白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
スピード違反、そして公序良俗に反する出で立ち
切られた違反切符は二枚、総額にして8万と少し、手持ちのお金の四分の三が消し飛んでしまった。
「すみません、地上のお方」
「申し訳ございません、ぐすッ……わたくしたち、ひぐッ……せい、で……うぅ」
「よしよし、気の毒だったねレイ」
「……」
整理しよう、今しがた僕たちはようやく長い拘束から解放された状況だ。交番、なる場所でお話を貰い、そしてお巡りさんと呼ばれる業種の方から説教をしこたま受けたあと。
罰金も食らってはっきり言ってかなり辛い状況に戻ってしまったともいえる。けど、うじうじ言っても何も始まらない。ポジティブにならねば
それに悪いことばかりじゃない、良いこともあったのだ。ウィーネだけじゃなくて同じ異端児で飛行種仲間、レイさんとフィアさんにも出会えた。まあ、あやうくお縄になりかけるような状況じゃなかったらもっと素直に喜べたかもだけど
うん、空を飛ぶ飛行種達がいっぱいいたけど、みんながみんな自由に飛んでいるわけじゃなかったみたいだった。許可が無いといけないらしくて、そしてその許可なしに高高度で、さらに違反されているスピードで飛び回ってしまうとかなりまずいらしい。
そうとは知らず二人は自由に空を舞い有頂天になていた矢先のことだった。お巡りさん、翼をもつ異端児に追いかけられ、危うく危険な犯人として検挙されかけたわけで、うん、もう本当にどうなることやら、僕らも本当に焦っていた
地上に降り立って抱き着く二人、そしてそんな二人を執念深く追い立てる追手たち、サイレンの音を鳴らしお縄につけと連呼、完全に大取物の見せ場だった。うん、あれほど周りの視線が痛いと思ったことは無い
……まあ、でもなんとかはなったし、うん
「ひぐ、ぐす……」
「レイ、全然泣き止まないね」
「はい、取り締まりの殿方が怖かったのですね。全否定でしたもん」
「うぅ……わたくし、は……危険な行為を軽はずみに行った、淫らな女です。はしたないセイレーンはスズメよりも下の生物です、ぐすん、ぴぃぴぃ」
「……レイさん、強く生きて。あと、スズメをそんな卑下しないで」
泣きじゃくるレイさん、しっかりものの彼女がここまで動揺することになっている辺りやはりこの世界に来て不安に駆られていた所があったのだろう。
フィアさんはというと、普段からマイペースな一本調子だからあまり動じてない所もある。割とすぐ受け入れたのだろう
ちなみに、今二人は適当なお店で買った飛行種用の私服を纏わせている。体毛だけで何も隠していない下半身が問題だったようで、今はミニのスカートに胸はチューブトップを身に着けた装いになっている。うん、レイさんは腰ばねで下腹部を隠していて、フィアさんは体毛に覆われた下半身だ。冷静に考えてみると、やはりそれは、うん、ヒューマン基準で考えると中々に扇情的なのだろう
「……とにかく、そろそろ動きましょうか」
よくない考え、かぶりを振って思考を切り替える。そうだ、忘れていたけどやらないといけないことがあった
「あ、そうだごはん」
「うん、ウィーネ……でも、ご飯だけじゃないんだ」
そう、手に持った麻袋を前に出して、そしてみんなに見せる様に開く
「……お金、地上のお方がモノを交換するためのモノ、でしたよね」
「はい、そして問題なのは……今はこれが命綱という事です」
残り金額、3万に至らない程度のバリス。ジャガ丸君がだいたい数十バリスの相場、この世界でもそれはあまり変わっていない。宿を取るのは一人一泊2000から3000、それを考えればこんなお金すぐにでもふっ飛んでしまう
「あぁ、私のせいで……ぴぃ」
「レイさんのメンタルもいい加減限界でしょうし、とにかく今はこのお金で宿を見つけます。四人で泊まれて、なおかつ安い所」
「……それって、ベルのお家よりも」
「うん、覚悟した方がいい……だから、行こうか」
意を決して僕はお金という武器を懐に。今から行くところは役所、相談に乗ってもらうにはいつの世も公務員の人たちだ。頼ろう、そして願わくば
せめて、最低限壁と屋根があって、このさい教会の地下でもいいから、いい場所を見つけないと
〇
「ベル! このベッドふかふか!」
「わぁ、屋根が高くて止まり枝もある、開放的ですねここ……うん、気に入りました!私ここで巣作りします」
「……は、私は今まで何を……あれ、ここはどこですか? どうして、こんな綺麗な建物の中に」
「…………」
三者三様の驚き様、楽しそうに駆け回り飛び回り、奥行きある広い家の中を皆堪能している。うん、堪能しているのだ。
なけなしのお金を振るって手に入れた宿、だけどそこは控え目に言う事もはばかれるぐらいにモダンで清潔で、そして安価とは程遠い間取りの吹き抜けワンルームであった。
……最低限でも屋根と壁、うんどっちもある。というか、色々とありすぎる?
まるで、高級なホテルに泊まったかのようで、実際窓から見る景色は水路に面していて景観も良い。傾斜の上に立っていてちょうど街を見下ろすように建っているのが実に良い。それに南向きでリビングは日の光がいっぱいに入ってくる
「……贅沢」
一面に張られたガラス窓、ガラス戸を開いて外に出れば足元から水路の涼やかな風が漂う。昼にも公道の河川の上にせり立つようにこのベランダはある。柵に身を預ければ丘の上から見下ろす街が見れて、下見れば川の水面の綺麗な光がまぶしい。
うん、正直このベランダのウッドデッキのスペースだけでも十分に暮らせる。ここで野宿ならむしろお金が取れる程だ
「……贅沢すぎる」
部屋に戻って、そしてあれほど騒いでいた皆が声を静めているのに気づいて、そして姿を追った。
吹き抜けの天井には剥き出しの柱が止まり木のようで、その上ハンモックまでもあってハーピィ系の入居者を意識した設計なのだと伺える。
「……皆は」
ハンモックには、誰も寝ていない。となると、三人は二階か
この家はワンルームで二階は無いけど、ステップ式で段差違いに一つ上の小さなフロアが合って、そこが寝室だ。
ワイドサイズのベッドが並んでいて、そこに三人は
「……ウィーネ、ここすきぃ」
「このベッド、すごく丈夫で爪で壊れたりしませんね」
いた、ベッドに大の字で寝転がってなんとも気持ちよさそうだ。うん、高級リゾートのホテルだって目じゃない。思えば、ウィーネ以外はこうして人のベッドで寝転ぶことも無かったのだろう。新鮮に感じている、だからレイさんも無邪気にうつ伏せで突っ伏していて
「……あ、皆さん起きて……これは、恥ずかしい所を」
「くす、いえいえ……気にせず楽しんでください」
「うぅ、でもこれは……仕方ないじゃないですか。こんな贅沢な、ええ……夢でないことが信じられません。本当に、ここが今日から」
「ベル、本当にここがお家なの?」
「……うん、そうなるんだ。すごいよね、僕も正直信じられないよ」
腰掛けるベッド、うん低反発でなんとも心地が良い。すでに置いてある最低限の家具、それも全て一級品だ
いったい、どうしてここまでサービスが受けられるのやら。僕は未だあの役所で受けた説明が腑に落ちない
……所持金は残り一万と少し
好条件なスタート。だけど、勿論そこにはトリックもある
言わないといけない。だから、意を決して
「……異種婚補助制度」
「「「???」」」
「ごめん、三人には言ってなかったけど……重ねてごめん、ちゃんと説明すると」
そう、言っていなかったこと。言うべきか、それとも秘するべきか悩んだけど、やっぱり言わないといけないことだ
この素晴らしい宿も、全部が全部タダじゃない。最低限払うべきものもあった、たったの一万バリスだったけど
でも、それには条件を満たしているからという前提があった。そう、この街では異種族同士の結びを良しとしているのか、結婚生活を支える仕組みがものすごく充実していた
その中で、僕たちを見て役所の人は何を勝手に勘違いしたのか僕を夫的立場と見て、そして三人をあろうことか婚約関係にあると決めつけて来た
流されるまま、否定しきる前に祝福の言葉やらなんやら述べられて、そして何もかもがトントン拍子でことが進んで、結果
「……この家を、借りられました」
「えっと、それはつまり」
「はい、レイさんは、というか三人は……皆僕の」
「「「僕の?」」」
「……妻です」
「「「……ッ!!?!?」」」
驚いている、それはもう驚いているに決まっている。だって、知らぬ間に婚姻関係にされてしまったのだ。世が世なら大罪、打ち首獄門引き回しでも飽き足りないセクハラ罪だ。判事のレフィーヤさんがギロチン刑を宣言しかねない
うん、なんとなく頭の中で僕を罰する人がレフィーヤさんになってしまう不思議、ほんとうなんでいつも怒っているんだろう
あ、話が逸れてしまう。うん、とにかく僕は
「ご、ごめんなさい……ぼく、三人の気も考えないで勝手に」
深く、深くさげる頭。当然土下座の形になる。けども低反発のベッドは悲しきかなまったく痛くない
「……ベル、どうして頭下げるの?」
「うぃ、ウィーネ……でもこれは」
「嫌じゃないよ。結婚、レイだってずっとしたいって言ってムグッ!?」
「な、この子は本当に何を言って……さ、別に気にすることじゃないはずですよ。だって、必要なのですよね、ね!ね!……ね、フィア!!」
「え、なんで私に……あぁ、まあ地上のお方はとても素敵ですし……あ、ベルはとても素敵なお方ですし」
「ふぃ、フィア!?」
「でも妻になったわけだし」
「形、形だけの話ですッ!」
「……」
「ベル・クラネル……あなたも!!」
「は、はい!!」
「わかっていると思いますが、あくまで形だけ……ですから、いかがわしいことは無いように、おねがい、します」
「……ッ」
尻すぼみする声、言いながらも意識してしまい顔を真っ赤にしてしまう。
だから、つられて僕も恥ずかしい。意識しないなんて、本当に出来るだろうか。うん、不安なのはひとまず僕とレイさんだけ
二人は
「つーま、つーま!」
「私知ってます、これはハネムーンというものです! キリ!!」
のんきに楽しんでそのまま部屋を飛び回っている。文字通り。
「……とりあえず、よろしくお願いします」
「あ、はい……不束者ですが、こちらこそ」
「れ、レイさん。その言い方、ますます本当な感じに」
「い、今のは無しで……うぅ」
……大丈夫かな、これから
赤面する者、笑うもの、今日を終える部屋の中はなんともせわしない光景で満ち溢れている。
まだまだ知らないことばかり、ひとまずは明日の食いぶりを稼ぐことが次の課題。ゆっくりとだが、確かに物事は進んでいる。成果もある
気持ちの良いベッド、そしてにぎやかな同居人。嘘の婚約関係だけが引っかかるものの、どうにか僕たちは住処にあり付けたのだ。うん、立派な前進だ
手持ちのお金は少し、食費ですぐに消えてしまうお金。違反金と二人分の服代、そしてここの手付金とあと買ってきな食料のお金
……稼がないと、せっかくいい家に住めたんだし。ちゃんと、皆に喜んでもらいたい
この世界にはダンジョンは無い。となると、あるのはごく普通の仕事
何か割の良い仕事は無いだろうか、明日もまた役所に直行だ。はろーわくなるもの、いったいどんな難題が待ちかまえているのだろうか
次回に続く
以上、物語の序章になります。意外といいスタートを切った四人の新生活、しかしここはR18、何も起きないわけがなく
まあ、展開は色々と考えております。さあ、誰が口火を切るかな
次回の投稿は少し期間を置きます。ちょっと他の作品とかも書きたいので
感想拝見させていただいております。日々の励みになっております、感謝です