白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
~彼氏持ちレフィーヤIFストーリー PART4
彼氏君がいない。彼氏君は無職、いや確か充電期間と本人は言っていた気がするけど、つまりは遊び人。
あの人が朝起きて私の顔を見ているのが、私の一日の始まりだった。なのに、今日は誰もいない。
乱れた衣類、枕についている自分のモノではない頭髪、不可侵を〇〇ておきながら下着の下には何も触られた痕跡はない。
まあ、それは一度寝ぼけて彼を投げ飛ばしてしまったから。
彼氏君は私に命令をいっぱい言うけれど、無理やり手を出そうとはしない。優しい、彼氏君……だよね?
……————ッ
「ふわ、はわわ……ふにゃ」
寝ぼけ眼を擦って窓を見る。開けっ放しで寝ていたから、窓際には小さな鳥が覗き見をしていた。ついばむエサが欲しいのか、私を見て首を振っているようにも見えなくもない。可愛いな
残念だけど部屋に食べ物が無い。餌になるものを探して、ここに戻ってきたころにはきっと空に飛び去っていると思う。
可愛がりたいのに、でも鳥は自由だから仕方ない。
「覗きなんて悪い子……えっち♪」
ベッドから起き上がって、数歩。嫌味を吐きながら朝日を浴びる。
小鳥は逃げない。
餌付け慣れしているのか、私を警戒しない。差し出した手にも応じてくれる。
軽く握った手の穴の中、何も掴んでいないけど小鳥は懸命にエサを探している。木のうろにくちばしを差し込んでエサを探すように、だけどその内揶揄われているのだと気づいて小鳥はこちらに目を向けた。
白くて、赤い目の鳥。
なんだか愛らしい、小首を傾けるような仕草がなんとも言えない。つい、指を伸ばしてしまった。
「ん、きゃ♪……こら、餌じゃないですよ。残念でしたね♪」
再度近づけた手に今度こそ餌付けを期待したのか、手の至る場所をまさぐる
指の隙間、手の甲、手首まで見て、そして何もないと知って異を唱えるようにぴーぴーと鳴いた。
あぁ、意地悪をしてしまった。でも可愛いなぁ
「なんだか似てる」
思い浮かべるのは生意気で憎い、悩みの種のあの人。
最近おかしいとは気づいている。私は彼氏がいる女の子なのに、あの人を思い浮かべるだけで心が浮ついてしまう。
反対に、彼氏君を心配しようとするほど、心は鉛を抱えて重く沈んでしまう。
「……浮気、したいのかな?」
ふと、口に出してしまった。
鳥が窓から飛び去って、空へと消えていく。
「逃げないでください、生意気ですよ……————」
名前を言おうとしたら、唇が拒んでしまった。
熱っぽい、今日は約束があるのにこれではいけない。
名前を口にしようとしただけで、この体は無性に疼いてしまう。なんでかわからない、でも同じような衝動はわずかにだけど彼氏君相手にも覚えていた。
彼氏君が、最初に私に向けて言った命令、それが呼び起こされる。汚い服で、肌で、だけど手には綺麗な宝石を持っていて
叫び声を上げようとしたら
……命令する、この宝石を持っている俺を■■と思えッ
……これを持った俺を想うたびに、発情するエロい女になれッ
……オレの女になれ、レフィーヤたそ!!
「———ッ」
頭が痛くなる。
彼氏君の、汚い……いや、男らしい告白が、妙に違和感になって仕方ない。
「すぅ、はあぁ……どうしたんだろう、私……彼氏君のことを想うと、気分が悪くなっちゃう」
言語化してしまった。
あぁ、もう駄目だ。余計に、意識して悪くなる。唇が渇いて気持ち悪い。
「……ベル、ベル・クラネル」
なんとなく口にしてみるあの人の名前
言葉を発したから唇が湿る。不快感が消えて、ほんの少し体が軽くなる。
「ベル、ベル、ベル・クラネル……ふふ♪」
気分が戻る。
爽快な朝を感じて、体は軽くて仕方ない。今にも浮いてしまいそうなほどに、私はとてもいい気分だ。
「ベル、ベルベル……ベル・クラネル……んふふ♪……べ~るべ~るべ~る、べ~る、く~ら、ね~る~……っぷ、あははは」
笑ってしまう。
自分でも呆れる。私は、悪い女の子だと
彼氏がいる女の子なのに、頭の中は彼氏じゃない男の子とばかり。あぁ、これではまるで
「……浮気、っぷ」
お腹の底からこみ上げる笑い。心配してたまたま通りかかったアリシアさんが部屋の戸を叩いてくるまで私は嬉しそうに笑っていた。
浮気、最低最悪の言葉なのに
どうして、これほど心を震わせる言葉がこの世にあったモノかと
「……ッ♪」
私は浮かれている。そして、熱に浮かされている。
〇
~sideベル~
デートをすると、僕は言うこともなく出かけた。鍛錬で独りダンジョンへ赴くことはいつものこと、いってきますと言って帰る時刻を言えば神さまも誰も何も言わない。
周りの皆、何も気にせず送り出してくれたから、余計に悪いことをしていると自覚してしまう。
「……ッ」
念のため、朝ホームを出てから宿に入り、そこで身だしなみを変えてみた。
似合っているかどうかはわからない。だけど、女性と会うのに見た目を気にするわけだから褒めてもらえると嬉しい。せっかく服も、髪も、アクセサリーだって良いものを選んだのだから。
……これ、結局貰っちゃったけど
首元が寂しくて、たまたま持っている首飾りを付けてみた。いつものボクとは違う、少し荒っぽく気取ったボクがいる。宿の姿見で確認して、覚悟を決めて外に出た。
反応を予想しながら僕は待ち合わせの場所へと向かう。レフィーヤさんに助けられたお礼、一日相手をする、つまりデート。
人気の多い中法広場ではなく、オラリオの中でも最近カップルが良く遊びに使うと聞く場所へと向かった。
大通りから小道に入り、少し密になる人込みが左右で別方向へと綺麗に流れている。
流れに沿って右をゆく、すると流れの中で足を止めて端に立つ人がちらほらと、そして見つけた。待ち合わせは先に行くべきかとも思ったけど、僕が見つける側で正しかった。
「っぷ、んふふ、あははははッ……やだ、なんですかそれ♪」
「似合わないかな?」
「いえ、似合うとか以前にですよ……っぷ、くく、あははは♪……意識し過ぎですよ、ベル♪……黒髪だし、ファッションだってまるでベートさんじゃないですかッ♪……っぷ、あははは、アクセサリーまでつけて……あなた童顔で可愛い顔なのに、背伸びしすぎッ……はは、あははははは♪」
流れの人から視線を浴びる。可愛い女の子が楽しそうに笑っているから、仕方ない。
外見を笑われて悪い気にならない。それは、やはりレフィーヤ・ウィリディスなる女性は可憐な乙女であるからなのだろう。
マキシワンピースに、長い髪は束ねてシニヨン。露出は控え、しかし体のラインは強調している。大人びていて、抑えながらもどこか大胆。
何かの重責から解放されたかのような軽快さが感じられる。
彼氏を持っている女性、レフィーヤさんは僕に会うためにばっちりと決めてくれている。
「うぷ、くくく……やっぱり似合いませんね、貴方の黒髪なんて♪」
「一応変装のつもり、なんだけど」
「気遣いですか、なら感謝を言わなくてはいけませんね。ありがとう、ベル」
「……ッ」
「なに面食らっているんですか、ちょっと今日の貴方は面白いですね。もっと、揶揄って遊んであげましょうか?」
「揶揄うッ……な、何を……て、レフィーヤさんッ!?」
近づいてきた。
向かい合って、手が届く普通の距離を近くまで詰めて来た。
普通から、近くへ、そして密に
「!」
抱きしめて来た。
ボクの腋の下に腕を突き刺して、そのままホールド。
逃げられない、逃がさない、レフィーヤさんはボクの心音に耳をすませている。
「……ッ」
「ふ~ん、ちゃんとドキドキしているんですね……やっぱり面白いじゃないですか♪」
……ガヤガヤ……ジロジロ
「れ、レフィーヤさんッ」
小声で訴えかける。周りの視線が流石に痛い。ここはカップル達が集まる場所ではあるが、それでも大胆な行いは視線を集めてしまうもの。
黒髪のヒューマンと、山吹色の髪のエルフ
そんなカップルを見ている視線が、ボクの中にチクリと針を刺す。
「……本当に、良いんですかッ」
「?」
とぼけた顔、密着した顔を話してにやにやといじらしく見つめてくる。視線をそらしてしまったのはボクの方だ。
常に負かされている。
生き生きと、顔を合わせてからずっと上機嫌なレフィーヤさんに僕は冷たい水をかけてしまう言葉を吐いた。
「彼氏さんがいるのに……気を付けてください、はしたないですよッ」
意趣返しなのか、余計なお世話の忠告か
出てしまった言葉は機嫌を損ねさせてしまうと理解している。だから、だからレフィーヤさんは
「やだ」
「え?」
「やめてください、ベル……私といる間は彼氏君の話なんてしないでください」
「……」
怒るはず、足の一つでも踏まれたらそれで納得がいくのに
どうして、笑いながら悲しそうに僕を見るのか
「今は……今だけは……二人きりの間は」
「れ、レフィーヤさ……————ッ!?」
……ちゅ……くちゅッ……ぬりゅ、くちゅッ♡
……ぬっぷ……くちゅ、ぬりゅん♡
…………ちゅ、ちゅ、ぬちゅ……くちゅ、つ……っぱ♪
「はぁ、はあぁ……んふふ♪」
「気を付けてください」
「今度、言いつけを守ってその言葉を言うなら……塞いじゃいますからね♡」
人差し指を立てて、そっと唇に押し当てる。
キスをされたわけではない。僕は、レフィーヤさんの指先と口付けをした。
「!?」
おののいて数歩下がる。
動揺、震えて息を乱す。そして、思い出す。
口の中に指を入れられて、歯を撫でられて舌をくすぐられた。
皮膚の感触、骨の存在、爪の滑らかさ
口の中には未だレフィーヤさんの残滓を感じていた。
「あ、え……指、汚れて」
「……?」
気にするべきところがこれで在っているかはわからない。だけど、まず僕は相手の心配をしてしまった。性なのだろう、とにかく相手を心配することだけに頭を巡らせた。そうでないと、パンクしてしまうと本能で理解していたから。
ポケットを探す、ショルダーバッグにハンカチを入れていたことを思い出して、僕は急ぎ手渡そうとしたら
……チュポン
「大丈夫です、もう綺麗になってますよ……ほら♡」
「!?」
差し出された指先、目で見てもわからないから言葉を信じるしかない。
だけど、視線を外した時
「あの、まさか……」
「さあ、何のことでしょうかね?」
いじらしく笑うその笑みに、それ以上の質問はさえぎられてしまう。
「ふぅ……待ち合わせから、私たちはいったい何をしているんでしょうね♪」
「そ、それをレフィーヤさんが言いますか?」
「レフィー」
「え?」
「レフィーって言ってください……命令です、忘れていませんか?……これ、お礼ですよ?」
「ん、んぅ……っく……そうだけど、でもッ」
「彼氏がいるからって、言うのも禁止です……今度は指じゃ済みませんよ?」
「……れ、レフィー」
観念して、絞り出した呼び名
ぎこちない発音で発したその響きに、レフィーの表情は喜色満面。耳の先までぴくぴくと震えていた。
「もう、生意気です♪……ベル・クラネルのくせに♪」
「フルネーム」
ついこぼした不平
それを見逃すレフィーヤさんではない。
「……ベル♡」
「!」
甘い声で、ボクの名前を呼ぶ。
この瞬間僕は確信した。今日の僕はレフィーヤさんから終始有無を言わせない押しの一手を受け続けるのだと。
次回に続く
読了感謝です。
どんどん甘々なベルレフィ展開が加速します。次回をお楽しみに
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