※この作品はR-18です。

淫魔街   作:犬養 神

4 / 5
生ける屍

トイレから女が出てきた。

 

佐守の精気を吸い取ったサキュバスだ。

 

人間の姿に戻ったサキュバスは、足早に出口のドアに向かう。

 

次いで、皺だらけのミイラのような姿となった佐守が出てきた。

 

白目を剥き、酔っぱらったようにフラフラした足取りで歩いている。

 

佐守が、黒のボディコンを着た気の強そうな女にぶつかった。

 

 

 

 

「ちょっと、何すんのさ!! ラリってんの?」

 

 

 

 

女が鋭い口調で咎める。

 

佐守がそのまま、どこかに行こうとすると、女は肩を掴んだ。

 

 

 

 

「何とか言えよッ!! 言っとくけど、アタシの彼氏めっちゃ怖いんだから、覚悟しと……」

 

 

 

 

女の言葉が急に止まった。

 

佐守がナイフを女の額に突き刺したのだ。

 

それは、佐守がいつも持ち歩いているコンバットナイフだった。

 

傷口から鮮血と脳漿が噴き出す。

 

ナイフは頭蓋骨を突き破り、脳にまで到達していた。

 

女は血に染まった顔で、苦悶の表情を浮かべながら床に倒れた。

 

 

 

 

「きゃああああああああああああああああああッ!!」

 

 

 

 

刺された女の友達と思われる女が悲鳴を上げた。

 

その、悲鳴を合図にクラブ中が混沌の中に投げ込まれた。

 

慌てて逃げる者、恐怖のあまり立ち尽くす者、好奇心でスマホで惨状を撮影する者、フロアが悲鳴と怒号で埋め尽くされた。

 

 

 

 

「やはり人間じゃなかったか……あの金髪の女」

 

 

 

 

そう呟きながらカウンターにいた九郎が立ち上がった。

 

 

そんな中、一人の男が佐守に近づいた。

 

ドレッドヘアの人相の悪そうな男は、佐守と同じようにバトルジャケットを纏っている。

 

どうやら、佐守をリーダーとする不良グループ、RABIDのメンバーのようだ。

 

 

 

 

「おいっ!! 佐守さん、どうしちまったんだよ!? しっかりしてくれよ!」

 

 

 

 

ドレッドの男が佐守の両肩を掴みながら叫ぶ。

 

 

 

 

「近づくな! 彼は、すでに死んでいる!! 妖魔が死体を魔力で操ってるんだ」

 

 

 

 

九郎が叫んだ。

 

 

 

 

「佐守さんが死んでるってどういう事だよ!! っていうか誰だよ、お前は……」

 

 

 

 

ドレッドの男が語気を荒げる。

 

九朗の方に気を取られている隙に、佐守がドレッドの胸元に貫手突きを食らわせた。

 

その突きの威力は常人の者の力を遥かに凌駕していた。

 

指の先端が皮膚と筋肉を突き破り、内臓にまで潜り込む。

 

傷口から大量の血が噴き出す。

 

 

 

 

「ぎょぼわッ!!」

 

 

 

 

ドレッドは野生動物の鳴き声のような声を出すと、口から大量の血を吐き出した。

 

佐守はドレッドの胸部から血まみれの手を引き抜いた。

 

その手に握られたモノを見てドレッドは戦慄した。

 

 

 

 

「おっ!! おい、そいつは俺の……心臓じゃねえかあーーーーーーッ!!」

 

 

 

 

そう、佐守の手には心臓が握られていたのだ。

 

取り出されたばかりの心臓はまだドクドクと脈打っている。

 

 

 

 

「そっ……そんなのアリッ!? ぎょぼッ!!グゲゲゲゲゲェ!!!!」

 

 

 

 

ドレッドは口から鮮血を吐き出しながら床に倒れ、そのまま息絶えた。

 

 

 

 

九郎が、佐守に接近する。

 

 

 

 

「ぐおっ? グゥオオオオオーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

 

 

佐守が獣のようなうめき声を上げ九朗に襲い掛かる。

 

九郎は、左手を手刀にして、空を切った。

 

佐守の動きが急に止まった。

 

そして突然、首元に横一文字の傷口が現れ、血が噴き出した。

 

 

 

 

「グゴゴゴッ!! グボッ!?」

 

 

 

 

佐守は苦しみだし自らの首元に手を添えた。

 

すると、首が背後に傾き、背中をかすりながらゴロリと床に転げ落ちた。

 

 

 

 

「グゥオオオオオオオオオッ!!」

 

 

 

 

切り落とされても、佐守の首は凄まじい形相でうめき声を上げている。

 

そして、頭を失った体は首の断面から、噴水のように血を噴き出しながら暴れまわった。

 

九郎は佐守の胴体を蹴り飛ばした。

 

すると、バタリと倒れ動くのを止めた。

 

次に九郎は呻き声を上げ続ける佐守の首に近づいた。

 

 

 

 

「気の毒にな……安らかに眠ってくれ」

 

 

 

 

九郎は静かな声で呟き、床に膝を落とししゃがみ込んだ。

 

そして、左の拳を固く握ると佐守の頭に叩き込んだ。

 

頭蓋骨が砕け、血まみれの脳が床に飛び散った。

 

生ける生首はこれで完全に活動を停止した。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。