Target:"1" 作:ニョ
数多の巨人を載せた鋼鉄の方舟が青い星に突き刺さった。金属の骨格と肉体を持つ異星人は、この星にない精密な回路を働かせ彼らの戦争を再開した。
惑星の在来種──地球の知的生命体、人間はこの異常事態に種々の反応を見せざるを得ない。
横溢するエネルギーと高度な技術を取引する国、
彼らを闖入者とし歴史から抹消すべく暗躍する組織、
その多くが、共生か排除の途を辿ろうとしていた。……対立はいつ終わるとも知れない。
*
オレは『イチによる平和の
窓から差す朝日が、眠らない街から蛍光を奪う。
「ったくしょうがねェな……本当によ」
あのツリ目の風俗嬢から連絡がつかなくなって、オレは渋々プランBを実行する羽目になった。イチには投薬を続けるとして、アイツの過去を弄くるのは一旦止めにしないといけねェ。
この一室でイチと密会するのも最後だろう。イチが使い物にならないワケではない。しかし、時期を見直さなくちゃいけねェな。今のアイツは、不安定の上で安定を成り立たせようとしてやがる。
「さぁて、来日した爺さんの根城に向かうとするかね」
ダサいウィッグを手に取って、オレは抗争を戦争に変えようとしている事実に酔い痴れた。武者震いはしない。全てオレの掌に収まっているからだ。
「へへ……見てな、ブリキ人形ども。……」
どんなに道草食わされても、ロマンティックは必ず実現してみせるぜ。必然性なんざブッ潰してな。
*
サイバトロンの一員、バンブルは密入国を果たしていた。彼の蒼い双眸に映るのは、およそ十年ぶりの光景。この島国に棲む人間たちが造り上げた文化を、ビークルモードにて臨む。
「オイラ一人だけど、頑張らなきゃな」
バンブルのメモリーには、コンボイ司令官の命令が刻まれている。
『一部の地球人が、我々の計画を頓挫させるべく極秘裏に動いているとの報告がEDCからあった。バンブル、君は実地で調査してくれ。私たちは軍と連携を取り、君のサポートと情報収集に当る』
潜入の任務には不相応の黄色い車体が、意気揚々と左車線を突き進む。鈍色の角ばった突起が、天に伸びている。バンブルは故郷の金属惑星を想起しながら、そのビルの山々を眺めていた。
「それにしても久し振りだ。ニッポンかぁ」
欲望の都市、新宿を目指し北上する彼はそう独り言ちて、孤独と対峙する勇気をより強めた。
つづく……
本タイトルは「Target: 2006」のパロディです。
本二次創作は殺し屋1の前日譚、およびパラレルの映画版を含みません。