白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
アンケート企画、年明けには正月特別回を短いながら書こうかと思っています。集計のご協力願います
この世界、フラスコオラリオなる場所にも慣れてきた。そんな夜のこと
「……ただいま」
夜遅く、恐る恐る鍵を開けて部屋に踏みいる。もう明かりもついていない、当然だ
ベッドのフロアを覗いてみる。そこには寝相の悪い三人の安眠、フィアさんレイさんと、そして寝相の悪いウィーネが二人の上に覆い被さって、下の二人は苦しそうだ。うん、微笑ましくてつい笑ってしまう。
お腹いっぱいにご飯を食べて、いっぱい遊んでそして夜は寝る。そんな日々、でも決定的に違うのはそれらがお日様の下で行われていたという事
皆、この生活を本当に楽しんでいる。元の世界への帰り方へ興味を失いかねないほどに、それはもう夢中でだ
「……守って、あげたいな」
三人の寝姿を見て、ふとそんな言葉がつい口から出てしまった。冒険も何もないこの平和な街で、日雇いの肉体労働に身を粉にして働く甲斐もあるというもの
早朝から出て、そして今深夜の時間に帰宅して、ひどく疲労がたまっていてもこの一瞬で全てが報われる。
「…………でも」
悲しきかな、幸せな瞬間はすぐ覚めてしまう。リュックの中には作業着と一緒に今日の稼ぎのバリスが
一日、朝から仕出し弁当の配達に城壁の土木工事、夕方からは飲食店でウェイター、計三つの仕事を掛け持ちして得られたお金、ここから食費と光熱費、諸経費を引いてしまったら
「……どうしよう、本当にどうしよう、どうしよう」
疲れの成果語彙もままならない。三人が寝ている今、僕はきっと他人に愚痴ってしまいたいことを独り言で発している、それほどにちょっと来ている、もう一週間、まだ稼ぎが足りない
役所で家を借りて、寝る所を手に入れて、でもそれからがまた大変だなんて、知っているのはぼくだけだ
皆は、本当にここにきて良い暮らしを満喫している。不安を感じさせたくないのは僕の独りよがりかもだけど、でも一度その笑顔を知ってしまってはそこを譲れない
……家賃は安いけど、生活費が高い。物価も違うし、それに三人にかかる授業料や諸々、うぅ
「毎月、最低でも30万バリス……今のままじゃ絶対足りないよね」
そう、今僕は三人を養っている立場だ。これが独り身だったりすれば問題ないけど、現実問題そうはならない。働くために必要な教養を持ってない三人はまず最低限共通語を学び算術だって身に着けて、やることは多い。しかも加えて、そこに種族の問題が関わる
レイさんとフィアさんは積極的に働く意思はあった。けど、彼女達には飛行種ゆえに普通の手作業はできず、知識を要するデスクワークなんかもってのほか、けどその翼を活かして飛行能力を要求される仕事ではかなり活躍できる、のだけど
そう、そこで問題になるのは免許。初日で二人がお説教を受けた様にこの世界で飛ぶには許可がいる。二人はまず、その試験を受けて資格を取得し、更には講習を受けてようやく労働まで至れる。
ざっと見て、それまでにはあと二月、足りない。なんならその授業料ですら足りないぐらいだ
「……借金、いやいや駄目だ。返済で苦しむなら意味は無いし、変な仕事紹介されても困る……あぁ、何か良い仕事ないかなぁ」
× × ×
~翌日~
……坊主、今日もよく働いたな……ほれ、今日のお賃金だ
現場監督の暑苦しくも優しいお言葉、真面目な働きを褒められるのは良いことだ。でも、そこに金額が見合っていたなら、もっと素直に喜べていたのに
「……はぁ」
いけないとはいえ、溜息は出てしまう。気がめいっても、この袋の重みは何も変わらないのに
……半日働いて7500バリス、今日はウェイターのシフトは入ってないから、この稼ぎで四人分の食費
飲食、もう少し増やそうかな。賄い、貰えれば食費も浮くのに
「おい、おいおい坊主……お前さん何してんだ」
「?」
乱雑な言葉、監督が僕に話しかけてきたのかと思い、振り向いた
けど、そこには屈強なタンクトップとヘルメット姿のいかつい監督さんは無く、いたのは如何にもな胡散くさい男
「ぁ……あぁ!!」
そうだ、見覚えはある。初日、僕をいかがわしいお店へと押し込んだお人
「ようベル坊って、なんかお前やつれてねえか」
「……ぇ、まあ……そうですね。はは」
この世界で出会った数少ない知り合い?になるのか、夜のお店大好きなスタンクさんがそこにいた。
依然あった時は冒険者然としていて、帯刀もしていていたけど今はタンクトップにボトムズ、ツルハシとヘルメットの装備が僕よりも似合っている
「……あれ、相方の」
「ゼルなら別の仕事だ。こういう汗臭い仕事は似合わねえってさ、夜のベッドで書く汗はどうなんだって話だよな、なははは」
「……は、はぁ」
反応に困る下ネタトーク、しかし相も変わらずといった感じか、出会ったのは短い期間だが妙に円を感じてしまっていた。だから、こうして再開したのに妙な落ち着きがある。
スタンクさん、それにしても同じ現場で働いていたなんて、世間は狭いや
「しっかしお前さん、よくもまあこんな仕事で頑張ってんな……土木作業なんてよ、若者にはサンケーだろ。なんでまたこんな仕事すんだ?」
「……えっと、僕も要りようなもので」
「そっか、お互い大変だな」
「……スタンクさん」
横に腰掛けたスタンクさんは、どこか遠い目をしている。何か思う所があるのか、もしかしてこの人も誰かの為にお金がいるのだろうか
要りようの意味、それは
「金が無いと、夜のお店で遊べねえからな……はあ、世知辛いぜ」
「……」
「お、その顔呆れているな……ははは、大人にしかわからん問題という奴だ」
がははと笑い、背中をバンバンと叩いてくるスタンクさん。一瞬でも自分と同じようにだなんて考えた僕が馬鹿だった。この人はあれだ、近しい人で言うならモルドさんに近しい人種だ
真面目に取り合って、また変なことになったら、でも以前はそのおかげでウィーネにも会えたわけで、あれもしかして僕この人に借りがある
結構な恩があるかも、そう思うと何だろう
……離れた方が
「ところで、ベル坊……お前」
「!」
びくっと、逃げ出そうとして力を入れた肩をスタンクさんは掴んできた。目線が合って、その顔はなんとも言えない無表情にこれでもかってぐらいに不穏な気配を満ち溢れさせていた
ワキワキと動く指、おもわずぞわっと身の毛がよだつ
「金に困ってる、そうだろベル坊」
「……なんの、ことでせうか」
引きつった声、しかし逃げ場は無いようで
「お前にもいい話がある、肉体労働よりもずっと稼げる良い仕事だ……どうだ、一口乗らないか」
「……ッ」
薄々理解してしまう。依然も持ち掛けた話、流れの中でしれっと言っていたこと
そして、このフラスコオラリオで暮らしてきて自然と知ってしまったこと。そう、このスタンクさんなる人物とある界隈ではちょっとした有名人で
「お前さんみたいな純真で可愛い面の男なら嬢もいいサービスをしてくれる、つまりレビューの価値も上がるってことだ。読者はな、誇張の無い生々しいリアリティを求めているんだ」
「……それ、やっぱり、ダメダメ! 絶対無理です!」
そう、ここオラリオは僕の知るオラリオよりも、そう、色々とお盛んなのである
そして、その界隈の店を利用する人たちの間でこの人たちの名前はかなり知れ渡っている。現代で最も崇高な性の伝道師、迷ったら彼らのレビューアを読め、なんならそれだけで満足して達する奴もいるぐらいだ。あいつらを雇ってレビュー雑誌を刷りまくって正解だぜ、毎日ウハウハで最高だ笑いが止まらんナーハッハッハッハッハ……by某カズマ氏
……良くない、僕は間違いなく良くないお仕事に関わってしまう
赤ランプを激しく点滅させるぼくの理性、今すぐにでもこの人の手をほどいて去らないと色々手遅れになってしまう
なのに、僕は
「レビューアを一軒書くだけで報酬は、ざっとこれぐらいだ」
……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「……な、なんだ、とッ」
擬音が背後に浮かび人物像が激しく劇画的になるぐらい、自分で思って何考えているんだって感じだけどでもそれぐらいに驚愕の金額を提示されてしまった。
広げた手の指が示す金額、それは僕が休みなく更に飲まず食わずで働いた一週間分を軽く倍で上回っていた。
「……そ、そんな、本当に、まま、まさかそんな大金が」
「いや、あり得るんだなこれが」
「え、でもなんでこんな土木の仕事なんて」
「ギャンブルで全額すった。バニーガールと火遊びが楽しくてな、気づけば一夜で100万バリス吹き飛んじまった」
「……えぇ」
「けど、そんな損失も全部レビューアーで解決する! 軍資金はある、今から行くぞ少年! 股間が唸るぜ!!」
「え、えぇえええええッ!!?!?!?」
次回に続く
以上、ベルとウィーネ達で送る現代ライフにてございました。新しい金策で生活はどうなるやら
今年もあと少し、もう少し投稿したい