魔人カミーラ、ゼスに攻め入るも、マジノラインの前に敗退。
LP3年1月以前
<GI 1015年>
先の魔王ガイは自分の寿命が尽きたことを悟り、異世界から一人の少女を召還する。
ガイはその少女・来水美樹を自分の後継者として指名した。
美樹の意思を無視して無理やり血の継承の儀式を行い、彼女を次期魔王にしてしまおうとする。
ガイは最愛の娘であるホーネットを次期魔王とするべく手塩にかけて育てていたはずであった。
しかし、そのホーネットにも全く相談せずにこれが必然であると信じて事を進めてしまう。
召還魔法に巻き込まれて美樹とともに異界からやってきた剣士・小川健太郎は幼馴染の美樹の救出を決意する。
魔王城の地下に封印されていた聖刀日光を手に取って魔王ガイに戦いを挑んだ。
余談だがこのとき健太郎は聖刀日光の主となったことにより童貞を卒業した。
親衛隊長の魔人バークスハムを倒してガイの許に現れた健太郎。
だが時既に遅く魔王の力は最愛の美樹に委譲されてしまっていた。
魔王の力を失ったガイはやっと儀式の間に辿り着いた健太郎の不甲斐無さを嘲笑する。
ガイに挑発されるがままに怒り狂って襲い掛かかった健太郎。
無我夢中で突き出された聖刀日光はあっけなくガイの心臓を刺し貫いてしまう。
全てはガイの計算のうちであった。
ガイは薄れていく意識の中で全てが上手くいくことを願いながらその長い生涯を閉じることになった。
<LP1年>
能力も覚悟も無い可憐なだけの異界の少女に強大な魔王の力が与えられてしまった。
美樹は魔人たちからリトルプリンセスと呼ばれ、崇め奉られる存在となる。
魔王の力の移譲により大陸の年号も変遷する。
しかし、そのリトルプリンセスの後ろ盾となるべきはずだったガイは親衛隊長のバークスハムと共にあっけなく死んでしまっている。
その上魔王となるべき当のリトルプリンセスは魔王に即位するのを拒否して逃亡。
ガイを殺した剣士によって連れ去られ行方不明となってしまったのである。
リトルプリンセスが失踪したことにより世界は全く先行きが見えない状態になってしまった。
ガイの娘であるホーネットはあくまでガイの遺命を守ろうとする。
リトルプリンセスを魔王として盛り立て人間領への干渉を最小限に止め、今まで通りの秩序溢れる世界の継続を望むホーネット。
しかし魔人四天王の一人ケイブリスを盟主とする破壊と殺戮の混沌を全世界に広めようとする一派が敢然と反旗を翻した。
ケイブリスはリトルプリンセスを殺して自らが魔王となり人間達を奴隷として扱おうと目論んだのである。
世の流れはガイのシナリオ通りに進んでいくことになる。
蝶よ花よと育てられてきたホーネットにはケイブリスを始めとするアクの強い魔人たちを御することは所詮無理だった。
あっという間に魔人領は真っ二つに割れてしまいホーネットとケイブリスは対立の度合いを深めていく。
ケイブリスは手っ取り早く魔王城を攻めようとする。
ケイブリス軍はホーネットの片腕であるシルキィの城を目指して北上し、魔人領西部において大規模な作戦行動を取った。
この戦争の初期段階では両者の戦力は互角であった。
戦闘は幾日も続き、最後には暴走したレッドアイの最終魔法によって危うく大陸ごと崩壊してしまいそうになる。
このとき間一髪でレッドアイの魔法の危険性に気づいたホーネットにより危うく最悪の事態は回避されることになる。
ホーネットが秘術を幾重にも行使して増幅した強大な対抗魔法をぶつけることで地盤の崩壊はなんとか防ぐことができた。
しかし両者の強大な魔力がぶつかり合った結果、互いに干渉し合って増幅し続けた魔力が核爆発を引き起こしてしまう。
そして何者も生き残れない死の大地をその場に生みだしてしまった。
このとき繰り広げられた両者の常識を超えた魔法戦に巻き込まれた両軍は多数の死傷者を出してしまう。
そのため互いに戦力を整えるのに幾ばくかの時が必要となってしまう。
<LP2年4月>
ホーネット派に属していた地竜の魔人ノスが独自の行動を取る。
ジル復活を企んでいたノスがホーネットに無断でサテラとアイゼルの両名と共に人間界に赴いてしまった。
先々代の魔王のジルはケイブリス以上に残忍な存在であった。
人類国家の全てを崩壊させ、生き残った人間を世界各地に作られた人間牧場へと収容して魔物達の奴隷としたのである。
人間牧場の管理運営方法は残虐を極め、当に人類にとって暗黒の時代その物であった。
ノスはそのジルが君臨していた時代を好んでおり、ホーネットやケイブリス如きに従う心算は毛頭なかったのである。
魔王の寿命は1000年。
在位末期になったジルは魔王であり続けることを望み、魔王継承の儀式を己に都合の良いように捻じ曲げる。
当時一介の魔人であったガイに力の大部分を渡しつつも、己の躰に魔王の力を残して大陸に君臨し続けようとする。
しかしガイはジルに反旗を翻し、魔剣カオスの助力を得てリーザスの地にジルを封印してしまう。
ノスはジルの封印を解くために暗躍する。
人間界にてリーザス王国と敵対していたヘルマン帝国を誑かし、大軍を転移させる秘宝を貸し与えたのである。
アイゼルは妖術に長けた人の魔人であり、リーザス軍の大部分はその妖術にかかって操られてしまう。
結果としてリーザス城はヘルマン第三軍によってあっけなく占領されてしまった。
リーザス王国の王女リアやその腹心の侍女マリスはヘルマン軍に捕まってしまって陵辱の日々を送ることになる。
リアに仕える忍者かなみはリーザス城を脱出してリアを救い出すためにある男に協力を要請する。
その男こそがアイスの街の冒険者ランスであり、本編の主人公である。
ランスはキースギルドに所属する一介の冒険者であったが、リアとは浅かならぬ関係を持つ男であった。
以前の冒険でランスはリアの処女を無理矢理奪ってしまい、ついでにその心まで奪ってしまっていたのである。
その後も活躍を続けて自由都市国家群では一目置かれる存在となっていた。
かなみの涙なしには語れない努力の末についにランスはリーザス解放のために立ち上がる。
カスタムの街で抵抗軍を組織していた自分の女たちを強引に従えてしまうランス。
そしてそれまでヘルマンに別個に抵抗していた自由都市国家群の軍勢を纏め上げ、リーザスに向けて進撃を開始する。
結果としてこのランスの活躍によってノスとアイゼルは儚く散ってしまった。
復活したジルも再び異界に封印されるところとなり、暗黒の時代の再来は止められることになる。
ランスがノスとアイゼルを倒してしまったことで魔人界のバランスは著しく崩れる。
只でさえ劣勢なのにさらに戦力が低下してしまったホーネットは、最大のピンチを迎えることになる。
だがケイブリスはそのホーネット派の隙を突くことができなかった。
魔人四天王の同僚であるカミーラに長年懸想していたケイブリスは一向に靡こうとしないカミーラの冷たい態度に激怒する。
ついにケイブリスはカミーラとぶつかってしまったのである。
ケイブリスはカミーラを振り向かせるためにリスから徐々に進化し戦闘力を高めていった魔人である。
ケイブリスの戦闘力はすでにカミーラのそれを越えていた。
我を忘れたケイブリスの攻撃にカミーラは戦闘不能になってしまう。
すんでのところでケイブリスは正気を取り戻した。
だが危うく最愛の人を殺しそうになってしまったことに大いに落ち込んでしまう。
<LP3年1月>
魔人四天王の一人ケッセルリンクの意外とも思える反乱軍への参加表明によって情勢は一気に変化した。
ケイブリスは魔人領南部を完全にその支配下に置くことに成功する。
ケッセルリンクは愛しいカミーラにまで断固たる態度で接したケイブリスの姿に魔王としての資格を見たのであった。
ケイブリスは魔人レイや魔人カイトを幕下に加えて戦力を整え、満を持して北上を開始する。
迎え撃つホーネットは苦しい戦力を遣り繰りしながらも果敢にケイブリスに立ち向かっていくことになる。
互いの勢力圏が激突するカスケード・バウの大地が最前線の主戦場となる。
両軍の主戦力が投入され、ここに両派が覇を争う激烈な戦闘が展開されることになる。
後の世に名高い「カスケード・バウ会戦」の火蓋は切って落とされたのである。
この時点でホーネットの陣営にはホーネットを含めて以下の5名が所属していた。
・ガイと人間の間に生まれ、英才教育を施されて育った魔人ホーネット。
・四天王の一人であり、魔物合成を得意とする魔人シルキィ・リトルレーズン。
・炎を操ることに長けたエンジェルナイトの魔人ラ・ハウゼル。
・ホーネットの幼馴染であり、ガーディアンを作ることに長けた魔人サテラ。
・世界最速の魔人メガラス。
対してケイブリスの陣営には紆余曲折を経てホーネット派に倍する数の魔人たちが参加していた。
・四天王の一人であり、"性欲の権化"と称されるリス族の魔人ケイブリス。
・四天王の一人であり、怠惰な性格をしているドラゴンの魔人カミーラ。
・四天王の一人であり、美を愛で風を操るカラーの魔人ケッセルリンク。
・電撃(雷)を使い、"怒れる王"と称される魔人レイ。
・再生能力に優れる、へびさんの魔人メディウサ。
・剣術に優れ、何でも食べてしまうはらぺこ魔人ガルディア。
・最狂であり、最強の魔法使いでもある宝石の魔人レッド・アイ。
・変化が得意で、常に紳士たる事を望むマネシタの魔人ジーク。
・氷を操ることに長けたエンジェルナイトの魔人ラ・サイゼル。
・圧倒的な巨躯を誇る、鬼の魔人バボラ。
・頭脳明晰で、機械工学の権威でもある魔人パイアール。
・夢を操ることのできる魔人ワーグ。
・鋼鉄の肉体を持ち伝説の格闘家でもある魔人カイト。
ケイブリス派はカスケード・バウに全ての戦力を集中させたわけではなかった。
カミーラとレイとサイゼルの三人の魔人はリトルプリンセス捕獲の任務を与えられて、人間界に侵攻しようとしていた。
先年のケイブリスとの激突により気高い女王であるカミーラのプライドはズタズタに引き裂かれてしまっていた。
傷の癒えたカミーラはケイブリスの側から離れるため逃亡したリトルプリンセスを追う役目を自ら担おうとしていた。
これはカミーラの心情を察したカミーラの使徒、七星の策略でもあった。
ケイブリスはカミーラの機嫌を直すために四苦八苦していた。
そんなカミーラが自分の為にリトルプリンセスを捕らえようとしてくれることを知って無邪気の大喜びする。
自分が魔王になるためにカミーラが労を尽くして手助けしてくれるというのである。
愛しいカミーラの捧げてくれたリトルプリンセスを殺して魔王になる。
それはカミーラが自分のモノになるのを承知したことと同意義であり、ケイブリスにとってはバラ色の未来であった。
ケイブリスはカミーラの望むことを何でも叶えてあげようとする。
わざわざ10万もの兵をカスケード・バウの方面から引き抜き、カミーラに与えていた。
それでもか弱いカミーラが人間に苛められないか心配するケイブリス。
ケイブリスはサイゼルとレイにカミーラをサポートするように命じたのである。
リトルプリンセスはゼス方面に逃げていた。
カミーラは旗下の魔物たち10万を率いて人間領のゼス王国に攻め込んでいく。
しかしゼスは過去何度と無く魔人たちの侵攻に苦しめられてきたこともあり、万全の体制を整えていた。
魔物の森との境界に空前絶後の魔法攻撃力を誇る対魔物用防御施設"マジノライン"を完成させていたのである。
カミーラ軍の侵攻に合わせてマジノラインは初めて実戦で稼動することになった。
4機のマナバッテリーで稼動するだけあってマジノラインから放たれる魔法攻撃は熾烈を極めた。
策も無く突入を仕掛けていたカミーラ軍はあっという間に撃ち滅ぼされ、その数を減らしていくことになる。
魔人であるカミーラ自身には攻撃は効かないが部下達の損耗は防げない。
七星が全軍に撤退を命令したときにはすでに全軍の半数以上が活動不能となってしまっていた。
こうして人類は初めて魔人に対して圧倒的勝利を収めることになる。
ゼス国内の1級市民達は皆歓喜に満ち溢れた。
逆に人間にまでコテンパンに熨されてしまったカミーラは屈辱に打ち震えることになる。
カミ-ラにとってケイブリスに対して失敗の報告を行うことなど悪夢以外の何物でもない。
カミーラは一旦軍勢を引き下がらせた。
そして残った配下の魔物たちだけでリトルプリンセスを捕まえるための活動を開始するのであった。
全てはガイの描いたシナリオどおりに進んでいた。
創造神ルドラサウムは地に巻き起こる乱を喜んで見つめ続けていた。
だがそのシナリオは北の大地にて最愛の奴隷シィルを奪われたランスが天に復讐を誓ったことで徐々に狂っていくことになる。