白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
濡れ場はないですが甘々に仕上げています。
「今日は……私と付き合ってはくれないだろうか……?」
「!!」
突然の出会い、そして突然の誘い、目の前の現実に思考が追い付かない。
目のまえにいる女性はとても魅力的で、なによりその存在はこのオラリオで広く知れ渡っている。まだこの地に来て1年にも満たない自分と比べてはるかに長く、さらに言えばその生きてきた年数も遥かに上で
きっと、彼女にとって僕は未だ生まれたばかりの幼子なのかもしれない。
「………」
…付き合って、まさか……僕なんかが、この人と
言葉に詰まる。妙齢の美人に詰め寄られて体が石になっているから…というのもあるが、その言葉の意味はどちらの意味で受け取っていいものか……
「………えっと、付き合うって……どういう」
「?……それはもちろん、文字通りの意味だが」
「!!」
……文字通り、それってつまりそういう……!!!
うわさに聞いたことがある。都会では、女の人がこうして男を誘う、いわゆる逆ナンという概念があると
…まさか、本当に僕が……でも、だからってどうすれば
「?」
リヴェリアから見て、ベルの様子は無言のくせに表情だけは大変あわただしく目に映った。
「……ああ、そういうことか」
何かを悟ったリヴェリアはおもむろにベルの手を掴む。いきなり手を掴まれたことにベルは動揺するが、反論する暇もなくリヴェリアはベルを引きずるようにその場を動き出す。
「え、ええ!? 僕まだ、何も言ってないですよ!!」
「…無言は肯定と受け取ったまでだ。君も暇なのだろう、なら付き合ってくれたまえ」
どこか強引な気もするが、歩き出せば次第にそれが落ち着いてくる。手を引かれ、リヴェリアにエスコートされる気分が、段々といいものと感じてしまう。
「…あの、ここからどこに…?」
「……そうだな。食事はどうだろうか、君……いや、これは他人行儀でいかんな。ベル、そなたはもう昼食は済ましたのだろうか」
「!………えっと、まだです…ね」
いきなり名前を呼ばれついドキッとしてしまう。結局のところ相手は超が付くほどの美人だ。緊張しない方がむしろ失礼なほどだ。
「そうか、私は済ましたばかりだが、少しぐらいなら……おや、顔が赤いがどうした?」
「……いえ、ではそれで」
なんだったら、さっきからずっと赤いままだ。自分は異性に対してあまり免疫はある方ではないのだが、にしてもこの人といるとどうにも気が落ち着かない。
……やっぱり、綺麗な人だな。エルフだからかもしれないけど、でもどこか親しみも感じるし……その色っぽい……
手を引かれ、一歩後ろをついていくベルはついその姿を品定めするように視線を動かしてしまう。
翡翠色の長髪。端正な顔つき、そのどれもが美しく清らかだ。さらにいえば服越しにも見て取れる胸のふくらみ。隠されたものが奥にあるほど、想像の力が意志に背いて働いてしまう。
「………」
…見られているな。本当に素直な子だ
視線を感じる。なにか一言、少しからかってみたくもあるが、さすがにそう何度もは酷だろう。
時間はまだいくらでもある。せっかくの機会、リヴェリアにとって今はこのベル・クラネルという少年、彼への好奇心が何よりも勝っている。
「……あと少し先だ。甘いものは嫌いかな?」
「……いえ、そんなことないです。…ごちそうになります」
〇
店に入った。どうやらここはエルフ御用達の軽食店で、リヴェリアさんはそこの常連らしい。入店して、知り合いと思しい店員と軽いやり取りを済ませ、僕らは奥の座席に移動した。
正直、相手が相手で、会話なんて持つのか不安だったが、そこは人生経験の差というものなのだろうか、軽い軽食を済ませ、軽い世間話や近況のことを受け答えするうちに肩の力は抜け、むしろ居心地の良さまで感じるほどになっていた。
「…で、アイズと組手をか…あの子のことだ。加減が出来ずに痛い目にあったのではないか?」
「あはは……。いきなり重い一撃を貰って、そしたら気づけば空を見上げていました。」
「ふふ だが、それでも食らいついたのだな。立派な男だ」
「いえ、そんな……。」
「謙遜しなくてもよい。ベル、そなたのことはアイズからも聞いている。懸命に、上を目指して励んでいるようだな」
「アイズさんが僕のことを…」
「ああ。いつも楽しそうに聞いているよ。だが」
「?」
机の上に両肘をつき、重ねた手に顔を置き、彼女の視線が僕に向けられる。品定めをするように、言葉を発しないままこちらの顔をじっと眺めている。
「……?」
「……人から聞くよりも、こうして直に向き合う方がずっといい。君の顔は存外、私の好みかもしれないな。」
「あはは、リヴェリアさんに言われるなんて、とても光栄ですね。」
「……。」
遊び心から、少しつついてみたが、どうやら先ほどのようにあわあわとする様子はない。表情に少し照れの色はあるようで、全く気に留めていないということは無いようだ。
「……」
「…あの、どうしたのですか?」
「いや、なんでもないよ。それならそれでいい」
「?」
もう少し強めにつついてみるのも面白いかもしれないが、あまり揺さぶりすぎるのも悪い。
「いやなに、もう緊張はほぐれているようだな。肩身を狭く思わせていないか……心配していたよ」
「…まったく緊張していない、とは言えないですけど、今は落ち着いていますかね……。」
「む、そうか」
「はい、リヴェリアさんは綺麗だし。僕、年上のお姉さんだと…やっぱり緊張しちゃいますから。……けど」
「?……けど、なにかな」
「リヴェリアさんって……こうして一緒にいるとなんだか、居心地がいい気がします。年上、だからかもしれませんが」
「……女性に対して、年の話は感心せんな」
「!?あの、それは「ふふ…。エルフだから、年が上なのは当たり前だ。そんなに気にしてはいないさ」
「……やっぱり、意地悪です。」
「はは…すまない。君は可愛いから…つい、な。…許してくれ」
そう言い、リヴェリアはベルの頭に手を置き、優しい手つきで頭を撫で始める。
「………。」
「ああ、すまない。昔アイズにやっていた癖でな。失礼をし……」
「……ぁ」
思わずさっと引いた手に、ベルはこれまた惜し気な視線を注いでいた。その姿に、私は昔のアイズの姿を重ねてみてしまった。
あの娘も、こうして撫でてやる時、手を離すとこんな目をしていたな。
「…あの、嫌ではなかったです……だから、もう大丈夫です……はは」
「……」
「えっ?」
リヴェリアが席を立ったと思いきや、椅子を持ち出してベルの隣に座りだす。座席の机は広いがやけに近く座る。肩と肩が触れて、嫌でも温もりを感じてしまう。
「いやなに、日がまぶしくてな。この席は四人用だから問題はない。」
「……は、はぁ」
…近い、なんか女の人のいい匂いがする。というか、少し甘い
その甘さの理由は知りえないが、女性の持つ魅力にベルはただ受け身で留まることしかできないようで、そんなベルの様子を見ながら、またリヴェリアはそっと手を白髪の上に乗せる
「あぁ……」
髪をすかれる心地、細くしなやかな手が何よりも暖かい。
「…撫でるのは嫌いではないよ。生殺しにはしないさ、どうかな」
「………」
……気持ちい。それに……落ち着く
「……ありがとう、ございます…。」
撫でられる心地に心の波が静かになる。緊張で高鳴る鼓動も、今では昼寝をしているように穏やかな胸中だ。
「……私はな」
「……。」
「正直、こうして誰かを慈しむことがきっと好きなのだ。ファミリアの同胞からも……母親だの、リヴェリアママンとな。私の立場、生まれ持っての気質がそうさせているかもしれんが…」
「…でも、その気持ちすごくわかります。リヴェリアさん、すごく優しいですし」
「……そうか。だが、あくまで私のはふりにしか過ぎないさ。子供もいなければ未だ伴侶もいない……君も、私なんかより本当の母親の方が良いだろう。」
少し自嘲気味に答える。だが、その答え方は
「母親ですか……僕には、あまり実感できないです。育ての親はお爺ちゃんだけだったので」
「……すまない。失礼なことを言ってしまった」
思わず撫でる手が止まり膝に置く。不意にとはいえ、いらぬ轍を踏んでしまったのだ。だが、それでもベルは…
「い、いえ!あの、僕もつい余計なことを……けど」
「……」
「…………いないから。……僕には リヴェリアさんの優しさがすごく嬉しいです。 神様やリリ、命さんや春姫さんとも違う、なんだか暖かくて……」
「………っ!」
「その、うまくいえなくてすみません。……って、リヴェリアさん……?」
「…………君は、ねらってやっているのか」
「へ?」
思わず、らしくないが少し動揺してしまった。そう、反省するように思いながら、リヴェリアはごまかすように再度ベルの頭に手を置き、そっと優しく撫で始める。
「…あ」
「……」
指に触れる白髪はとても触り心地がいい。少し癖があるが、それがむしろ感触にふんわりとした柔らかさを加味している。こうして近くで見れば肌だって年頃にありがちなニキビやあれが少ない、というかほとんどない。
……髪を伸ばして装いを変えれば、あっという間に生娘になりそうだ。
「あぁ……ふぅ」
「…手入れ、しているのだな」
「……あ、はい。神様に言われて 身だしなみと清潔感、には 注意されてて、男なのに変ですよね。」
「いや、そんなことはない。君は、ずいぶんと自己評価が低いのだな……」
「………そう、ですか」
「ああ。 それは誇っていい。君の親からもらった大切なものなんだ。」
「そう ですか。 」
「ああ、そうとも。それは…誇っていいものだ。」
「……そう れす、か」
「……ベル?」
「………」
グラッ……。
「!……おっ」
不意に、まるで糸が切れたかのようにベルの頭は倒れ落ちそうになる。カップに触れそうになる寸前、リヴェリアは抱き寄せるようにベルを支えたが
「………これは」
zzz……
抱き寄せたベルの頭がちょうど自分の胸が枕になっている。本来ならそこで怒るなどして声を出すべきなのだろうが、どうにもそれをする無神経さを、私は持ち合わせていない。
「……ベル……ベル・クラネル」
「………すぅ」
「………」
なんとも、幼子のように無垢な寝顔を晒している。どうやら、自分はこの子を寝かしつけてしまったようだ。
…いや、さすがに少年とはいえ…………年は15だったか?それがこうも…無防備で、あっさり……
「…撫でられて、安心して眠るとは。疲れていただけか、それとも」
大胆にも胸を枕に、はたから見ればなんとも危険な所業に他ならない。だが、こうも気持ちよく寝入っているのでは、恨みごとの一つや二つぐらい飲み干してしまうのが人情というモノだろう。
……この子は両親がいないと言っていた。接した様子から見て、きっとその祖父はしっかりと親の役目を果たしたのだろう。その心根の優しさは確かな愛情を知る者の証だ。
だが、それでも
「ベル、そなたは………」
「………んっ」
位置が悪いのか、寝入ったまま体を揺らし、ちょうどいい位置を探そうとする。枕になった胸が少しこそばゆいモノがある。
「………仕方ないな。」
そっと頭に手をやり、胸に抱いた少年を慈しむように撫で続ける。それが気持ちよいのか、ますますベルはリヴェリアに身を溶かすように眠りに陥っていく。
「……。」
…いかんな。これは、少し毒だ
愛情を注ぐ、年端かない少年にそそぐその行為に、どこか自分は背徳的な気分を感じている。他派閥の人間に、こうも密着していては色々と誤解の種だが、どうにもこの母性をくすぐられる心地が判断を鈍らしてしまう。
「……いや、ここではダメだな。」
さすがにここは店内。人目に付けばあらぬ誤解も受けよう。見知った店員ならともかく、他の客のエルフは私を見てきっと在らぬ結論を導き出すかもしれない。
「……場所を変えるか。」
しかし、このまま起こすのは忍びない。であれば取れる手段は
「んっ…」
足に腕を通し、いわゆるお姫様抱っこの態勢で持ち上げる。ぶつけないようゆっくりと持ち上げるが、どうやら目を覚ます気配はないようだ。
「よほど深く寝ているのだな。ほんとうに…調子が狂う。」
そう言いつつも、顔は笑みを浮かべているあたり、さすが皆の母親と言ったところか。リヴェリアにとってベルの存在はすでに、無償の愛情を注いでもいい、そんな近しい距離感になっているかもしれない。
「店主、料金は机に置いてある故。失礼する」
そう言い、他の客の目につかぬようそそくさと店を後にする。店を出て、通りには人がちらほらと。昼食の時間はとうに過ぎ、街の活気はひとまず落ち着く段階に至ったのだろう。
……人目につかないのは
「行先は……そうだな。せっかくだし、私も共に休ませてもらおう」
「……んっ」
「ふふ。…少し辛抱してくれ。いい場所を知っているから、今は私の腕の中で休むといい……。」
今回はここまでです。次回もなるはやで