「ふむ、色々な店が有るんだな」
カエル討伐の翌日の朝、俺はアクセルの町を見て回ってい
た。何処に何があるのかまだあまり詳しくないからな。
「…………ここは…………ウィズ魔道具店?」
住宅街の中に看板を立てた家があった。魔道具なんて売ってるのか。
「失礼しま…………す?」
店に入るとレジでうつ伏せに倒れている女性がいた。
…………ドウイウコト?
「あ…………い、いらっしゃい…………ませ」
顔をあげたと思ったら、またうつ伏せになった。すごく顔色が悪いな。店内にキューという音が響いた。かなり大きい音だ。
「大丈夫ですか?唐揚げ食べます?」
「す、すいません……いただきます……」
女性の前に酒場で紙に包んでもらった唐揚げを置く。
「ううっ…………久しぶりのたんぱく質です。美味しいです…………」
いや久しぶりって。あまり売れてないのか?女性は一心不乱に唐揚げを食べていく。五分もしない内に五本の唐揚げを食べきった。
「唐揚げありがとうございます!あの…………お金の方は…………」
「全然構いませんよ、残り物ですし。それより本当に大丈夫ですか?」
俺は女性の顔を見つめる。少しばかり顔色が悪そうではあるが、かなり俺のタイプにストライクな美人だ。
「………………………………………………」
………………?どうしたのだろう?彼女は彼女で何やら俺の顔をボーッ、と見つめている。
「あの、もしもし?大丈夫ですか?」
「………!!は、はい!」
お、戻ってきた。頬を朱に染めて、頷く彼女。ふむ、これは………。
「顔赤いですよ?…………ちょっと失礼」
俺は彼女の額に自分の額をくっつける。本当に体調悪くしていたら大変だからね。
「~~~っっ、あの、そのっ…………!」
先程よりも顔を真っ赤にする女性。しかし、何処か目がトロン、とし始めているような…………。ふと、彼女の唇に目がいく。ぽってりとした、とても柔らかそうなピンク色の唇だ。
「───────」
チュッ………………♡
!!おおっと、彼女の方からキスされたよ……。ピンク色のぽってりとした唇が俺の唇に重ねられる。
「んっ…………ちゅっ…………んぅっ…………」
唇の柔らかい感触…………イイねぇ…………。
「んっ……………………っ?………………~~~~~っ!?」
暫くキスによる甘い心地よさに浸っていた彼女は、ふと正気に戻ったらしく、顔から火が出るのではという程に真っ赤にし、ヒュバッ、と俺から距離をとる。
「あの、その、すいませんすいませんすいません!いき
なりあんなこと…………本当にすいません!」
彼女は何度も謝りながらペコペコと頭を下げる。いや、いいんだけどね?好意を抱きやすいフェロモン出てるからというのもあるだろうし。
「…………ふむ、気にしなくていいよ。俺はいい気分だし」
とりあえずフランクに接するとしよう。
「そ、そうですか?本当にすいません…………」
その後、互いに自己紹介を行う。彼女の名はウィズというそうだ。そして、俺は店内の棚に並んでいる商品を見ていく。液体が入った小瓶、水晶玉、幾何学模様が彫られた手鏡など変わった商品が置いてある。俺は幾何学模様が彫られた手鏡を手に取る。
「ウィズ、これは?」
「…………え?あ、はい!えっと、それは未来を見れる手鏡ですね」
俺の方を見てボーッとしていたウィズ。 どうも俺に見とれているらしい。
「なにそれ凄すぎ」
そんな凄いモノがあるとはねぇ…………。
「ただ、その手鏡には欠点があって─────」
俺の顔を写していた鏡に黒い渦巻きが現れると─────。
「─────死後しか視れないんです」
─────鏡に写っていた俺の顔は骸骨になっていた。
「………………」
俺は無言で手鏡を置いてあった場所に戻す。死後しか視れないことはもっと早くに言ってほしかったよ。
「他に何かないかな?普通の魔道具という感じのモノをみたいんだけど」
「ふ、普通の魔道具ですか?ええっと…………ならこれなんてどうでしょう?」
ウィズはレジの後ろの棚からやたら毒々しい色をした液体が入った小瓶をカウンターに置いた。ちょっと待って、小瓶にドクロのシールが貼ってるけど?
「これはモンスター呼びのポーションです。蓋を開けたら近くにいるモンスターが臭いに釣られて呼び寄せる事ができるんです」
「それは便利だね」
短期間でレベルを上げる事が目的なら多少値が張っても買うべきだ。
「欠点としてはレベル差関係なく強力なモンスターも呼び寄せてしまうことですね」
「…………それただの自殺道具だよ」
わかった。この店には録な商品が置いてない。絶対に他の道具にも欠点があるに違いない。
「……………ん?これは?」
レジの横にあった骨付き肉を手に取る。
「それはカエル殺しというアイテムです。ジャイアントトードの餌に似せることで、食べた瞬間に炸裂魔法が発動するようになってるんですよ!」
「これ、いくら?」
カズマ達に買って帰ろう。これからもカエルと戦う事があるだろうし、もしもの時に役立つだろう。
「一個二十万エリスになります!」
オゥ…………値段の方が欠点だったとは………………!
「─────と、言うのは冗談です。それは無料でユウジさんに差し上げます。唐揚げを貰ったお礼です。それに、これからも贔屓にしてもらう為のサンプルだと思ってください」
この店主、ちゃっかりしてるね。
「…………ありがとう、ウィズ。にしても所々散らかってるね…………」
俺は店内を見渡す。多少ゴチャゴチャしているな。
「すいません…………整理の途中だったんです…………全然売れなくて…………」
…………ふむ、よし。
「ウィズ、少し手伝うよ」
「ええっ!そんな、ユウジさんに御迷惑をおかけするのは…………!」
「別に、構わないよ。それに…………さっきのキスのお礼だよ。ウィズにキスされて嬉しかったんだからさ(ニコッ)」
「ぁ…………………」
そう言って俺が微笑むとウィズは再び頬を朱に染め、トロンとした眼で自らの唇に指を触れさせる。
~~少々お待ちくださいませ~~
「ふぅっ、こんなものかな…………」
わりと良くなった方だろう。…………商品が売れるかはさておき。
「その……ありがとうございました、ユウジさん」
ウィズがお礼を言って微笑んでくる。
「時間があれば此方も手伝うよ。また倒れてほしくもないし」
「うぅ~…………それは言わないでください…………」
むくれるウィズ。可愛いなオイ。
「じゃあそろそろ行くよ。仲間も待ってるだろうし」
「はい、改めてありがとうございました、ユウジさん」
微笑むウィズ。俺はそんなウィズに近づき、顎クイを行う。
「あっ……………」
ウィズは微かにそんな声を漏らし、瞳を潤ませ閉じていく。俺は無抵抗で差し出されたウィズの唇を奪う。
「んっ……ちゅっ…………んぅ………」
優しくチュッ、チュッ、と唇を触れ合わせていく。ウィズの唇の柔らかい感触を堪能していると───。
「んっ……れる……れろ……」
俺の口内にヌルリとした柔らかいモノが侵入する。ウィズの舌だ。
「ねっちゅ……れる……んむ……じゅるぅっ……」
俺の背中に手が回される。ウィズはより深く唇を重ね、舌を絡めてくる。俺はそんなウィズの舌を捕らえると、じゅるるるるるぅぅっ、とかなり強めに吸い上げる。
「~~~~~~~!?」
ビクンッ、ビクンッ、とウィズの身体が震える。……これはアレだな…………。
俺は顔を離して、ウィズの顔を見る。離れた唇同士の間で銀色の糸がツーッ、と引かれた。
「あっ…………んぅ………っ」
あー…………これはイってるな。蕩けた表情になってまだ少々震えている。
「ウィズ、大丈夫か?」
俺はウィズの肩を掴んで軽く揺する。
「…………っ、すいませんユウジさん。その…………ユウジさんに吸われて凄く感じてしまって…………」
頬を朱に染め、そう言っているウィズ。
「それは嬉しいな。じゃあまた」
「はい…………またいらしてください…………」
そう言ってウィズは最後に俺の頬にチュッ、と口づける。
………………。
ちょっと離れがたかったのでとりあえずウィズの首もとに跡が残るほど強く吸いついた。
「あぁ…………っ!ユウジ、さ…………んぅっ!」
喘ぎ声を漏らすウィズ。首もとから離れて見ると、くっきり跡が残っていた。
「もう、ユウジさん…………!」
頬を膨らませるウィズ。可愛いな。
「ごめんごめん。…………なんならウィズも仕返しするかな?」
そう言ってウィズに首もとを差し出す。
「………………っ!」
動揺するウィズ。…………しかし、ほんの少し間をおくと、俺の首もとに顔を近づけ─────。
「────んむっ」
軽く食むとちゅううっ、と強く吸いつく。
少しの間そうしていて、それから唇を離すと、俺の首もとにも跡が残っていた。
「あはは、じゃあまた来るね、ウィズ」
「はい、また…………」
そうして店を出る。…………にしてもウィズって人間なのか?何か少し違う気がしたが…………まあ、悪い奴ではないだろう。それは分かる。
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