白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
騒然とした店内、騒がした僕たちは視線から逃れるように店のさらに奥へ。
一部を見ていた周りはそんな僕とウィーネに何か厚い勘違いをしているようで、みななぜか祝福の拍手と、そしてサムズアップを。サムズアップは主に二人、スタンクさんとゼルさん、初めて会う二人だけど不思議だ。そう遠くないうちにまた会う気がするような、妙に記憶に残る人だった
オラリオフーターズカフェ、そのウェイターとして働いていたウィーネ。結果としてマリィのおかげで僕は出会いを叶えた。
偶然の重なりで今に至った。不安ばかりな現状だけど、少なくとも運のめぐりだけは幸運の光の下にある。それだけは本当にうれしいことだ
× × ×
「じゃあ、ウィーネはあのお店で働いていたわけじゃ」
「うん、おなかペコペコで倒れそうなときに助けてくれたの。シズエさんや他の嬢のみんながいなかったら、きっと道端でぐてーんでうごけなくなってたかも。ほんと、大変だったよ」
「……そう、そうなんだ。でも」
「うん、今は元気いっぱい!それに、ベルに出会えた!」
「……そうだね、僕もウィーネに出会えた」
うれしい、心のそこから安心した。お店にいたことは驚いたけども
少なくとも、僕の知っている世界のウィーネがあのような大人のお店で働いているなんていろいろ大問題だし、リドたちに顔向けできない、申し訳ない、謝罪の言葉がいくつも脳裏をよぎった。けどどうやら杞憂だったみたいだ
その点は本当に安心した、寿命が縮んでしまう
「……でも、どうして店の従業員の服を」
「食べさせてくれたお礼、お店の手伝いをさせてってお願いしたら貰ったの」
「そう、そうなんだ」
横目に見る。オラリオフーターズなるロゴの刺繍がはいたシャツに丈の短いパンツ。活発的といえば聞こえはいいがやはり扇情的だ。発達途中名ウィーネの体ならともかく、これで起伏の激しい大人のお姉さんが着てしまったときにはさぞダイナマイトでセクシーないでたちになっていることだろう。実際、周りにはそんな人ばかりだったし、しかも胸の先やまたの部分はその部分だけ露出できそうな切れ込みというかめくれそうな感じだったし。
今頃、スタンクさんやゼルさんはそんな彼女たちとうれしはずかし、だめだ想像したらよくない感じに、ウィーネが着ているからだろうか
想像する。もし、ウィーネがあの店で僕に、そんなこともあんなことも
「……ウッ」
脳裏に浮かべた映像、その瞬間罪悪感が警報を鳴らして頭の中の皆〔異性にかぎる〕が棒を持って僕を取り締まる光景が
よくない、ウィーネにはそんなこと絶対だめだ。よくない、ちゃんと成人するまで、うんゼノスの成人って具体的にどのあたりからだろう。皆、赤子の姿で生まれたわけじゃないし、なんなら知っている皆の多くが一桁の年齢、下手すれば生後何ヶ月だって話しだし
「ベル、どうしたの?顔色悪いよ」
「顔色、じゃない。たぶん本当にわるいのは頭の方だと思う」
「?」
何を言っているのだ、そんな感じにウィーネは首をかしげた。だめだ、一人変な考えでウィーネを置いてけぼりにしてしまった
「えっと……あ、そういえばその服似合ってるね。うん、とってもかわいいよ」
「そう……そうなの? えへへ、そうなんだ!」
タタタ、っとまえに躍り出て、そして見せるようにその場で回ってみせる。閉じた翼を軽く広げ。その場で軽やかに飛んだり跳ねたりして
「似合ってるでしょ。動きやすいし、ちょっと裸なのがすっごく楽」
「あ、ははは……うん、最後はともかく似合ってるね。うん、でも」
……おい、あれフーターズの
……おいおい、ロリと一緒でいいご身分だな。モンスターなら脱法だもんな、うらやま
「……ちょっと、上着貸すから着て」
「うん、いいよ。でもなんで?」
「おなか減ったね」
「あぁ、そういえば減ったねぇ……ぐぅぐぅだね」
自然に話をそらしつつ、ひとまずウィーネに上着を着せる。羽が窮屈かもだけど今はこれでいい。あまり、人前に見せて嬉しいとは思わない。我ながらシスコンじみた考えだとは理解している
……ぐぅ
うん、でも自分で言っておいて確かにおなかが減ってきた。さて、どうしたものか
「ベル、ご飯って、お金いるよね。どうするの」
「うん、とうしようか」
× × ×
結論、空腹も着るものも住む場所も、ひとまずはなんとかなった。なってしまった
たまたまポケットの、普段は使わない上着の裏ポケット、そこに何かのときに入れていたか入っていた1バリスの硬貨。
たった1バリスけど、それがもたらしたのは
「……11万7千バリス、うん当面はなんとかなりそうかな」
「すごいねベル、ウィーネこれ知ってるよ! えっと、あぶく銭だね!」
そうだね、あぶく銭だね。うん、本当にそう思う
以前、連れて行かれたカジノで僕は大勝ちしたことがあった。何かの間違いだと思うけど、けど実際に大勝、でも結果的には取り分も負債もなしで終わってしまったけど
でも、僕にはどうやら一種のギャンブル運がついているようで、あまり人に言うことでもないし僕自身賭け事は好きじゃないから忘れさろうと思考の隅に追いやっていた。
ギャンブル、好きではない。でも、今は非常時だしまあ1バリス程度どうこうなることでもないし、なんならここで情報を得てお金を比較的安全に借りられる方法を探る目的だったりした。だけど、それなのに僕はまたも
「バカラ、ブラックジャック、ルーレット、ルールもにわかなのにどんどん勝っちゃった。ぼく、いったいどんな星の下に生まれて来たんだろう」
われながら本当に引いてしまう。望んだわけでもないのにもたらされた才覚、けど今はこの重みのある袋がなによりも耐えがたく、離しがたい
「ベルすごかったね、でも相手の男の人も強かったね。ベルのお金いっぱいだったのに一気に減っちゃった」
「うん、でもたった1バリスでこれだけなら十分だよ。でも、あの緑ジャージの人、カズマだったかクズマさんだったか、そんな名前の人。あの人が相手だとぜんぜん勝てなくなったよ。その上もうお店は出禁だし」
「できん? そんなこと誰も言ってなかったよ」
「ううん、ウィーネ……あれはね、口にしてないだけで皆目で言ってたよ」
カズマさんはともかく、他の従業員やお店の店主と思しい人は本当に怖かった。笑った顔でまったく笑ってない。事が起きてからでは遅いので、とにかくこの方法はもう頼れないだろう。
このお金は軍資金、当面の生活費はもっと全うに稼がないと
「ひとまず、宿を借りて……そこで二人でどうにか、これからのことを考えようか」
「お泊り?」
「そうだね、お泊りだね」
やったやった、そう喜ぶウィーネは本当にかわいくて、つい頭をなでてしまう。太陽からずっと遠い場所で生まれたのに、その笑顔は太陽を勝るかもしれないほどにまばゆい。そして清い
心の平穏が少しばかり戻ってきた。とりあえず、日も暮れた今は
「なにか、おいしいものでも食べようか」
「うん! でも」
「でも?」
「……わたしだけ、ずるい気がする」
「!」
少し陰りのある顔、空を見上げているがその視線の先にはきっと他の皆、やっぱり異端児の皆のことを思うのは当然だ
ここには異端児が多くあふれているけど、でもやっぱり会いたいのは
「皆も、ここに来ればいいのに……そうしたら、皆でお日様をいっぱいに浴びて、おいしいものを食べて眠くなってお昼寝もできるのに」
「……そうだね、本当に」
ウィーネの言葉に釣られて僕も微笑んでしまう。ここは確かに皆が夢見た世界だ。たしかに、たとえばレイさんやフィアさんなんてのびのびと空を堪能していることだろう。
「皆、元気にしているかな?」
「そうだね、案外ひょっこり顔を合わせたりするかもね」
「うん、レイなんてそのうち空から落っこちてくるかも」
「あはは、そんな木の実じゃないんだから」
あははは、と気楽に笑い声を上げてみたり
でも、本当に会えてしまったり。ウィーネがいるんだから、きっと他にも
……そこの飛行種の女性二人、止まりなさい!
「「へ?」」
……繰り返します、無闇に肌を露出した無免許飛行の二人、止まりなさい!
「「…………」」
一緒に、ウィーネも僕も顔をそろえて上を見上げた
うん、赤い光を放つ魔石灯をつけた有翼のモンスターに追い掛け回される、どこか見知った顔のハーピィ&セイレーン、うん知っているような気がするとかじゃない。確信だ
「出会えたね」
「うん、そうだね」
驚くよりも一週回ってぽかんとあっけにとられてしまう。それから我に返り、あの二人を回収してどうにかことを収めるにはどうすればいいか、今も、この先のことも、頭を悩ましくする自分が容易に想像できる。とりあえず、うん
ウィーネも、レイさんもフィアさんも、ここに走っている異端児が三人もいた。ひとまず、これでいい
さびしくはない、にぎやかなのはいいことだ
「すぅ…………レイさんフィアさん!いったい何をしたのですか!!!」
次回に続く
今回はここまで、次回でひとまず物語の始まりは一区切り。一話で見せた同棲生活まで時系列を進められる予定です。