※この作品はR-18です。

砕けよわが妖精   作:伊土 讃阿

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【落ち着いた雰囲気のバーもございます】

 

 

 

 昨日はひどい目にあった……あんなの、ほとんど拷問だった。何度も、本気で死ぬかとおもった。

 

 でも、からだの疲労はこれっぽっちもなかった。あんなにあちこちめちゃくちゃにいじくりたおされたのに、炎症ひとつないみたい。

 

 むしろ、極上のマッサージをしてもらったあとみたいに、すがすがしいくらい。

 

 サンの腕がやっぱりよかったのか、あるいは夢だったのかも、ともおもったけど――CPに入ってた英姉妹からのメッセージを見て、現実だったって、さとった。

 

『メイ、生きてるー?

 昨日の見てたよー! すごかった!

 十回ぐらい心臓マッサージ? されてたけどぶっ壊れてない?笑

 また遊びにおいでよ! ψs』

 

 あたまを抱えて、ごろごろした。

 

 自分のからだどうこうより、あんな痴態を何百人に見られたことの方が、よっぽど問題だった。

 

 とてつもない羞恥と、後悔。枕に顔を押しつけて、おもいっきり叫んだ。

 

 でも――旅の恥はかき捨てと言うし、本来ここにくるようなひととはきっと二度と出会わないだろうし、その点は幸いだったと言うかなんというか――。

 

 ベッドとシャワールームの間を、行ったり来たり。あせったり、ためらったり。

 

 外に出にくいとは言っても、ここにいられるのもあと二日と半日。引きこもってるのは、正直もったいなすぎる、気がする。

 

 どこかひとが少なそうなとこはないかと案内をながめてみる――見つけた。

 

 ちゃんとした服はもってきてなかったけど、えっちな道具とおなじように、個室のクローゼットの服は、自由に使っていいらしい。至れり尽くせり。

 

 シャワーを浴びて、そそくさと準備する。いつもは地味めな化粧も、ちょっぴり気合いを入れて。

 

 

 

 

 

 

 そのバーの名前は、ポールサイドと言うらしい。

 

 店内は薄暗くって、落ち着いたBGMは控えめな音量で。まだ昼なので、窓には夜景の映像が流れてる。シックな雰囲気。

 

 背の低いカウンターにはソファがならんでる。カウンターも奥のテーブル席も、客はほとんどいない。

 

 ……よかった、昼間から呑んだくれるような客層のリゾートじゃなくて――。

 

 隅っこのカウンターにつくと、バーテンがやってきた。一瞬男の人かとおもってぎょっとしたけど、アンドロイドだったから、胸を撫で下ろす。

 

 バーなのにアンドロイドなんて、めずらしい。個人的には、うれしいけど。

 

 とりあえず頼んだマティーニは、清涼感があるのにしっかりした香り。あたしにはなじみのないベルモットをつかってるらしい。なかなかいい。

 

 うしろの方のテーブル席から、二人組ののんびりした話し声が聞こえてくる。

 

「リラクゼーションマシンの話なんだけどねえ、にっちゃん?」

「緊急メンテ中のやつかなあ、げっちゃん?」

「そおそお。さっき前通りかかったときなんだけど、なんか防護服? みたいなの着たスタッフがいたんだよねえ」

「え、なに、こわあ」

「うわさなんだけどねえ、新種の細菌汚染だとかで――」

 

 チャージのキウイを摘まみながら、次はなににしようか、かんがえる。

 

 ここはやっぱり、ギムレットかな――。

 

「ジンが好きなんだね」

 

 お酒で焼けた、低い声。碧い瞳をした白毛の犬が、ふたつ隣の席に座ってた。

 

 しっとりしたダークグレーのシャツ、黒いネクタイ、パンツスタイルのダークスーツ。

 

 背が高く、すらっとしていて、長く伸ばした細い白髪は、うしろでひとつにくくってる。

 

 雰囲気はおとなっぽいのに、顔のつくりは可憐で、妙にあやうい感じ。

 

 歳はみっつも離れてなさそうなのに、年上か年下かわからない。なんか、男の子っぽい。

 

 飲んでるのは、たぶんブランデー。

 

 身なりはいいし、スーツも、腕時計も、靴も高そう。いいとこのお嬢様、なのかな。

 

「ああ、失礼。ずいぶんおいしそうに呑んでて、いまどき珍しく、純粋にお酒を楽しんでるひとだなっておもって、つい」

 

 いたずらっぽいような、無邪気っぽいような笑み。

 

 どきりとして、息が詰まる。

 

「あの……? えと……」

 

 白犬が、しゃべりつづける。

 

「昔、知人に、ジンはライターオイルの味がすると吹きこまれたせいで、ジンは呑まずぎらいなんだけど、実際のとこ、どうなんだい?」

 

 むっとする。ことばが勝手に口を衝いて出る。

 

「……ライターオイルは飲んだことないですけど、そのお知り合いの味覚はおかしいとおもいます」

 

 おもわず、嫌味っぽく、突きはなすように。

 

「それを聞いて安心したよ。もののついで、ではないけど、初心者におすすめのジンのカクテルはどんなのがあるんだい?」

「――え……、えと、ジンバック、とか、トム・コリンズとか……? ロングで……甘すぎないし、くせもないから、たぶん、呑みやすいかと――」

「なるほどね、さっそくためしてみよう」

 

 白犬が、指を鳴らしてアンドロイドを呼んだ――。

 

 白犬は、ペルセって、名乗った。本名じゃなくて、通り名のようなものなんだとか。

 

 医療用の薬草を栽培しているんだとか。なんだかすごく、うさんくさいけど、ひと懐っこく、溌剌としていて、いやな感じはしない、かも。

 

 最初はひとが呑んでるものに、わざわざけちつけるだなんて失礼なやつ、っておもって、むっとしたけど、それ以外は普通にいいひとそう。

 

 話せばわかるいうか、ひとの言うことを鵜呑みにしやすいだけ……、なのかな。

 

 あたしがすすめたものは、素直に全部注文して、おいしいって、言ってくれてる。

 

 なんというか――緊張感のないひと。おかげでこっちも緊張しないで済む。

 

 会話も、はずんだ。馬が合うというより――、ペルセが話を引きだすのがうまいのかも。

 

 だれかと一対一で、こんなに話したことないかも、ってぐらい、盛りあがって、気づけばお酒もがばがばとあけて――。

 

 

 

 

 

 

 どさり、とベッドにたおれこむ。

 

 あつい、あつい――。

 

 熱気を感じる。熱気に、おおいかぶさられてる。

 

 あつい――目を開ける。白犬がのぞきこんでる。

 

 ペルセ。やたらと、ちかい――。

 

「ふぁれ……? ここ、ろこ……?」

 

 ろれつが、まわらない。朦朧としてる。

 

「どこって、わたしの部屋だけど」

「え……? ……? なんで――むぐっ!?」

 

 唇にやわらかくて、あついものが押しつけられる。舌にからみつく。真っ白になる。ぞくぞくする。

 

 あついあついあつい、とけ――。

 

「ぷはっ、なっ、なに、するんですかぁ……」

「なにって、わたしの部屋に来たいっていったのは、メイだろ? こういうことしたかったんじゃないの?」

 

 わからない――おぼえてない――。

 

 ふわふわする。ぞくぞくする。

 

 ……あたし、さそっちゃったの――?

 

 そんなはずはないって、おもう。でも……確信も、ない。

 

 ……もし、さそっちゃったなら――……しかたない、のかも――。

 

 ぞくぞくする。どきどきする――りんりんする。

 

 あたし――あたし、するんだ――会ったばっかりの、ひとと――。

 

 ペルセが、腰の辺りをつかんでくる。

 

 ぞくぞくぞくぞく――ぅ!

 

「――っ!? ――っ、――っ!」

 

 りんっ♥ りんっ♥ りんっ♥

 

 あまりのぞくぞく感に、からだをくの字に折る。

 

 なにこれなにこれなにこれ――!

 

 ぶわって、汗が噴きだす。じゅわって、おなかのなかで、にじむ。

 

 指が、下着を這う。

 

「うわ、すご、もうびしゃびしゃなんだけど。お酒こぼしてたわけじゃないよね?」

「~~~っ!」

 

 はずかしくて、なにも言えない。手で顔をおおう。

 

「一応、たしかめるね」

 

 下着をずらされて、ぬかるみに、指を入れられる。反射的に、のけぞる。おもいっきり指を締めつけてしまう。

 

「あ゙っ♥ あ゙っ♥ あ゙っ♥」

 

 なにこれなにこれなにこれ――!

 

 どうしてこんな感じて――。

 

「う、わ、やけどしそ……ってかどろどろすぎ」

 

 中指がうごく。おなか側をさぐってくる。掻きだすように。

 

「あ゙ーっ♥ あ゙っ♥ んあ゙っ♥」

 

 腰が浮く。必死に、ペルセにしがみつく。

 

「うわ、本気汁すごいんですけど」

 

 ペルセの手のひらに白い粘液がべっとりへばりついているのを、見せつけられる。耳がかっとあつくなる。

 

「いつもこんななの?」

「しっ、しりっ、あっ♥ あっ♥ しりま、あっ♥ あっ♥」

「しゃべれてないし。かわいいな。がっつりイカせちゃお」

「~~~っ♥ ~~~っ♥♥ ~~~っ♥♥♥」

 

 声も、出せない。ただひたすらに、痙攣するしか、できない。

 

 りんっ♥ りんっ♥ りんっ♥

 

 きもちいい、きもちいい、きもちいい――っ!

 

 まひるさんや、英姉妹としたときは、イッてもないのに、ここまで感じること、なかったのに――。

 

 ひょっとして、サンのせい……?

 

 あそこから、ばしゃばしゃなにかをしぶかせながら、立てつづけに三回イク。

 

 どれもふかすぎて、意識が飛び飛びになる、激しい絶頂。

 

「んぎぃっ♥ くひっ♥ んひぃいっ♥ あ゙♥ ああ゙ーっ♥ ――っ♥♥♥」

「ほら、またできてない。イクときは、ちゃんとイクって言いなよ。はい、はじめから」

「……っ♥ ……っ♥ ――っ!♥ あうっ♥ いうっ♥ いうからぁああっ♥♥ んはぁああっ♥ あ゙♥ ぃっく♥ いぐっ♥ いぎますぅっ♥♥」

「はー……、ほんと、かわいいね、メイ。ね、わたしのもさわってよ」

 

 ペルセがパンツスーツを下ろして、なまっちろい肉の――管? をまろびだして、にぎらせてきた。

 

「あつ……っ!? えっ!? これ、おちん――おとこのひと、だったんですか……!?」

「いや、ちがうけど……いや、ちがわない? これは、女同士でこどもをつくる用のペニスで……インタポーザ、知らないの?」

 

 心底、不思議そうな表情のペルセ。

 

「まあいいや。舐めてくれない?」

 

 インタポーザ? を顔に近づけられる。むわっとした臭気の熱が、吹きつける。くらくらする。

 

 けしていい匂いとはいえないはずなのに、その匂いが、鼻孔や、喉の奥に、べとって、へばりついてくると――、どきどきして、ぞくぞくする。

 

 言われたとおりに、舌を這わせる。あつい。舌が火傷しそう。それに、骨が入ってるみたいに、かたい。

 

 ペルセがため息を吐く。目をほそめる。

 

「いいよ、いい子だね、そのままつづけて――」

 

 ……さっき会ったばっかりで、よく知らないひとのここを、こんなことして、言うこと聞かされてるなんて――。

 

 まひるさんや、英姉妹とも会ったばっかりで似たようなことしてたけど――これはちがう気がする。

 

 ひりひりするような、あぶない、気配がする。

 

 でもそれがむしろ――どきどきを、加速させる。

 

 舐めれば舐めるほど、インタポーザがあつく、かたく、おおきく、育ってく。匂いはきつく、くらくらするのに、すんすん鼻を鳴らして、嗅いでしまう。

 

 その出所は、インタポーザの先端から、すこしずつあふれでてる、とろみのある透明な液体。

 

 舐めとってみると、しょっぱくてくせになるというか、やけにどきどきする味。それを、夢中になって舐めていると。

 

「歯を立てないように、くわえてみて」

 

 先端を、口にふくむ。あつい。口蓋がやけどしそう。匂いが口のなかに充満する。

 

 くらくらがつよくなる。ぼうっとしてくる。

 

「そのまま舐めたり、そう、あたまをうごかして、唇でしごく感じで、あー、いいよ」

 

 ペルセに言われたとおりに全部やる。そのつど、どきどきが強まる。おなかが、きゅんきゅんする。

 

 ――りん……っ♥

 

 顎が疲れてくる。じんじんしびれる。唾液が、顎をつたってぼたぼた落ちる。鼻息があらくなる。

 

 りん……っ♥ りん……っ♥

 

「すごいおいしそうにしゃぶるね、メイ。じょうずだし、いやらしすぎるんですけど。ほんとにはじめて? ぜったいあそびまくってるでしょ」

 

 褒められながら、なじられる。

 

 ぞくぞくする。全身が、羞恥で火照る。

 

 ひどいこと言われてるはずなのに、どうしてだか――。

 

 りんっ♥ りんっ♥ りんっ♥

 

 舐めるのを、やめられない。むしろ、いっそう吸いついちゃう。

 

 なにも、考えられない――。

 

 本能に刷り込まれている、衝動のような――。

 

「おっと」

 

 インタポーザを、引きぬかれる。唾液が糸を引く。

 

 インタポーザの代わりに、口のなかが、名残惜しさでいっぱいになる。インタポーザを目で追っちゃう。陶然と、見つめる。

 

 かとおもうと、顔にインタポーザを押しつけられる。べちゃっと自分の唾液で顔がよごれる。

 

 どっどっどっどっどっ――。

 

 これ――、こんなの――。

 

 心臓が張りさけそうなぐらい高鳴る。それに、頬を擦りつける。化粧が落ちるのも気にならない。

 

 もっと舐めたい――、もっと褒めてほしい――、もっと――。

 

「もう、いいよね?」

 

 ペルセの眼光が、ぎらつく。

 

 りんっ♥ りんっ♥ りんっ♥

 

 

 

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