※この作品はR-18です。

Target:"1"   作:ニョ

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第3話

 このお兄さん、なんでオチンチン真っ二つなんだろ?

 

 このマッチョな人、なんで僕をいじめようとしたんだろ?

 

 事情とか、よくわかんないけど……もうこれで最後! やらないって決めたんだ。

 

 でもオジサン、怒るだろうなぁ~~。ウーン、これからどうしよう。あっ、それより早く帰らなきゃ。そしたらシャワー浴びよっと。

 

 

*

 

 

 東京から長野に向かう戦闘機にオレは乗っている。老いぼれと一緒にギュウギュウ詰めなのがちと気になるが、オレの関心はそこより違う場所にある。

 

「アーカビル殿、『コイツ』はどこで手に入れたんで?」

 

「フッ、今のわしは気分がいいのでな。よかろう、教えてやる。このわしが、デストロンの航空参謀をひっ捕らえて洗脳に成功したんじゃ! わしが改良したヒプノチップでな!」

 

 やはりトランスフォーマーか。だがこんなデカブツ、取っ捕まえんのは容易じゃない所業だろう。恐らくこの爺さん──

 

「チャムリーの奴の技術を流用したのだ、フハハハハッ」

 

 思った通り、だな。着々と反トランスフォーマー主義者共は手を組んで組織的になりつつあると言っても過言じゃねェな。

 

「このスタースクリームにはいくら復讐してもし足りんわ、このっ」

 

 コクピットにピッタリ座ったアーカビルの白衣から、鉄の肌が露出していた。コイツが無残な肉体で蘇ったのは、このスタースクリームの所為だとか言っていたな。体の大半を奪われちまってるが、ミンチにでもされたのか?

 

「しかし、本当だろうな? 日本はデストロンとサイバトロンの区別をロクにしておらんから、自衛隊には友軍のサイバトロンだと答えておけば領空侵犯にはならん、というのは」

 

 おいおい、今飛ばしてる最中だってのに心配事かよ……オレは喚かれる前に、白い歯を見せつける。安心させるために。

 

「ヘヘ。ご安心くだせえ。知っての通り、日本人はトランスフォーマー共の玩具を作ったりなんかして推進派を気取っていますが、米国がトランスフォーマーの情報をかなり規制しているようでしてね、だもんで殆どの連中は知る由もないんです。特に日本人は……そして、その『殆どの連中』以外の人間とは、」

 

「皆まで言うな! つまり、わしらの事だろう? わかっておるわい」

 

「ヘヘ……」

 

 こうやってオレが同じ組織であるってのを間接的にアピールし続けんのは悪ィ事じゃねえ。

 

 見たところ、コイツ相当孤独で、しかもマイノリティの思想を持っている。だからこそ、手口が通用するんだ。こういう声高な少数者にはな……おっと、この爺さんは決して声のデカい『無能』じゃねェな。

 

 コイツはオレの計画に必要な大事な『駒』になれるんだからな。

 

「それにしても貴様、食えない奴だな。魂胆が窺えん。なぜわしを助けたのだ? もう13年にもなるのだぞ」

 

「ま、端的に言わせてもらえば、素通りできなかったってトコっすよ」

 

 オレは白髪をわざとらしく掻く。視線は逸らしておく。

 

「ヘッ! いつも似たような返事ばかりしよるわ。そら、もう着くぞ。着陸準備しろスタースクリームめ!」

 

 ざわめく森林に降り立って、スタースクリームはロボットモードに変形した。ロープを降りきらないオレを待たずに、アーカビルの奴はこのデク人形に命令を下したようで、こっちは危うくケツから落下する所だった。

 

「おっとっと」

 

「そこの岩戸に研究所がある、さっさとついてこい」

 

 湿った木の根を踏みながら、オレは黒の手提げを大事に抱えつつスタースクリームの肩に乗ったアーカビルを追う。

 

 

*

 

 

『バンブル、反トランスフォーマー組織と思しき人物が数か月前からニッポンで拉致事件を繰り返しているとの情報が入った。位置を特定したので偵察に向かってくれい。現地にいるEDCもバックアップを取る。気を付けてくれ』

 

 ミニボットの彼は、直近に発生した日本の失踪事件記録をメモリーから出力した。

 

「えーっと……『赤城神社主婦失踪事件』か。1998年の5月……地球時間で三か月前、ね。場所は……グンマ」

 

 深夜、電飾の眩しい歌舞伎町で、バンブルはビークルのままで呟いた。そのドイツ製の車体は、色以上に目立つ格好となってしまっている。

 

「でも、司令官がくれた犯人の居場所は……ナガノの横尾山って位置だ」

 

 見知らぬ土地だけれど、悩んだら動こうという気概のある決断をしたその瞬間、

 

「アニキ、なんか車から声が」

 

 ドレッドで丸顔、細目の男がバンブルに指を差す。その隣で、ギザギザの歯をした口裂け男が世にも悍ましい上目遣いで見遣る。

 

「わァ! あれはニッポンのヤクザかな? そうだ、挨拶してみよっと! トランスフォーム!」

 

 瞬く間にバンブルは、奇妙な機械音とともに四肢と頭部を備えたロボットと化した。田舎者が外国人や黒髪以外の日本人を見るように、無知蒙昧の歩行者は全員バンブルに視線を注ぐ。

 

「ねえねえ、そこの厳ついお二方! ああ、ボクの名前はバンブル! ちょっと教えて欲しい事があるんだけど」

 

 

 

つづく……





またスタースクリーム洗脳ネタ書いてしまいました。お許しくださいメガトロン様!
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