※この作品はR-18です。

ランス皆中伝(アーカイブ)   作:夜叉五郎

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10月8日 バラオ山脈
 カミーラ、ランスに隷属。

10月9日 ゴーラク
 メルフェイス、ランスの子を妊娠。

10月10日 ゴーラク
 ゴーラクのミスコンNo.1のメルシィ・アーチャ、ランスに見初められてリーザスへ嫁ぐ。

10月11日 リーザス城
 ランス、落ち込んだままのメナドを抱いて立ち直らせる。

10月12日 シャングリラ
 ランス、シャングリラへの侵攻を画策する。

10月13日 シャングリラ
 リーザス帝国軍、砂嵐とシャングリラの砂漠兵の急襲に遭って撤退。

10月14日 リーザス城
 メルフェイス、自分の魔力が極端に低下していることに気付く。
 リーザス帝国軍、ヘルマン帝国領シベリアを占領。ヘルマン東部域制圧完了。


絶対佳人編(シャングリラ解放)
LP3年10月2週 シベリア攻略


<LP3年10月8日>

 

 ドラゴン族と人間では根本的に種族が異なる。

 そのため、ランスとカミーラの間に子供が出来る可能性はかなり低い。

 結果としてカミーラはランスに一生欲情し続けることになる。

 ランスもカミーラが自分から離れても従属した状態になるように、カミーラをとことん愛しまくった。

 

 逆鱗が剥げ落ちたことにより、カミーラがいつも抱いた退廃的で気だるい雰囲気は一掃されてしまった。

 今までの自分がずっと眠り続けていたかのように感じるほどである。

 カミーラの感じる世界は一変して光に満ち溢れたものとなったのである。

 

 自分が変化してしまったことをカミーラはしっかりと認識していた。

 昔の自分が今の自分の姿を見たら、幻滅して己を殺そうとするであろうこともよく理解できていた。

 しかし、ランスのことを考えるだけで狂おしいまでに心は高鳴ってしまう。

 その甘く切ない感覚はカミーラにとって凄く新鮮な己の感情であった。

 

 

 

 ランスに抱かれて精を浴びるたびに、これまで感じたこともないほど満ち足りた幸福感に包まれてしまうカミーラ。

 ランスの性奴と化してしまった己の境遇に、カミーラは一欠けらの不満も持てなかった。

 それほどまでに、カミーラの精神は変容してしまっていたのである。

 

 カミーラのラインコックらへの寵愛の意味合いも当然変化する。

 完全に弟・家族・使用人・ペットという扱いになっていった。

 ラインコックは一人悲しむことになる。

 しかし、カミーラに(大事なペットとして)抱きしめられると、ラインコックは自分はカミーラを愛し続けると改めて誓うことになる。

 

 カミーラは吸血種である。

 しかし、ときおり必要とする血は、それより遥かに高エネルギーのランスの精を口唇愛撫で吸収する機会が増えたために不要となる。

 カミーラがランスにしか発情しなくなったこともあり、ラインコックが美少年をリーザスから攫ってくることもなくなった。

 

 

 

 ランスは魔人の四天王の一柱である魔人カミーラを、魔王の強制力だけではなく種族的な呪縛で隷属させてしまった。

 これで、人間領で活動しているケイブリス派の魔人はジーク只一人となった。

 

 三日三晩、発情したカミーラの相手をしたランス。

 カミーラにこの隠れ家に残り、ケイブリス派の情報を仕入れるように命じる。

 ただし、恋しくなったらすぐリーザス城を訪ねることをランスはカミーラに許可した。

 そのため、ジークの目を盗んでカミーラがリーザス城に入り浸る日々が続くことになる。

 

 

 

 

 

<LP3年10月9日>

 

 カミーラを隷属させたランスはレイラと合流し、ゴーラクを目指した。

 ランスは遠征中のハウレーンとメルフェイスの両名を占拠したばかりのゴーラクの街の政庁で労う。

 遠征軍の主将であるハウレーンは、ランスに遠征の途中経過の詳細な報告を行うためにその場に残ることになる。

 遠征軍の副将であるメルフェイスは、主将の代わりにゴーラクの街の治安回復作業に従事するため、ランスの前から退出しようとする。

 

 礼儀正しく立ち去ろうとするメルフェイスに対して、今晩自分の部屋を訪ねるように声をかけるランス。

 メルフェイスの発作が起きないように、遠征中であってもしっかりと抱いてやらなければならないと、真面目に考えていたのである。

 驚くメルフェイスであったが、恥ずかしげに頬を染め、ランスの手厚い配慮を感謝して夜の訪問を約束して退出していく。

 

 その場にいたハウレーンは、ランスとメルフェイスの会話を顔を真っ赤にして聞こえぬ振りをしていた。

 メルフェイスが去ってから、メルフェイスとの夜の生活を恥ずかしげも無く喧伝するランスに対して、怒りに満ちた瞳を向けるハウレーン。

 ハウレーンは否定するが、ちょっとばかり嫉妬の感情も入り混じっていた。

 

 しかし、そんなハウレーンもすぐに文句を口にすることなどできなくなってしまう。

 詳細な報告を躰で提出するように命じられ、そのままランスに抱き寄せられてしまったからである。

 結局、ランスと散々に躰を合わせるはめになってしまったハウレーンであった。

 

 

 

 夜、ランスが泊まっている部屋にメルフェイスが静々と現れる。

 遠征開始前に抱かれていたため、まだメルフェイスには発作の兆候はない。

 しかし、この時期のメルフェイスは完全にランスに情が移ってしまっていた。

 そのため、部屋に入ってきたとき、メルフェイスは恥ずかしげながらもランスとの逢瀬を期待する表情を見せていた。

 ランスに抱き寄せられると幸せそうな表情を見せ、そっとランスの逞しい躰を抱きしめた。

 

 その夜は遅くまでランスの寝室から、メルフェイスの艶やかな喘ぎ声が聞こえることになる。

 ランスはメルフェイスを何度もイかせ、絶頂に震えるメルフェイスを抱きしめて、その胎内の一番奥に何度も熱い精を注いだ。

 ランスが魔王の力を吸収してしまってから、初めてのメルフェイスとの逢瀬となる。

 

 魔薬リヴの効果により、メルフェイスの子宮は魔力増幅器と化している。

 そのため通常ならば、注ぎ込まれた男の精は精気を残らず搾り取られてしまうはずであった。

 精気を失った精は、受精という本来の役目を担うことが出来なくなる。

 つまり、リヴの影響下にあるメルフェイスは決して子を作ることが出来ない躰になっていたのである。

 

 しかし、魔王の力を取り込んだことにより、ランスの精はビックバン並みのパワーを持ってしまっている。

 メルフェイスの躰の魔力増幅器がいくら精気を吸収しても、ランスの精は無尽蔵のパワーを保ち続けた。

 そして、元気一杯のまま愛しいメルフェイスの卵子に殺到していく。

 

 この日、メルフェイスはちょうど排卵日を迎えており、メルフェイスの胎内では受精する準備が整っていた。

 何度も愛し合い、抱き合って絶頂を伝え合う間に、当然のことながらランスの精子とメルフェイスの卵子が結合する瞬間がついに訪れる。

 その瞬間、魔力増幅器と化していたメルフェイスの子宮に甘い衝撃が走る。

 そのあまりの快楽に、メルフェイスはランスに抱きすくめられたまま意識を飛ばしてしまうのであった。

 

 

 

 翌朝、本日実施予定の強制徴収の準備が整ったことを知らせる侍女マリスの声で、ランスは目覚める。

 ベッドには、非常に色っぽい表情を浮かべて眠りについていたメルフェイスの優美な姿があった。

 大きく伸びをして起きようとするランス。

 そのランスの挙動に、メルフェイスの浅い眠りは解けてしまう。

 

 メルフェイスは起きてランスの仕度を手伝おうとする。

 だが、全身が甘く痺れるような感覚に冒され、力が全く入らないために四苦八苦することになる。

 ランスはメルフェイスは腰が抜けて動けないものと察し、そのまま横になっているように命じた。

 そして、困った顔をしているメルフェイスに甘くキスをする。

 メルフェイスがあまりにかわいい表情を見せるものだから、ランスの性欲が暴走しかける。

 

 覆いかぶさり、メルフェイスが無防備に晒してしまっていたその二房の美乳を散々に嬲ってしまうランス。

 それだけで、メルフェイスの敏感になっていた躰は、ランスの愛撫に反応してしまい、悶えるような痴態を見せるメルフェイス。

 メルフェイスのその美麗な乳房の先端にある形の良い乳首は、昨夜からまだビンビンにそそり立ったままであった。

 ランスはその綺麗な乳首を嘗め回し、ちゅうちゅうと吸いたてた。

 決壊寸前であったメルフェイスは、その軽い愛撫だけでビクビクと躰を震わせてイッてしまい、激しい快楽に耐え切れずに気を失ってしまう。

 

 メルフェイスの敏感さに驚くランス。

 躰を震わせて色っぽく気を失い、全身を弛緩させてベッドに横たわってしまったメルフェイスは、幸せそうな表情を浮かべていた。

 やはりメルフェイスはかわいいと満足したランスは、これだけ愛してあげれば当分発作は起きないだろうと考えた。

 起こしてしまうのもかわいそうなので、幸せそうに眠りについたメルフェイスに軽いキスを送り、ランスはベッドからそっと離れた。

 

 

 

 ランスはベッドにメルフェイスを残し、仕事に出かけていくことになる。

 メルフェイスの胎内に新たな命が芽吹いていた。

 その結果、メルフェイスの躰がリヴの効果から解き放たれつつあったことを、ランスが知る由もなかった。

 

 

 

 

 

<LP3年10月10日>

 

 ゴーラクに滞在中のランスは、ハウレーンやメルフェイスたちのゴーラクの占領作業を手伝った。

 

 ランスはマリスに命じて、ゴーラクの街で不正な手段で資金を蓄えている者たちを対象とした強制査察を行った。

 同時に自分好みのいい女を見つけた場合は、野戦司令部に連れてくるように部下に命じるランス。

 

 部下たちはゴーラクの街で一番の美しい女を捜して駆けずり回ることになる。

 

 

 

 このとき、カスポーラ家の令嬢であるアナセルがゴーラクの街にいたら、間違いなくランスの元に連行されたであろう。

 しかし、アナセルは帝都ラング・バウに留学中であった。

 拉致されてから、盗賊団のボスの情婦として日々を過ごしていたという噂が街に広まってしまっていた。

 皆に白い目で見られることに耐え切れなかったのである。

 

 そのため、ランスの部下たちが血眼になって探したのは、昨年度の美少女コンテストで見事一位に輝いたメルシィ・アーチャであった。

 (ちなみに三位も探したが、その美貌はメルシィやアナセルには遠く及ばなかったので、すぐに解放された。)

 

 野戦司令部でメルシィと再会を果たしたランスは、ここで会ったが百年目とばかりに即ハーレム入りを決定する。

 メルシィは盗賊団の頭が何故リーザスの皇帝をやっているのか混乱してしまう。

 そんなメルシィに有無を言わせず、ランスは彼女をリーザス城に連行するよう部下に命じたのであった。

 

 

 

 メルシィの家は普通の一般的な暖かい素朴な家庭であった。

 メルシィをリーザスに連れて行かれたアーチャ一家は悲嘆に暮れることになる。

 メルシィの弟は絶対に姉を取り戻すんだと泣きじゃくった。

 

 そんなアーチャ一家をリーザスの摂政たるマリスが訪問する。

 マリスはアーチャ一家にメルシィの身請け代として、途方も無い額のお金を渡してしまう。

 

 断ろうとするアーチャ一家であったがマリスは事務的に話を進めてしまった。

 ちょうど渡りに橋で、メルシィの父が勤めていた会社はランスの臨時徴収によって見事に潰れてしまい、一家は路頭に迷いそうになっていた。

 とんとん拍子に話を進められ、結局アーチャ一家もリーザスに強制的に引っ越すことになってしまった。

 

 

 

 

 

<LP3年10月11日>

 

 メルシィを連れてリーザス城に帰還したランス。

 兵舎の石垣の上に腰掛けてぼんやりしているメナドを見かける。

 メナドは、訓練を部下に任せ、物思いに耽っていた。

 ザラックが死んでから二ヶ月以上の月日が経つ。

 未だにメナドは立ち直っていなかった。

 

 メナドはランスに対して"女は軍人になれないのかなぁ"とポツリと尋ねた。

 ザラックの一件は、自分が女だったから起ってしまったと考えてしまうメナド。

 ランスは、そんなことは関係ないと説くが、メナドは覇気のない返事を繰り返す。

 

 ランスはメナドを高く評価していた。

 そのため、自力で這い上がってくるものと考えていた。

 しかし、一向に立ち直る気配がなく、ランスも頭を痛めていた。

 久しぶりにメナドと会話したランスはこれではいかんと考え、ついに行動を起こす。

 

 

 

 この日、ランスはメナドを強引に後宮内に転居させてしまった。

 無気力なメナドはその措置に抗いもしない。

 そのまま閨房に呼ばれたメナドは、相変わらず生気のない顔のまま、逃げずにランスの相手をしようとする。

 すでに逃げる理由も無くなっていた。

 

 自分のことを女の子として優しく扱ってくれたザラックに対して、メナドは未練を残していた。

 そんなメナドにランスは説教を開始する。

 今度からは、己より強くて地位の高い男に惚れろと言い切るランス。

 自分より弱い男はメナドを利用しようとしていると考えろと、極論を振りかざした。

 

 現実的に考えるとそんな男はランスや将軍たち以外はいない。

 無茶苦茶だよと訴えるメナドに対して、ランスは俺様に惚れろと断言する。

 その痛快なまでのランスの態度に、落ち込んでいたメナドも思わず笑いを漏らしてしまう。

 

 笑っている方が可愛いとガシガシとメナドの頭を撫でるランス。

 そんな事を言われたのは初めてで、戸惑うメナド。

 他の男が馬鹿なだけだと、ランスはメナドを優しく押し倒して言った。

 

 ザラックとするのとは全く違った優しいセックスにメナドは溺れていく。

 可愛いと囁かれ続け、感極まったメナドは、ランスの躰にしがみ付いて自分も腰を合わせていく。

 ランスが外に放出した精を腹部に感じ、メナドはフルフルと絶頂に達してしまう。

 

 

 

 健康的で明るい良いムードの中で行われたセックスは、二人の心を暖かくする。

 セックスの後でベッドに横たわる二人。

 他愛のない会話を交わして、微笑む。

 

 またするぞと言うランスに対して、それじゃあ恋人ができないよと文句を言う。

 俺様を好きになれと言うランスに対して、リア様を大事にしなきゃと逆に忠告する。

 両方大事にすると言うランスに対して、それじゃリア様に叱られるよと笑う。

 メナドは完全にいつものペースを取り戻していた。

 

 メナドは改めてランスにありがとうとお礼を言う。

 なんでお礼をするんだと不思議がるランス。

 メナドはくすくす笑った後、おやすみなさいと部屋を後にする。

 部屋に来たときとはまるっきり違った明るい顔になっていた。

 

 天井の裏に控えていたかなみは、ランスと親友のメナドの情事を見せ付けられ、胸のドキドキが止まらなかった。

 しかし、どうやらメナドが立ち直ったようなので、釈然としないものを感じながらもホッと安堵のため息をつく。

 だが、メナドと棒姉妹になってしまったことに気づき、暗澹たる思いに駆られてしまう。

 この先の展開が、なんとなく予測できてしまったのである。

 その予想は近い未来に見事に的中することになる。

 

 

 

 

 

<LP3年10月12日>

 

 一旦はマリスに止められて中止したシャングリラの攻略。

 しかし、ランスは諦めてはいなかった。

 シャングリラを陥落せしめれば、リーザス帝国の大陸制覇は明らかに容易くなるのは明らかだからである。

 

 無理だと言われれば、それを覆したくなるのがランスである。

 ランスは難攻不落と謳われたリーザス城を奇想天外な作戦で簡単に落城させたことがある。

 リーザス解放戦線の一大転機となった、世に名高いゴールデンランス作戦の発案者もランスその人であった。

 ランスは常に常識を打破する男なのである。

 

 ランスはマリスには内密で着々とその準備を整えていた。

 そのため、ランスがマリスを抱く機会も目だって減ってしまっていた。

 シィルがいなくなって以降、マリスはランスに一度も抱かれていない。

 そのため、結果としてマリスが"ランス=魔王"という事実を知る機会は、当分の間失われてしまったことになる。

 

 

 

 シャングリラ攻略の手助けさせるために、ランスは部下に命じて砂漠案内人の一人を捕まえていた。

 多額の賄賂を贈り懐柔を試みるランス。

 砂漠案内人を取り込んだと判断したランスは、意気揚々と緑の軍を率いてシャングリラへの進撃を開始した。

 

 マリスの目には砂漠案内人がそう簡単に懐柔出来る人間の様には見えなかった。

 高い確率で砂漠案内人が行軍中に裏切ることになると予測するマリス。

 しかし、マリスは皇帝たるランスの一度痛い目に遭わないと決して止まらない性質をよく理解していた。

 そのため本件に関しては静観することにした。

 

 マリスはいつ砂漠案内人が裏切っても大丈夫なように注意を払いつつ、ランスと行軍を供にすることになる。

 

 

 

 

 

<LP3年10月13日>

 

 ランスの企画したシャングリラ攻めはマリスの懸念通り推移していく。

 

 砂漠案内人に従って無駄な行路を取らされ、次第に遠征軍の士気が低下していく。

 砂嵐に何度も遭遇するはめになり、さらには昼間の熱さと夜間の寒さのため、多くの兵士が行軍不能となった。

 これまでの行軍と砂嵐による被害は甚大であり、全軍の約3割が失われた。

 

 いつまでも続く砂漠での不毛な行軍にランスの忍耐力も底を尽いた。

 砂漠案内人を責めるランスに対して、砂漠案内人はその本性を現した。

 ルチェ・デスココ387世に絶対の忠誠を誓う人形である砂漠案内人が、主を裏切るはずがなかったのである。

 

 砂嵐のせいでリーザス軍の陣形は崩されていた。

 砂嵐にまぎれて接近して包囲を完成させていたシャングリラの砂漠兵が、疲労困憊状態のリーザス帝国軍に襲い掛かったのである。

 砂漠兵たちの数は少数であった。

 だが、その砂漠戦に特化された動きにリーザス帝国軍はついていけない。

 不利な陣形と疲労状態のために、リーザス帝国軍は通常通りの戦い方ができなかった。

 

 苦労して砂漠兵たちを撃破したランスであったが、シャングリラの攻略は諦めざるを得なかった。

 撤退時にまた消耗したところを砂漠兵たちに狙われる恐れが十分にあり、迅速な行動が必要であった。

 マリスが退却の準備を整えていたこともあり、ランスはなんとかリーザス城への帰還を果たすことになる。

 

 

 

 シャングリラの攻略に失敗したランスはかなり機嫌を悪くする。

 この件に関してマリスは一切ランスを責めずに、ただツンとした対応を取るだけであった。

 そのマリスの態度が余計にランスに挫折感を味わわせてしまう。

 

 ランスが王となってリーザスを率いてから初めて経験する敗戦であった。

 そのためあのランスでさえも落とせない都市として、リーザス帝国の臣民はシャングリラへの畏敬の念を強めてしまう。

 誰もがその絶対不可侵の伝説を信じた。

 ランスにとってみれば、面白くないことこの上ない状況であった。

 

 

 

 

 

<LP3年10月14日>

 

 ヘルマン北東部域を制圧するべく遠征していたハウレーン率いるリーザス帝国軍。

 ついに最終目的地であるシベリア攻略に取り掛かり始める。

 

 ヘルマン北東部の都市群はリーザスに比べて不景気で寒くて暗い雰囲気である。

 そのため作戦行動に従事する遠征軍の将兵の心身を疲労させていた。

 作戦開始から一ヶ月が経っている。

 そろそろリーザスに戻りたいという思いが下級兵士たちの間で蔓延し始めていた。

 

 歴戦の将軍であるレリューコフは部隊内に蔓延する厭戦気分に危機感を覚えた。

 規律ある部隊運営を実行し、厭戦気分の払拭に努めた。

 

 レリューコフに注意を受けたハウレーンは己の将としての未熟さを恥じることになる。

 ハウレーンはすぐにレリューコフを見習って、全軍の規律を正した。

 ランスの女になってから、ハウレーンは女性らしい柔軟さを発揮出来るするようになっていた。

 ハウレーンにとって、ランスとの関係は無意識ながらプラスに働いていたのである。

 

 

 

 そんな戦準備に忙しい中、メルフェイスは原因不明の魔力低下に悩まされていた。

 ゴーラクでランスと夜を共にしてから、メルフェイスの魔力は徐々に低下していく傾向にあった。

 そしてここ数日で一気に激減してしまっていたのである。

 今では一般の魔法兵と同等レベルにまで魔力が落ちてしまっていた。

 

 ゴーラクにてランスの腕の中で目覚めて以来、メルフェイスの躰の中心部には甘い痺れがずっと残っていた。

 最初のうちはかなり強烈で、油断するとただ歩くだけで、ランスに愛撫されたときのように軽くイッてしまいそうになるほどであった。

 一歩ごとに突き上げるような甘い痺れが子宮から全身に響き、熱い喘ぎ声を漏らしてしまいそうになるのである。

 その痺れは徐々に収まっていくのだが、それと同時に魔力の低下が起こり始めたのである。

 

 このときメルフェイスのお腹の中にはランスの御子が宿ってしまっていた。

 そのため子宮を魔力増幅路化するリヴの効果が無くなってしまい、ゆっくりとメルフェイスの躰はその副作用から解放されつつあった。

 ランスに抱かれてからずっとメルフェイスの子宮に残り続けた甘い痺れは、その証であった。

 そして、着床した瞬間にリヴの効果が完全に抹消され、子宮の状態と共に魔力も元のレベルにまで戻ってしまったのである。

 

 

 

 魔薬リヴの効果が消えてしまったことにより、無意識に強い男の精を求めてしまう躰の衝動は消失する。

 不自然なストレスがなくなり、体的にはすごく楽な状態となるメルフェイス。

 だがメルフェイスには自分の身に何が起こっているのかを知る由もなかった。

 

 何故魔力が低下したのか、メルフェイスは不安を抱え続けることになる。

 だが、遠征中ということもあり、自分の仕事を投げ出すわけにはいかなかった。

 しかし、魔法部隊を率いる将としては、魔力低下は致命的と言える。

 メルフェイスは失われていく魔力を懸命に振り絞って、部下達の魔法攻撃の同調役を担わなければならなくなる。

 

 

 

 

 

 シベリアは寒冷地帯への入り口の都市であり、その寒さも尋常ではない。

 ハウレーンは部隊の士気を維持するように苦労するが、もう少しでリーザスに帰れるという思いが兵たちの力となった。

 シベリア制圧が完了すると、リーザス帝国軍はヘルマン東部全域の支配体勢を確立することになる。

 遠征軍はシベリアを陥落させた後、最前線として要塞化が進められているローゼスグラードを通ってリーザスへ帰還する予定であった。

 

 魔力低下に苦しむメルフェイスであったが、部下達が逆に彼女の負担を減らすために頑張り、作戦に支障をきたすことはなかった。

 シベリアの防衛隊は一般兵を中心とした自警団的な戦力しか保持していなかったこともあり、占領作戦も比較的滑らかに進んだ。

 

 放火・略奪・強姦の類の戦争犯罪は、ハウレーンやレリューコフが厳格に取り締まっていたために一切発生しなかった。

 シベリアの住民たちは、搾取することしかしない現政府の役人たちがリーザス帝国軍に追い払われたことを喜んで受け入れた。

 シベリアの制圧を完了させ、リーザス帝国政府の統治を確立させたリーザス帝国軍。

 ハウレーンやメルフェイスは一連の作戦を成功裏に終了させて、リーザスへ帰国の途につくことになる。

 

 

 

 こうしてヘルマン東部は完全にリーザス帝国の占領地となった。

 ヘルマン帝国は開戦からわずか2ヶ月少々でその領土内に存在する主要都市の約三分の一を失ったのである。

 その間、侵略してきたリーザス帝国軍と戦ったのは、今はリーザスに属しているレリューコフ率いていたヘルマン第一軍だけである。

 他の軍はヘルマン第一軍が敗れ去る様をただ静観し続けていたことになる。

 

 内部抗争に明け暮れるヘルマン帝国は全てにおいて致命的なまでに動きが鈍かった。

 現にヘルマン帝国政府と軍部は一切の軍事行動を取らなかった。

 ヘルマン北東部の諸都市が次々と落とされていくのを指をくわえて見ているだけであった。

 

 リーザス帝国はランスの号令一つで目的を果たすために人員や資材の全てが躊躇うことなく投入される体制を確立している。

 国家としてのあり方が両国は大きく違っていたのである。

 レリューコフの言の通り、国を率いる者の器の違いが戦局に大きな影響を与えたと言える。

 

 この遠征によってヘルマン帝国の未来はとても暗いものであることが誰の目にも明白となったのである。

 

 

 

 

 

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