伊丹 耀司
新宿事件が終わり、ようやく与えられた休暇。自宅でテレビを見ている。テレビでは繰り返し、あの事件が放送されている。その中でもゲートと同時に存在が政府より隠蔽されていた魔術師や彼等の王である魔王の事も触れられている。
「しっかし、驚いたよな。まさか、神殺しの魔王がいるなんて。俺達も魔術が使えるのかね?」
テレビ画面に写っているのはコスプレをしたような少女達がモンスター達を蹂躙し、巨大で禍々しいドラゴンを使役する姿だ。一人の少女は少年で彼が魔王との事。そして、銀髪の少女が女神という事。その力は凄まじく軍隊を軽く圧倒する。
実際に色々と問題があり、自衛隊の一部がアメリカ軍と協力して戦ったが、瞬殺された。魔王が出てくるどころか、その配下の少女騎士と巫女によって戦艦や戦車が飛んでくる黒い光の斬撃で切断され、ミサイルや銃弾も切り払われる。そして小さな女神様によって一瞬だが、日本全てが闇に染められた。これらの光景は生放送で日本全体へと流され、日本政府は経済活動の懸念などもあり停戦を宣言し彼等の支配下に入れられた。これにより日本は魔王の支配下に入る事になった。殆どの自衛隊は戦う事すら出来ない。何せ真っ暗で何も見えないし、熱源探知機もききやしない。そして何より、魔王による宣言によって日本は従う事を選び、日本は変革の時を迎えた。
『こちらが魔王陛下により作られた島です。現在、この島では石油や金や銀の鉱脈が発見されており……』
そう、過去の征服者達が成功したように占領地である日本に飴を与えたのだ。彼の権能で島を作るなど天変地異を単独でたたき起こしたのだ。魔王に仕える巫女さんによる情報では日本列島を軽く沈めるくらいは容易く出来るらしい。実際に日本の領土を増やしてくれたので、事実という事となり、生活が豊かにもなるという事で国民は受け入れた。なにせ、今まで不治の病と言われた難病なども魔術や魔法で治してくれるのだから。
『こちらが現在、資源島とは別に作られた島で建設された女神アテナの神殿です。こちらは明日に行われる祭典への準備が着々と進んでおります』
『しかし、お布施や祈る事で色々としてくれるらしいですが、それがどの程度かはわからないんですよね』
『はい。気まぐれで叶えるとの事です。しかし、願いが実際に叶えられようとしていますので、事実かと思われます』
『しかし、まさか銀座事件の英雄があのような願いをするとは……いや、確かに一部では喜ばれていますが』
うるせえよ。年末年始のコミケが中止になったんだ。その再開を願って何が悪い。そう、俺は魔王陛下にコミケの開催を頼んだ。あれは勲章を受け取る時の事だ。その場に陛下が現れて日本政府に資源島を寄付してくれるついでに俺の願いを聞いてくれるとの事なので頼んだのだ。
『いいねいいね!ボクも行ってみたかったし、全然おっけー!ついでに専用の場所を作っちゃおうか。後、アテナの神殿も作って……あっ、でもボクの女の子達を辱めたり、エッチな事をさせる本とかそれに類するものをやったら一族郎党、一部を除いて皆殺しだから』
『本気ですか旦那様っ!?』
『うん。アジ・ダハーカの餌にもちょうどいいし、ぱっくりといかせちゃう』
さらりと生放送で脅しを賭けてきた。実際に日本上空を飛行しているドラゴンを目撃しており、容赦なく殺す事から事実と思われる為、本気で日本政府は検閲と該当内容の本の作成を禁止する法律をさっさと作って可決させた。もちろん、陛下達に対する特別法案もだ。
これにより、陛下とその女達は殺人や強姦などをしても罰せられる事はなくなった。というのも、一部以外では隠されているが……幼女や美少女を既に何人も拉致って犯しているとの事だ。その家族や親族に大して多額の寄付金や便宜が図られていることが判明している。逆らうことは破滅を意味する為、金を受け取って泣き寝入りするか記憶を消去、または書き換えられるらしい。気に入られたら諦めるしかないという理不尽ぷり。まさに魔王だ。勇者が現れる事を期待したい。だが、魔王達は同盟を組んでいるらしく勇者一人ではやばいと思われる。
「まあ、実際問題……殆ど成長した女性には害はないんだけどな」
ロリしか興味ないらしいのだ魔王様は。つまり、子供を持つ親以外は気にする事はないそうだ。むしろ、親が進んで子を差し出す者達も出始めている。これに対して魔王様が日本政府に命令しある程度の金を支払って子供達を引き取る事にした。そのまま親に預けて虐待をさせられるより、引き取って英才教育を施した方がいいと判断されたのだ。日本の為にもなるし、何より魔術などを教えられて将来的に各地に配属されて医療に携わるようにするとの事だ。なにげに一部を除いていい奴なんだよな。石油製品やガソリン、貴金属などが安くなってる。何より国会が鶴の一声で動くのだ。今まで急がなければいけないところでグダグダとしていた所をきっぱりと決められ、災害救助に魔王陛下本人も出て手伝ってくれる。お陰で救助される人も多くなった。問題は他国の対応だが、あちらにいる魔王達も動き出している為、それどころじゃないらしい。
「っと、そろそろ出ないと駄目だな」
今日から現地入りするのだ。そのため、準備していた服に着替えてバックを担ぐ。それから靴を履いて外に出る。それから交番の近くに作られた転移ゲートを使って移動する。禍々しく黒い渦を通ると、そこは既に巨大な神殿が聳える場所だった。既に長蛇の列ができているが、俺は脇を通って神殿の中に入る。特別招待券があるのだ。もちろん、もらったのだが。さて、この島にある施設で一泊してコミケに参加するのだ。