白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
「いつまで寝ているんですか」
—―シャーッ
「!」
瞼を突き抜け眼球に突き刺さる眩しい陽光、ベルは思わず取り乱し布団を翻す。
「!?」
なにが起きたか理解できずにいる。きょろきょろと首を回し、やっと目が慣れたのか視線の焦点が合致した。ベルは見た
「……寝坊助、だらしないですよ」
「れ、レフィーヤさん……は、ああぁ」
気づく、自分が今置かれている状況。思い出す、昨日の失態を
レフィーヤの寝床に入り、あろうことかそのまま眠り堕ちてしまった。そして、先にレフィーヤは起きて、そして
「…………ッ!!」
身がすくむ、滝のように冷や汗が湧き出て、脳が最善の言葉を模索せんとして混乱を極める。
「へ、あぁ……その、これは」
「…………」
「えっと……ぼく、昨日、へぶッ!」
言葉を言い切る前に顔面に投擲、だがそれは痛くなく、むしろ柔らかくていい匂いだ。
手に取って確認した。バスタオル、部屋に置かれた物、何の変哲もないただの高級な生地だ。
「へ……え?」
「お風呂、頂きましたから……あなたもどうぞ」
そう言うレフィーヤは、よくよく見れば頭にタオルを待ていて、体からは微かに湯気が立っている。
「あと20分で朝食が運ばれます。だから、あなたも汗を流したらどうですか?私、向こう見ていますから」
指さす、それはロッジに面してはみ出るように置かれたシャワールームと簡易バス、そして外には露天風呂もある。
リビングからロッジはガラスで隔てられていて、それは当然シャワールームも含めてだ。向こうを見ているというのは、恐らくそう言う意味からだ。
「……ッ」
「外の露天風呂でも、バスに湯を張るにせよ……とにかく、あなたもどうぞ。私は先に頂きましたから」
「え、いや……僕は、その」
まだ終わっていない。謝罪も言いきれてないままに、そんなことを勧められても
煮え切らない反応、それに対しレフィーヤはベルへ
「……入ってください。寝汗、いっぱいかいている筈です。だって」
『あんなに強く、抱きしめたまま眠ったりするから……』
「!」
「……ほら、さっさと入りなさい」
羞恥に顔を赤らめ、レフィーヤはベルを外へ追いやる。ガラス戸一枚隔てたバスルームに追いやられ、レフィーヤはそっぽを向いてソファーに腰掛ける。
どうすればいいか、ベルは考えに考え、結局レフィーヤの言う通りにすることにした。
頭はパンク気味、なんとも生きた心地はしない。そんな、そんな旅行二日目の幕開け、早朝からなんともヘビーなことだ。
〇
~~旅行二日目~~
息を吐く、白い息だ。空に浮かぶ雲を噛みちぎり、吐き捨てたような白い息が出てしまう。
「……ぁ」
寒い、防寒着を身に着け、準備は万端にしたとはいえ、ここ一面銀世界の場所では仕方のないことだ。
……空気、少し薄いかな
見渡すのは絶景、白銀に包まれた傾斜の先、自分たちが止まっていた旅館や温泉街、そして大きな湖が全て一望できる。
眺めは良い。素直に感嘆の息をこぼしてしまう。
けど、僕と違って、隣は
「た、高い……し、下は見ちゃダメ、見ちゃダメッ!」
「…………」
……すきぃ、か……初めてだけど、なんだか楽しみだな
今現在、僕とレフィーヤさんはリフトなる昇降機で丘の上へと移動中。ロープにつられた椅子座り、みるみると高い位置へ持ち上げられて、今は崖の上を移動している。下は針葉樹林ばかりで、高さは優に、命の危機に値する。
「あの、レフィーヤさん……揺れますから、あまり力まない方が」
「う、うるさい! というか、何であなた平気なんですか!?」
「え、まあ……でも、オラリオの城壁に比べれば」
「鈍感! 無神経! スケコマシ!!」
スケコマシは関係ないのでは、そう内心で浮かべるが、すぐに喉元で止めて飲み干してしまった。
依然、早朝のことは解決していない故に
「……ッ」
早朝、起きて朝食を経て、ここに至る道中、会話という会話はあまりしていない。レフィーヤさんはあの一言以降に指摘するような文言は無く、僕からの謝罪も無視するか聞いていない振りで、一向に取り合ってもらえていない。
わからない、わからないままに時間が過ぎていく
……どうしよう
リフトに座った今と同じだ。乗ってしまった以上降りることはできない、いやまあ降りるには降りられるけど……うん、途中でやめられない、みたいな意味合いだ
ついた果てに何が見えるか、わからないままに進んでいくのだ。
「……ッ」
視界に移るレフィーヤさんの姿、怯えながら手すりに摑まる様子は正直可愛らしい。僕の傍で、この旅行中にたくさん、知らない魅力を見せてくれる。それは、今も
イケないことをしたのは承知だ。けど、本音は我がままだ。可愛いレフィーヤさんをもう少しだけ見続けていたい。そんな思いで、満たされていることに否応でも気づかされる。
「……ぁ」
「うぅ……怖い、怖いですッ」
ぎゅっと、手袋越しにレフィーヤさんの手が僕の手と重なった。
涙目に、そっぽを向いていた目がこっちを向いて、恥ずかしさに悶えながらも何かを求めてくる。そんな、そんな目で見ている。
語らない。言葉にはせず、ただ待っているのだ
「!」
震える手、リフトがたどり着くまでまだ時間はかかる。
レフィーヤさんは、それが我慢ならない。耐える間だけ、今は欲しいのだろう
……ぼくで、いいなら
「……ッ」
「!」
ぎゅぅっと、少し強めに手を握った。厚い布に覆われて温もりなんて届かない。ただ、人の手の形を模した圧迫感、違和感を感じるだけ。素肌の触れ合いに比べればずっと希釈されてしまった行為だ
だけど、その薄まった行為が、今はちょうどいい。
「……もう少し、ですから」
「えぇ…………その、わかってると思いますけど」
「はい、着くまでですよね」
「……なら、いいです」
ぎゅっと、応えるようにレフィーヤさんも握り返す。
握手の形は試行錯誤で入れ替わり、結局落ち着くのは指と指を絡めあった恋人繋ぎだ。意図してそうなったわけでもなく、二人の手は自然とそんな形を選んだ。
……これ、落ち着く。心が、安らいで、良い
握る側も心地よく、つい感覚に夢中になってベルははっと視線を直す。
手を繋いで、頬を赤らめるレフィーヤさん、その尊顔を覗き見るように、時折視線を送る。
到着までほんの数分、だけどこの数分がなんとも心地いいのだ。
薄めたお酒をちびちびと楽し見ように、ゆっくりじっくりと他人の感触を味わっていく、それもまた良いものなのだ。
「……もう少し、だね」
「はい……です、ね……もう少し、あなたの手を、貸してください
次回に続く
前回よりも短めでした。次回からはもっとがっつり
温泉旅行ときて、やることがスキーとか安くない?というのはなにとぞご勘弁を、どうしてもやりたい展開があるのでね