ランス、マリスに財務状況の確認。
6月2日 リーザス城
ランス、サテラの処女を奪う。
6月3日 Mランド
さより、ランスとの会談に向かう。
ランス、Mランドの存続を承認。
6月4日 レッド
ガンジー、リーザス領ジオで人助け。
6月5日 リーザス城
さより、ランスの元へ嫁ぐ。
6月6日 リーザス城
シィル、ソウルを慰める。
6月7日 リーザス城
ホーネット派の魔人たちが会合を持つ。
6月8日 リーザス城
ケイブリス、配下の魔人を集めて気勢を上げる。魔人領の対立の激化。
<LP3年6月1日>
ランスは世界を圧倒的な速度で纏め上げ、伝説的な武勲を幾つも打ち立てた若き覇王となる。
大陸に千年の栄華をもたらした名君となり、押しも押されぬ名声を後の世に燦然と輝かせることになる。
しかし、その名声の大部分はランスのブレーンである侍女マリスの功に寄るところが大きかった。
マリスはランスよりも5つ年上の妙齢の美女であり、酸いも甘いも噛み分けることのできる大人であった。
夜の生活でもマリスはあくまで従順な態度を崩さず、経験を生かして元気なランスを翻弄し、味わい深い大人な快楽を与えていく。
マリスに任せてしまえばまず間違いなく最高の絶頂を味わうことができる安心感があった。
ランスがマリスを信頼し続けていたのは、実際に肉体を交えてマリスの慎ましい所作を肉感的に実感していたためかもしれない。
マリスとランスは政治においてもベッドの中での作業分担と同じような仕組みを構築し、互いを補完していた。
閨房で交わるか、庭園で青姦するか、謁見の間で露出プレイするか、最初の決断はランスの意のままである。
しかし一旦房事が始まってしまうと、ランスはマリスのペースに引き込まれてしまう。
誘い受けが芸術的なまでに上手いマリスは、ベッドインから結合する瞬間までランスの情欲を操縦し続ける。
そして結合してからの限定的な範囲でランスの無茶を容認する。
つまり、ランスは最後の一番いい楽しいところだけ(房事では挿入、政治では戦争)に集中することになるのである。
マリスはリーザス王となったランスの負担を極力取り除き、重要な案件にのみランスが集中できる環境を整えた。
農工整備や商業促進、治水対策に旱魃対策、農作物の買い付けや家臣への褒美の算段。
王というものはこれらの日々の粘り強い政治的な苦労を背負わなければならない。
リーザスに限らず、全てを王一人で切り盛りすることなど不可能である。
宰相をはじめとする家臣たちにそれぞれの案件を任せるのが普通である。
つまるところ、有能な家臣と官僚を揃えて効率よくそれを管理することが出来る王が、良き王と呼ばれることになる。
その意味ではランスは文句なしの良き王であった。
リーザスにはマリスという傑物があらかじめ存在していた。
そのマリスには家臣の人事から何から一切合財を滞りなく取り仕切れる能力がある。
ランスがすることは、マリスという稀代の宰相が何不自由なくその才覚を存分に発揮できるステージを整えるだけである。
リアの時代にもマリスはある程度の権限を持っていた。
だが、ランスはマリスの権限を大幅に広げてしまう。
マリスに任せることによって、リーザスに磐石な国家体制が構築されることになるのである。
ランスはマリスの助言を得て、国家事業や重大な案件に対して的確な判断を下す。
最初の舵取りはランスが行うが、その後の細かい部分は全てマリスが取り仕切ることになる。
王としての通常業務は全てマリスが面倒を見るところとなり、ランスがすることはマリスから渡された書類にサインするぐらいであった。
国家予算の区分にランスとマリスの関係の縮図が見えてくる。
予算案の作成に関してはマリスが全てを取り仕切っていた。
これに関してもランスはサインをするだけである。
国家運営費用、公務員給与、各種福祉費用、公共事業、軍の維持費、その他諸々。
これらはマリスが全て算出し、割り当てを行う。
それらを除いた国家予算の全てはランスが自由に切り盛りすることになる。
戦争をする上での予算もランスの裁量であった。
内政に関してはマリスが取り仕切り、軍事に関してはランスが切り盛りする。
リーザスという国家を維持する基本的な部分はマリスの担当となり、余力でランスが戦争を行う。
マリスの判断で国家の維持費はかならず確保されるため、どんなにランスが無茶をしてもリーザスが傾くことは起こりえなかった。
後顧の憂いなく、ランスが大陸制覇の一大事業に専念することが出来る体制となっていたのである。
ランスの類まれなる天才ぶりは、一瞬の閃きが勝敗を分けることになる軍事の面で光り輝くものである。
反対に内政などでの根気が要る仕事には、ランスの性格は向いていない。
そのことをマリスもそしてランス自身もよく理解していた。
このランスとマリスの間での明確な内政と軍事の役割分担が、リーザスの勢力を爆発的に拡大していくことにつながっていく。
<LP3年6月2日>
改めてランスの閨房に呼ばれるサテラ。
今度はランスの命令どおり護衛役のシーザーを自室に鎖でつないできたので、邪魔者が入ることはない。
サテラはランスに処女を与える覚悟を決めていた。
躰のあちこちを愛撫され、数限りなくイッてしまうサテラ。
与えられる快楽に朦朧としてしまった状態で、ランスのハイパー兵器を受け入れることになる。
感じたのは処女膜を引き裂かれる痛みと、それに数倍する快楽であった。
サテラは処女を奪われたこの挿入だけで三回も絶頂に押し上げられることになる。
女の魔人が人間に処女を奪われることなど、この大陸創世以来初めての出来事であった。
しかし、この後、現存する処女の魔人たちの全員がランスによってその処女膜を破られてしまうことになる。
サテラはその先駆けであった。
処女を奪い、そのまま突き上げようとするランスであったが、サテラは失神してしまっていた。
処女を失ったばかりとはいえ、多感症のサテラはランスの突き上げに激しい快楽を得てしまっていた。
ランスが中で果てるまで、サテラが意識を飛ばさないようになるにはかなりの慣れが必要であった。
仕方なしにこれ以上ハイパー兵器を暴走させることを諦め、サテラの中からズルリと引き抜くランス。
その衝撃で気絶しつつもまたイッてしまい、サテラは意識を取り戻す。
ランスは気がついたサテラに対してハイパー兵器を突きつけ、手と口で愛撫させようとする。
サテラが耐え切れない以上、ランスとしてはこうするしかなかった。
サテラは自分の破瓜の血の混じった愛液に濡れ光るハイパー兵器を、おずおずと指で愛撫することになる。
ランスの指示通り、先端に舌を這わせるサテラ。
ランスは気持ちよさそうに射精した。
その白濁とした精液を顔面で受け止めつつ、サテラは言いようのないランスへの感情を抱いてしまう。
人間の吐精を浴びるなど、魔人にとって言語道断な屈辱のはずである。
だが、自分の愛撫でランスが果てたことがサテラにとって無性に嬉しく感じられてしまった。
この瞬間、サテラは自分にとってランスが大事な存在となったことを強く自覚したのである。
千年の恋の始まりであった。
<LP3年6月3日>
リーザス軍が自由都市国家群東部域(Mランド・ハンナ)の統合に乗り出す。
最初の標的はジオとレッドの南東に位置するMランドであった。
Mランドは大陸で唯一の都市レベル規模での総合レジャーランドである。
大陸の子供たちは皆、一度はMランドに行ってみたいと考える夢の施設であった。
Mランドの主要産業は当然娯楽である。
都市の民衆は全てMランドの関連施設に携わる社員とその家族である。
当然ながら、Mランドの施設と訪れた客を守るための警備軍も存在する。
だが、基本的に自衛のための軍であり、他国の脅威にはなり得なかった。
そのため、リーザス側としても話し合いでの統合を考えることになる。
Mランド郊外にリーザスの大軍を進駐させ、降伏勧告を行うランス。
陣中を訪れたMランドの都市長と対面したランスは、少しばかり意外な面持ちとなる。
その都市長・運河さよりは妙齢(27歳)の女性であり、ランスのお眼鏡に適う楚々とした美女であったのである。
さよりは未亡人である。
子供たちが幸せになることを夢見てMランドを築いた愛する夫は、8年前に亡くなっていた。
19歳という若さで未亡人となってから、さよりは夫の跡を継いで女手一つでMランドを運営してきた。
さよりも子供が大好きであり、遊園地で遊ぶ子供達を見ることがさよりにとっては何よりもの幸せであった。
その大好きな子供を授かることなく、さよりが嫁いですぐにさよりが唯一愛した夫はこの世を去ってしまう。
その日から、夫が夢を叶えた証であるMランドを守ることが彼女の生き甲斐となった。
優しげな美貌。
すらりとしてひどく抱き心地が良さそうなその肢体。
腰まで丹念に伸ばされた美しいその黒髪。
面倒見の良い、やわらかな性格。
そして決して優しいだけではなく、さよりは大切なモノを毅然と守る芯の強さをその華奢な躰の中に秘めていた。
さよりが時折見せるその凛とした態度が母性へ憧れる男たちの性質を刺激し、より一層さよりへの慕情を斯き立ててしまう。
こんな奥さんが欲しいとさよりに恋焦がれる者は多い。
そのSランク(ランス評価)の容姿に惹かれて、陰で様々な男たちが争いを繰り広げていた。
隣国ハンナの軍師篠田源五郎もさよりの熱烈な信奉者の一人であり、かなり強引にさよりへアプローチをかけていた。
さよりにとっては迷惑な話であり、さよりはやんわりと断り続けていた。
Mランドの職員たちはこの年若い美しい都市長を誇りに思い、さよりの望みを皆で是非叶えようと必死になって働いていた。
若い職員のほとんどが美しい未亡人であるさよりに思いを寄せ、淫らな妄想を抱いてしまっているのが実情であった。
さよりの美しさに日々悶々としながらも、彼女のやさしい心根といたわりの言葉に感動する職員たち。
そして聖女のようなさよりに対して淫らな思いを抱いた自分を恥じ、よりいっそう職務に励むのである。
さよりはMランドの職員たちにとってまさしく女神に等しい存在だった。
さよりがずっと独身という立場を貫きとおし、その貞操を守り続けることができた理由は単純である。
夫が亡くなって以降、さよりにはプライベードな時間がほとんど無かったのである。
それほどまでにMランドの経営は逼迫していた。
夫が亡くなって以降、Mランドの存続を揺るがす様々な難題(主に金銭問題)が幾たびも彼女を襲った。
しかし、夫の作った遊園地を守るという信念と職員一同のサポートのおかげで乗り越えてきた。
だが、その経営は苦しく、借金は増えるばかりであった。
ある意味、そのMランドの財政難がさよりの貞操を守っていたことは皮肉であった。
さよりの女ざかりの肉体を手に入れようと暗躍する者もいたが、さよりの背負っている重責を知ると慌てて手を引いてしまう。
Mランドが余りに多方面から借財していたため、うっかりさよりと親密な関係になってしまうとかなりやばいことになる。
もし彼女を自分の女にしてしまうと、Mランドの膨大な借金も背負い込まなければならなくなるのである。
DX会をはじめとする悪徳業者たちも、美しい未亡人であるさよりの存在には注意を払っていた。
しかし、現在のところは手出しを控えていた。
遠からずMランドの財政は破綻し、無料同然でMランドの施設を手に入れることが可能となる。
さよりのその美しい躰を手に入れるのは、Mランドが完全に破綻した後でかまわない。
DX会の会長のグラックスはその時を待ち、当分の間は金を貸し付けて利鞘を稼ぐ方針を取っていたのである。
リーザスで内戦が始まってしまい、その内戦が収まったと思ったらリーザスが自由都市国家に対して戦争を開始してしまう。
戦争が始まってしまった以上、娯楽施設のMランドから客足が遠ざかるのは当然の帰結である。
リーザス軍が侵攻して来たときには、すでにMランドの運営は非常に厳しいものとなっていた。
そして今、戦乱の波はついにMランド自身にまで襲い掛かってきてしまったのである。
降伏勧告を受けたMランドは蜂の巣を突付いたような騒ぎになる。
パニック状態の職員たちを凛とした態度で鎮めたさよりは、自らがリーザス王との交渉の席に臨むことを決めた。
Mランドにも軍事力はあるが、兵の質は警備員程度であり、錬度もリーザスのそれに敵うはずもない。
戦えば必ず踏み潰されるのは明らかであり、降伏は止むを得ないところであった。
しかし、リーザス王が鬼畜王と呼ばれるほど酷い王様であるという噂はすでにMランドまで届いていた。
そんな王様が子供の夢を叶えるという崇高なMランドの目標に理解を示すはずがない。
これまで必死にMランドを盛り立ててきた苦労が全て無駄になるのかと、早々に悔し涙を流す者もいた。
さよりは打ちひしがれる職員たちを元気付けようと、無理して微笑みながら勇気付ける。
自分の身を案じて一緒に付いて行こうとする職員たちを押し留めて、一人で馬車に乗り込んでリーザス軍の陣地に赴くさより。
なんとしても夫と自分の夢であるMランドを残したいという強い決意で、さよりは鬼畜王ランスとの会見に臨んだのである。
LP3年6月3日
会見の場に臨み、ランスの鋭い視線に挫けてしまいそうになる自分を必死に奮い立たせるさより。
若き覇王を前にして、さよりは決して引くことなくMランドの存続という自分の主張を押し通した。
この一事だけでも、さよりはただの弱い女性ではないということを見事に証明していた。
さよりは、Mランドの存続を認められない場合は自分と亡き夫の夢に殉じ、一戦して夢と共に滅ぶと宣言する。
必死にMランドの存続を訴えるさよりのその言葉に、ランスは全く興味を抱かなかった。
しかし、さよりのその儚げで可憐な風貌と、夫を慕い続ける未亡人が見せる気丈な態度に強く惹かれてしまうことになる。
ランスはMランドよりもさよりを手に入れることに欲望を滾らせてしまった。
この会談においてさよりはその身をランスに捧げることを条件に、Mランドの存続をランスに確約させることに成功する。
交渉の結果として、さよりの夢であった自由都市Mランドはリーザス王国の管理下に置かれることになる。
そして、さより自身は側女としてランスの側に仕えることになった。
つまり、ランスに決して逆らうことができない立場に、さよりは追いつめられてしまったのである。
交渉成立の証としてランスに抱き寄せられ、その乳を揉まれてしまうさよりであったが拒絶することはできなかった。
ランスとの交渉を終えてMランドへ帰還するさより。
Mランドの理念が守られたことを安堵しつつも、我が身を待ち受ける淫らな運命について深く憂いてしまう。
しずしずと進む馬車の中で見慣れた外の風景を呆然と眺めながら、さよりは今は亡き夫に対して思いを馳せた。
知らず知らすのうちに涙が頬を伝い、さよりは静かに許しを夫に請い続けた。
Mランドに帰還したさよりは職員全員を一同に集め、勤めて平静を装いながらもリーザス王との交渉の結果を伝えた。
戦争の回避とリーザス王がMランドの運営維持を確約したことを、固唾を呑んで市長の帰りを待っていた忠実なる職員たちに伝えたのである。
喜びに沸く職員一同。
さよりの元に駆け寄り、喜びを爆発させる職員たち。
さよりはまるで何かの痛みを堪えるような無理やりの笑顔を作って応じるしかなかった。
やがて職員たちは敬愛し密かに恋焦がれる市長の様子がおかしいことに気づくことになる。
そんな職員たちに対して、さよりは今後Mランドの経営はリーザス王国に委ねられることを淡々と伝えた。
さよりは職員たちに向かって「今後ともMランドを支えて、私の分まで、子供たちに夢を与え続けて下さい」と訴え、深々とお辞儀する。
混乱する職員たち。
さよりの言葉は、まるで自分たちの前からさよりがいなくなるということのようであった。
何よりも、さより自身はどうなるのだという疑問が職員たちを支配した。
職員たちは皆、敬愛するさよりのためにこの職場にいるといっても過言ではない。
職員全員の視線がさよりの身に集まった。
一気に張り詰めた空気の中で、一人の職員が恐る恐る愛するさより市長にその疑問を投げかけた。
あるいはその時点ですでに、皆の脳裏にはある一つの答えが浮かんでいたのかもしれない。
愛するさより市長が交渉を行った相手は、美しい女性が大好物のあの鬼畜王である。
しかし、皆はその答えを必死になって拒絶していたのである。
しばらくの躊躇の後、「自分はリーザス王の側に仕えることになりました。」と落ち着いた声音で告げるさより。
「それは都市長があの鬼畜王のハーレムに入るという意味ですか…?」
あまりにショックで呆然とストレートに問いかけてしまう一人の職員。
その問いに対して、さよりは震えそうになる躰を抑え、ただ頷くしかなかった。
みんなのアイドルである憧れのさより市長が、鬼畜王としてその名を大陸に轟かせるリーザス王ランスの魔の手に落ちてしまった。
ハーレムの住人として美しく着飾ったさよりが、精力絶倫と噂されるリーザス王の寝台にその綺麗な肢体を毎晩侍らせることになる。
その残酷な事実を受けて、それまではしゃいでいた職員一同は水を打ったように静まり返ってしまう。
唇をかみ締め、くやしさを滲ませながらも、そのさよりの決断を受け入れようと努力する職員たち。
しかし、堪え切れなかった者たちの嗚咽が次々に溢れてしまう。
そんな中、さよりは溢れそうになる涙を堪えて、いままで自分を支えてきてくれたことに対する感謝の言葉を職員たちに送った。
"Mランドは存続し、亡き夫の理想は失われないのだから、みんなももっと喜んで祝福してほしい。"
さよりはそう言って泣き笑いの表情で職員たちを励ましたのである。
職員たちはさよりの柔らかい手のひらの感触を味わい、陶然としつつもさよりのその可憐さが余計に遣る瀬無かった。
こんな可愛い人が鬼畜王の妾になるなんて…と、彼らは内心それどころではなかったのである。
職員たちは奈落のどん底に突き下ろされ、虚無感に支配されてしまっていた。
こうしてランスとさよりの直接交渉により、Mランドはリーザス王国に併合されるところとなった。
この取引の結果として、Mランド維持費としてリーザス側は年間1億Gを支出することになる。
当初、このMランド維持の政策に不満を抱く官僚たちも多かったがランスは黙殺した。
大陸を制覇したリーザスの統一王朝樹立により、あらゆる戦争が無くなる。
復興の槌音と共に平和な世界が訪れ、人々は大いに平和を楽しむようになる。
そしてMランドの経営状態は劇的に回復していった。
ランスはゼスで見つけてきた有能な企業再生人コルミック・パーパをMランドの都市長に据える。
さらに、Mランドのテーマパーク群の運営を御用商人のコパンドン率いるコパ財団に委託する。
コルミックとコパンドンが力を合わせることによってMランドの再生は成った。
Mランドは大陸で唯一の大規模テーマパーク都市として、巨大な富をリーザス政府にもたらすことになる。
経済学者の誰もがこのランスの先見性を賞賛した。
<LP3年6月4日>
これは、ガンジーという人物をよく知る上で重要なエピソードの一つである。
ジオの街にてガンジーは、ゴロツキたちに金を巻き上げられそうになっていたお年寄りを助けた。
そこまでならば普通の正義の味方である。
だが、ガンジーは普通とは違う。
襲われていた老人だけでなく、あまつさえゴロツキたちの哀れな心を救済すると称して、1万Gもの大金を恵んでしまう。
1万Gといえば、この時代の一般人の年俸と同額である。
そのような大金はいったいどこから出てきたものなのか。
それはゼスの国庫からである。
承知の通り、この時代はまだゼスでは明確な奴隷制が維持されており、虐げられた弱者の声が渦巻いている。
言うなれば、ガンジーがあっさりとゴロツキたちに与えてしまった1万Gは、奴隷達の汗と涙と悲憤の代償であった。
ガンジーはその奴隷制を維持する国家の親玉である。
しかし、その現状を放置したまま旅を続け、奴隷達から搾取した金をありがたみも無く投げ捨てるような人物なのである。
その後、ガンジーは今日も弱者を救済したと自己満足に浸りながら、ジオの街から去っていたという。
後にこのエピソードを伝え聞いたランスは、また一つガンジーの評価を下げた。
<LP3年6月5日>
Mランドにおいて経営引継ぎの作業を完了させたさよりは、いよいよリーザスに向けて発つことになる。
その当日、リーザス王宮から派遣された女官たちがさよりの元を訪れた。
その女官たちは普段はナチュラルメイクで控めなさよりの清純な美しさを、プロの腕前で大胆に強調させていく。
さよりの美貌がよりいっそう輝くように最適な化粧を手際の良く施してしまう。
その後、さよりはその女官たちの手によってハーレムへの輿入れ用のドレスを身に纏うことになる。
自分のために用意されたそのドレスを見るなり、真っ赤に頬を染めて懸命に拒否しようとするさより。
そのドレスはシンプルながらも、胸元や背中・肩が大胆すぎるほど露出し、尚且つ躰のラインを強調するデザインであった。
腰のスリットも赤面ものの深さである。
しかも、さよりにとっては皮肉なことに、そのドレスは純白を基調にしており、まるで花嫁衣裳のように見えないこともない。
ランスがこの日のために特別に自分で選び、必ずこれをさよりに着せるようにとマリスに厳命した一品である。
寡婦となってから意識して肌を隠し、自分の躰のラインが目立たないように衣装を選んできたさより。
ランスの命令であると押し通され、大胆すぎるデザインのそのドレスを強引に着させられてしまうことになる。
彼女にとってそのドレスは非常に恥ずかしく、人前に出るのにも恐怖を覚えてしまうものであった。
やがて、女官たちの手が自分の躰から離れ、さよりは等身大の鏡の前に立たされた。
鏡に映る自分の姿を見てさより自身も驚いてしまう。
鏡に映っているのは本当に自分なのだろうか、という意外な驚きを受けることになる。
さよりはそのランスに嫁ぐ衣装のままで、Mランド職員一同への別れの言葉を告げさせられた。
これもランスの指令であった。
肌も露なドレス姿で見知った男たちの前におずおずと進み出るさより。
羞恥に顔を赤らめ、出来るだけ男たちの視線から身を守ろうとする。
その恥じらいの仕草が、敬愛する市長との別離を悔しみ、悲しみを堪えていた職員一同の前に曝された。
見送りに来ていた職員たちは一瞬ポカンとした表情になってしまう。
続いて感嘆のどよめきが溢れた。
いつものさよりの春の優しさを連想させる美しさとは完全に異なる、妖艶さと可憐さを兼ね備えたそのドレス姿である。
職員一同は呆然となってしまう。
職員たちはいつも、さよりが身に纏っている落ち着いた服装の上から、そのスラリとした肉体をイメージしていた。
しかし、その想像の数段上をいく、あまりに綺麗なボディラインをそのドレス姿は強調していたのである。
いままで垣間見ることもできなかった、その悩ましいしっとりとした胸元や肩の肌の眩しさ。
極上の柔らかさを想像させる形のよさそうなその胸。
思わず嘗め回したくなるほど綺麗な形の鎖骨。
大胆に露出し、染みひとつ無い背中から放たれる強烈な色気。
いつもより幾分濃い口紅で、吸い付きたくなるような魅惑的な唇。
美しく結い上げられたさよりの美しい黒髪と、その綺麗な白いうなじ。
いつもの家庭的なエプロン姿とのギャップが滅茶苦茶激しいだけに、余計に彼らの欲望は刺激されてしまった。
皆がギンギンに勃起してしまっていた。
こんなにも美しい我等が女神を思うままに蹂躙することができる鬼畜王に対しての、恨みと羨望が職員一同の心の中に渦巻く。
せめてもの慰みに、想像の中で目の前に佇む美しいさよりを犯しぬくしかなかった。
信頼していたはずの部下たちの、淫らで粘りつくような爛々とした熱い視線。
不幸にもそれに気づいてしまったさより。
余りの羞恥に、その美貌だけでなく、しっとりとした肌と形の良い乳房を存分にアピールするその大きく開いた胸元まで真っ赤に染めてしまう。
皆の視線に対して、その細い可憐な腕でその身を隠そうとするさよりの仕草は、余計に職員の欲望を刺激した。
それでも何とか頑張って、最後の別れの挨拶をしようとするさより。
男好きのする可愛い声が紡がれる、口紅で彩られたさよりの甘い唇の動きに職員の視線が集中する。
職員たちのゴクリという唾を飲み込む音と、ハアハアという野獣のような息遣いが、さよりの耳に異様に大きく聞こえた。
さよりはその激しい視姦に耐え切れなくなる。
別離の言葉も途中で、涙を堪え溢れ出す嗚咽を手で抑えながら職員たちの前からその身を翻して、迎えの馬車の中に逃げ込んだ。
皆が呆然とその大きく開いて露出しているさよりの綺麗な背中に見とれている間に、馬車の扉が閉まってしまう。
あっという間にさよりはリーザスに旅立ってしまった。
妄想に耽る間に自分たちの前から姿を消したさより。
まるで彼女の存在自体が幻のようであった。
さよりが去った後の職場では、職員たちは自分たちが失ったモノの大きさに打ちのめされ、しばらくは仕事にならなかった。
さよりは最後の最後の段階になって、信頼していた職員たちに自分はそういう目でずっと見られていたことを知ってしまった。
裏切られたという思いがさよりの心を強く圧迫した。
あまりのみんなの変わりようにもう自分の帰る場所はないのだと悟るさより。
リーザスに向かう馬車の中で一人悲しみにくれて泣き続けた。
亡き夫を慕い続けてずっと一人身を通してきたが、この日以降は愛妾としてランスの夜伽を勤めることになる。
ハーレムに入るということはランスに嫁ぐことを意味する。
ランスはさよりの主人となったのである。
さよりが去ったMランドは、リーザスが新しい都市長を派遣し経営を続けることになった。
<LP3年6月6日>
シィルとソウルの両名は相変わらず、ボルゴZの牢獄の中に閉じ込められていた。
収監されてからすでに二ヶ月が経っていた。
まずい飯とわずかばかりの日の光。
普通ならば病気になってしまい衰弱していくところである。
だが、シィルが回復魔法も習得している魔法使いであったことが、彼女たちの命を救った。
犯罪者が魔法使いの場合、魔法を使えないように処理して投獄されるのが普通である。
手続き上のミスで、シィルが魔法使いであるという情報が抜け落ちてしまっていた。
そのため、ただの女盗賊としてソウルと同じ部屋に押し込められたのである。
ある意味では二人は幸運であった。
しかし、精神的には疲労がピークに達しようとしていた。
先が見えない不安に苛まれ、ソウルは暴れて鉄の扉を蹴りつける。
だが、いつもの様にそのソウルの叫びに反応する者は誰もいなかった。
ソウルはポロポロと涙を流しながら弱音を吐く。
シィルはいつかきっとランス様が助けてくださるとソウルを慰める。
しかし、ソウルはその言葉も信じられなくなっていた。
ソウルは戦闘が大好きという男勝りな女の子のはずであった。
しかし、それは盗賊という環境の中で生きていくために身に付けた仮面だったのである。
真実のソウルは泣き虫で追い詰められると脆い面を曝す普通の少女であった。
兄のバウンドの名を呼び、家に帰りたいと泣き喚くソウル。
シィルはそんなソウルをそっと抱きしめる。
シィルの胸の中で泣きじゃくるソウル。
シィルはソウルが泣き疲れて眠ってしまうまで、その頭を優しく撫で続けた。
シィルのランスを信じる心は揺るがなかった。
必ず自分を見つけ出してくれると信じて、弱音を吐くソウルを励まし続ける。
この日以降、毎晩シィルとソウルは抱きしめあって眠りにつくことになる。
そうしないとソウルが眠れないのである。
いつも泣きつかれてシィルの胸の中で眠ってしまうソウル。
ソウルはシィルの胸の中で眠るとまるで母親に抱かれているような感覚になり、安心するのである。
ランスを信じきり待ち続けるシィルとは異なり、ソウルは幾度も絶望に挫けそうになってしまう。
そのたびにソウルはシィルに励まされた。
他にすることがないので、二人は自分のことやランスのことだけでなく、いろいろな話をするようになっていく。
いつしかソウルは、ランスの寵愛を競っていたはずのシィルに心を開いていくことになる。
<LP3年6月7日>
魔王城にホーネット派の三名の魔人たちが集っていた。
美樹が現れるまでは次代の魔王と目されていた、前魔王ガイと人間の間に生まれた愛娘ホーネット。
魔王となるべく、幼いときから、父ガイの下で英才教育を施されてきた女性の魔人である。
あらゆる知識と技術を身につけた完璧な存在であり、カリスマ性も抜群であった。
魔王の血を引き継いだ美樹は、リトルプリンセスと呼ばれることになる。
しかし、プリンセスという言葉の本当の意味からすると、むしろホーネットの方がプリンセスと呼ばれるに相応しいと言える。
そう呼ばれるに相応しい血統・品格を全て兼ね揃えており、何よりもその美貌は大陸に並ぶものがいない。
父の遺言に従って平穏な世界を作る事を理想としている利発な娘である。
趣味も詩の朗読と高尚であり、その珠のような唇から紡がれる玲瓏な美声は、聞くもの全てを魅了する。
ホーネットの腹心にして魔人四天王の一柱である、シルキィ・リトルレーズン。
魔人四天王とは、魔王の血を強く受け継ぎ、魔王と同じくヴァンパイアの能力を持った者たちを指す。
熱血漢であり非常に真面目な性格をしている。
しかし、真面目すぎて融通が聞かない一面もあって、無駄に敵を作ってしまうのが玉に瑕であった。
魔物合成の大家であり、油断するととんでもないものを作り上げてしまう。
本人は小柄な肢体をしているが、リトルと呼ばれる騎乗用の巨大合成魔物を駆り、戦場を大迫力で疾駆する。
趣味は野球とちょっと不思議な経歴を持つ魔人であった。
ラ・サイゼルの妹であり、炎を操る魔人のラ・ハウゼル。
思慮深く、大人しい性格であり、自分の事より仲間の事を優先して考える。
「物静か」+「理知的」+「素直」+「優しい」という誰からも好かれる完璧な女の子像を地でいく魔人である。
銀色の髪・青い瞳・白い肌で、天使と見紛う整った容貌を持つ。
純白の羽根を持ち、その優しさに溢れた表情と相まって、まさに慈愛に満ちた天使そのものである。
彼女たちは、前魔王ガイの遺言を守ろうとしている魔人たちである。
ガイの遺言は、リトルプリンセスにこの世界を治めさせ、秩序ある魔物の世界を構築するというものであった。
それが遺言であり、その遺言を守ることによって作られる世界こそが、ホーネット達の理想だった。
その遺言はケイブリスらの一派によって破られようとしている。
開戦当初は互角であった。
しかし、数多くの魔人たちがケイブリス側に参戦するに至り、両勢力の戦力の均衡は大幅に崩れ始める。
同胞であったノスとアイゼルが失われ、ケイブリス派との戦力差は開く一方である。
それでもホーネットは、ケイブリスの魔の手からリトルプリンセスを守るために、サテラとメガラスの両名を人間界に派遣していた。
ホーネットは自分たちの身の危険も顧みず、リトルプリンセスの無事を第一に考えていたのである。
お茶の席で今後の方針を話し合うホーネットたち。
サテラがリトルプリンセス護衛の任務に赴き、随分魔王城は静かになっていた。
その静けさが、寂寥感と不安を増幅させ、ホーネットたちの口を重くさせてしまう。
ホーネットはリトルプリンセスが自発的に魔王となるのを待つ方針であった。
腹心のシルキィは、現状の劣勢を覆すためにリトルプリンセスを強引に意識改革してでも覚醒させるべきであると、ホーネットに対して強く訴える。
しかし、ホーネットはそのシルキィの訴えをはっきりと拒絶する。
ホーネットはあくまでリトルプリンセスに対して自分たちの理想に賛同してもらおうと考えていた。
そうでなければガイの理想とする世界は訪れない。
無理矢理ではダメなのである。
尚も反論しようとするシルキィをハウゼルが押し留める。
ハウゼルもホーネットと同じ気持ちであった。
本格的に攻勢を開始してきたケイブリスに対して、現状の戦力でなんとか立ち向かう。
その間に、サテラとメガラスがリトルプリンセスを説得するのを待つ。
そんな、なんとも後ろ向きな戦略が三者の間で採択されることになる。
<LP3年6月8日>
ケイブリス城にケイブリス派の魔人たちが一堂に会していた。
その数は盟主のケイブリスも含めて十三名。
ケイブリスの勢力は今では魔人領のほとんどを支配するまでに至っている。
ホーネット派と比してケイブリス陣営はまさに旭日の勢いであった。
ケイブリスは現存する魔人の中でも最古の一人である。
魔人四天王の一柱にして、恐怖を司る存在であった。
接近するだけで、通常の人間は気絶・吐き気・目がくらみ最悪の場合、死に至ってしまう。
6本の腕と8本の生殖器があり、尻尾と背中に女性らしき物を持つ最強の魔人である。
ガイの遺言に反逆し、リトルプリンセスを捕らえて魔王の座を奪取することを目論んでいた。
ケイブリスの下には数多の魔人たちが集う。
同じく四天王の一人であるカミーラ。
同じく四天王の一人であるケッセルリンク。
紳士魔人のジーク。
我侭魔人のメディウサ。
格闘魔人のカイト。
食欲魔人のガルティア。
天才魔人のパイアール。
最狂魔人のレッド・アイ。
夢操魔人のワーグ。
雷の魔人のレイ。
氷の魔人のラ・サイゼル。
鬼の魔人のバボラ。
リトルプリンセス捕獲に赴いていたカミーラらも、ケイブリスはわざわざ魔人領に呼び戻していた。
そして、本格的にホーネットを攻めることを宣言するケイブリス。
ケイブリスとしては自分の雄雄しい姿をカミーラにアピールする心算であった。
しかし、人間界で怠惰な時間を楽しんでいたカミーラにとってはとんだ無駄足であり、不快なだけである。
ケイブリスのカミーラへの愛はどこまでも空回りであった。
ともかく、ケイブリスは信頼の証として、引き続きリトルプリンセス捕獲作戦をカミーラに任せっきりにする。
そして自分は魔王城攻略に専念し、進軍を開始したのであった。
魔王城のホーネット派とケイブリス城のケイブリス派の抗争は、魔人領の覇権だけでなく、大陸の今後をかけた凄惨なものとなる。
両軍がぶつかる場所は、ちょうど両軍の中間に位置する魔人領中部のカスケード・バウの台地となる。
それぞれが持てる限りの戦力を、カスケード・バウに投入することになる。
数多の魔物たちが、それぞれの陣営に分かれて殺し合い、その命を散らせていくことになるのであった。