※この作品はR-18です。

白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー   作:37級犬築士

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毎月の更新、支援サイトにて最終話の方は投稿済みです。




【13話】人妻リヴェリアは若いウサギに寝取られたい~母性と純愛が織り成す光のNTR幸福劇

 

 

 

 今でも覚えている。冒険者として始めてダンジョンに踏み出した時、あの子が無意識に私に手を伸ばそうとしていたことを

 

 幼い頃から面倒を見たがゆえに、手をつないで緊張を和らいでやるのが私とあの子のお決まりだったから

 

 しかし、私はあえて手を引いた。ここはダンジョン、踏み出せばその瞬間ひな鳥であることが免罪符にはならない。

 脅威は容赦なくそなたを襲う。その時、握る者は守る親の手ではなく、そなたが手にする杖であるべきだ。

 

 獅子は己が子を谷底になんとやら。この場で親代わりは出来ない。厳しく、冒険者として一歩を踏み出すあの子に、私は冷たく、行くぞと短く告げるだけで良かった。

 

 なのに、私はやはり過保護を捨てきれなかった。

 

 握ろうとした手を、私は掴んでしまった。

 

 

『……落ち着くのだ。ちゃんと、私が傍にいる……そなたは胸を張って、冒険に挑むとよい。』

 

 

 優しく、穏やかに、その言葉を授けた。

 

 ブライは不安に震えた顔を明るさに変えて、勇ましい大ぶりな一歩を踏み出した。

 

 私が支えた。私が導いた。

 

 ただしく、あの子は一人巣立つ機会を失ったのではないかと、今となっては後悔している。

 

 ある日、遠征中に功を焦り大損害を出した事。そして、その後に慰めを求めて私の初めてを奪ったこと。

 リヴェリアの夫という身分を手にして、道を大いに踏み外し堕落の道を生き続けたこと

 

 あの子が道を踏み外してしまったのは、きっと、もっと前からの積み重ねだったのだろう。

 

 

~人妻リヴェリアIFストーリー PART13~

 

 

 

〇

 

 

……ガシャンッ

 

 

 

「リヴェリア!リヴェリアリヴェリアァア!!」

 

 

 憤る男の声が騒々しい宴に冷ややかな静けさを上書きする。何事かと見守る大衆には、酔った男が女性に手を出そうとする現場が映る。

 しかし、止める者はいない。 

 冒険者、ブライ・ローガンは悪い意味で有名であり、そして彼が殴った女性が壊れたテーブルを払いのけて立ち上がると、かぶっていたカツラは滑り落ち翡翠の長髪が露になる。

 

 身綺麗に着飾ったリヴェリア・リヨス・アールヴを、皆は見てしまった。

 

 夫婦の、個人的なことに言及は出来ない。だから、大衆は即座に野次馬に変わる。

 

 やじ馬たちの視線を浴びながら、リヴェリアは静かにブライを見つめ、そして周囲の視線も注目も知らずか、自棄になったブライは 

 

「……リヴェリア、リヴェリアッ……クソ、お前どうして……どうして、家から出ているんだッ……まさか、俺を裏切るのか!!」

 

 

「——ッ」

 

 悲痛な顔を、噛みしめて堪える。目をそらし、身を守るように腕を抱き

 

 リヴェリアは、言葉で解決を望もうとする。だが

 

 

「なあ、ブライ……そなたは」

 

 

……バキ……ガシャアンッッ!

 

 

「!」

 

 

 額を伝う冷たい液、そして自身の内から灯る熱。

 

 口の端には酒の甘みと、己の血の味を感じた。投げつけられた陶器のジョッキで額を切ってしまった、だけのことだ。リヴェリアにとって初めてではない。

 

 酒に酔ったブライは劣等感と〇〇認知が暴走する。

 

 リヴェリアは口を紡いだ。叱責を、ただただ一身に受け止める為に

 

 

 

「裏切者ッ……お前は、俺の妻だッ……俺を、俺を見捨てるなんて絶対許さないッ……許さないからッ……許さないからなッ……リヴェリア、リヴェリアリヴェリアッッ!!……俺の、俺のッ!!」

 

 

「……ッ」

 

 

 近づく、ブライの手がリヴェリアの肩に触れて、肩口から布を引き裂く様に引っ張る。ちぎれこそしないが、艶やかな乳房が谷間から零れそうになる。

 

 

「お前が……こんな服を着るわけがないッ……誰にだ?誰に見せたッ!?……誰に、体を許したッ!!」

 

 

「そいつの名前を教えろッ……殺してやる、俺がこの手で顔潰してやるッ……首を追ってやるッ……魔法で、二度と息の吸えない体にしてやるッ」

 

 

 怒号を上げて、憎しみを叫びちらすブライ。

 

 その矛先はリヴェリアを通じて、彼へと向けられた。

 

 

「!?」

 

 

 リヴェリアの曇り瞳に、僅かだが光が戻る。

 

 

「……駄目、だッ……言わないッ」

 

 

 告げた。

 

 震える唇で、だがしっかりとブライの目を見てリヴェリアは言い放った。

 

 

 

「リヴェリアッ……お前、まさか……本当に裏切ったのか、俺をッ……僕をッ!!」

 

 

「……————ッ」

 

 黙した。返事はない。だが、リヴェリアの目は確かな肯定を告げる。

 

 嘆き、絶望して、無気力な妻でいることは出来ない。リヴェリアは確かな光を目に灯し、今一度ブライに向き合う。

 

 向き合おうとして言葉を吐こうとする。だが、その前に

 

「何を黙っている……ふざけるな、ふざけるなッ……リヴェリアは俺の、僕のだッ……僕だけの、リヴェリア・リヨス・アールヴなんだぞッ!?!?」

 

「……ブライ、もう……もうよせ……これ以上は」

 

「や、やだ……捨てられたくないッ……見捨てないで、見捨てられたくないッ……だって、僕は、僕はッ……リヴェリアのせいで、惨めな人生を送ったんだぞッ!!」

 

「!?」

 

 

 ざわつく観衆、ブライの涙ぐんだ声に皆耳を傾けた。

 

 ブライは周囲を見た。

 

 哀れみの視線を浴びたと感じるブライは、泣き笑い饒舌に語りだす。

 

 リヴェリアに縋り付く様に、庇護を求めるように。

 

 責任を、思い出させる為に

 

 

 

「あの日、遠征で大失態を出したのだって、俺は悪くない!お前の、リヴェリアのせいなんだッ……俺は、リヴェリアに守られていればそれでよかったのに!お前が期待するからッ……周りが、俺をリヴェリアの一番弟子として見るからッ……俺は、誰よりも頑張らないといけなくてッ……なのに、周りは俺よりも才能と運に恵まれてばかり……俺だけが置いていかれていった。俺が落伍者だってことは皆気付いていたさ!団長も、ロキも!若いアイズだって気付いていた……なのに、落ちこぼれをお前たちは……期待した!?俺を弱者として放っておいてくれなかったんだ!!分不相応な夢を抱かされて、出来もしない冒険に挑まざるを得なかった!!……なんでか、それがわかるかッ!!!」

 

 

「僕がッ……ブライ・ローガンが、英雄リヴェリアの一番弟子だからだッ!!」

 

 

「僕は悪くない……リヴェリアのせいで、僕は……僕はッ……僕はッッ!!?」

 

 

「僕は、お前のせいで……不幸になったんだ……だから、リヴェリアが責任を、取らなきゃいけないんだぁアアアアアアアアッ!!!?!?!」

 

 

 

 

 叫び散らす、聞くに堪えない言い訳の叫び。

 

 だが、これが少し前であればリヴェリアは優しくブライを抱きしめていただろう。

 

 それが、共依存で自信をセルフネグレクトしていたリヴェリアの、正しいと信じた行動だから。

 

 だが、今のリヴェリアにそれはもう

 

 

 

「——————ッ」

 

 

 

 感情は凪ぎ。

 

 恐ろしいほどに落ち着いた顔で、涙も枯れ意識はブライではない他の人物に向けられている。

 

 眼中にいない。

 

 もはや、リヴェリアの心は罪悪感の鎖を解いた後。

 

 

 

「……ブライ」

 

 

「————ッ」

 

 

 名を呼ぶ。かける言葉に期待してブライは口角を吊り上げる。

 

 しかし、それは来ない。

 

 期待した、自分を心配して、自分にへりくだり、自分に庇護と優越感をくれる素敵な素敵な従順たる妻は存在しない。

 

 この場に居るのはもう既に、ブライ・ローガンの妻ではない。

 

 光のある場所に立つ、白いウサギと幸せを誓った他人の妻がいるだけだ。

 

 

「ブライ……歯を食いしばりなさい、強く、強く」

 

 

「え?」

 

 

 理解できない言葉に固まるブライ、そして、視界は突然の急上昇を見舞った。

 

 

 

…………ドガッ……ドッシャァアアアアアッッ!!

 

 

 

 

 跳ねる、回る、打ち跳ねて地面に転がる。

 

 ブライの頬を打ち抜いた拳は、リヴェリアではなく颯爽と現れた白髪の少年が放ったもの。

 

 

「離れろッ」

 

 

「……が……ぁ、っくは……ぁ、あぁあ!??」

 

 

 妻を守る若き夫が、光ある場所に立っている。

 

 魔石の光をその身に浴びて、輝かしく立ち己を見下ろす視線を見上げ、ようやくブライは彼の名前を思い出した。

 

 

「ベル……クラネルッ」

 

 

 どよめく大衆の声、周囲の視線はリヴェリアとブライを隔てるように、否

 

 美しき妻を守るため、悪漢から守るために立ちはだかる騎士へと向けられていた。

 

 視線を遮る物は無い。音も良く響く。そんな中で、ベルは躊躇いなく堂々と宣言した。リヴェリアの手を握り、ブライに向けて言い放った。

 

 

 

「この人は、人妻です……貴方に、触れる権利はないッ」

 

 

「貴方みたいな、そんな」

 

 

 固唾を飲んで見守った。

 

 妻を略奪するナイト様の言葉を、酒の入ったグラスを手に、今か今かその時をと待っていた。

 

 だが、出た言葉は、誰も予想していなかった。出来なかった。

 

 

 

 

「どこの誰とも知らない人が気軽に名前を呼ぶなんておかしいです!……貴方、いったい誰ですか!リヴェリアさんは、旦那さんのいる立派な専業主婦ですよ!」

 

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 

〇

 

 

 

 

~ベル視点

 

 

 料理を買いなおしに行った道中、夜のお店の人と思わしい身綺麗な女性達に捕まり、なんとか振り切るは良いものの、今度は道に迷い元の場所に付くまで時間を要してしまった。そして、リヴェリアが待つテーブルに向かおうとしたら、そこには何故か人だかりができていて、そして何やら濁った叫び声がやたらと響いていた。

 

 誰かがひどく酔っぱらって、辛み酒でもしているのかと、ベルは野次馬の壁をどうにかかき分けて、顔を出す。

 

 そして、ベルは見てしまった。

 

 金髪のかつらをかぶったはずのリヴェリアが正体を晒し、そしてそんなリヴェリアに絡む、醜い男の姿を見た。

 

 

……良く聞こえない。太ってるから、声が聞き取りにくい

 

 

 発音ははっきりしない。だが、それでもリヴェリアの名前を何度も叫んでいるのはわかる。

 

 つまり、言い寄っていると見るべき。そして、リヴェリアは辛い顔をしている。

 

 

「!」

 

 

 この時点で、ベルも若干の酒気で理性的ではない行動に出てしまった。

 酒と場の空気に飲まれて気が大きくなっていたことを、後になってから叱られる。

 

 とにもかくにも、ベルは見てしまったのだ。

 

 リヴェリアに言い寄る酔っ払い男を

 

 その男が、まさかリヴェリアの夫であるブライ―・ローガンだなんて欠片も思うことなく、飛び出して拳を振るってしまった。

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

「嘘だ、この人が……本当にブライ・ローガン??」

 

 

 視線を向ける、見下ろした先には、明らかにサイズが合っていない高そうなブランド服に身を包む、太った中年の小汚い男。

 

 かろうじて見える長耳でエルフであることはわかる。しかし、見るからに立つだけで膝が悲鳴を上げそうな体型に、偏った食事と酒で荒れてしまった肌は吹き出物が消えず痕になってしまっている。

 

 髪の毛も全体的に薄く、後退が見えている。

 

 翡翠の髪の、エルフの美男子あったブライ・ローガンは、既に終わった外見をしていた。

 

 その事実を、まるで知らないとばかりに振る舞っていたブライだったが

 

 

 

「お、俺が……ブライだッ!……ブライ・ローガンだッッ!!」

 

 

 

「嘘だ!……美人なリヴェリアさんの夫が、貴方みたいな不健康で自堕落でダサい服装の薄らハゲなおっさんが、リヴェリアさんの旦那のわけがないッ!?」

 

 

 全否定、容赦なく言い捨てる。

 

 結果、周りは吹き出した。

 

 観衆がどっと笑った。手を叩き、指笛を拭き、いいぞいいぞと揶揄して元の酒宴の騒がしさが辺りの静けさを上書きする。

 

「……お前が、お前がッ」

 

 

「!」

 

 

 恥をかかされた。憤り、ブライは拳を握った。

 

 ブライの背には未だにステイタスが刻まれたまま。後衛職とはいえ、そのレベルは3.ベルを上回る力を持っている。

 

 

「お前がぁあああああッ!!?!?!?」

 

 

 憤り、駆け出し、拳を振り上げて仕返しとばかりに頬を狙った。

 

だが、誰が見てもベルの方が早く、そして強い。

 

 

「わ、急に何をするんですかッ……危ないなぁ」

 

 

「!」

 

 

 足払い、そして転ぶ前に首根っこを掴む。

 

 しかし、脂ぎっていたからかそれともパツパツで生地に限界があったのか、ベルが握った個所から服は割けてそのままデカ腹を地面に打ち付ける。

 

 

……ドサ

 

 

「————ッッ」

 

 

 羞恥に悶える顔、くすくす笑う周りの声にブライの酔いは覚める。

 

 長い長い、現実から目を背け続ける為に蒙昧であり続けるための酔いが、今この瞬間に冷めきってしまった。

 

 

 

 

「……ブライ」

 

 

「り、リヴェリア……僕はッ」

 

 

 見上げる、見下ろす。

 

 リヴェリアの前で倒れたブライ、手を伸ばし庇護を得ようとした。だが、その手を取るはもう来ない。

 

 リヴェリアは、手を握らない。

 

 もう昔のように、安心感を与える手繋ぎをリヴェリアはしてくれない。

 

 この瞬間だけに限らず、この先未来永劫、その手はブライではなく、ベル・クラネルを選んでしまったのだから。

 

 

 

 

「ひどいなぁ、酔い過ぎですよ。行きましょうよ、リヴェリアさん。こんな、自分がリヴェリアの旦那だって勘違いしている人なんか、関わっちゃダメです。」

 

 

「!」

 

 

「行きましょう、さあ」

 

 

 手を伸ばす。

 

 ブライが見上げるその先で、リヴェリアはベルの手を取った。

 

 

 

 

「行こうかベル……知らぬ方よ、失礼する」

 

 

「……これは余計なお世話かもしれんが、そなたは少々酔い過ぎだ。」

 

 

「家に帰りなさい。酔い醒ましの薬はテーブルに湯冷ましと一緒に置いてある。」

 

 

 

 脳が壊れる音があるなら、それはさぞ脆い花瓶が砕けるような音で、もう取り返しがつかないと耳にする者に思わせる響きだろう。

 

 落とした花瓶は戻らない。破片を集めても、糊で継いでも、そこに綺麗な花は活けられない。

 

「————リヴェリア、リヴェリアッ……ごめん、なさいッ……ごめんなさいッごめんなさいッ!!……ひぐ、うあぁ、うわぁあああああああああああッッ」

 

 

 愛でる花は既に新たな花瓶を選んだ。澄んだ硝子の器、中には清い水が満たされている。

 

 蒙昧で盲目なブライの目にも、その美しさは良く見えてしまった。

 

 他人の花瓶に差された翡翠の花は、己の手では遥か及ばない美しさで活かされていた。

 

 

 

次回に続く

 

 




読了感謝です。


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