白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
(1) ティオナ・ヒリュテは告白したい、誰にも負けないあたしの一途愛
前回までのあらすじ
戦いで傷つき倒れたベルを、ティオナ・ヒリュテは偶然にも発見しこれを助けた。毒に蝕まれ床に伏すベルにティオナは手厚い看護を施すのだが、優しく接する行為は少しずつ形を変え、好奇心はより性的に、気づけばティオナは友人の愛以上の関係を求めだしていった。
その結果、勢いとはいえ二人は男女の営みを交えてしまった。本番こそは避けたが、二人の関係はもう仲睦ましい友人には戻れない。男と女、互いに意識しあい、その解決を得ないまましばしの別れを挟む。
そして、物語は再び動き出す。背中を押され、少女は再び意中の彼と向き合うために、その一歩をまた踏み出した。
〇
ベル・クラネルが傷を負った。今はホームで静養している、その情報は意外というか当たり前と言うべきか、オラリオでは最近の話題の種だ。誰しもが口々に、やれ知っているかと、面白げに語っていたりするぐらいだ。
そこには躍進を続けるベル・クラネルへの嫉妬からのやっかみも含められ、とにかくいい意味でも悪い意味でも、噂はとかく広まっている。
そして、ここで問題なのは、彼が人徳ある人柄で、多くの人間から好かれる少年であるということだ。故に、起きる問題は
「……」
「じゃあ、ベル君もお大事に……また来るのは、難しいかな」
「……ですね、はは」
部屋を去るエイナさん、そして続けざまに今度はシルさん、そしてリューさん、レフィーヤさんにアイズさんに、ヘルメス様とアスフィさん、桜花さんと千草さん、モルドさんボールスさんミアハ様ナァーザさんダフネさんカサンドラさんアイシャさん…………
知り合いが立て続けに、それが過ぎてから今度は初対面の、もしくはちらっと顔を合わしただけの女性冒険者や女神さまと、とにかく色んな人が足を運んできた。少し前に、女性をエスコートするための修行の一環で色んな女性に接する機会があったから、その際に顔を覚えた人とかもいっぱい、うん、それにしても多すぎる。
「皆さんお待ちください、順番通りご案内しますので、整理券の方を、ハイ次の方!」
「ささ、ベル君の快癒を願って、この女神特性じゃが丸君を買っていくといい!!安いよ!!美味しいよ!!揚げたてだよ!!」
「さぁ、あのベル・クラネルが頼りにする、この俺の作った武器だ!! いやぁ、作りすぎた武器が無駄にならなくて済むから良いなぁこれ、ありがたいありがたい!」
「さあ、こちらのお宝は……はい、落札ッ!! ベル様の使用済み枕、3万バリスで落札になりました!!」
随分と繁盛なのか、外からは皆の商売をする声が聞こえてくる。人の波を追い払うのはあきらめ、皆開き直ってこれ幸いと商売的なことをしている。リリに至ってはただの中古品を少し使っただけで僕が愛用していたと触れ込みをつけて、本当に僕には理解できないブランド価値を付けてオークションを開いている始末。
ツッコミたいけど、如何せんまだ本調子でないから声を荒げることはしない。実際、退屈代わりに話し相手が常にいるのは悪くはない、たまに数人目が怖いけど。息を荒げて指をワキワキさせている女性の目の色には背筋が凍ったけど
でも、皆僕を心配して来てくれる。うわさが誇張されて、皆それを本気に受け取り、本心から心配して訪問して来てくれている。だから無下にはしない。寝ている僕の頭を撫でてくれたり、口にする応援の言葉は面はゆいけど気分は良い。
……でも
こんなに知人が来てくれるのに、どうしてかあの人だけがいない。それこそ、ロキファミリアのアイズさんやレフィーヤさんも来てくれたのに、あの人だけは
「……ティオナ、さん」
「ベル、何か言った?」
「……いえ」
数日たって、最初程多くは無いけど、こうして今日も数人知り合いが足を運んでくれる。目の前にいるナァーザさんが最後、もうじき日は暮れる。だから、今日の訪問は終わり、あの人は今日も来なかった。
「……変なベル」
そう言い、優しく慣れたように僕の頭を撫でる。普段は少し意地悪なナァーザさんだけど、やっぱり年上の余裕なのかやさしさが染みわたる。
皆、本当によくしてくれる。だから、この思いはきっと欲張りだ。100人の甘やかしよりも、僕はたった一人を
「……ベル?」
「いえ、少し考え事を……ごめんなさい、今日はもう」
「うん、じゃあ元気で」
別れを告げ、ナァーザさんは部屋を去る。一人残る僕は、ただ一人に思いを寄せる。
……ティオナさん
あの日、リヴィラの宿でのこと、僕は忘れられない。合わせた唇の柔らかさ、抱きしめた温もり、何もかもが鮮烈に記憶に刻まれている。
ずっとベッドの上で悶々とした日々を過ごす。熱で浮かされているのか、それともただの興奮なのか、もう区別もつかない。
会いたい、そう思ってしまえばもう止まらなかった。
……会いたい、ティオナさんに
ティオナさんに、あの綺麗で優しい、とっても魅力的な……お姉さんに
〇
あれから、また日が過ぎてしまった。
彼女の見る先にはドアベルを鳴らすスイッチがある。玄関の前で、褐色肌の女性はどこか落ち着きが無く、手鏡で何度も髪型をチェックし、慣れない化粧が変にみられないか、何度も同じチェックを繰り返し、そしてまた立ち止まる、そんな逡巡を繰り替えす。
「……ッ」
……ジリリリリ
「あ、押しちゃった……うぅ」
いたたまれず、つい勢いでボタンを押した。心臓がドクドクとけたたましく鳴り響く。彼女にとって、今人生で一番の窮地がここにある。意識した異性に会うため、精一杯のおしゃれをしてここまで来た。その姿は誰が見ても、きっと彼女を知る者は別人と間違えることだろう。
誰しもが知る、あのアマゾネス姉妹の片割れで、天真爛漫な暴虐娘の、普段のティオナ・ヒリュテの姿はそこにはないからだ。
「……ふぅ、大丈夫。きっと、変じゃない……はず」
鏡に映る自分の姿を俯瞰で見る。いつものチューブトップとは違う、その服はハイネックのセーター、上半身は全て白の生地に包まれている。褐色の肌と対照的な服、我ながら普段の自分なら絶対着ないであろう服と、内心でティオナは感心してしまっている。
普段の自分とは違う、それこそしおらしい服を、可愛い女の子と思われるような服を求めて、ティオナはレフィーヤの部屋から無断で拝借したのだ。
同じく下も拝借したベルト付きのショートスカート、下着もかわいらしいライムグリーンのショーツを、ブラはサイズが合わない故に諦めた。
露出はかなり平凡な、アマゾネスらしくない清楚な出で立ちは逆に羞恥を感じてしまう。見られることを意識して、着飾る行為をしていることに背中がむずがゆくなる。
……うぅ、落ち着かない!絶対変だって思われちゃう!
決してそんなことは無い、誰しも見れば目を引かれる、その可憐な出で立ちは通行人の視線を何度も集めて来た。今のティオナはしおらしい、まさに清楚な女性の姿そのものだ
だが、古今東西異性に対して張り切っている少女の不安は拭い去れない呪いのようなもの、ティオナは不安を抱えたままドアが開くのを待つ。
ドアベルを鳴らして数十秒、もう出てもおかしくないはず。だが、しかし
「……?」
……ジリリリ!
……ジリリ!ジリリリリ!!
「……もしかして」
留守、そんな言葉が頭をよぎる。
でも聞いた話では彼はまだ静養中で、そしてホームには綺麗なメイドさんが常にいるとか……うん、春姫って人だよね
どこかの機会で、着物越しにそのわかりすぎる豊満な部位を見たのを思い出した。自分と比べ、明らかにたわわな女性は、このホームにはいっぱいいるのだ。
……あたし、パルゥムちゃんにも負けてた。うぅ
自分よりも背の小さいあの子ですら3カップほど上であった、うらやましい
「あ、違う違う……それよりこっちだよね、うん。どうしよっか」
胸の話で思考が明後日の方向に飛んでしまった。パシッと頬を叩き、今一度このドアに向き合う。いないのであれば、留守なら帰るべきか。でも、まだ彼が完治したとの報告は受けていない。いるかもしれない、そう考えた時ティオナの手はドアノブを握り、そして
「!」
……開いた、鍵が閉まってない
開く、ドアを開ければそこは玄関ホールで、でも人の気配はない。不用心な締め忘れか、それとも全員外出か
「……ッ」
ここは他派閥のホーム、無断で入ったとなれば、それはきっと大きな問題になる。
いけないこと、ルールを破っていることの自覚はある。しかし、それでもこの歩みは止まらなかった。
……上、かな?
部屋の場所も知らない。ただ目のまえにあった階段を上り、部屋のある場所をとにかく巡る。知らない家、入ったのも今日が初めて。でも、どうしてか、その歩みに迷いはない。ティオナが進む先、それは偶然か、それとも運命か
『ベル・クラネルの部屋』
「……うん、やっぱり」
ドアを開けるまでもなく、ティオナは感じ取った。
部屋の中には一人、静かにベッドで眠る彼がいた。風がカーテンを揺らし、癖のある髪が穂のようにゆれる。見ているだけで和んでしまう、そんな愛らしい少年の寝顔がそこにはあった。
静かに近づき、ベッドの横に膝をつく。静かに、ただ見ているだけというにはいかない。優しく前髪を払い、そのまま頭を撫でてしまった。
「……」
表情が柔らかくなる。撫でられる行為に、彼は意識が無くとも反応を示す。ティオナの中で、何かが揺れ動く。静かに眠るベルを見ているだけで、自分の感情がどうにも治まらなくなるのを感じた。
薄暗いリヴィラの時とは違う、優しい日光に照らされたその顔を、皴一つない綺麗な唇と肌を見て思わず息をのむ。ティオナの瞳は艶を灯し、自然と体は前に
……アルゴノゥトくん、また会えたね
「……んっ」
額に近づき、閉じた唇をそっと下す。理由は無い、ただそうしたくて仕方なかった。
キスはもうしたはずなのに、空いた期間が唇の切なさをより感じさせる。唇で触れるだけの行為が、たまらなく心を潤して満たしてくれる。だが、しかし
「アルゴノゥトくん、いいよね……ん、しょ」
我慢ができない。淡いキスだけで一日千秋の渇きはまだ満たされない。満たされれば満たされるほどに、心の渇きも並行して増してしまう。
あの時、リヴィラで経たことを想い、ティオナは行動を起こす。故に、次の行動は
「……」
「起きないよね、起きてもいいけど……まだ、もう少し」
ブーツを脱ぎ、ティオナはベルが眠るベッドの中へ入ってしまった。横で軽く身を寄せ、同じ枕に頭を乗せて、そっと胸のあたりを撫でてみる。顔は安らぐから、それが気持ちいのだとわかる。撫でる手に思いがこもる。もっとしてあげたいと、その想いからティオナの心が体を突き動かす。
他人に何かをしてやる、頼られ、甘えられ、求められる行為を、ティオナはしたくて仕方なかった。自分に母性を感じてくれた、唯一の少年の為に、またお姉さんとしての自分を振舞ってみたくなった。
「少しだけ、少しだけだから……ね」
ベルではなく、自分に言い聞かせるようにティオナは繰り返す。伝わる体温を、吐息の音色を、寄り添うことの幸せを感じながら、言葉だけの建前を繰り返えすのだった。
次回に続く
今回はここまで、次回はまた早めにできればいいなぁ
衣装に関してはバレンタイン限定衣装がモチーフ、白のセーターと褐色はマリアージュ、褐色娘はいいぞぉ