持った日から、ということだった。
(まさか、な……)
あの日の園子はずっと部室で寝ていたはずだ。
自分たちの行為を覗き見していたなんてことは、万が一にもないはず。
……だがもしそうだとしたら、園子の挙動がおかしいのも納得はいく。
(でも確認するわけにもいかないよなぁ……)
できることなら園子とのもどかしい距離感を解決したいと思う悠人だが、もしも本当にひなたとの行為を見られていたとしたら……どう説明したものか。
思いきって、ここにいる三人に相談してみるのがいいかもしれない。
「……あのさ皆、園ちゃんのことなんだけどさ」
「んっ……あぁっ」
「っ!?」
ふと気づくと、友奈たちは艶っぽい顔で内股になって、もじもじと太ももをこすり合わせていた。
「ちょっ、皆まさか……今か!?」
「う、うん。ごめんね、急に来ちゃった……」
不規則に起こる発情。
そのタイミングはそれぞれ個人差があったはずだが……まさか三人同時に発情するとは。
「はぁ、はぁ、熱いわ悠人くん。私、我慢できない……」
「悠人さぁん。これじゃあ部室に戻れません。だから……」
スカートの中に手を入れ、シュルシュルとショーツを脱ぎ出す少女たち。
甘く淫らな愛液の香りが三人分、濃密に香ってくる。
「ご、ごくり……」
フェロモンたっぷりの匂いに煽られて、オスの獣欲が鎌首をもたげる。
「ユウちゃん、お願い……」
「私たちを……」
「いっぱい、犯してください……」
壁に手を付き、スカートを捲り、すでに濡れそぼった淫裂を見せつける美少女たち。
極上の美少女が三人も、生白いヒップを差し出して、期待の眼差しを向けている。
なんと非現実的な光景。
なんとヤラしすぎる絶景。
こんなものを見せられて……
「我慢なんてできるかぁ! オラもっと突いてやらぁ!」
「あぁあん♡ ユウちゃん凄いよ~♡ 奥までおちんちんズンズン来てるよ~♡」
「やぁあぁん♡ もっと突いてぇ♡ 私のヤらしいオマンコ、好きなだけ犯して~ご主人様~♡」
「はぁあぁん♡ いっぱい出てます~♡ 悠人さんの赤ちゃんミルク~♡ もっともっと出してください♡ 私たちの発情オマンコに、ヤらしいミルクいっぱい注ぎ込んでくださ~い♡」
壁に手を付く美少女たちを代わる代わるバックで犯し、何度も何度も膣内射精を決める。
それぞれ具合の異なる膣を味比べしつつ堪能しながら、本能の赴くままに腰を振りまくった。
「んぅ、ちゅう……ユウちゃんのおちんちんまだ固ぁい♡」
「れろれろ……あんなにたくさん出したのに……さすがだわ♡」
「ちゅっちゅっ……うふ、あいかわらず男らしくて、素敵です悠人さん♡」
精液を股から垂れ流しながら、いまだに勃起を続ける剛直を舐める少女たち。
三人の舌で舐め回されるという未知の快感を味わって、欲望はますます滾っていく。
「はぁ、はぁ、また出る……いっぱい、出してやるからな?」
「じゅるるっ……うん、ちょうだい、ユウちゃんの精液♡」
「ちろちろ……ええ、来て? 私たちに、いっぱいかけて♡」
「お好きなだけ、お顔にかけてください♡ 悠人さぁん♡ れろれろ……じゅるるる♡」
三人の舌が亀頭全体を舐め回し、吸いつく。
「あっ、出るっ!」
少女たちの顔が密集した状態で、白濁液をぶちまける。
「ひゃぁあぁん♡ 熱いよぉ♡」
「あぁん♡ すごいぃ♡ ビュクビュク飛び出てるぅ♡」
「んぅ♡ 悠人さんの精液、気持ちいいですぅ♡ もっと、ぶっかけてください♡」
竿を手で扱きながら、少女たちの整った顔に欲望の白濁液をぶっかける。
喜悦に濡れた表情で、少女たちは淫らな粘液を浴びていく。
「ユウちゃん♡」
「悠人くん♡」
「悠人さん♡」
──もっと、して?
どれだけ射精しても萎えない剛直に、再び少女たちの舌が這う。
部室に戻るには、だいぶ時間がかかりそうだった。
* * *
「そういえば乃木。アンタ最近大人しいわね?」
「ひょえ!? そ、そうですかフーミン先輩?」
「だって、いつものアンタならさっきの友奈たち見て『ビュオオオォォォ!』とか言いながらメモ取るじゃない」
「あ、あはは~。ちょっといま不調なんよ~。最近なんとか一作は書けたんですけど、それからすっかり筆が乗らなくて……」
「なるほど、スランプか。……わかるわ。この私もときどき脚本に思い悩むときがあるもの。そういう時期ってあるわよね……」
「風が絶好調に脚本書けたことなんて一度もないでしょうが」
「何よ夏凜! アンタには作り手の気持ちってのがわからんのか~!」
「お、お姉ちゃん。落ち着いて~」
いつものようにギャアギャアと風と夏凜が口喧嘩するのを横目に、園子は悩んでいた。
新しく書けた原稿。
それを、彼に読ませていいものかと。
(本当に、いいのかな? きっと、アレを見せたら……)
もう、戻れなくなる。
彼とは、元の関係に。
でも、このままじゃいけない。
このままなのは、自分も悲しい。
だから……
(勇気、出さなきゃ)
騒がしい部室の中で、園子は静かに、ひとつの決意を固める。
ただいまアンケートを行っております。
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【参考程度にお聞きします】エッチなシーンを見たいキャラクターは誰ですか?
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鷲尾須美
-
乃木園子(小)
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三ノ輪銀