※この作品はR-18です。

淫霊 宮本武蔵   作:タロタロ芋

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第七話『見参♡ドスケべチアリーダー武蔵ちゃん♡』

 

 長い長い戦いの果て、ようやく迎えた五度目のループ。

 ドスケべチアリーダーとしての私の知名度を示す応援ポイントはカンストしていて、もうこれ以上はない状態になっている。

 

 特異点の問題を解決するっていう意味ならばほぼほぼ達成しているわけなんだけど、私の目的はその異変を生み出している性杯を回収することなわけで、その部分に関しては一切手掛かりがない状態だ。

 だけど、こうして応援ポイントを限界まで収集した以上、今回のループでは何かが違っている可能性が高い。

 そう思いながら数十年ぶりのループを経験して初期地点に戻ってきた私は、特異点に蔓延している妙な空気を感じ取ると眉をひそめた。

 

「何、この感じ……?」

 

 上手く言葉にできない妙な感覚。私はこれを知っているような気がするのだが、それが何だったのかが思い出せないでいる。

 しかもループ直後にだけ可能なはずのカルデアとの通信も不可能になっていて、私は増々この状況に対する警戒を強めていった。

 

「とりあえず、町に行ってみましょうか。何かわかるかもしれないし……」

 

 不安を抱えながら移動し、町へと向かう私。

 その間にも高まり続けている妙な感覚への警戒を強めていた私は、見慣れた町に出ると共にその異変に一目で気が付く。

 

「うわ~っ! わ~っ!!」

 

「助けてくれ~っ!!」

 

「なっ!? 何事っ!?」

 

 悲鳴を上げ、阿鼻叫喚の中で逃げ惑う大勢の人、人、人。

 これまでの穏やかで何の事件(痴女が一人活動していたことは除く)も起きなかった特異点で明らかな異変が起きていることを理解した私は、次いでその異変の正体を発見する。

 

「あれは……シャドウサーヴァント!? そんなっ! どうしてここに!?」

 

 シャドウサーヴァント……それはサーヴァントの名を関していて、それに近しい力を持ってはいるが、英霊として召喚されるにあと一歩届かなかった霊体たちに与えられる名称だ。

 出現条件は様々で、一概にこういう形で生み出されるという断言こそできないが、サーヴァントのなり損ないとでもいうべき存在であることは共通している。

 

 その姿は名前が表す通りの漆黒の影、あるいは汚泥で形作られた人型の何か。

 サーヴァントのように宝具は発動できず、意志に関しても持ち合わせていない者の方が多い。

 

 少なくとも今、この町で暴れている三体のシャドウサーヴァントたちには意志というものが存在していないようだ。

 見境なく町を破壊し、家屋や商店を粉砕しながら突き進む英霊のなり損ないたちの姿を目にした私は、これまで感じていた妙な感覚の正体が殺意であったことに気が付く。

 

 かつて剣士として生きていた時に否応なしに感じ続けていたそれが、憎しみと怨嗟に塗れた暴力的な感情と共に無差別に振るわれるそれが、シャドウサーヴァントたちから止めどなく発され続けていることを理解した私であったが、ここでどう動けばいいのかがわからずに身動きができずにいた。

 

(マズい……! あいつらは恐らく、性杯の魔力から生み出されたシャドウサーヴァント。通常の聖杯から誕生した個体よりはずっと弱いけど、ただの人間や淫霊になった私が太刀打ちできる相手じゃない……!!)

 

 私がセイバーの資格を持つサーヴァントだったならば、あの程度の敵は瞬時に斬り捨てることができた。

 うっすらと感じられる魔力の質や量から察するに、あいつらは英霊が相手するならば左程恐ろしい相手ではない。

 

 だが……今の私は剣士(セイバー)クラスの英霊(サーヴァント)ではない、淫乱(ビッチ)クラスの淫霊(エロサーヴァント)だ。

 戦闘能力は消え去り、その全てを性交のための能力に回してしまった今の私は、そんじょそこらの一般人と同じか少し上くらいの力しかないのである。

 

 あのシャドウサーヴァントたちを放置しておくわけにはいかない。

 あいつらを倒さなければ町が破壊され尽くされてしまうだろうし、性杯が生み出した霊体である奴らを粉砕すれば、もしかしたら性杯そのものが内部から出現するかもしれない。

 だが、今の私たちにはあのシャドウサーヴァントたちを倒す方法がないのである。

 

(どうにか、どうにかしなくちゃ……! あいつらに対抗できる可能性があるとしたら、私しかない! 私がみんなを守らなくちゃ!)

 

 腐っても鯛ということわざがあるように、私も快楽堕ちしたとはいえ元は英霊だ。

 淫霊として生まれ変わったとはいえ、ただの人間が戦うよりかは勝率は高いはず。

 

 だけど、どうすればいい? 普通にぶつかっても負けは見えているし、三体を同時に相手取るだけの奇策も思い付かない。

 せめてほんの少しだけでもサーヴァントとしての戦闘能力が戻れば、何か手立てを打ち出せるかもしれないのに……と、歯痒い状況に私が焦燥感を募らせていると――

 

「いたっ! お~い、武蔵ちゃ~んっ!!」

 

「え……? あ、あなたたちはっ!!」

 

 ――背後から聞こえてきた声にはっとして振り向いた私は、私が今まで応援してきた町の人たちが駆け寄って来る様子を目にして息を飲んだ。

 

 無事に大学に合格した元浪人生くん。

 潰れかけだったが見事に軌道修正し順調な経営が続いている水道屋さん。

 万年最下位から脱出し、今や町で大人気の野球チームとなったピストンズの選手たち。

 

 ここまでのループで私に人生を救われ、大きくその運命を変えた男性たちは私を取り囲むや否や、興奮した口調でこんなことを言い始めた。

 

「武蔵ちゃん! 遂にこの日が来たんだね!」

 

「武蔵ちゃんの言ってたことは正しかった! 俺たちも、用意をしてきた甲斐があったよ!」

 

「え? え? な、何? 私、何か言ったっけ?」

 

「覚えていないのかい? 君は毎回、誰かの応援を終えてその人の下を離れる時、言い残してたことがあったじゃないか」

 

「私が、そんなことを……? うっ!?」

 

 覚えのない事柄に困惑していた私は、不意に襲ってきた頭痛に眩暈を覚えて瞳を閉じる。

 その瞬間、脳裏にこれまで見てきた数々の光景を思い浮かばせた私は、瞳を開けると共に呆然とした声で言った。

 

「そうだった……! 私、みんなにお願いしてたんだ……! 私だけのチアリーダー衣装を作ってて、そうお願いしてた!」

 

「そうだよ! いつかその衣装が必要になる時が来るから、その時に俺たちの力を貸してほしいって、武蔵ちゃんはそう言ってた。そして今、その衣装の力が必要になる時がやって来たんだ!」

 

 それは封印されていた記憶。あるいは、ループの直前に私が知らないところで行われていた会話。

 私は毎回、応援を終える際にその対象となった男性たちにドスケべチアリーダーとしての衣装を用意してほしいと伝えてから、時間を戻していたのだと……そのことを思い出した私に対して、彼らは次々と自分が用意した物を差し出してきた。

 

「俺からはこれだ。大した物は作れなかったけど、少しでも武蔵ちゃんの役に立ちたくて……!」

 

 そう言いながら元浪人生くんが差し出したのは、彼お手製のポンポン。

 ゴールドのメッキテープで作られたそれは、私がビニールテープで作った物よりもずっと見栄えが良くて、彼の熱心な想いが込められたものだ。

 

「俺はこんなものを用意した。ドスケべチアリーダーらしく、こいつを使ってくれ」

 

 水道屋さんがくれたのは特製のアナルバイブ。

 私好みの形状をしている上に悪魔の尻尾のような長い飾りが付いているという、淫乱な私にこれ以上なく相応しいアイテムだ。

 

「俺たちからはこいつを! 二人みたいに手作りじゃあないけれど、想いは込めた!!」

 

 そして、ピストンズのみんなはサイズがかなり小さいチアリーダー衣装をプレゼントしてくれた。

 タンクトップ型の上着はおっぱいを隠すどころかちょこんとその上に乗っかる程度の丈しかないし、スカートもミニ過ぎてお尻の三分の一も隠せていない。

 おっぱいもお尻もおまんこも丸見えの恥ずかしい服だけど……ピストンズのみんなからの私に対する様々な感情を感じ取ることができる素晴らしい服だ。

 

「武蔵ちゃんに言われて用意したはいいけど、本当にこんな物がこの状況で役に立つのかい!?」

 

「ええ、立つわ! これであいつらと戦えるようになるっ!! 全部みんなのお陰よ!!」

 

 私の言葉に嘘はない。着々と、あのシャドウサーヴァントたちに対抗する準備は整っている。

 私がこの特異点で与えられたドスケべチアリーダーとしての役目。応援ポイントという知名度を換算した数値。ここに集められた私の衣装。

 それら全てがある事象を呼び起こすためのピースとして集まりつつある今、残る最後のひとかけらを私は欲していた。

 

 この考えが正しければ、おそらくは……と、私が祈るようにして瞳を閉じたその瞬間、町中のテレビや映像を映し出す機械がパッと光を灯す。

 そして、そこに今や内閣総理大臣となった小野町嗣人さんの姿が映し出され、彼は今、危機に瀕している町の住民たちへと必死になって語り掛け始めた。

 

「親愛なる我が故郷に住まう皆さん。今、皆さんが未曽有の危機に瀕していることは知っています。私もそちらに急行している最中で、この国のトップとしてできる限りの手を打つつもりですが……今、町を襲っている脅威に対して、我々が何をできるのかは何もわかっていません」

 

 悲痛な表情でそう語る小野町さんは、なんとなくわかっているのだろう。

 シャドウサーヴァントは、腐っても霊体。英霊のなり損ないである彼らだが、霊体である以上はただの銃や剣などの攻撃は一切通用しない。

 今の人類には、彼らに対抗する手立てはない。それでも今、彼は、愛する町とそこに生きる人々のために何かをしようと必死なのだ。

 

「……皆さんが今、どれだけ苦しい想いをしているかはわかっています。皆さんの苦しみは私の苦しみです。しかし、そんな時だからこそ思い出してください。私たちの町には、私たちが本当に苦しみ、助けを求めている時に駆け付けてくれる、彼(・)女(・)がいるということを……!!」

 

「……!!」

 

 びりびり、ばりばり、と……周囲の魔力が高まっていく。

 これは小野町さんの話を聞いている町の人たちが想いを一つにした結果……彼らの意志の力が奇跡を起こそうとしているのだ。

 

「こんな危機に対して、彼女の力を借りようと思うこと自体が間違っているのかもしれない。けれども、私たちが真に助けを必要としているのなら……彼女は必ず駆け付けてくれるはずです。町の皆さん! 彼女を愛する全ての人たち! 今こそ、その名を共に呼ぶ時ですっ!!」

 

 小野町さんの叫びが、この町を愛する全ての人たちの想いが、奇跡を呼ぶ。

 私たちの足元、この商店街全体に光が広がると共に、魔法陣となったそれが再び収束し、私の足元で眩い輝きを放ち始めたではないか。

 

「……そういうことだったんだね。ここで行われた全ての物事には、ちゃんとした理由があったんだ」

 

 私はここで、ようやく全てを理解した。

 この特異点は、いつか訪れる脅威に対抗するために全てが計算されていたのだと。

 

 性杯はこの世界に迫る脅威を察知し、その対抗策として私を呼び寄せた。

 あのシャドウサーヴァントたちは性杯が生み出したのではない。性杯は、奴らを倒す誰かを求めていたのだ。

 

 本来ならば英霊を召喚したかったところだろうが、そこは性の力を持つ性杯。普通のサーヴァントを脅威に対するカウンターとして呼び寄せることはできなかったのだろう。

 彼が引き寄せることができるのは淫霊のみ。だが、淫霊ではいくら弱くともシャドウサーヴァントには勝つことはできない。

 

 その打開策として性杯が作り上げたシステムこそが、応援ポイントなのだ。

 

 呼び寄せた淫霊宮本武蔵をドスケべチアリーダーとして活動させ、その知名度と人気を徐々に高めていく。

 この町のドスケべチアリーダーから始まって、果ては世界のドスケべチアリーダーにまで成長させることこそが、性杯の目的だった。

 

 その過程で多くの人たちの心に存在が刻まれ、ある種の英雄として名前を覚えられた私は、超特例ながらも資格を有したはずだ。

 つまり私は……この世界において、淫霊でありながら英霊としての資格を持つ超特殊な存在になっているのである。

 

 その状態で私に関する道具……触媒となるチアリーダー衣装を私と関わった人々に用意させ、その拠所として宮本武蔵本人の下に集結させる。

 そして、最後のピースである召喚術式の代わりとして、性杯はこの町の人々の想いを利用することに決めた。

 

 英霊とは、人類を襲う脅威に対する彼らの守護者のような存在。

 今、シャドウサーヴァントたちに襲われて危機に瀕している彼らの純粋無垢な願いは、必ず天に届く。

 

 ……いや、天に届かなくったって関係ない。

 彼らが呼ぼうとしている存在は、今、この場に存在しているのだから。

 

「……感じるよ、みんなの想い。待ってて、今、行くから……!」

 

 ふわりと、みんなが用意してくれた衣装が宙に浮かぶ。

 きらりと、私の周囲で輝く魔法陣が放つ光を強くする。

 

 息を吸って、溜めて、待って……沢山の人の想いが込められた光の中で目を開いた私が前を向いたその瞬間、小野町さんをはじめとする町の人々全員の声が、大きく空に轟いた。

 

「「「「「「ドスケべ応援団の武蔵ちゃ~~んっ! 助けて~~~~~~~っ!!」」」」」」

 

「はいは~いっ♡♡♡ 呼ばれてっ♡ 飛び出てっ♡ 即参上~~~~っ♡ みんなの想いに応えて……ドスケべチアリーダー宮本武蔵っ♡ ここに見参っ♡」 

 

 求める声と、応える声。二つの想いが重なって凄まじい光を生み出す。

 その光に目を焼かれたシャドウサーヴァントたちは顔を覆い、光が消え去るまで待って……ようやく視界を取り戻した次の瞬間、猛烈な勢いで飛来したポンポンを顔面にくらって大きく背後へと吹き飛んでいった。

 

「はああああっ!!」

 

 魔力を込めたポンポンを投擲武器とした私は、二体のシャドウサーヴァントを吹き飛ばすと共に残った一体に向けて突撃する。

 急接近すると共にチアダンスのステップを活かした二連続キックを繰り出し、一発目で股間を、二発目で顎を蹴り飛ばした後、反転してお尻をぷりっ。

 水道屋さんお手製アナルバイブの尻尾部分を肛門の動きで巧みに操り、鞭のように扱って攻撃を繰り出した後、お尻に溜めた魔力をぶつけるようにしてヒップアタックを繰り出す。

 

「う~~っ♡ ボンバーーッ♡」

 

 大きなお尻に大きく吹き飛ばされたシャドウサーヴァントだが、それで終わりじゃあない。

 彼の腹部には私のお尻と同じハートの形をした魔力の跡がくっきりと残っており、それは私の合図一つで大爆発を起こして更なる追撃を生み出した。

 

 予想外の先制攻撃を受け、体勢を崩したシャドウサーヴァントたち。

 その前に姿を現した私は、堂々と今の自分の格好を彼らに見せつけながら不敵に微笑む。

 

「ふぅ……っ♡ あんたたち、悪いけどこれ以上はやらせはしないわ。大好きなこの町と、そこに住むみんなの命は……私が守ってみせるっ!」

 

 サイズの合わないチアガール衣装は全裸よりもむしろ卑猥で、おっぱいもお尻も丸出しのエロエロな格好になっている。

 その状態でニプレスも前張りも剥がし、乳首乳輪おまんこすべてを曝け出している私は、アナルバイブを咥え込んでいるデカケツをも丸出しにしたドスケべチアリーダーの名に相応しい格好をしていた。

 

 これでいい。これがいい。人々が求める、私自身が思い描く、ドスケべチアリーダー宮本武蔵はこれが最高の姿なのだと、そう心の底から思うことができている私は、意志のない怪物たちへとポンポンを握った右手を突き付けると、大声で叫んだ。

 

「『淫乱』クラスエロサーヴァント、宮本武蔵……淫猥に♡ 淫らにっ♡ 舞い乱れさせていただきますっ♡♡♡」

 

 

 

 

 

霊衣獲得

 

宮本武蔵『ドスケベチアリーダー』

 






霊衣『ドスケべチアリーダー』

特異点にて、淫霊としての力を使って長年に渡り大勢の人々を救い続けた武蔵は、この世界にて高い知名度と人気を誇る存在となった。
性杯はその状況を利用し、彼女を再召喚に近しい現象を起こすことでシャドウサーヴァントに対抗可能な淫霊としたのである。

淫霊としての在り方、『淫乱』クラスのエロサーヴァントであることなど、基本的な情報は何も変わっていない。
ただし、今の彼女が戦っているのは『世界のドスケべチアリーダー』が誕生した聖地とでもいうべき場所であり、サーヴァントが持つ『その英霊の名が知れ渡っている場所ではステータスにボーナスが追加される』という特性に則って、彼女の力は大幅に強化されている。

他の場所ではちょっと運動神経がいいだけのエロ雌程度の力しか持たないが、この特異点のこの町に限ってならば、武蔵は英霊をも凌ぐ強力な力を発揮するだろう。
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