「川中島和平会談」開催。会談中にヘルマン側の使節団がバーサーカー化し、和平交渉は決裂。
ムーララルー、ヘルマン帝国を悪の枢軸国と非難。AL教団、聖戦への参加を表明。
ムーララルー、パメラを偽者と断定する。
11月25日 リーザス城
ランス、偽パメラをリーザス城に幽閉。
ランス、ソウルをマリス付きにする。
11月26日 リーザス城
リック、パットンからの同盟申し入れがあったことをランスに報告。
11月27日 スードリ17
スードリ17会談が開かれる。ランス、パットンと同盟を結ぶ。
11月28日 パルナス
ランス、パルナスにて、ヘルマンの二大スターを手に入れる。
アリストレス、ステッセルの不正を暴くも、シーラの手紙で逆賊討伐を決意。パルナスを攻撃。
11月29日 ポーン
ネロ、コサックにて演説するも、兵の士気は上がらず。
クリーム、ランスに降る。
ランス、ポーンにて花売りの少女エレナ・フラワーと出会う。
11月30日 シャングリラ
ロレックス、ついに出撃の号令を発してローゼスグラードでリーザス帝国軍と対峙。
<LP3年11月24日>
ヘルマン皇太后パメラがオールハウンド率いる近衛兵団700名を引き連れて静々と川中島入りする。
対するリーザス皇帝ランスはレイラ率いる親衛隊800名を引き連れて煌びやかに川中島入りする。
AL教団は川中島を挙げて大いに両国の使節団を歓迎した。
和平会談は約定通りの時間に開始されることになる。
パルオットとコンタオットが両国の代表者を会談の行われる大聖堂に案内した。
大聖堂には法王ムーララルーと法王代理サルベナオットが待つ。
パメラはオールハウンドとステッセル配下の文官10名を率いて会談の場に臨む。
ランスはマリスと日光、秘書のレィリィを側に侍らせて、会談の場に臨んだ。
尚、リーザス帝国側はもしもの場合に備え、川中島の各所に見当かなみを筆頭とする忍者部隊を密かに配置していた。
両国の護衛部隊は川中島の大聖堂の前の大広場にて待機することになる。
両国の軍隊が戦闘状態に陥らぬように、AL教団の力の象徴とも言えるテンプルナイツが動員されていた。
テンプルナイツは両軍の間に立って双方を牽制する形を取っていた。
ヘルマンの近衛兵団は元第一軍所属の騎士や志願兵を中心として急遽設立された部隊である。
見てくれは立派であったが統制はまるで取れていなかった。
一方のリーザスの親衛隊は隊長のレイラの強力な指導力の下に見事にまとまっていた。
ヘルマン側とのコントラストがはっきりしていた。
親衛隊の隊員たちがヘルマン兵たちの練度の低さに油断してしまうのも無理なかった。
法王ムーララルーの立会いの下、和平会談は行われる。
セコナオットが議長役であった。
ムーララルーは朗々たる声で和平会談の開始が高らかに宣言する。
まず議長役のセコナオットから和平案が提示される。
その和平案は二つの柱でなりたっていた。
一つ目の柱は休戦協定に関してである。
提示されたのは今冬の寒波による被害を防ぐという建前上、春先までの暫定的な休戦案であった。
この案は軍備の建て直しを急ぐヘルマン側にばかり有利な案である。
しかし人道的な面からリーザス側も受け入れるしかないものであった。
二つ目の柱はコサックで孤立しているヘルマン第四軍に関してである。
提示されたのはコサックをリーザスに割譲するという案であった。
ただし、第四軍を無事にラング・バウに帰還させることが条件である。
この案は兵力を集中したいヘルマン側と、無用な戦闘による被害を避けたいリーザス側の双方にメリットのある話であった。
この二軸の案をベースとして、リーザスとヘルマンの双方は交渉を開始することになる。
交渉自体はヘルマン側の文官10名とリーザス側のマリスが進めていくことになる。
10名を相手にしてもまったく動揺することはないマリス。
マリスは軍事面での優勢な状況を生かしての強気な対応で逆にヘルマン側を押し込んでいく。
川中島到着直後、ランスはシーラが川中島に来ていないことを聞いて大いに腹を立てていた。
それだけで交渉を破談させようとするランスをマリスはなんとか宥めて、会談の席に着かせる。
自分の子を孕んでるマリスに微笑まれるとランスも面映くなる。
マリスは「代わりに来たパメラ皇太后も、かなり美しい方です。」と耳打ちする。
パメラが随分年増であることを理由にあまりやる気が出ていなかったランス。
どちらかと言えばマリスとイチャついていたかった。
しかし現物を前にして180度態度を転換させる。
ランスは少しだけ薹の立った、臈長けたパメラの美しさに涎を垂らすことになる。
美人なら年齢なんてどうでもいいと宣うランスにとってパメラは十分に射程範囲内であった。
パメラは生粋の貴族であり、皇妃として長年ヘルマンに君臨してきた女性である。
相手を観察する術は良く心得ていた。
パメラは初めて会った敵国の皇帝の人物を見極めようとしていた。
凛々しい顔立ちをしているのに、ふざけたように歪む口元がランスの育ちの悪さを表していた。
想像以上のランスの下品さに眉を顰めてしまうパメラ。
しかし視線を交わした瞬間に、パメラはランスの鋭すぎる眼光に気圧されてしまった。
そのままパメラのメリハリのある肢体にねっとりとした嬲るような視線を向けてくるランス。
高貴なパメラは視線で犯されるような経験は当然無く、ランスの露骨な視線をその身に受けて堪らず頬を染めてしまう。
ツンと澄ました態度で顔を逸らし、ランスの好色な視線を無視しようとするが果たせず、屈辱に躰を震わせてしまう。
ランスはパメラを嬲るように挑発することを止めなかった。
ヘルマンを征服したら予想以上に若くて美しいパメラも捕らえてハーレムに入れようと妄想を広げる。
シーラ共々親子丼でヒイヒイ言わせてやろうと卑猥な考えを抱いていたのである。
マリスもランスの遊びに気がついてはいた。
だがパメラが怒って席を立ったことになれば、理由はどうあれヘルマン側が和平会談を破談させたことになる。
AL教団との関係もこじれず、最良の決着となるのでランスを止めようとしなかった。
誇り高いパメラはランスに対して激昂しかける。
しかし是が非でも休戦を纏めたいヘルマン側の官僚たちはパメラを押し止めた。
ヘルマンを出るときにステッセルに言い含められていたこともあり、パメラは耐えに耐えた。
パメラは屈辱に顔を赤らめながら、ランスと交渉を続けることになる。
ヘルマン側の副代表であるオールハウンドは、最初の挨拶で奇怪な笑い声を発する。
ヘルマン評議委員として和平会談の見届け役を勤めると自分の立場を説明するオールハウンド。
リーザスだけでなくAL教団の面々も気味悪がらせた後、会談中は音なしの構えであった。
ランスは変な爺には最初から興味など無く、その視線はパメラにだけロックオンされてしまっていた。
マリスもオールハウンドが会談に口を出してこない点について特に不審とは考えていなかった。
只一人、日光だけが時間を気にするオールハウンドの所作に対して奇怪な印象を抱いていた。
日光は注意深くオールハウンドを観察し続ける。
オールハウンドは目の前の茶番を聞き流しながら、薬が効き始めるのを待っていた。
その薬とは服用者を恐るべき化け物<バーサーカー>へと変化させてしまう、オールハウンド特製の秘薬であった。
オールハウンドは今朝方の出立時にパメラを除く使節団の全員に対して薬を一錠づつ配布していた。
そして全員に言葉巧みにその薬を飲ませてしまっていたのである。
マッドサイエンティストのオールハウンドにとって、薬が効き始める時間をコントロールすることは容易い。
和平会談が行われる時間帯を想定し、ベストなタイミングで効果が現れるように、カプセルの厚さをコントロールしていた。
飲ませる相手のプロフィールをステッセルから予め入手していたことも、オールハウンドの作業をやりやすくした。
パメラから寝物語で聞き、ステッセルは十字軍の特性を十分に理解していた。
オールハウンドの力を遺憾なく発揮させるために、大掛かりな仕掛けを用意したのである。
今回の急遽設立された近衛兵団は、最初から全員をバーサーカー化するために集められた捨石部隊だった。
また会談に参加する文官たちも、とっくの昔にステッセルから見放されていた者たちである。
彼らがいなくなってもステッセルには何ら影響が無かったのである。
パメラは皇妃として十字軍の内情をよく知っていた。
為政者としてだけではなく一人の人間としてその存在を強く嫌悪していた。
近衛兵たちがオールハウンドの薬を飲んでしまったことをパメラが知れば、全てに気づいてしまうのは明白だ。
そのためオールハウンドはパメラには内緒で事を進めていた。
薬を服用してバーサーカーと化してしまった者はもう二度と人間に戻ることは出来ない。
そしてその命はたった一日で失われてしまうのである。
そのため自分からその薬を飲もうとする者など誰もいない。
いかに騙して飲ませるのかがオールハウンドの腕の見せ所であった。
兵達に対してリーザス皇帝の鬼畜振りを喧伝するオールハウンド。
和平会談においてリーザス側がどんな卑劣な手段に出るかわからないことを、オールハウンドは強調した。
敗戦を経験し弱気になっていた元第一軍の兵たちや、まったくの素人の志願兵たちは大いに緊張してしまう。
オールハウンドは兵達の緊張につけ込んでいく。
一定の期間だけ、能力を全般的に向上させることが可能な秘薬という触れ込みで、己の薬を配った。
兵達は全員疑うこと無くオールハウンドから貰った薬を飲んでしまっていたのである。
上司であるステッセルから何も聞かされていない捨て駒の三流の文官たちは、与えられた大役に皆大いに緊張していた。
オールハウンドはそんな彼らに対しても、緊張を和らげて精神を落ち着かせる薬として己の薬を配っていた。
そして全員が出立前にその薬を飲むことをその目で確認していた。
オールハウンドは細かいディテールにも拘っていた。
兵達に与える薬のカプセルには精神昂揚剤を塗りこんでおいた。
文官たちに与える薬のカプセルには精神安定剤を塗りこんでおいた。
そのため薬を飲んだ兵や文官たちは、薬の効果をまったく怪しむことがなかったのである。
ふと大聖堂の外で、何か騒ぎが起こっていることに気づく会談中の面々。
オールハウンドは舌打ちをした。
オールハウンドの予想以上に外の気温が上がっていた。
そのため野外で待機している近衛兵団たちの発汗が増加してしまい、薬の回りが若干早くなってしまったのである。
オールハウンドの予測どおり、大聖堂の前の大広場は大騒ぎとなっていた。
ヘルマン帝国軍の数名の兵士が突如苦しみ出したかと思えば、あっという間に化け物へと変化していったのである。
驚いて逃げ出そうとした周囲のヘルマン帝国軍の兵士達も、触発されるように苦しみだし、バーサーカーへの変体を遂げていった。
その光景はまさに阿鼻叫喚の地獄絵図であった。
志願兵と思しき若い兵士が恐怖に顔を引きつらせて、リーザスの親衛隊の前まで逃げてきた。
すでに仲間達が化け物となっていく理由に気がついているらしく、薬を飲んでしまった自分の運命を受け入れられずに泣き喚く。
必死に助けを求めながら、半ば狂いながらバーサーカーへと変化していく兵士。
その有様を親衛隊の面々は青い顔をしながら見つめるしかできなかった。
誰も動けない中、親衛隊長のレイラだけが只一人行動を起こす。
完全にバーサーカーに変体する前に裂ぱくの気合を込めて走り寄り、その兵士の首を一刀の下に切り落とす。
レイラはうろたえる部下達を叱咤し、迎撃のフォーメーションを即座に布くように命じた。
この騒ぎで一番被害を受けてしまったのは、間に立っていたAL教団のテンプルナイツの部隊であった。
突然ヘルマン帝国軍の兵士達が怪物へと変化したことに混乱し、指揮系統が乱れて個々に対応を強いられてしまう。
テンプルナイツはバーサーカーたちの圧倒的なパワーの前に粉砕されていった。
そしてテンプルナイツを打ち破った一部のバーサーカーの群れが、何かに導かれるように大聖堂へなだれ込んでいく。
大聖堂の中には、和平会談中のランスやマリスたちだけではなく、一般の信者も多数出入りしている。
レイラはバーサーカーの群れが大聖堂へ侵入するのを防ぐために最善を尽くそうとする。
混乱するテンプルナイツへの援護を後回しにして、大聖堂の入り口の確保を最優先とし、レイラは部下に号令をかけた。
なんとかテンプルナイツが頑張っている間にバーサーカーを倒しつつ、大聖堂の入り口を抑えることに成功したレイラ。
しかし、すでに100体以上のバーサーカーが大聖堂の中に入り込んでしまっていた。
レイラは副隊長のジュリアに200名の部下をつけて、大聖堂の中に入ったバーサーカーたちを掃討するように命令する。
レイラはバーサーカーの強さを目の辺りにして愚図るジュリアにビンタをかまし、強制的に命令に従わせる。
久々にレイラに本気で叱咤されたジュリアは、泣きそうになりながらもその命に服して大聖堂の中に突入していく。
レイラはその後姿を見る暇も無く、階段を駆け上って来るバーサーカーたちを撃退するための指揮を採ることになる。
バーサーカーは下手なモンスターよりも強力であり、彼我の戦力差は圧倒的であった。
そしてそのバーサーカーが己の躰が傷つくこともかまわずに、遮二無二突撃を仕掛けてくるのである。
レイラはすでに戦士としての覚悟を決めていた。
例え全滅したとしても、一体でも多くのバーサーカーを道連れにする覚悟だったのである。
親衛隊は設立以来最大の激戦をここ川中島で経験することになる。
外の騒ぎに気をとられている間に和平会談の場でも異変が起こっていた。
ヘルマン帝国側の文官たちが苦しみ始め、あっという間に怪物と化していったのである。
その姿は現在外で暴れているバーサーカーよりも、もっと禍々しかった。
オールハウンドは会談の場でバーサーカー化するであろう文官たちに対してのみ、さらに特別な薬を与えていた。
普通のバーサーカーは1日保つ仕様であったが、このバーサーカーたちの活動限界は1時間とさらに短いものだった。
しかしその代価として普通のバーサーカーの三倍は強力な能力が引き出されていたのである。
リーザス皇帝ランスが世界でも有数の剣豪ということもあって、念には念を入れた処置であった。
ランスの後ろで控えていたレィリィは、短く悲鳴を上げて持っていた書類をバサバサと落としてしまう。
マリスは目の前のヘルマン側の文官たちが苦しみ始めた時点で異変を察知し、椅子を蹴って距離を置いていた、
日光は超バーサーカーから放たれる強烈な敵意を受けて、即座に状況を把握する。
刀を引き抜き、妊娠中のマリスと動転しているレィリィを庇うようにすばやく体勢を整えていた。
超バーサーカーの影に隠れたオールハウンドの奇怪な笑い声が辺りに響いた。
AL教団のサルベナオット・セコナオット・パルオット・コンタオットの四名は、状況の変化についていけず、呆然と立ち尽くしてしまう。
だが法王ムーララルーだけは機敏に状況の悪化を読み取り、いつの間にかその場から姿を消してしまっていた。
オールハウンドがヘルマン十字軍将軍としての力を行使してしまったことを知り、パメラは顔面蒼白となる。
十字軍の力は何があっても使うべきものではないとパメラは平素から強く考えていた。
服用したヘルマンの民を確実に死なせてしまうことになるからである。
パメラは超バーサーカーの余りに禍々しい姿に気を失いそうになりながらも、気丈にもオールハウンドを責めた。
オールハウンドは和平会談中に超バーサーカーでランスを殺すという、ステッセルの秘策を得意げにばらしてしまう。
パメラはステッセルに騙されていたことを知り、衝撃を受けてしまった。
オールハウンドから、追い討ちをかけられるように自分がステッセルに捨てられたことを知らされるパメラ。
パメラはその言葉を決して信じようとはしなかった。
だが、オールハウンドが本当に自分も殺害しようとしているのを感じ取り、言葉を失ってしまう。
パメラの狼狽振りを楽しむオールハウンド。
そしてこの場にいる者全てが超バーサーカーの餌食になるのじゃ、と楽しげに叫んで超バーサーカーに全員殺害を命じた。
そのオールハウンドの言葉に、パメラだけでなくAL教団の幹部の面々も大いに驚愕することになる。
ステッセルはパメラだけでなくAL教団さえも巻き添えにすることを厭わなかった。
むしろ積極的に殺害するようにオールハウンドに命じていたのである。
最終的に全ての責任をリーザス側に押し付ける算段だったのである。
そのときただ一人椅子に座ったままであったランスが、不敵に笑った。
「そんな木偶人形如きで俺様を倒すことなどできん!」と叫び、目の前の大きなテーブルを根性でひっくり返してしまうランス。
その迫力にびびったオールハウンドは、襲い掛からせようとしていた超バーサーカーの動きを一瞬止めてしまう。
次の瞬間ランスは己の帯剣(冒険者時代から使用している無銘の剣)を引っ掴んでいた。
そしてオールハウンドと超バーサーカーに対して襲い掛かっていく。
日光にレィリィとマリスを守るように命じ、10体の超バーサーカーたちとの戦闘に突入するランス。
和平会談の場は一気に戦闘区域へと変化してしまう。
AL教団の幹部の面々は安全地帯を求めて逃げ回るはめになる。
運悪くセコナオットは超バーサーカーに囲まれてしまい、一瞬で肉ミンチに変えられてしまった。
残りの三人はあたふたと逃げ回り、結局は日光とマリスの後に隠れて醜態を晒す。
パメラは展開の速さについていくことができず、戦場の真っ只中に呆然と立ち尽くしてしまっていた。
ランスに襲い掛かろうとする超バーサーカーの突進に、パメラは巻き込まれてしまいそうになる。
すんでのところでランスに突き飛ばされ、気を失ってしまうパメラ。
超バーサーカーを斬って斬って斬りまくるランス。
ホーネットの涙ぐましい努力の甲斐あって、今のランスは隔絶した強さを手に入れていた。
超バーサーカーでさえもグリーンハニーと変わらない感覚であった。
ランスは流れるような動きで超バーサーカーの攻撃をすり抜けて、一撃で確実に一体を屠っていた。
日光が2体の超バーサーカーを討ち取った間に、ランスは8体の超バーサーカーを倒してしまった。
ランスに散々抱かれたことにより、日光の才能限界は大幅に拡張されている。
日光がマリスとレィリィの二人を守りつつ戦ったマイナス面を考えても、ランスの強さはずば抜けていた。
超バーサーカー10体はあっという間に和平会談の場から駆逐されてしまうことになる。
後にはランスのあまりの強さに唖然としてしまっていたオールハウンドだけが残された。
ランスは「この落とし前をどうつけてくれるんだ」とオールハウンドに凄む。
オールハウンドは必死に時間を稼ごうとじりじりと逃げようとする。
ランスはゆっくりとオールハウンドを追い詰めていく。
だがその瞬間に数体のバーサーカーが扉を吹き飛ばして乱入して来た。
バーサーカーを瞬殺するランスであったが、その隙に驚異的な素早さてオールハウンドは脱兎の如く逃げ出してしまった。
さらにバーサーカーたちが部屋に飛び込んできたために、オールハウンドを取り逃がしてしまうランスたち。
バーサーカーに対して苦無が飛び、その動きを封じる。
ランスの傍らにかなみがシュタッと降り立ち、ランスに対して親衛隊の苦戦を伝えた。
ランスはかなみにマリスとレィリィの護衛を任せた。
ランスと日光はバーサーカーの動きを停止させるためにオールハウンドを捕らえようとする。
二人はオールハウンドを追って大聖堂の長い回廊を駆けた。
だが回廊の真ん中でジュリアの剣に刺し貫かれてしまっているオールハウンドの姿を視ることになる。
慌てて駆け寄ったランスはジュリアを叱り付ける。
オールハウンドがいなくなれば、バーサーカーたちが暴走するのは目に見えていた。
ランスは自分の力で大聖堂の入り口で頑張っているレイラを救おうとする。
大急ぎで日光を抱き寄せ、聖刀化させるために日光に愛撫を加えるランス。
絶頂の光と共に聖刀と化した日光を掴んだランスは、残ったジュリア配下の親衛隊員たちを率いてレイラの元へ急いだ。
大聖堂の前ではレイラ率いる親衛隊が死力を尽くして戦っていた。
レイラの頑張りによってバーサーカーたちの大聖堂への侵入はなんとか阻止されていた。
既にテンプルナイツは体制の整え直しに成功しており、徐々に他の部署からの増援も駆けつけていた。
バーサーカーは戦闘が開始した当初、戦闘中に行動不能になった隊員には見向きもしなかった。
大聖堂への突入を最優先に行動している様子だった。
しかし、つい先ほどからそのバーサーカーの動きが変わってしまっていた。
大聖堂へと突っ込んでくる動きから、辺りかまわず暴れまくる動きへと変化していたのである。
これまでの激戦により、バーサカーの数は大分減っていた。
だが動くモノに対して容赦なく攻撃を加えてくるようになったために、より危険な相手となってしまう。
親衛隊の被害も大きくなり、その被害状況も加速度的に深刻な状態に陥りつつあった。
リーザスの将軍たちの中では、赤い死神リックの次に強い剣士である親衛隊長のレイラ。
この戦いにおいて単独で屠ったバーサーカーの数は5体を超え、救った親衛隊員の数は10人を超えていた。
そのレイラも精根尽き果てた状態であり、すでに限界を超えていた。
暴れるバーサーカーの一撃を受け止めきれず、レイラは弾き飛ばされてしまう。
別のバーサーカーが倒れたレイラに対して襲い掛かる。
反射的に目を閉じてしまい、これまでかと覚悟を決めたレイラ。
しかし、いつまで経っても最後の一撃は降りかかってこなかった。
何者かに抱き起こされ、慌てて目を開いたレイラは、ランスの姿を確認して安堵の吐息をつく。
ボロボロのレイラに対してランスは労いの言葉を送った。
俺様が来たからにはもう大丈夫だ、というランスの頼もしい言葉をレイラは素直に受け入れそうになる。
しかし守るべき主であるランスに死なれてしまっては、自分達の苦労は水の泡になる。
慌ててランスに逃げるように強い口調で進言するレイラ。
だがランスはレイラの言葉をまるで聞いておらず、聖刀日光を振りかざしてバーサーカーの群れに飛び込んでいった。
聖刀の一振りで数体のバーサーカーを斬り飛ばすランスの活躍にレイラは目を丸くしてしまう。
ランスの派手な戦い振りにはバーサーカーも注意を引かれたらしく、ランスのいる場が激戦区へと変わっていく。
剣士としてあまりに美しすぎるランスの動きに、レイラは見蕩れてしまっていた。
今のランスであれば、たとえバーサーカーが今の10倍の数がいたとしても、まったく問題にしないであろうことをレイラは確信する。
皇帝に守られる親衛隊長というのもおかしな話ではあるが、今の自分をレイラは黙って受け入れることにした。
レイラはランスの戦う姿を頼もしげに見つめ、この戦いが続くのもあと少しの間であろうことを予測した。
そしてレイラのその予測は的中することになる。
やがて、全てのバーサーカーは駆逐されるところとなり、川中島に平穏が戻った。
当然のことながらリーザスとヘルマンの和平会談は破談となる。
ランスはこの戦いで実に108体のバーサーカーを仕留め、大陸最高の剣士としてのその名声を確固たるものとした。
リーザス皇帝ランスは、剣聖としてその名を讃えられることになり、剣聖皇帝として、その名をさらに大陸に響かせることになる。
リーザス皇帝ランスとその親衛隊の活躍でバーサーカーは全て駆逐された。
混乱の原因であったオールハウンドは、親衛隊の副隊長ジュリアの手によって倒された。
ヘルマン帝国側の使節団は会談の場で気絶したままのパメラ前皇妃を除いて全滅である。
その代償としてリーザス帝国軍の親衛隊はかなりの被害を蒙っており、隊長のレイラも全身を打撲して辛い状況にあった。
バーサーカーと相対することになったAL教団のテンプルナイツの一部隊は、ほぼ壊滅に近い打撃を受けていた。
また和平会談に参加していたAL教団の幹部達にも尊い犠牲が出ていた。
司教の一人であるセコナオットがバーサーカーによって無残にも殺害されてしまっていた。
全ての騒ぎが鎮圧された頃、法王ムーララルーが無事な姿を現す。
セコナオットの死に恐れ戦いていたAL教団の信徒たちは、ムーララルーが無事なことを知って涙を流して喜んだ。
ムーララルーは異変が起こってからすぐにその身を隠し、一人安全な場所に退避していた。
騒ぎが収まるまで隠れたまま、今後の対応を考えていたのである。
ムーララルーは自分まで殺そうとしたヘルマン帝国宰相ステッセルを許すつもりはなかった。
幸いにしてステッセルの企みはリーザス皇帝ランスの超人的な強さの前に潰えた。
ランスが生き残ったことを知ったムーララルーは方針の大転換を決定する。
わざわざ反攻のための時間を用意してあげたのに、その機会を最悪な形で潰してしまったヘルマン帝国に明日を与える心算はなかった。
ムーララルーは多勢力の均衡の上に立つという方針を諦める。
これからも拡大を続けるであろうリーザス帝国にべったりと張り付いていくことを決めた。
リーザス帝国の拡大と共にAL教団の影響力を浸透させて行くことを選択したのである。
行く行くはAL教をリーザス帝国の国教とし、法王が皇帝よりも高い権威を持つような体制へと持っていこうというのである。
リーザス皇帝ランスとその親衛隊の尽力に感謝の意を述べるムーララルー。
身を挺して大聖堂の一般信者を守ってくれた親衛隊の美しい女性隊員たちに対して特に厚くお礼言上をした。
不幸にもこの戦いで命を落としてしまった隊員たちを類希なる勇者として讃え、その死を悼む言葉を述べた。
ムーララルーはリーザス帝国に感謝するとともに、今回の一件がヘルマン帝国の宰相ステッセルの陰謀であることを大々的に発表する。
今回の和平会談は法王ムーララルーが人道的な立場から両国に要請を行って実現したものである。
その尊い和平の話し合いの場にてステッセルはリーザス皇帝ランスを暗殺し、その罪をAL教団に帰そうとしたのである。
平和に対するAL教団とリーザス皇帝ランスと司教セコナオットの尊い思いはステッセルによって踏み躙られたと宣言する。
セコナオットの若すぎる死を嘆き、ステッセルの行いは神を裏切る卑劣な行為であると、ムーララルーは声高に非難した。
ムーララルーはヘルマン帝国を悪の枢軸国と呼ばわり、この世から滅び去るべき国家であると認定した。
リーザス帝国のヘルマン領への侵攻は聖戦としてAL教団に肯定されることになる。
そしてAL教団はリーザス帝国と共に歩むことを宣言し、この聖戦に対してテンプルナイツの派兵を決定したのである。
セコナオットの死を受けて復讐を誓ったテンプルナイツの士気ははちきれんばかりである。
全てのAL教徒にとって法王ムーララルーの言葉は神の言葉と同じであった。
聖戦を続けるリーザス帝国内のAL教徒たちは、ヘルマン帝国を悪い国であると思い込んでしまうことになる。
AL教徒たちの盛り上がりによってリーザス帝国内での志願兵の数が大いに増加することになる。
多数のAL教徒を抱えるヘルマン帝国においてはサボタージュが相次いだ。
崇拝の対象である皇帝シーラの代わりに君側の奸としてステッセルが敵視されるようになる。
全ては法王ムーララルーの有無を言わせぬ決断によって事が進み、リーザス帝国側の意向はいっさい顧みられなかった。
リーザス帝国は聖堂騎士長ガーウィン・トローフ率いるテンプルナイト300騎をAL教団から押し付けられてしまった。
断るわけにもいかず受け入れるしかなかった。
このガーウィンのテンプルナイツは、対ヘルマン戦線において存分に力を発揮するところとなる。
そしてヘルマン打倒の戦いがAL教徒にとって聖戦であることを世に知らしめた。
リーザスとの宥和政策を打ち出した法王ムーララルー。
リーザス帝国の大陸統一の覇業を助け、その後にAL教をその統一国家の国教とするというプランであった。
当然ランスとの連携を強める必要があり、そのためにランスの要望を可能な限り受け入れる姿勢を示していく。
長年の念願であり粘り強く交渉を進めていたJAPANへの布教も、ランスの意に沿うためにあっさりとその方針を転換させた。
和平会談の場で拘束されたヘルマン皇太后パメラの処遇についても、リーザス側の要求を全面的に受け入れることになる。
ムーララルーはヘルマン皇太后であるパメラを神に逆らった罪人として処刑し、ヘルマン帝国に打撃を与えようと考えていた。
しかしランスはパメラが影武者であると断言して、パメラをリーザス城に幽閉して尋問すると言い出したのである。
ランスの予定表にはヘルマン皇帝シーラのハーレム入りがきっちりと記載されていた。
しかしさすがに母子共々ハーレム入りとなると、国民の理解が得られないであろうことをランスは気づいていた。
パメラが影武者であり、シーラの生母ではないことにしてしまえば道義的に何の問題も無くなる。
ランスの好色な顔を見て全てを理解したムーララルーは、ランスの主張を全て受け入れてパメラの身柄の引渡しに同意した。
さらにランスへのサービスとして、捕らえられたパメラが実は影武者であったことを神の名の下に大々的に宣言したのである。
ムーララルーは和平会談に影武者を送り、神さえ欺いたヘルマン帝国の悪行を大いにアピールすることになる。
ムーララルーの言葉は絶対であり、川中島で捕らえられた女性がパメラの影武者であること全てのAL教徒が信じてしまった。
ヘルマン宰相であるステッセルがどんなに卑劣な男であっても、本物のパメラを捨石にするとは常識的に誰も考えなかい。
そのためムーララルーの言葉は広く一般に浸透してしまう。
ヘルマン帝国側がリーザスに対して皇太后パメラの身柄の引渡しをいくら求めても最早誰も信じなくなる。
ヘルマン帝国の信用度はさらに低下することになる。
ランスに囚われたパメラは、気づかぬ内にヘルマン皇太后としての自分の身分を奪われてしまった。
<LP3年11月25日>
パメラが気ついたのはリーザス城へと護送されるうし車の中であった。
しばらくぼんやりとしていたパメラは、己の身に降りかかった悲劇を思い出し、囚われの身となってしまったことを絶望する。
ステッセルの裏切りをまだ信じられず、最愛のシーラのことを考えてさめざめと涙を滴らせてしまうパメラ。
これまで母として為政者として張り詰めてきた緊張の糸が、プツンと切れてしまったような感覚に陥ってしまっていた。
それでもヘルマンの皇太后として、シーラの母として、屈辱に耐えようとするパメラであったが憂鬱な気分は収まらなかった。
ぼんやりと道中の景色を眺めている間に、ステッセルに打たれていた薬の禁断症状がパメラを襲い始める。
月も高く昇ってやっとリーザス城に到着した頃には、パメラはかなりの苦痛に苛まれてしまっていた。
兵達にうし車から乱暴に引き釣り出されるパメラ。
捕らえられたとはいえ、高貴なる者に対しての処遇とは言えないこの扱いに憤慨しようとするパメラ。
だが頭痛に苛まれ何も口にすることができなかった。
地下牢にパメラを連行する指示を出すためにうし車に近づいてきたマリスは、パメラの辛そうな様子に目を留めて眉を顰めた。
マリスは急ぎ予定を変更して、パメラを天才病院に連行するよう兵達に命令した。
天才病院に連行されたパメラは、アーヤに鎮静剤を打たれて意識を失う。
すぐさまパメラの二の腕を確かめたマリスは、自分の予想が的中していること知った。
パメラがかなり状態の進行した麻薬中毒者であることが、明らかにされたのである。
意識を失ったまま数種の検査を行われた後、パメラはマリスの指示で天才病院の地下病棟に幽閉されることになる。
勿論アーヤには、パメラの身分が偽られて伝えられることになるのだが、アーヤはそのことには頓着しなかった。
ランスはリアの部屋にいた。
妻であるリアを気絶させるまで攻め立てて、夫としての義務を果たすランス。
そのときマリスが緊急の報告を持って参上する。
マリスはリーザスの皇帝皇后の両人が最も信頼し、夫婦の部屋への立ち入りを唯一許可されている侍女であった。
ランスの子を妊娠して以降、あまりリアとは顔を合わせないようにしていたマリスであったがさすがに緊急時には別である。
夫婦の時間を邪魔することを詫びつつ、マリスはパメラの件をランスに報告する。
マリスからパメラの躰について報告を受けたランスは、ひどく驚いた。
マリスはパメラが発狂しないように症状が進行しない程度の薬を打つ許可をランスに求めた。
ランスはパメラが幽閉されている部屋をマリスから聞き、自分の目で確かめようとする。
秘密病棟に幽閉されたパメラは、すでに皇太后としての衣装や装飾具を脱がされていた。
白を基調としたシンプルなワンピースを着せられている。
髪も結えられておらず、深窓のお嬢様のような風情を醸し出していた。
ベッドに横たわり、苦痛に顔を歪ませ、朦朧とした状態のパメラ。
これほど長い時間、薬を与えら得なかったことは無く、すでに限界を越えていた。
それでもパメラは敵国の人間に醜態を見せないようにがんばっていた。
ランスが目の前に現れても必死に堪え続けたのである。
ランスは病室に入る前にマリスから薬を渡されており、パメラに薬を打つかどうかの判断を任せられていた。
このままではパメラに話を聞くこともできないと、ランスはパメラに薬を打つ覚悟を決めた。
ランスが取り出した注射器にパメラの朦朧としたバイオレットの瞳の焦点が合う。
頬を染めて注射器をじっと見つめてしまうパメラ。
しかし、その注射器を持っているのは愛しいステッセルではなくリーザス皇帝ランスなのである。
薬に対する欲望とヘルマン皇太后であるプライドに板ばさみとなって、混乱し、涙をポロポロと零してしまう。
ランスの言葉にもただ必死に首を振って答えようとしなかった。
ランスの方が業を煮やしてしまい、自分からパメラの細い二の腕をとって、薬を打とうとする。
ギリギリのところでバランスをとっていたパメラの心の天秤はあっけなく崩れてしまう。
薬を打とうとするランスの動きを拒絶することなく、受け入れてしまうパメラ。
ランスにされるがままのパメラは、震える瞳で二の腕に薬を打たれる光景をじっと見詰め、歓喜に打ち震えてしまう。
待望の薬を打たれたパメラは恍惚とした表情を浮かべる。
それだけではなかった。
ステッセルの調教によって、パメラは薬を打たれると男に抱かれたくなってしまう躰になってしまっていた。
いつものように欲情し始めるパメラ。
しかし、部屋の中にはパメラの他はランスしかいない。
いつも躰の火照りを慰めてくれる愛しいステッセルはいなかった。
必死に欲情を堪えるパメラであったが、無意識のうちに物欲しげな表情を浮かべ、蠱惑的なしなをつくってしまう。
自分の躰が欲情してしまっていることを悟られないように、ランスの様子を伺うパメラ。
薬によって覚醒していたパメラは、初めて会ったときにランスが欲情した目で自分を見ていたことを思い出していた。
そして今もランスが同じ表情を浮かべていることに気づき、頬を染めてしまう。
だがヘルマンの皇太后としてプライドがパメラを支えていた。
パメラは内なる衝動を必死に抑え続けた。
しかし、すっかり険の取れてしまったパメラの可憐な艶姿にランスの方が堪えきれなくなる。
ランスにベッドに押し倒され、胸を揉まれながら唇を奪われたパメラはランスにされるがままとなる。
ステッセルとは圧倒的に異なる若く活力に溢れた雄の体臭を感じ、次第に流されていくパメラ。
気がつけば、いつもステッセルとしているようにランスのキスに対して舌を合わせてしまっていた。
パメラは自分の娘と変わらない年頃の男性を欲情させてしまっていることに、女として深い満足感を得てしまう。
貴族として生まれ育ち皇族として生きてきたパメラの躰は、苦労知らずのためか、しなやかで柔らかく且つ優美である。
根本的に育ってきた環境が違っているため、皇族であるパメラの36歳の躰と、市井の者達の36歳の躰とでは大きく異なる。
パメラは一点の曇りも無い綺麗な肌をしており、若さを全く失っておらず、瑞々しい感触であった。
ステッセルという恋人の存在があったためかパメラの躰は適度な潤いを保っていた。
さらに湯水のようにお金をかけて容姿の美しさを完璧に仕上げ、まだ二十代と言っても十分に通用する若さを誇っていたのである。
ランスはパメラを裸に剥き、組み敷きながら、その容姿の見事さに唸ってしまう。
パメラは頬を染めて抵抗するも、その表情は蕩けてしまっている。
ランスが愛撫を加える度に、柔らかく上品で官能的な仕草を見せてしまう。
可憐なパメラの本性を見せ付けられることになったランスは、ますますパメラのことを求めていく。
肌を合わせている間、パメラは喘ぎ声以外はいっさいの言葉を発しなかった。
敵国の皇帝、しかも自分よりも年下の男に躰を許してしまうことに対してのパメラの取った唯一の抵抗であった。
しかしパメラの表情や仕草・躰の反応は言葉よりも雄弁であった。
正常位で組み敷きながら、ハイパー兵器の先端で焦らすように入り口を愛撫するランス。
決して自分からは入れようとはせず、パメラが求めるのを待つ。
乳房へ顔を埋め、その柔らかいかたまりへの愛撫を舌先で丹念に続けていた。
顔を挙げ、なかなか音を上げないパメラの様子を伺うランス。
パメラは泣きそうな恨むような視線をランスに対してずっと向けていた。
視線が交差し、パメラの気持ちを痛いくらい知ったランスは、視線を合わせたまま、一気に突入を開始した。
パメラは躰を仰け反らせ、歓喜の絶叫を上げてしまう。
薬のためかパメラの中は凄い状態になっていた。
燃えるようなぐちょぐちょの粘液の熱さと、二重三重の強烈な締め付けが、ランスのハイパー兵器を襲う。
ランスはパメラを悦ばすために最初から全開で腰を動かすことになる。
ステッセルは女を悦ばす上で焦らすのが得意だった。
というよりも焦らすことしかできなかった。
線の細いステッセルには、体力的な面から激しいセックスを連発するなど到底無理なのである。
当然ながら粘着質なセックスとなり、そのおかげでパメラは焦らされることに慣れてしまっていた。
またパメラがステッセルにして欲しいと思ったことは、必ず口に出してお願いしなければならなかった。
ステッセルとのセックスには常に拘束感が付きまとっていた。
調教の手段としては正しい手法であったが、ステッセルはどんなときも一回しかパメラを抱かなかった。
そのためパメラは常に欲求不満な状態に置かれてしまっていたのである。
パメラは薬物とステッセルの巧みな調教によって、焦らされ従うセックスが大好きであると思い込まされていたのである。
しかしランスの抱き方は、ステッセルの抱き方とは根本的に違っていた。
ランスのハイパー兵器に串刺しにされてしまったパメラは、その瞬間からステッセルのことを忘れることになる。
パメラの無意識に埋め込まれてしまっていたステッセルの調教の爪痕は、ランスとのたった一回のセックスでかき消されてしまった。
パメラが無意識に抱いてしまった願望を、ランスは余すことなく叶えてしまう。
深く結合した状態でランスはパメラの躰の反応から全てを読み取ってしまっていた。
ランスはパメラが望んだ以上の動きで、常にパメラを追い立てるように腰を動かしてくる。
そしてランスのハイパー兵器はステッセルのそれを軽く凌駕したサイズであり、形も見事であった。
自分の良く知るモノと異なったその迫力ある感触にパメラは慄くことになる。
何度も突き込まれているうちに、パメラの肉体は最高の快楽を与えてくる最良のパートナーとしてランスのことを認識してしまう。
麻薬と同じようにもはや引き返すことは出来ず、ランスのハイパー兵器でなければ満足できない状態になる。
パメラはランスの注ぎ込んでくる圧倒的な快楽を前にして、簡単に流されてしまった。
すでに言葉を発しなくとも目と目で心を通じ合ってしまっており、まさに以心伝心の状態でセックスに興じることになる。
ランスの激しい腰の動きに、美しいプラチナの長い髪を揺らし快楽の呻き声を上げるパメラ。
突き込まれるハイパー兵器の凄さに溺れて、パメラは随喜の涙をハラハラと零した。
パメラは求めれば求めるだけの快楽をランスから与えられる。
身悶えしながら何度も絶頂に至り、ランスのハイパー兵器をきつく締め付けてしまう。
パメラの締め付けの良さを何度も味わっていたランスは、ようやく一発目を発射しようとしていた。
当然中出しが基本である。
スパートに入るランスの動きにパメラは何も考えられなくなっていた。
パメラは一際大きな絶頂に浸りながら、子宮口に押し付けられたランスのハイパー兵器が脈動するのを感じた。
夢見るような幸せな境地に至っていたパメラは、激しい勢いで射精される感覚をうっとりと受け入れてしまう。
シーラを産んで以降、不義が露見するとまずいため、苦しい思いをしつつもパメラはステッセルに一切中出しさせていなかった。
ステッセルも心得ており、パメラとするときは絶頂の瞬間に必ず結合を解いていた。
そのため18年ぶりに注ぎ込まれる男の精となる。
ランスのハイパー兵器の射精の勢いはパメラを狂わせるに十分であった。
一回目のハイパー兵器の発射を終えて、躰を絡めながら一息つくパメラとランス。
パメラはぼんやりとしながら、敵国の若い皇帝に大量の子種を注ぎ込まれてしまった事実を反芻することになる。
しかし薬の効果は依然として残っていた。
埋め込まれたハイパー兵器が全く剛直さを失っていないこともあって、後悔よりも欲望の方が勝ってしまう。
ランスはパメラの肌のすべらかさに感心して、抜かずにその尻や乳房に手を這わせる。
パメラはその愛撫に反応して恍惚とした表情を浮かべ、甘い吐息を吐いてしまう。
パメラがまだまだ求め足りないことにランスもすでに気づいており、そのまますぐに次のラウンドに突入していく。
ここから先はパメラにとっても未知の世界であった。
パメラはランスとステッセルの圧倒的なまでの体力の差を、骨の髄まで体に味合わされることになる。
パメラは飽くなきランスの性欲に圧倒され続ける。
ランスが地下病室を訪ねてから数時間が経過した頃には、パメラは完全にランスに屈服していた。
パメラは薬を打たれてしまったことを免罪符にしてランスに抱かれ続けていた。
パメラは最初の一発目のとき以上の快楽にその精神を煮詰められてしまっていた。
ランスと躰を合わせ続けていると快楽がどこまでも深まっていく錯覚に陥っていたのである。
ヘルマン国の皇太后としてのプライドはすでに跡形も無く粉砕されてしまっており、まるで処女の様にランスに許しを請うパメラ。
生粋のお嬢様というパメラの地がランスの前に曝け出されてしまっていた。
そのパメラの姿は夫である50歳のヘルマン前国王に抱かれていた18歳当時の姿と酷似している。
当時のパメラは夫と夜を共にするたびに、その大きすぎる巨根による痛みに苛まれていた。
夫の醜さに対する嘔吐感を堪えながら、必死に許しを許うていたのである。
しかし大きく違うのは年齢相応の妖艶な色香を纏ったパメラが、ランスの与える無限の快楽に音を上げている点だった。
ランスが射精しても抜かずにパメラを攻め立てていたために、パメラの胎内は凄いことになっていた。
一突きごとに白濁した液体がパメラの秘所から漏れ出してしまうほどである。
ランスはさらにパメラを犯し続け、結局はこの地下病室で一夜を過ごしてしまうことになる。
パメラはランスの躰の重さとその無遠慮な鼾で目を覚ます。
正上位で交わったまま眠りについたらしく、パメラはランスに圧し掛かられたまま、眠りについていた。
ステッセルとベッドを共にするときは、朝まで一緒に眠ることなど有り得えなかった。
急速に覚醒したパメラは自分の上にいる人物が誰であるかに気づき、顔を真っ青にしてしまうのであった。
ランスは妊娠したマリスのために専用の侍女を用意しようとする。
だがウェンディやすずめはランス付きの侍女であり、多忙を極める。
なかなか適当な人材が見つからなくて困っていた。
マリスの身に危険が及んだ川中島での一件もあり、ランスはさらに神経質になっていた。
マリスの近辺の警護が可能なある程度腕利きでなくてはならない。
そこでランスはソウルをマリスの側に置くことにした。
ソウルを抱いたときに彼女がマリスに懐いていることを知ったからである。
盗賊として育ち、これまで同性には決して心を許したことのなかったソウル。
ソウルにとって他の女は全て敵であった。
しかしマリスは違った。
ソウルは美しく有能なマリスに憧れていたのである。
その盗賊としての生い立ちもあって、ソウルはリーザスの宮廷で浮いた存在であった。
盗み癖が抜けず、后妃であるリアにもあまり良く思われておらず、リーザス城での居場所を見つけられていなかった。
そんなコンプレックスもあって、ソウルは野盗を率いて戦場でもランスに奉仕したいと言い出していた。
しかしランスはその申し出を受け入れなかった。
あまり戦力として期待できないのは明らかである。
それよりもソウルには相応しい活躍の場があった。
ランスはソウルに対してマリスの側に付いの身の回りの世話をするように命じた。
尚且つ、マリスからしっかりと教養を学ぶように命じた。
マリスに憧れていたソウルは、そのランスの命令を目を輝かせて一も二もなく受け入れることになる。
喜んでマリスの側付きの仕事を行うソウル。
マリスがランスの子を孕んでいるという事実が、ソウルによりいっそうマリスへの尊敬の念を抱かせる形となっていた。
マリスのような素晴らしい女性こそが、ランスの子を孕むに相応しい。
自分もいつかマリスのようになってランスの子を産みたいと願って、日々マリスの側で努力をするようになる。
マリスは毎日天才病院に通いつつ、部下の報告に目を通し、ソウルに読み書きを教える優雅な生活を送るようになる。
ランスとの間にいつでもコンタクトを取れるような環境を作り、ソウルをランスとの繋ぎ役に活用した。
ただし、マリスはリアと絶交状態のままであり、ソウルにもその影響が及ぶ形になってしまう。
リアにしてみれば、マリスが自分の代わりにソウルを可愛がっているように見えてしまうのも仕方の無いことであった。
結果としてソウルはリアに以前以上に睨まれることになってしまう。
リアとマリスの仲はマリスが無事に出産を終えるまで修復されることはなかった。
二人の和解が成立するまでの間、ソウルはリアのいじめに負けずに日々の研鑽を積んでいくことになる。
<LP3年11月26日>
混乱に乗じてポーン要塞を一気に陥落させ、ヘルマン中部域に強固な拠点を作ることに成功したリーザス帝国。
ステッセルの策略を打ち破ったランスは、ポーンを橋頭堡にして一気に敵国の首都であるラング・バウ攻略を目論んだ。
ラング・バウを攻めるにあたって、ヘルマンの西部域の情勢、主にヘルマン第二軍の存在に頭を悩ますランス。
後背を突かれるような危険性を残して決戦に臨むのは避けねばならなかった。
ランスは牽制のためにヘルマン西部域に兵を入れるかどうかを直前まで悩んでいた。
リーザス城から前線のポーンに駐留する赤の将リックに対して、スードリ17方面にも兵を配置するように指示を出すランス。
このときリックはランスに対してパットン軍からの接触があった旨を報告する。
リックはパットン達との約定を守ったのである。
パットン軍からの同盟の申し入れに対してランスは取り立てて感慨を抱かなかった。
パットン軍の規模は既に諜報部隊によって探り出されていた。
取り込むほどの勢力ではなく、すぐに潰れてしまいそうなことが明らかになっていたからである。
しかし、そのリックの報告に対して機敏に反応したのはマリスであった。
ヘルマン帝国を滅ぼした後のヘルマン領の統治方法を論じるマリス。
パットンを王としてリーザスに従属する政府をヘルマンに立てる案をランスに対して強力に推した。
そのマリスの弁を聞き、一々もっともだと感じ入ったランスはパットンとの会談に応じることを決めた。
ランスはラング・バウ攻略時のヘルマン第二軍の抑えとしてパットン軍を活用することを計算したのである。
パットンに対して会談の日時を伝えることをリックに命じて、リックとの通信を切るランス。
マリスと二人きりになったランスは、マリスに対してそのまま自分の部屋に来るように命じる。
パットンとの会談に向けてこちらから提示する条件に関して語り合う必要があった。
その晩、ランスの部屋で、新生ヘルマンと締結すべき重要な条約案がランスとマリスの間で練られることになる。
そのほとんどがマリスの発案によるものではあるが、条約案はランスの意向が最大限反映されたものになる。
マリスに膝枕させて耳掻きをさせながら、その条約案をマリスの口頭で確認するランス。
片方の耳の掃除が終わり、マリスのお腹の方に顔を向けたランスは、まだ引き締まったままのマリスのお腹を愛しそうに撫でてみる。
その予想外のランスの行動にさしものマリスも顔を赤らめてしまう。
条約云々は表向きの理由であった。
実際のところはランスが自分の子を孕んでいるマリスを側に置き、もっとスキンシップがしたかっただけであった。
結局この日マリスはそのまま同衾させられ、セックス無しでランスに抱擁されたまま共に眠りにつくことになる。
リックからの使者により、自分達の申し入れをリーザス皇帝に受け入れられたことを知るパットン達。
あまりにも上手く行き過ぎることから、パットンの保護者であるハンティ等は罠ではないかと心配する。
だがパットン自身は会談への参加を決断する。
自分の意思に関わらず、ヘルマン人民の希望の星となっていたパットン。
民に報いるために、不退転の決意でランスとの会談に臨むことを決意したのである。
<LP3年11月28日>
リーザス皇帝ランスとヘルマン王朝正統後継者パットンの会合が行われた。
世に名高い『スードリ17会談』である。
この会談は戦後の大陸のあり方を決定するものであったとして、後の世において、大いに重要視されることになる。
会談の俗称からも推測される通り、パットン軍の本拠地とも言える計画都市スードリ17が開催地であった。
リーザス皇帝ランスは成立するかも分からない同盟のために堂々と相手の陣地に乗り込んでいったのである。
リーザス帝国側からはリーザス皇帝ランスと秘書のレィリィ、そして文官団が参加した。
レジスタンス側からはヘルマン王朝正統後継者パットンと、その軍師フリーク老が参加した。
ランスとフリークの二人の間で闘神都市にて面識が合ったために、会談はスムースに進んでいった。
ヘルマンの現政府の打倒が共通の目的であることが確認され、協力体制の確立の基が構築された。
その共通の目的を果たすために、同盟を結んだ場合にパットン軍がリーザス帝国軍の指揮系統に組み込まれることが言い交わされる。
両軍の規模の大きさから鑑みると妥当な案であった。
リーザス帝国軍が主であり、パットン軍が従となることが確認されたのである。
同盟を結ぶに当たってパットン側が出した条件は、現王朝打倒後のヘルマン領の統治権の譲渡、その只一点だけである。
もちろんヘルマンとリーザスの両国が同盟国として厚い友好関係を築くことが大前提であった。
ランスはそのパットン側の条件を飲む変わりに、以下の6つの条件を飲むことをパットンに要求する。
リーザス城にて昨日の間にマリスと相談し、練りに練った6条であった。
1.ヘルマンの現王朝打倒後、二年間はヘルマン領をリーザス帝国の支配下に置く事
2.リーザスとヘルマンは永久的に軍事同盟を結ぶ事
3.ヘルマン国内でリーザス帝国軍は自由に行動出来る事
4.リーザスのどのような国家決議にも賛同する事
5.ヘルマン国側の予算でバラオ山脈に通行用のトンネルを掘る事
6.ヘルマン国王妃はリーザス城に住む事
この条件は事実上、新生ヘルマンをリーザス帝国の属国扱いとすることを意味していた。
しかしパットンは慎重な言動をするフリークを尻目に即断即決し、その6つの条件を全て受け入れてしまう。
フリークが問題視したのはその第六項の条件の内容であったが、パットンはフリークの意見を黙殺してしてしまった。
リーザス帝国皇帝ランスと未来の新生ヘルマン王パットンは、同盟の条約が結ばれた証としてがっしりと握手を交わすこととなる。
後の世にまで大きな影響を及ぼすことになる、リーザス・ヘルマンの間の長期に渡る軍事同盟がその瞬間から発動されたのである。
同盟成立後、ランスの提示した六条の項目は余すところ無く履行されるところとなる。
第一項『ヘルマンの現王朝打倒後、二年間は、ヘルマン領をリーザス帝国の支配下に置く事』
ヘルマン帝国崩壊後、ルドラサウム戦役の終了に至るまでヘルマン領はリーザス帝国に帰属する形となっていた。
ルドラサウム戦役においてヘルマン領内の被害が特に甚大であった。
そのために止むを得ないパットン側の要望で、この二年間という期日は大幅に引き伸ばされることになる。
その間リーザス帝国政府は、復興を効果的に行う観点からヘルマン領の統治に関して積極的に介入していった。
このリーザス帝国政府の強力な介入により、ヘルマン領は徐々に分割統治の形態へと移行していくことになる。
西ヘルマンに関してはパットン自身が復興の音頭を取ったために、リーザス帝国政府の干渉も少なかった。
結果として西ヘルマンはパットンの出身であるミスナルジ家の領土となる。
東ヘルマンはリーザス帝国政府のバックアップの下で復興が推進され、その影響が色濃く残ってしまう。
ヘルマン出身で尚且つリーザス皇家に縁の一族が、東ヘルマンに赴任する形となる。
それぞれがその地区の復興の旗頭としての役目を担わされたのである。
結果として東ヘルマンは六つの公爵家の領土として分割されることになる。
この体制はパットンのミスナルジ家にヘルマン領全土が返還された後も、リーザス帝国側の強い意向により維持されていくことになる。
東ヘルマンの六公爵は表向きはパットン王に忠誠を誓う形となるが、リーザス皇帝の影響を強く受けてしまうのは当然であった。
この政治体制により、リーザス帝国政府の思惑通りにヘルマン王家の力は相対的に弱まってしまうのであった。
第二項『リーザスとヘルマンは、永久的に軍事同盟を結ぶ事』
リーザス皇帝ランスの大陸統治が始まり、しばらくしてゼス国内にて旧貴族たちの大規模な反乱が発生してしまう。
反乱鎮圧のためにリーザス帝国領から鎮圧軍がゼス領に向けて進軍することになる。
だがJAPANと同様にヘルマンもまた軍事同盟に従って出兵した。
この軍事行動を境にして長きに渡って平穏な世の中が続いたために、この軍事同盟が発動する機会はほとんど起こり得なかった。
第三項『ヘルマン国内で、リーザス帝国軍は、自由に行動出来る事』
ルドラサウム戦役後、ヘルマン国内でリーザス帝国軍が活動する機会はほとんど無かった。
当初は不逮捕特権もこの条約に含まれていた。
そのため後の世、この条件に関しては両政府間の交渉によって若干の修正が行われることとなる。
第四項『リーザスのどのような国家決議にも賛同する事』
リーザス皇帝ランスが次々と打ち出していく改革路線は、この条件を盾にヘルマン政府にも押し付けられる。
ヘルマンは否応無くリーザス帝国に追従するはめになる。
リーザス帝国政府はゼス王国改革のために奴隷制の前面禁止を打ち出す。
このときヘルマンもその国家決議に賛同する形を取り、国内の農奴を解放することになる。
第五項『ヘルマン国側の予算で、バラオ山脈に通行用のトンネルを掘る事』
回収されたラング資金を基にしてトンネル作成作業が開始される。
10年の月日をかけてログBとマウネスの間にトンネルが開通することになる。
トンネル完成によってヘルマンの豊富な鉱物資源とリーザスの豊富な食料の流通がスムースに行われるようになる。
トンネルは双方に多大な利益をもたらす結果となる。
第六項『ヘルマン国王妃は、リーザス城に住む事』
この条約はマリスの考えの中には無いものであった。
最後の最後でランスによって追加された条件であった。
フリーク老が一番懸念を表したのはこの条件であった。
というのもパットンの側には常に黒髪のカラー・ハンティが侍す。
そのハンティは誰の目から見てもヘルマン王妃となるに相応しい女性だったからである。
しかしパットンにはハンティを王妃とする考えは無かった。
そのため生涯独身を貫き通す覚悟を決めており、この条件を飲んでしまう。
ある意味この条件を突きつけられたことにより、初めてパットンはハンティとの関係について自分の中で整理をつけたのである。
結局パットンはヘルマン王の座についてからも結婚はしなかった。
その代わり黒髪のカラーであるハンティを己のパートナーとして常に側に侍らせることになる。
パットンにとってハンティは、母であり、姉であり、そして、恋人でもあり、掛け替えの無い存在であったのである。
パットンが生涯独身であったがために、パットンの在位中はこの条約が履行される機会はなかった。
しかし後の世において、この条約は強い拘束力をヘルマン王家に投げかけることになるのであった。
尚、余談ではあるが、ヘルマン王となったパットンは結局のところ生涯に渡って子を成さなかった。
パットンはリーザス皇帝ランスと廃帝シーラの間に生まれた娘を養女として迎え入れる。
そしてその娘にヘルマンの王座を継がせることになる。
新生ヘルマンに生まれた一つの王家と六つの公爵家。
その全ての当主の座には、リーザス皇帝ランスの血を継いだ人物が座ることになるのである。
<LP3年11月28日>
スードリ17でのパットンとの交渉を無事に終えたランスは、自領となったパルナスまで、そのまま足を伸ばした。
ランスがヘルマン解放戦線を率いていた時代からいつかゲットしようと考えていた人物が、パルナスには二人いたのである。
パルナスはヘルマン帝国のスポーツ文化に対する中心的な役割を担った計画都市である。
体育館やコロシアム、スポーツプールなど、春夏秋冬あらゆるスポーツに関する施設が、パルナスの街並みの中にあった。
その中でも、ヘルマンの国家の威信をかけたスポーツの殿堂・国民体育館は、一際立派で大きな建造物として威容を誇っていた。
当然のことながら、パルナスには帝国政府の援助を受けたスポーツに関するエリートが集められている。
しかし健康な青年は戦時中のため徴兵されており、女性のエリート選手のみがパルナスに残って日々の研鑽を続けていた。
ランスのお目当てである選手もまた、パルナスに残り続けていたのである。
ヘルマン帝国は基本的に貧しい土地に暮らす民衆に対し、華美な生活を慎むように常日頃からきつく指導している。
そのため従順な国民たちが歌舞音曲の類に現を抜かすことは起こりえなかった。
当然ながら芸能関係も未発達であり、アイドルも存在しない。
その代わりと言ってはなんだが、エリートスポーツ選手が国民たちの希望の星となっていたのである。
女子新体操のミルフィ・パジトノフと、女子水泳平泳ぎのサーマカット・フランチェスカ。
その中でもこの二名はその容姿の端麗さから、群を抜いた人気を誇っていた。
ランスは「美しい女性は全てオレ様のモノ」という堅い信念に従って、彼女らを手に入れるためにパルナスまでやってきたのである。
ヘルマン帝国政府も国威発揚のために女皇帝シーラと同年代であるミルフィとサーマカットの美しさに目をつける。
両名のメディアへの露出を露骨に推進していた。
そのためヘルマンの男性のほとんどが、二人のどちらかのファンとなっており、勢力が二分されていた。
ミルフィは可憐な顔立ちをしており、可愛い系のアイドルのようであった。
体型的には胸はちゃんとあるのだがかなり華奢であり、そのほっそりとした長い四肢は演技において見栄えが良かった。
明るい髪の色で腰まで伸ばした髪を結えて演技に臨む。
人柄もほんわかしていて人当たりが良く、メディアに対して丁寧に対応するため年代を問わず人気があった。
ミルフィの趣味はお菓子作りであり、その女性らしい性格は誰からも好意を持たれていた。
ミルフィがよくお手製のお菓子をスタッフや取材陣に差し入れしていたため、メディアとの関係も非常に友好的であった。
ごく普通の一般市民の両親を持つミルフィは、庶民的であるとして皆から親しまれていたのである。
サーマカットは美しく凛とした顔立ちをしており、美人系のモデルのようである。
体型的には筋肉質で引き締まったスレンダーな体型をしていながらも、出るべきところはちゃんと出ている。
水着でのスタイルの良さは特筆ものであった。
深みのある黝い髪が肩口でバッサリと綺麗に切り揃えられており、彼女の思い込んだら一途で果断な性格をよく現していた。
人見知りが激しい人柄でメディアに対しての対応も実にそっけない。
サーマカットの趣味が意外にもピアノの演奏であるという事実が、メディアによってスクープされていた。
彼女のピアノの腕前がプロ並であることは広く話題になっていた。
ピアノを弾くときに見せる彼女の柔らかな表情は、いつものそっけない態度とのギャップが激しくインパクトは大きかった。
サーマカットの父親はヘルマン帝国の高官である。
あまり私生活を露出させたくないサーマカットは、メディアとは一定の距離を置いていた。
逆にその対応の仕方がとてもミステリアスな雰囲気をかもし出すことになり、彼女の人気を高めてしまっていた。
両者は性格も容姿も正反対である。
ミルフィはその性格の良さが、サーマカットはそのミステリアスな美しさが、本人の意思とは関係なく売りとなっていた。
メディアではミルフィは陽の女神と讃えられ、サーマカットは月の女神と讃えられていた。
ヘルマン帝国の国民にとって女神のような存在であるその両名が、リーザスの兵士たちに見守られる中で陵辱されていく。
最初のターゲットは国民体育館でちょうど練習中であったミルフィとなる。
レオタードを破かれ、卑猥な格好での演技を強要されるミルフィ。
秘所や胸を晒した格好のままで、ミルフィは気丈にも求められた動きを演じきった。
その身体のやわらかさや高度な演技力の前に、その場にいたリーザス軍の兵士一同は純粋に感動してしまう。
しかしランス只一人は違った。
そのままミルフィにもう一度演技を強要し、卑猥なポーズをとらせて露出している恥部や乳首を刺激しまくるランス。
ミルフィが可愛い顔をして既に処女で無いことを知ると、容赦がなくなった。
ここでは明らかにされなかったが、実のところミルフィは妻子のいるコーチと不倫していた。
処女もそのコーチに与えてしまっていたのである。
ミルフィが処女でないことに、ランスはちょっとだけ気分を害されてしまっていた。
恥ずかしすぎる演技をやっと終えて、疲れきってへたってしまったミルフィに対して容赦なくハイパー兵器を突っ込んでしまう。
こうしてミルフィは衆人環視の中で、ランスに犯されてしまうことになる。
ミルフィの躰が非常に柔らかく様々な体位で出来るので、ランスはつい張り切ってしまった。
ランスのハイパー兵器で犯され続けたせいで、すぐにミルフィの秘所はグチョグチョになってしまう。
感じまくったミルフィは忘我の境地に至ってしまい、ヨガリ啼く声を国民体育館の広い空間に恥ずかしげもなく響かせるのであった。
ランスはミルフィの柔らかい肢体にひどく満足する。
イキ過ぎて気絶してしまったミルフィの躰をマントで包むと、リーザス城に送り届けるように部下に命じた。
ミルフィほどの逸材をこのまま在野に置いておくには、あまりに惜しすぎたのである。
自分のハーレムに新たな彩りを加えられたことに満足し、ランスは意気揚々と国民体育館を引き上げたのであった。
引き続きランスはもう一人のターゲットであるサーマカットを連れてくるように部下に命じる。
ちゃんと水着の格好で連れてくるように念を押すランス。
しばらくして、お目当てのサーマカットがランスの前に引き出されることになる。
だが、その格好は清楚なブラウス姿であり、水着は身に纏っていなかった。
部下に対して水着を着せてこなかったことを責めるランス。
兵士からの報告により、サーマカットが強情にも抵抗したことを知る。
無表情で顔をそむけ続けるサーマカットの美しい容姿をマジマジと見つめるランス。
サーマカットはミルフィ以上に非常に女らしい雰囲気を醸し出していた。
この少女が兵達に抗うほどの気力を持っていることをランスは不思議がった。
ランスの舐めるような視線に耐え切れなくなったのか、サーマカットは気丈にも燃えるような瞳でランスを睨みつける。
そのサーマカットの美しい瞳に宿った意思の強さに、ランスはよりいっそうの興味を惹かれてしまう。
そしてサーマカットの怒りの感情の中に僅かながらも羞恥が混じっていることに気づいた。
ぐいっと強引にサーマカットのしなやかな躰を抱き寄せるランス。
「やめてください!!」とランスを拒絶し、サーマカットは反射的にランスの横っ面を叩いてしまう。
サーマカットの高い身体能力により、その平手打ちは強烈なものとなった。
ランスが完全に油断していたこともあり、辺りに派手な音が鳴り響いた。
その音の大きさに叩いたサーマカットの方がビビッてしまった。
叩かれたランスの頬はあっという間にかなり腫れてしまう。
あっけにとられて呆然と頬を押さえるランスの姿は、ひどく間の抜けたものだった。
躰を狙われている自分の状況を忘れて、サーマカットは「大丈夫ですか?」とランスに声をかけてしまった。
その慌てようはさきほどまでの氷のような冷たい表情とは対照的で、ひどく情熱的なものを感じさせた。
心配げにランスの頬を見つめるサーマカットに対して「お前処女だろ?」と声をかけるランス。
突然の破廉恥な質問にサーマカットはびっくりしてしまう。
次いでその白い肌を真っ赤にしつつも、再び怒りに満ちた視線を向けてくる。
そのいかにも私処女ですというサーマカットの反応の可愛らしさに、ガハハと高笑いしたランスは再びサーマカットを抱き寄せた。
先ほどのこともあってサーマカットは手を挙げるのを一瞬躊躇してしまった。
サーマカットを抱きしめることに易々と成功するランス。
慣れない男の躰を身近に感じて躰を強張らせてしまうサーマカット。
そのままそのしなやかな躰をきつく抱きしめてサーマカットの動きを止め、ランスは強引にその唇を奪ってしまった。
突然のファーストキス消失に、サーマカットは目を白黒させる。
ランスは強引に舌を滑り込ませる。
サーマカットが混乱しているうちに持てる技量の全てを使って、甘美なキス地獄にサーマカットを引き釣り込んでいった。
サーマカットがクタリとなるまで舌を動かし続け、ランスはやっとその熱いベーゼを終えた。
淫ら過ぎるファーストキスの体験に混乱しつつ、サーマカットは頬を染めて荒く息をついてしまう。
ランスはサーマカットの美貌にひどく満足する。
サーマカットをリーザス城にお持ち帰りする宣言をして、ランスは部下にさっさと撤収の準備をするように号令をかけた。
サーマカットは呆然としながら、そのランスの言葉を聞くことになる。
ヘルマン第二軍の主将であるアリストレスは有能な将軍であり、その才は軍事だけに留まらない。
彼が宰相職についていれば、違ったヘルマンが出来上がっていたはずであった。
ヘルマン帝国がここまで凋落することもなく、政治が荒廃することもなかったと、ヘルマンの知識人たちは言う。
しかしアリストレスの価値感は全て女皇帝シーラを基準としていた。
シーラを敬愛する余り、他の事は一切見えなくなってしまうのである。
ステッセルは自分がシーラの実の父親であることを綺麗に隠していた。
アリストレスはステッセルの無法の量を見誤っていた。
アリストレスはステッセルのことを皇妃パメラに取り入って権力を握っている"うらなり"であると考えていた。
まさか、シーラとステッセルが親子の関係にあるとは思わず、シーラに害成す者として見ていた。
いつかステッセルがシーラに手を出すのではないかと警戒していたのである。
親友のパットン率いるレジスタンスと交戦中であっても、アリストレスはシーラのいるラング・バウに固執していた。
パルナスにおいてレジスタンスと戦いつつ、ラング・バウに派遣していた諜報員たちの報告を待ち焦がれるアリストレス。
東部戦線が悪化している報告は受けていたが、アリストレスはヘルマン東部に関心を向けることはなかった。
アリストレスがラング・バウに潜入させていた諜報員達は皆腕利きである。
ステッセルが巧妙に隠蔽していた悪事の数々の証拠がアリストレスの元に渡ることになる。
ラング・バウから届いたその資料を検証し、露見したステッセルの悪事の数々に唖然とするアリストレス。
皇妃パメラが絡んでいる不正も多くあった。
シーラはパメラのことを何よりも大事に考えている。
シーラのためにステッセル一人に罪を着せる方法を考えるアリストレス。
だが、さらに驚くべき知らせが届いてしまう。
川中島での和平交渉決裂の一件について、AL教団側の発表が真実であったという知らせであった。
アリストレスはAL教団の発表がヘルマン帝国を貶めるためのリーザスのプロパガンダだと考えていた。
品位のないやり方をするものだと冷笑していたアリストレス。
しかし、それが事実だったとすると話が違ってくる。
報道が事実だとすると、ステッセルは将軍達に無断でリーザスと和平交渉を行ったことになる。
そしてその交渉の場で破廉恥にもリーザスの皇帝を暗殺しようとした。
成功すれば良いものの、あろうことか無様に失敗し、ヘルマン帝国の名を貶めてしまったのである。
シーラがそのような命令を発するはずがなく、全てステッセルの指示であることは確実である。
明らかに宰相の裁量を超えたステッセルの無法に、アリストレスは激怒した。
シーラには大変気の毒ではあるが、ステッセルの後ろ盾であるパメラが運良く病に臥せっているとのことであった。
ステッセルを弾劾する絶好の機会である。
アリストレスは、パットン軍の掃討作戦をおざなりに、ステッセルを弾劾するためにラング・バウに赴く準備に入った。
アリストレスの動向はステッセルの陣営に常に監視されていた。
アリストレスの副官であるコンバート・タックスが監視者だったのである。
コンバートは金勘定だけでここまでのし上がってきた男である。
アリストレスもこのコンバートを信頼し、ヘルマン第二軍の補給について全面的に任せていた。
そのコンバートが裏で宰相ステッセルとつながっていた。
つまりはヘルマン第二軍の兵力から財務状況の全ての情報がステッセル側に筒抜けであったのである。
ラング・バウに往こうとするアリストレスをコンバートは慌てて引き止める。
アリストレスの入手した証拠はコンバートの目から見ても決定的なものである。
絶対にアリストレスをラング・バウに往かせるわけにはいかなかった。
コンバートはアリストレスよりも、ステッセルについた方が得であると考えていた。
ステッセルに恩を売り、自分を売り込むためにもコンバートはここで踏ん張らなければならなかった。
コンバートはステッセルから貰った切り札を出す。
シーラのマニア垂涎の写真と、アリストレス宛ての直筆の手紙である。
その写真には寝顔やプールサイドでの水着姿等の、シーラのプライベートのシーンが如実に写されている。
あからさまに入手経路が怪しかった。
しかし、被写体が良すぎたために、アリストレスにとっては入手元など全く関係なかった。
当然その写真はステッセルが対アリストレス用に用意した一流の写真家の手による一品であった。
シーラから手紙を貰うなどアリストレスにとって生まれて初めての事である。
アリストレスは貪るように手紙を読んだ。
その手紙は当然ながらステッセルに厳しく指導されながらシーラが書かせられたものであった。
都合三度書き直しを命じられてやっと書き上げた一枚であった。
実に文面のほとんどは、アリストレスが萌えるようにステッセルが考え出した文言であった。
手紙には母パメラが病に倒れたことに対しての悲しみと、それでも私は頑張りますという健気な決意が綴られていた。
そして頑張ってくださいと、アリストレスの無事と武運を祈る言葉が切々と並んでいた。
手紙の最後には反乱鎮圧して早く帝都に帰還してほしいと、二人きりでの食事の約束までしてあったのである。
アリストレスは手紙を読んで勇み立った。
シーラの望むまま、反乱軍との戦いに臨むことを、アリストレスは決意したのである。
ステッセルの悪事を暴くことなど、シーラとの食事の約束に比べれば取るに足らない些細なことであった。
パメラの病を悲しみつつも気丈に頑張るシーラの姿に心打たれ、自分も頑張らなければと考えてしまったのである。
旗下のヘルマン第二軍の全部隊に反乱軍の一掃を命じるアリストレス。
これまでのなあなあな戦いの方針は完全に改められる。
アリストレスのヘルマン第二軍はその牙を剥き出して、パットン軍に襲い掛かることになる。
主将の方針展開によって本気を出したヘルマン第二軍が、パットンが占拠していたパルナスの街に攻め寄せた。
主将の勢いが乗り移ったかのような怒涛の勢いであった。
パットン派の現有戦力だけではこのヘルマン第二軍の攻勢を防ぎきれなかったと思われる。
しかしパットン派はすでにリーザス帝国と手を結んでおり、戦力の面で大いに増強されていた。
リーザスの誇る『青の壁』コルドバが、パットン派への援軍としてこの方面に配備されていたのである。
コルドバの突出した防衛力は、知将と名高いアリストレスの策略を持ってしても、容易に崩すことは叶わなかった。
コルドバはパルナスの防衛力を有効に用いて篭城戦を続けることになる。
コルドバの仕事はただパルナスを守ることだけではなかった。
パットン派は基本的に独立愚連隊的な性格であり、本格的な戦争のやり方を知らない。
リーザス皇帝ランスはコルドバの指導の下で、戦闘に耐えうるようにパットン派の諸兵を鍛え直そうとしたのである。
こうしてパットン派は防衛戦の大家であるコルドバに習うことで、ヘルマン第二軍の攻撃を何とか防ぎ止め続けることになる。
コルドバはヘルマン第二軍との戦闘とパットン派の実戦教育という二つの難仕事を抱えることになる。
キリキリ舞いの日々を送るコルドバ。
これも全てコルドバに対するリーザス皇帝ランスの信頼が厚いためであった。
将として主君に信頼されることは何よりも誉れであり、コルドバが不平不満を漏らすことは一切なかった。
遠いリーザスに居る愛妻フルルの顔を思い浮かべながら、気晴らしにハーモニカを吹いてこの激務を乗り切るコルドバであった。
<LP3年11月29日>
ポーンを取り返すことが出来ず、ラング・バウとの連絡を絶たれたままのヘルマン第四軍。
ネロは帝都の情勢も伝わらず焦っていた。
今度こそ必ずポーンを奪還すべく、ネロは拠点コサックにて旗下の将校たちを集結させた。
士気を上げるために、己の信じる騎士道精神に基づいた言葉で高らかに演説を行った。
国と民の為、命を捨てる覚悟で正々堂々真っ向から敵に当たり、今度こそリーザス軍を殲滅すると謳い上げるネロ。
そして残存戦力の全てをポーンにいる敵に叩きつけて、これを打ち破ることを高らかに宣言する。
しかし末端の兵士達は、これまでの敗戦に次ぐ敗戦ですでにボロボロの状態であった。
ネロの威勢のいい言葉に乗せられるだけの気力ももう無かった。
本心からネロの演説に賛同し、勇ましく同意の叫び声を上げているのは一部の高官だけであった。
これまで何ら苦労をしてこなかった、ネロに近しい側近たちである。
だが、完全に自分に酔っていたネロの目にはその事実が全く映っていなかったのである。
ネロとその副官達の一向に現実を見据えない態度、副将であるクリームはついにぶち切れてしまう。
士官学校時代のクリームは戦争をゲームのように考えていた。
戦争を自分の才能を試すゲームのように感じており、人が実際に死ぬという感覚はあまり持っていなかった。
兵士は駒であり、兵士数は単なる数値であると軽く考え、人が実際に戦闘によって死んでいく場面を考えたことはなかったのである。
しかし、この一連のヘルマン第四軍の戦闘によって、その考えは完全に改めさせられた。
軍権を握る者が愚かな戦術を採ることが、如何に兵士たちや国民にとって不幸なことであるかをクリームは思い知ってしまう。
国民の血税によって集められた補給が何の考えもなく浪費されていく。
田舎で家族が帰りを待っているはず兵士たちが簡単に無駄死をしていく現実の光景が、目の前で何度も嫌と言うほど繰り返される。
クリームもいい加減にぶち切れてしまった。
これまでの数々の仕打ちに耐えに耐えてきたクリーム。
だが、兵士達の惨状と勝機の無い戦を前にして、ついにネロに対して真っ向から猛然と反論を開始する。
「これ以上無駄な死人を作るネロやり方には、ついていくことはできない。」
「騎士道か何か知らないが正面から突撃を繰り返すばかりで、これはまるで石器時代の戦争である。」
「持てるものはすべて使い、戦い、被害を最小限にとどめるのが、本当の将のあるべき姿である」
そのクリームの啖呵に、昂ぶっていた気分を大いに害されたネロはクリームを思いっきり殴った。
もんどりうってその場に倒れるクリームであったが、床に伏しつつも気丈な目でネロを睨見続け、己の主張を止めなかった。
ネロは上官への反逆罪であるとクリームを脅す。
しかしクリームは、部下に部下らしさを求めるのならば、もっと的確な判断を下して戦いをしろと決して引かなかった。
逆に今までの作戦でどれだけの仲間が死んだか、どれだけの経費がかかったかを理解しているのかネロに問い詰める。
数多くの兵士だけではなく、軍の経費も、馬鹿にならないほど無駄に費やされていしまっていた。
それらの経費は、貧しい生活をしいられている国民が払ってくれている大事な資金であるとネロを論破しようとする。
クリームの主張は正論であった。
演説の場にいた一般兵士たちは皆、密かにクリームを応援していた。
しかしネロとクリームの意見は最後まで食い違ったままであった。
ネロには戦争は男の仕事であるという堅い信念がある。
ネロはそもそも女が戦争に参加すること事態が間違いであると考えていた。
根本的なところが間違っている以上、女が主張する意見もまた、ネロにとって聞くに値しない間違ったモノだったのである。
そのためクリームの正論は、全て騎士道に値しない女々しい意見として、ネロに聞き入れられることは絶対になかった。
ネロは国民が自分達を守ってくれている軍に金を払うのは当然であると語り、そんな事を気にしていては戦いは出来ないと気にも留めない。
民の為に死ね、と兵士に求めるネロであったが、それは単なる教条主義的な発言だったことになる。
いつもネロが口にしている騎士道の尊さも、深く考えてのものではないことが、このネロの発言で明らかになってしまった。
そんなネロに対して、そんな事を続けていてはネロの好む突進攻撃も出来なくなってしまうと否定するクリーム。
しかし最後には、ネロに細かいところをぐちゃぐちゃと言うところだけは女らしいのだなと侮蔑されてしまう。
女性であることをネロにはっきりと侮蔑されてしまったクリーム。
このどうしようもなくダメダメな発言で、もうネロの底が見えてしまったクリームは黙るしかなくなる。
時代遅れの騎士道に凝り固まったネロの信念の強さは、クリームを深く絶望させるに十分であった。
これ以上反論を続けても抗命罪で捕らえられるだけであった。
クリームはネロに従ったのではなく、ネロに絶望して黙っただけであった。
一般兵士たちもまたこれからも負け戦が果てなく続くであろうことを予想し、自分達の境遇に絶望してしまう。
部下達の間に走っていた動揺にも、ネロはいっさい気づいていなかった。
結果として、士気を上げるために行ったネロの演説は、さらに士気を低下させてしまっていたのである。
抗命罪に問うと脅し、クリームを黙らせることにやっと成功したネロ。
お気に入りのフレーズを連呼し、正々堂々とポーンのリーザス軍を討つことを宣言する。
誰にも異論を許さず、宣言どおりの作戦が実行されることが確認される。
最後にネロは騎士道を胸に正々堂々リーザス軍に突撃するようにと訓示した。
演説を終えたネロは腹心の部下達と語らい、反抗するばかりのクリームを密かに排除する決意を固める。
不快な献策しかせず、騎士としての戦いを否定ばかりするクリームをネロは嫌っていた。
なによりも副将という重要な地位に女が座っていること自体が目障りであった。
そして自分に反抗ばかりするクリームを放っておいては士気と規律に関ると、処分の理由付けを行う。
しかしクリームは帝都から派遣された副将(軍目付け)であり、宰相ステッセルの肝煎りである。
下手に手を出すことはできず、ネロにも容易には扱えない問題であった。
ネロとしてもステッセルと争う気はなく、事は慎重に運ばなければならなかった。
そこに腹心の部下達がネロの歓心を買おうと、クリームの暗殺を持ちかけてくる。
ネロの腹心達もまた、クリームをどうにかしたいと常に考えていた。
上司への追従をするだけの無能な士官たちに対するクリームの態度が、軽蔑と見下したものになるのは仕方の無いことである。
クリームの態度は、周囲の反感を確実に買ってしまっており、ネロと腹心たちの両者の間でクリーム排除の思惑は見事に一致することになる。
腹心達はリーザスとの戦闘の混乱に乗じて、敵軍を装いクリームを暗殺(輪姦)する計画を立てる。
性格はともあれクリームは極上の美人であり、腹心達のほとんどはクリームの魅惑的な肢体に目がくらんでいた。
実際にアプローチし、見事に肘鉄を食らわされて、クリームに対する恨みを抱いているものも多かった。
なまじ外面は極上の美人であるだけに、いつかメチャメチャにしてやりたいという願望がネロの腹心達の間に生じていたのである。
腹心達はリーザスとの戦闘の混乱に乗じて、敵軍を装いクリームを輪姦して暗殺する心算であった。
計画をネロに披露し、ネロの暗黙の了解を得る。
生意気なクリームを思う様に嬲ることがにできる機会がやっと訪れた。
腹心達は行軍中、クリームの美しい容姿を暗い情欲をギラつかせた目で眺めることになる。
国家の命運を賭けた戦いの最中である。
しかも戦局は自軍の状況が圧倒的に不利であった。
そんな状況にもかかわらず、このような愚かな行為がまかり通っていたのである。
ヘルマン第四軍の上層部は腐り切っており、戦う前から勝敗はついていたと言える。
このような腐敗した軍に属さなければならなかったのは、クリームには大いに不幸であったと言えるであろう。
第一・第二・第三のいずれかの軍に配属されていたならば、違う展開があったはずであった。
クリームはその軍才を余すことなく発揮することが出来たはずである。
自分の任官先を決めたのがステッセルであることを知ったならば、クリームがステッセルを恨むのは確実であった。
クリームは憂鬱な面差しでコサックを進発する部隊の中にいた。
クリームにはヘルマン第四軍のコサックからの出撃風景が、デジャヴュのように感じられていた。
逃げ帰ってくるときに見つめるコサックの街の風景も、きっとこれまでと同じなのだろうと、ぼんやりと考えるクリーム。
クリームは自分の身を巡る卑劣な罠が深く静かに進行していることに気づいていなかった。
パットンとの同盟交渉を終え、パルナスでの目的を果たしたランス。
本陣を構えるポーンへの帰還途中にスードリ13にて伝令を受け取る。
懲りずにコサックを出立したヘルマン第四軍が、またぞろポーンに向かって進軍を始めたとの報告であった。
ヘルマン第四軍には狙っているクリームがいる。
クリームの部隊が攻め手に加わっていることを確認し、急ぎポーンへ戻ろうとするランス。
ランスはこの戦いでクリームを捕らえてしまおうと目論んだのである。
ヘルマン帝国軍は美しい女性が属するには相応しくない組織である。
クリームには自分の側に侍る方がよっぽど相応しいと本気でランスは考えていたのである。
ヘルマン第四軍よりも早くポーンに入城したランスは、矢継ぎ早に指令を出した。
ヘルマン第四軍側はリーザス帝国軍がポーンに篭城するものと考えているであろうと予測する。
そのネロの愚かな思い込みを利用するべく、行軍中のヘルマン第四軍を奇襲するための準備を整えていく。
ポーンに到着する寸前のところでヘルマン第四軍はランス率いるリーザス帝国軍の奇襲を受けた。
無防備なヘルマン第四軍はあっという間に混乱に陥ってしまう。
その時点ですでにリーザス帝国軍は万全の包囲網を完成してしまっていた。
リーザス帝国軍は包囲殲滅とばかり一斉に攻めかかり、一気呵成にヘルマン第四軍を打ち減らしていく。
クリームは行軍中の安全を確保するために哨戒兵を放つことを以前から提案していた。
だがネロは却下を繰り返すばかりである。
このときも全くの無警戒であった。
ネロの言い分は「そんなことよりも兵の勢いを保つことの方が重要だ!!」という不条理なものであった。
ネロによって警戒を行う手段を奪われてしまっていたクリーム。
クリームはリーザス帝国軍の奇襲をかなり心配していたが、悪いことにその予感が的中してしまったのである。
ランスは旗下の紫の軍に対してクリームの部隊を狙い撃ちにするように命じた。
リーザス軍の動きを真っ先に察したクリームは、即座に戦力の展開を済ませ迎撃を開始する。
しかしこれまでの数々の敗戦により、クリームは一度も自分から攻勢に出ることもないのにその兵力をすり減らせてしまっていた。
開戦当初の3分の一まで落ち込んでいたクリームの部隊は、その一撃を堪えきることが出来ずに粉砕されてしまった。
クリームの軍才の冴えも、圧倒的多数の敵戦力の包囲攻撃には全く歯が立たたない。
クリームは部隊の統制が保ちきれないことを知ると即座に決断を下していた。
部隊を解散させ、各員独自に脱出を図るように最後の命令を下したのである。
クリームもまた一般市民に変装して、戦場から脱出しようとした。
ランスはクリームただ一人の逃亡を防ぐために、ヘルマン第四軍が撤退した後、大捜索網を展開することになる。
リーザス軍は間一髪のところで、一般市民に変装して戦場から脱出しようとしていたクリームを捕らえることに成功する。
自分の前に引き出されてきたクリームをランスは勇んで首実検した。
ランスはクリームの実物を見て、きりっとしたけっこういい感じの娘であると認め、自分の判断が正しかったことに満足する。
クリームは上司がネロでなければもっとましな戦いが出来たとランスに主張するも、結局は潔く自分の負けを認めて殺される覚悟を決めた。
しかしランスはクリームの才能(眼鏡により際立つクールな美貌と軍服の上からでも明白なその素晴らしいスタイル)に惚れ込んでしまう。
実力のある美しい女性は、自分の元で働くべきだと、クリームにリーザスへの任官(ハーレム入り)を命じるランス。
クリームはこれまでの戦闘を通して自分の軍才が敵の総大将に認められていた事実にまず驚いた。
敵であるはずの自分を有能と認めると、当然の如くあっさりと部下しようとするランスの姿勢に惹かれてしまう。
敵でさえも貪欲に帷幕に加えようとするランスの度量の大きさに、クリームは感動してしまったのである。
がちがちの風習と騎士道しか知らないヘルマンの上司達とは、ケタが違うリーザス皇帝ランスの器の大きさに敬意を表すクリーム。
クリームはそのランスの勧誘を自分の軍才を認められたためと勘違いし、その申し出を喜んで受け入れ、ランスの下へ参ることを誓う。
自分を戦わせてくれるランスのために、「どんなことでも絶対頑張って、存分に役にたちますので、見捨てないで下さい」とまで嘆願した。
こうして意思の疎通に若干のズレがあったが、ランスが意図した結果とはやや違う形でクリームはランスの配下に収まった。
ランスはベッド上の戦場にて、クリームが提供してくれたその美麗な容姿を好き勝手に嬲ることのできる権利に非常に満足することになる。
クリームは大陸全土の戦場にて、ランスが提供してくれたリーザス帝国軍を好き勝手に操ることのできる権利に非常に満足することになる。
以後クリームはランスの濃密な寵愛の下で水を得た魚のように活躍していく。
リーザス軍部でメキメキと頭角を表し、より高位の役職へと駆け上がっていった。
この戦闘においてリーザス帝国軍の苛烈な奇襲攻撃により、ヘルマン第四軍は甚大な被害を受けてしまう。
戦闘中に副将スカクミが率いるオッズ部隊は大半が討ち取られてしまった。
クリームの部隊もすでにバラバラになり、ネロはまたしても戦闘の継続を断念する他無かった。
リーザス帝国軍がなぜか追撃を仕掛けてこなかったために、ネロは無事にコサックまで逃げおおせた。
腹心達が計画していたクリーム暗殺(輪姦)計画は、当のクリームが行方不明となってしまったことによって白紙撤回となる。
コッサクに帰還した後、腹心たちはクリームの見事な肢体を味わうことが出来なかったことを非常に悔しがった。
ネロはそんな腹心たちの微妙な心理を読み取ることもなく、手間が省けて良かったとほざいてしまう。
腹心達は尽くしている自分達のことを全く考えていないネロの態度に、内心強い反発を感じてしまうことになる。
このままネロについていって良いものか、腹心達の中にも迷う者が出てきた。
ヘルマン第四軍の未来はいっそう暗いものになっていく。
ランスはポーン城塞にてヘルマン第四軍の撃退に成功する。
戦闘終了後、ランスは一人の可憐な花売りの少女に出会う。
その少女、エレナ・フラワーにとって、このときのランスとの出会いは運命的なものとなる。
エレナはヘルマン帝国の高官の娘であったが、母を幼いときに亡くし、父もまた数年前に病死していた。
貴族ではなかったがポーンでも裕福な階級にあったフラワー家。
しかし今は父の再婚相手である継母が全てを牛耳っており、エレナの居場所はなかった。
父が残してくれた資産は、立派な住居と土地の権利も含めて、全て継母に奪われてしまっていた。
身の置き場の無いエレナ
継母や、継母の連れ子である姉二人にいじめられる日々を過ごす。
幼いときから使っていた綺麗な部屋を追い出され、薄汚れた屋根裏部屋を宛がわれていた。
客観的に見てエレナはとびきり美しかった。
容姿も飛びぬけていたが、その優しい性格もまた皆から好かれた。
継母の連れ子である姉二人は、あいにく、エレナほどには美しくない。
そのためエレナの容姿を僻んでいびりたおしていた。
健気で人と争うことを好まず、花が大好きで素直な性格のエレナ。
彼女は継母や義姉の横暴に反抗することなく、耐え忍び続けていた。
花を育て、花と語らうことだけが、唯一エレナの心を癒したのであった。
フラワー家は裕福な家であり、本当ならばエレナが花を売る必要は全くない。
だが継母がエレナが花の栽培を自宅で続ける条件として、無理矢理押し付けた仕事であった。
継母はちょっとばかり綺麗で気弱なエレナならば、花を売っている途中で男どもに襲われてしまうだろうと考えていた。
娼婦のように男に媚びて花を売る娘など、フラワー家に相応しくないとして追い出すつもりだったのである。
継母の思惑通り、エレナは激しい防衛戦で気が立っていたリーザス帝国軍の兵士たちに襲われそうになる。
そのエレナを救ったのが誰あろうランスその人であったのである。
以後このポーンの要塞においてランスはエレナに度々出会うことになる。
出会う度にランスはエレナに対して好印象を与え続けた。
出逢った当初はランスのことをリーザスの立派な騎士様であると勘違いしていた。
やがてランスがリーザスの皇帝であることを知ると、エレナはランスのことを恐れ多い存在であると考えるようになる。
それでもランスは優しかった。
叶わない恋であると自分の気持ちを抑えるように努めるエレナ。
会えるだけで幸せであると自分を律しようとする。
しかし、そのランスを恋しく想うエレナの気持ちはどんどん膨れ上がってしまう。
やがてランスの方もエレナを気にかけるようになる。
ヘルマンの寒い土地で健気にも花を売り続けるエレナのことを、余りに不憫過ぎると考えるようになっていた。
ランスはエレナが自分好みの清楚な美人である。
ランスは秘書のレィリィにエレナの居場所を調べておくように命じることになる。
エレナの可憐な反応から、エレナが自分のファンであり、自分にラブラブであることが容易に察することができた。
ランスはエレナを自分のハーレムに迎え入れてしまおうとと考えていた。
美しく着飾れば自分のハーレムの中でも指折りの美しさになるであろう。
エレナはランスが迎えに来るまで、継母たちのいじめに耐え続けた。
そしてランスのことを想いながら悶々として日々を過ごすことになる。
<LP3年11月30日>
風雲急を告げる帝都の情勢に気付きもせず、ノロノロと出撃体制を整えていたヘルマン第五軍。
ロレックスは自分に謀反の嫌疑がかけられていることなど一切気付いていなかった。
ましてや皇妃パメラが帝都不在という重大事件も彼には与り知らぬ事であった。
このまま状況が推移していったとしても、いつまで経ってもヘルマン第五軍は動くことはなかったであろう。
しかし、帝都から来た新たな勅使の持ってきた命令書がその状況を大きく変化させた。
その命令書には、リーザス帝国軍を撃破した暁には莫大な報奨金が支払われることが約束されていたのである。
その条件にヘルマン第五軍の真の支配者であるカチューシャとソルニアは飛びついたのであった。
帝都では、沈黙を続け、現政権への不満を表明しているロレックスにどう対処するかで揉めていた。
強硬手段を唱える者もいたが、現時点で精鋭第五軍の相手を出来る軍は存在しない。
ロレックス個人を暗殺する案も出たが、ロレックスの剣捌きの鋭さは誰もが知るところであった。
そうでなくとも起死回生のリーザス皇帝暗殺作戦が不調のため、数多の暗殺部隊の精鋭たちが無駄に浪費されている現状がある。
結局暗殺計画は却下されてしまう。
行き着いたところは莫大な報奨金であった。
剣豪ロレックスの性格を知る者ならば、金などロレックスに効果はないことは明白であった。
しかし所詮は約束だけであり、やらないよりはマシであろうということで暫定的なものということでその案が通ってしまった。
誰も金で解決できるとは思っていなかったのだが、これが第五軍を動かすことにつながった。
カチューシャとソルニアは一転して急いで出撃することをロレックスにお願いする。
ロレックスは酔いどれながらも、気分良くそのお願いを聞き届け、出撃の号令をかける。
目標はローゼスグラードのリーザス帝国軍であった。
ローゼスグラードにはリーザス帝国の大将軍バレスが控えていた。
ヘルマン第五軍は戦争開始以前に想定されていた数の約七割程度の規模しかなかった。
そしてその情報はすでにリーザス帝国軍の知るところとなっている。
ヘルマン側に比べてリーザス側の準備は万全であった。
バレスは自部隊だけを率いてローゼスグラードを出撃する。
そしてノロノロと行軍を続けるヘルマン第五軍に奇襲を敢行した。
突如現れた黒の軍に、ヘルマン第五軍は混乱した。
黒の軍の猛攻に耐え切れず、第五軍の先陣を努めるアレクセイの部隊はあっという間に突き崩されてしまう。
体制を整えるために一時退こうとする第五軍。
だがローゼスグラードから出撃してきた別働隊の魔法攻撃を受けて、ソルニアの率いる補給部隊がかなり被害を受けてしまった。
こうしてローゼスグラードを巡る攻防の第一ラウンドは、圧倒的にリーザス優勢で終了する。