「悪いが先に寝る。おやすみ」
「ええ。おやすみなさい」
寝室に入る彼を見送って、私は女性誌に目を移した。
もう日を跨ぎそうな時間だけど、眠気が来ない。
目が冴えてしまってベッドに入ってもつまらないので女性誌を読んで眠くなろうとしていた…。
というのは建前で、本当は千鶴が先に寝るのを待っていた。そして、一人でなにをするつもりだったかというとこれである。
「彼をその気にさせる!上手く彼を誘う方法」
こんなもの、千鶴が一緒にいる時に読めるものではない。
恥ずかしいから。
いやそもそもこれが必要ないのが一番なのだが。
それもこれも千鶴が手を出してこないのが悪い。
切歌から教えてもらったYES/NO枕を使ってみても、
「変な枕だな」
としか言わず、興味を持たずそのまま寝てしまったのだ。
千鶴はたまに、ものを知らない。
まったくもう…。
千鶴とは子供の話をして、彼は子供が欲しくないわけではないということは知っている。
しかし、しかしだ。
手を出さないのだ。
結婚したのに。
別に気にすることなんてないのに。
明日は休日だから別に夜更かししたっていいのに。
もう!
…怒ってもしょうがない。
今はとにかく、向こうにその気がないならその気にさせる方法を知る。
そのための勉強だ。
ふむふむなるほど…えっ///
入念に読み込み、脳内シュミレーションを繰り返すと時刻は一時を過ぎていた。
よし、いざ出陣ッ!
寝室に入りベッドで眠る千鶴の耳元で囁く。
「ち、千鶴~」
「すう…すう…」
「千鶴~」
「すう…」
「…千鶴~!」
「すやぁ…」
マリアは知らなかった。
千鶴は弦十郎による修行により、どんな環境でも眠れるようになったのである。
家で、且つ敵意もない安心出来る環境で寝ている千鶴の睡眠は深いのだ。
「もう!」
もういい!
私も寝てやる!と千鶴の隣に入り込む。
寝る準備はとっくに済ましていたのでこのまま寝ても大丈夫。
だけど…。
つい、さっきまでするつもりでいたから身体がそのつもりでいる。
身体が熱い。
いけないのに。
いけないのに。
右手が、下半身へと這う。
ズボンをくぐった右手が、下着の上から秘部に触れ…。
「ん…」
自然と、声が出た。
いけない、のに…。
千鶴がすぐ隣で寝ているのに、止まらない。
左手は胸を掴み、揉みしだく。
「…ぁ」
声を出してはいけない。
もし、こんなところを千鶴に見られたら恥ずかしさのあまり死んでしまう。
だけど、止まらない。
身体は快楽を求めて止まない。
あぁ、ダメッ!!!
「ん…んぁ…あぁ…!」
…声は、出来る限り抑えた。
だけど、絶頂を迎えた身体の痙攣だけはどうしようもなかった。
自分の身体なのに自分の身体でないよう。
全身電気が走ったような快楽に腰が跳ねる。
「はぁ…はぁ…」
少しして、身体が落ち着くと、隣で寝ている千鶴を横目で見た。
よかった、起きていない。
そもそもさっき耳元で叫んでも起きなかったのだから大丈夫だろう。
…だったら、もう一回ぐらいしても。
最近、溜まってたから仕方ない。
うん、仕方ないと自分を納得させて今度は下着の中に指を伸ばして直に触る。
「んっ…!」
さっきよりも強い快感が身体を走る。
熱を帯びて、かなり濡れている。
終わったら着替えないと…なんて思考はすぐに脳から弾かれ、ルームウェアも下着も脱ぎ捨て自慰に更ける。
気持ちよさから身体をよじって、千鶴に背を向けた。
そして、二度目の絶頂はすぐだった。
「あぁ…ダメ、ダメ、ダメ…あぁ!イッ…」
絶頂の寸前だった。
右腕を掴まれ、身体をがっちりと拘束された。
「なに、してるんだ」
「ち、千鶴…」
どうしよう…。
もう顔が燃えているんじゃないかってほど熱くて、穴があったら入りたいって言葉がまさしくその通りで…。
「千鶴、その、私、私…」
「一人でしてたのか?」
「いつから、気付いてたの…?」
「多分、一回イッたあたり」
半分くらい、見られていた…。
人が寝てる横で自慰する淫乱女だって思われて…。
「邪魔したのは悪かった。けど、隣でこんなことされたら…」
グッと私を抱き寄せると千鶴は私の髪を掻き分けて右耳を舐めはじめて…。
「ちょっ!?千づ…!あっ、それ…ダメぇ…」
鼓膜が、いやらしい舌音で震える。
唾液で濡れた耳に吐息がかけられ、感じてしまう。
「お前、耳弱いよな」
「ぁああ…」
千鶴の低音の声が色気を持って耳を、いや、脳を犯す。
ずっと、聞いていたくなる声…。
「マリア」
名前を呼ばれただけなのに、身体が喜ぶ。
そして千鶴は耳から首筋へと舌を這わせていく。
千鶴の舌は、確実に私の弱いところを攻めていく。
まだ、片手で数える程度の回数しかしていないというのに千鶴は私の性感帯を把握している。
穏やかで、優しい快感に身を委ねる。
だけど、急に激しい快感が身体を走った。
「すごい、固くなってるぞ」
千鶴は私の乳首を弄びながら、そう囁く。
指の腹で先端を優しく撫でたり、急に摘まんでコリコリとしたり…。
「いやぁ…」
「嫌なのか?」
「…嫌じゃ、ない」
彼は優しいが意地悪だ。
嫌じゃないことを知っていながらこんなことを聞いてくる。それに答える私も私だけど…。
「…そういえば、さっきイクとこだったんだよな?」
「そう、だけど…あぁん!」
千鶴の指が、秘部に触れた。
自分の指で触れるより、何倍も気持ちいい。
「ダメ!イキそう!…っあぁぁ!」
…一瞬で、イってしまった。
さっき寸前で止められていたからだと思うけど。それでも千鶴に触れられると自分でするよりも早く達してしまう。
息を整えていると、千鶴は私を仰向けにして優しくキスをした。そして、千鶴は私の身体を指で優しく撫でて…。
「本当に、綺麗な身体をしてるな」
「やめてよ…恥ずかしいじゃない…それより」
身体を起こして、千鶴の服を脱がす。
千鶴は特に抵抗するでもなく、おとなしくしていた。
常夜灯に照らされる、千鶴の身体を見て私も千鶴がしたように千鶴の身体を撫でた。
たくさん。というわけではないが、所々に彼がこれまでの仕事で無茶をしてきた証がある。以前、司令達から聞かされたが千鶴はかなり無茶をする性分で、やれ爆発から民間人を庇っただとか、やれ銃弾飛び交う中、銃弾が掠りながら敵に突っ込んでいったりだとか。最近は鳴りを潜めたがそういうことをする人なのだ。いや、鳴りを潜めたというのは間違いだろう。単にそういう仕事が減ったからで必要とあらば自身を犠牲として任務を遂行するのだろう。
それを思うと、私は彼を抱きしめたくなる衝動に駆られた。
「…好き」
「あぁ、俺もだ」
ぎゅっと抱き締め返す千鶴。
男性らしい力強さで千鶴の存在を感じ取れるから、こうされるのが好きだ。
「千鶴…んっ…」
キスを求める。
目を瞑って待つ。
そして、千鶴の唇は私の頬に触れて…。
「頬っぺたじゃなくてここ!ここにして!」
唇を指差しながら、千鶴に詰め寄るが当の本人は面白がっているのみ。
「悪い。からかいたくなったんだ」
もう…。
それでは気を取り直してもう一度。
目を閉じて、千鶴が私の唇にキスするのを待って…待って…。
…。
……。
………。
「なんでキスしてこないのッ!?」
「すまない。キス顔に見惚れていた」
「…許す」
そういう理由なら仕方ない。
というわけで三度目の正直。
流石に今度はちゃんとキスしてくれるでしょう。
…千鶴の顔を近くに感じる。
少しずつ近付いてきて、キスをされた。
鼻に。
「ちーづーるー?」
「すまない…つい」
「つい!?」
「いや、その、なんだ…可愛いと思ってな」
「…もう!」
可愛いと言われたことが嬉しくてキスをした。
結局、自分からキスをすることになったが関係なかった。
唇が離れたら、千鶴の方から逃がさないと唇を重ねられ、ベッドに倒されて口の中を弄ばれる。
千鶴の舌が絡みついて離さない。
そして、千鶴の舌は口から首筋。首筋から乳房、乳首を責めて、お腹をなぞり、秘部へと至って…。
「あぁ…そこ、いい…」
的確に、陰核を責める千鶴。
舐め回し、陰核を押し潰すように舐め上げられた瞬間、強い快感に襲われ身を捩った。
「それ…それいい!あぁっ!」
また、すぐにイッてしまった。
だけど千鶴の責めは止まらない。
気持ちいいのが止まらなくて…頭が、どうにかなっちゃいそうで…。
「もう、ダメ…ダメだから…!イクッ!!!」
そう言っても千鶴は止まらず、再び絶頂を迎える。
息を整えているとようやく、秘部から千鶴が離れた。
口の周りを拭って、私の様子を窺い見ている。
「毛がないから舐めやすくていいな」
「ダメって言ったのに…」
「本当にダメだったのか?」
「うぅ…ダメじゃない、けど…」
恥ずかしくて、口を閉じてしまった。
いま思っていることを口に出すのはとても恥ずかしくて、言い出せなかった。
「どうした?言いたいことがあるなら言え」
察して千鶴はそう言うが…。
千鶴は恐らく、私の言いたいことを分かっている。
分かっているが、私の口から言わせようとしてくる。
千鶴はとっても、とっても意地悪だ。
だけど、そんな千鶴が好きだから…。
「…挿れて?」
恥ずかしくて顔が燃えているようだ。
いや、恥ずかしいだけではなくて興奮もしている。
今の私は、千鶴の手のひらの上にいる。そう思うと、とても興奮してしまって…。
「分かった」
千鶴はズボンとパンツを脱いで、それが露となる。
大きく屹立したそれを見ると、千鶴も興奮してくれていたのだと嬉しくて、それと同時になんだかもう挿れてしまうのもちょっと早い気がして…。
ようするに、千鶴を気持ちよくさせてあげたくなった。さっきから自分ばっかり気持ちよくなってるのは申し訳なくて…。
「千鶴、ちょっと寝て」
「ん…」
意外と素直に私の言うことを聞いて、千鶴は横になって今度は私が身体を起こした。
千鶴に足を開いてもらって足と足の間に入り、勃起した千鶴のものに手を添えて先をチロリと舐めた。
千鶴を見ると、顔色ひとつ変えていない。
…ちょっと、火がついてしまった。
一気に奥まで咥えて、責める。
普段ではとても出せないようないやらしい音を響かせ、とにかく責める。
「…やらしい奴」
誰のせいだ。
千鶴だってさっき私のを舐めたくせに。
余計に火がついて責めは加速する。
口だけでなく、手も使っていく。舐めて、擦って…すると、千鶴の呼吸が少し荒くなった。
千鶴も、気持ちよくなってる…!
そのことが嬉しくて、もっと気持ちよくなってもらいたくて責める。
千鶴の感じてる顔が普段は見られない妖艶さを醸し出して、私をもっと興奮させる。
「ふふ…かわいい」
「うるさい…」
強がっても身体は正直で、千鶴の性器が口の中でビクと蠢く。
たまには私から責めてもいいかもしれない。
舐めるのを続けると、千鶴が頭に手を乗せて撫でてきた。単純だけど褒められてるようで嬉しいし、気持ちいい。
「マリア、そろそろ…」
「なに?イッてもいいわよ」
「いや…」
身体を起こして、私を抱き寄せた千鶴は耳元でこう囁いた。
「お前の中で、果てたい…」
千鶴の正直な欲求を聞かされて、心が弾んだ。
こうやって求められることが嬉しくて、嬉しくて…。
「うん、来て…」
ベッドに寝て、千鶴を招く。
千鶴は自分のものを私の秘部へとあてがい、擦り付けるようにして再び陰核を責める。
だけどそれはすぐに終わり、千鶴の性器が私の中へと入ってきた。
「ん…あぁぁ…入っ、た…」
意外な程にすんなりと奥まで入った。
それだけ濡れていたということに若干の恥ずかしさを覚えつつも、千鶴と繋がれたことが嬉しかった。
最初の頃はいまいち勝手が分からず痛かったりしたけれど今日は大丈夫…。
挿れた千鶴は上から私を見下ろすと、身体を密着させてきた。
千鶴の体温がとても心地よくて、幸せに満たされる。
入ってるだけでも気持ちよくて、千鶴の熱も気持ちよくて、大好きな人と結ばれるって、なんて幸せなんだろう…。
「マリア…」
千鶴の顔がすぐ目の前にある。
満足そうで、だけどどこか切ない顔で…。
「千鶴、動いて…」
「分かった…」
ゆっくりと、腰を動かし始める。
引き抜かれそうになると、突かれて…最初はゆっくり。
私の様子を見ながら、千鶴は動く。
「痛くないか?」
「大丈夫…もっと、激しくして…!」
私の言葉に千鶴は行動で反応した。
少しずつペースを上げていって、それと同時に肉と肉のぶつかり合う小気味良い音のボリュームも大きくなって、リズミカルに刻まれていく。
「あ、あ、あ、あぁぁぁぁ…!奥まで…!奥突かれて…そこ、いいの!もっと突いてぇ!」
「いい声だな…。もっと聞かせてくれ」
そこから千鶴を責めかたを変えた。
私の腰を持ち上げて、膝で支えるようにすると私の腰が浮くような形になって、千鶴のがもっと奥まで届いて…。
「あっ!あぁ!激しい!!!それいい!もっとしてぇ!」
もう、何も考えられない。
快楽の波が思考と理性を奪って、本能のままに千鶴を求める。
他の誰でもない。
私の、千鶴…。
「マリア…」
「千鶴…」
見つめ合って、名前を呼び合って、求め合って。
どことなく、性的なことを遠ざけていた私だったけれど、好きな人とすることは、とても綺麗な事だと思う。
無理矢理なんて事はなく、お互いがそうしたいと思うからとても綺麗で、幸せで。
そうして繋がって、ひとつになって、相手をもっと好きになる…。
「マリ、ア…」
「千鶴…私もきちゃいそう…一緒に、イキましょう…」
千鶴はラストスパートをかけた。
激しい快楽は更に激しく私を蕩けさせる。
「マリア…
「うん!
私がイクと同時に、中に千鶴の精が吐き出された。
熱を帯びていて、中がとても熱い…。
私は多幸感から動けなくて、千鶴はイッて少し力が抜けたのか私に覆い被さるように倒れ込んだ。
お互い、汗で湿った身体がくっついてベタつくけど構わなかった。
「今までで、一番良かった」
「あぁ。俺も、そう思う」
穏やかな声音で話した。
私の上で寝る千鶴の頭を撫でて、ピロートークが始まった。
「まさか、寝てる横で自慰をされるとは思わなかった」
「う…だって、千鶴が全然してくれないから…」
そう、元はと言えば結婚したというのにあまり手を出してこない千鶴が悪い。妻を欲求不満にさせた千鶴が悪い。
そう結論付けて腹をたてると、千鶴が私の上からどいて私の隣にやって来た。
腕を横に伸ばしたので腕枕されると、その手で私の髪を撫でながら千鶴は語り始めた。
「…あまり求めすぎると罰が当たりそうでな。幸せになったら、そのあと酷い目に合うんじゃないかとびくびくしていた」
冗談ぽく。だけど、ちょっとは本当に思っているだろうことを千鶴は口にした。
ふふ。
ばーか。
「いいのよ。求められないと女としての魅力がないんじゃないかって不安になるし。私もしたいし。それに…どんな不幸が待ってたって、それに負けないくらい幸せになればいいじゃない」
「…ああ、そうだな。お前には敵わないな」
「そうでしょう?…さあ、シャワーを浴びましょう。汗かいたでしょ?」
「だな」
起き上がり、シャワーを浴びに風呂場へ行こうとして…千鶴にお姫様抱っこされた。
「ちょっと…歩けるからいいわよ…」
お姫様抱っこは慣れない。
これまでの人生でされたことがなかったのと、なんだか無性に恥ずかしくなるからだ。
「夫婦だからいいだろう?それに、求めていいと言ったのはお前だ」
「それはそうだけど…まさか、その、えっと…お風呂で?」
「駄目か?」
「…ダメじゃない///」
このあと、互いの身体を洗うまでは良かったけどそこからは私はされるがままでいた。
次こそは千鶴に負けないようにするんだから!!!
皆さんの思ってたものと違ったなら申し訳ない…
これが私のRー18なんだ、許してくれ…
抜けねえよと言われても仕方ない…
本当に、すまない…