ランス、玉座にて地震の夢を見る。
7月2日 ロックアース
ランス、DXの会よりSEX奴隷あおいを供与される。
7月3日 リーザス城
ランス、ポルトガルへの出兵を宣言。政商プルーペット、平和的併合を求めて、陳情に現れる。
7月4日 ポルトガル
リーザス、ポルトガルを武力制圧。ランス、レベッカを保護。
7月5日 リーザス城
織田信長、和平の使者として柴田勝家をリーザスへ派遣。
7月6日 リーザス城
原家の残党、勝家を襲うも敗退。安藤進右衛門、討死。★
7月7日 リーザス城
勝家、ランスに謁見。同盟交渉を行う。★
ランス、両家の婚姻を柱とした織田家の同盟案を蹴り、交渉は決裂。★
LP3年7月1週 ポルトガル攻略 & 織田家宣戦布告
<LP3年7月1日>
王という職業は激務の連続である。
侍女のマリスが大部分を負担してくれるとはいえ、リーザスは超大国であり、ランスがやらなければならないことも多い。
それだけでなく、そこら辺にいる普通の王よりもランスの夜の生活は格段に激しい。
この日も今朝方まで親衛隊長のレイラの躰を嬲って楽しんでしまっていた。
余り睡眠を取っていなかったランスは、バルコニーから差し込む暖かい日差しを受けて政務の合間に玉座でうつらうつらとまどろんでしまう。
そこにマリスが現れる。
マリスは重要な案件について、ランスの決済を貰うために謁見の間にやってきた。
他の家臣たちはランスの雷意を恐れてその眠りを妨げるのを堪えていたが、マリスだけは違った。
容赦なくランスの座っている玉座を蹴り上げ、ランスを目覚めさせてしまう。
心地よい眠りについていたランスは突然地震のような衝撃を受けて目が覚め、大いに慌ててしまう。
うろたえつつも、目の前に佇むマリスに対して地震の規模を尋ねるランス。
だがマリスは涼しい顔でランスのたわ言を聞き流し、用件を切り出していく。
ランスは何が起こったのか判然としないまま、マリスのペースに巻き込まれていくのであった。
そのマリスの恐れ知らずな行為は端で見ていた他の家臣たちを大いに驚かせる。
鬼畜王と恐れられるランスにこのような気安い行為をできるのは、家臣の中では実にマリスくらいである。
如何に影の宰相と恐れられるマリスであっても、玉座を蹴り上げるなど臣下としての分限を明らかに超越していた。
マリスが閨房にてランスの寵愛を得ていることは、前々から宮廷内で噂になっていた。
二人が君臣の関係にはなく男女の関係にあることがこの光景によって明確化され、宮廷内の人間全てが認知するところとなる。
要するに見るものには恋人同士の気安い態度のように見えてしまったのである。
マリスは皆のその認識を否定せず、逆に利用する。
マリスに相対する者全てがマリスがリアだけでなくランスの寵愛を得ていることを意識し、余計に萎縮してしまう。
結果としてマリスに大いに仕事をやりやすくさせていた。
ランスとマリスの親密度が目に見えて上がったのは、当然のことながら閨房での交わりの深化が原因であった。
事あるごとにマリスを閨房に呼ぶランス。
二人の会話は文字通り躰を合わせつつ行われのである。
ベッドの中で様々なことを語り合うランスとマリス。
どうしてマリスがリアを大事に思うのか、どうしてそんなに男を悦ばすことができるのか、マリスはランスの問いに答え続ける。
リアと同じように可愛いと言われてしまっては、ランスの男としての立つ瀬がなかった。
マリスの奉仕を楽しむことではなく、次第にマリスを満足させようとして自分から動くようになるランス。
ランスが自分を快楽に溺れさせることで征服欲と性欲を満足させたがってると察したマリスは、逆らわずにランスの動きを受け入れていく。
マリスの奉仕を受けつつも負けずにマリスを絶頂に追いやり、マリスの中で盛大に果てるランス。
ただ奉仕を受けて導かれるままに吐精するよりも、満足感が違っていた。
忙しい中でランスの褥に参上する時間を割かなければならないマリスも、割り切ってランスとの夜のひと時を楽しむようになる。
奉仕ではなく、純粋なセックスに興じるようになる二人。
マリスはランスの肉体の全てを知覚するようになり、ランスもマリスの美しい躰の隅々まで堪能する。
互いに互いの躰の全てを理解し合ってしまった以上、ある種の馴れ合いが生じてしまうのは男女の間では当然の帰結である。
さしものマリスもその例外ではなかった。
ランスにとって唯一の不満は、情事の後にマリスと一緒にゴロゴロできないことであった。
仕事を抱えすぎなマリスに対して秘書をつけるように命じるランス。
だが、自分でしかできない判断があることを理由にマリスは固辞してしまう。
毎回ランスに大量に中出しされてしまうので、ちゃんとした後始末はままならない。
マリスはさっとシャワーを浴びるだけで、秘所の中のランスの精はそのままに職場に戻ることになる。
マリスの部下たちは毎回マリスがランスの寝室に呼ばれている間も、仕事をしつつマリスの帰りを待っていた。
そんな部下たちの前にマリスは直前までランスに愛された躰を晒すことになる。
マリスの躰から匂うシャンプーと石鹸の良い香りが、余計にランスとの情事を部下たちに想像させてしまうことになる。
毎度のことながらマリスの部下たちにはドキドキものである。
仕事の指示を下しつつ、秘所の奥から垂れてきたランスの精が下着を汚してしまっていることをおくびにも出さないマリス。
同じように任務中にやられてしまうかなみなどはランスの馬力に翻弄され、情事の後に凄く眠くなってしまうのだがマリスは違った。
どんなにアクロバティックな体勢での変則的なセックスだろうが、きちんと自分の体力をセーブする術を身につけていたのである。
<LP3年7月2日>
ランスに取り入ることに成功したDX会は、ランスへの接待攻勢を緩めなかった。
リーザス王国の暗黙の了解は、闇に生きるDX会にとって絶対に保たなければならない生命線となっていた。
会長のグラック・アルカポネも手間隙を惜しむ心算は毛頭なかった。
ランスが無類の女好きであることは、わざわざ調査しなくても広く知られている事項である。
当然ランスへの一番の贈り物は女であるとされた。
グラックは性奴隷用に仕立て上げていた沢山の女の子の中から、最高に器量の良い女を選出する。
そして調教の最終段階で高名な調教師ドクター・タマネギを特別に呼び寄せ、ランスへの贈答用のSEX奴隷に仕立て上げたのである。
ランスをDX会に招待し、そのスペシャルメイドのSEX奴隷"あおい"をプレゼントするグラック。
当然ランスは喜んでそのプレゼントを受け取った。
あおいはランスに仕えることになり、その情けを四六時中待ち続けるようになる。
余りに淫らなあおいの風情に思わず勃起してしまったランスに対して、犬のように媚を売るあおい。
ランスは大急ぎであおいをリーザス城に連れ帰り、SEX奴隷というものを楽しんだ。
SEX奴隷とは自我を破壊され、男性に尽くすだけのロボットにされた者のことを指す。
人の性欲に奉仕する為だけに改造されてしまった奴隷である。
あおいの場合は特別製で、舌や性器だけでなく後ろの穴も男性にとって最適な具合になるように改造されている。
さらに鞭で叩かれても傷は残らず、その痛みを快感と認識するように調教されていた。
スタミナや耐久度も大幅にアップされており、輪姦プレイにも3日は体力が保つ用に設計されている。
ランスはあおいの具合の良さを存分に楽しみ、あおいもランスのハイパー兵器で何度も絶頂に上り詰める。
どんなに乱暴に扱ってもあおいはそれを快感と受け止め、発情した可愛い顔と鳴き声でランスを楽しませ続けた。
あおいは調教される過程で数多の男性器をその蜜壷に収めている。
だからこそあおいはランスのハイパー兵器の違いを誰よりも正確に理解出来た。
こんなに凄いの初めてと喜びを露にし、ランスに捨てられないように精一杯奉仕するのであった。
あおいを味わった後、ランスはマリスを呼び寄せてSEX奴隷というものがどういうものなのかを確認する。
あおいのようなSEX奴隷で富を得ているDX会について、少し考え込んでしまうランス。
それでもランスは、あおいを手元に置き続けた。
完璧に仕立て上げられてしまったあおいを元に戻すのは、かなり難しいものであることを知ってしまったからである。
あおいは、SEX奴隷として、ランスに大事に飼われ続けることになる。
後に、前の穴しか使用しなかったランスが、後ろの穴にも興味を持つようになると、あおいは格好の実験材料になる。
あおいの後ろを楽しみ、その扱い方を学んだランスは、ハーレムの女たち全員の後ろの処女を奪うことを画策するようになる。
結果として、多くのランスの美姫たちが、あおいのせいで、未知の世界に引き釣り込まれてしまったのである。
あおいは、最終的にその身を元に戻して、普通の妾妃としてランスに仕えるようになるのだが、それには一人の女性の尽力があった。
その女性とは、あおいと同様に、SEX奴隷として調教されてしまっていたリズナその人である。
あおいの精神は崩壊しているが、リズナは景勝のおかげで正気を取り戻していた。
だが、躰はSEX奴隷のままである。
リズナは、快楽に流されやすい自分を必死に律し、常人の生活を取り戻そうと日々頑張っていた。
ランスは、そんなリズナをあおいに引き合わせる。
リズナは、あおいのペースに巻き込まれること度々であったが、同じ受難の道をいくあおいを放ってはおけず、何かと面倒を見ることになる。
最終的にリズナは、自分よりもあおいの回復を優先させてしまう。
自分の身を元に戻そうとしてくれたハニーキングに対して、自分ではなくあおいに呪文をかけるようにお願いしたのである。
ハニーキングの特殊な呪文によって、あおいは普通の躰と精神を取り戻す。
すぐに人格崩壊を起こしてしまいそうになるが、ランスやリズナの献身的な看病によって持ち直していくあおい。
もともとあおいは精神的にタフな女の子であった。
逆にそれがアダとなり、より完璧なSEX奴隷になってしまったのである。
SEX奴隷になっていた間、ランスがすごく優しくSEXして、自分を歓ばせてくれたことを、あおいは理解していた。
ランスに抱かれている間だけが、あおいにとって満足でき安心できる時間であった。
その強烈な印象は、普通の躰に戻った後もあおいの記憶の中に残り続けていた。
SEX奴隷に戻ってしまうのではないかと不安に感じながらも、ランスに抱かれると安堵してしまう矛盾に囚われるあおい。
そうこうするうちに、ランスの子供を身篭ってしまうのであった。
<LP3年7月3日>
リーザスの自由都市国家群の掌握作戦は、順調に進んでいた。
残すところは、南方の諸都市である。
ランスは、まず手始めに、Mランドの南東に位置するポルトガルの攻略に取り掛かった。
ポルトガルは、東方の島国JAPANとの交易を一手に引き受ける都市国家であり、商人が多く住んでいる。
都市の運営に関しても、商人が評議委員となり、持ち回りで都市長を務め、商人が住みやすい政策を維持していた。
現都市長のゴアも、JAPANとの交易で巨額の富を得ている豪商であった。
ポルトガルを併合する上で、王妃のリアは、武力制圧を提案する。
反対に、侍女のマリスは、話し合いでの統合をランスに勧めた。
リアの意見は、武力を見せ付けた方が、ポルトガルの海千山千の商人たちの掌握が楽になるという観点から導き出されたものである。
マリスの意見は、ポルトガルの背後に控えているJAPANの出方を懸念したものであった。
武断的なランスには、リアの意見がもっとものように思われた。
そんなとき、呼ばれもしないのに、政商のプルーペットが参上してきた。
リーザスの南部域侵攻を伝え聞いた御用商人プルーペットは、ポルトガルにある自宅を守るため、あわてて宮廷に押しかけたのである。
被害ばかり大きい戦争の愚をランスに説き、和平によるポルトガル併合を持ちかけるプルーペット。
嫌な顔を見せるランスに対して、プルーペットは、ポルトガルの無血占領のための準備金として、巨額の資金を提供した。
ランスは、何食わぬ顔で、そのお金を受け取る。
だが、内心ランスは、逆に武力侵攻を決断してしまっていた。
妙に金払いの良いプルーペットを見て、ポルトガルの豪商どもの資産がどれくらいのものなのか想像がついたためである。
もし、マリスの懸念どおりJAPANが出張ってきても、リアの言うとおり、JAPANごと己の手中に収めればいい話であった。
ランスはプルーペットの献金を使って、ポルトガルへの出兵を急がせた。
<LP3年7月4日>
ランスは、ポルトガルの武力占領に乗り出す。
即断即決であった。
もたもた和平交渉などしていたら、ポルトガルを根拠地とする豪商たちが、自分たちの富を隠したり他に移してしまいかねなかった。
市街の制圧と同時に、豪商たちの住居を襲ってその富を接収する予定だったのである。
ランス自らが兵を率い、ポルトガルへ進軍する。
対するポルトガルは、市街に被害が及ぶのを嫌がり、都市に篭って戦をすることを避ける。
ポルトガルは、傭兵を中心とした1200名の騎士を動員して、リーザスの攻勢を防ごうとしたが、勢いで完全に負けていた。
ポルトガル軍の将軍は、ポルトガル名物のカステーラとタバーコを守るため、死力を尽くすが、あっさりと打ち破られてしまうことになる。
リーザス軍がポルトガルの市街に攻め込んだことにより、豪商たちの邸宅は全て荒らされてしまう。
リーザスの宮廷に出入りしている政商プルーペットの豪邸も、例外ではなかった。
作戦が順調に進んでいることを確認し、満足するランスであったが、プルーペットの元にいたレベッカという少女のことを思い出してしまう。
慌ててプルーペットの家に駆けつけたランスは、レベッカが小さなナイフを握り締め、自殺しようとしているのを見ることになる。
プルーペットの姿は既になく、レベッカ一人であった。
術が解けているらしく、感情をあらわにするレベッカ。
ふくまんに改造され、沢山の男たちに犯されて穢れてしまったことを嘆き、自暴自棄になっていた。
レベッカは、プルーペットの人形となり、男たちに抱かれていた間も、しっかりと世界を認識していたのである。
ランスは、生きていれば幸せになれると、レベッカを説得する。
悪いのはプルーペットであり、レベッカは何も悪くないと、優しく語り掛ける。
だが、レベッカは、自分が生きていても、男に利用されるだけであり、男を幸せにするための道具にしかすぎないと、泣くばかりであった。
そんなレベッカを引き止めたのは、ランスのこれまでの行動であった。
ランスは、プルーペットに勧められても、レベッカを買おうとはしなかった。
男が富を蓄えたならば、誰もが次に幸せを求めるものである。
だが、ランスだけは、レベッカを抱こうとしなかったのである。
それだけが、レベッカの心に引っかかっていた。
改造され、多くの男に犯された自分は、抱く価値がなかったのかと、ランスに尋ねるレベッカ。
だが、可愛い女の子に貴賎はないと座右の銘を吐き、ランスはそれを明確に否定する。
理由もないのに、自分を抱こうとしなかったランスの優しさを不思議と感じ取ってしまったレベッカは、態度を軟化させる。
最後に、レベッカは、ランスの言うとおり自分が本当に幸せになるかを、ランスにたずねた。
自分に身を預ければ、必ず幸せにしてみせると豪語するランス。
ある意味、プロポーズのような言葉であった。
レベッカは、こんな自分でも側にいていいと言ってくれたランスを信じてしまう。
ナイフを落とし、ランスにその身を預けるレベッカ。
ランスは、そのレベッカの華奢な躰を抱きしめ、自分のハーレムに連れ帰り、大事に保護することになる。
レベッカは、ランスのハーレムで暮らすことになり、正式に妾妃待遇を与えられる。
皆に傅かれる立場となり、レベッカを利用したり、虐げようとする者はいなくなる。
素直で、人形のような容姿のレベッカは、他のハーレムの住人からも愛されるようになり、幸せな雰囲気の中で生活することになる。
特に王妃のリアなどは、何かとレベッカに目をかけていた。
しかし、人の好意に慣れていないレベッカは、なかなか皆と打ち解けれなかった。
ふくまんになってから人と接することがなくなり、その後遺症で、レベッカは上手く自分を表現できない。
プルーペットに買われる以前も、借金まみれの家族の一員であったことから、まともな生活を送ってこなかったことも原因であった。
皆と棒姉妹になれば打ち解けれると、ランスに抱かれることになるレベッカ。
意識がちゃんとした状態で男に抱かれるのは初めてであったレベッカは大いに緊張する。
しかし、ふくまんとして男性に抱かれていたときの癖が抜けきらない。
レベッカは、ランスのキスや乳や秘所への愛撫に対して、目を見開いたまま全く反応しなかった。
そして、レベッカの躰は、まだふくまんのままであり、かけられていた魔法の効果が残ったままであった。
濡れていないのに、ランスのハイパー兵器をスルリと飲み込み、ランスを極楽に連れて行ってしまう。
ランスが耐え切れず放出した瞬間、躰中に光が走り、不可思議な感覚を得ることになる。
それが、プルーペットの商品「ふくまん」の効果であり、ランスは気づかぬうちに、幸運度を大幅に上げてしまっていた。
セックスの最中、なんか違うという表情をランスが浮かべていたことを、しっかりレベッカは見て取っていた。
やはり自分の躰がおかしく、幸せになってはいけないのだと泣くレベッカ。
しかし、そのくらいでは、ランスはへこたれなかった。
何回もすれば魔法も消えるかもと、ランスは強引にレベッカを何度も抱こうとする。
レベッカは、そのランスの強引さに不思議と魅せられていく。
ランスの側にいれば、本当に幸せになれそうな気がして、微笑を取り戻していくのであった。
何度もランスの躰を合わせていくうちに、次第に普通の女の子らしい抱かれ方を取り戻していくレベッカ。
特に、ランスとのキスは、レベッカのお気に入りであった。
ランスの舌に、自分から舌を絡ませ、幸せに浸るのである。
最初のうちは、その細い指で、ランスの躰を掴むのが、精一杯のレベッカの反応であった。
次第にふくまんの効果も薄れていき、奥の方をハイパー兵器で刺激されると、可憐な反応を見せるようになっていく。
プルーペットのところにいた頃、レベッカは、妊娠しないように避妊薬を摂取していた。
ランスのハーレムに来てからは、そのような薬は一切服用しなくなる。
しばらくすると、薬が全て抜けた状態となり、レベッカは妊娠できる躰となる。
いずれはランスの種を宿してしまうことになるのも、当然の帰結であった。
ランスのおかげで、生き別れた姉と出会えたことも、大きくレベッカの体調に影響を与えていた。
妊娠して以降、ふくまんの効果が完全になくなり、改造されていた秘所も、元に戻ってしまう。
ランスの御子を出産したとき、レベッカは、本当の意味でふくまんから解放されることになったのである。
ちなみに、レベッカは、プルーペットの指示で、客に抱かれる前に、花の香りのする香油を秘所に塗っていた。
JAPANの高級遊郭などで花魁がする、身だしなみの一つである。
ランスはその作法を好み、レベッカにその癖を直さないように指示する。
この経緯が、レベッカと親しいメイドに伝わり、ハーレム内を伝播し、ランスが好むと知ったリアも、そうするようになる。
リアもしているということで、いつの間にか褥での貴婦人の嗜みとして、広くリーザスの上流層に認知されていった。
ハーレムの妾妃たちは、礼儀作法の一つとして、否応無く、香油を使い方を学ぶことになるのである。
妾妃の中には、ランスに自分をアピールするために、特別に調香師に自分のイメージに合わせて、花の香りを作らせる者もいた。
<LP3年7月5日>
リーザス王国のポルトガル占領の一報は、すぐさま隣国のJAPANに届けられる。
この知らせは、JAPANにて一部の時流を読むに長けた者たちに衝撃を与える。
JAPANの権力者たちは、ポルトガルとの交易を独占し、巨万の富を得ていた。
JAPANは、遥かな昔に大陸から分離した、大陸東部に浮かぶ島国である。
大陸とは天満橋と呼ばれる巨大な橋で結ばれている。
国民の大部分が農業に従事しており、国内のことは国内で賄える体制が整っていた。
大陸とは、だいぶ異なる独自の文化を育んでいるJAPAN。
テンプラ・ゲイシャ・フジヤマ・ハラキリなどが、大陸でも有名であった。
士農工商の身分制度が確立しており、礼儀を尊ぶ民族である。
戦闘階級の武士にとって、恥は何よりも許されざるものであり、簡単にハラキリしてしまう。
しかし、侍の戦闘力は、大陸の兵よりも遥かに上で、その死を恐れない戦いぶりは脅威であった。
かつて、藤原力丸という一人の英雄が、JAPANにいた。
藤原力丸は、JAPANの手勢を率いて、大陸の過半を制圧し、魔人に戦いを挑んた。
しかし、当時の魔王ナイチサが、配下の魔人サビエルをJAPAN本国に送り込んでしまう。
魔人の侵攻により、栄華を誇っていた藤原王朝は倒れた。
魔人ザビエルの支配化に置かれ、次第に荒廃していくJAPAN。
やがて月餅という天志教の僧侶が現れ、魔人ザビエルを封印することに成功する。
JAPANから魔人の脅威は去ったことで平和が訪れると思われた。
だが、JAPANは群雄割拠の状態となり、その後も二千年もの長きに渡る戦乱の日々を重ねることになる。
二千年以上にわたるJAPANの戦乱は、JAPAN中部の尾張の国に登場した一人の殿様の活躍によって、終焉を迎えようとしていた。
織田信長である。
信長は、急死した父・信秀の位牌に砂をかけ、急病と偽って弟・信行を呼び寄せ自らの手で刺し殺した。
その後、織田本家や主家を皆殺しにして、瞬く間にオワリの国を統一してしまう。
隣国の大国今川家を桶狭間にて奇襲で打ち破り、妻の実家や妹の嫁ぎ先を容赦なく攻め滅ぼして、天下に覇を唱えた。
京に上った信長は、形骸化した将軍家や公家を追放する。
そして、LP2年6月。
ついに信長は、長年敵対していた大和の原家を滅亡に追いやることに成功する。
原家を滅ぼし畿内を制覇した信長は、叡山や本願寺の坊主たちを残らず焼き殺し、大阪に巨城を作った。
その後、織田家は、上杉・武田・毛利などの天下取りのライバルたちを次々と攻め滅ぼしていく。
LP3年の時点で、JAPANの実質的な支配者は、信長であった。
信長に歯向かう有力な諸侯は既に無く、幾つかの東国の小国が無駄な抵抗を続けているくらいである。
織田家の将軍たちが、各地に散らばってそれぞれに反乱分子を掃討する、天下統一の総仕上げの段階に入っていたのである。
そんなときに、大陸側の友好国であったポルトガルが滅びたという報告が、大阪城の信長の元に届けられることになる。
信長は、リーザス王ランスが自由都市地域の過半を制したことを知る。
ポルトガルの不甲斐なさを嘆く信長。
早急に、リーザス王国への対応を取り決めなければならなかった。
家臣の中でも特に武断派の柴田勝家などは、毛唐が攻めてくるといきり立った。
こちらから先手を取って奇襲をしかけるべきと、信長に意見を具申する。
信長にサルと呼ばれて可愛がられている藤吉郎は、その勝家の猪武者振りを揶揄して騒ぎ立てる。
勝家と籐吉朗の争いを楽しみながら、信長は勝家の言葉を認め、いずれはランスは敵となるであろうことを冷静に予測する。
しかし、信長は、籐吉朗の勧めるとおりに、仮の和平をリーザスと結ぶことを選ぶ。
織田家は、まだ完全にJAPANを制圧したわけではないからである。
だが実際のところ、信長がリーザスとの和平を選び時間稼ぎに徹しようとした理由はそれだけではなかった。
もっとも戦争を主張する勝家に、和平の使者となることを命じる信長。
勝家は、信長の名代となることを光栄に思い、感激する。
信長は、勝家に対してついでにランスという人物がどれほどのモノか見てくるように命じる。
勝家は大急ぎで準備を整え、大阪城を飛び出していった。
<LP3年7月6日>
主命を受けて大陸に向けて駆ける勝家を、密かに追尾する二十人ばかりの集団がいた。
織田家に滅ぼされた原家の残党であった。
奇妙なのは、その集団の半数が、妙齢の女性で占められていたことである。
彼女らは、原家の乙女組と呼ばれ、原家が滅んだ後に名を上げ、世間で密かに持て囃される存在であった。
原家は、大和の国を治める大名であり、大仏を守護し、強力な軍を誇る小国であった。
原家の侍の剛勇振りは、諸国に鳴り響いていた。
また、JAPANの心とも言える東大寺を守護するだけあって、多くの術者を抱えていた。
優秀な忍を多く輩出することで名高い忍者軍団・剣菱党が原家に仕えており、諜報活動においても他国の追随を許さない。
そんな原家だからこそ、戦が始まってから10年も、織田家に抗い続けることができたのである。
しかし、長きに渡る戦乱の中、突如原家の家老の一人が織田家に寝返ってしまう事件が発生してしまう。
この事件以降、原家はその勢力を急速に衰えさせてしまうことになり、織田家の攻勢を支えきれなくなる。
そして、天下分け目の天王山の戦いで織田家に破れ、原家は多くの侍を失ってしまった。
戦力が激減し、織田軍の大和の国への乱入を阻止できなくなり、原家は滅亡の憂き目を見ることになる。
LP2年6月15日。
原家は織田家に攻め滅ぼされた。
当主の原春影を始め、一族の主だったものは、最後の決戦の場所となった東大寺にて全て討死。
原家で生き残ったのは、春影の娘・京姫ただ一人となる。
その京姫も信長に捕らえられ、罪人の流刑地とされるクロウの迷宮に幽閉されてしまった。
LP2年7月。
原家の領内に、信長の触れが出される。
それは、クロウの迷宮から京姫を助け出せば、京姫を娶ることを許し、原家再興の機会を与えるというものであった。
しかし、原家の領内には、最早まともに剣を持てる男はほとんどいなかった。
触れの書かれた立て看板を見ても、誰もが皆諦めた。
信長は、長年逆らい続けた原家に対して、憎しみの感情を滾らせいた。
その憎しみを晴らすべく、信長は大和の国のほとんどの男子を殺してしまう。
原家の民の心の拠り所であった大仏は焼かれ、坊主は殺され、忍者たちは残らず狩り出された。
そして、無力になった原家を嘲笑うだけのために、触れを出したのである。
しかし、全滅した原家の侍に成り代わり、9人の乙女たちが立ち上がる。
職業も生まれも異なる9人である。
ただ一つの共通点は、皆が穢れを知らぬ乙女であり、命をやり取りの経験も無いヒヨっこだということだけであった。
【 あかね(足軽)17歳 】
原家の足軽の娘。
趣味は弟や妹と遊ぶことで、何よりも家族を大事にする、とても明るい娘である。
「がんばるっ。信長軍のやつらなんか、とっとと追い出してやりたいもんねっ!」
織田家に占領された大和の国では、織田家の兵士が我が物顔でのし歩く毎日となっていた。
あかねが可愛がってる弟が、酔っ払った兵士に因縁をつけられて、乱暴されそうになる。
あかねが止めに入り、散々に兵士のことを罵倒したため、騒ぎは大きくなってしまった。
斬り捨てられそうになるあかねを助けたのは、七緒であった。
七緒は、あかねの勇気に感じ入り、あかねに助力を求める。
あかねは七緒の思いに共鳴し、信長軍を大和の国から追い出すために、槍を取ってクロウの迷宮に馳せ参じた。
【 桧垣真朱(侍)18歳 】
原家の武臣・桧垣家の娘。
武術の訓練を趣味とし、父の形見の鎧を纏って敵と切り結ぶ、とても凛々しい娘である。
「父の無念は私が晴らすわ、必ず・・・!」
真朱は、厳格な父から武芸を鍛えることを禁じられ、悔しい思いをしながら日々を過ごしていた。
二人の兄が討死して嫡子がいなくなっても、決して自分に刀を取らせない父の姿勢に絶望する真朱。
その父が討死し、原家が滅び、信長の沙汰が出されたとき、真朱は初めて父の意に背いた。
母の前で、桧垣家に代々に伝わる緋縅の鎧を身につける真朱。
兄たちを主と認めなかった緋縅の鎧は、真朱を新たな主と認めて甲高い鳴き声を上げる。
そのとき初めて真朱は、娘の幸せを願っていた父の真意を知ったのであった。
【 立湧七緒(侍)17歳 】
原家の武臣・立湧家の一人娘。
物静かで、写経を趣味とし、その可憐な外見どおり、花を愛でて人々を愛す、とても心優しい娘である。
「姫がお気の毒です。早くお助けしなくては・・・城下の皆さんが苦しんでいるのも、見てはいられません」
立湧家は、忠義の為に散る武士道を貫く、原家の家臣団の中でも一際誇り高い家柄である。
七緒の父も、武士道を全うしてから、倒れた豪の者であった。
背中から心臓を貫かれながらも敵将の首をはね、馬から降りてその首を掲げて勝ち名乗りを上げてから、見事に大往生を遂げたのである。
幼少の頃から女らしく育てられた七緒。
だが、13のときに母が病死して以降、立湧家の唯一の嫡子として、父から剣術を習うようになる。
父が死に、立湧家を継いだ七緒は、姫とこの国の平和を取り戻す為に、初陣に臨む。
父と同じ修羅の道を進むかもしれないことを密かに案じつつも、七緒は己の運命を静かに受け入れようと決めていた。
【 一条春菜(柔術士)16歳 】
かつて西国で名をはせた柔術の達人・一条某の養女。
洗濯や掃除が大好きで、武道家として清清しく生きて行きたいと願う、とても一途な娘である。
「私、柔術の腕はまだまだだけど・・・心は武道家のつもりです。だから、皆さんのお家再興を手伝わせて下さい」
春奈の本当の父親は、御前試合で養父と死合をして、不幸にも死んでしまった。
養父は、身寄りの無くなってしまった幼い春奈を引き取り、道場を閉めて柔術を捨て、巡礼の旅に出た。
養父は、春菜が物心つく前から、自分が親の仇であることを言い聞かせ続ける。
しかし、春奈は養父を怨まず、反対に養父に柔術を返してあげたいと考えるようになっていた。
そして、決して自分に柔術を教えてくれない養父に内緒で、密かに稽古するようになっていた。
信長の立て札を見た春奈は、持ち前の正義感から、また自分の柔術を鍛える場を求めて、クロウの迷宮に挑むことを決意する。
【 剣菱このは(忍者)19歳 】
原家に仕える忍者軍団・剣菱党の頭領の娘。
趣味もなく、研鑽の日々を送り、忍びとして使命を果たすことを夢見る、とても一生懸命な娘である。
「必ず、姫をお助けするわ。たとえ自分が死んでもね」
このはは、頭領の娘として生きる心算は毛頭無かった。
通例ならばクノイチになるところを、あえて忍者となることを選び、中忍の兄が率いる部隊に配属されることになる。
兄が死に、上忍たちが織田家の手のモノに敗れ去り、頭領が呪殺され、剣菱党は空中分解していく。
しかし、女のこのはの能力は、他の下忍たちに比べても大幅に劣っていた。
そのため、一度も任務を与えられることなく、原家と剣菱党の滅亡を迎えることになる。
何もできなかった自分を責めるこのはは、信長の触れを知って大いに勇躍し、京姫を助けることを己の全てを掛けた使命とする。
【 愛(クノイチ)22歳 】
原家に仕える忍者軍団・剣菱党のクノイチ。
お酒を嗜むことが好きで、そのかわりいつもおっとりと微笑むだけで本心を明かさない、とてもミステリアスな娘である。
「うふふ、わたくしなどがお役にたてれば良いのですが・・・」
愛は、剣菱党のクノイチの中でも、最も妖艶な容姿と雰囲気を持つ美女である。
しかし、忍者としての能力と適性は最悪で、今まで一度も任務を与えられたことがなかった。
その美し過ぎる容姿は、完全に宝の持ち腐れとなってしまっていたのである。
織田家との戦いにおいても、傷ついた仲間たちへの手当てを手伝ったり、食事を作ったりと、補助的な仕事しか割り当てられない。
だが、下忍のこのはだけは、愛がただ単にサボっているだけであることに気づいており、クロウの迷宮に共に挑むように命令する。
愛にその命令を聞く義務はなかったが、激情に駆られたこのはの苦しげな表情に心を動かされ、愛は嫣然とその命令に従うことを告げた。
【 美鈴(呪術士)16歳 】
呪術士用の鈴を売る鈴屋の、京の町に居を構える大店の二女。
ふかふかおふとんが大好きで、お花を摘んだり、蝶々を追ったりと日々楽しければなんでもOKという、とても不思議な娘である。
「あのぉ、師匠が行方不明なんです・・・たぶん死んでらっしゃるんでしょうけど・・・修行しなくちゃ」
鈴屋で姉の手伝いをしていた美鈴は、いつしか自分も鈴を扱う呪術士になりたいと思うようになっていた。
客に弟子入りすることを姉に止められた美鈴は、あっさりと家出を決意し、一流の師匠を探して旅に出てしまう。
一年後、ようやく弟子入りができたのだが、その師匠は原家に雇われて織田軍との戦に参戦し、行方不明になってしまった。
ちょうどその頃信長のお触れが出され、美鈴は、師匠の死体を捜すために、クロウの迷宮に入ることをあっさりと決めてしまう。
修行にもなるし、姫を助ければ有名になれるかもしれないし、なんか楽しそうだったからという至極どうでも良い決め方であった。
【 鈴木ミオ(天志僧)16歳 】
原家の武臣・鈴木家の娘。
幼き頃より強い思いを抱いて天志教に帰依し、座禅を組んでの瞑想を日々欠かさない、とても生真面目な娘である。
「若輩ながら、拙僧が助太刀いたす」
ミオは、戦乱による人々の死に心を痛め、6歳の幼さで出家を決意する。
世に飽いたのではなく、男女平等に戦うことが許されている天志僧の僧兵になって、戦乱を終わらせる為に戦うためであった。
出家できる年齢になってすぐに高野山に入山したミオ。
百日行の途中で戦で重傷を負った父の危篤の知らせを受けるが、修行を続けて初志貫徹する。
百日行を終えて家に戻ると既に弔いは終わっており、元服前の弟が甲冑を身に纏い、父の仇を討つと息巻いていた。
ミオは弟の頬を張り、自分が討たれるまで家で母を守るように、涙を浮かべながらもきつく言い聞かせた。
1年後、僧兵となったミオは、死闘を禁ずる教義に背き、家名を伏せて一介の天志僧として、教義に則って魔王信長を調伏すると宣言して参戦する。
【 篭目(ぬへ)10歳(生後4年)】
原家の城付きの高名な呪術士・草壁翁が、百八種の鉱物と参百六拾伍の原料から作り上げた戦闘用人造生物"ぬへ"。
高位の魔物と同様に篭の目を数えるのが好きらしく、表情の無い目でいつもじっと篭を見つめている、とても不気味な娘である。
「・・・・・・」
強大な力と技術を持つ呪術士・草壁翁の最後の作品にして、最高傑作。
"ぬへ"とは、体の器官は人間のそれとほぼ変わりないが、人格と痛覚を持たず、痛みも恐怖も感じない最強の兵士である。
篭目は、その"ぬへ"の中でも、特に強力な個体に成長する可能性を秘めており、草壁翁によって大切に育てられる。
通常六歳ほどの童子形で生まれ、その後十二年の育成期間を経て実戦に使用されるが、生後4年で草壁翁は死んでしまう。
城に織田軍の攻撃が加えられたとき、草壁翁はまるで愛娘であるかのように篭目を守って、満足げに死んでいった。
その後、篭目は原家の残党に保護されることになり、8年もの育成期間を残して実戦投入されることになる。
誰にも期待されることなく、集まった9人はクロウの迷宮に挑んでいく。
戦いの腕前に関して言えば、全く素人の域を出ないレベルであった。
重い鎧に脚を取られ、握った刀や槍は、彼女たちの腕の非力さに震えていた。
1匹のグリーンハニーでさえ、彼女たちの手には余った。
それでも、乙女たちは諦めず、戦い続け、数々の試練に打ち勝っていく。
療養中の原家の侍・安藤進右衛門に武芸の型を習いつつ、着実に一人前の侍や術者に成長していった。
9人の中には、迷宮の中で倒れ、敵に捕まり、弄ばれてしまう者もいた。
しかし、仲間たちで助け合うことによって、そんな艱難辛苦さえも乗り越えて、乙女たちは着実に目標へと進んでいく。
クロウの迷宮に入ってちょうど一ヵ月後。
乙女たちは、ついに迷宮の最下層に達し、迷宮の主であるヨシツネを討つことに成功する。
しかし、褒美として信長から与えられたのは、更なる苦難の道であった。
乙女たちは、京姫を本当の意味で解き放ち、原家を再興するためには、信長本人を倒さなければならないことを知る。
皆の元へ戻ってきた京姫は、拳大の水晶の中に封じられていたのである。
そして、約1年の月日が流れ・・・。
乙女たちは、まだ戦い続けていた。
クロウの迷宮を出た後、乙女たちは、打倒信長の思いを胸に秘め、戦い続ける道を選んだのである。
迷宮で培った己の力を頼りに、信長に敵対する勢力に身を寄せ、信長を討ち取る機会を探る乙女たち。
獲物を狙う獣のように、日々その牙を砥ぎ続ける。
しかし、立ち向かうには、織田家の勢力は巨大すぎた。
ほとんどの国が織田家に従属してしまっている。
中には信長に擦り寄るために、積極的に乙女たちを狩ろうとする国まであった。
艱難辛苦の連続であり、心休まる時は無い。
だが、乙女たちは、それでも、信長を打倒し原家を再興させる夢を、決して諦めなかった。
そんなとき、織田家が大陸の王と同盟を結ぼうとしているという情報を、このはが入手してしまう。
もし、その同盟が成功すれば、織田家の天下は揺ぎ無いものとなってしまい、さらなる弾圧が繰り広げられることになる。
協議の結果、原家残党は、織田家の和平の使者を斬ることを決定する。
その和平の使者が、柴田勝家であることも、その決定に影響していた。
この勝家こそが、原家を裏切った家老であり、原家滅亡の切っ掛けを作った憎き相手であったのである。
そして、残党を率いる安藤進右衛門にとっては、なんとしても倒さなければならない男であった。
勝家は、幼少の頃からのライバルであり、また家族の命とその右手を奪った仇でもあった。
安藤進右衛門は、これを機に己の手で勝家を斬り、積年の恨みを晴らす心算だった。
無謀かもしれないが、織田家の重鎮である勝家を討ち取る機会は他にない。
それが勝家の思う壺とも知らず、安藤一行は夜陰に乗じて、勝家を襲撃する計画を立ててしまう。
安藤と乙女たちの他には、かつて安藤の下で戦った原家の侍10名が、この作戦に参加することになる。
これが、ここまで生き残った原家の全戦力であった。
使者として大陸に渡るため、勝家の率いる兵の数は戦に出るときよりも少ないが、それでも安藤たちよりも人数は多い。
しかし、多少の数の不利は、技量の差でカバーできる。
乙女たちは、クロウの迷宮にて鍛えられており、非力な女ながらも相当の腕前にまで成長していた。
一人一人の力量は、小国の侍大将クラスに匹敵するほどである。
決して成功率の低い賭けではないと思われた。
このとき、安藤によって、作戦を実行するにあたり、乙女たちを率いるリーダとして七緒が指名されることになる。
仲間たちを大切に思い、人の和を大切にする七緒は、皆から慕われている。
もともと乙女たちの中でも、中心的な役割を担っていた。
クロウの迷宮に挑んだときも、率先して音頭を取ったのは七緒だった。
そして、七緒は決して優しいだけではなく、冷酷に事態を割り切る冷静さも、その可憐な容貌の下にそっと隠していた。
安藤は七緒の本質を見抜いており、その上で、彼女をリーダーに任じたのである。
リーダーに任じられた後、七緒は安藤に呼び出される。
しばらく経って安藤の部屋から出てきた七緒は、蒼白な顔をしつつも、気丈にも顔を上げ、前を見据えて歩き出す。
かつて、初陣のときに七緒が漠然と心に描いていた不安が現実のものとなり始めていた。
七緒は父と同じ様に、自分も修羅道に足を踏み入れつつあることを感じていた。
勝家は、使者の役目を負いつつも、自らをオトリとして、原家の残党を呼び寄せる気構えだった。
特に意識はしていなかったが、そうなれば良い程度の考えで、護衛の数をわざと少なくさせていたのである。
信長には独断の行為であったが、自分が敗れるはずもなく、敗れたならば良い敵であったと満足して死ぬだけである。
槍を取ったら天下一と称される、思い立ったら一直線な"瓶割り柴田"の本領発揮であった。
もともと柴田家は、原家の家老の一つであり、対織田家において重要な戦力となっていた。
柴田家の当主となる前の勝家も、織田家との戦でその槍の腕前を存分に奮い、織田家の名のある武将を数多く討ち取っていた。
そんな状況に転機が訪れたのは、勝家の父が戦で討死し、勝家が柴田家の家督を継いだときであった。
信長は、原家の頑強さに腹を立て、皆殺しにする心算であった。
特に勝家に関しては、釜茹でにしても飽き足らないくらいであった。
しかし、とある戦場にて、勝家の戦い振りを見た信長は、その考えをスッパリと変えることになる。
勝家の戦い振りが、狂気に満ち溢れており、とても信長好みだったからである。
勝家の狂気に満ちた武勇は、織田家の家中にあってこそ振るわれるべきである。
そして原春影には勝家を飼うほどの器量はない。
きっと原家の家中でも勝家は浮いた存在のはずである。
そう考えた信長は、お庭番衆を呼び、勝家の身辺に潜んで、隙あらば勝家を引き抜くように命じた。
当然のことながら、引き抜けなかった場合は、即座に命を取ることになる。
信長は優秀な忍者を多数抱えており、その中でも一番優秀な月光としのぶのペアが、勝家の元へ送られることになる。
月光はこの年32歳。
甲賀の里の凄腕の忍者である。
師匠を殺し、追われていたところを信長に飼われた。
10年前の伊賀攻めの折、皆殺しを宣言していた信長の命に背き、一人の赤子を拾う。
信長の許しを得るため、左腕を切り落とした月光。
月光はその赤子を育て、己の技術の全てを教えていった。
それが、しのぶであった。
しのぶは師匠である月光の技術を受け継いでいた。
11歳という年齢にして、すでに人を殺すことに一切の心を動かさない完璧な殺人者になっていた。
しのぶは、月光と躰を交えて練習し、その幼さでクノイチの技術までも習得していた。
勝家の周囲に潜んだ月光としのぶは、しばらくして勝家の意外な性癖を目にすることになる。
戦場にて槍を振るう勝家の姿からは想像もできないことであったが、なんと勝家は重度のロリコンだったのである。
月光は、しのぶを使って勝家をおびき寄せる作戦を取る。
そして、勝家はものの見事にその作戦に引っかかってしまった。
月光は、しのぶで勝家の性欲を満足させた上で、織田家に寝返るように説得を開始する。
原家には領土拡張の欲はなく、織田軍が引き上げれば、織田領には決して攻め込もうとはしないはず。
言うなれば原家は、とても志が低い小さな国である。
しかし、織田家は違う。
信長公は、JAPANを統一した後、大陸に打って出るおつもりである。
勝家殿が思う様に槍を奮う機会も大いに増え、命を掛けて戦うに足る難敵が、勝家殿の前に数多く立ちふさがることになりましょう。
その月光の言葉は、まさしく勝家の我が意を得た内容であった。
信長の睨んだとおり、勝家は原家の家中では浮いた存在となっていた。
勝家の戦場でのあまりの暴虐振りは、武士道をモットーとする清く正しい原家の侍たちにとっては看過できないものだったのである。
しのぶの可憐さに酔っていた勝家は、月光の言葉に大いに頷き、織田家へ寝返ることを決めてしまう。
勝家は原家を裏切り、織田方に付き、原家との戦いにおいて大いに活躍し、かつての同僚たちを数多く血祭りにあげた。
信長は、勝家の武勇と性格を好み、新参者ながらも手厚く遇し、戦線の一方を任せてしまうほどであった。
勝家は奮い立ち、原家の侍たちの憎悪と共に、さらなる軍功を積み重ねていった。
東大寺の戦さにて、主君を守る安藤の右手を切り落とし、かつての主である春影に襲い掛かったのも勝家であった。
安藤は、このときお堀に転落し、九死に一生を得て、勝家への復讐を誓うことになる。
その誓いが、今果たされる時が来た。
安藤たちは、天満橋まであと少しというところで、街道を行く勝家一行に襲い掛かっていった。
襲撃者の中に、懐かしい安藤の顔を見つけた勝家は、生きておったかとカラカラと笑って槍をしごく。
しかし、安藤が率いている侍たちの数は少なく、それも約半分が女子と知ると、勝家は明らかに落胆の表情を浮かべる。
そして、これでは全く楽しめんわいと嘆いて槍を下ろし、日頃の鍛錬の成果を見るために、部下たちに戦いを任せてしまう。
あかねや真朱はその態度に憤り、すぐに勝家の顔色を変えてやるために、勝家の部下たちに襲い掛かっていく。
さすがに、乙女たちは強く、各々一騎当千の戦い振りを見せる。
しかし、相手は、日の本一の剛勇と知られる勝家が手ずから鍛えた優秀な侍たちであり、弱いはずがなかった。
敵が女ながらも侮れない技量と見るや、即座に態勢を立て直し、連携して打ち込んでくる。
勝家の部下たちの技量を見誤っていた乙女たちは、期待していたほどの戦果を挙げれず、歯噛みすることになる。
勝家の部下たちは皆、通常の織田家の侍よりも数段強かった。
そのため、乙女たちほどの技量を持たない安藤の部下たちは、当然のことながら押され気味となる。
中には一撃で切り伏せられてしまった者までいた。
安藤が助力しなければ、もっと多くの部下たちがやられてしまっていただろう。
安藤は、この戦場において別格だった。
片腕なのに、乙女たちでさえも、1対1では決して敵わない腕前なのである。
安藤は、片腕ながらも流麗な刀捌きを見せて、織田家の武者たちを圧倒していく。
さすがに剛勇を知られた原家の侍大将だけあって、強かった。
部下たちがなんとか粘っているうちに、安藤は勝家の部下を三人片付けてしまう。
安藤の活躍によって、安藤の部下たちは勢いを盛り返し、勝家の部下たちと互角以上の戦い振りを見せる。
しかし、その優勢は、あっという間にひっくり返ってしまう。
一進一退の戦いに焦れ、安藤の戦い振りに触発された勝家が、ついに槍を取って戦闘に参加してきたからである。
安藤の戦い振りを天晴れと笑い、さすがは原家の侍大将よと、上機嫌になって打ちかかる勝家。
立ち塞がった安藤の部下たち数人を、槍を軽く振るってあっさりと突き殺し、安藤に迫っていく。
その迫力は、武神の如く圧倒的であり、直感的に敵わないことを悟ってしまった乙女たちは、動けなくなる。
クロウの迷宮の最下層で、クロウの最終形態に相対したときに感じた以上の、凄まじいプレッシャーであった。
安藤は、乙女たちや残った部下たちに対して、勝家に手を出さないように告げ、一人勝家に切りかかっていく。
打ち合うこと数合。
勝家が昔を懐かしむかのように安藤の剣裁きを楽しんでいたのに対して、安藤の方は必死だった。
技量が隔絶していれば別だが、同等かそれ以上の相手と馬上で戦うときに、両の手が利かないことは致命的とも言えた。
それでも安藤は、万が一のチャンスを狙い、抗い続ける。
安藤の不自由さを見抜き、弄ぶように振るう槍のスピードを上げていく勝家。
恐るべき速さで槍を振るう勝家であったが、まだまだ全く本気を出していなかった。
安藤が完調であったとしても全く敵わないほど、信長の下で戦に明け暮れた勝家の技量は上がっていたのである。
七緒やミオが安藤を助けようとしても、勝家の部下たちが厚い壁となって立ち塞がり、前に進めない。
ついに勝家の剛槍を捌ききれなくなった安藤は、大きく体勢を崩してしまう。
最早、戦いを続ける価値もないと判断したのか、ギラリと目を光らせて、勝家はついに本気を出す。
雷光のような薙ぎが安藤に襲い掛かる。
その一撃を、安藤の目は全く捉えることが出来なかった。
残っていた左手は無残にも斬り飛ばされ、安藤は馬上から地に転げ落ちる。
乙女たちは、その光景に目を見張り、悲鳴を上げた。
まるで達磨のようじゃわい!と笑う勝家。
両手を失ってしまった安藤に、最早如何なる反撃も不可能である。
安藤は、乙女たちに対して力の限り、逃げろと叫ぶ。
次の瞬間、ドガッという音と共に、安藤は胴を勝家に突き抜かれる。
勝家は、安藤の躰に刺さったままの槍を軽々と持ち上げてしまう。
槍はブンッと振られ、安藤の躰は思いのほか遠くまで投げ捨てられた。
地面に打ち付けられたとき、すでに安藤は絶命していた。
それは、乙女たちにとって、悪夢以外の何物でもない光景であった。
安藤は、言うなれば彼女たちの全員の師であった。
安藤の導きがなければ、クロウの迷宮を制覇することは叶わなかったのである。
あかねやこのはなどが、激情に駆られて安藤のもとへ駆け寄ろうとし、ミオや愛がそれを必死に止めた。
安藤の死を悟った七緒は、即座に撤退を宣言し、皆に逃げるように指示を出す。
その七緒の決断に憤激する真朱やあかねたち。
だが、リーダーの命令は絶対という取り決めであり、何より七緒の辛そうな顔が全てを物語っていた。
こんなところで犬死するわけにはいかないため、泣く泣くその判断に従うことになる。
乙女たちは、戦場からの離脱を図った。
だが、戦闘から離脱したのは乙女たちだけであり、安藤の部下たちはその場に留まり続ける。
彼らは、襲撃に失敗した場合、乙女たちを守って死ぬように安藤から頼まれていたのである。
どんなときも、女子は守らなければならないという武士道に殉じて、刀を振り続ける安藤の部下たち。
彼らもまた、原家の立派な侍だったのである。
乙女たちの中には、なんで!?と叫んで戻ろうとする者もいた。
だが、七緒はそれを許さず、ただまっすぐに駆けるように叱咤する。
日頃の物静かで可憐な七緒は、そこにはいなかった。
安藤から後を託され、修羅の道を往くことを決意した七緒がそこにいた。
数分も経たぬうちに、安藤の部下たちは皆、安藤の後を追うことになる。
それでも安藤の部下たちは、乙女たちが逃げおおせるだけの時間は稼いでいた。
通常ならば、原家の残党を生きて帰らせるわけにはいかず、追撃すべきであった。
部下たちも、逃げたのが妙齢の女たちということで、露骨に追撃を進言する。
しかし、当の勝家は、逃げたのが女子ばかりであると知って、興味を失ってしまっていた。
勝家は、信長様に与えられた使命を果たす方が先じゃ!と吼えて、部下を殴りつけた。
勝家が追撃を指示しなかったのは、ただ単純に、勝家の好みの女がいなかっただけのことであった。
だが、この勝家の決断により、乙女たちは虎口を脱出することになる。
作戦失敗にうな垂れる乙女たち。
安藤の死が、乙女たちに大きな衝撃を与えていた。
今まで自分たちを心身両面から守ってくれていた、その安藤は、もういない。
そして、最早、原家の戦力は乙女たちだけになってしまったのである。
それでも、彼女たちは諦めるわけにはいかなかった。
最後の一人になっても、原家再興の夢のために足掻き続ける。
それが彼女たちの誓いであった。
<LP3年7月7日>
栄えある信長の名代を務めることになった勝家は張り切る。
昼夜問わず駆けに駆け、リーザス城に乗り込んでいった。
突然の珍奇な来訪者に、リーザスの宮廷は大騒ぎになる。
王の職務として謁見の間にて民の陳情を受けていたランスは、その騒がしさに眉を潜める。
ちょうど謁見の時間が終わり、執務室に戻ろうとしていたところであった。
マリスがJAPANからの使者が来訪したことを伝えると、ゲイシャガールが訪ねてきたのかと冗談を口にするランス。
マリスはその冗談を完璧に受け流し、柴田勝家という武将がやってきたことを正確に報告する。
ランスはつまらんと文句を言いながらも使者と通すように命じた。
部下に使者を通すように命じるマリスであったが、その命令を発している途中で、勝家が謁見の間に乗り込んできてしまう。
勝家の後ろには勝家を止めようとした二人の衛兵がのびてしまっていた。
手始めにゲイシャの美しさについて勝家に話を振るランス。
勝家はそのランスの問いに答え、JAPAN美人の肌の白さと恥じらい方について熱く語る。
ふざけた質問で勝家の人物を見る心算であったランスも、次第にその目的を忘れる。
ランスは勝家の語るJAPAN美人について想像を膨らませてしまい、涎を垂らしそうになる。
マリスが止めなければ二人はいつまでもJAPAN女性の素晴らしさについて、論じ続けていたであろう。
マリスの割り込みで役目を思い出した勝家はランスとの交渉に入る。
大陸の建造物について不平を言いつつも、冷たい大理石の床にどっかと胡坐をかいた。
玉座の前で突然座り込んだ勝家の行動は、ランスの目にはとても珍奇に映った。
勝家が裸足なのもランスにはわけがわからなかった。
靴はどうしたと尋ねるランスに対して、当然草鞋は入り口で脱いできたと笑う勝家。
大陸とJAPANの文化の違いはランスを大きく戸惑わせる。
わざわざリーザスまできた理由を尋ねるランス。
勝家は自分はJAPANを統治する織田家の家臣であるとまず自己紹介を行う。
JAPANに統一国家があるとは聞いていなかったランスを、傍らに控えていたマリスが補足する。
すでにJAPANは織田家のものであり幾つかの小国が無駄な抵抗を続けているだけと豪語する勝家。
JAPAN自体が小国ではないかと言い放ち、勝家を挑発するランス。
そのランスの言葉に侮蔑を感じた勝家は鋭く反応し、聞き捨てならんとランスを睨みつける。
ランスはその敵意を涼しげに受け流し、余裕の笑みで小国を小国と言って何が悪いとさらに勝家を刺激する。
勝家が激発するのを、それとなく抑えたのはマリスであった。
織田信長をJAPANの王と認めるような発言を行い、勝家の気を静める方向に話を持っていくマリス。
大陸の大国にまで織田家の武名が鳴り響いていることを知り、勝家もまんざらではなかった。
和平の使者のはずの勝家が実はリーザスと戦争したがっていることを、マリスは正確に読み取っていた。
ランスは売られた喧嘩は(勝てるなら)必ず買う男であり、勝家の好戦的な気に反応して勝家を挑発したのである。
しかし、マリスは政務を預かる者としてまずは信長の提示した和平案を聞くべきであると判断していた。
たとえ結果として交渉が決裂したとしても、多くの選択肢を持つことは有益である。
交渉が始まる前にすでに決断を下してしまっていたランスを、マリスはそれとなく押し留めたのであった。
マリスに誘導されたランスは仕方なさ気に勝家の話を聞くことにする。
勝家はランスが好むように単刀直入に同盟を申し入れる。
JAPANは長年に亘ってポルトガルと友好関係にあった。
そのポルトガルがリーザスに滅ぼされた。
JAPANを支配する織田家は、まだ大陸と干戈を交える準備が出来ていなかった。
出来ればリーザスともポルトガルと同様の関係を構築しておきたかった。
そのための同盟申し入れであった。
マリスに決断を迫られたランスは、一旦は同盟を結ぶことを受け入れる振りをする。
JAPANは小国であり、大陸を制覇してしまえば威圧によって簡単に従わせることができる。
今ここでわざわざ苦労する必要もないと、マリスの無言の意を汲んで当初の方針を転換させたのである。
王妃のリアが謁見の間にその華麗な姿を現し、ランスの平和的な姿勢を好意的に評価する。
ランスは決して戦争好きな人間ではないと語るリア。
そのリアの言葉を、素直に受け入れることの出来る者は少ない。
何しろランスは鬼畜王と称され、極悪なイメージを民衆に持たれてしまっている。
しかし、リアはその聡明さでランスの深い部分をしっかりと見抜いていたのである。
予想外のランスの返事に、勝家は無念そうに少しだけ顔を歪ませる。
ランスの決断を凡人にあらずと賞賛する勝家であったが、歯切れが悪かった。
それでも使者の役目をまっとうしようとする勝家。
同盟の証文へのサインが必要かと尋ねるランスに対して、そんな紙切れに意味はないと、JAPAN方式で同盟の儀を行うことを申し入れた。
JAPANでは、婚儀をもって互いの血を交えることによって、同盟を実効性のあるものとするのである。
JAPAN側はランスに対して信長の一人娘である香姫を差し出す予定であった。
信長が香姫を大いに可愛がっていることは、JAPANでは有名な話であった。
普通に考えれば、信長のこの同盟にかける思いは、並々ならぬということになる。
JAPANが実は裏切ろうとしていることなど、リーザス側は思いもよらぬはずであり、信長としては最適の人事であった。
ただし、すでにランスにはリアという正妻がいる以上、妾妃という立場となる。
しかし、リーザス側には織田家と婚姻関係になるために嫁がせられる者がいなかった。
ランスには姉妹がおらず、まだ20歳と若いため娘もいない。
そこで織田家サイドは、ランスが身内よりも信頼できる女性の側近を数多く抱えている点に目をつけた。
その中でも親衛隊長のレイラに関する様々な噂は、遠くJAPANにも届いており、信長はレイラの美貌と武勇をいたく気に入っていた。
勝家は主君の意向に沿ってランスに対してレイラを嫁に所望したのである。
レイラが嫁に指名されたのには明確な理由があった。
世界各国の諜報機関は、レイラのことをランスの寵愛が一番厚い妾妃として認識していたのである。
レイラはランスが親衛隊員に手を出した一件からランスの伽を勤めることを承諾し、その閨房に侍るようになっていた。
ただし、挿入は絶対に無しという無茶な取り決めがランスとレイラの間で交わされており、そのため随分と歪なセックスとなる。
レイラの度重なる夜のお勤めは、レイラがランスに調教される時間へと、次第に変化していく。
ランスは挿入無しのため満足できず、そのはけ口としてあらゆる方法でレイラを嬲りまくったのである。
彼女の性感を否が応にも引き出してしまうことに、ランスは情熱を傾けてしまっていた。
レイラ本人は他人に自分がランスの伽をしていることを知られたくないため、ランスとの肉体関係を極力隠そうとしていた。
だが、レイラは完璧にランスのハーレムの一員として周りから見られようになってしまっていた。
いくらレイラが否定しても、閨房から夜な夜な聞こえてくる彼女の盛大な嬌声と喘ぎ声が、その説得力を全く無くしてしまっていたのである。
超一流の戦士として大国であるリーザスの親衛隊長まで勤め上げているレイラは、体力に自信がある。
当然の如くランスとレイラの行為はランスが他の妾妃たちを相手にするよりも、随分長時間に及んだ。
その間にランスの寝室の入り口を警備をしているのは、彼女の部下の親衛隊員たちなのである。
レイラの伽を勤める夜の宿直の隊員たちは、レイラの愛される時間が他の妾妃たちよりも断然長いことを夜通し実感することになる。
普段の隊長からは想像できないような、漏れ聞こえてくる淫らで艶やかな啼き声は、隊員たちの想像力をひどく刺激した。
その結果、"隊長は陛下に一晩中貫きまくられているのだ"と思い込むことになる。
陛下の寵愛もそれだけ深いものであると勘違いし、隊員たちは、顔を互いに赤らめながら悶々と警備の仕事を続けることになる。
宿直を勤めた隊員たちは、レイラに頼み込まれてレイラとランスの関係を一切口外しないことを約束させられる。
そのため、親衛隊長のレイラがランスの寵愛を受けているという秘密は、しばらくの間は守られていた。
その秘密をばらしてしまったのは、レイラにマリーヌたちがランスに抱かれていることを告げ口したルフィその人であった。
ルフィは隊員がランスに呼ばれなくなり、自分の玉の輿の機会が無くなったことを非常に悔しがっていた。
そのためレイラが陛下を独り占めしていると勘違いしてしまい、不覚にもそのことを他の隊員にばらしてしまったのである。
その話はあっという間に親衛隊中に噂として広まってしまい、軍部にも飛び火してしまう。
軍部にはレイラに憧れる兵士が数多く存在したため、噂は雷光のように駆け巡った。
レイラが抜群な美人だけに信憑性が格段に高まり、その噂は軍部だけでなく宮廷全体にまで広がっていく。
宮廷ではレイラに妾妃待遇の格式が与えられることとなり、ランスのお気に入りの一人として丁重に扱われるようになる。
レイラはその扱いを怒りを込めて拒否し、純粋に親衛隊長としての自分の居場所を固持していた。
公私のケジメをきちんとつけるレイラの姿勢に皆が感心し、誰もがレイラに好意的に接するようになる。
その間に国内では、王妃のリアよりも親衛隊長のレイラの方が先にランスの子を産むのではと、冗談抜きで噂されるほどまでになっていた。
何時の時代でも王室の話題は庶民の楽しみの一つである。
「確かにそうかもしれない」と真顔で誰もが頷くような状態にまで、噂は広まっていたのである。
さらに彼女の噂は国内だけでなく国外まで波及していた。
大国リーザスの動静は、他の列強だけでなく自由都市国家群や各種結社からも最重要項目として注目されていた。
各国の情報部はリーザスの首都に構成員を派遣してアンテナを広げ、リーザスの動きを探ることに余念が無い。
どんな小さな変化であっても、自勢力の利益に繋がる可能性のある情報は本国に送られていた。
親衛隊長レイラが熱烈にランスの寵愛を受けているという情報も、当然彼らの耳に入ることになる。
レイラは自分の知らない間に、ランスの御子を間違いなく身ごもるであろう妾妃として、各国にマークされる超重要人物になってしまっていた。
優秀な忍者軍団を持つJAPANも例外ではなく、レイラという女性がどのような人物なのか、かなり詳細に調査を進めていた。
信長がレイラを指定してきたのは、ランスがそこまで情をかけている美女ならば、人質として申し分ないという思惑があったからである。
レイラ自身は自分の立場に無自覚であった。
ランスとの関係は決してバレていないと信じており、ランスに呼ばれる度に素直にその命令に従っていた。
レイラにとってはなんとも皮肉な状況がずっと続いていたことになる。
そしてこの日、レイラは全くその理由を知ることなく、信長の嫁に指名されてしまったのである。
ランスの命令で謁見の間に呼び出されるレイラ。
初めてレイラの容姿を見た勝家は、さすがに大陸の王が執着するだけあると噂に違わぬその美しさを賞賛する。
レイラはランスから呼び出された経緯について説明を受ける。
自分がJAPANの信長の元に嫁がなければならないと知ったレイラは、感情を表に出さないように表情を消す。
どう思うかというランスの問いに対して、レイラはリーザスの為になるならばと一切の不平を口にすることなく承諾の意思を示す。
王妃のリアはレイラの国に尽くす態度を賞賛する。
勝家はレイラ本人に異存がないことを確認し、殿もお喜びになると役目を全うしたことを安堵する。
ただ一人、ランスだけはじっと感情を押し殺したレイラの辛そうな顔を見続けていた。
信長に伝えておけと、勝家に対して突如語りかけるランス。
ランスは自分はモノを貰うのは大好きだが、やるのは大嫌いだと言い放つ。
それまでの不真面目な態度とは一変し、紡がれる言葉に覇王の風格があった。
最初からランスにはレイラを手放す気など毛頭なかった。
レイラは自分の大事な女だと高らかに宣言するランス。
そして、本気で同盟を考えているなら美人の姫をダース単位で届けろと、条件を一気に跳ね上げた。
さらに、例え美女軍団を信長が送ってきたとしてもレイラを他人に譲ることなど絶対にないと、事実上の交渉打ち切りを勝家に突きつける。
そのランスの言葉に一番驚いたのは当のレイラであった。
王妃リアも予想外の夫の行動に慌ててしまう。
そのランスの決断には、リーザスとJAPAN双方の民の命運がかかっているのである。
勝家が顔を伏せ、わずかに肩が震わせる。
不審な勝家の態度に注意を向けるマリス。
堪えきれず、豪壮に笑い出す勝家。
勝家はランスのことを大いに気に入ってしまった。
男に気に入られても嬉しくもないとつれないランス。
交渉決裂を確認する勝家に対してランスはJAPAN攻めを明言し、JAPAN中の美女を全員手中に収めると堂々と宣言する。
勝家はランス王のその言葉を聞いてさらに愉快になり、刀を交える日が待ち遠しいと別れの言葉を述べた後、意気揚々と引き上げて行った。
勝家が去った後、王妃のリアはランスの威風堂々たる対応を自分の夫に相応しい態度であると大いに喜ぶ。
しかし、信長に嫁ぐことが回避されたレイラは素直に喜べなかった。
何しろ自分が嫁げば無駄な戦争が回避されるのである。
自分は本当に覚悟が出来ていたことを、ランスに告げるレイラ。
戦争になれば、多くの民草や兵士たちが、命を落とすことになる。
レイラは、自分が犠牲になることによって得られるモノの大きさを前にして、JAPAN行きを受け入れざるをえないと考えていた。
だが、ランスは戦争で失われるであろう数多の人命とレイラ一人の価値が秤にかけられると迷うことなくレイラを選んだ。
レイラ自身でさえ切り捨ててしまったレイラの感情を、ランスはしっかりと拾い上げたのである。
最初から断る心算だったと、レイラに気にしないように語りかけるランス。
そして、同盟をもちかけながらも勝家が敵意を振りまくため、それに付き合って挑発しただけだと笑ってレイラを和ませようとする。
レイラはランスの優しさに深く感謝するしかなかった。
ランスは断れなかった自分に代わって、嫌な縁談をきっぱりと断ってくれた。
そして、自分が嫁がなかったために発生してしまう戦争に対しての責任を、全てランスが負ってくれた。
レイラにしてみれば、一生かかっても返しきれない恩義をランスに対して抱くことになる。
何よりも如何にランスが自分のことを大事に考えているかをこの一件で深く教えられてしまい、レイラは大いに困惑するようになる。
この日以降、依然として挿入は許さなかったが、挿入以外でランスが要求してくることは進んで実践するようになってしまう。
こうしてリーザス王国とJAPANは、正式に戦争状態となる。
織田家の使者である勝家との同盟交渉が決裂した経緯は、リーザスの宮廷内に広く克明に伝わるところとなる。
当然ながら、ランスがレイラを自分の女だと高らかに宣言したことは、宮廷雀達によって、大いに喧伝されることになる。
宮廷に限らず、リーザス国内でこのランスの宣言を知らない者は誰もいない状態となった。
この一件で前々から信憑性が高かったレイラがランスの一番のお気に入りの妾であるという噂は、完全に事実であるとされるようになる。
レイラの身柄を要求されて激怒したランスが、レイラのためにJAPANの和平案を蹴ってしまったのである。
それほどまでにランスにとってレイラは大事な妾妃ということである。
その確たる事実がある以上、レイラがランスの女であることを疑う者は誰もいなかった。
ランスのレイラ妾妃宣言は当然軍部にも伝わり、レイラの思い人である赤の将リック・アディスンの耳にも入ってしまう。
リックはランスからJAPAN攻めの準備を命じられた。
ある意味レイラのせいで、リックは赤の軍を率いてJAPANへ遠征しなければならなくなったのである。
今回のJAPAN攻めの経緯についても、詳細を把握するのは将軍として当然のことである。
結果として如何に男女の仲に疎いリックであっても、レイラのことをランスの女であると見るようになってしまうのは当然の帰結であった。
リックはレイラがランスの女であるという確固たる認識を持ってしまった。
さらに生来の鈍感さと相まってレイラの秋波を一切気づくことはなくなる。
レイラには不幸なことに、レイラのリックへの思いは決して届かない状況になってしまったのであった。