※この作品はR-18です。

ランス皆中伝(アーカイブ)   作:夜叉五郎

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6月9日 リーザス城
 メナド、かなみをお茶に誘う。

6月10日 ハンナ
 ランス、ハンナに降伏を勧告。ハンナ都市長モーツァルトとの会談は決裂。

6月11日 リーザス城
 ランス、コルドバの妻フルルが美少女であることを知る。

6月12日 リーザス城
 ガンジー、リーザス領レッドで人助け。

6月13日 リーザス城
 篠田源五郎、ハンナ軍の総司令官に就任。

6月14日 リーザス城
 リーザス軍、苦戦しつつもハンナを攻略。篠田源五郎、戦死。

6月15日 リーザス城
 ザラック、メナドに配置換えを頼み込む。

6月16日 リーザス城
 ケイブリスの俺様最強使徒ケイブニャン、クマと戦って手紙を紛失。


LP3年6月2週 ハンナ攻略

<LP3年6月9日>

 

 赤の軍の副将メナド・シセイは、剣だけの女の子ではない。

 年頃の女の子としての一面もちゃんとあり、意外なことに、裁縫やお菓子作りも中々に得意である。

 メナドの作ったクッキーは、おいしいと評判であった。

 

 もともとメナド自身は騎士志望ではなかった。

 メナドには死別した弟がおり、その弟が騎士になることを夢見ていた。

 弟の修行に付き合っていたら、自然とその飛びぬけた才能が開花し、騎士への道が開かれたのである。

 剣術の面白さに夢中のメナドではあったが、戦争自体は余り得意とするところではなかった。

 

 この日、メナドは久しぶりにクッキーを焼き、親友であるかなみの部屋を訪ねた。

 かなみも非番の日であり、自室で読書を楽しんでいた。

 メナドの誘いを喜んで受け入れ、かなみは天気の良い外の庭園でお茶をしようとする。

 それなら王様も誘おうかと、かなみに相談するメナド。

 かなみは慌ててしまう。

 

 かなみの狼狽振りに、王様はいい人じゃないかと、困惑の表情を浮かべるメナド。

 そのメナドの様子から、かなみは、ランスがメナドの前ではいい人ぶっていることを推測する。

 ランスには狙っている女の子の前では、平気で良い格好をするところがあった。

 ランスの裏の裏までよく知っているかなみには、その辺のところがよくわかっていたのである。

 逆に、ランスのかなみに対する扱いは、筆舌に尽くしがたいものがあった。

 

 かなみは、ランスが出てくると、自分にとって酷い事になるのが判りきっていた。

 かなみは強引に、二人だけでお茶をしましょうと、メナドを必死に説得する。

 かなみの脳裏には、リーザス王となってからランスの行ってきた、自分への非道な行い数々が鮮明に浮かび上がっていた。

 

 

 

 かなみは、リア付きの忍者である。

 ランスがリーザス王となってからは、ランスの寝室を影から守る役目を負っていた。

 ランスの暗殺を防ぐためもあるが、毎晩誰がランスに抱かれるか、リアやマリスに報告する義務も負っていた。

 当然ランスは、屋根裏にかなみがいることを知っている。

 気まぐれでかなみに出てくるように命じ、嫌がるかなみに夜の相手をさせることもしばしばであった。

 

 かなみの秘所は小さい。

 ランスのハイパー兵器は根元まで収まらず、一番最後の段階でやっと全部入ることになる。

 卑猥な格好をとらせられ、散々に犯されることになるかなみ。

 中出しの後始末をランス自らが強引に行ったり、逆に中出しされたままの状態でパンツを履かされて役目に戻らされたり散々であった。

 情事の後に気持ちよく眠るランスに対して、かなみは猛烈な眠気に襲われつつお役目を続けなければならず、不条理さを嘆くことになる。

 

 最近のランスは、レイラとのSMプレイに懲っていた。

 かなみもそのとばっちりを受けており、散々泣かされていた。

 敵に捕まったときの訓練と称して、軽く縄で縛られたり、ギャングを噛まされた状態でランスに嬲られてしまうかなみ。

 自分が王様だとばかりに、かなみに対してやりたい放題のランスであった。

 

 ランスは、かなみがほんとに嫌がることや、不条理すぎることはしない。

 一度生理のときに襲われそうになったことがあった。

 そのときは、ランスも理解を示し、諦めてくれたのは僥倖であった。

 ただし、かなみが受け入れてしまわざるを得ない雰囲気を作るのが、ランスはほんとに上手かった。

 気がついたら、かなみは自分の恥ずかしい全てをランスに曝け出してしまっているのである。

 

 

 

 晴天の下、メナドとお茶をするかなみ。

 会話の内容の大体が、メナドの恋人ザラックについての惚気話となる。

 かなみは、ザラックに良い印象は抱いていなかったが、幸せそうなメナドに対して、あまりひどいことは言えなかった。

 

 恋人ザラックについて楽しそうに語るメナド。

 その話を聞きつつ、かなみは、ランスと自分の関係を考えて、暗澹たる気持ちになってしまう。

 かなみは、自分がランスから逃れられない運命にあるということを、薄々気付いてしまっていた。

 

 せめて親友のメナドだけでも、ランスの魔の手から守ってあげようと決意するかなみ。

 しかし、そのかなみの思いは、叶いそうもなかった。

 親友のメナドは、ザラックに騙されていたのである。

 かなみは不幸の星の下に生まれた女の子であった。

 

 

 

 

 

<LP3年6月10日>

 

 Mランドを併合した後、リーザス軍はその東の都市国家ハンナを攻略目標とする。

 ハンナ地方は広大であり、ハンナの周囲には様々な中小の都市国家が乱立している。

 チャイナドレスで有名なチャイナ国や、キムチ料理で有名なハン国など、多種多様な文化が培われている。

 自由都市国家郡4800万人のうちの大多数がこの地方に住んでいる。

 大陸を制覇する上で、必ず抑えておきたい土地であった。

 

 ハンナは、エクスが反乱を起こしたときに、静観の構えを取っていた。

 勢力を拡大しようという意欲に乏しかったのである。

 それほどの戦力は保持していないという情報を得ていたため、ランスは威圧による併合を考えた。

 

 緑の軍を引き連れてハンナに向かい、降伏勧告を行うランス。

 しかし、交渉の席についたハンナ都市長モーツァルトは、降伏の見返りとしてランスに対して多額の金銭を要求してきた。

 決して払えない額ではなかったが、ランスはこの申し出を蹴り、ハンナの武力制圧を決意する。

 モーツァルトの欲に暗んだ醜い顔を見ているうちに不快になり、このような小悪人は滅ぼすに限ると思うようになったのである。

 

 ランスは、ハンナ制圧時にモーツァルトを殺してしまおうとを考える。

 ランスは、役人や軍人の不正行為を大いに嫌う、王として得がたい性格をしている。

 加藤すずめの一件もあって、ランスの意向を汲み取ったマリスによって、国内の賄賂や不正を一斉に排除する準備が着々と進められていた。

 当然ながら、モーツァルトもランスにとって不要な人材であった。

 

 

 

 リーザス城に戻ったランスは、ハンナに向けて兵を発するように命令を下した。

 

 対するモーツァルトは、交渉決裂を受けて、都市防衛のために天才軍師と名高い篠田源五郎を担ぎ出す準備に入る。

 さらに、ヘルマンとの同盟や、JAPANへの救援要請等の外交戦術に出る。

 もっとも、ハンナ陥落時の逃げ出す用意も、当然ながら同時に行っていた。

 

 

 

 

 

<LP3年6月11日>

 

 激務の合間を縫って、暇を見つけては、部下とコミュニケーションを取ろうとするランス。

 一見すると暇を持て余した行為のように見える。

 しかし、部下との交流を深め、常に部下の状態を把握しておくのが、ランス流の王としてのやり方であった。

 

 無駄なように見えて、これが中々に重要であった。

 どんなときに、どんな情報が役に立つことになるかはわかったものではない。

 部下たちの新たな一面を知ることは、国家を運営する上での重要な財産となる。

 

 部下たちの状態を肌理細やかに把握しておくことは、簡単なようでいて、なかなかに難しい。

 大陸の数多の国の為政者たちの間で、このことをちゃんと実践している者は実に少なかった。

 部下との交流を深める行為を自発的に行ってしまうランスの性格は、王として君臨する上での得がたい資質であった。

 

 

 

 リーザス王国の青の将コルドバ・バーンとの交流も、ランスにとって非常に有益なものとなる。

 言葉を交わせば交わすほど、コルドバの意外な一面を垣間見ることになり、ランスの興味をひきつけていく。

 

 コルドバは、206cm188kgの恵まれた巨躯を誇り、戦士としても素晴らしい戦闘力を持っていた。

 現状のリーザス軍では、リックに次いでレイラが強いことになっているが、それはあくまで剣技の冴えだけでの話である。

 実際にコルドバとレイラが戦場で相対したとしたら、コルドバが生き残るであろうことは確実であった。

 また、"リーザスの青い壁"と呼ばれるほどの勇将であり、リーザス王国にとってみれば、非常に得がたい人材である。

 

 個人的な趣味はハーモニカであり、誰彼かまわず演奏を聞かせることが、コルドバの悪い癖であった。

 そのレパートリーは500を越え、ランスも辟易することになる。

 ランスにとって、コルドバのハーモニカはどうでもよいことであった。

 しかし、コルドバが美少女を妻にしてることを知り、大いに驚愕することになる。

 

 

 

 始めは、人並みはずれた巨漢のコルドバを好きになる妻だからと、どうせたいしたことはないのだろうと高を括っていたランス。

 しかし、マリスから、コルドバの妻フルルがまだ16歳の少女であることを聞くと、腰を抜かしてしまう。

 さらに、そのフルルという少女は、2年前の14歳のとき、リーザス美少女コンテストでリアに次いで2位を獲得していたのである。

 フルルは、そのときの縁で、今でもリアとは友達付き合いをしていた。

 

 フルルが、国民の誰もが認める美少女ということで、ランスはフルルに対しての興味を抑えられなくなる。

 マリスから、コルドバの愛妻家振りを聞いてしまったランスは、無性に腹が立ってしょうがなくなる。

 強引に「美女と野獣」罪を設立し、コルドバに嫌がらせをしようとしてしまう。

 

 経済力を持った成人男性が、20歳未満の少女とセックスするのは禁止という、コルドバを狙い撃ちした法案である。

 しかし、コルドバが結婚してるのにプラトニックな関係を続けていることを明かしてしまい、空振りしてしまう。

 コルドバは、フルルと話し合い、フルルが20歳になるまで肉体関係を結ばないことを決めてしまっていた。

 フルルがおそらく処女であることをコルドバに確認するランスであったが、当のコルドバはあまりその点に関しては固執していなかった。

 精神的な絆だけで十分に満足している状態であり、ランスの前でものろけまくってしまう。

 

 

 

 コルドバに対して、フルルを連れてくるように命じるランス。

 しかし、フルルが堅苦しい宮廷を嫌って、家事を好んでする性格であることをコルドバにのろけられ、結局はうやむやになってしまう。

 フルルは、コルドバが10人のメイドを用意しても、コルドバの面倒は人には任せられないと、いじましい家庭的な女の子であった。

 あまりのコルドバのデレデレ振りに、ランスも辟易してしまうことになる。

 

 結局、ランスがフルルと会う機会は、長く続く戦乱の果てにコルドバが戦場の露と消えるそのときまで、訪れることはなかった。

 ランスは、フルルの美貌をコルドバのお葬式にて、初めて確認することになるのである。

 

 

 

 

 

<LP3年6月12日>

 

 これは、ガンジーという人物をよく知る上で、重要なエピソードの一つである。

 

 レッドの街にて、ガンジーは、リーザス兵たちに襲われそうになっていた若い女性を助けた。

 そこまではよかったのだが、襲われていた女性だけでなく、あまつさえ不細工な容貌の兵士たちの哀れな心を救済すると言い始める。

 ガンジーは、付き人のカオル・クインシー・神楽をその兵たちに抱かせようとしたのであった。

 

 カオル・クインシー・神楽といえば、後に部類の女好きである鬼畜王ランスが所望したほどの美少女である。

 カオルほどの美少女が、ガンジーの付き人である理由はなんなのか。

 それは、彼女がガンジーに対して絶大な敬愛の心を抱いていたからに他ならない。

 

 承知の通り、カオル・クインシー・神楽のガンジーに対する忠誠心は、盲目的であり絶対である。

 言うなれば、ガンジーがあっさりと不埒な兵士たちに提供しようとしたカオルの貞操は、彼女の忠誠心の代償であった。

 

 ガンジーはカオルが尊敬してやまない主君のはずである。

 さらにガンジーはそのカオルの心を知っている。

 にもかかわらず、ガンジーはカオルにその体を不細工な男達に開くように命じた。

 若い婦女子の貞操について、それも自分に誠心誠意仕える者の心と体について、なんとも考えていないような人物なのである。

 

 

 

 カオルは自分の諜報員としての立場をわきまえ、くのいちの術にも精通していた。

 ガンジーに抱かれてから、ガンジーの役に立つように、男の純情や躰の仕組みをよく学び、その道でも達人となっていたのである。

 残念ながら、このときのリーザス兵たちは、カオルの美しさと話の流れの奇妙さに圧倒されてしまっていた。

 結局彼らはカオルの肢体を味わうことなく、逃げ出してしまう。

 

 今回はカオルの貞操は守られたが、この二人の主従関係の奇妙さは特筆ものであった。

 ただし、もう一人の付き人であるウィチタはまだ処女であり、くのいちの術はまったく精通していなかった。

 ガンジーも一応は二人の性質を考えて役目を与えているらしく、ウィチタにはこのような無体な命令を下すことは今まで一度も無かった。

 ランスにとっては存外に僥倖であった。

 

 その後、ガンジーは、今日も弱者を救済したと自己満足に浸りながら、レッドの街から去っていたという。

 後に、このエピソードを伝え聞いたランスは、また一つガンジーの評価を下げた。

 

 

 

 

 

<LP3年6月13日>

 

 ハンナ都市長モーツァルトは、ハンナ防衛軍の司令官に、警備将軍の役職にあった篠田源五郎(31歳)を据えることに成功する。

 

 源五郎は、無類のアメフト好きで知られ、ハンナの浮沈に興味は無かった。

 モーツァルトからハンナ軍の総司令官に就任する要請を受けるが、最初のうちは断るつもりでいた。

 しかし、彼の思い人である運河さよりに関する情報を知らされ、その考えを変えることになる。

 

 アメフト以外で唯一彼の心を騒がす存在は、運河さよりという美女であった。

 そのさよりが、Mランド存続のためにランスにその身を預けてしまったことを知らされ、源五郎は愕然とする。

 リーザス城に赴いたさよりが、毎晩ランスの閨房に呼ばれて、散々に犯されて慰み者になっている。

 モーツァルトとしては、源五郎の心を揺さぶるためのデマカセを口にしただけであったが、現実もまさしくその通りだった。

 

 

 

 さよりは、Mランドからリーザス城に移り、ランスの閨房に侍るようになってから、連日連夜ランスに犯され続けていた。

 閨房にて、若いランスに強引に快楽を注ぎ込まれ続ける。

 ランスは、美しいさよりに対して、白濁した欲望を容赦なく叩きつけた。

 

 貞淑な未亡人を犯すというシチュエーションも手伝ってか、さよりの胎内に簡単に射精しようとするランス。

 さよりはその都度、ランスの絶妙なテクニックに耐え切れず、絶頂に押し上げられてしまうのであった。

 さよりは汚されるたびに、我が身の堕落を感じてしまい、いっそう躰を震わしてしまう。

 

 若い王の妾妃に相応しい、毎日を送ることになるさより。

 昼は王宮のエステでその躰を隅々まで磨き上げられ、夜はランスに濃い精を嫌というほど注がれる。

 元々の素材が最上級であったこともある。

 長年の男日照りが解消されたためか、さよりは日に日に潤いを取り戻していき、皮肉なことにどんどん綺麗になっていく。

 

 美しいドレスを身にまとったさよりは、己が王の妾妃として相応しいことを、否応なしにアピールしてしまっていた。

 "ランスの妾になってから、さよりは見違えるほど美しくなった。"という強烈な印象を、周囲の者たちに与えてしまうようになる。

 "女性がもっとも美しく成熟するのは27歳である。"という俗な言い伝えがある。

 その言い伝えが真実であるということを、さよりは自分の身をもって証明してしまった。

 

 

 

 恋焦がれていた運河さよりが、毎晩鬼畜王に犯されまくっていると知った源五郎は、大いに煩悶する。

 一人の男として、ランスに対して敵対心を抱くに至る。

 源五郎は、モーツァルトの依頼を引き受けた。

 ハンナの全軍を預かり、攻め寄せてきたリーザス軍を撃退する作戦を練ることになる。

 

 

 

 

 

<LP3年6月14日>

 

 ハンナの街の常設軍隊の司令官職についた篠田源五郎。

 源五郎は、彼にしては非常に珍しく、打倒リーザスに向けて闘志を前面に押し出した。

 その卓越した策略により、ハンナへ侵攻したリーザス軍は散々苦しめられることになる。

 

 リーザス軍は、赤の軍の騎士2000名を動員して、ハンナに攻め寄せる。

 対するハンナは、攻撃側のリーザス軍の倍の数の3800名の騎士を動員していた。

 ハンナ軍は、源五郎の指揮の下、ハンナの北の街道に待ち伏せて、リーザス軍に奇襲をかけることに成功する。

 

 状況はリーザス軍にとって、圧倒的に不利であった。

 ハンナ軍は、状況をうまく利用し、いつもの50%増しの戦力となっていた。

 敵は数にして約倍であり、さらに不利な状況に追い込まれてしまったリーザス軍。

 

 特に、集中的に狙われた副将のメナドの軍の被害は、加速度的に大きくなっていく。

 メナド自身も剣を取り、敵兵と切り結ぶところまで追い込まれてしまっていた。

 天才軍師の源五郎参戦を予測できなかったことが、リーザス側の誤算であった。

 

 

 

 各個の騎士の戦闘力は、ハンナ軍のそれと比べると圧倒的に強い。

 主将であるリックは、騎士個人の判断に任せ、粘り強い戦い方で、ハンナ軍を押し返していくことに成功する。

 だが、弱兵のハンナ軍も決して退かず、最後まで戦い続ける。

 篠田源五郎という名軍師がついているという事実が、ハンナ軍の支えとなる。

 

 最終的に、泥沼的な消耗戦に移行し、戦域は惨憺たる状況となっていく。

 結果として、超大国の騎士と小国の兵士の練度の違いが、勝敗を別けることになる。

 篠田源五郎は、リーザス軍の騎士の圧倒的な強さの前に敗北し、戦場で散った。

 

 ハンナ軍は、軍師源五郎を含めてほぼ全滅である。

 しかし、精兵として名高いリーザス軍の赤の軍もまた、消耗しつくしていた。

 損耗率50%という驚異的な値が叩き出され、報告を受けたランスは、ひどく驚くことになる。

 特にメナドの部隊の被害が酷く、戦闘終了時には約7割の騎士が稼動できない状況に追い込まれていた。

 

 どんなに酷い勝ち方でも、勝ちは勝ちである。

 ハンナを守る盾は、打ち破られた。

 もはやハンナには戦力はなく、消耗しつくした状態とはいえ、赤の軍の歩みを止めれる者は誰もいなかった。

 ハンナの城門は、リーザス軍が攻め寄せる前に、開け放たれることになる。

 

 ハンナ陥落時に、これまで散々私欲を肥やしていたモーツァルトは、いち早く逃亡しようとする。

 しかし、待ち受けていた市民たちに捕まってしまい、撲殺されてしまった。

 

 

 

 

 

<LP3年6月15日>

 

 ハンナ占領の作業に従事する赤の軍。

 その司令部にて、人知れず逢引する一組の男女の姿があった。

 副将のメナドと、一兵卒のザラックである。

 

 ザラックは、メナドに対して、恋人に接しているとは思えぬほど怒りを露にしていた。

 もともとが顔だけの男であり、その腕前はたいしたものではない。

 昨日のハンナ軍との戦いにおいて、彼は敵兵に殺されそうになっていた。

 ザラックは、自分を危ない場所に配置したとして、メナドを責めていたのである。

 

 戦場に安全な場所などある訳がない。

 ましてや、ハンナ軍との戦いでは、敵軍の軍師の策略にはまって、不利な体制での戦闘を強いられてしまったのである。

 そのことは、ザラックもよく把握していた。

 だが、あえてザラックは、メナドに対して自分の身の安全を図るように訴えたのである。

 

 メナドはこれまで、恋人だからといって、ザラックを特別扱いするようなことは一切してこなかった。

 ザラックにとって、これではわざわざメナドに近づいた旨味が全くない。

 この機会を切欠にして、メナドの中の自分へのプライオリティを大いに上げ、メナドに自分を特別扱いするように求めたのである。

 女をこますための、最終的な仕上げの段階に入ろうとしていたのであった。

 

 

 

 ザラックの要求は、メナドにとって受け入れがたいものであった。

 しかし、ザラックは、身分の低い自分のことをメナドは本気で愛してないとして、わざと別れることを示唆する。

 ザラックに捨てられることをひどく恐れるメナド。

 だが、やはり多くの部下を預かる将として、ザラックの言葉を受け入れることにかなり躊躇する。

 ザラックは、そんなメナドに自分が戦死した場合のことを想像させ、ダメ押しで抱きしめた。

 

 愛してるから自分を他の兵と一緒に扱うなと囁きながら、メナドを押し倒していくザラック。

 メナドは、その心地よさに流され、大切なものを捨ててしまうことになる。

 誰もいない司令部に、男女の息遣いだけが密やかに響いていた。

 

 この日以降、メナドは他の部下たちに気づかれぬようにしながら、ザラックを特別扱いしていくことになる。

 後ろめたい思いを抱きながらも、ザラックから離れられないメナド。

 次第に、メナドから明るい表情が失われていった。

 

 部下の信頼の厚いメナドであったが、どうしても部下たちとの間に壁が出来てしまう。

 嘘のつけないメナドだからこそ、部下たちもまた、そのことを鋭敏に感じ取ってしまう。

 そして、メナドがザラックを特別扱いしてしまっていることをいくら隠そうとしても、無駄であった。

 肝心のザラックが、自分の仲間内に得意げにメナドとの関係を漏らしていたのである。

 噂は部隊内に広がって行き、次第にメナドは部下の信頼を失っていくことになる。

 

 

 

 

 

<LP3年6月16日>

 

 魔人の中でも最強の存在・ケイブリス。

 そんなケイブリスには二匹の使徒がいた。

 ケイブニャンとケイブワンである。

 

 ケイブリスが「俺様最強使徒」として意気込んで創った使徒たちであった。

 しかし、かなり使えないお荷物的な存在になってしまったのは、主であるケイブリスの頭の足りなさが影響したのかもしれない。

 愛らしい容姿でそれなりに強いのだが、如何せん頭が動物並みである。

 ケイブリスから頼まれた仕事も、満足にこなすことが出来なかった。

 

 それでも、ケイブリスはそれなりに彼女たちを可愛がっているらしく、彼女らは主であるケイブリスから貰った物を宝物として大切にしていた。

 ケイブニャンの宝物は、ケイブリスから貰った鈴と絵本「わんわんのおまわりさん」である。

 ケイブワンの宝物は、ウール100%のタータンチェックの毛布と、ピンクのわんわんの書かれたフリスビーである。

 

 カミーラは、魔人領から遠く離れたリーザスに滞在している。

 ケイブリスは、愛するカミーラへラブレターを届ける役目を、彼女たちに与える。

 そして、カミーラから返事があったら急いで持ってくるように言い聞かせるのであった。

 

 

 

 ケイブニャンは、ケイブリスから預かった手紙を携えて、魔物の森を行進していく。

 森の中でくまと出会って、正気を失う。

 嬉々としてくまに襲い掛かり、お遣いをすっかり忘れて、くまと死闘を繰り広げた。

 

 くまを倒して我に返ったケイブニャン。

 ケイブリスのお遣いを忘れてしまっていたことに気づき、慌ててカミーラのところへ向かった。

 その手に握っていたケイブリスの手紙は、いつの間にか失われてしまっていた。

 だが、くまを倒して上機嫌のケイブニャンは、そのことに一向に気づかなかった。

 

 カミーラの隠れ家に到着し、あけれ~とその扉でバリバリと爪を研ぐ。

 慌ててラインコックが飛び出てくる。

 怒鳴りつけるラインコックを鼻歌交じりに無視し、マイペースで手紙を渡そうとする。

 そこで、初めて手紙が失われてしまっていることに気づくケイブニャン。

 

 ケイブニャンは、ケイブリスのお仕置きを恐れて、慌てふためく。

 あまりに騒ぐものだから、ラインコックは事実を告げてケイブニャンを追い払った。

 カミーラはケイブリスを嫌っており、どうせ返事があるはずもない。

 別に黙っていてもバレるはずがないのである。

 そのことを指摘されたケイブニャンは、ラインコックの頭の良さに感心し、あっさりと主人の命令を裏切ってしまう。

 

 

 

 こうしてケイブニャンは、自分の任務をごまかしてしまう。

 哀れなことに、ケイブリスの思いは、能天気な使徒たちのせいで、カミーラに届くことはなかった。

 いつもケイブリスの思いは一方通行であった。

 

 

 

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