ドニも無事に原作通り、ジークフリートに勝てたようで、無事に権能が増えた。
バロールからは投擲以外の武器攻撃を無効化し、蘇生能力を与える再生せし魔神の加護。もちろん、弱点は投擲武器だ。アレは防げないし、貫かれたら再生もしない。かするくらいはセーフなんだろうけどね。
ジークフリートからは柄の青い宝玉が取り付けられた黄金の大剣。呪力が貯蔵・保管されており、解放すると黄昏色の剣気を放つ事ができる。そして、魔剣と聖剣の属性を持ち手によって変える。そう、権能の名前は幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)。こちらは剣にならどれも使えるようだ。もちろん、竜種の血を引く者には追加ダメージを負わせて再生させない
そして、我らが母である母さんからはパンドラボックスという権能が手に入った。ミミックではない。こいつは他者の権能を封印し、同時に放つ事のできるプロメテウス秘笈と同じ効果がある。何よりえげつないのが封印できる数だ。1個から3個まで封印でき、その間はその権能が永遠に使えなくなる。そして、封印中の権能が強化されたり、弱体化されたりする。絶望と希望を表している。ボクの幸運なら大丈夫だろうと思うけどね。どうだろ、今入ってるアジ・ダハーカ君。まあ、返事は当然の如く無い。それとこの権能は制限があって、
というか、これで負けてたらアジ・ダハーカ取られるとか洒落にならん状態だったね。しかし、色々と強力な権能が手に入ったしよしとしよう。
「皆を元の場所に戻して幻燈結界(ファンタズマゴリア)を解除するわ」
「お願い」
直ぐに視界が入れ替わり、ボク達は元の場所に戻っていた。それから結界が崩れて会場内が綺麗な状態で戻ってきた。破壊したのも幻燈結界(ファンタズマゴリア)の中だしね。
「私の家も無事か。確かにこれは使えるな」
「気兼ねなく暴れられるね。うん、いいね。気に入った」
元の通り、円卓に座りながらリーゼロッテが用意してくれた紅茶を飲む。
「じゃあ、魔王同盟は正式に締結でいいかな?」
「良かろう。詳しい取り決めはどうする?」
「ブッキングは可能だし、構わないのだけれどこちらにも都合があるから最高で月1くらいだね。それと代金は神様1体につき2億……円かそれ相当でいいよ。神具持ってくると無料でもいい。後は幻燈結界(ファンタズマゴリア)を張るのは1回1億から5千万円かな」
「ふむ」
「この値段はかなり安いわよ。カンピオーネとまつろわぬ神が戦えば被害総額は億を軽く超えるから、自分の支配領域にいる魔術結社に聞いてみて。多分、直ぐに飛びついてくるわ」
「ちょっと待ってよ」
ドニが電話をかけて内容を話していくと、直ぐに電話の向こうから大声が響いてきた。
『直ぐに契約してくれ!!』
「OKOK、わかったから。こっちはそれで構わないだって」
「私の方も問題無い。では、神が現れた場合は日本に連絡をすればいいのだな?」
「そうそう。日本の正史編纂委員会に連絡してくれればボクに繋がるから。まあ、カンピオーネ同士ならボク直通の電話番号渡すよ」
「じゃあ、頂戴」
「うん」
ボクとドニがアドレスと電話番号を交換する。
「私は持っていないな」
「使い方がわからないの?」
「うむ」
「おじいちゃんには難しいか?」
「黙れ」
「なら秘書でも雇えばいいよ。そっちに面倒な事を任せればいい。ボクも面倒なのは他人に押し付けるし」
「それもそうだな。では子飼いに出させるか」
「後は他のカンピオーネだけど、どうしよっか?」
「どっちでも構わん。同盟同士でも戦えるのだろう?」
「まあね。どっちかというと連携も取れるようにしたいだけだしね」
「なら入りたい奴は入る、入りたくない奴は入らないでいいよ。内部の揉め事は戦って白黒付ければいいし」
「その通りだ。ゲーム形式にすれば完全に死ぬ事はなかろう」
「じゃあ、それで決定。この場は解散かな。ああ、一人だけ持って帰りたい子が居るんだけど、お持ち帰りオッケー?」
「用は済んだから構わん。今回の代金として持っていけ」
ボクの願いにおじいちゃんは普通に許可をくれた。これでリリアナを持って帰れるね。
「それじゃあ、僕も何かあげた方が……あっ、いいのがあるや。これ上げるよ」
ドニはボクに向かって魔導書を投げて来た。
「これって……」
「師匠に頼まれた奴だけど、面倒だし持ってきなよ。僕ももう読んだし」
「わかった、ありがとう」
貰ったのはダヴィデの動の書。神を傷つける事が可能な言霊が書かれている最高峰の魔導書の一つだ。
「よ~し、帰るかー」
「それじゃあ、僕も失礼するよ」
「うむ。神具が手に入り次第連絡する」
「ああ、言い忘れてたけど、神具を手に入れるのに喧嘩しちゃ駄目だよ。カンピオーネを揃えて従属神をわざと呼び寄せて、そいつらから権能を奪う事だってできるんだから。無駄な事はしないでね」
「なるほど。それはそうか」
「良かろう。では、どうせなら神具を手に入れた者が主催者となって宴を開き、その余興でまつろわぬ神と戦おうではないか」
「「いいねそれ!!」」
おじいちゃんの提案にボクとドニは直ぐに賛成した。
「じゃあ、またね」
「うむ」
「今度も期待してるよ」
3人共別々の所へと向かっていく。ボクはリーゼロッテを連れて祐理とリリアナの方へと向かっていく。ボクが近づくと祐理が慌ててリリアナに話しかけた。
「リリアナさん、急いで逃げ……帰ってください。早くっ!」
「なっ、何を言っているんだ万里谷祐理?」
一生懸命にリリアナを逃がそうとする祐理。それを見て笑っているボクとリーゼロッテ。
「いいから早くしてください! このままじゃ……」
「王に挨拶をするべきでは……」
「このままじゃリリアナさんまで襲われてしまいます」
「え?」
そんな感じで祐理が頑張っている所にボクが到着する。リリアナは何言ってんだこいつみたいな感じだ。まあ、普通ならそうだよね。
「お、お疲れ様でした……」
「うん、お疲れ。それでそっちの子がリリアナかな?」
「はっ、この度は王のご拝謁の機会を頂き……」
「ああ、そういうのはいいよ。とりあえず持って帰るから」
「え? っ!?」
接近したボクは闇を操って袋を作り出し、背後からリリアナへと襲いかからせる。瞬時に振り返って防御しようとするリリアナ。それに対してボクは晒された無防備な背中に彼女が反応出来る前に手刀を首に叩き込んで気絶させる。
「あぁ……間に合いませんでした……」
手足を闇で拘束して身体そのモノを覆い尽くしてボクの影の中に収納する。酸素はちゃんと与えておくので問題無い。
「り、リリアナさんをどうする気ですか……?」
「ペットとして飼おうかな。まあ、祐理次第かも」
「っ」
「ほら、帰るよ。いい加減日本に行きたいしね。リーゼロッテ、日本には飛べる?」
「残念ながら行った事が無いから無理ね。大人しく飛行機か船ね」
「んじゃ飛行機でさっさと帰ろう」
「そういうと思って飛行機を甘粕に回して貰ってるわ。日本政府専用機ね」
「了解~」
ボクはそのままリーゼロッテと共に歩いていく。少し行った所で振り返って祐理に手を差し出す。
「ほら、日本に帰るよ」
「は、はい……」
おずおずと手を握ってくる祐理の手を握り返してそのまま空港へと向かう。空港では甘粕さんが待っていてくれた。
「いやー被害がなくて助かりましたよ」
「私の御蔭でね。感謝なさいよ」
「これが今回の内容。日本も考えておいてね」
ボクは甘粕さんに案内されて、政府専用機に乗り込んで座りながら内容を教えてあげる。それをメモっていく甘粕さんの表情は嬉しそうだった。
「国家予算がだいぶ浮きますね。非常に助かります」
「日本からもちゃんとお金は貰うからね」
「はいはい、わかってますよ。その代わり、代金は……」
「祐理みたいな気に入った子を用意してくれるなら安くしておくよ」
「ええ、ではまずは恵那さんと祐理さんからですね」
「祐理も取るの? 祐理は違うでしょ」
「仕方ありませんね。では、祐理さんはセットとして恵那さんを差し上げます。神降ろしができる逸材ですよ」
「ふふ、お主も悪よのう」
「いえいえ、魔王様ほどでは……」
「なにこの寸劇?」
「最低です」
甘粕さんと遊びながら、無事に日本へと入れた。いや、流石に一ヶ月も経たずに神様4戦目は遠慮したいので助かった。ちなみに旅自体は快適だった。ラウンジまで飛行機の中にあったしね。