白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
活動報告とアンケート欄ですでに告げていますがこちらでも再喝
累計200話目にリクエスを参照して1~2話で完結する短話を書きたく思います。もし興味があれば気軽にご応募ください。応募は目安箱や最新の活動報告の返信でもなんでも、匿名で送りたいのであればダイレクトメッセージやTwitterのDMでも構いません。
リンクも張っておきます
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=275840&uid=255636
~ベルside
……どうして、どうしてこんなことに
露天風呂、広々とした湯には人の姿を隠すにはちょうど良い岩がいくつもあって、ちょうどその一つに僕は隠れている。
隠れながら、様子を伺いながら息を殺しているのだ。
……れ、レフィーヤさんなんで
男湯に入っていたはずの自分がなぜ知人の女性の裸を盗み見ているのか、その答えは明快
風流な岩場に若干の違和感を放つ但し書きが一枚。そこに記載されている文が解答である。
……男女、入浴可能。ただし公序良俗に反する営みを禁じる?
つまり、ふしだらな行為に走らない限り、男女の混浴が奨励されているお風呂、ということか。少なくとも自分は何らかの間違いで女湯に入ってしまったわけでないと安心できる。が
……どうしよう、レフィーヤさん絶対気づいてないよね
今はまだ二人だけ、もしほかのお客が来ようモノなら大変だ。最悪、早とちりでレフィーヤさんが無実に人に魔法を撃ちかねない。
どうするべきか、岩場と濃く立ち上る湯気のおかげかまだ気づかれていないけどこのままでは状況は好転しない。最悪、ぶたれるのを覚悟して教えに行くか。それとも隙をついて混浴から出るしか、でもそれだとレフィーヤさんを一人に置いてしまう。
思考は出詰まり。なんとか解決策を捻り出さんとするも、展開は無慈悲に
———ワイワイガヤガヤ
「?」
———イチャコラ、ネットリ
「??」
まずい、人が来てしまった。
混浴を堪能せんとしてき有象無象のカップルたち。岩場で隠れて見ていることで罪悪感を覚えてしまう光景、何故なら客たちは皆タオルを纏っているわけでもなく。当たり前のように何もかも、そうナニもかもひっくるめて剥き出しだ。
それはきっと紳士的な糸から、性的な欲を捨て去って男女の相互理解の先に在る理想郷。やましさはなにもない、だけど
「あわ、あわわ……ッ!?」
「!」
そうでない僕らは、この場では異物でしかない。恥ずかしさと罪悪感に駆られてか、レフィーヤさんは皆が来るや煙に隠れ急ぎ風呂の奥、岩場に隠れてやり過ごさんとした。そう、僕と同じように
「へ?」
「え?」
空気が凍る。前傾姿勢で胸を腕で覆っているから辛うじて大事な部分は見えていない。でも、ここにいるのは間違いなく裸のレフィーヤさんだ。
そして、僕も当然裸
「べ、はぅ!!…………どうして、あなたが」
「しっ……仕方なかったんです。僕、知らなくて、混浴だなんて」
「うぅ……やっぱりそうだったんですね。あぁ、なんでこんな……恥ずかしい。混浴なんて破廉恥、どうして私が、それもあなたと」
押し殺した声で、卑屈気にレフィーヤさんはつぶやく。前を魅せまいと背を向けるも、その肌色はたとえ性器でなくとも魅力的で蠱惑的だ。
混沌としたこの状況。カップルまみれの混浴場にうっかり入ってしまっただけでも大変なのに、そこに加えてレフィーヤさんも同席しているという複雑とした状況。しかし、別段罰せられる状況でもないし、なんなら自分のことだけ見れば、今裸で遭遇してしまったことは不問になる。何故ならここは混浴で、そこでなら、
……裸、レフィーヤさんの裸を見てしまっても
「……」
「うぅ……アイズさん、リヴェリア様」
「……ッ!」
……何を考えているんだ、僕のバカ
気の迷いだとしても、なんと悪質な思考をしたことか。公衆の場で恥をかくだけでも辛いのに
……僕が、男の僕に肌を見られて
「……ごめんなさい」
「へ……」
「僕が注意を引きますから、だからレフィーヤさんは隠れていてください」
そうだ、恥をかくのは男だけでいい。
ここで男を魅せないのなら、きっと天国のお爺ちゃんに笑われる。見損なわれることはしないッ
× × ×
……へぇ、あなたがあのレコードホルダーの、ベル・クラネルこんな小さい子なんだ。彼の若い頃を思い出すわね
……ふふ、随分と可愛い子なのね。おばさんの養子にしたいぐらい、あら照れちゃって、初心なのね
……混浴に、お相手はいないのかしら?あらあら、人妻見たさだったり? イケない子ね、なんて
「……あ、えっと、その……すみません、すみません」
囲まれた、前方を扇状に包囲するお姉さん方、申し訳程度に乳房を隠すだけで肌色が大変目の毒なエロティック。しかも人妻だと聞けば背徳感は否応増してしまう。
「その、えっと……うぅ」
ベルは赤くした顔でただもじもじとされるがままに、触られて撫でられてつつかれて、そんな様子に彼女たちの夫達は面白おかしいとさせるがまま
……おいおい、追い詰めてやるなよ可哀そうだろ。すまないな少年、あとで叱っておくからな、どうか恨まんでくれ
……おい、変なこと言うと掴まるぞ。うちのがすまないね、クラネルさん。俺はオラリオの出入り商人だからうわさはかねがねだ。いやあ、光栄だね
……混浴に一人、もしかして知らないで来たのかい? なに、恥ずかしがらなくていい、10も離れた少年を相手にむきにならんさ。
「えっと、その……長居するつもりなんてなくて、あぁ、そんな恐れ多い、僕なんかまだ若輩者で……えっと、混浴に来たのはその、えっと間違いで……じゃなくて、でも、相手は……い、いないような、いるような……うぅ」
コミュニケーションという矢の雨にやられ怯んだままうなずくばかり。無策で前に出てしまって、結果掴まってしまった自分が何と愚かなことか、ベルはさっそく後悔し出した。
「すごいな、俺よりも若いのに……はは、握手してくれないか」
「え、はい……その、どうも」
求められるままに、カップル一行にサービスを振りまく。レフィーヤを通すために気を引こうにもこんな調子ではうまく言いくるめるのも困難だ
幸い、岩陰でレフィーヤさんは隠れていて見つかっていないから恥も何もないが、どうにもその辺りから威圧感というか、何楽しそうに打ち解けているんですかバカなのですか死にますかと、お怖い心の声が背中にたくさん突き刺さる。
「……ッ」
……どうにかしないと、でも何をどうすれば
話しかける相手、三組のカップル最初に話しかけた人から見て20代、30代、そして40代ぐらいのカップル。悪い誤解もしてないし、最悪変態扱いされることも危惧したけどその心配もない。
事情を離して、少しだけ席を外してもらえれば
「……その」
言葉を切り出そうとして、そしてそこでようやく気付いた。どう説明すればいい?どんなに説明しても、相手にはきっと
……レフィーヤさんは、僕の
……ぼくの、ぼくにとって
「……ッ」
「あら、どうかしたのかしら」
40代と思しい女性がベルに気をかける。
「……いえ、なにも」
「?」
言えるわけがなかった。言える言葉が無かった。
整理がついていない。問題を先延ばしにして、ベルはようやくその大きさに面食らってしまった。
……レフィーヤさんは友達で、でも友達ならどうして僕は
「……君、もしかしてのぼせているの?」
「へ、いや……そういうわけじゃ」
「こら、よさないか。というかお前は近いんだよ、いたいけな少年に対して不健全だぞ」
「あ、ひどい……不健全とどこがよ」
「ベッドで豹変するところとか」
「あ、言ったなひどい……この、このぉ」
目の前で喧嘩、と言っても痴話げんかを始める20代と思しいカップル。その様子を見て二組は苦笑いを浮かべる
「……ッ」
じゃれあう二人、隠すことなく乱れる裸体。見えてしまった乳房の鮮やかなピンク色に顔を背ける。しかし見えてしまったものはそう簡単にはぬぐえない
「ふふ、恥ずかしがり屋さんね」
「だ、だってその……裸、見慣れませんよ」
「あら、冒険者だからそう言う遊びに慣れてると思ったけど、意外なのね。でも、混浴なんだし気にしなくても、ねぇ」
「!」
「ふふ、可愛い子……あぁ、こんな弟が欲しかったなぁ」
30代と思しい人妻がからかいその手元を緩めた。後ろで旦那が釘を刺すように言葉をかけるも女性はのらりくらりとするばかり。ベルは顔をそむけたまま、ふと単純にして当たり前な疑問を投じた
「……あの、皆さん」
「「「「「「?」」」」」」
六人が一斉に振り向く。ぎょっと視線の圧に身が怯むが、気にせずベルは
「その、気にならないんですか?」
見た感じ、この三組は仲睦ましい知人同士か。でも、だからとはいえ
「どうして、裸を……気にならないんですか?」
この場で、何も気にせず場を共にしているのは、いったい何故か
聞いた皆は少し首を傾げ、掲げて、ようやっと見出した答えは
「……旅行、だからですかな」
40代、この場で一番年長者の人が代表して答えた。その答えに残りも同じく頷く。
「……その、混浴に慣れてるということですか?」
「いや、恥ずかしくならないわけじゃないが、そこはまあ大人の付き合いというものですね」
「大人……はぁ」
割り切れる、ということか。でも、それだとしても
ベルは視線を女性方に向けた。少し恥ずかしい質問だが、それを言う前にお三方は察してくれた
「ふふ、そうよね……肌を晒すのは、確かに恥ずかしいけど」
そろりと、湯を波起たせ三方はそれぞれのパートナーの傍へ。
「信頼、しているからかしら」
「そうそう、旦那が一番なのよね……だから、迷わないのよ」
「!」
三人が三人、堂々と言ってのけた。その短な言葉とこの光景で十分に納得できてしまった。
比翼連理の関係、仲睦ましい夫婦は互いを理解して結ばれている。眩しくて、うらやましい、そんなことを思わせる光が満ちている。
「……パートナーがいるのはうらやましい、そう思っているのね」
「え……それは、まあ」
「ふふ、ならここはちょうどいい場所ね。ここクレインは、縁を結ぶ地としても有名なのよ」
「縁、結ぶ?」
「ああ、そうなんだよ……これが不思議なことにね」
「……はぁ」
いちゃつき出すカップル。年長の旦那さんは、代わるように言葉を続ける。
「クラネル氏、君は鶴をしっているかな」
「鶴、確か極東の」
「ああ、珍しい鳥でね、この土地の名のクレインもそれが由来で、湖の方にも見かけたりするんだ。そして鶴という鳥はね、つがいを大事にする意味でも有名なんだよ。鶴は一度繋いだつがいを生涯大事にする。決して離れない、強いつながりを持ったつがいだ。」
「……つながり、つがい」
「あぁ、たとえ伴侶が息絶えても鶴はその場を離れたりしない。健やかなるときも病めるときも、二匹は共に、離れたりしない」
そんな鳥だと、そして
「ここは、多くのつがいが生まれる縁起のいい土地だ。つがいになるわけがないと、以前は犬猿だったりもした二人が、不思議なことに結ばれてしまう、そんなことも起きたりする場所だ。」
「犬猿?」
「あぁ、例えば……この場にいる私達六人、それぞれの相手とは昔は、そりゃあ喧嘩相手だったさ」
「!」
そうは見えない。三組とも仲睦ましいとしか見えない、でもそれが謙遜でも誇張とも受け取れない。でもあとの二組もそうだったと、今思えばなんだこうだと、懐かしそうに口ずさむ。
「……仲の悪い? なのに、どうして」
つい聞いてしまった。気になる欲求がつい前に出てしまった
「さあ、今思うと不思議でね……これがただの偶然なんだ。経緯は違えど、たまたま同じ日が重なって出会って、それで何を思ったか一緒にいませんかと言い出した……ただの気まぐれで、そうすると不思議なことに居心地が良くて、気づけば距離は縮まっていたんだよ。その結果、ここにいる皆は、こうなってしまったんだ」
「!」
少し恥ずかし気に、青い過去を語ってしまったせいか皆顔を赤くして鼻やこめかみをかいてしまっている。でも、そんな彼らの過去には、ベルにとって大きな衝撃を与える情報があった
……犬猿なのに、仲良くなって、それって
それではまるで
……僕とレフィーヤさんの、今の状況に似てる?
「いつも喧嘩して、お互い悪愚痴ばかり」
「素直に慣れなくて、悪態ばかりで悪循環で」
「なのに、いざ二人きりになったら」
「居心地もいいし、気を使わなくてもいいし」
口をそろえて過去を思い返す言葉がざわつく。
知らない他人の過去、だけどそれが妙に胸で引っかかる。どうして、こんなにも合致してしまうことが
……偶然なのに、仲が良くないはずなのに、でも
「ふふ……意外な場所にいるものよ。つがいの相手なんて」
「……ッ」
こちらの胸の内の疑問に、まるで覗き見ていたと思わせるようなタイミングで返しを投じた。
「あぁ、だからその意外な気づきに感謝している。ここはいい場所だ、ここで結ばれた思い出が忘れられなくてね、私たちはまた足を運ぶんだ。」
「ここに来てよかった、あの日誘ってみてよかった。」
「気の迷いでもなんでも、きっかけ一つで幸せを見つけられた。ここは、そう言う場所なんだと思うよ」
「……ッ」
聞き入ってしまった。そして今は魅入ってしまった。
混浴が恥ずかしいだのなんなのからこうも話が転じてしまうとは、パートナーとの出会い、そんな風につながって添い遂げる例もあるのだと
「なんだか、ロマンチックですね。僕には、遠い気が……」
「あら、そんなことないじゃない」
「そうそう、そんなこと言っちゃ君のパートナーに失礼よ」
「そうですか……です、か……って…………え?」
パートナー、パートナーと言った。それはつまり
「ふふ、ごめんなさいね……私達、お邪魔したみたいで」
「……ッ!!」
……お邪魔、パートナー? 今、この人達
視線の先、まるで気づいていると言わんばかりに皆僕の後ろに在る岩場を見ている。
一瞬、見えた幻影は山吹色をしていて、なにより岩場のあたりは湯が揺れてまるで人がいるような気配を醸している。
「……き、気づいて」
「ふふ、さあどうかしら。あなた、それに皆も……そろそろお暇しましょうか」
「え、あの……ぁ」
いそいそと帰る動きを見せる。呼び止めようとしたが、実際それで何を言うべきか言葉も無い。
ただ、皆その眼はなんとも暖かく、先達から応援を感じるようで
————決して離れない、強いつながりをもったつがいだ
「……ッ」
年長の旦那さんが語った言葉、それがずっと胸の奥で反響して残り続けている。
説明する口調で、それは裏で今の自分たちを言い表しているようで
……応援、されたってことかな
「つがい……ここで、男女が」
「……」
……ビシッ
「!」
痛い。頭頂部に感じた。天を仰ぐように上を見ると、見下ろすレフィーヤさんの目と視線が合った。
「……なに、真に受けているんですか」
湿った声、怒っているのか、でもやけに静かに落ち着いた様子で、判断に困ってしまう。
でも、月夜を背にしたその姿、タオルで前だけを隠してるけど、浮かび上がる起伏は女性的で喉がうなる。濡れた肌、張り付く髪、感情で染める頬の朱色、震えた目で強く見下ろすまなざしは艶がかかって息をのんでしまう。
露となって雫が額を、頬骨を穿つ。無言のまま、湯の熱が肌から抜けていって、時は静謐に過ぎていく。
「……ッ」
「馬鹿、やっぱりあなたはベル・クラネルです。何打ち解けて、しかも、あんな話…………見過ぎ」
「!」
視線を背ける。隠しているとはいえ、見ていいわけがない。
視線が外れて、レフィーヤさんは僕の隣を行って中へと戻らんとする。一瞬見てしまった生の後ろ姿、臀部の形に心が乱れるもすぐに後ろを向いた。
背を向けて、背中合わせ。離れた距離で、最後に
「……やっぱり」
「!」
言葉を紡いだのは、レフィーヤの方から
「部屋、戻ったら聞きますから。今朝のこと……あなたが、私を抱きしめた理由」
「……ッ!!」
膝にいた手に力がこもる。当然というべきか、忘れていたようでも消えたりはしない。
事実は、紛れもなく存在している。旅先での出来事、忘れるなんてできやしない。二人は既に知り合って、これからも続いていくのだから。
「……先、部屋に戻っています」
「れ、レフィーヤ……!」
名を呼ぶ、しかし返事はドアの閉じる鈍い摩擦音だけ。
一人残された湯で、ベルは現実を重く知った。軽率に考えていたわけではない、でもこの想いを容易に説明できるほど自分の心は単調じゃない。
でも、先の偶然の会合、そこで得た知識は図らずとも答えとなってしまった。
……僕にとっての、レフィーヤさんは
同年代の知り合い、親しい知人、どんなに言い換えようとこの場にいるのは男と女、つがいになり得る関係なのだ。
あの人たちのように、それは泡沫ではない、手を伸ばし掴めば形をもって手に入れられる綺麗なものなのだ。
「……ッ」
強く、強く胸の前で拳を作った。見ない振りや、考えないことはもうやめだ。
次回に続く
今回はここまで、次回ちょっとシリアスな話し合い