※この作品はR-18です。

ランス皆中伝(アーカイブ)   作:夜叉五郎

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7月25日 リーザス城
 ランス、マリスからメナドの公金横領の報告を受ける。

7月26日 火星
 ランス、火星宮殿を探索。火星大王の本体の焼却に成功。

7月27日 カスタム
 ランス、デンジャラスホールを制覇。

7月28日 リーザス城
 ランス、メナドを叱責し、ザラックを斬り殺す。

7月29日 リーザス城
 リーザス軍、天満橋を渡りJAPANへ侵攻。柴田勝家を斬り、長崎を制圧。

7月30日 リーザス城
 香姫、ルドラサウムの悪意を鮮明に知覚し始める。

7月31日 リーザス城
 信長自ら軍を率いて長崎奪還を目論むも失敗。織田健一、討死。


LP3年7月4週 長崎攻略

<LP3年7月25日>

 

 マリスが報告に現れたのはランスが激務の合間に休憩を取っているときであった。

 このときランスは取れたての苺に舌鼓を打っていた。

 マリスと同年代の背の高いメイドが、すぐ側に控えてランスの口元に甲斐甲斐しく苺を運んでいた。

 

 このときランスの世話をしていたのは、とあるソフトメーカー・テ○オスから期間限定で送られてきた宅配メイドであった。

 名前は、鷺ノ宮椎子(168cm/56kg B92/W57/H88)。

 ランスは椎子の抜群なスタイルの良さとその完璧なメイド振りを甚く気に入ってしまう。

 期間が過ぎた後に椎子の派遣元のテリOスを買収し、強引に椎子を自分の専属としてしまっていた。

 

 余談だが、椎子のメイド意識の中では主人の欲求不満を解消するための性的な奉仕もメイドの仕事の範疇に入っていた。

 初潮前に処女を破られたくらいしか経験が無く、男性の精液を浴びたことも味わったことも注がれたことも全然無かった椎子。

 最初はかなりぎこちなかったその奉仕も、今ではランスの手によってきっちりと仕込まれてしまうことになる。

 SEXは奉仕ではないと頑張る椎子であったが、結局は病み付きになるほどランスのハイパー兵器の巨大さを覚えこまされてしまていた。

 

 

 

 マリスは神妙な顔でランスに対して報告する時間を求める。

 ランスは苺を食べつつマリスの話を聞こうとするが、マリスは人払いを求めた。

 マリスの深刻さに気づいたランスは、ちょうど苺も最後だったため、椎子に最後の一口を口移しさせる。

 

 頬を染めながら、苺を口に含んで即席の苺ジュースを作ってランスにキスをする椎子。

 ランスは椎子の唇と共に苺ジュースを味わいつつ、椎子の豊かな尻をいやらしく撫で回す。

 苺の果肉だけでなく、果肉を押し出してくる椎子の舌も己の口腔に引き込んで嬲り回した。

 尻を撫でられた椎子は、ランスにキスしながらビクビクとそのメイド服に包まれた淫らな肢体を震わしてしまう。

 

 必死に押し隠そうとする椎子であったが、イってしまったのは明らかであった。

 椎子は秘所にバイブレーターを装備して奉仕を強いられていたのである。

 イッてしまいながらも持ち前のメイド根性を発揮して、なんとか粗相することなくランスに苺ジュースを口移しで飲ませ終える椎子。

 顔を真っ赤にしながら抜けてしまった腰を急いで立て直して玉座の間から去ろうとする。

 メイド服のスカートの下ではショーツが愛液でぐっしょりと濡れ、ガーターベルトに吊るされた白いストッキングまで汚してしまっていた。

 

 余談だが、このメイド椎子も後々ランスの御子をその身に宿すことになる。

 お役目を辞退しようとする椎子であったが、ランスはそれを許さなかった。

 椎子と同様に同じメイドのウェンディやすずめらもランスの御子を孕んでしまっており、椎子は彼女らと同じ立場となる。

 椎子はランスの妾妃という立場を与えられ、後宮内でメイドたちを教育する役目を担うことになるのであった。

 

 

 

 卑猥な光景であったが所詮はいつものことであり、マリスは顔色を変えずにその光景を見ていた。

 ランスの準備が整ったため、マリスは報告を開始する。

 その報告は軍内部での不正が行われているという内容であった。

 加藤疾風の一件によって、マリスは政府や軍内部での不正に関しての調査をランスから命じられていた。

 その調査の流れの中で発見された不正であった。

 

 ランスの即される形で、マリスは報告を続ける。

 赤の軍のメナド隊にて軍費の横流しが行われており、その不正にメナド自身が関わっているのが確実な状況であった。

 先のJAPAN軍ポルトガル襲撃時に破壊された補給基地再建のために、ポルトガルに駐留している赤の軍には、追加軍費がつぎ込まれていた。

 その軍費の一部が無くなってしまっていたのである。

 

 内容が内容だけにマリスにとっても、報告しにくい内容であった。

 メナドはリーザス軍の中でも特に将来を期待されている人材であり、個人的にも好意を持っていたランスは押し黙ってしまう。

 マリスは軍費を着服しているはずのメナドの生活が逆にどんどん質素になっている旨の報告を続ける。

 そこまで聞いてランスは全てを理解してしまう。

 

 マリスに対してメナドの恋人ザラックの生活が派手になっていることを確認するランス。

 マリスはランスがこの話を把握していたことに驚きつつも、肯定の答えを返した。

 沈思黙考を続けるランスに対して、マリスはメナドを解雇するかどうかを問いかける。

 リーザス王国の信賞必罰の基本姿勢はランスが王となってから厳密に守られてきた。

 しかし、その問いにはメナドへの罰を軽くした方が良いというマリスの無言の思いが込められていた。

 

 ランスはメナドの解雇を否定し、折を見て自らメナドと対面することを決める。

 火星大王の一件もあり、ランスとしてはしばらく時間が欲しいところであった。

 そして、それまでは誰にもこの話を漏らさないようにとマリスに命じる。

 マリスは己の期待通りの回答をランスが出したことを嬉しく思いつつ、その命令に服した。

 

 

 

 ランスはこの一件は見過ごせないところまで来ていることを悟り、これを機にメナドを正道に戻そうと考えていた。

 ザラックの存在はメナドのためにならず、ひいてはリーザス全体にも悪影響を及ぼす。

 だがメナドはザラックを熱愛しており、説得するだけでは簡単に別れるはずもない。

 ランスは荒療治を施すことを心に決め、手はずを整えた。

 

 

 

 

 

<LP3年7月26日>

 

 毎夜のゾンビたちの襲撃は、まだ続いていた。

 いくら打ち倒してもゾンビたちの数は減らず、逆に増加傾向にあった。

 ランスは、リーザス情報部に火星大王を捜させていたが一向に補足できない。

 号を煮やしたランスは、火星大王の行方を探るべく、自ら火星大王の宮殿を探索しようとする。

 

 緊急に対策チームを組み、火星に赴くランス。

 そのチームの中には、遺跡探索のエキスパートとしてメリムの姿もあった。

 メリムは、宮殿の中にあった石像のカラクリを見破り、あっさりと地下への隠し扉を見つけることに成功する。

 リーザスの忍軍が探索済みであったが、発見できなかったギミックであった。

 遺跡に精通しているメリムを連れて来たのが、ランスの勝利であった。

 

 火星大王の宮殿の地下は、広大なダンジョンとなっていた。

 メリムを褒めるランス。

 冒険者としての血が騒いだのか、ランスは意気揚々とダンジョンに乗り込んでいく。

 

 

 

 薄暗いダンジョンの中をどんどん探索していくランス一行。

 その歩みは止まることなく、地下へ地下へと進んでいく。

 歴戦の冒険者であるランスと、遺跡調査のエキスパートであるメリムのタッグは、最強であった。

 

 ダンジョンの最下層にて、メリムは一つの棺を見つける。

 蓋が開けられると、そこには遺体が眠っていた。

 その遺体は、ランスが追い求めていたはずの火星大王であった。

 

 眠っている火星大王の遺体に対して、ランスは怒った。

 ランスは、これまでの恨みを晴らすべく、火星大王の遺体を燃やそうとする。

 メリムは貴重な資料が失われるのを悲しむが、ランスは止まらなかった。

 火星大王の遺体は、棺ごと燃やされてしまう。

 

 興味深い研究資料が燃やされてしまい、落胆するメリムであったが、すぐに回復してしまう。

 棺の周囲の柱や壁に、びっしりと古代文字が刻まれているのを確認したからである。

 灰になっていく火星大王に目もくれず、解読に勤しむメリム。

 哀れ火星大王は、一言も言葉を発することなく、あっけなくこの世から消え去ってしまった。

 

 

 

 ランスが燃やしてしまったのは、火星大王そのものである。

 自らの手で命を絶った火星大王は、ネクロマンシーの秘術で、負の生命を持つNEW火星大王となっていた。

 つまり、夜(負)の世界でしか活動できない躰になっており、昼(正)の時間帯はただの遺体そのものであった。

 安全な火星の宮殿の地下に、自分の身を隠していたのである。

 

 ランスは、火星大王の躰を焼き払った。

 いかに負の生命を持っていようが、躰が消滅してしまった以上、復活することもできない。

 音頭をとっていた火星大王は消滅してしまい、ゾンビたちが地の底から這い出てくることもなくなる。

 リーザス城に平穏な夜が戻った。

 

 こうして、NEW火星大王の悪夢は終わった。

 メリムの調査で、火星大王が火星からやってきた大陸外生命体であり、恐るべき野望を持っていたことが明るみに出る。

 このランスの火星での冒険は大いに喧伝され、ランスの名声はさらに高まった。

 

 

 

 

 

<LP3年7月27日>

 

 ランスは火星から帰る道すがら、コルテージュ地方にあるデンジャラスホールと呼ばれる迷宮の探索を行った。

 デンジャラスホールに住む魔物たちは強力である。

 迷い出てきた魔物がたびたびコルテージュ地方の農村を苦しめていた。

 

 コルテージュ地方制圧時に一部のリーザス軍の手によって探索が進められていた。

 しかし、被害が増大して途中で探索を打ち切った経緯があった。

 冒険者魂が疼いたランスは緑の軍を率いて急遽デンジャラスホールに挑んでいく。

 

 デンジャラスホールはやはり危険な場所であり、強力な魔物たちに緑の軍は苦しめられる。

 戦闘不能に陥った騎士達が一人二人と帰り木で離脱していく。

 だが、ランスは決して退こうとはしなかった。

 

 最深部まで到達した頃には、ランスが率いる緑の軍の数は三桁を割っていた。

 最も底の50Fにてランスは一つの指輪を見つける。

 幸福の指輪と呼ばれる魔法の指輪である。

 この指輪は後にランスの手によってアールコートという少女の指に嵌められ、弱気なアールコートに勇気を与えることになる。

 

 

 

 迷宮の探索を果たし、意気揚々とリーザス城に引き上げるランス。

 しかし、一緒に帰還した緑の軍の惨状を見てマリスは頬を引きつらせた。

 今後勝手に迷宮探索を行わないようにと、マリスはランスに対して一方的に通達する。

 

 反論しようとするランスであったが、無表情のマリスは明らかに怒っていた。

 微妙に気圧されてしまったランスはがははと笑いながらも、怖いマリスの言葉に従ってしまうのであった。

 

 ランスは次はハンナの街の近郊にある迷宮を探索しようと考えていた。

 しかし、マリスが怒るので戦争が終わるまでは探索を諦めざるを得なかった。

 この諦めがより多くの人々の人生に影響を与えるようになる。

 その結果、解呪の泉が発見されるのはかなり先の出来事となったのである。

 

 

 

 

 

<LP3年7月28日>

 

 ランスはタイミングを見てポルトガルに駐留していた赤の軍の一部をリーザス城に呼び戻した。

 呼び戻されたのは赤の軍の副将メナドの率いる部隊である。

 表向きは連戦の疲れを癒すための休暇という理由であった。

 

 ランスの命令によって、リーザス城への帰還直後に雑兵のザラックは憲兵に拘束される。

 メナドの与り知らぬところでの出来事であった。

 恋人のザラックが逮捕されているとは露と知らずに、メナドはランスの待つ玉座の間に向かうことになる。

 

 ランスに謁見し、挨拶をするメナド。

 しかし、軍費を横領している事実は重くメナドの心に圧し掛かっていた。

 メナドのいつもの天真爛漫な元気さはすっかり影を潜めてしまっていた。

 

 

 

 ランスはメナドの元気の無さを指摘する。

 さらにその理由さえも喝破してしまう。

 軍費横領の事実をメナドに対して突きつけたのである。

 

 メナドはそのランスの言葉を聞き、はっと顔を上げてしまう。

 嬲るように横領した金の行き先をメナドに対して問うランス。

 ランスが全てを見通していることは明らかであった。

 

 メナドは土下座して、自分の罪を認め、甘んじて罰を受ける覚悟を示す。

 潔い態度ではあったが、事ここに至ってもザラックを庇おうとしているのは明らかであった。

 そんなメナドを、ランスは許さなかった。

 

 ランスは、感情を表さずにメナドの訴えを聞き流し、傍らに控えるマリスに対して合図を送る。

 ランスの号令によって、捕縛されていたザラックが、玉座の間に引き出された。

 ザラックは、見苦しくも泣き叫び、醜態を晒す。

 メナドは、自分の目を疑った。

 

 

 

 メナドに軍費を横領させた張本人のザラック。

 鬼畜王として名を轟かせたランスの苛烈さは、全ての兵士に知れ渡っている。

 ザラックは、捕らえられた時点ですでに余裕を失っていた。

 

 メナドが縄を打たれていないのを見て、罰を逃れるためにメナドが自分に罪を擦り付けたものと、ザラックは激しく勘違いしてしまう。

 ザラックは、全ての元凶である自分の外道な行いを棚に上げ、メナドに対して血走った憎悪の目を向ける。

 恋人としての仮面を捨て、豹変してしまったザラックに、メナドは呆然とする。

 

 自分のことを淫売と罵るザラックの変わり様に、メナドの思考はついて行けなかった。

 呆然としながらも、自分が裏切ったわけではないことをザラックに訴えようとするメナド。

 だが、唯の金蔓の女であるメナドの言葉に、ザラックが耳を貸すはずもない。

 ザラックは、必死に罰から逃れるために、全ての罪をメナドに押し付けようと罵詈雑言を放った。

 

 ランスは、ザラックの余りの醜い有様にうんざりしてしまう。

 ザラックの醜い言葉によって、これ以上メナドが傷つけられていくのを、看過できるはずもない。

 ランスは、傍に控えていた親衛隊長のレイラから剣を受け取り、ザラックの方へ歩を進めた。

 

 うるさいと一言だけ告げて、静かに鞘から剣を引き抜くランス。

 ザラックは、目の前で剣を振り上げるランスの様子を呆然と見ながら、現実を受け入れようとしなかった。

 ザラックは、ランスに首を切り落とされる瞬間まで、自分は悪くないと訴え続けていた。

 "寝言は死んでからにしろ"、それがザラックがこの世で最後に聞いた言葉であった。

 

 

 

 目の前で恋人の首が落ちる瞬間を見ることになったメナド。

 ザラックが死んでしまったことを理解すると、ザラックの名を泣き喚いて半狂乱な状態となる。

 そんなメナドに対して、顔色も変えずに持ち場に帰るように命令するランス。

 だが、メナドはランスの言葉に嫌だと反発し、ザラックの死体の側に駆け寄った。

 

 ザラックの死体に縋り付き泣き喚くメナドを、ランスは呆れたように見つめた。

 利用されていただけだと、メナドに真実を告げるランス。

 しかし、メナドは、ザラックはそんな人じゃないと涙するだけであった。

 

 ランスは、メナドのことをを高く評価していた。

 それだけに、全てを見せられて尚ザラックに縋るメナドの愚かさに、頭を痛める。

 本格的に、メナドを説教しようとするランス。

 だが、天井裏から現れたメナドの親友のかなみが、ランスの言葉を押し留めた。

 

 仲の良いかなみを前にして、悲しみを露わにするメナド。

 メナドは、てっきりかなみが、自分が泣くための胸を貸してくれるものだと思ってしまっていた。

 だが、メナドの思いに反して、かなみは思いっきりメナドの頬を張ったのであった。

 

 

 

 呆然とするメナド。

 かなみの第一声は、馬鹿メナド!!であった。

 

 かなみは、これまで散々ランスに酷い目に合わされてきた。

 だが、それでもこの件に関しては、ランスの言葉が全面的に正しいと主張せざるを得なかった。

 かなみは、これまで散々にメナドからザラックのことを聞かされていた。

 その度にザラックの普段の態度に違和感を覚え、密かにメナドのことを心配していたのである。

 

 大好きな親友であるかなみにまでも、ザラックに地位や躰を利用されていただけと喝破されるメナド。

 かなみの叱咤によって、先ほど耳にしたザラックの自分を罵る様々な言葉が、メナドの耳に蘇る。

 今のままではただの馬鹿と、かなみに思いっきり貶されて、ザラックを庇おうとしていたメナドの心も、大きく揺れ動いた。

 

 それでも、ザラックへの思いを残してしまう脆弱なメナドに対して、かなみも堪忍袋の尾が切れそうになる。

 かなみの暴発を抑えたのは、それまで傍らで様子を見守っていたランスであった。

 

 

 

 絶妙のタイミングでかなみとメナドの間に入ったランスは、メナドに対して部屋に戻るように再度命じた。

 そして、かなみに言われた言葉を良く考えるようにと、言葉を重ねる。

 ランスの厳しくも思いやりのある言葉を受けて、メナドの心も次第に事実を認める方向へと動き始める。

 

 かなみとランスの二人から、自分が間違っていることを指摘され、頑なであったメナドの心も大分緩くなっていた。

 大人しくランスの命令に従うメナド。

 ザラックの死体に目を向けずに、とぼとぼと自室に去っていく。

 

 かなみは、こんなときだけまともな事を喋るランスに対して、悪態をつきながらも、天井裏に姿を消していった。

 

 

 

 あとに残ったランスは、マリスと図って、メナドへの処置を取り決めた。

 その結果、この一件は秘されることになり、横領自体もマリスの手で揉み消されることになる。

 ランスが即位して以降、リーザス軍は信賞必罰・一罰百戒が厳密に守られていた。

 しかし、こんなくだらないことで、メナドという将来有望な騎士を失う心算は、ランスにはなかった。

 

 これまでの功績もあり、メナド本人に関しては、功罪相償う形で当分の間は謹慎という処罰となる。

 しかし、この処置は平時に限り、出動の命令が下った場合の限りではない。

 横領の額がわずか1万Gであることを考えれば、妥当な処置である。

 逆に言うと、ザラックの斬首は少し厳しすぎる刑罰ではあった。

 だが、横領の金額の多寡よりも、副将を堕落させ罪を犯させたその行為の方がより重罪であり、誰も文句を言う者はいなかった。

 

 メナドの罪が秘匿されたことを受けて、ザラックが、ランス自らの手によって首を切り落とされたという事実も隠蔽された。

 他の部署に栄転し、そこで戦死したという扱いとなる。

 そのため、ザラックの同僚達は皆、ザラックが死んだことを知る由もなかった。

 

 

 

 ランスは、メナドに対してまだ期待をかけていた。

 ランスは、しばらく距離を置くことにする。

 きっと自分で立ち直ってくるとと信じていたのである。

 メナドが立ち直るまで、まだ幾ばくかの時間が必要であった。

 

 こうして、ザラックというリーザス軍内の獅子身中の虫は、ランスの剣で排除された。

 気分的には、ランスとしては、メナドの側にいた悪い虫を叩き潰しただけである。

 だが、この一件で得た教訓は大きかった。

 二度とこのような事が起きないように、兵の適性検査を強化することになり、リーザス軍は他国に先んじて強化されていくことになる。

 

 

 

 

 

<LP3年7月29日>

 

 ついにリーザス王国は、JAPAN攻めに乗り出した。

 リーザス王宮から伝令が飛び、ポルトガルに待機していた遠征軍が、JAPANへ向けて動き出す。

 的は、天満橋を越えた先にある長崎の街であった。

 

 リーザスの遠征軍の主将は、リーザスが誇る赤い死神リックであった。

 ハウレーン率いる白の軍が、サポート役として従軍する。

 また、援護部隊として、志津香の魔法部隊とマリアの砲兵部隊が、後曲に配置された。

 

 第一陣:リック    800名

 第二陣:ハウレーン 1400名

 第三陣:志津香    320名

 第四陣:マリア    320名

 

 

 

 JAPAN側も、先のポルトガルへの奇襲に失敗したことを受けて、リーザス軍の襲来に備えていた。

 リーザス軍に対抗するために、織田家宿老・柴田勝家を西国探題職に任じ、長崎に布陣させていた。

 信長は、西国探題・柴田勝家に対して、西国の諸大名を束ねて、リーザスの来寇に備えるように命じたのである。

 長崎守備軍の構成は、九州・中国・四国の大名たちであった。

 

 第一陣:西国探題・柴田勝家 800名

 第二陣:九州大名・上田春見 700名

 第三陣:中国大名・原田守  740名

 第四陣:四国大名・森電電  870名

 

 

 

 長崎を巡る激しい攻防は、JAPAN軍の壊滅により、勝敗が決した。

 マリア率いる砲兵部隊のチューリップ一斉射撃が、JAPAN軍の士気を砕いた。

 爆薬を使用した攻撃に、JAPAN軍は全く慣れておらず、動揺したところを打ち倒されていく。

 マリアの作戦が図に当たったのである。

 

 戦好きの勝家は荒ぶり、織田家の最精鋭である柴田軍を率いて、怒涛の突撃を仕掛けてくる。

 リックは、精鋭の赤の軍の騎士たちを率いて、勝家の猛攻を防ぎとめた。

 赤の軍と柴田軍は、壮絶な戦いを繰り広げた。

 勝家はテバサキにまたがり、獅子奮迅の戦いぶりを見せていたが、志津香の白色破壊光線によって大きく兵を減じてしまう。

 

 チューリップによる爆撃で動揺した上田軍は、ハウレーンの部隊の攻撃を支えきれなかった。

 上田春見は、ハウレーンの攻撃によって敢え無く散る。

 上田春見の軍勢が壊滅したことにより、JAPAN軍全体は崩れていった。

 

 勝家は、劣勢の中で、起死回生の勝利を目指し、リーザス軍の主将であるリックの首を獲るために、単身で突撃を繰り返す。

 勝家は、ついにリックの姿をその視界に入れることに成功し、凄まじい勢いでリックに打ちかかっていく。

 リックは、正面からバイラウェイで勝家を迎え撃ち、その乗馬ごと切り捨ててしまう。

 

 戦好きの勝家は、戦場で散ることを本望とした。

 ランスと戦えなかったことだけが、ただ一つの心残りであった。

 主将討ち死の報は、瞬く間に戦場を駆け抜け、織田軍は崩れた。

 原田守・森電電も相次いで戦場で散り、勝敗は決した。

 

 

 

 この戦いで、リーザス軍は、騎士のうち700名を越える死傷者を出した。

 JAPAN軍は、3000名の武者が討死を遂げる。

 まさしくリーザス軍の完勝であった。

 

 長崎は、リーザス軍によって占領された。

 JAPANの長い歴史の中でも、大陸の軍がJAPANの地を占領するなど初めてのことであった。

 長崎の人々は皆、恐れを抱きながらリーザス軍の動向を見守ることになる。

 JAPAN国内では、リーザス軍に関しての様々な流言蜚語が飛び交うことになる。

 

 

 

 

 

<LP3年7月30日>

 

 織田信長の一人娘である香姫は、再び奇妙な現実感を伴った夢を見るようになっていた。

 ふわふわと浮かぶように、まるで夢の如き感覚の中を揺蕩う香姫。

 香姫は、自分が、夢の中ではなく、何者かの意識の中に漂っていることを知覚していた。

 そして、いつもの声が聞こえてくる。

 

 楽しげに、悔しげに、感情を剥き出した様な声である。

 子供の声のようにも聞こえるが、揺ぎ無い存在感に満ちた大河の如き声であった。

 香姫は、その存在が人の感情に一喜一憂していることを漠然と感じてしまう。

 だが、その存在が楽しんでいるのは、憎しみ・怒り・哀しみ・蔑み等の人間の持つ負の感情ばかりであった。

 

 その存在が感じている負の感情に当てられ、香姫は気分が優れなくなってしまう。

 心優しい香姫には、とても耐えられないものであった。

 嗚咽を漏らし、口元を覆う香姫。

 その存在は、香姫の意識に気づくことなく、破壊のためのこの世の輪廻を諳んじ、笑い声を漏らした。

 

 人の感情の全ては、この存在にとって、全て娯楽でしかなかった。

 眠りからの目覚めにより、意識をその世界から引き戻される香姫。

 その瞬間、香姫は、巨大な白い鯨の姿を知覚する。

 その白い鯨のような存在こそが、人の負の感情を楽しんでいた不可思議な意識そのものであった。

 

 

 

 香姫は、荒い息を付きながら夢から目覚めた。

 自分が凄い寝汗をかいてしまっていることに気づく。

 着物の袖で額に伝う汗を拭き取り、身を起こす香姫。

 

 香姫は、また同じ夢を見てしまったことを把握していた。

 そして、だんだん夢が鮮明になっていくことに気づいて、身を竦めてしまう。

 

 あの存在は、いったい何なのか。

 そして、何故いつも自分はあの存在の意識に触れてしまうのか。

 香姫には、とうてい理解できないことばかりであった。

 言いようのない悪寒が、香姫を襲う。

 もう、この夜は眠れそうになかった。

 

 

 

 

 

<LP3年7月31日>

 

 長崎陥落の報を受けた信長は激怒し、自ら兵を率いて大阪を発した。

 第二陣を勤める織田健一はかつて信長に背いた信長の実弟、勘十郎の息子である。

 第三陣を勤める明智大人は本能寺で信長を討とうとして、失敗して殺された明智十兵衛の養子である。

 前田のべる(幼名・犬千代)は幼い頃からの仲ということで、特別にポルトガル攻め失敗の罪を許されて参陣していた。

 

 第一陣:織田信長  1500名

 第二陣:織田健一  1200名

 第三陣:明智大人  1150名

 第四陣:前田のべる  750名

 

 

 

 長崎にはすでにリーザス軍の第二軍が到着しており、防衛体制を整えていた。

 リーザス側は万全の体制で長崎の郊外にてJAPAN軍を迎え撃ったのである。

 

 リーザス軍は青の軍が中心とした鉄壁の防御で信長の攻勢を食い止めた。

 後陣に控えていたガンジーと志津香は大規模破壊魔法「破邪覇王光」「白色破壊光線」を連続で放つ。

 その特大の二撃は織田健一の部隊に多大な被害を与えた。

 時を置かずして攻勢に転じた青の軍の猛攻を支えきれず、織田健一は討死してしまう。

 

 大陸からさらなる大軍がJAPANへ渡ったという情報もあり、信長も退かざるをえなくなる。

 こうして織田軍は、九州から撤退に追い込まれることになった。

 

 

 

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