※この作品はR-18です。

白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー   作:37級犬築士

188 / 295
投稿遅れました。申し訳ない

前回はベル視点、なので今回は反対です





(5) 遠くて近きは男女の仲、レフィーヤ嬢は打ち解けたい

「!」

 

 息苦しさ、湿り気のこもる不快感、不意に意識は冴え渡る。一秒前の虚空を忘れて、先刻からずっと目を覚ましているように、レフィーヤは状況を確認する。

  

 

……まだ、暗い

 

 

 開きかけた瞼を下ろし、二度目の安眠に落ちようかとも思った。しかし、違和感はあった。

 

 

「?」

 

 

 寝返りができない。それどころか、何かが自分を押さえつけている。

 

 左から巻きこむように、誰かの、腕が

 

 

「!」

 

 

 寝室にはすだれがかかっていた、南から入る陽光は部屋を照らせど、寝室に入るのはかすかな、ほんのかすかな明るみだけだ。

 

 だが、目を凝らし、暗さに慣れてしまえば、次第に理解できてしまう。

 

 抱かれている。だれに、そんなことは明快。

 

 

 この部屋を同じくした相手、ベル・クラネルただ一人

 

 

「へ…………えぇッ」

 

 

 寒気がよぎった。いくら知った相手とは言え、寝床に入った上に、自分に抱き着いているなんて

 

 

 

……なんで、どうしてッ!!

 

 

 理解が追い付かない。初日に、あれだけ人畜無害な様相を見せておいて、こうもすぐに裏の顔を見せるのか、はなはだ理解不能だ

 

 しかし、同時に自分もまたおかしいことにレフィーヤは気づいていない。このような状況、本来であれば叫び声上げてベルに一発食らわしていたはずだ。だが、彼女はただ困惑するばかり、恥ずかしそうに、ただ蹲っているしかしていない

 

 不貞を働かれた、その理由は何故か。まるで何か理由でもあれば、ベル・クラネルが寝床に忍び込む事態を受け入れられるのだと、暗にレフィーヤは示していた。

 

 

「……ッ」

 

 

 拳一つ、彼の胸に手を置いて、そして彼は自分の背中に手を回している。

 

 男の胸元に、顔を預けている態勢。抱きしめられているが、不快さはない。不快なのは、服の締め付けのせいだ

 

 

……あれ、でも結び目

 

 

 指先を伸ばし、着物を結び留める紐に違和感を感じた。

 

 

 

「!!」

 

 

 結び目が違う、その意味とはつまり

 

 

 

……脱がされたの、もしかして

 

 

「え、うそ…………裸、見られた?」

 

 

 

 じっとりと汗が服の下でにじみ出す。肌が敏感に、着物の質感、下着の締め付け、何もかもに反応して気味が悪い

 

 息も荒く、心臓の慟哭が内側で響いて耳に障る。

 

 

 

「……ぁ……ゴク」

 

 

 

 おそるおそる、レフィーヤは服に手をし伸ばした。

 

 お腹に触れ、下着の中に指が入っていく。痴毛の下に在る女の一番大切な場所、そこの割れ目に、指先が

 

 

「んッ……ぁ」

 

 

 感じる声が上がった。こんな状況で性器に触れるのもたいがいだと卑下してしまう。しかしその甲斐あって

 

 

「……よ、よかったぁ」

 

 

 指先が触れた。そこはまだ純潔なままであった。

 

 そうだ、もし破廉恥なことをされたにしては、自分の出で立ちは乱れていない。冷静に立ち返り、レフィーヤは今一度ベルの顔に視線を移す

 

 右手は自分に触れて、抱き寄せている。寝ている癖に、微かに力が入っているのだ。

 

 

……何も、していないのですか?

 

 

 安らいだその顔、起こすのは簡単だが、レフィーヤは不思議とそうしない。

 

 

 

「?」

 

 

 

……なんで、だろう。ベル・クラネルなのに、なんで……わたし

 

 

 

 驚きはした。戸惑い、震え、だが時間が経ってしまえば

 

 

 

……嫌じゃ、ない

 

 

 

「……なん、で」

 

 

 

 包まれている。ベルの腕に抱かれ、彼の胸板に頭を預ける。そんな態勢、そうして得られる温もりがなんとも心地いい。

 

 異性の熱を、私は

 

 

「……変態、すけこまし」

 

 

 悪態だけは吐いてみる。しかし、それだけだ。レフィーヤは動かない。

 

 どうして一緒に寝ているのか、そう考えればこの男はひどい奴と、悪いのはベル・クラネルだと論証できる。なのに、どうしてかそんな当然の思考を抱こうとしない

 

 

「……れ、ふぃ」

 

 

「!」

 

 

 聞こえた。しかし、くぐもった声で、それが寝言だとすぐに気づけた。

 

 手のひらを背中に感じて、吐息がかすかに前髪を撫でる。

 

 

「ぃ…………れ、ふぃ」

 

 

「……」

 

 

 繰り返す。名前を口にして、それでいて先はない。名前を呼んで、それで満足しているのか

 

 そうして、求めるように名を口にして繰り返して、抱きしめることで満たされているのか

 

 ベルは、レフィーヤを抱きしめて、一緒に寝て、ただそれだけで気持ちよく眠っている。

 

「なんで、どうして…………なにがしたいんですか、あなた」

 

 いたずらがしたいなら、破廉恥な悪行をしたいなら、もっと簡単に、それでいてばれない方法もあっただろうに。なのに、そうしていない

 

 いや、むしろ

 

……ちがう、このひと……なにも、して

 

 

「れふぃ…………れふぃ……」

 

 

「……ひゃ、ぁぁ」

 

 

 髪に触れた。背中から後頭部に移って、何度も何度も優しく私の髪を撫で、丁寧に指先で漉いてくる。眠ったまま、力が入っていないせいか、加減が実に心地いい。額を胸板に預けて、レフィーヤは心地よさに息を吐く。

 

「ぁ…………もう、なんでですか」

 

 赤くなる、視界がにじむ。異性に抱きしめられて、頭を撫でられている。失礼極まりない行為を、自分は黙って受け入れて、その上で無抵抗にベルの破廉恥を看過してしまっている

 

 

 

……もう少しだけ、あと少し

 

 

 心臓の音、聞こえる。

 

 

「起きたら、いっぱい怒って……いつもみたいに」

 

 

 

……暖かい

  

 

 自分が目の敵にしてきた異性の温度。嫌じゃないと、むしろ心地いのだとすら思ってしまっている。

 

 眠っているなら、誰も指図しない。気にする必要もない。だから

 

 

 ベル・クラネルに触れて、多少温まるぐらい、何も問題は無い。

 

 

……問題、無い?

 

 

 

「――――ッ」

 

 

……問題、無いわけが、無いッ!!

 

 

「ぁ……はぁ、ああぁ………………どう、して、ぁぁ」

 

 

 がばっと、身をひるがえしレフィーヤは飛び起きた。

 

 勢いよく跳ねた掛布団が再びベルを覆い隠す。

 

 

「はぁ……はぁッ 私、何を考えて」

 

 

 付き合ってもいない、ただ親切でこの場にいることを許した相手。なのに、そんな相手に自分はあろうことか

 

 

「……ッ!!」

 

 早鐘を打つ鼓動、心臓がけたたましく鳴り続ける。   

 

 ベル・クラネルを相手に、こんな感傷を得ることなんて一度も無かった。おかしいのだ、そもそも

 

 

……ベル・クラネルは、私にとって

 

 

 目の敵、認めたくない相手、ライバル、知り合い、少し親しい中、同じ冒険者

 

 出会ってから少しずつ、こわばった関係はなくなってきた。悪態をついてしまい、強く当たってしまうが、だがそれはほかに第三者がいる場合だけ

 

 二人で、だれの目もなく、だれの話題もなく、こうして向き合ってしまえば、もうわからない

 

 

 レフィーヤ・ウィリディスにとって、ベル・クラネルとはどんな人物か、その答えをレフィーヤ本人は出せないでいる、そのことに気づかされるのだ。

 

 

……わか、らない……どうなのか、なにも

 

 

 わからない、だからこそこの手をはねのけられない。

 

 嫌いではない、だが二元論で言うなら、その反対は

 

 

……好き、になって……ベル。クラネルを、わたしが

 

 

「は、はは…………あ、ありえません、そんなこと、気の迷い、のはず」

 

 とまどう。この男を相手に、自分は何を勘違いしているのか

 

 しかし、その勘違いであれば、理由は通ってしまうのだ。一時でも、受け入れて、喜んですらしまったことに、理由が成り立つ。もしそうであるなら、これは旅先での過ちとなるのだろうか、一人の女性としてなんとも無防備で、浅はかで

 

 

 

「…………ベル」

 

 

 

 口にした。その名前を、呼び捨てで

 

 そっと、伸ばした手が布団をめくる。何も変わらず、ただ無防備に眠っている様、吐息を繰り返す唇だけが生きた脈動を示している。

 

 

 

「……」

 

 

「何も、言ってはくれないんですね」

 

 

 眠っている相手に、意味は無いと承知だ。しかし、レフィーヤは語り掛ける。

 

 眠ってしまえばあどけなく、もっと明るければその間抜けな寝顔を拝めたことだろう。眠っている、そう眠っているのだ。

 

 そう思ってしまえば、不思議と怖くない。余裕が生まれて、レフィーヤは微かに笑ってもみせる。

 

 

「……いけない、ですよ。私に、こんなことして」

 

 

「…………」

 

 

「抱きしめるなんて、許せない」

 

 

 仕返しを、そう口にした時レフィーヤの体は傾き出した。

 

 すだれから覗く日の光、まぶしさが強まり、影がベルの顔を隠す。それでも、目は慣れて表情は依然見えている。

 

 男のくせに、女性である自分にも負けていないその肌、指先で髪に触れれば霞を流したかのような軽さを感じた。

 

 

「……あなたが、悪いんです」

 

 

 好き勝手して、こっちの心を乱してばかりで、これでは不公平だと。一方的にやられてばかりなのは、面白くないと

 

 

 

………………嫌い

 

 

 

……………………嫌い

 

 

 

 

…………………………………………嫌い、です

 

 

 

 

 

「嫌い、あなたなんか」

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

……れふぃ……や

 

 

 

 

 

 

「----ッ」

 

 

 乱れる。かすかな声が轟音のように胸をゆるがす。

 

 レフィーヤは口にしたい。嫌いと、自分の在り方を確かにするように、その三文字を繰り返す。

 

 

「嫌い、です……あなたのことなんか」

 

 

 背を向けた。これ以上いたくないと、寝室を閉じるすだれに手をかけた。重い、とても重いものを持ち上げるように、とにかく必死で外へと出た。

 

 背を向けたのは、よりもっとおおきな

 

 

「好きに、なんて…………なんて、ならない、よね」

 

 

 日の光、窓辺から入る光はただただ柔らかく心地いい。これから始まる旅先の日々、その際先を示すように

 

 気持ちを無視して、レフィーヤを無情に暖かく、暖かく包み込んでいく。

 

 

 




今回はここまで、感想・評価などあればよろしくお願いします。

女性視点のプラトニックな描写、これでよかったかな?まあ次からは二人でワイワイガヤガヤイチャイチャな展開に移行していきますので、まだまだ物語は仕込みの段階です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。