白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
(1) 翼を持つ乙女達はフラスコ世界の夢を見るか
異端児、彼ら彼女達と地上の人々は混じりあわない。交らないし、雑じらせてはいけない。
異なるものは排除すべし、これが社会。だけど、いなるものを受け入れて混ざり合う、これも社会
世界は一方向に続く平坦な道じゃない。時に可能性のひとかけらで、それこそ蝶の羽ばたきの一瞬で世界は億を超えて枝葉を伸ばす。
未来はわからない。結論だって覆る。異端を隔てることこそが異端となる世界、それは途方もなく淡い可能性の先
だけどゼロじゃない。ゼロではない限り、夢を見ることは間違ってはいない
たとえ、それが狭く閉じた泡沫の、片手につかんだフラスコの中身であったとしても
× × ×
早朝、鳥の鳴き声が聞こえる。それが朝を告げる音
でも、耳にしているのは妙に心地がいい音だ。劇場の歌姫のコーラスもかくや、この音色は起床には向かない。日々のなれない疲れがどっときて、そのまま二度寝が始まってしまう
「……れ、れいさん」
「ラ……ララ……ふふ、お目覚めですか?」
寝ぼけ眼をこすって、声のほうへと視線を向ける。少し、恥ずかしそうにはにかみながら微笑む彼女。キャミソールに短パンの部屋着姿でハンモックに腰かけている彼女、名はレイ。僕の知っている、異端児のレイさんだ
ブルーとグリーンの羽が綺麗で、落ち着いた振る舞いに大人びた表情。だけど、時折見せる素のしぐさを恥じらい隠そうとする、そんな愛嬌のある人
すっかり、そういうところも知ってしまった。四日、それだけ立てば人となりもわかる。
「……二度寝、してもよろしいですよ。今日はお仕事お休みなのでしょう」
「いや、それは……ぁ」
「くす、この子が起きてしまいますから。ええ、まだあなたは体を起こさないほうがよろしいかもしれません」
笑みをこぼす。ほほえましい光景を前にレイさんは笑いを我慢できなかった
僕はというと、笑うべきか困惑するべきか、少し判断に迷った。
「……ウィーネ」
「……————…………ッ……ん……ぅ」
身をよじり、寒いのか布団を求めて僕の手を払った。もう一度めくりあげて、そのかわいらしい顔をのぞいてみたくあったけど、でもやめた
布団の中で、ウィーネはもっと強く抱き着いてきた。薄着だから、おなかに当たる寝息がこそばゆい
「……動けませんね、これじゃあ」
どうするべきか、しかし考える必要なんてないかもしれない。
もう四日、四日も経ってしまった。とまどい、困惑する時期は去った。そうなると、今の良さを楽しんでしまう。
ウィーネは安心して、今こうして僕のそばで眠っている。こんな日があることを、僕は夢にも思わなかった
「……休みの朝、レイさんの歌を聴いて、ウィーネとだらだらして、ほんとこんな日が来るなんて」
「ええ、私も思いませんでした。くすす、皆うらやましがると思います。ええ、日の光を浴びて起きる朝は、本当に気持ちがいい」
「ですね。本当に……あ、そういえばフィアさんは」
「はい、今はその日の光を思う存分に浴びています。朝のフライング、私もしたいです……許可証が待ち遠しいです」
「確か明日でしたね、その日は僕も仕事で……あ、ちょっと失礼」
「?」
弾む会話、ふと思い立ったように布団をめくる。
スキを突かれたのか、僕のおなかにくっついたウィーネは、まっすぐにこっちを見ている。赤い瞳同士、目が合って、そして顔をしかめた。
「こっそり起きてた。ウィーネ、みーつけた」
「ベル! うぅ、ベルベル……もう、ふんっ」
あどけない、すねたしぐさに笑いがこぼれる。布団をはねのけてその場でにょきっと起き上がったウィーネ。子供向けの寝間着を身に着けたウィーネは起きて早々元気がいっぱいだ
いたずらに失敗した分を取り返そうと、そのまま僕の顔に向かってきた。うん、躱せられない
「むぐッ」
「えいえい! おなか攻撃どうだ~ッ!」
「こら! ウィーネったらはしたない……もう、着替えが崩れて、あ、ストップストップ」
「!」
とっさに羽交い絞めで引き離したレイさん、ウィーネのじゃれつきには慣れてしまったものはある。でも、これは
「服、前……ッ」
「?」
「ああもう、この手じゃできない……すみません、ベルさんの手でまた」
「……ッ」
仕方ない。そう割り切らないといけない
共同生活の問題、ウィーネは幼さゆえに、そしてレイさんとこの場にいないフィアさんも共通して、服を一人で着られないのだ
「すみません、その……殿方に頼むのも失礼とは存じますが、これは」
「……いえ、大丈夫です。はい、仕方ないですし」
「?……わたし、別に気にしないよ。おっぱい見てもいいのに」
「き、気にするよ……もう、ほら目をつぶるか近づいて」
「……は~い、ゆうわくしっぱい」
「また、どこでそんな言葉を」
「あはは、近所の子供たちとですね……はは、は…………」
目を閉じた。ボタンをつけてあげるだけで、音がしんと消えた。着付けの時はじっとする、目を閉じてやるから、その邪魔をしない。約束もすっかり身についている
「ほんとうにすみません、あなたに頼りっぱなしで」
「いえ、レイさんとフィアさんもいろいろとしてくれていますし。あ、フィアさんは?」
「買い出しです。朝ごはんは、いつものパンと果物で」
「朝ごはん、おなかへったね」
「そうだね、ペコペコだね」
「ええ、ペコペコです」
『くす、くすす……』
誰かが笑い出して、それが伝播した。言葉の響きが面白いから、そんな程度で声は愉快に上がってしまう
「……くす、あはは」
笑ってしまう。こんな小狭い借り物の部屋で、そこまで裕福で満たされているわけでもないのに、ただ一緒にいるだけで笑ってしまう
一緒に、共に過ごす日常。でもこれはまだかなうはずのない未来、夢の世界で見る幸福な理想図だ
「……」
「うふふ、あ……フィアが帰ってきましたね。さあ、そろそろ布団を片付けましょう」
「……ええ、ですね」
平穏な日常、朝起きてご飯を食べて、今日はどうするか何をしたいか、そんなたわいもない話ができる日々
誰も傷つかない、そんな今が僕のいる現実だ。
あの日、ふと気づけば世界が変わり果てて、どうやって元の場所に戻るか焦燥感に駆られてはや四日
僕は、この世界に居心地の良さを感じてしまっている
ここは、オラリオ。世界の中心点
多くの生きとし生けるものが混ざり合う、時には交じり合い、そして雑ざりあわないことをよしとしない世界
街を歩くは二本足と四本足、時々それよりも多い
張り巡らされた水流の道では人魚や海獣種が手を振りヒレを振りしぶきを飛ばす。空は許可を取った飛行種たちの仕事の場、混雑しない朝と深夜は自由な遊び場
座る椅子の高さ、手に取る匙の形まで、何もかもが自由で多様
この世界は、夢に見たはるか先の理想郷
オラリオは、ダンジョンの都市ではない。モンスターとヒトが自由に共存して暮らしあえる理想の都市国家であった
投稿予定は12月でしたが、少しプライベートで余裕ができたのでちょこっと執筆。これも全部ウィーネが可愛いから、しかたない
フィアの下半身事情どうしよう、それだけが目下最大の悩み。あの娘、下半身全部体毛なんですよね……剃るか?そのままか
次回の投稿は調子が良ければ近々に、感想評価等いただければ幸いです。モチベが上がっていろいろはかどります