炎竜を撃退したボクは伊丹が野営の準備をしてくれている場所に戻った。そこで取り込んだエルフ達を解放した。後は黒川に任せた。ボク達は別の事を話す事になる。話すのはボクと伊丹と、エルフの生き残りのホドリューさん。怪我は酷いけど、会話には問題ないみたい。
「えっと、こちらの言葉はわかりますか?」
「ああ、問題ないよ」
「じゃあ、先ずは自己紹介から。俺……私はこの部隊を率いる伊丹耀司です。こちらが私達の国の王である万理谷……アスト・マリヤです」
「よろしくね」
「先程は助かりました。王自ら助けて頂けるとは……」
「うん。代価は貰うから、これはギブアンドテイクだから」
「もちろんです。私はコアンの森のホドリューです。貴方様は見た事も無い竜を使役しておられたようですが……」
「そーだよ。アレはアジ・ダハーカ。ボク達の世界の神話に出て来る竜さ」
「そのような者を使役するとは、貴方様はもしや使徒様か神様では……」
「違うよ。ボクはむしろ逆。人の身で神を殺してその力を簒奪した神殺しだ」
「か、神殺し……」
「まあ、うちには女神様もいらっしゃいますけどね。世界にも珍しい神殺しと神が治める国です」
「なるほど……」
異世界の事も含めて、伊丹が説明していく。ボクはそれを横で聞きながら、森を見詰める。
「エルフ、全員で31人だった。殆どが女と子供で、重症の人が何人か居る」
「そうか。男の人達は前に出て戦ったんだろうね」
「聞いた限り、そうだった。若い人を優先的に逃がしたみたい」
レレイが教えてくれる。
「それで、現状の森についてですが……」
「住めるレベルじゃないですね。森は焼けて、毒の沼まで出来ています」
「それは本当ですか?」
「ここからでは少し遠いですが、こちらをご覧ください」
伊丹が双眼鏡を渡して確認して貰う。
「これは……なんという事だ……」
「現状、わかったよね?じゃあ、ボクから選択肢をあげる。1.条件を飲んでボク達日本の国民になり、治療を受ける。2.代価を支払って残りで放浪する。3.生を諦めて死ぬ。オススメは1だよ」
「条件って何にする気だ?」
「うん。住処も荷物も何もない彼等に出来るのは身体を差し出すぐらいじゃない?」
「それは、同胞を奴隷として売れと?」
「それだと2番かな。代価となるとそっちでしょう。でも、1番だったらお嫁さんにするぐらいかな。その場合、援助してあげるよ」
「それは……」
「おい」
「でも、それぐらいして貰わないと。怪我の治療もするし、ボクが大変なんだよ。ここからアルヌスに戻るまでどれだけ大変か。まあ、殆どは途中で死に絶えるだろうね」
「わかった。相談させてくれ」
「早くしてね。治療が遅れる分、死ぬ人は増えるから」
「わかった」
さて、ホドリューさんが生き残りのエルフ達に合流して、話していく。ボクはレレイと魔術談義をしていく。こっちの千の言葉の術式を口付けで教授の魔術で教えてみる。それから、切れてからも使えるようになるか試してみる。
「出来た」
「はや!? それ、一応奥義なんだけど」
「一度、理論と使い方は覚えた。なら、後は記憶しておくだけ。便利。もっと教えて」
「仕方ないな。じゃあ……飛翔、空を飛ぶ魔術を教えよう」
「飛べるのは便利。それに楽しそう」
「よ~し」
こんな風に過ごしていると、ホドリューさんがやってきた。その後ろには若い女の子達。まあ、ボク達は男が多いしね。
「話はまとまった?」
「ああ。私達は日本の庇護に入りたい。だが、一部だけ条件をつけさせてくれ」
「何?」
「結婚している者達は勘弁してやってくれ。独身の者達は納得してくれた。それとエルフは番は一人しか選ばない。だから、一人に複数人を宛がうのは止めてくれ。その条件でいいなら頼む」
「おっけー。いいよ」
「では、娘から頼む」
「普通は娘さんを残すんじゃないの?」
「残った者では私が一番の年長者だ。その私が身内だけをひいきにする事は出来ない。娘も納得している」
「ええ。その代わり、皆を助けて」
「うん。伊丹~」
「なんだよ?」
車の中で定時連絡を入れていた伊丹がこっちにやってきた。
「名前は?」
「コアンの森、ホドリューの娘、テュカ・ルナ・マルソー」
「そう。伊丹、独身だったよね」
「そうだが?」
「じゃあ、この子は伊丹の奥さんで」
「ちょっ!? 何言ってんの!?」
「え?頑張ったご褒美。美少女エルフだよ、やったね!あっ、拒否はゆるしませ~ん。後、過度な虐待とかも駄目だよ」
「しねえよ!」
「先輩だけずるいっす! 俺も嫁さん欲しいです!」
「いいよ~。でも、ちゃんと面倒みるんだよ?」
「当然っす」
「猫耳は諦める?」
「くっ……」
「猫耳の人も結構居る。あそこは一夫多妻。その逆もある」
「よし、お願いします!」
「他の人は?」
何人か欲しいという男性が居る。女性二人からは冷たい視線がやってくるが。
「じゃあ、君達とエルフの女の子達で話し合って決めてね」
「え?それ、合コンですか?」
「そう。がんば!」
「だって、その方がエルフの子達も納得するだろうしね。あ、決定権はエルフの子達で。ボクは今から治療で忙しいのだ~という訳で、伊丹、幹事をよろしく」
「へいへい。ホドリューさんも参加してください」
「うむ。身寄りが無くなった子達なのでな。後ろ盾にはなろう」
重症の女の子達の所に向かうんだけど、レレイも着いて来た。
「私も勉強する」
「参考にならないよ?」
「いい」
重症の女の子達を見て、無くなっている部分を闇で作り変えて補填していく。副作用として、魔力とかが強くなっちゃうかも知れないけどあくまでも、一時凌ぎとしてなら使える。手足は義手とかを用意する。そんな中、一番の重症と言えるエルフの幼い女の子が居た。瞳がなく、顔や身体の半分が火傷で酷い事になっている。生きているのはボクの闇で生かしているからだ。
「酷い」
「治して欲しい。その子は私の親戚なの」
振り返ると、テュカが心配そうに見ていた。
「元からそのつもり。だから、生かしておいたんだから」
「何をする気?」
「魔改造だよ。さあ、やるよ!と、思ったけどここじゃできないので連れていくね。手術は非公開なのだ~!」
「あっ」
女の子と一緒に闇に入る。そこで、改造に入る。用意するのはアジ・ダハーカ。素体はエルフの少女。といっても、あーちゃんをまるまる融合なんてさせない。精々、半分くらいだ。色々と魔改造しちゃう。
そして、出来上がった少女は金髪ツインテールの眼帯ゴスロリ娘。眼帯には六つの瞳がついている。アジ・ダハーカの不死性もしっかりと完備。戦闘能力は高め。いざとなればあーちゃんを召喚可能。とっても便利なエルフっ娘。名前はルリナール。愛称はルリちゃん。ちなみに眼帯の下もちゃんと見えるし、魔眼完備なので封印されたこの瞳を解放する!とか言ってもなんの問題も無し。だって、実際にたっぷりの闇を詰め込んであるし、アジ・ダハーカを召喚するのに使うからね。