一番書きたかったキャラなので力入ってそこそこ長くなっちゃいました
年の瀬の大災厄から結構後という設定なので高津学長の夜見への態度がかなり軟化してます、ご注意を。
月の雫
「貴女たち、明日箱根に行きなさい」
全く、突然のことであった。
とある日、皐月夜見は主から要件があると呼び出された。
頼りにされている、お役に立てると思い、気持ち急いで鎌府の学長室に向かう。
逸る気持ちを抑え、失礼の無いよう学長室のドアをノックする。
「どうぞ」
「失礼します」
「……」
主である高津雪那の声が返ってくると一礼してドアを開け、ドアに向き直り両手で閉める。
室内を見返すと雪那以外にもう一人先客が居た。
その男性は夜見の良く知った顔であった。
千寿 旭(せんじゅ あさひ)、夜見が親衛隊として紫に拾われた際、仕事等公務における身の世話を担当した刀剣類管理局の局員。
獅童真希や此花寿々花のように母校から付き人が居るわけでもなく、ほぼ身一つで拾われた夜見に親身に接し、親衛隊としての仕事が軌道に乗った後も業務で一緒になることもある、その縁があって以降も何かと夜見に気を払っている好漢。そういう男であった。
「高津学長、ご用件はなんでしょうか」
「ああ、少し待て……」
学長の公務の邪魔をしないためか、黙って礼をした旭に夜見は一礼を返し、学長の座る机の前まで来ると要件を聞く。
学長業は相変わらず忙しいようで、前に立った夜見を一瞥するとすぐに書類に目を戻す。
少し書類を睨んだ後、サインと印を押たそれを脇にやると、二人の方へ顔を上げる。
「貴女たち、明日箱根へ行きなさい」
冒頭の台詞に戻る。
「はい?」「え?」
主の命であれば何事も拒むつもりもないが、あまりにも突拍子もなく、意図がわからないものであったので夜見は思わず聞きなおしてしまう。
旭も同じく、予想外といったような声をあげる。
「お言葉ですが高津学長、その指示の意図がわかりかねますが……?」
「……」
学長の命に先に疑問を投げたのは旭だった、夜見はそれに同意するかのように沈黙する。
「今度刀剣類管理局主催の警視庁、政府関係者との懇親会を開くこととなりました……」
先ほどまでの書類仕事が激務だったのか、学長は休むように一呼吸置いて続ける。
「はぁ、全く下らん催しだとは思いますが、コネは太くしておくに越したことはありません。それに紫様がご出席なさる以上下手を打って舐められるのも癪に障ります」
「本来であれば私直々に出向くところですが、残念ながら業務が立て込んでいる、だから開催予定地に赴き、万が一の不備や不足しているものが無いか、会場としてふさわしいかどうか貴女たちが下見をしてきなさい」
「はぁ……」
旭はわかったようなわからないような生返事を返す。
雪那はそういう煮え切らない態度が一番嫌いなので怒号の一つでも飛ぶと夜見は思ったが、彼女の予想に反し雪那は旭を無視して夜見の方を見た。
「時に夜見」
「はい」
「貴女、最近まともに休みを取っていないそうね?」
「……必要ないと判断しましたので」
休みを取っていないことも、必要ないと判断したことも事実であった。実際業務が滞ったり私生活に影響は出ていない為、問題はなかった。
しかしそう思う夜見の内心を見透かしたかのように雪那はため息を吐く。
「馬鹿者、適度に休みを取ることも務めと知りなさい。この件を紫様に打診した際、休み代わりということで貴女を指名されました、紫様にお気を遣わせるとはなんたることですか」
「……申し訳ありません」
「故にこれは任務であり休暇であると心得なさい」
「はい、わかりました」
主の叱責に素直に夜見は謝罪する。
しかし、以前までの頭ごなしな叱責でないことに言いようのない暖かさを感じていた。
「あの、高津学長」
「なんだ」
そこで今まで蚊帳の外であった旭が再び学長に疑問を投げる。
「夜見が下見に行くのはわかったのですが、私もというのは一体……」
彼の疑問も最もであった、確かに下見に夜見を派遣するという理由はわかったが、彼も一緒である理由は不明なままであった。
「……懇親会の参加者には男性も多い、夜見は細かいところに気付くでしょうが、一応同じ男性の意見も聞いておきたいと思いお前を呼びました。夜見とも、お互い顔見知りであればやりやすいでしょう」
「な、なるほど…?」
「それに、お前はある意味監視役も兼ねています。夜見のこと、注意していないと休みを与えたはずが休んでいないということもありえます」
夜見は正直否定できなかった。
休日を満喫するということに慣れていないことと生来の生真面目さ、それになにより主直々の命であれば彼女は万が一にも間違いがないかと休むということはしないだろう。
彼女自身はそれでも構わないが、それでは気を使ってくれた雪那・紫双方に失礼であろう、それだけは避けたかった。
雪那は旭の近くに歩いて近づくと肩をに片手を置きささやく、
「どこの馬の骨とも知れぬ奴と行かせるよりマシと判断したまで、くれぐれも気を付けるように……いいな?」
「は、はいぃ……」
段々と力の籠る手と、小さくしかし確実な意思を持った雪那の言葉に彼は委縮しながら了承する。
「では以上です、時間や移動手段、旅館の予約等は追って連絡します、下がってよろしい」
二人の了承を得ると、雪那は要件は伝えたとばかりに再び机に向かい、書類とにらみ合いを再開した。
失礼しましたと礼をし、二人は学長室を後にする。
「全く、手間のかかる……」
二人が去った学長室で雪那は独りごちた。
「ふぅ、なんだか大変なことになっちゃったなぁ」
「私は別に……高津学長からのご命令ですので」
学長室を出た後、旭は夜見に語り掛けるが夜見は別段気にした様子も無く、表情を変えず答える。
「あはは、相変わらずだね、まぁともかく明日はよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
相変わらず夜見の表情は変わらないものの、その内心では彼女自身もわからないままに高揚感を抱いていた。
-翌日-
「到着っと」
「……」
刀剣類管理局のある鎌倉から電車に揺られ1時間と少し、箱根湯本駅に到着した二人。
旭はビジネスカジュアルな服装で夜見はいつもの白い特務警備隊の制服姿、両者とも一泊ということもあり荷物は大き目のバック一つだ。
「さてと、チェックインまでにはまだ時間あるし、ちょっと観光がてら近辺の下見でもしようか」
「そうですね、荷物を預けるところもあるようですし」
そういって駅の張り紙を見て言う夜見。
張り出されていたのは荷物を駅に預けておけば宿泊先の旅館まで届けてくれるというサービスだ。
時刻は13時前、旅館のチェックイン時刻は15時からなので時間的には結構な余裕がある、早速二人は手続きをすませると荷物を預けて駅を出る。
駅前は正に観光街といった感じで色々な店舗が立ち並んでいる、パッっと見温泉饅頭やかまぼこ、煎餅等の食べ物の店が目に付く。
少し目線を上げると川を挟んだ向かい側は木々の茂る山を望み、その境目を作るかのように目の前に流れる河川"早川"が横切っている。
両岸を繋ぐあじさい橋の朱色が程よく主張しており、メリハリが効いてなんとも風情がある。
「さて、とりあえずは昼食かな、何か食べたいものはある?」
「そうですね……やはり下見としてはご年配の方が多いでしょうしお蕎麦などはいかがでしょう」
観光雑誌を見ながら夜見が答える、行きの電車の中で読んで観光地の下調べをしていたものだ。
「いいね、じゃあ……ここの店にしようか」
「あっ……はい」
旭は夜見の横に立ってその観光雑誌をのぞき込む、その際に肩と肩が触れるも旭は別段気にした様子も無くグルメの欄の一件の蕎麦屋を指さす。
一見すると気にしない様子で旭についていく夜見であったが、肩が触れ合った瞬間、経験したことのない感覚を感じる。
その後二人は決めた通りに駅前の蕎麦屋で昼食を済ますと観光雑誌に書かれたルートに従い、観光地を下見していった。
観光地を巡る度、見所や気になるところをメモしている夜見、と同時に内心は止まぬどころか益々大きくなっていく未知の高揚感と心(しん)の鼓動の早まりに困惑していた。
(落ち着かない……なんなんでしょうかこの感覚は……)
「ここも落ち着いた雰囲気で風情もあっていいね、次の観光場所はっと……」
「っ!?」
考え込んでいたところに不意に旭に近づかれ声を掛けられた夜見はビクッっと肩を震わせると驚いた様子で旭の方を振り向く。
「あっごめん、何か考え事でもしてた?」
「いえ……行きましょう」
「え、あっちょっと……」
ドキドキと早まる鼓動を誤魔化すかのようにそそくさと歩いていく夜見。
そんないつもと少し様子の違う夜見を追う旭といった形で次の目的地へ向かう二人。
その後、夜見は心を支配していく謎の感覚を見ないようにして、できる限り平穏を保つように注意を払っていたため、旭は先ほど感じた違和感は気のせいだと流して、下見という名の観光を二人で楽しんだ。
そして、一通り雑誌の通りに観光箇所を回って再び駅前に戻ってくる。
「そろそろいい時間だね、泊まるところ行こうか」
「ええ……そうですね」
時刻は16時過ぎ、すっかり空も赤らんできておりチェックインには丁度いい時刻であった。
この地に降りた時に見えたあじさい橋を渡る、木々の茂る道の風景と聞こえてくる渓流のせせらぎは二人がいつも仕事をしている鎌倉ではあまり出会うことがないので、非日常な特別感となんとも清々しい心地よさを与える。
予約された宿所は橋を渡った先にあり、緑の中に佇む建物は嫌が応にも目に入るほどの存在感がある。
中に入ると和洋が絶妙に折衷された見事な内装に迎えられる。
旅行雑誌の最初の方に書かれるくらいに老舗と謡われるだけあり、内装は高級感溢れ、荘厳でとても上品でありつつも暖かさも失ってはいない雰囲気を纏っていた。
旭はあまり不審に思われない程度に中を見回し、なるほど確かにここであれば紫様を始め、懇親会に参加される方々も満足されるだろうと納得すると共にここを会場に選ぶ高津学長の確かなセンスに舌を巻いた。
チェックインを済ませた二人は届けてあった荷物を受け取り、仲居の先導で部屋に向かう。
「箱根湯本の観光地はいかがでしたか?どこも素晴らしいところばかりだったでしょう」
「ええ、とても。どこも雰囲気も空気もいいし、気持ちよかったです」
「……」
「どこも良かったですがやはりシーズンというか時期的には秋とか冬がいいんですかね?」
「箱根は1年を通して見るところはありますが、やはりアジサイの咲く初夏や紅葉が綺麗な秋から冬に掛けて来られるお客様が多いのですねぇ」
「あーいいですね!紅葉の時期なんかは映えるでしょうね」
道すがら旭は仲居と今日巡ったところ等にについて話していた。
一方夜見は言葉を発せずにそのすぐ後ろを付いて歩いていた、彼女自身もともとあまり話すタイプではないし、観光の最中に苛まれ、未だ収まらぬ胸中の異変について考え込むには良い機会であった。
(千寿さんに近づかれたときのあの感じは一体……)
彼女にとって始めての感覚であった。他に今まで一緒に過ごしてきた人では感じることの無かった感覚故に、考えても答えどころかヒントすらもわからないといった感じで表情には出さないものの困惑していた。
そうしてる間にも客室の一つに着き、仲居が入口の戸を開けると玄関で靴を脱いで中に入る。
「おお、これは……」
「すごいですね……」
二人して感嘆の声を上げる。
座卓と4つの座椅子の置かれた畳の部屋はい草の青々しい香りが鼻腔をくすぐり、明るい色の木柱、白い漆喰の壁、端に設けられた広縁と大きく取られた窓の外には先ほど渡った早川の渓流と木々の緑といった解放感ある景色が見え、広々とした感覚を与える正に温泉地の和室といった感じであった。
広めの部屋ではあるが、当日では多人数で泊まるであろうから下見としては最適な部屋であった。
二人が感動していると少し遅れて仲居が入ってくる。
「大き目のお部屋をご希望ということでこちらのお部屋をご用意させて頂きました、お二人様では少し広めの部屋にはなりますがカップルさんで過ごすのであればこれぐらい広くても問題ないかと」
「はっ?」「……えっ?」
予想外の一言、厳密には"カップル"一単語に旭と夜見はそれぞれビックリして声が出てしまう。
そんな二人仲居さんはきょとんとした顔でフリーズした旭と夜見を見比べている。
「えっと、違うんですか?」
「ええええ!いやいや違います違います、彼女とは仕事でですね……」
「……っ」
夜見の心がチクリと痛む、旭は間違ったことを言ってはいない、彼とは仕事の下見の目的でここへ来ただけであり、そもそも恋人やカップル等といった類ではない。
なのにこの胸の痛みはなんだろうかと、先ほどまでとはまた違った感覚に苛まれ、少し目を伏せる。
「ね、ねぇ夜見?」
「っ!え、ええ、そうですね、ここへは仕事の下見に……」
「あ、あらすみません、私ったら勘違いを……」
弁明している旭に同意を求められ、少し焦って返す夜見。
仲居はそんな二人の仕草を見て勘違いが恥ずかしかったのか少し笑いながら謝る、しかし続く言葉が更に二人を仰天させることになる。
「男女お二人様一部屋でご予約されたものですからてっきり……」
「へ?二人で一部屋ですか?」
「……」
「ええ」
男女で泊まるのであれば部屋は別々であると二人して思い込んでいただけに一部屋しか予約していないというのは完全な予想外であった。
「ええっとちなみに今から他の部屋を取るというのは……」
「そうですねぇ、今から他の部屋のご用意というのはちょっと……、一旦このお部屋の予約をキャンセルしてという形になってしまうので……」
「ですよねぇ、そうなるとどうするか……」
一縷の希望にすがるが、仲居はバツの悪そうな顔でその希望を打ち砕く。
万事休すである、主に旭が。
別にやましいことをするつもりも毛頭ないが、男女が同じ部屋で寝るというのはやはりあまりよろしいことではない。
ましてや相手は未成年の女の子であるなら最悪自分が外で寝ても……と思ってた旭であったが、意外なところから言葉が出てきた。
「……いえ、ならばこのままでも大丈夫です」
「よ、夜見!?」
夜見からの意外な一言に仰天する旭、それを制するように夜見が続ける。
「元々懇親会で使われるお部屋の下見の予定であったわけですから、予約をキャンセルして別の部屋にというわけにもいかないでしょう」
「まぁそれはそうだけども……」
「では、大丈夫ですか?」
「……わかりました大丈夫です」
夜見の言葉にも一理あると渋々一部屋であることを旭が承諾すると、仲居は安堵の表情を浮かべて部屋や宿舎についての説明を続けた。
終わり際になって、仲居が旭に向かって手招きをしてくる。
不思議そうな顔をして近づいてきた旭に仲居は小声で耳打ちする。
「俺ですか?なんでしょう?」
「こういうときがチャンスですよ!」
「何を言って……!」
「では、ごゆっくり」
「ちょっと!?」
ビックリした旭に有無を言わせずニコニコしながら仲居は出て行ってしまった。
取り残された旭はため息を吐きながら座椅子に座ると丁度横からお茶の入った湯飲みが差し出される。
「お茶です」
「あ、ああ、ありがとう」
仲居に呼ばれ、妙なやり取りをしている間に夜見は部屋の座卓上に準備されてあったお茶のセットを使ってお茶を淹れていた。
こういうことをテキパキとこなせるのは流石だなぁと思いながらお茶を口に運ぶ旭、一呼吸置いた後自分の分の湯飲みを持って向かいに座った夜見に問いかける。
「えーと、今更なんだけど、よかったの?俺と二人で……」
「……先ほども言ったように任務に不備があってはいけませんから、それに……」
一拍子置いてはっきりと旭の方を向いて夜見が続ける。
「千寿さんのことは信頼してますから」
「そ、そうか、ありがとう……?」
「いえ」
いつものように表情を余り変えないままそんなものを言うものだからビックリして感謝の言葉を言ってしまう旭。
対して夜見はあまり気にしたようでもなく短く返事をするとお茶を一口飲む。
「……」
(なんだか……)
「……」
(気まずいですね……)
旭は何気なしに旅館のマニュアルをぼんやりと眺め、夜見は昼間取ったメモと旅行雑誌とを比べ、纏めていた。
夜見があまり必要以上のことを喋らないのもあって、任務等で二人で居るときもこういう静かなタイミングはよくあったし、旭も別にそんな静かな時間が嫌いでなかったのだが、二人で一部屋に泊まるという状況と、旭は先ほどの仲居の言葉に、夜見は昼間からずっと感じてる胸の違和感に、お互いを意識してしまう。
(私は……何故……)
夜見にとって先ほど一部屋でいいと了承したことは勢いで口に出してしまったことであった、もちろん仕事に不備が出てしまうことを懸念してたのは事実ではあるが、理論的に出たというよりか何か大きな心の動きに突き動かされるように口からあの言葉が出たといったといった感じであった。
何故あんなことを口走ったのか?彼と別になるのが嫌だったから?そうであるなら何故そう思うのか?そもそも昼から感じるこの胸の高鳴りは一体なんなのか?
昼間から感じる正体不明の違和感と共にあまり感情を表に出さない夜見にとって初めての出来事は"何故"のループを生み出し、彼女の心を揺さぶり続けていた。
こうなると二人では無駄に広い部屋も落ち着かない一因となる、遂に我慢できなくなった旭が先に切り出す。
「や、やっぱりさ、温泉地に来たんだから、温泉、行こうか?」
「……そうですね、そちらの方も見ておきたいですから」
部屋に居づらくなって放った旭の一言であったが、夜見にとっても一人で考える状況になれるため渡りに船だ。
「それじゃあ、俺は外で待ってるよ。女性はほら、準備とか色々あるだろうから」
「はい……」
そうと決まると旭はそそくさと用意をして部屋を出る、口から出たことも確かに理由としてはあるが、客室という居づらい空間から早く出たかったからだ。
部屋から出て安堵しながらそんな自分の情けなさに自己嫌悪に陥る旭であった。
しばらくすると部屋から手提げの小さな鞄を持った夜見が出てくる。
だが先ほどまでの制服姿ではなく旅館浴衣姿を纏っていた。
「あ、着替えたんだ」
「はい、制服を持ち歩くのは嵩張りますから……変、でしょうか?」
「ああいや、とてもよく似合ってるよ」
夜見は自分の姿を見回しながらちょっと不安そうに問うが、率直な感想を言う旭。
「そう……ですか」
「ッ!!」
それを受けて少しはにかむ夜見、そんないつもは見せない表情に旭はドキッっとする。
「じゃ、じゃあ行こうか」
「はい」
並んで浴場まで向かう二人であったが道中も会話は無く、内心ドギマギしっぱなしであった。
そうしてるうちに短いようで長い道のりの果て、大浴場の前まで来る。
「じゃあ、また後で……」
「はい……」
そんなぎこちない挨拶を交わしながら別れ、それぞれ男湯、女湯へ入っていく二人であった……
・----------------------------------・
少し硫黄の臭いを含んだ湯気が登立つ湯舟へ足からゆっくりと肩まで身体を沈める。
ザバァと自分が侵した体積分のお湯が湯舟から零れ、浴場に音を響かせる。
オフシーズンということもあって今の時間であっても浴場に居るのは俺一人だけだ。
「あ”~~~~~~~」
全身の今日一日の疲れが温泉に温められ、行き場を無くして口から押し出されたかのような声が出る。
手足を一杯に伸ばしても十二分に余りある、これだけ大きな浴槽を独り占めしてるとなると温泉というのも相まって家の風呂とは比べ物にならない気持ちよさだ。
「なんでこんなことに……」
一人ごちる、悩みの種はもちろん夜見と一緒の部屋に泊まることになったことだ。
勿論俺だって男である、女性と一つの部屋っていうのは憧れるものだ、しかしいくらなんでも……とは思う。
確かに夜見とは結構短くない付き合いだし、綺麗な娘だと思うし、さっきの浴衣だって髪色に合ってとっても似合ってたし、スタイルも……
「って何考えてんだが……」
思考をリセットするように顔を両手で抑えてゴシゴシと拭う。
どうにも仲居さんにあんなこと言われてから変に意識しちゃってるな、温泉出るまでには切り替えねば。
相手は16の女の子だ、そもそもさっきは信頼してくれるとは言ってくれたが、嫌なものは嫌な可能性だってある、夜見はあんまり主張するタイプじゃないけど年頃の女の子なら十分ありうる話だ。そんな年離れてるわけでもないけど……
ちなみに、一部屋しか予約してないことを高津学長へ電話して確認したところ、
『当たり前だ!下見に不必要な予算など掛けられるか!忙しいから私にはもう掛けてこないように!』
と一蹴された。
あの人も何を考えているのやら……
「はぁ~~、よし」
温泉の中でもう一つ伸びをする、声と共に変な考えは出て行ってはいかないけど、気持ちを切り替えることはできた。
なるべく意識しないようにしよう、うん。
あんまりジロジロ見るのも嫌っていうのもあるだろうし、ここで嫌われて以降の仕事に支障出たら嫌だしな……
そうと決まればと温泉から上がり、身体を拭いてこちらも旅館浴衣に着替える。
男湯の脱衣所を出るが、夜見の姿は見えないのでまだ入っているのだろう。
ふと自販機が目に留まる、やはりこういうときの風呂上りと言えば牛乳であろうといそいそと瓶牛乳を購入、蓋を開けて一気に体に流し込む。
冷えた牛乳が口から食道、胃に至るまでの感覚を感じ、温泉で火照った身体に染み渡る。
「ぷはぁ」
やはりこれだといった感じで上機嫌になって脇の回収用のケースに空きビンを入れる。
「お待たせしました」
丁度夜見も出てきたようだ、声を掛けられた方に顔を向ける。
「ああ、こっちもさっき出た……とこ……」
正直に言うとさっきは意識しないようにと決めたがそんな気持ちは霧散した、ついでにさっき飲んだ牛乳の味も消えた。
それくらいに目の前の夜見に瞳奪われた、先ほども旅館浴衣は似合ってると言ったが、温泉に入りほんのり蒸気した肌と多少湿った髪がなんとも艶めかしい。
「どうされました?」
「えっ?ああいや、なんでもない!」
「……?」
見惚れていたところに夜見の一言で我に返る。
漫画で見たかのような誤魔化せているのかも怪しい言葉で誤魔化す、幸いにも夜見は気付いてない様子だ。
「いい時間だし、このまま夕飯に行っちゃおうか」
「でも千寿さんの荷物は……」
「いいさこれくらい、あんまり多くないし」
確かに手荷物があったが、手提げ鞄一個くらいに収まる量であったし、何よりこの状態であの部屋に戻るのは色々と憚られる。
「そうですか、千寿さんが良いなら良いですが」
「うん、お腹も空いちゃったしね」
などと言って食事処へ向かう。
食事処はあるときは宴会等で使うのであろう、畳敷の大部屋を半分に仕切った部屋ににお膳が並べてある。
恐らく懇親会の会場もここになるのだろう、この規模の部屋であれば200人は余裕で入る。
部屋の中を見渡すと俺達の他にも何組かちらほらともう食事していた。
案内されて端の方の席に座る、用意された御膳料理はやはり流石と言うべきか内容から盛り付けまで豪華だ。
席に座ると仲居さんが来て鍋料理に火を付け、飲み物の注文を聞く、二人でお茶を注文する。
温泉上りに一杯、なんて最高ではあるが流石に飲むわけにはいかない。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
お茶が双方に行きわたると、手を合わせて食事の開始の挨拶をする。
そういや夜見とご飯を食べるなんてことはあんまりなかったなぁと思いつつあることに気付く。
とても綺麗に食べるということだ、箸を上手に使いこなして下手に料理を崩したり食べこぼしも無い。
それに気付いて夜見を見てると不意に彼女の手が止まる、
「どうかされましたか?」
「ああいや、ごめん、箸使いが綺麗だなぁって」
「そうでしょうか?」
「うん、上品でいいと思うよ」
「……ありがとうございます」
ちょっと見すぎたか……と思ったけど、正直に褒めたら素直に感謝の言葉を返してくれた。
食事中は基本的に食事に集中できるので、それ以外は特に会話もなくもくもくと食べて終わった。
料理の味は見た目に違わず、とてもおいしいものであったし、なんだかんだ夜見と食べるというのも先の発見もあり、楽しかった。
「お料理、おいしかったね」
「ええ、とても」
夜見も料理に満足しているようで二言三言であるが会話しながら部屋の前まで戻ってくると部屋に案内してくれた仲居さんが丁度部屋から出てきた。
「ああ、只今お布団の方敷き終わりましたので」
「ありがとうございます、お料理の方もとてもおいしかったです」
「ご満足いただけたようで何よりです」
仲居さんと会話を交わして部屋に入ろうとすると不意に袖を掴まれる、先ほどのこともあってもう嫌な予感しかしない。
「それと、アレは引き出しの二段目に入ってますから」
「アレってなに!?」
「では、ごゆっくり~」
またしても一方的に耳打ちされ、更にこちらの疑問は無視して仲居さんは去っていった、今度もいい笑顔付きで。
アレってなんだ……?
と思いながら夜見と一緒に部屋に入る。
「これは……」
「……」
確かに布団は敷かれていた、ぴったり二つ横並びに。
あの仲居さん、確信犯だな。
隣にいる夜見はというと何か考え事をしてるのか何も言わずに並んだ布団を見てる。
こうなると先ほどまで上手く意識していなかったものが復活してくる。
「えーっと、とりあえず布団離そうか?」
「…………そうですね」
ドキドキしながらも流石に横並びで寝るわけにもいかないので夜見に提案を投げる。
妙に長い沈黙の後、了承を得るとそれ以上は何も言わずに布団を離し、部屋に置いてあった衝立を真ん中に置く。
ふとこちら側に置いてある棚に目が入る、普通はお茶なりアメニティなりが入れてあるものだ。
「引き出しの二段目……」
あの様子で絶対碌なもの入ってないと思いつつも言われてしまえば気になるので自然に棚の引き出しの二段目に手が伸びる。
そっと引き出しを開けて中を覗くとすぐに閉じる、あの仲居さんめ……
中に入っていたアレとは避妊具、所謂ゴムってやつだった、余計なお世話すぎる。
そんなものを見たものだから余計に変な思考に囚われそうになり、それを振り払うかのように戸棚から離れる。
幸い、衝立のおかげで向こうの様子は見えないし、向こうからこちらの様子も見えない。
「そろそろ、電気消しても大丈夫?」
「…………大丈夫です」
頭をリセットするためにさっさと寝てしまおうと消灯を呼びかけると、一拍子置いて返事が返ってくる。
それ聞き端の机に置いてあったリモコンを操作し、部屋の電気を消す。
「おやすみ」
「……おやすみなさい」
就寝の挨拶をする
先ほどから何か考え事でもしているのか、返事に間が空くが、返ってくるので問題ないだろうと思い、布団に潜る。
「……………………」
電気を消したことでむしろ聴覚が変に集中してしまい中々寝付けない。
シンと静まり返った室内の空気も衝立の向こうから時折聞こえてくる布団が擦れる音を嫌に鮮明にしてしまい、変に意識してしまう。
天井の木目を見つめながら今日一日のことを考え込む。
思えば今日の夜見はいつもと違うところがちょいちょいあったな、ソワソワしてるというか……
あれか、やはり男と二人旅ってのは嫌だったか、いつもは女性がメインの仕事場にいるものな。
彼女は俺のことをどう思っているのか、ただの信頼できる人?それとも……
そもそも俺自身夜見をどう思っているだろうか……
そこまで考えて、思考を止める、思春期の男子中学生じゃあるまいしと考えてたことを無理やり頭の外に押し出すと横向きになって目を瞑る。
しばらくしてようやく少しずつ眠くなってくる、すると不意に隣から布団を剥ぐ音が聞こえる。
眠くなって鈍くなった頭でお手洗いかなと思うと足が畳を擦る音が背中にまで迫る。
未だぼんやりした思考で何かあったかな?と思うと不意に背中が少し涼しくなる。
「失礼します……」
そこで布団を捲られたことに気付いたときには布団の中への侵入を許していた。
その段階になって頭が何が起こったのか理解して一気に頭が冴える。
だがすでに遅く背中にピタっとくっつかれ暖かい感触を感じる。
「えっ、ちょっ、夜見!?」
「突然すみません、しかしどうかこのまま……」
彼女からアクションを起こすということ自体珍しいことと現実離れした状況に思考が追い付かず身動きが取れない。
そんな気持ちを知ってか知らずか夜見は言葉を続ける。
「お話があります、返事はして頂かなくても結構ですが、どうか聞いてください」
「…………」
夜見が珍しくここまで言っているのだから聞かない方が失礼であろう。
体勢はそのままで黙って耳を傾ける。
こちらが聞く姿勢を取ったのかわかったのか話を再開した。
「ありがとうございます……お話ですが……私は千寿さんのことが好き、なんだと思います」
「……!?」
突然の告白にビックリする、夜見が俺のことを好きだって……?
「すみません、正直に言えば……言い切るほど自分の気持ちがわかっているわけではありません、何分、こんな気持ちは初めてなので……」
一言一言を選んで発しているのであろう、途切れ途切れに言葉を紡いでいく夜見。
「千寿さんにはこれまでお世話になってきました、鎌府から紫様に拾われたときも、面倒を見ていただきました、一人であることを苦に思ったことはありませんが、今でもよく助けて頂いてるのは嬉しく思います」
確かに、彼女はあまり前線に出る方でもないから裏方の自分と仕事が重なることというのは他の刀使に比べれば今でもよくあったし、一旦世話を見た間柄、なんだか放っておけず、自分も目に付けば気を向けるようにはしていた。
「本日も、実は道中ずっとドキドキとしていました、千寿さんと近くなる度に感じたことの無い高揚感があって……最初はこれが何なのかわかりませんでした、でもどんどんこの気持ちが大きくなって、こうして離れて寝ることになったとき言いようのない淋しさを感じました、できることならば近くに居たいと……わかりませんが、これが好きということなんだと、思います……」
たどたどしくも、夜見がここまで喋って自分の気持ちを言うことは初めてであった。
思わず途中からは聞き入ってしまっていた、それを言うのに、ここまでしてくれたこと、そしてストレートに自分を好きだと、そう思ってくれていることが嬉しかった。
そう思っているとふっと背にあったぬくもりが離れる。
「黙って聞いて頂いてありがとうございます、私の気持ちを聞いて頂きたかった、それだけですので、失礼しました……」
「……夜見!」
そのまま布団から出ていこうとする夜見。
それを出ていかせまいと彼女の手を掴む、夜見は予想外といった様子で目を見開く。
ここで掴まないともうチャンスはないと思うから。
情けない話で、ここまで言われないと自分の気持ちに気付かない自分自身に腹が立った。そして自分の気持ちだけ捲し立てて逃げるように出ていこうとする夜見にも。
夜見がここまで言ってくれたのにこちらの気持ちを返さないのは失礼だろう。なら思いきり聞いてもらおう。
「待ってくれ、俺も……、俺も君が好きだ」
「え……?」
信じられないといった顔でこちらの顔を見据える夜見、どうやら自分は好かれているという自信はなかったようだ。
「で、でもそれは……」
「言われたからじゃない、勢いでもない、勿論嘘なんかでもない、確かに俺は君が好きなんだ」
初めて見た時からそうだったのかも知れない。
毛先が黒い白髪と、あまり口を開かない静かな雰囲気はとても儚くも美しいと思った。
仕事にも真面目で、自分がみる限りミスをしたところを見たところが無い。
頼まれずともお茶を入れてくれるように他者に気も配れるし、姿勢や立ち居振る舞いも綺麗だ。今日だって箸の使い方に見惚れてしまった。
余り喋らないことと表情を変えないことから何考えてるかわからないと気味悪がる同僚も居た、確かにちょっとわかりづらいところはあるがよく見れば細かな動きに感情を垣間見ることもあるし、時々紅茶やお米の話をすれば饒舌になるくらい好きなものに夢中だし、ときどきはにかんだりする表情はとても可愛いと思う、それに何より気持ちを伝えてくれたことからもわかる、彼女の内心はこんなにも感情豊かだ。
夜見のいいところを思う度更に彼女が好きになっていた。
「しかし、私はあなたの好意を向けられるような資格がありません……」
「どうして?」
こちらからの好意から逃げるように目を伏せながら自分に資格がないと言う夜見、どういうことだろうかと問うてみる。
「私はこれまで自分の目的の為に色々なことをしてきました、死なせないまでも人を切ったこともあります、それに私の身体の中にはノロが、穢れがあります、これらのことは自分で望んだことです、だから後悔はしてません。ですがこんな穢れた身で、こんな私が誰かを好きになったり好意を受けていいわけがないんです……」
「それは……」
「でもこの気持ちを思ってしまったのは本当です、ですから今夜ここで聞いて頂いて、ここだけの話にして終わりです」
目を伏せたままの彼女はここで離してしまうとそのまま消えそうな雰囲気だった。
ノロのことは知っていた、親衛隊の一員と仕事をしたりすれば何度か目にしたことがある、決して口外しないという条件付きではあるが、彼女が自身の腕を切りつけて蝶を生み出すところを。しかし人を切ったことは初耳であった。
そのことに少しビックリして一瞬力が緩むと掴んだ手がスルリと抜けかける、それに気付くと逃がすまいと再び手を掴むと、そのままの勢いで手を引いて抱きしめる。
予想外のことに呆気にとられたのか夜見の身体には力が入って居ないようだった。
「君は俺を好きと言ってくれて、俺も君を好きと言った、君が何をして身体がどうなっていようとそれ自体は関係がない、俺は構わない、ここで終わりなんて寂しいじゃないか……」
「っ!」
そういういって抱く手に力を込めると彼女の身体にに少し力が入ったのを感じる。
夜見の両手がこちらの胸元にきてゆっくりと少しだけ押すようにして身体を離す、同時に彼女はこちらを見上げ潤んだ眼を向ける。
「きっと、後悔します……」
「しない、絶対に」
「こんな私で、よろしいんですか……?」
「君以外考えられない」
揺れる琥珀のような瞳を見据えて彼女の未だ逃げようとする言い訳を正面から取り払っていく。
よくよく考えれば歯の浮く様な台詞であったが、スラスラと口から出てきた。本心からの言葉だったからかもしれない。
その言葉を受けた夜見はもう一度だけ目を伏せるとまたこちらを見つめ返す。
「ありがとう、ございます……」
そう涙を流しながらも微笑んで、ようやく好意を受け取ってくれた。
その輝く瞳から零れる感涙は、まるで月から零れる雫の様で……
そんな幻想的で美しい笑顔に見惚れながらも見つめ合い、気持ちが通じ合った証を立てるかの様に唇を重ねた。
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「ん……むぅ」
「はぁむ……んん」
お互いに顔を傾け、夢中になって貪るように接吻を交わす。
旭は夜見を片手で抱き、片手で後頭部に手を添えて。
夜見は完全に体重を旭に預け、彼の頭を両手で支え。
まるでお互いの存在を口で確認するかのように、限界までキスを続け、息が苦しくなると口を離し、息を吸うと再び唇を重ねる。
「んちゅ…はぁ…んん」
「はぁ……んむぅ」
互いの顔に掛かる吐息が互いの身体を火照らせ、頭がふやけそうになる。
たまらず旭が夜見の咥内へ舌を入れると、瞬間夜見の身体が跳ねる。
「んむぅ!?」
「ん!?大丈夫?」
急いで口を離すと、自分が至らなかったか?なにかやらかしたか?と不安になりすぐに無事かどうか確認をする。
「大丈夫です。えっと、その……気持ちよかったもので……♡」
夜見は顔を真っ赤にして恥ずかしいのか少し目線を外しながえら答える。
そのいじらしさに旭は爆発しそうになる情欲をグッっと堪え、夜見の顔を支えてゆっくりと顔を近づけてキスを再開する。
今度は緩やかに舌を入れると相手もそれを受け入れ、舌を絡めてくる。
「はぁ…んちゅ」
「むぅ♡ふぅ♡チュウ♡」
抱き合って水音を立てながら舌を絡ませ、唾液を、体温を、気持ちを交換しあう。
口の端から溢れ、頬を伝うよだれにも構わず、重ねては放してを繰り返すたび、両者の口や舌は透明な糸で繋がれる。
段々と二人の息が荒くなり、顔は惚け、身体は火照り、思考は最早目の前の相手を求めることしか考えられなくなっていく。
激しく口づけを交わす度少しずつ浴衣がはだけていき、浴衣の隙間から除く柔肌に旭の興奮は更に刺激され、夜見の浴衣を剥がそうと手を伸ばすと夜見が腕を遮り、やんわりと制す。
「自分で、脱ぎます……」
彼女は少々名残惜しむかのように口を離し、頬を赤らめながらそう言と、ゆっくりと浴衣に手を掛け、はだけさせていく。
シュルシュルと衣擦れの音と共に段々と露わになっていく白磁の様な肌と装飾の少ない質素な下着。
続いて着けていたブラのホックを外すとそれまで抑えられていた胸のふくらみが解放され、柔らかそうに弾む。
ショーツの穴に滑らかに足を通すと少し無造作な股間の毛と秘部が現れ、遂に何も纏わず生まれたままの姿になる。
「ど、どうでしょうか、おかしくはないでしょうか……?」
「……ゴクリ」
自己肯定感が低いのか少し恥ずかしさと恐れが入り混じったかのように少しオドオドして問う。
窓から入り込む少し青みを帯びた月明かりは、夜見の白くきめ細かい透明感のある肌を柔らかく照らし、幻想的で、まるで芸術品の様なその美しさに旭は見惚れてしまい思わず息を飲んだ。
「しょ、しょしぃ……」
マジマジと見られ羞恥心から思わず故郷の方言が小さく出てしまう。
そんな口元を赤面して抑えた夜見を見て旭は我に返る。
「ああ、おかしくなんてないよ。とっても……綺麗だ……」
「あっ♡ん……♡」
その姿に釘付けになりつつもゆっくりと柔肌に触れ、全身を撫でまわしていく。
触れられたところから全身に甘い電流が流れるような感覚に襲われ、夜見はピクリと小さく身を震わせながら軽く声が漏れる。
「ふぅん♡んんっ……!」
その甘い声をもっと聞きたくなった旭は夜見を抱き寄せ、背から手を回し愛撫を続ける。
更には手持無沙汰になってしまった口を首元へもっていき鎖骨や首元を舐るとビクッっと身体が跳ね、声が上がる。
太もも、鼠径部、浮き出た肋骨となぞるように撫でる、徐々に手の位置を上げていき遂に胸元の双丘にたどり着く。
小玉のスイカ程はあろうかというサイズのたわわに実ったそのふくらみは支えを失い自重で下部に垂れ、見ているだけで柔らかいとわかる。
恐る恐る旭の指が胸に触れると見た目に違わず重みがありつつもまるでつきたての餅の様に柔らかく、小さく反発を返しながらも触れる指が沈み込む。
胸を揉むと更に漏れる声が大きくなり、思わず片手の甲を口に当て声を抑える夜見。
そんななけなしの抵抗を崩すかのように手は双丘を上り、頭頂部の初々しいピンクの突起にたどり着く。
瑞々しい果実のようなその乳首をそっと親指と中指で摘まむとまたしても夜見の身体が跳ねる。
頭を相手の顔の横まで持ってくると、そのまま硫黄とシャンプーが混ざった香りのする白い髪を掻き分け、中にある耳に吐息を吹きかけるとそのままはむ。
それでも必死に口を抑え、快楽から逃げるように身をよじる彼女にトドメを刺すかのように更にクニクニと摘まんだ桃色の先端をツマミの様に左右に弄りながら人差し指の腹で撫でるように擦る。愛撫を受けた先端は段々と硬さを帯びていく。
「あっ♡はぁっ♡」
瞬間先ほどよりも大きく身体が跳ね、口元から手が離れる。
抑えが無くなった夜見の口から嬌声が漏れる。
手ごたえを感じた旭はそのまま片方の乳房を揉みながらもうもう片方の乳首の愛撫を続ける。
気持ち強めにつねってみたり、先端を撫でたかと思うと指で弾いたりして緩急をつけた責めに夜見はなすがままになる。
「どう、気持ちいい?」
「わ、わかり、ません……あん♡でも、頭痺れて……んんっ♡」
「自分で弄ったりはしない?」
「んっ♡そういったことは……あっ♡したことは、ありませ、んっ♡」
最早口に手を当てる余裕はなく、旭の首や腕にしがみ付きながら愛撫の快楽に身を震わせながら、湿った艶声を漏らす。
それでも律儀に質問に答える夜見。
そんな姿と自信が初めてであること興奮した旭は愛撫の速度を上げていく。
「はぁ、はぁっ……な、なにかが、昇ってきてっ♡」
「いいよ、そのまま感覚に身を委ねて……」
段々と夜見の息が荒くなっていき、絶頂に近づいていることを察すると旭は優しく耳元で囁きつつ更に胸への愛撫を激しくしていく。
耳にかかる吐息と胸から全身へ走る電流のような快感にゾクゾクと身を震わせながら身を捩る夜見であったが、一際大きく身が跳ねると同時に絶頂を迎えた。
「んん~~~~♡♡♡」
声を上げるのを恐れたのか、瞬間口を手で抑えつつくぐもった絶頂の声を上げると、脱力し、旭にしなだれかかる夜見。
旭は優しく頭を撫でるとさらに彼女の目が蕩け、小さく痙攣しながらも絶え絶えな呼吸を整えようとしている。
「はぁ……はぁ……」
「派手にイッたね、どう?」
「はぁ、ん……よく、わかりません……でも、頭がフワフワして、宙に浮く様な感覚が、しました……」
「気持ちよくなってくれたみたいでよかった、少し休憩しようか」
休憩しようかと抱く腕を解こうとすると腕を掴まれる。
フルフルと少し震えながらも物欲しげな顔で夜見は旭を見る。
「大丈夫、です……」
「でも……」
未だに息を整えている夜見を気遣う旭であったが胸元で頬を上気させ、潤んだ瞳で上目遣いで見てくる夜見にドキッっとする。
「もっと……もっと触れて頂きたいんです、千寿さんに触られると、フワフワして熱くて身体に電流が走る様で、でも胸が温かくなるんです……」
「っ~~~!!」
正に"殺し文句"であった、情事の最中にそんなことを言われて耐えられる男がいるだろうか。
いや、居はしないだろう。
多分に漏れず旭もその言葉にタガが外れたかのように夜見を布団の上に押し倒した。
「あっ……♡」
「そこまで言われたら、止まれないよ?」
「はい……」
了承を得るや否や、キスを交わし激しく愛撫を始める、一旦口を離すと旭は首筋を舐りつつ、全身を撫でまわしていく。
作法も知らない、雄の本能に任せたものであったが、この場合においては最適解であった。
「んむぅ……ちゅう」
「あっ♡はっ♡ふぅっ♡」
全身を巡る愛撫に身を震わせ、喘ぎ声を漏らす夜見。
元々大きな声を上げる性格ではないが、その湿った吐息と声からは感じていることがよくわかる。
段々と旭の手が身体の中心から先端の方へ伸びていき、左手首のあたりへ達したときに指に違和感を感じた。
そこまで滑らかな肌であったおころにに突如にして谷が現れたのである、深さはさほどではないが左手首に無数に刻まれていたその谷の正体は夜見が体内のノロを放出させ蝶の荒魂を作り出すために自分で付けた傷痕であった。
それらは明らかに人の肌には似つかわしくなく、自然に付いたものではないことを物語っていた。
「あっ……」
その傷に旭の指が触れたとたん夜見はすっと左手を胸元へ引っ込めてしまう。
「どうして引っ込めちゃうんだい?」
「このような傷、見苦しいだけでしょう……そんなものをお見せするのは……」
「……そんなことないよ」
その手を優しく取りつつ旭は優しく諭す。
この傷の由来を知っている。彼女の目的も知っている。何故その目的に行きついたのかまでは知らないけれどその目的の為にこの傷が必要不可欠なものであったのならば見苦しいものなんてものではなく、勲章と言っても過言ではないはずだ、と。
「この傷は君が一生懸命務めを果たしてきた証じゃないか、なら全然見苦しくないんてないよ」
「千寿さん……ッ!?」
そう言うと夜見の手を取り、傷痕を指でなぞると舐める、ゆっくりと傷を癒すかのように。
傷を舐められた瞬間、ゾクゾクとまた違った感覚が彼女の身体を駆け巡る。
「あっ♡舐めちゃ……♡」
「んちゅ……れろぉ」
傷を一つ一つ丁寧に舐め終えるとそのまま彼女の指を舐め始める。
指の間に舌を這わせ先端まで舌でなぞると指をくわえて吸う。
「ちゅう……んちゅ」
「ああっ♡変な、感じです……♡」
ちゅぱちゅぱと水音を鳴らしながらの指を舐めのなんとも言えない背徳感と羞恥心に鋭敏になった感覚がさらに刺激され、舌が沿う度指先を吸われるたびピクピクと身体を震わせる夜見。
旭の舌は指の一本一本を丁寧に舐り、五本すべてを舐め終わると、再び手首の傷痕を舐めつつ根本から胴体へ這っていく。
二の腕、肩口ときて更に首筋へと向かう旭の口と同時に片腕は脇、腰、太ももと徐々に撫でる箇所を下げていき、遂に両脚に挟まれた窪地へと侵入していく、愛撫のおかげか秘部はもう大分湿っていた。
「んっ!♡そこはっ♡」
窪地に手が当たった瞬間、反射的に少し脚を閉じかけるが構わずに少し強引に手を入れる。
最初は優しく掌で窪地を撫で、捏ねまわす。
続いて中指の先から腹でくぼみを撫で、時々その谷間を広げるように撫でてみたりくぼみを押したりして緩急をつけて愛撫する。
その度にピクリと夜見の身体が反応し短い喘ぎ声を漏らし、溢れ出る愛液は旭の指を濡らしていく。
その愛液を潤滑剤代わりにそのまま中指を谷間の更に奥へ挿れる。
「ッン……っああぁ♡」
狭い中を傷つけないようににゆっくりと押し分けて中指の第二関節あたりまで挿れると、関節を曲げてゆっくりと動かす。
クチュクチュと淫猥な水音を立てながら中の壁を押したり引っ込めたりしていると夜見は短く小刻みに喘ぐ。
小さい溜息を吐き出すかのような喘ぎ声であったが、敏感に震える身体と上気した肌、潤んだ眼が旭の愛撫に感じていることを伺わせた。
股座から溢れる体液が旭の掌までを濡らした頃、頃合いと見て慎重に指を抜くと秘部と掌の間に粘液の橋ができる。
「んッ……はぁ♡はぁ♡」
夜見は愛撫によっていよいよ惚けて視点が定まらない目をしつつも、粗い息を整えようとしていた。
一方身体はほんのり赤く色づき、先ほどまで愛撫を受けていた秘部は愛液が溢れている。
旭はそんな夜見の姿を見て辛抱たまらずそそくさと立ち上がり引き出しの二段目を開けて避妊具を取り出す。
あの仲居さんの思惑通りに乗せられているようで正直面白くないとは少し思ったが、今はそれどころではなかった。
箱を開け、ゴムを一つ取り出すと残りを投げるように布団の隅に放ると、包装を少し雑に剥がし下着をおろした。
先ほどまで夜見の艶姿を前に内側から痛いほどに下着を押し返していた怒張が解放される。
「それが……男の人、千寿さんの……」
(あんなに大きいのが、これから私の中に……)
勢いよく跳ね、天井を刺さんかという勢いでそそり立つソレをみて夜見は息を飲む、"そういう行為"についての最低限の知識は持っていたが、いざ実物を見ると予想外の大きさに圧される。
忘れてしまいそうなくらいの記憶の残滓、小さい頃に父親とお風呂に入った時に見たくらいなもので実際に勃起した陰茎を見るのは初めてであった。
そんな彼女の内心を知ってか知らずか、旭は急ぐようにゴムを付けると夜見の脚の間に割り込み、正常位の恰好になる。
股のくぼみとカリの先端がゴム越しに触れると互いの熱にピクリと反応する、旭はもう我慢できないといった風で竿を一回軽く擦り付けるが一旦動きを止め、少し不安げな夜見の瞳を見据える。
「夜見……いい?」
「はい……どうぞ……」
「痛かったら言ってね、いくよ……」
了承を得ると、急いで奥まで貫きたくなる衝動を我慢し、亀頭を秘部にあてがい、ゆっくりと腰を前に出していく。
先ほどの中指よりも太い剛直がゆっくりと閉じていたひだを分け、肉の壁を掻き分け夜見の膣中へ侵入していく。
初めて男を受け入れる膣はやけどするのではないかと思うほどに熱を帯びて旭のモノを包み込み、濡れてはいても痛いほどに締め付ける。
「ふっ、くぅ……挿入って……っ……」
痛みには慣れているつもりであったが、ノロのアンプルを入れるのとも自傷するのとも違った、初めて自分の中に別の生きた物が侵入してくる感覚に枕を掴みながら少し苦しそうに息を吐く夜見。
さらに亀頭と少しを膣内に挿入した時点で旭は腰を止める。
「大丈夫?」
「ふぅ、ふぅ……大丈夫、です……」
心配そうに除く旭に対し、短く息を吐きながら心配ないと汗を浮かべた顔で気丈に振る舞う夜見。
そんな彼女を落ち着かせるかのようにの頬を一撫ですると段々と呼吸も落ち着いくていく、少し余裕が戻ったのを確認し再び動き始める。
更に少し腰を前にやると夜見の顔が少し歪む、同時に膜を破る感覚と共に竿に鮮血が伝う、彼女が"大人の女性"に成った瞬間であった。
初物を頂いたことに妙な高揚感を覚えながらも急がず少しずつ両者の腰の距離を縮めていき、ついにその距離が0になった。
「これで、全部挿入ったよ、痛くないかい?」
「はぁ……んん……はい、少し、ジンジンして……何か変な感じです……でも」
一拍子挟んで夜見が続ける、
「でもこれで、貴方を受け入れることができたんですね……」
「夜見……」
まだ少し余裕がなさそうな顔をしているものの、痛みに慣れてきたのか旭の首に手を回し、少し恍惚とした表情で微笑む。
それは好きな相手を受け入れ、一つになれたことに対する喜びであった。
そんな愛らしい彼女に応えるように旭は自分の唇を彼女の唇に重ねた。
「んん、ちゅ……動いてもいい?」
「ぷぁ♡はい」
今度は腰を少しずつ引いていく、始めて故にまだキツイ中は旭のモノを離すまいとするかのように熱くうねる。
強く締め付けてくる快楽に耐えながらも抜けてしまう手前まで腰を引くと再び腰を前に動かし肉の芯を膣中に押し入れる。
再び熱さと圧迫感に包まれ、旭のモノに強い性感を与える、夜見も余裕が出てきたようで声にに湿り気が帯びてくる。
再度最奥を亀頭の先端で小突くと、また引き始める、ゆっくりと、だが大きなストロークは着実に二人の感覚を高めていく。
「はぁ、はぁ……夜見、どうだい?」
「ふぅ……あ、ん♡段々、気持ちよく、なって……んあぁ♡きました」
「じゃあ……もうちょっと早くして、いい?」
「はぁ、んん……♡お願いします♡」
高まる興奮に耐え切れなくなった旭は断わりを得てから腰の動きを早くしていく。
大きく息を吐きながらピストンするとパンパンと肌のぶつかり合う乾いた音が響き、夜見の喘ぎ声が大きくなっていく。
「んっ、ふぅ!」
「やぁ♡……んっ♡ッふかいィッ♡あぁ♡」
激しくなっていく抽送に夜見の身体が揺れ、同時に胸の大きなふくらみも弾む、その様子に視覚的な興奮を刺激された旭は思わずその先端、桃色の突起にむしゃぶりつく。
「むぅ、じゅる!ちゅぅ……!」
「あっ!あぁ!!♡ダメ、ダメですぅ!♡胸も同時なんてッ♡♡」
完全に予想外の出来事に夜見は目を見開く、胸を愛撫されながらの抽送は想像絶する快感をもたらし、溢れる衝動にすがりつくように旭に抱き着き、足は自然と腰に回っていた。
抱き着かれ顔が胸に押し付けられた格好になった旭は構わず胸を口で愛撫し、乳輪の周りを舌で沿うように舐めたり、乳首を吸ったり甘噛みしたりと思うままに舐る。
永遠に互いを貪って居たいと思えるほどの快楽であったが指数関数的に昇り詰めていく二人の感覚がそろそろ限界だと知らせる。
「じゅぅっ、はぁ……そろそろ、イキそう……」
「んあぁ!♡わたっしも……ふぅ、んッ♡イキそう、です……ひぁっ!♡♡」
限界に近づくに連れ段々と早くなっていく腰の動きが早くなり、抱き着く腕の力が強くなる。
痛くなるのも構わず互いを抱きしめ合い、更にピストンにスパートをかけ、限界の時を迎えた。
「うあっ!うぅっ……ふぅ……」
「んあぁっ!……あ、熱い♡」
ドプドプと射精の音が聞こえそうな勢いでゴム越しに怒張から噴き出たマグマが膣内に叩きつけられ、その感覚と熱さに夜見は震える。
絶頂した痙攣と連動するかのように中の壁がうねり、竿の中に残った精液すら搾り取ろうとする。
「うっ、くうぅ……」
「ふぁ♡ま、あん♡まだ出て……ッ」
「ふぅ……」
「はぁーっ♡はぁーっ♡」
旭は何回かゆっくりと腰を前後し、残りも出し切るとゆっくりとモノを引きぬく。
夜見はいまだに肩で息をして時々ピクリと余韻に震えていた。
幾条もの愛液の糸を纏いながら引っ張りだされた竿の先端には精液が溜まりゴムを押し広げて水風船のように垂れさがっていた。
一息つくと旭はそんなコンドームを外すと口をしばって端へ放った。
息も絶え絶えな夜見を横目に旭も横たわろうとする。
瞬間旭の視界が反転し布団を見やってたはずが天井が視界に入る、緩い背中の痛みと共に押し倒されたことに気付くのにはそう時間はかからなかった。
視線を少し落とすと、いつの間にか回復した夜見が未だ少し荒い息のまま腹の上に馬乗りになっていた。
そんな状況でも射精後の脱力感からか旭は流石は刀使、体力があるな、などと変に冷静に感心していた。
「よ、夜見……?」
「はぁ、はぁ……ん、まだ、です……もっと、あなたが欲しい、感じさせて……んむぅ」
言うが早いか身を重ねて旭の唇を塞ぐ夜見。
胸や腹で感じる柔らかな肌の触感と唇で感じる発情しきった吐息とキスの感覚、そしてなにより普段からは考えられないような夜見の淫猥な仕草に萎えていた肉棒がすぐに息を吹き返す。
尻に当たるソレに気付いたのか、キスをしながら股を擦りつけられ、さらに硬さを増す。
「ん、ちゅぅ、ぷぁ、夜見、挿入れるならゴムを……」
「じゅるぅ♡むぁ……そう、ですね」
そういうともっと触れていたかったのか少し躊躇いがちに身体を離すと隅に放ってあったコンドームを一個取る。
包装を開けると当たり前だが慣れていない手つきで恐る恐る旭のペニスにコンドームを被せる。
そして腰を上げると脚と脚の間、愛液滴る股座に怒張を迎え入れる形を取る、騎乗位の体勢だ。
「今度は……私が、動きます……」
「ん……わかった」
それでも未だ少し不安があるのか旭の腹の上に手を置き恐る恐る腰を落としていく夜見。
そして遂にくぼみに先端が当たり、開かれた秘部は徐々に芯を飲み込んでいく。
「ふぅん♡っくぅ……」
小さく声を漏らしながら更に徐々に腰を落とし、竿は根本まで飲み込まれた。
それに安堵したのか脱力した瞬間、更に腰が落ち、夜見を男根が突き上げる。
「ひぐぅ!お、奥にぃ……んうぅ♡届くぅッ」
「うあぁ、凄っ……」
お互いにとって思わぬ不意打ちとなったが、間もなく快楽に変換された。
「ふぅ♡では、動きます……」
「あぁ、夜見……」
自然と手を取り合い、指と指の間に互いの指を滑り込ませぎゅっと握る、俗に言う恋人繋ぎだ。
そして腰を浮かせてはまた落とす、それを繰り返す度に夜見の胸は弾み、しゃっくりの様な喘ぎ声と共に脚の付け根に当たる尻の肉が歪に変形する。
そして溢れた愛液が接合部と腰に粘性の橋をいくつも作り出し腰が打ち付け合う音と共にヌチョヌチョと湿った水音を立てるのが更なる興奮を掻き立てる。
「はぁ♡ふぅん♡千寿、さん、あッ♡気持ちいい……んぅ♡ですか?」
「あぁ、はぁ……とってもいいよ、夜見は……?」
「っぅぁ……私も、ああぁっ♡気持ち、いい……ですッ」
最早機械のように何度も何度も夜見の身体は跳ね、動きは更に早くなっていく。
しかし喘ぎ声と共に発せられる息遣いと強く握られた手と繋がった部分から伝わる体温とが確かに彼女の命を実感させる。
「夜見ッ、そろそろ……!」
「はぁ♡はぁッ!♡わッたしもッ!あっ♡あっ♡イキますッ!」
溜まらず旭も下から夜見を突き上げ、腰の動きを早め昇り詰めていく二人、そして2度目の絶頂の時を迎える。
「うっ……あぁ!」
「イック!んあぁ!♡あっ、あぁ……♡」
二度目というに射精の勢いは全く衰えず、膣中で発射される。
薄い膜を隔てた向こうで猛り狂う精の濁流を感じながら夜見は脱力し、旭の上に覆いかぶさる。
「はぁ、はぁ……」
「ふぅーっ♡ふぅーっ♡」
この体勢では耳元で吐かれる息と共に押し付けられ膨らんでは萎みを繰り替えす彼女の胸が荒い息遣いを旭に感じさせた。
少し時間をおいて息を整えた二人は自然と顔を合わせて見つめ合う、窓から入り込む月明かりが互いの顔を映し出した。
「夜見……」
「千寿さん……」
互いの名前を呟き、存在を確認しあうともう何度目かも忘れた口づけを交わした。
それから愛し合う二人は理性のタガが外れたかのように盛り、ゴムが切れ、体力も尽きるまで互いを求め合った……
・----------------------------------・
「…………」
ふと意識が覚醒してしまい、ゆっくりと目を開ける。
部屋の暗さと入り込む月の光が未だ夜中であることを告げる。
いつの間にか寝てしまっていたのかと思うと同時に少し不安に駆られる。
今までのは全て自分の分不相応な欲が生み出した泡沫の夢だったのでは……?
しかし自身が何も身に纏っていないことと隣にいる彼の体温を感じたことですぐに夢では無かったことを実感する。
「すぅー、すぅー……」
そんな彼、千寿さんは静かに寝息を立てている。
夢では無かったこと、久方ぶりに他人と並んで寝る温もりに安堵する。
もっと彼を感じたいと思い、彼の腕に自分の片腕を絡ませ、もう片方を相手の胸に重ねて身体を密着させる。
千寿さんの体温を感じ、自身の身体に流れ込み、自然と心までもが温かくなる感じがする。
先ほどまでもそうだし今もそう彼と触れ合っている部分はどうしようもなく熱くなり、熱が心に流れ込んでくる。
彼がくれる、私の心を一杯に満たしてくれるこの温もりを無くしたくは無い……
そう思い、より身体を密着させ、引き寄せるようにして再び瞼を閉じる。
暖かく、満ち足りた気持ちで……
窓の外では満月が柔らかい光を放っていた
ありがとうございました!
次回も恐らく夜見編になるかなと思います
また、感想・コメント・意見等々も励みや参考になりますので、くだされば幸いです。
よろしくお願いします。