※この作品はR-18です。

熱い夜を君と   作:半ライス大盛り

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難航しました。
試行錯誤して6000文字程度に収めようかとしたが軽く超えましたね、はい。

正直、蛇足かなと思ったシーンを追加したり削ったりを繰り返してましたね。エッチなの難しい。





チェン

 

ベリアルはなぜこうなったのだろう、とその場で頭を抱えてため息を吐きたくたった。

 

「おいおい、兄ちゃんよぉ。人の話聞いてんのか? ここは俺たちの敷地内だぜ。通りたかったら金を払いなって言ってんだよ」

 

ベリアルの目の前には身なりの悪い男性が2人、そして背後には1人いた。テキサスが持ってきてくれた仕事を終えたベリアルはそのまま家に帰ろうと近道の裏路地に踏み込んだ瞬間、目の前のナイフを構えたチンピラたちに絡まれてしまったのだ。

 

「だからさ、それならここの道は通らないって言ってるだろ? そこ退いてくれよ」

 

「勝手に踏み込んできておいてなにもせずに帰ろうなんて虫が良すぎないか、ええ?」

 

「………こいつまじか」

 

目の前のチンピラ共を“お片付け”するのは簡単だ。ただそうなると色々と面倒なことになる可能性だってある、もしかしたら目の前のチンピラたちはどこかのマフィアに属するゴロツキかもしれない。

 

「俺たち感染者にも少しは恵んでくれよ兄ちゃん」

 

「いや、お前たちどう見たって感染者じゃないだろ」

 

「ああ? 俺たちが嘘をついてるって言いてえのかよ」

 

面倒ごとを嫌うベリアルとしてはその仕返しでマフィアから追われるなんてトラブルは嫌だった。ならマフィアを壊滅させればいいいじゃん、と脳裏に一瞬よぎったがそれはそれで単純に面倒くさい。

 

黙り込んだベリアルの様子にチンピラたちはニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべた。

 

大方自分たちに完全にビビって声も出ないのだろうと勝手に思っている筈だ、ベリアルは内心舌打ちしながらも穏便にすませようと財布を取り出そうとした時。

 

「………へ?」

 

それは誰が漏らした声なのだろう。

 

目の前にいた男の一人がまるでボールのように吹き飛んで行った。それを隣で見ていた仲間は突然の事に呆然と立ち尽くしていると、突然“空から降ってきた目の前の少女”に殴り飛ばされて意識を失った。

 

「おい、アンタ」

 

「ひぃ! な、なんだよ!」

 

「そこでのびてる仲間を連れて逃げろよ、アンタだって捕まりたくないだろ。“あの子”、見覚えあると思うけど?」

 

「っ!」

 

背後にいたチンピラの男はベリアルの言葉に少女の姿を見て、ほんの一瞬だけ悩むような素振りを見せた後、気絶した二人のチンピラを引きずって路地裏の影に潜り込むと闇に紛れるように姿を消していった。

 

チンピラたちの気配が完全に無くなったのを感じ取るとベリアルはため息を吐き、目の前の“龍の少女”に声をかけた。

 

「いくら相手が武装集団だったとは言え、警告もなしにいきなり殴りかかるのもどうかと思いますよ……“チェン隊長”」

 

「………」

 

チェンと呼ばれた女性はベリアルの言葉に返事をするような素振りを見せず、フラフラと今にも倒れ込みそうな足取りでゆっくりとベリアルに向かって歩みを進めた。

 

「……チェン隊長?」

 

チェンは幽鬼のようにフラフラとした足取りでベリアルの元へゆっくりと時間を掛けながらもたどり着く。すると彼の着ていたコートをシワができる程の力で強く掴み、撓垂れ掛かるように抱き付くと頭をグリグリ擦りつけるようにしながらポツリと呟いた。

 

「……もうお前は、督察隊員じゃないだろ。お前に隊長と呼ばれる筋合いはない」

 

「……そうでしたね、すみません」

 

「だから、私の事はチェンと呼べ……“あの夜”のようにっ」

 

顔を上げたチェンの瞳は情欲に染まりながら潤んでいた。

それを見たベリアルはマズいなと思いながら彼女との出会いを、昔の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアルは幼少の頃から傭兵として戦場に立っていた。

少数精鋭の傭兵部隊の一人として各地の戦場を転々としていた、依頼があれば小さな村を潰して、金を積まれれば誰かを殺害して、そんな生活に飽き飽きしていた頃に珍しく龍門から極秘で依頼が入った。

 

要人警護とでも言えばいいのか、それはなんて事のない依頼だった。いつものように一仕事終えて報酬をもらい龍門を出ようとしたその時、ベリアルはウェイ・イェンウーから声をかけられた。

 

所謂スカウトだ、ウェイはベリアルの力に価値を見出したのだ、使える駒になるかもしれないと。

 

彼への個人的な依頼。自分を引き止める仲間たちの声を無視して、今の生活に飽きていたベリアルは新たな刺激を求めてその話を軽く承諾した。

 

その日から彼は元傭兵という肩書で近衛局で働くサルカズ人となった。

 

 

 

 

 

チェンにとってベリアルという男はあまり好きになれそうにない人間だった。

 

自分が龍門近衛局特別督察隊に入隊する頃よりも少し前に入隊したというサルカズ人の男。階級もそこそこの立場で良くない噂をいくつも持っていて、周りの人間を寄せ付けないような人物だった。

 

そして何より普段からの勤務態度が気に入らなかった。都市の巡回警備や戦闘訓練などで本気を出さず、明らかに手を抜いている様子でつまらなそうに周りを見ているのだ。憖、実力者だった為に彼を恐れて咎める者はいなかった。

 

だからチェンは自らの手でその腐り切った性根を叩き直してやろうと思った。

 

模擬戦という形式でベリアルを自分の前に立たせた、緊張感もなく目の前で呑気に欠伸をしている男の姿に腹が立ったがその怒りをヤル気に変えてボコボコにしてやろうと息巻いていた。

 

模擬戦の結果はチェンの勝利で終わった。

 

ベリアルはチェンの攻撃を2、3度防いだ後、体勢を崩されて一撃をもろに喰らい決着がついたのだ。周りにいた隊員たちはチェンの勝利に歓喜して、ベリアルの敗北に囃し立てるように騒いでいた。

 

だがそんな事はチェンにはどうでもよかった。

 

吹き飛んで行ったベリアルを呆然と見つめていた、彼女の胸の中にあったのは怒りと悔しさだけだった。

 

完全に遊ばれていると気がつかされた。

 

攻撃は全て見切られて受け流された、勝敗を決した一撃は明らかに誘導された一撃だった。体勢を崩したのだって絶対にわざとだと確信している。

 

それは勝ち取った勝利ではなく、与えられた勝利だった。

 

──お前は私を、馬鹿にしているのか!!

 

観客も居なくなった頃、遠ざかって行くベリアルの後ろ姿を睨みつけて絶叫した。

 

──……さぁ、なんのことですか?

 

ベリアルは少しだけ振り返り、興味なさげにそう言うと笑みを貼り付けて離れていった。

 

チェンは苛立ちからその日の書類仕事に手がつかなかった。

 

日も暮れて同僚たちが次々と帰って行く中、一人だけデスクの上に積み重なった書類と睨めっこをしていた。少し休憩しようとデスクを離れ、廊下に設置された自動販売機の元まで足を運んだ時に訓練室の明かりが点いていたのに気がついた。

 

誰かが消し忘れたのだろう。そう判断して電気を止めに行こうと近づいた時だ、訓練室の中に誰かがいる事に気がついた。

 

残っていた隊員もしくは清掃員か、はたまた不審者か? 少しだけ警戒しながらそっと中を覗くとそこにいたのはベリアルだった。昼間の気怠げそうな態度が嘘のように、別人かと疑ってしまうくらいに真剣な表情で刀を振っていた。

 

奴が繰り出す剣術は見た事のないモノだった。隙のない動作に、いつ抜いたのかわからない抜刀術。演舞のようなアーツと剣術を組み合わせた不思議な格闘術に見惚れていた。

 

──覗き見はいい趣味とは言えないな

 

訓練を終了したベリアルに声をかけられるまでチェンは動けなかった。

 

──……いつから気がついていたんだ

 

──あれだけ熱い視線を向けて来られたら嫌でも気がつくさ

 

そういって不敵に笑うベリアルの姿にチェンは顔が熱くなるのを感じていた。言い返せなかった、それだけ彼の剣技に夢中になっていた自分が恥ずかしかった。

 

訓練後の後片付けをするベリアルの後ろ姿を見ながらなぜ普段から本気でやらないのかと聞いた。

 

それだけの実力があればもっと上の立場だって目指すことができる、ベリアルの事を良く思わない人たちを見返せるし陰口を叩くような奴だって居なくなるはずだと。

 

何か理由があるのかと思った、だが帰ってきた言葉は自分の予想とは大きく離れたものだった。

 

──どうでもいい、そんなつまらない事をするならもっと面白い事がしたい

 

本気でそう言っているのだとわかった、いつものようにつまらなそうな表情を浮かべるベリアルを見てそう思った。

それが少しだけ彼という人間を理解した瞬間だった。

 

その日からチェンの中でベリアルという男は好きになれそうにない奴から、ちょっと気になる奴に変化した。

 

 

 

それからチェンはベリアルによく話しかけるようになった。訓練の事だったり、剣術の事だったり、と共通の話題で盛り上がったりした。ベリアルも面倒くさそうにしながらもしっかりと彼女の相手をしていた。

 

いつしか二人は友人と呼べる存在になっていた。

 

だが二人の友人という関係が大きく変わったのはチェンの昇進祝いに二人で飲みに出かけていた時だ。軽く酔うまで飲んで店を出た後、飲み足りないという意見が一致してチェンの家で飲み直す事になった。

 

偶々だ、偶々“そういう雰囲気”になった。

 

ふとした拍子に今の状況を意識しだしてしまいそういう雰囲気になったのだ。食い入るように見つめ合って、チェンの方からキスをした。

 

彼になら別にいいかも知れないと身体を許した。

 

次の日の朝ベッドの上、隣に眠るベリアルの姿に顔を赤くして悶えたが、こんな関係もいいかと思った。

 

それから度々ベリアルの姿を目で追うようになった、気がつけば彼の方に目を向けていた。

 

それに気がついた女性局員に揶揄われ、半ば強制的に恋愛相談となり彼に思いを告げるべきだと背を押された。

 

チェンは柄にもなく熱くなる顔を抑えて、仕事帰りにベリアルに想いを告げたが帰ってきた答えは自分が望んだものではなかった。

 

なぜ、と叫ぶように問いただし帰ってきた答えは彼の持つ『魅了』の力と特異体質の説明だった。

 

その感情は偽りで勘違いなのだと駄々をこねる子供に優しく言い聞かせるような彼の態度に腹がたった。

 

弄んでいたのかと糾弾した、視界が滲んで目の前が良く見えなかった。そこから先はよく覚えていなかった、気がつけば家のベッドの上にいた。朝日が昇るまで涙を流し続けていたのは初めてだった。

 

それでも、ただ哀しそうに笑みを浮かべる彼の姿がチェンの脳裏に焼き付いていた。

 

次の日からチェンはベリアルに話しかけなくなった、目で追う事もなくなった。

 

ベリアルは彼女に何かを伝えようとしていたがチェンは逃げるように距離を取ってそれを無視した、ズキリと痛む心も申し訳なさそうに笑う彼の存在も無視した……そして疼き出す身体も。

 

そんなすれ違うような生活が一年以上続き、任期を終えたベリアルは近衛局から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……チェン隊長、離れてください。こんなところ見られたら流石に俺も貴女もやばいでしょ、それに貴女と一緒にいるという情報がウェイの野郎に知られたら色々と面倒だ」

 

「そんな事は、関係ない……っ」

 

ベリアルはコートを握り締めて抱きついて来るチェンを優しく引き剥がそうとするが思った以上に強く力を込めてくるチェンに苦戦していた。

 

どうにか引き剥がそうとしながら明らかにチェンの様子が変だと感じた。

 

全身が上気して、玉のような汗を流して濡れた髪を肌に貼り付けている。顔は熟したリンゴの様に赤く、風邪をひいているのではないかと思うほど体温が高かった。

 

徐に彼の衣服に顔を埋めたチェンは息を吸い、鼻腔から匂いが入り込むとビクンッビクンッと体を震わせ、カクカクと腰をベリアルに押し付けるように揺らしていた。

 

それを見たベリアルはまさかと思いチェンの顎を指で持ち上げ自分の方を向かせた。

 

「………んぁっ♡♡」

 

そこにはだらしなく開いた口元からタラリと唾液を垂らして、ポロポロと溢した涙で顔をグチャグチャに歪めて発情しきった雌顔を浮かべるチェンの姿があった。

 

ベリアルはこれはダメなやつだと判断した。

 

彼は自分の『魅了』の力については誰よりもよくわかっている。彼からしても自分自身に効果があるこの力はかなり凶悪で迷惑な力だ、能力の抑えが効かなかった傭兵時代よりも多少マシになったとは言えそれでもまだ凶悪なのだ。

 

ベリアルはチェンがなぜこんな状態になっているのかも心当たりがあった。『魅了』という能力のせいで自分という存在が文字通り媚薬のようなものだという事は理解している。

 

チェンがこうなったのも彼の体液が原因だ、女性からすれば彼の体液は唾液も汗も血液も精液も全てが中毒性のある麻薬のようなものだ。だがその中毒性は危険視する程の強いものではない。

 

ならばなぜチェンがこんな風になっているのか、それは単純にベリアルとチェンの“相性が良すぎた”結果だ。

 

ベリアルがチェンを抱いた回数はあの日の一回だけだ、しかしその一回だけで十分すぎた。

 

「んむっ♡ じゅるぅっ♡ むううっ♡」

 

チェンは自分の顎に触れるベリアルの指を掴むとその指を、一本、一本、口に含み愛おしそうに舐めしゃぶり始めた。

 

その光景に思わずゾクゾクとした感覚が全身に駆け巡った。

 

ベリアルがチェンを抱いた次の日から既にチェンの体はベリアルの体液を求めて小さく疼いてきていた。しかし彼女はその蝕むような衝動をプライドで、気合と根性で抑えつけていたのだ。ベリアル自身も気丈に振る舞うチェンの姿に問題なさそうだと判断していた。

 

だが一年以上抑えつけていた性欲が、容器から漏れ出た水のように留めなく溢れ出してとうとう抑えきれなくなったのだ。どれだけ自分で慰めても満足する事が出来ずズキズキと痛い程疼く子宮の所為で夜も眠れなかった。

 

それから既に限界を越えている身体で三日三晩、広い龍門の街中を駆け回りベリアルを探し続けた。そしてようやく見つけだしたのだ、もう我慢など彼女が出来るはずがなかった。

 

「はあぁ♡ ベリアル♡ ベリアルッ♡」

 

「ちょ、隊長落ち着いてくださいって!」

 

ベリアルは強く抱きついて来るチェンに押されて狭い路地裏の壁に倒れ込むようにバランスを崩す、壁に背をつけて沿うようにズリズリと下がっていき尻餅をついた。

 

座り込んだ体勢の為、身長差による距離がゼロになるとチェンはベリアルに跨り首筋に吸い付きながら彼のズボンのベルトをガチャガチャと乱暴に外そうとする。

 

「隊長、人の話をっ」

 

「んちゅ♡……はあ、はあ、“隊長”じゃない。名前を呼んでくれ、名前を、呼んで欲しいっ♡」

 

ベルトを掴む手を強引に払われたチェンは虚ろな瞳で快楽を求めるように押し付けた腰をくねらせながら身に纏っていたジャケットを脱ぎ捨てた。

 

そして汗を吸い半分透けているような状態の重くなったワイシャツのボタンに手をかけて脱ぎ捨てようとするが、その手がベリアルに掴まれて止められた。

 

重い声音でベリアルが告げる。

 

「ダメです。やめましょう隊長」

 

「っ!………っして、どうしてだ!! もう我慢できないんだ! 体が疼いてしょうがないんだっ!! お前にもう一度抱いて欲しい! なのになんでっっ、それとも怒ってるのか? あの日から、私がずっとお前から逃げてた事を、それなら謝る、あやまるからぁ゛」

 

「…………」

 

極限状態の所為か普段の彼女の様子からは想像できないような様子で、ボロボロと涙を流し始めて叱られた子供のように泣き出してしまうチェン。

 

ベリアルはそんな彼女の涙を拭き取ると唇を重ねた。驚いて顔を離そうとしたチェンの頭に手を回して逃げられないようにする。

 

「動くな」

 

「んんっ! んぢゅ、んむっ♡」

 

チェンは口内に入り込んできた舌を迎え入れるように自分の舌を絡めた。

 

お互いに舌を舐め合い、暴れ回る舌が歯茎や奥歯を舐め回すと口内を貪るようにグチョグチョに犯していき、重ねた唇の隙間から溢れかえった唾液がツゥっと垂れていく。

 

「んんぅ♡ んちゅる、んんんっっ……♡」

 

チェンはキスの感触にビクン♡ビクン♡と腰を震わせて絶頂に達した。

 

二人は唇を離すと荒い息を吐いて、空気を取り込んだ。少しだけ正気を取り戻したチェンの瞳が情欲で、歓喜と興奮で潤んだ。

 

「“チェン”、ここじゃダメだ。人が来るしゆっくり楽しめない、だから人の来ない場所に移動しよう。ここからならチェンの家も近かった筈だ、いいよな?」

 

「………っっ♡」

 

ベリアルの言葉にチェンは無言でコクコクと頷いた。

 

ベリアルは脱ぎ捨てられたジャケットに袖を通させるとフードを深く被らせて、フラつくチェンの腕を引いて人目を避けるように歩きだす。

 

チェンの太腿を伝って流れ落ちて行った液体が乾いた地面を濡らして色を変えた。

 

ベリアルは着ていたコートでチェンの姿を隠すように歩き、数分も経たずにチェンの住むマンションに到着した。

 

パスコードを打ち込んで開いた扉を潜った。

二人はエレベーターに乗り込み、最上階へのボタンを押すと上へと登って行く。

 

他の住人と出会わなかったのは幸いだった。今のチェンの状態を見られてしまえば完全にどういう状況なのかを理解されて明日から気まずい空気の中暮らすことになっていただろう。

 

エレベーターが上昇し、自分の家が近づくにつれてチェンの呼吸は荒くなり、下腹部が疼いてガクガクと膝を震わせた。

 

溢れ出た分泌液がエレベーターの床に小さな水たまりを作っていく。

 

 

ポン、とエレベーターのベルがなる音と共に目的の階へと到着して手を引かれて歩き出す。

 

出勤と帰宅で毎日歩く通路、歩き慣れた筈の通路はやけに長く、遠く感じた。

 

「フッー♡ フッー♡」

 

震える足でぎこちなく歩き、ようやく自分の家の扉の前に辿り着いた。

 

チェンは被ったフードで隠された自分の顔が色情に染まった酷い顔をしているのだろうと理解していた。

 

扉を開けて中に入ってしまえば自分はどうなってしまうのだろうと期待と興奮で頭がどうにかなってしまい倒れそうになった。

 

カギを解錠して扉が開かれると、境界線を越えるように玄関へ一歩踏み込んだ。

 

ガチャリと扉が閉じられカギを施錠する音が響くと動いたのはベリアルだった。先に家の中に入ったチェンを背後から抱きしめて、振り返ったチェンの唇に啄むようなキスをした。

 

「んっ、ちゅ、ちゅむっ♡……はぁ♡はぁ♡ だ、ダメだ、まだ玄関だぞ。我慢っ、できないのか♡」

 

「何言ってんだ、我慢できそうにないのはどっちだ」

 

既に限界状態のチェンは完全に腰を抜かしてその場にへたり込んでしまう。

 

そんな彼女を支えて、ベリアルはチェンの複雑な構造のブーツを脱がせて彼女を抱きかかえると奥の寝室まで歩いて行き、キングサイズのベッドの上へとチェンを放り投げた。

 

チェンの体がマットレスの上で僅かに跳ねる。

 

「ら、乱暴だな。もう少し優しくしろっ……」

 

「優しくしてるほうさ。なんせこれからもっと乱暴にするんだからな」

 

ベリアルは着ていたシャツとコートを脱いで床に投げるとベッドに上がり、チェンを組み敷いて覆いかぶさった。

 

チェンの半開きになっている唇に自分の唇を押しつけて、舌を突き出して、伸びてきた舌と絡め合う。舌が絡み合うたびにピチャピチャと淫らな水音が響く。

 

唇を重ねながら少しづつチェンの衣服を脱がしていく。ワイシャツのボタンを一つ、一つ、丁寧に外していくと、鍛えられて引き締まった細身の身体と生地の薄い透けるような黒いレースの下着が露わになった。

 

「……こんなエロいの着けてたのか。前はスポブラじゃなかったか?」

 

予想外の下着が出てきて思わず動きが固まった、前にチェンを抱いたときは地味な感じのスポーツタイプの下着だったからだ。彼女はこういったものには興味はないと思っていた。

 

「……まさか、用意してくれたのか?」

 

「う、うるさい。そんなこと聞くんじゃない……っ」

 

顔を赤くして恥ずかしそうに顔を背ける姿が答えだった。あの堅物で衣服は機能性を重視するようなチェンが自分の為にわざわざこんないやらしい下着を用意してくれた、それだけで愚息がイキリ立ってきた。

 

「……ぁ」

 

抱きしめるようにベッドのシーツとチェンの背中の隙間に手を差し込んで下着の留め具をカチリと外した。

 

そして黒い下着をズラすと豊かに実った乳房が表出した。既に固くなった桜色の乳首が存在を主張するようにツンと上を向いている。

 

乳首には触らず、たわわな乳房に手を添えて下から上へと持ち上げるように動かし、擽るように触れた。触れる度にまるでマシュマロのような柔らかい胸に指が沈み込んでいく。

 

「んっ、ふぅっ、相変わらず、ねちっこい触り方をするやつだな……っ」

 

「楽しんでるのさ」

 

そういうと不意に固くなった乳首へ痕をつけるように噛み付いた、コリコリとした感触の乳首を舌で転がす。

 

「ん、ひぃあぁぁっっ♡」

 

それだけの刺激でゾクゾクと全身突き刺す甘い痺れが走り、チェンは腰を震わせてイってしまった。視界が弾けてチカチカとする。

 

そんなチェンの様子にほくそ笑み、放心状態の彼女のベルトに手を掛けると封を解くようにボタンとチャックを下ろしていき、穿いているホットパンツを脱がせるとムワッとした淫靡な熱気が室内に広がった。

 

既にショーツは失禁したのかと見紛うばかりの有様だった。

 

愛液でグショグショに濡れたショーツを摘むように下ろすと濁った分泌液で粘つくような糸を引いていた。それを見たチェンは上気した頬を羞恥から一層赤く染めた。

 

「も、もういい、もう充分だ。だから早くっ」

 

「なんだよ、もうか。もう少し遊びたかったが、それならチェンが脱がしてくれ」

 

「わ、わかった」

 

今すぐにでも自分を犯して欲しかったチェンだが焦らすようなベリアルの言葉に素直に従い、興奮でもたつきながらも何とかベルトを外すと張り詰めた下着に指をかけて下ろした。

 

ボロンッ!と飛び出してきた怒張した男根でチェンの顔に影が落ちる。ビキビキと血管は浮かび上がり、膨張した亀頭、相手を発情させるような雄臭い肉棒にチェンは溢れてきた唾を飲み込んだ。

 

チェンは目の前の男が自分に対してそれだけ興奮してくれていると理解して、下腹部が疼いた。

 

「な、なんでこんなに大きくしてるんだっ♡ そんな凶悪なモノで、いったいどうするつもりだっっ……♡」

 

そんな答えの分かりきっている質問にベリアルは答えず、無言で肉棒を濡れそぼった蜜壺に当てがうと擦り付けるように腰を振った。溢れ出るように分泌されたお互いの淫靡な体液が混じり合いグチャグチャといやらしい水音が鳴り響く。

 

甘い刺激に腰が震える。

 

未だに焦らすようなベリアルの動きに痺れを切らしたチェンは腰の動きを合わせて挿入しようとするがタイミングをずらされて失敗してしまう。

 

「な、なんでっ♡ もういいいだろう♡ 」

 

「……それならちゃんとオネダリするべきじゃないか?」

 

「……それ、はっっ♡」

 

ペチペチと肉棒で蜜壺を叩かれるだけの軽い刺激で達しそうになる。チェンは茹だった頭で必死に言葉を飲み込み、油の切れた人形のようなゆっくりとした動作で自分の秘所を見せつけるよう指で開き、膝を立てた状態で脚を開いた。

 

「も、もう我慢出来ないんだっ。私のこ、ここを……滅茶苦茶に、犯してほしいっ♡……お願いだからこれ以上いじわるしないでくれっ」

 

「うーん、及第点には届かないが、可愛いから今日はそれでいいか」

 

絞り出すようなか細い震えた声だった。羞恥から涙で瞳を潤わせるチェンに軽く触れるだけのキスを落とすと当てがった肉棒を蜜壺へとズブズブと沈み込ませた。

 

「あ゛ぁ゛ぁ゛っっ♡ 」

 

「っ、キツいな」

 

肉棒を受け入れるように咥え込んだ蜜壺だが、膣内は肉棒を押し返そうとするほどキツかった。

 

チェンが自分の体を慰める為に弄っていた膣の浅い部分は解れていたがそれよりも奥の未開の地は喰いちぎられるのではないかと思うほど、痛いくらいに締め付けて来た。

 

「バカっ、締め付け過ぎだ。チェン、お前まさか男に抱かれるのはあの日、以来なんていう訳ねえよな」

 

「んんっ♡ ふざけたことを、いうなっ♡ 私は、お前以外の男に体を許すようなっ……安い女じゃない♡あ゛あ゛♡」

 

「……っ!」

 

「んっくぅあ゛っっ♡ そんなに強くするなあ゛♡」

 

チェンからすればこれは一年数ヶ月、もしくはそれ以上の久々のセックスだった。

 

チェンのルックスはモデルとしての道でも稼げそうなくらいにはレベルが高い、彼女に好意を寄せる男性は多くいる。

 

そんな彼女が声を掛ければホイホイとついて来る人間は何人も居たはずだ。しかしチェンはどれだけ身体が雄を求めて疼いてもソレをしなかった、自分が身体を許す相手はこの男しかいないと疼きを抑えつけていた。

 

ギチギチと締め付けてくる膣壁を掻き分けて漸く一番奥へと到達した。亀頭がポルチオをノックするように小突いた、それだけで全身が痺れるような快楽がチェンを襲った。

 

「んあ゛あ゛ぁぁっ!! き、あ゛ぁ゛っ…… あ゛、あ゛っ♡あ゛ぁっっ♡」

 

「可愛いな、本当に。滅茶苦茶にしてやりたくなる!」

 

「お゛お゛っ♡ まっ、まて゛ベリアルっ♡ はげ、し゛過ぎる゛っ、あ゛たま、おかしくなるぁ゛ぁ゛ぁっっ♡」

 

パン、パン、パン、と肉同士がぶつかる音がする。

 

チェンは獣のような濁った喘ぎ声が漏れる口を手で覆い隠そうとするが、それは許さないと両手をベッドの上に押さえつけられてしまう。

 

寝室のベッドが壊れてしまうのではないかという勢いで腰を振った。ギシギシとベッドが軋み、長く太い肉棒が何度も出し挿れされ膣壁を整地して形を覚えさせようとしているかのようにゴリゴリと膣を擦り上げる。

 

チェンはポルチオを叩かれる度に残った僅かな理性がこそぎ落とされていった。

 

「あ゛あ゛ぁぁっっ♡ おぉ゛っ♡♡ ん゛ぅ゛ぅ゛っ♡♡」

 

「っく、なんて顔してんだ。もう……っ出そうだ、どこに出されたいっ?」

 

「ああ゛っ♡ そのままっ、中に……あ゛あ゛ぁぁ♡」

 

「っ出すぞ、チェン!」

 

「あ゛、ん゛ん゛むぅぅっっ──♡」

 

射精の瞬間、ベリアルはチェンを抱き寄せると口を重ねて塞いだ。

チェンの獣のような絶叫が飲み込まれていく。

 

「ん゛ぶぅぅっ♡んじゅっ……じゅるぅっ……♡」

 

チェンは舌を絡ませながらボヤけた意識でドクドクと子宮内に注ぎ込まれた熱いドロドロとした精液の感触を感じながらビクンッビクンッと身体を震わせる。

 

二人は時間の概念を忘れるように唇を重ねてキスに没頭していた。

 

息を乱して唇を離した後でもにらめっこのようにしばらく間見つめ合っていた。

 

「はぁ…はぁ……んぁ♡ ま、待て、まだするつもりか!?」

 

ズンッと腰を動かされて甘い刺激にチェンは思わず声が漏れた。

 

「当然だろ、チェンだって一回だけで満足はしてないだろ?」

 

「そ、それは……そうだがっ」

 

「ならいいじゃないか。俺ももう少し、このまま溺れていたい」

 

「むぅ……し、仕方のないやつだなお前は」

 

チェンは思わず綻びそうになった顔を必死に隠しながら自分の胸に顔を埋めてくる男の髪を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベリアルは目の前のテレビの画面に映し出される情勢情報のニュースを見ながらどうしてこんな状況になっているのか思考を巡らせたが答えは出て来なかった。

 

お互いに裸のまま無駄にデカいベッドの上にいた。ベリアルはタオルケットを羽織って自分の前で腰を下ろして背を預けてくるチェンを後ろから手を伸ばして抱き抱えていた。

 

カチッカチッ、とリモコンを操作する軽い音を共に番組が切り替わる。

 

「もしかして怒ってるんですか?」

 

「………む!」

 

「聞いてますか隊長?」

 

「………むー!」

 

「……はぁ、チェン」

 

「ん、どうしたベリアル」

 

名前を呼ばれて嬉しそうにしながら漸くチェンは振り返った。そんな彼女の反応に思わず頭を抱えそうになった、ベリアルとしてはなぜ彼女が自分に対してそんなに心を許してくれているのか不思議でしょうがなかった。

 

行為が終わり、体の疼きが治って正気になれば以前のよう糾弾されるものだと思っていたのに何故か目の前の彼女は自分に甘えてくるのだ、なぜ、とどれだけ悩んでもその答えは出てきそうにない。

 

「……なぁ、ベリアル」

 

「なんですか?……睨まないでくださいよ」

 

「なら喋り方も前のように戻せ」

 

「……わかったよ、それでなんだ?」

 

「……やっぱり私は、お前の事が好きだ」

 

ベリアルはチェンの言葉にピクリと反応してしまう。

 

「チェン、それは」

 

「“その感情は偽りだ”……と言いたいのだろう、お前は。あの日教えられたお前の能力の事は覚えてる、お前がソレに悩んでることも」

 

「………」

 

「だから私も考えた、お前が近衛局を去った後もずっとだ。くそ野郎だと頭の中で何度も罵って記憶の中から消そうとした。でも、それでもやっぱりお前が好きだ」

 

「……それは、そう思い込まされてるだけかもしれない」

 

「そうかもしれないな。けどお前と仕事をして、過ごした時間の中で私が感じたものはまやかしじゃない筈だ」

 

「……良い女だな、お前は」

 

「そうだろう?」

 

そういって眩しいくらいの笑みを浮かべるチェン。ベリアルは思わず目の前の愛らしい女性を抱きしめる腕の力が強くなった、チェンはそれに気がつくと嬉しそうに体を預けてくる。

 

「ああ、これで漏らさなかったらもっと良い女だった」

 

「なっ!? あ、あれはお前が無理やりっ!」

 

「冗談だ、怒るなよ……いでで、尻尾で叩くな」

 

 

 

 

 

 

 




 
紹介

ベリアルくん:サルカズの男の子、インキュバスもどき。この能力を使って色んな子を〇〇してやるぜー。みたいな吹っ切れた性格はしていないのでクズ野郎になりきれていないめんどくさいやつ。

能力の所為で色々な女性からあらゆる感情を向けられたりするが、ベリアル自身は能力の所為で自分に好意を向けていると思っているので純粋な好意向けられるのに慣れてない、少しトラウマ。


チェンちゃん:近衛局の龍っ子。モウマンタイ。

ベリアルくんの事は気に入らないやつだと思っていたが後に友人になって酒と雰囲気に流されちゃった子。能力とかは関係なしに割と最初の頃から彼に惚れていたが、彼からはあまり信じてもらえない。身体の相性が最高、そのせいで一年以上発情状態に陥っていた。



再登場希望キャラ

  • チェン
  • W
  • テキサス
  • エクシア
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