着脱可能な相棒と共に、イキ抜け!女尊男卑世界 作:コメディ希望
僕がテントの入り口に入ると、中にいた四人の女性とは僕の顔を見て表情を顰めた。新たな住居人に僕がカウントされた事への疑問や、それ以外になぜ自分たちだけが助かったのか、訳の分からない事への答えを僕に求めて来るように視線が集中する。
「……嘘、え、どうして木城がここに?」
「紫ちゃん?」
「や、やぁ」
言葉だけは気軽に、いつも通りに返してみる。
普段よりソプラノじみた声に自分でもまだ慣れない。
「木城君、無事だったんだね!」
「他のみんなは?」
「ごめん……僕もよく分からないんだ」
「そう……」
自分の事で精一杯だったので、他人のことなど心配してられないという実情があることなど、隔離された女子に知る由などないだろう。
僕は取り敢えず近況として、あの後どうなったかを話すことにした。
その後手に入れた力でなんとか切り抜けたことや、何故か勘違いされてここへ入れられてることも隠さずに。
「へー大変だったんだ」
そう頷く北条さん。
と言うか、いまだに僕が女子だったらいいなと切望している元凶である。ことあるごとに僕に似合う女性服を見繕い、それを着させようとする迷惑の種なのだ。
彼女はクラスメイトの中でも珍しく僕を好きと言ってくれる子。
が、女装した僕が好きなのであって、男の僕を見てくれた事は一度もない迷惑な奴なのである。
「それで力って?」
「なんかゲーム的なステータス見たいのが見れるんだよ」
「え、そんなのあるの?」
「マジかよ木城、お前適当言ってあたし達を騙そうとしてんじゃねーだろうな?」
僕と北条さんのやりとりに、やや口の悪い言葉が混ざり込む。
井上秋葉。僕の苦手なタイプのクラスメイトだ。
「僕がみんなを騙す必要がどこにあるのさ?」
「そうだよ秋ちゃん、紫ちゃんに謝って!」
「でもこいつ、男なのに女と間違えられたとかどうも胡散臭いし」
「なに言ってるの? 紫ちゃんは昔から女子みたいだよ?」
「そう言い切れるのは美樹くらいだよ」
お熱いこってと手をひらひらとさせる井上。
それを前向きに受け取って、北条さんがでへへと笑った。
だから僕は女装に興味ないって言ってるのに。
しかしそんな僕の言葉が彼女に届く事はなかった。
「でも木城君、無事で良かった」
「ありがとう、そう言ってくれるのは渡合さんだけだよ」
「そんな事ないよ。他の子は照れてるだけだと思うな」
「そうかー?」
「ふふふ」
クラスのマスコットを務める彼女は純真無垢な笑顔で笑いかけてくれる。ああ、彼女こそが僕の心の安らぎ。彼女だけが唯一の癒し。
他は全部クソだと断言できる。それくらいに僕の毎日は息苦しいものだった。
「それで木城君、力の確認法って?」
意を決したような瞳で眼鏡の奥から僕を見つめるように遠野さんが声をかけてくる。
僕はどう言葉をかけて良いのか一瞬迷ったが、遅かれ早かれ知ることになるのだからと包み隠さず言うことにした。
「閲覧と心の中で唱えるだけ。それで見ることができる」
僕の言葉に女子達がそれを確認し、とたんに表情を赤らめた。
「な、ななな……なんなのよこれは!」
「なにって今まで自分がどれだけ性的なことに従事して来たかの回数?」
「そんなの見ればわかるわよ!」
一際大きな声を上げた遠野さん。
しかし瞬間的に僕の解決方法を理解したようだ。
男と女がそれらを使ってなにをするかを深く想像してしまい、恨みがましそうに僕を睨め付ける。
「もしかしてあなた……」
「多分だけど遠野さんの考えてる通り」
「まだなにも言ってないのに変な憶測しないで頂戴!」
生真面目な彼女は眼鏡を曇らせながら、男女のまぐわいに想いを馳せては太腿をこすり合わせる。なんつーかメスの顔だ。非常にそそる。
「あー、遠野さんエッチなこと考えてるでしょ?」
「井上さん、言いがかりはよして下さいません?」
「そんなこと言って、そんなに大きくさせたら勘違いされても仕方ないって」
そう言いながら井上は遠野さんの制服の一部を人差し指で押し込んだ。乳首の膨らんだ場所を的確に捉えて。
くぐもった声を上げる遠野さんの声は勃起ものだ。
その顔にぶっかけてやりたいと妄想を膨らませながら、独立した相棒を床で擦ってやっていると、北条さんが僕の動きに気がついた。
「紫ちゃん、なにやってるの?」
女騎士から貰ったマントをめくり上げ、僕の握っていたものを奪おうとそれを握って持ち上げた。
「みんな、紫ちゃんこんなの隠し持ってた」
「バカ、それは!」
北条さんの掲げたもの。
そこへ女子の視線が突き刺さる。
最初こそ興味の対象として。
次第に理解しつつもガン見して。
「あれ? どうしたのみんな? 顔真っ赤だよ?」
「美樹ー、今手に持ってるのなんだと思う?」
一人理解できない北条さんに、井上が突っ込む。
僕は体育座りをしながら顔面を覆い隠していた。
なんだこれは! 羞恥プレイか!?
恥ずか死ぬ!
「え、なにって……うぇ!?」
「うわ、今気づきましたって顔してるよこの子」
理解した途端に北条さんは僕の相棒を汚い物でも触るように床に放った。ビタン! と横側に強い衝撃を受け、僕の相棒はたまらず達する。
びゅくん、びゅくんと吐精する姿はなんとも哀愁を漂わせている。
女子達はその光景をマジマジとガン見しつつ、男の果てる様を見送った。
その間僕はというと、オスイキの余韻に震えながらメスの兆候のようなものを感じていた。お腹の奥が疼くのだ。何かが降りてくるような感覚とともに、これは気のせいだと思い込むことにした。
床を白濁で汚し切るや否や、僕はそれを奪い取ると顔を真っ赤にして女子を睨め付けた。
「木城、これってお前の?」
「悪いか」
「いや、随分ご立派なんだなーって思ってさ」
井上が無遠慮に問いかけてくる。
僕はそれに怒り心頭で返した。
「でもなんで分離してるの?」
そう、それだ。
北条さんの疑問に、他の女子達も確かにとばかりに疑問符を浮かべる。
「ちょっと確認」
「おい、やめろ、バカ、擽ったいって!」
北条さんの弄り攻撃に僕は抗いながらも声を上げた。
そこで知られてはいけない事実が白日の元に晒されてしまう。
「あ、紫ちゃん女の子になってるね」
「クソ、お前にだけは知られたくなかったのに!」
「えー、なんでー?」
なんでもなにも、自分の内側まで確認と称して突っ込んだ指を、愛おしそうにちゅぱちゅぱ舐めてる女に危機感を覚えないバカはいないと思うんだが?
「木城が女になってるってマジか?」
「心なしか普段の紫ちゃんより声も高いし、内側もしっかり女の子になってた。確かめたから間違いないよ」
「確かめたって美樹さんよぉ〜事もなげに言ってるが、お前相当なことしてるぜ?」
「私はみんなの疑問を晴らすために行動したんだよ?」
「だとしてもやりすぎだっつってんの!」
井上の無慈悲なチョップが北条さんに下される。
あれは痛い。願う事なら食らいたくない。そう思われるダメージが北条さんの頭上へ現れていた。
そのあとようやく気遣うような声が井上からかけられた。
「あー、木城。疑って悪かった。それと、強く生きろ」
「うるさい、バカ。あっちいけ。お前らなんか嫌いだ」
僕は体育座りで女子から距離を取ってうずくまる。
気づけば涙を流していたが、きっと気のせいに違いない。