艦隊これくしょんのR-18な短編作品詰め合わせ 作:dn88k
真夜中と言える時間帯。薄暗い室内。すすり泣くような声が途切れ途切れに聞こえてくる。
声の主は加古だった。服をすっかり脱ぎ捨て、透き通るような白い肌と、異性の劣情を喚起して当たり前の美しい形状が備わった肉体が実に妖艶な雰囲気を放っていた。
「ん……ん……」
呼吸と共に小さくも甘ったるい声を放つ加古の顔には微笑みが浮かんでいた。その熱い眼差しの先には一人の男がいる。彼女の上官でもある提督である。そんな提督は加古に覆い被さる形ですっかり硬くなったペニスを彼女のヴァギナの奥深くまで差し込んでいた。
だが、どちらも腰を振るわけでもない。ただ性器を結合させたまま、お互いの身体を慈しむように撫であっている。
ふいに加古が提督の乳首に触れると、ピクリと相手が反応する。その様子がおかしかったのか、彼女の口からクスッと笑い声が溢れる。反撃とばかりに提督は加古のなかなかに見事な大きさと造形を併せ持つ乳房をゆっくりと揉みほぐし始めた。
「あ、ん、んん……」
静かに嬌声をあげる加古だが、それでも提督から熱い視線を外す事はない。そんな彼女は、今度は両手を伸ばして彼の背中から腰回りまでを優しく撫でまわしている。
やがて提督の手が加古の乳房から離れ、彼女の体の表面を這い回るようにしつつ、その位置が下半身の方へと下がっていく。その内、腰の付近に到達すると、両腕でその部分を抱え込むように掴んだ。
提督の意図を察した加古も相手の首に両手を回す。あくまで性器は深い結合を維持したまま、加古の上半身は起き上がった。対面座位だ。相変わらず提督を見つめながら微笑んでいた加古は、耐え切れなくなったのだろうか、ゆっくりと顔を近づけて提督の唇を奪う。
「んぷ……ん、ちゅる……」
執拗なまでのディープキス。提督の背後にまわされた手のうち、その片方は彼の後頭部に添えられている。
「ん、ん、はむ……んん……」
舌を絡め合わせたまま、いつ果てるかも分からない。そう思わせるまでに長々と、二人の口付けは続く。
そのうち、ちゅるんと音が鳴り、彼女達の顔がようやく離れた。そんな二人の唇の間には、名残惜しそうによだれが糸をひき、橋を作る。そして、しばらく熱い眼差しで見つめあった二人は耐えきれないかのようにお互いの身体を抱き寄せた。
「……っはぁ……」
抱き締め合った状態で、加古は提督の肩に自分の顎を乗せる。そんな彼女の後頭部を、提督は抱き締めたまま無言でゆっくりと、優しく撫で続けていた。
「ん……」
上半身もが密着したままの状態がだいぶ続いた後、二人がほんの少しだけ、ゆっくりと離れる。加古の目尻から頬にかけて、提督がそっと指をはわせた。
その途端、加古は照れたような表情をする。どうも彼女は快感で涙腺が緩むらしく、その瞳から涙がこぼれ落ちていたのである。
「ぁん……もう……」
加古は笑顔を浮かべながらかすかに声をあげる。提督がその涙を自らの舌で舐めとっていた。
そのうち、涙を舐め取り切ったと思ったわけでもなさそうだが、提督は顔を離して加古の顔を見つめた。照れ臭くてたまらないといった表情の加古は、それに耐えきれなくなったのか、
「ふふっ……」
と、微かな笑い声を漏らし、熱い眼差しをたたえたまま愛嬌のある笑顔を浮かべた。その途端である。
突然、くぅ、と加古のお腹から可愛らしい音が鳴った。
ゆっくりと加古の腹部を見下ろした提督は、すぐに彼女を見つめ直し、
「お前、晩飯は?」
とだけ聞いた。
「ん、そういや、食べてなかった」
と、そう加古は答える。
「仕方ないな」
提督のペニスが、ズボ、という音を立てて加古の蜜裂から引き抜かれる。彼女はほんの少しだけ残念そうな表情を浮かべたが、それもほんの一瞬だった。この二人がこうして時間をかけるようなセックスをする場合、何らかの理由で一時中断する事も珍しくないからだ。
キッチンへと向かうつもりなのだろう。提督はベッドから立ち上がり、緩やかに歩いて行く。そんな彼の背中を女の子座りで見つめ続けている加古の表情は呆けているようにも見えたが、その瞳の色は相変わらず情熱と劣情に満ち満ちていた。
提督はすぐに戻ってきた。その手にある盆の上には軽食の類が乗っている。
「どれがいい?」
「どれでもいいよ。食べさせて」
提督の問いに対して加古はそう答え、目を瞑って軽く口を開く。
「ったく……」
提督はフッと笑うと、サンドイッチを持ち出して加古の口にその端を軽く差し込んだ。すると、彼女はゆっくりとそれをかじって咀嚼し始める。
目を開いた加古は咀嚼を繰り返したままふと提督の視線を捉える。それをじっと見つめていた彼女は突如としてフワリと提督に抱きつき、彼に口付けた。
「…………」
提督の体が一瞬ながらピクリと震えた。加古が噛み砕いたサンドイッチが自らの口腔へと押し込まれてきたのである。接触した舌を起点に塩味を含めたその風味が提督の口内へと広がっていく。
加古を抱き締めながら、彼女の咀嚼物を嚥下していく提督。そして、それが飲み干されてなお、舌を絡ませ続ける加古。
「は、あ……」
この日何度目か分からないキスを終えてもまだ、加古は提督から視線を外さない。提督も同様で、彼は加古を見つめたままサンドイッチを口にした。その姿を柔らかい表情で見つめていた加古はすぐに提督に唇を奪われた。コクリ、コクリという音とともに彼女の喉が上下に動く。
「おいし……」
顔を離した加古は陶然としたような表情で感想を口にする。それから視線を軽食類の乗った盆に移し、今度は自らサンドイッチを手に取り、
「食べていい? それとも、いる?」
と、提督に聞いた。その目には微妙に悪戯じみたものが垣間見える。
「俺はどっちでも」
「そう」
相手に任せるような返答を受け取った加古はサンドイッチをかじって口に含み、そのまま提督に口付けていった。
「ん、美味しかった」
「そりゃよかったな」
加古と提督が肩を寄せ合っていた。加古の空腹は解消されたようで、そんな彼女は視線を提督に向け、言う。
「止めちゃって、ごめんね?」
対する提督の返答は淡白なものだ。
「うん? 俺らのはこういうの込みじゃね?」
実際、加古が見ていても提督が気にしている様子は無い。
「でもさー……」
加古は薄ら笑いを浮かべながら視線を下げた。その先には提督の硬くいきり立った剛直がある。
「そこ、辛くない?」
「ん、まあ」
提督はそっと力を加えて加古を押し倒した。彼女の足を広げると、その間にはしとしとと粘液を溢れ出させている愛くるしくもいやらしい形状の割れ目があった。
提督はそこにすぐ挿入することなどなく、そっと唇を添えさせて丹念に舐め取り始める。
「いやあ……それ……」
顔を背けた加古はそのセリフとは裏腹に全く逃げようともしない。片手を提督の頭に添え、もう片方でベッドのシーツを掴んで悶えるだけだ。
発情による熱を帯びて蕩けてしまったかのような加古のクレバスを優しく吸い取り、揉み解していく提督のクンニリングスは加古にとってたまらない。もっと激しく強いものも好みだし、提督の事だからオーダー次第ではしてくれるだろうが、今日はそんなつもりにはなれない。
やがて、加古は提督の頭に添えた手に少しだけ力を込める。すると、相手は心得たかのように身体を起こし、加古もほんの少しばかり遅れて上半身をベッドから離す。
「…………」
提督の下腹部を再び眺める。彼の先端から滴るカウパー線液は先ほどよりも量を増しているように見えた。
(やっぱり、欲しいよね……)
そう思った。加古自身、弱火で煮込まれる鍋のごとく、その子宮が欲望でクツクツと煮えているように思えて、それが彼女の意識を朦朧とさせつつあった。
彼女の手が優しく提督の腹に触れる。ピクリと彼は反応するが、その手は内腿など相手の性器の周辺を撫で続け、稀に男性器本体に触れるだけだ。
相変わらずの欲情し切った表情と共に期待にまみれた目を備える加古。ところが次の瞬間、加古は少し悩んだような様子を見せ、
「やっぱ、喉乾いた」
と言いながら体を自らひっくり返し、四つ足でのそのそとベッドサイドのテーブルに近づいていった。そこには先程の軽食の残りをのせた盆と共に、水分が欲しくなった時に備えて用意したペットボトルも置いてある。そこに向かう彼女の臀部は、左右に揺れながらも潤んだ割れ目を覗かせていた。
そんな彼女の様子をしばらく眺めていた提督は、やがてのそりと体を動かして加古を追い、そしてその腰を両手で掴む。背を向けたままペットボトルに手をかけてその蓋を開けた彼女は、少し笑ったようだ。上体を斜め上にゆっくりと起き上がらせ、飲料を口にした彼女をよそに、腰を掴んだ提督の両手に力が入る。そしてゆっくりと、自身の蕩けた蜜裂を熱い塊がジリジリと分け入ってくる感触が全身を走る。
「んぅ……」
膝立ちのバックのような体勢で挿入されるその快感に身体の震えが止まらないが、かろうじてペットボトルの開口部をくわえて飲料を喉に流し込む。その間も自身が望んでやまないその熱い肉塊は、彼女の劣情によって濡れた肉穴の壁を心地良くこすりながら、侵入を続けていた。
背後から貫かれたまま、加古はペットボトルの中身を一口飲み込むと、燻る快感に耐えつつ、焦りを滲ませながらもその蓋を閉める。そして手を伸ばし、ペットボトルをぶつからなさそうな位置へとやや乱暴に置いた。
「ふう……」
と一息つくが、その一瞬の間を置いたタイミングで膣内の圧迫感が増す。
「ああー……」
ペットボトルを掴んでいた手を前に伸ばしたまま、その体を前のめりにシーツに沈め込ませた彼女は甘い鳴き声を発する。提督はといえば、挿入した肉棒をピストンするでもなく、加古と密着させたままだ。
そのまま、二人はコロンとベッドに体を横たえた。背後から提督が加古の身体を抱きしめながら割れ目を串刺しにしていて、加古は加古で自分を突き刺しているそれをより深く飲み込ませるために、シーツに接していない方の太ももを上方に上げ、つま先を提督の足に絡みつかせるようにしていた。
「……」
お互いに深く熱い吐息を繰り返したまま言葉を発しない。ただ、加古は片手をそっと動かし、背後から抱きしめてくる提督の手に重ね、そしてお互いにその手を握りしめた。
加古の備える肉洞は刺激的だ。しかし、提督の剛直をしごいている訳ではないし、強引に締め付けて相手を達せしめようとする動きもしていなかった。男性のペニスなど見た目の形状は凶悪さと醜悪さを感じさせるものであるのに、それを優しく包み込み、発情した女体の熱を密着する事で送り込んでくる。まるでペニスを労わりながらも優しく抱きしめてくれているかようだ。ヒクリと軽く締め付けてくる事はあるものの、それは相手の身体が反射的に起こしているのだろう。決して強烈ではないが、穏やかに持続する快感がいきり立った肉棒から発生し続けている。その暖かくゆっくりと身体に広がるような心地良さを提督は受け止め続け、噛み締める。流石に射精には至らないが、精液自体は精嚢に充填されて射出を待っていた。そんな身体の奥から発せられる感覚も心地よい。確かに、股間全体が熱を蓄えて痺れるようだ。だが、全身を火照らせるようでいて緩く持続し続ける快感、それは失うには勿体無いもので、射精してしまえば終わってしまう。それに加えて眼前の加古の姿や体温や匂い、いずれもが提督にとって捨てがたかった。時間が許す限り密着していたい、とも思う。
「……気持ち良いな」
熱を帯びた眼差しで加古を見つめつつつ、提督はそんな感想を漏らす。
「……ん、そう?」
返事はそっけない。提督に背を向けた体勢で前を向いているからその表情は見えないが、本当のところは加古も事情は変わらなかった。提督の熱くて大きな熱塊が自分の生殖器官に入り込み、膣という敏感で欲深き回廊の奥にまで至っている。そしてその逞しさとは裏腹に、行き止まりの部位に対して穏やかに、そしてまるで寂しさを埋め、慰めてくれるかのように優しく先端が触れてくれていた。おかげで下腹部の奥から甘い快感が湧き上がり続けている。
(……ずっと、居てくれない? トロトロでフワフワな感じ、好きなんだ……)
彼女の淫裂はゆっくりと粘液を排出し続けていた。それはさながら嬉し涙のようだ。劣情にのぼせた子宮口はとうに降りて来ていて、いずれ体内に雪崩れ込んでくるであろう提督の精液を少しでも多く捕捉すべく備えていた。
包み込むような提督の熱と匂いも満喫する。実のところ、これらは日常生活においても加古の発情のトリガーになりかねない。こういった場だからこそ存分に味わうこともできる。
「辛くないか?」
「ううん、気持ちいー」
振り向いた加古は提督とまたも口付けを交わす。やはり、腰の動きは小さくて弱いもので、繋がっている事自体を愉しんでいるようだ。
間食をしたせいでインターバルがだいぶ長引いた。だが、その程度で肉体に宿った熱が冷めることなどもはや加古にとってはあり得なかった。先ほどのペッティングはあくまで追加程度のものであると言ってもいいのかもしれない。今日の二人の行為は愛撫から始まったが、その内容はお互いに極めて優しくもねちっこく施しあうものであった。実は、この日最初の挿入に至ってから今に至るよりも、より長い時間がそんな事前の愛撫に対して費やされていたのである。
密かな自慢である乳房を始め、全身の性感帯 ── もっとも、今やそうでない部分の方が加古にとっては少ないのだが ── を撫で回され、揉み解されつつも、肝心の淫裂には一切触れないという焦らしのような撫でられ方からスタートして、淫裂に触れた後も穏やかに溶けるような愛撫が続いた。
一方的なのは加古だって嫌だ。だから、提督の性感帯をよく把握している彼女もまたその最中に焦らすようにその逞しい体を撫でまわし、相手が興奮していく様子を感じ取りながら、結局挿入に至る頃にはお互いがすっかり熱を蓄え終えていたのだ。
時間をかけて興奮を蓄積していった分、それが抜けるのにも時間がかかると言う事なのだろうか。激しい行為などしなくとも、あまつさえ中断を挟んでも二人の興奮が冷める事などなく、穏やかな快感に浸り続けている。
(こんなの、どこで覚えたんだろ……?)
提督に抱きしめられ、貫かれ、蕩けた表情を浮かべる加古は思考さえも蕩けそうだが、彼に対するこの疑問が脳裏をかすめる事も珍しくない。思えば、初めて彼と身体を重ねた時からそうだった。
提督との最初の夜。当初は何の冗談かと思ったものだ。顔や頭を撫でるだけで、人形でも愛でているつもりかとさえ思えた。しばらくしてやっと口付けが始まったが、それも最初は触れる程度。確かにその時は不満を覚えた。寂しいだろ、と。それを繰り返して、このままじゃ物足りない、と思ったところで初めて提督の舌が、口腔に入ってきた。これがすぐに終わるかと思えばそんなことはなく、加古はディープキスを長く長く味わい続け、そしてそれだけで意識がはっきりしなくなってしまった。
ようやく解放されたかと思ったらペッティングだって恐ろしくじれったい。本来の性感帯であるべき乳首や女性器には触れようとせず、その周囲を撫で回すようにその手が這い回るのだ。なぜかそれで興奮してしまった彼女は、触れてもらいたいところに触れてもらえず、懊悩の中に押し込められた。その果てに、かつてない恥ずかしさと共に、お願いだ、触ってくれと、顔を隠しながらねだった。
しかしながらそれも序盤だったのだろうか、その先も執拗だった。乳房へのペッティングも焦らし焦らしな上に、股間部へのクンニリングスも非常に巧みで、一切挿入などないままに何度も絶頂に追い込まれた。クリトリスへの愛撫も強く苛めるものでもなかったせいか、絶頂そのものは弱いものに留まった。自分の身体だけが勝手にたかぶっていくようで、この時点で提督は射精などしていない。
「挿れないの……?」
いよいよ切なくなった加古は聞いた。
ここまでが加古にとって異常なら、その先も異常だった。以前の男だったら自分の膣で単調にこすり、そのまま射精してしまうはずだ。しかし、提督は自分と繋がり、じんわりと甘い快感を与え続けながら自分を慈しむように見つめ、優しく撫でてきて気持ちをほぐすような言葉を与えてくる。
経験のないセックスだった。そして、そんなセックスにかつてない興奮を加古は覚えた。
更に、快感ですら事後に至ってのちもほのかに燻り続けた。火照る身体の甘ったるい感覚はなかなか引いてくれず、フィニッシュまで焦らしに焦らされたであろう提督の精液が腹の奥底に溜まっていたのは何となく分かったが、その熱がとても愛おしかった。
されるだけじゃ嫌だ。加古はそう思い、次からは提督のセックスを真似た。口も手も使ったが、とにかく焦らしまくって、提督をゆっくりと興奮させることに徹した。興奮し切って切なそうな表情を浮かべた提督の姿を初めて見た時はつい、この人、可愛い、と思ってしまった。こんな体の重ね方もあるという事を知り、それが自分にとって最高に気持ちが良く、そうなれる相手は提督だけだと加古は悟った。
「こんなチンタラするなんてねー……」
上気した顔に柔らかい笑顔を浮かべ、湯気の伴いそうな吐息と共に加古は言う。快感のせいだろうか、その目の焦点は定まっていない。自分の女陰の奥深くまで勃起したペニスが押し込められたまま、激しく粘膜をこすり合わせるでもない、まだるっこしいかのような交尾が続いていた。
「嫌か?」
提督がそう聞くが、
「ううん。これが一番好き……」
と、加古は即答した。
その後はお互いに黙ってしまったが、その熱は否応にも相手に伝わる。今日、それに先に耐えられなくなったのは提督のようだ。
「…………? ……っ!?」
すっかり弛緩した蜜裂の内部を熱い肉塊が往復し始めた。加古は思わず慌てる。
「えっ? えっ!?」
彼女が振り向くと提督は目をつむってうつむいていた。
「悪い、加古。……出したい……」
射精の欲求に耐えられなくなったらしい。先程とは打って変わって、提督は腰を振って加古のヴァギナを力強く掘削している。
「ぅあっ! いやああぁっ!!」
加古の目からは涙が滴り、だらしなく開いた口からも涎が垂れている。感度の上がった膣肉をこすられて強い快感が加古の身体を包んでいく。それに反応して、その四肢もそれ以外も先程とは一転して悶えるような乱れた動きに変わっている。
「ちょ、待って! や、イッちゃ……!」
長い結合の果てに神経までもがふやけたかのような状態に陥っていた加古の膣は、提督の剛直が繰り返す突進の前には無力だった。彼女の性感は一気に上り詰め、オーガズムに至った。
「あ゛っんんっ!! ん〜〜〜〜〜〜っ!!」
加古は普段のそれからは想像も出来ないような甘くて下品で長く、それでいてか細い嬌声をあげた。全身はインターバルをおいてビクリ、ビクリと痙攣し続けている。
そんな加古の背後からは提督が途切れ途切れに息を吐き出す音が聞こえる。同時に、自分の性器の奥深く、子を孕む空間に彼の欲望が注ぎ込まれているのも感じた。焦らされ続けたがゆえに、精嚢の中でたっぷりと煮込まれた特濃のそれだ。
絶頂も長く感じてしまう。やっと落ち着いた加古はゆっくりと振り返って提督を見る。
「ん……よかったー……」
熱い眼差しをたたえる彼女は微笑んでいた。
結合を解いた二人。だが、決して離れる訳ではなく、仰向けの提督に加古が寄り添っていた。
「へへっ、こんなエッチ、どこで覚えたんだか……」
加古は提督の頬に口付けた。
「ん……まあ、な……」
提督はらしくもなく言葉を濁すが、加古だって別に具体的な答えを求めている訳ではない。おそらくは提督のかつての女達との関係の結果だろうが、仮に聞き出してみたとしても妬いてしまう事間違いなしだ。今の提督の女は自分だし、提督は自分の男だという自負がある以上、それに振り回されたくなどない。提督の返答があやふやなのも、彼女のそんな思考を察しているからだろう。
彼女は視線を提督の顔面から離し、彼の下腹部に向けた。そこにあったのは未だに硬度を失っていない彼の陰茎である。
目を細め、わずかに口角を上げた加古はゆっくりと提督の上に自身の身体を乗せていき、その過程で彼の逸物を片手で掴みながら、まだまだ相手を欲してやまない己の女性器へと巧みに挿入せしめてしまった。
「……! おい……!」
提督は慌てているが、加古は収まらない情欲を露骨に表情に表していた。
「ん、やっぱ気持ちー……」
相手の欲望の象徴が自分の内側を圧迫して満たし、その感覚が実に心地良かった。相変わらず降りたままの子宮口は嬉しそうに提督の先端にキスを繰り返している。
「その、いい加減時間が、さ……」
提督は困惑したように言う。流石に夜もすっかり更けてしまっている、もう眠って明日の仕事に備えた方がいい。彼はそう言いたいのだろう。しかし、加古はここで止まる気になどなれなかった。先程、提督がいきなりピストンを始めて射精したのも彼が時間を気にしていたのが一番の理由であった事にすら彼女は気付いていた。
「遅いよー。挿入っちゃったし……」
加古は下半身を提督と結合させたまま、ゆっくりと上半身を彼に覆い被せた。熱のこもった視線は提督の目をとらえて離さない。しばらくの後、加古は彼に唇を重ね、舌を挿入させて相手のそれと絡め合わせる。
「ん……ふ……んんっ……」
加古はその最中、提督のペニスが可愛らしくひくつき、それを咥え込んでいる自分の膣も軽く痙攣していることを自覚していた。
「はあ……」
やっと唇が離れた。互いの涎が糸を引く。
「やだよ、あたし……。ずっとこうしてたい……」
実に扇情的な表情で提督を見つめる加古。その普段は見せないような表情だけで提督の理性は崩壊し始めるが、かろうじて抵抗を試みた。
「でも、流石に明日があるとさ……」
途端、キュッと自分の剛直が刺激的な膣によって締め付けられる。
「うっ……」
提督が声をあげ、そんな彼を加古は可愛らしいと思った。
「いいでしょ? 別に明日があってもさ?」
そうささやきながらそっと加古が抱きついてくる。やめ時がわからないし、やめたくもない。我儘なのかもしれないとは分かっていたが、離れるという決断がどうしても出来なかった。
そんな加古を見る提督もまた、抵抗する気など全くなくなってしまっていた。とうに彼女に魅了されている彼に対して、なおも求愛してくる加古を悪くは思えず、もはやその身体を受け入れる以外の思考は失せていた。
繋がったままお互いに包み込むように身体を密着させる。絶頂するのは好きだが、それをしてしまえばとろけるような熱を感じ取れなくなってしまう。
だから、お互い、焦らしに焦らしまくったうえでじっくりと繋がりあう。そんないつ終わるかも分からないセックスが、もはやこの二人にとっては当たり前になっていた。
結局この夜、二人は熱を帯びた表情と共に極めて緩慢な動きで身体を絡ませ、穏やかな快感を咀嚼するように味わい続けた。
「うぅ~、今日もねむいねぇ……」
翌日の執務室。加古はそう言って、書類仕事を片付けている提督を背後からぎゅっと抱きしめた。
「昨日も誰かさんが遅くまで眠らせてくれなかったからさあ」
椅子に座ったままの提督の頭に自分の顎を乗せ、相手に身体をこすりつける。
「最後の方俺の上に跨ってたのお前だったと思うんだよなあ」
書類に目を落としたまま、提督は呆れて言う。
「それは気持ち盛り上げる提督が悪いんじゃない?」
「いや、俺なんかしたか?」
提督が振り返りつつ言うが、加古はそんな彼を見てクスリと笑う。
「煽ったー。スケベ心煽ったー」
「んなことやってねえよ」
「なーにとぼけてんだよ? あんなエロい雰囲気なのに一発やっただけでこっちが収まるわけないっしょお?」
「雰囲気は、まあ……。でもな、こっちだって節度くらいあるんだからな?」
途端、それを聞いた加古は嗤いながら「嘘吐き」と呟いてから、
「いやいや、全っ然勃ってたよねえ? めっちゃ絶倫でいつまで経っても萎えないのに節度って?」
と、言い、提督の顔を覗き込む。
「……時間かければ収まるんだよ、とにかく」
「ふーん、途中でご飯食べてた時もガッチガチなまんまだったのにねえ?」
提督は加古のツッコミに反論できず、グッと言い淀んだ。
「で、一回終わっても勃ってたじゃん? 勃ってたら取り敢えず挿れるじゃん?」
「いや、そこで挿れるって発想にはならねーんだよ」
「提督は、でしょ? あたしなら提督の勃ってるのがあったら挿れちゃうね」
自分を抱きしめる加古の腕に力が入る。そんなトークがバカらしくなった提督は再び書類に目を落として言う。
「ああ、もう……手伝う気無いのか?」
「そりゃ、あるけどね」
散々提督にうざ絡みしていた加古はようやく離れる。元々、彼女はこの鎮守府において提督の秘書艦を長く勤め続けていた。
どちらかと言えば男勝りな加古。色恋沙汰にもさほど関心が無いようだったが、いつの間にか提督に心を奪われ、更に身体で結ばれてしまってからは、彼に対する執着を露骨に示すようになった。
「ふぁ……」
加古が口に手を当ててアクビをしている。無理もない。提督との交合に夢中で睡眠も満足に取れないという状態に陥る事がここ最近増えてきているのだ。提督の方は体質なのか、短時間の睡眠で済むタイプだからいいものの、加古はそうではないらしい。
にもかかわらず、一旦セックスに臨めば積極的なのは加古の方だった。ちゃんと寝た方がいい、という提督のそれとない示唆もあえて無視し、愛くるしくおねだりしてくるのが今の彼女だ。提督は以前の男と付き合っていた時の事もそれとなく聞いた事があるが、今の関係ほどになった事はなかったようで、もはや彼女の寝坊助ぶりは彼にも責任の一端はあろう。
提督がそんな事を考えていると、
「でさあ、今日もいつも通りの時間で上がれるんでしょ?」
と、秘書艦用のデスクに肘をついた加古はそう聞いてくる。そんな彼女の目元はほんのりと赤かった。
「ま、何も無けりゃな」
提督の回答を得た加古は手元の書類をすまし顔で揃え、それを携えて立ち上がり、キビキビとした動きで彼の横に歩み寄ると、スッと書類を差し出した。
「もう手持ちが無いんだけど。他に何かある?」
提督を覗き込むように加古が言う。
「……無い」
顔を逸らしながら提督は答えた。
「そっかー。あたし、する事ないんだけど。夜も時間空いちゃっててさあ」
それに対して、当初はそれほどでもなかった加古の居眠り癖が最近悪化してきている事に不安を覚えている提督は、
「たまには早めに寝たらどうだ?」
と言ってみるが、
「やだ」
と即答される。提督は軽く舌打ちした。だから、続けてこうも言ってみた。
「じゃあ、酒でも飲んでろよ」
と。意外ではあるが、加古は鎮守府でも大酒飲みの部類に入る。そんな彼女の返答はというと、
「やぁだ」
という、内容そのものはつい先程と変わらない一言であった。異なる点は発言の際に笑いを含んでいた事と、言い方そのものがふざけているようにも聞こえた事だ。更に、おもむろに提督と距離をつめた加古は、
「あたし今、提督とトロトロになりたい気分なんだよねー」
と、耳元で言う。先程とは一変して冗談とは思えない、劣情まじりのささやき声である。自分の中に一気に色めいた物が湧き上がるのを自覚した提督は答える。
「俺がまだ片付いてない」
「だったら、提督のところで待ってるね?」
そう言って加古は執務室を出て行く。そんな加古の後ろ姿を提督は黙って見つめていた。
提督は、加古の事を考える時に、男を溺れさせるのがアイツの本性なのではないか、と思わないでもない。極めて発育の良い健康的な肉体を備えた美少女。その外見に魅了された男は少なくなかろう。そして、内面。一見ガサツに見えて、その実、純情。好きになった相手には、いじらしく甘えてくる。外見で捉えて、心でも捉える。夜は夜で、相手を心地よく搾り取ってくる。そんな相手を手放す理由は見出しづらい。
(抜け出せないんだろうな、俺……)
提督はため息をついた。
一方、鎮守府の構内を歩く加古の内心は明らかに浮ついていた。自分の心を掴んで離さない男が、今日も抱いてくれるのだから、彼女にとっては自然な事と言えた。
加古は、提督の事を考える時に、女を溺れさせるのがアイツの本性なのではないか、と思わないでもない。言葉と行動で自分の心を引き寄せ、そばに居ることで安らぎを与える。その時点で提督の事が底なし沼のように加古の目には映ったが、更に肉体関係まで持ってしまったらどうなったか。もはや他の男ではありえないような悦楽が彼女を待っていた。そのせいだろう。以前とは違って、自分が相当な淫乱さを備えている事も認めざるを得なくなっていた。
仕事も引けた今、後の事を考えても無駄というものだ。心身ともに提督に染められてしまった自分が、今日もまた眠るのも忘れてセックスに勤しむ羽目になるだろう事など分かりきっている。
(……明日も居眠りしちゃうかもなー)
軽い足取りと共に加古はそんな事を思った。それはそれで問題なのは加古自身も分かっているし、仮に今の彼女の心の呟きが聞こえたとしたら、提督が注意してくるだろう事は容易に想像がつく。仕事中に居眠りをしていたら問題視するのは当然で、注意するのも当然である。実際、これまでも口頭で注意される事など何度もあった。が、是正出来るかと言われても加古には全く自信が無い。
確かに、加古だって自分が居眠りの常習犯だという自覚はある。しかしながら、彼女が寝不足気味になってしまっているのは、提督の身体を知り、彼と身体を重ねるという行為がとてつもなく甘美な事を知ってしまったおかげで、睡眠など忘れてしまうのが最大の要因と見て間違い無いだろう。そんな加古に対して居眠りを注意するという提督の行動自体は今も変わっていない。だが、ここ最近は、提督が自分の勤務態度に対して注文をつける際の声のトーンが今ひとつ弱くなってきている。確かに提督は加古の勤務態度を監督する立場だが、心当たりでもあるのか、強くは言えないものと見える。
二人の夜の過ごし方を考えてみれば、そこまで加古が貪欲になってしまったという事だし、以前はそうではなかった彼女をここまで変えてしまったのは果たして誰か。
加古は、自分に苦言を呈する際の提督の複雑そうな表情を思い出してフッと笑った。彼女にしてみれば、彼の言動と行動は明らかに矛盾していて、それが実におかしかったからだ。
まだ日は沈み切っていない。が、その事実は加古にとって、自分の時間にいつもよりも多少の余裕はあるという事をおぼろげに理解させるものでしかなかった。
「ちゃんと眠れとか、どんな無茶振りだよ……」
彼女は艶かしい表情で自分の体を抱きしめながら、熱い吐息と共にそう独りごちた。
もはや加古は睡眠の過多などとうに意識の外に追いやってしまっている。だが、それも仕方のない事なのかもしれない。なにせ、先に溺れさせたのは提督なのだから。