悠人が双子の姉、友奈を『二度と泣かせまい』と誓ったのはちょうど七年前のことだった。
決して良好とは言えない姉弟仲が改善され、二人の距離感が極端に縮まったのも、その頃だ。
最も、姉を一方的に邪険に扱っていたのは悠人のほうで、友奈は生まれたときからずっと、自分の半身である弟を大事に思っていた。
『私はお姉ちゃんだから! ユウちゃんはいくらでも私を頼っていいんだよ!』
なにかと友奈は自分が姉であることを強調しては、弟の面倒を見たがった。
いわゆる
もちろん当時の悠人には姉の胸中などわかるはずもなく、たびたび自分を子ども扱いする友奈がずっと疎ましかった。
一緒に生まれた双子なのだ。姉も弟もない。
しかし両親をはじめ、周囲の大人は『お姉ちゃんを見習いなさい』と口やかましく悠人に言った。
友奈は聞き分けのいい素直な子で、愛くるしい見た目も相まって、よく大人たちに可愛がられていた。
一方、悠人は粗暴な性格で、近所の子どもたちと喧嘩ばかりをするので、叱られることがしょっちゅうだった。
『聞いた? 結城さん家の悠人くん、また佐藤さん家の子に暴力ふるったみたいよ?』
『怖い子ね。双子のお姉ちゃんはあんなにいい子なのに……』
『本当にね。やっぱり、あの子だけ結城さんとは血が……』
『ちょっと! 噂ですよ、ただの……』
大人たちがそんな話をしていると、悠人のイライラはますます募った。
『ユウちゃん、ダメだよ? 皆と仲良くしないと……』
友奈はいつもそう言って心配してくれたが、悠人はぶっきらぼうに振る舞うばかりだった。
『アイツらが悪いんだ。ワガママばっか言って、イタズラばっかりするから、大人の代わりに俺が叱ったんだ』
『だからって、殴るのは良くないよ……』
『大袈裟なんだよアイツら。拳骨だけで情けなく泣きわめきやがって。男ならな、殴られるくらい当たり前に経験しとけってんだ』
『でも……このままじゃユウちゃん、皆に嫌われちゃうよ?』
『うるせー! 偉そうに指図すんな!』
『あっ! ユウちゃん!』
『付いてくんな! 弱虫友奈!』
友奈は常に「もっと皆に優しくしよう?」と悠人を諭した。
だが悠人にとって、その言葉は鬱陶しいことこの上なかった。
(優しくしろだって? 冗談じゃねえ。俺は強い男になるんだ。そんな甘っちょろいことできるか!)
悠人にとっての理想像とは、悪を倒す屈強な武人だった。
だから悪いことをするヤツは誰だろうと問答無用で殴った。
悠人は誰にも負けない、ヒーローのような男になりたかった。
それゆえに、喧嘩を嫌い、誰とでも仲良くなろうとする友奈を『甘いことを考える弱虫』だと決めつけて、遠ざけていた。
強い男に、そんな甘い考えは無用なのだ。
ある日、悠人がサッカーボールを持って公園に行くと、普段よく一緒に遊ぶ少年たちがヒソヒソと話をしていた。
『なあ、もう悠人くんと遊ぶのやめようぜ?』
『そうだな。すぐ怒って暴力ふるうんだもんな』
『いつ爆発するかわからなくて怖いよな~』
『声かけてきても無視しようぜ!』
『……』
そのまま悠人は公園から去った。
べつに気にしない。
強い男とは孤高の存在なのだ。
そもそも、彼らと特別に仲が良かったわけでもない。
すぐに泣くし、文句ばっかり言うし、付き合いが面倒だった。
だから気にしない。
『ふん。いいんだ。一人で遊んだほうが楽しいもんね』
その日は壁に向けてボールを蹴ったり、リフティングなどをして時間を潰した。
『ただいまー! ああっ、今日も楽しかった~!』
やたらと大きな声でそう言って、悠人はまっすぐ部屋に入った。
『……』
ベッドの上でしばらくボーッとしていると……
『う、うぅっ……』
唐突に涙が出てきた。
ダメだ。
泣いてはダメだ。
強い男はこんなとき泣くものではない。
そう思っていても、溢れる涙は止まらず、悠人は声を押し殺して泣いた。
すると……
『よしよし。泣かないでユウちゃん』
いつ部屋に入ったのか、友奈にきゅっと抱きしめられていた。
『大丈夫だよ? お姉ちゃんだけは、ユウちゃんの味方だから。私がずっと傍にいてあげる』
慈愛のこもった声で、友奈は悠人の頭を優しく撫でた。
『私はお姉ちゃんだから。ユウちゃんが辛いときは、私が絶対に守ってあげる』
いつもそうだった。
どれだけ皆に疎まれても、友奈だけはいつも味方でいてくれた。
その優しさで、悠人を包み込んでくれた。
どこまでも、どこまでも優しい友奈。
皆から愛され、自然と彼女の周りにはたくさんの人が集まる。
どうしてなのだろう?
どうして自分たちは、こんなにも違うのだろう?
一緒に生まれた双子なのに。
友奈ばかり好かれて、自分ばかり嫌われて。
ズルイではないか。
自分は、こんな風になれない。
誰かに優しくなんてできない。
自分は、友奈とは違う。
湧き上がってきたのは、友奈に対する劣等感だった。
『……めろ』
『ユウちゃん?』
『やめろよ! 優しくするな!』
『きゃっ!』
気づけば、友奈を突き飛ばしていた。
悔しかった。
強い男になると決めたのに、こんなことで泣いている自分が情けなかった。
そして何より……友奈の優しさに甘えようとしている自分が許せなかった。
『ユ、ユウちゃん?』
『うるさいうるさい! 俺は強い男なんだ! こんなことで傷ついたりしないんだ! 俺は友奈とは違うんだ!』
そう、違う。
双子なのに、自分たちは、ちっとも似ていない。
中身だけでなく……その顔も。
『何がお姉ちゃんだからだよ! 友奈なんて、お姉ちゃんじゃねーよ!』
それは突発的な発言だった。
姉弟喧嘩なら、いつものことだった。
些細なことで言い争いになって、最初のうちはお互い譲らない。
だが、友奈のほうがだんだんと喧嘩をしていること自体に悲しくなって、翌日にはケロッとした顔で謝ってくるので、悠人も渋々と姉に合わせて矛を収めざるを得ない。
普段の姉弟喧嘩なら、それで済んだ。
だが……。
その日の喧嘩はいつもと違った。
『友奈なんて大嫌いだ! いつもいつも俺ばっかり子ども扱いして!』
解き放たれた不満は、鋭く尖った言葉となって突き出された。
『うっとおしいんだよ! 俺は一度だって友奈をお姉ちゃんだと思ったことねぇよ!』
限度を知らない子どもは、ときとして衝動のままに、言ってはならないことまで口にしてしまう。
言葉の重みを、まだ知り得ないがゆえの悲劇。
何にせよ……。
『お姉ちゃんヅラするな! 友奈なんて、友奈なんて……家族の誰にも似てないくせに!』
悠人が初めて父に本気で殴られたのも、母を本気で悲しませてしまったのも……友奈を本気で泣かせてしまったのも、それが最初で最後だった。
友奈は、間違いなく血の繋がった姉だ。
だが、その赤い髪も、母親以上に整った顔立ちも、余所の家の子と断定してしまったほうが納得できるほどに、なぜか両親のどちらにも似ていない。
後ろめたいことは、何もない。
だが世間までがそう見るとは限らない。
ある日、学校からの帰り道で、友奈は同級生の男子たちに、顔のことでからかわれていた。
『お前、本当は貰いっ子なんだろ?』
『母ちゃんたちが噂してたぞ! どっちの親にも、弟にも似てないから変よねって!』
『やーい、お前だけ仲間外れー!』
友奈が泣き出すと、男子たちはより盛り上がった。
気になる女の子の気を引きたいがゆえのちょっかい。
それは、そんなよく見られる光景だった。
気を引けるなら、内容は何だって構わない
しかし無邪気な子どもにはそれが、どれだけ残酷なことか理解できない。
悠人は、すでに理解できていた。
そして自分を恥じた。
自分は、あんな連中と同じことを言って、友奈を傷つけてしまったのだと。
──ユウちゃん! お姉ちゃんだけは、いつだってユウちゃんの味方だからね!
親に叱られて落ち込んでいるとき、いつも自分を慰めてくれた姉。
ひどいことを言っても、最後にはいつも許してくれた姉。
ひねくれたことばかりをしても「ユウちゃんは本当は良い子だって、私知ってるよ!」と言って信じてくれた姉。
そんな友奈を、あんなにも明るかった友奈を、塞ぎ込ませてしまうほどに傷つけてしまった。
(俺は……)
ずっと強い男になりたかった。
でも、決してそれは誰かを傷つけたいからではなかった。
違うのだ。
ちゃんと理由があったはずなのだ。
自分は、なんのために強さを求めていたのか?
それは……
──友奈! 何で言い返さないんだよ! バカにされて悔しくないのかよ!
──だって、喧嘩なんてイヤだもん。そんなの、悲しいもん。
──だから我慢するってのかよ!
──うん。私が我慢すれば、それで済むことだもん……。
──だからって……。
──平気だよ! お姉ちゃんは我慢強いもん!
──……イヤだ。
──え?
──俺はイヤだ! 友奈が傷つくなんて!
──ユウちゃん……。
──友奈が怒らないなら、俺が怒る! 友奈のこと悪く言うやつは、俺がとっちめてやる!
そうだった。
最初は、そんな理由からだった。
争いを嫌い、喧嘩などとてもできない、優しすぎる姉。
だから弟の自分が、彼女に降りかかる火の粉を払うと決めたのだ。
それなのに……いつから、自分は守りたい存在を疎ましく思うようになってしまったのだろう。
いつから、皆に好かれる友奈を羨ましく思うようになってしまったのだろう。
バカだ。
自分は大バカだ。
生まれる前からずっと一緒だった、大切な自分の半身。
双子の自分だけは、あんな酷いことを言ってはいけなかったはずなのに。
あんな連中のように、友奈を泣かせてはいけなかったはずなのに。
本当の強さとは何か?
それは友奈のように……
泣いている誰かを、助けることではないのか?
『うっ……』
悠人は思いきり自分を殴った。
罰として。戒めとして。
そして友奈をいじめる少年たちに眼光を向けた。
『やめろ……』
ひねくれ者は、もう卒業だ。
これからは絶対に何があろうと、友奈を傷つけない。
自分たちは双子だ。
どんなに似ていなくても、一緒に生まれた双子だ。
だから……。
『やめろ! 友奈を、泣かせるな!』
親譲りの恵まれた身体能力でいじめっ子たちを追い払うと、悠人は呆然と自分を見つめる友奈を抱きしめた。
『友奈、ごめん! 酷いこと言って、ごめん! 友奈は、姉ちゃんだ! 俺の大好きな姉ちゃんだよ!』
思えば、ただの強がりだったのだ。
恥ずかしいから素直になれなかっただけだ。
本当は弟として、友奈にいっぱい甘えたかった。
いざというとき、友奈に頼ってもらえるような頼もしい男になりたかった。
友奈がいつも味方になってくれたように、これから自分も友奈の味方になるのだ。
『俺、もう絶対に友奈を……ゆう姉を傷つけない!』
周りが好き勝手に言おうと、関係ない。
どんなに似ていなくても、自分たちは世界で一番仲の良い双子だ。
そう胸を張って言えるように、友奈を大切にするのだ。
『ユウ、ちゃん……』
本心をさらけ出した、まっすぐな弟の思いは姉の友奈にも伝わった。
一緒に生まれた双子なのだ。
誰よりも気持ちが通じ合うのは当然だった。
『ユウちゃん……うん……うん! お姉ちゃんも、ユウちゃんが大好きだよ!』
友奈の涙は嬉し涙に変わり、悠人にも負けない勢いで抱きしめ返していた。
それ以降、結城姉弟は何をするにも一緒の仲良し姉弟となった。
悠人の粗暴な性格も、いつしか影を潜めていた。
ある日、公園で壊れたオモチャを前に泣いている友人がいると……
『それ、壊れたのか? 貸してみろ。俺が直してやる』
『え?』
生まれつき手先が器用な悠人は大抵のものは直すことができた。
壊れたオモチャも悠人の手にかかれば、たちまちに直った。
『よしっ! ほら、動くようになったぞ』
『うわー! 本当に直った! 悠人くんすげぇ!』
『ね、ねえねえ! これも直せる?』
『うーんと……工具があればいけるな。家に来ればすぐに直せると思うぜ』
『本当? ありがとう悠人くん!』
『悠人くんって、こんな特技あったんだな!』
『かっけー! 職人さんみたいだ!』
悠人はたちまち近所の子どもたちの間でヒーロー扱いとなった。
友人たちの喜ぶ顔を見ると、悠人の胸にこれまで感じたことのない不思議な心地が芽生えた。
(喜ばれるって、すっげー気持ちいいな。……悪者退治より、
この拳は、必要なときだけ使えばいい。
それ以外のときは、こんな風に誰かの役に立てることで活かしていこう。
そんな考えをいだくようになった悠人の周りにも、いつしか姉の友奈と同じように、たくさんの人が集まっていた。
『仲直りできてよかったね! ユウちゃん♪』
そして隣では、いつも大好きな姉が笑顔を向けてくれた。
そんな時間が、悠人には愛おしかった。
だからこそ、もう絶対に友奈を悲しませるようなことはしたくなかった。
そう決めていたのに……。
「うわ~ん! ユウちゃんの浮気者~!」
「あひ~~! お許しくだされ姉上~!」
友奈の自室。
ひなたとの関係を洗いざらい話した悠人は、わんわんと泣く友奈に電気あんまをされていた。
やはり友奈に隠し事をするのは辛かったし、聡く気づいた友奈がこれまで見たこともないほどに怖かった、という理由もある。
七年前の誓いを破った罰。
それは、浮気者のおちんちんを実姉に踏んづけられることだった。
「むぅ~。いくらヒナちゃんが可愛くて美人でスタイルいいからって……ユウちゃんの節操なし!」
「返す言葉もございませぬ……」
プンプンと頬を膨らます友奈に、悠人は見事なジャパニーズ土下座をする。
実に数年ぶりにご機嫌ナナメになった友奈。
普段なら一日で怒りは鎮まるのだが……今回はどうだろうか。
なんせ浮気である。
治療のためとはいえ、友奈と関係を持っていながら、他の女の子に手を出してしまったのだから。
……とはいえ、自分たちの関係も世間的には本来タブーではあるのだが。
浮気という言葉も、使いどころとしては正しいのかどうか……。
「……ユウちゃん、これからはヒナちゃんとだけエッチするの?」
「え?」
ふと、不安げな顔をして友奈が尋ねてきた。
「ヒナちゃんがいるなら……もう、私とは、エッチしてくれない?」
「いや、それは……そういうわけにはいかないだろ? ゆう姉のカラダのこと考えると」
神樹の影響による過剰な発情は、もはや本番行為でなければ鎮められない。
それをやめてしまったら、友奈のカラダがどうなるか、わかったものではない。
「ゆう姉がイヤじゃないなら、これからもそうするつもりだけど……」
「イヤじゃないもん!」
「うおっ!」
涙目で友奈が飛びついてくる。
「んっ、ちゅっ……ちゅっ……ちゅっ……」
首に腕を回すと、友奈はすぐに唇を重ねてきた。
まるで、自分の感触で上書きするように、何度も何度も。
「ん……ユウちゃん……」
唇を離すと、友奈が潤んだ瞳で見つめてくる。
思わず心臓の鼓動が早まる。
双子の姉は相変わらず、近親の壁を越えて魅了されるほどに可愛らしい。
「私は、お姉ちゃんだから……ユウちゃんに恋人ができても『やめて』なんて言えない。だから、ヒナちゃんとお付き合いしても、べつに怒らないよ?」
友奈は必死な表情で、まるで自分に言い聞かせるようにそう言った。
お付き合い、と言ってもあくまでも『カラダとカラダの関係』なのだが……という言葉はさすがに噤んだ。
「怒らないけど……でも、やっぱり寂しいから……私とも、たまにでいいから……して、ほしいな」
「……そんな言い方するなよ」
「あっ……」
俯く友奈を抱きしめる。
「ゆう姉は、特別だよ。仮に誰かと付き合うことになっても、ゆう姉のためなら何だってするさ」
「ユウちゃん……」
「だから、その……ち、治療だからな! 毎日だってやってやるさ!」
「そっか……あはっ♪」
悠人の宣言に、友奈はすっかり機嫌を良くする。
「そうだね♪ 治療だもんね♪ しょうがないよね♪」
「お、おう。しょうがないよな!」
「うん! しょうがないから……今夜も、たくさんしようね?」
「おわっ!?」
友奈が艶っぽい顔を浮かべたかと思うと……すでに押し倒されていた。
手際よく、服を脱がされていく。
「ねえ、ヒナちゃんとはどんな風にしたの?」
「え? それは……」
「私とヒナちゃん、どっちが気持ちよかった?」
「そ、そういうのは比べるもんじゃないと思うけどな~……」
「ふ~ん、そういうこと言うんだ~……じゃ~あ~♪」
「あひん!?」
敏感な箇所を、友奈の手が刺激していく。
「お姉ちゃんのことしか、考えらなくなっちゃうくらい……気持ちよくしてあげるね~?」
「ゆ、ゆう姉、いきなりそんなところ……」
「えへへ。ユウちゃんの気持ちいいところ、私ぜ~んぶ知ってるんだよ~? ほら、この亀さんの出っ張り、スリスリしてあげると、嬉しいんだよね~?」
露出した亀頭の上で、友奈の指がやらしく踊る。
瞬く間に、先走り液が分泌される。
「あはっ♪ もうエッチなお露出てきた♡ じゃあ、このままシコシコしちゃうね~?」
「あひっ!?」
「ユウちゃん、かわいい……。お姉ちゃんの手で、もっと気持ちよくなって?」
「ダメ、だ、ゆう姉……そんなにされたら、もう出て……」
「いいよ? 出して? お姉ちゃんの手で、エッチなお露、出しちゃお?」
「あっ、あっ……」
「出しちゃえ♡ 出しちゃえ♡ お姉ちゃんで感じちゃうイケナイ弟精液、びゅーって……びゅうびゅう出しちゃえ♡」
「あっ! 出る!」
「きゃっ♪」
ビュルルルッと天井に向かって噴き出す白濁液。
「すごい……いっぱい出てる」
精液を撒き散らす弟の竿を、友奈は愛おしげに見つめる。
「ユウちゃん♡ ユウちゃん♡」
「あっ、ゆ、ゆう姉、出してる途中なのに……うあっ」
友奈は甘い声色を漏らしながら、射精途中の竿を扱きあげる。
脳髄が蕩けてしまいそうな快楽に、口元から涎が出る。
それを味わうかのように、友奈が口づけをしてくる。
「あむっ……ちゅううぅぅ……んぅ、ユウちゃ~ん♡」
錯覚か、友奈の瞳の中にハートマークが浮いているように見える。
「ちゅっ、ちゅっ……ユウちゃん、かわいい♡ ちゅっ、ちゅっ、ちゅっちゅっ……」
火照った表情で、息を荒くさせながら、悠人の顔中にキスの雨を降らす。
「好き……大好き。小さい頃からずっと。大好きだよ、ユウちゃん……」
「ゆう、姉……」
慈愛と情欲に満ちた顔で、抑えきれないとばかりに、思いを吐露する友奈。
「私、お姉ちゃんだから、ユウちゃんを独り占めできないのは、わかってるけど……この時間だけは、お姉ちゃんのことで、頭いっぱいにして?」
衣服を脱いで、股間に跨がる友奈。
すでに潤んでいる膣に、弟の禁断の男根を埋めていく。
「んぅぅぅううぅ! 今日も、おっきいぃよぉ……」
挿入と同時に、腰を振り出す。
ギシッ、ギシッと、ベッドが軋む。
「ユウちゃん、ユウちゃん♡ 出して? 今日もお姉ちゃんの
「ゆう姉……あっ! くぅ!」
「あぁああああぁあん! 出てるぅ! イケナイ弟精液……お姉ちゃんオマンコにいっぱい出されてるぅうぅ! 好きぃ! ユウちゃん大好きぃ! もっと、もっと出してぇ!」
「うぅ、すごい締めつけ……搾り、取られるぅ……」
その夜はいつも以上に激しく友奈に求められ、文字通り枯れ果てるまで精液を搾り取られるのだった。
やはり何年経っても、弟とは姉に敵わない生き物らしい。
* * *
『ユウちゃぁん♡ もっと、もっと出してぇ! お姉ちゃんの
『ひーん! もう出にゃいのぉおおお!』
そんな双子の禁断の情交を、仕掛けた盗聴器越しで聞いている者がいた。
「ハァ、ハァ……ダメよ、二人とも。姉弟で、そんなこと……ハァ、ハァ……ダメ、イクッ……」
生白い裸体をベッドの上でよじりながら、膣を指で弄り、絶頂に達する。
「ハァ、ハァ……」
艶やかな黒髪が汗で濡れ光る白い裸体に張りつく。
凹凸の激しいカラダが、ビクビクと余韻で震える。
痙攣するたび、細身のカラダについているとは思えないほどに巨大な乳房が、ぶるぶると水滴のように波打つ。
「あぁ、こんなこと、イケナイのに……でも、でも……」
言い訳がましい独り言を口ずさみながら、再び膣に指を入れる。
くちゅくちゅと淫らな水音と、盗聴器から漏れる男女の交わりの声が重なる
「ズルイわ……私だって……私だって、あぁっ……!」
奇跡のように艶めかしいラインをえがく肢体が、また絶頂へと至る。
「アァ、ハァ、ハァ……ダメなのに……こんなのダメなのにぃ……」
最初は純粋な使命感だった。
禁忌の道に進もうとしている二人を説得するため、証拠品を突きつけるために始めたことだった。
だが、いまとなってはソレを自らを慰めるために使っている。
そのことへの罪悪感。
一方で、日々燃え上がる情動が、歳不相応に発育したカラダを昂ぶらせる。
この淫らに育ったカラダを、芽生え始めた欲望を鎮めるための存在を、貪欲に求めだす。
「悠人、くぅん……」
清廉な翡翠色の瞳が、欲望の光をたたえて、妖しく濡れていた。
試しに「♡」を入れてみたのですが、今後使うかは悩みどころ。
統計上では「あり」って声が多いみたいですけど。
現状はケースバイケースで、という感じかな……。
本日もお読みいただきありがとうございました!
感想、評価をいただけますと大変励みになります!