白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
今回もエッチはなしで、デート的な話が続きます。レフィーヤたんかわいい
食事を済ませ、二人はさっそく買い物に、主にそのメインはレフィーヤで時間は進行する。
どうやら今回の買い物には気合が入っているようで、厚目の財布を抱えてレフィーヤはベルを方々へ連れまわした。
昼を過ぎ、また買い物と明け暮れて……そして気が付く頃には
「……あなた、嫌じゃないんですか?」
「?」
きょとんと、なんとも不思議そうに、首をかしげている。
「………」
両手には紙袋、更には首にまでと、荷物運びとして我ながら若干やりすぎな結果だ。
先日に買ったものと違い、今日は特に衣類などのかさばりやすいものを買い漁っている。恩返しで、荷物ぐらいいくらでも持つというその言葉に甘えた結果、今に至る。
……なんで、しかもニコニコとそんな平気に
「あなた、何でそんなにうれしそうなんですか?」
素直に、そう質問してみた。すると、これまた嬉しそうに、彼は私にこう言い放った。
「うれしい、ですか?それは……だって、レフィーヤさんすごく笑顔だから。つられて、かな」
「!」
思わず自分の顔に手をやる。確かに、口の端が上がって自分は笑顔を浮かべていた。
「だから、僕も自然ににやけてしまいます。だったら、荷物持ちぐらい全然平気ですし、それにこれは男の名誉だってお爺ちゃんも言ってたし…」
「………」
「あの、レフィーヤさん?」
「なんでもないです。ほら、次行きますよ」
「?」
顔を見せないように少し急ぎ足で前を行く。
たぶん、自分は今彼に見せたくない顔色をしている。
「……ッ!」
……薄々感じてはいたけど、やっぱりこの人、本当はすっっっごくいい人なんじゃ……
「……あの、次はどこに」
「……ジー」
「……あの」
こうして二人で時間を過ごして、少なくとも彼は私を不快にさせることはしようとしていない。これが恋愛ごとなら別だが、普通に良き親友として、この人は私と接している。そこに今のような気づかいもあるのだから、まず好感度が下がる点は見当たらない。
……確か、この人男性冒険者人気で今かなりの上位なんですよね。
いつかに見た掲示板で、将来優良物件、玉の輿狙えそう部門等で堂々の一位、あとはお姉ちゃんと呼ばれたいランキングやら、泣き顔が見たい、甘やかしたい、等々、ろくでもないものも多いが、人気があるのは名実ともに確かで、実際こうして向き合っていると納得がいく。
「……負けないんだから」
「……また、何か言いました?」
「いえ、別に何も」
深く考えるのは止めよう。とにかく、今は目の前の娯楽に集中するべきだ。
商店をめぐり、二人がたどり着いたのはとある大劇場の前、人だかりの多い、特に男女のカップル連れがやたらと目に留まる。
「……あの、ここは」
「前から行ってみたかったんです。けど、ごらんのとおり客層がこれですから、一人じゃいけなかったんです。」
「はぁ……それってつまり」
「ええ、ですから」
意を決して、あたしは彼の腕に自分の腕を絡ませる。腕と肩が触れ合う感覚に自らやっておきながら頭が沸騰しそうになる。
「……ッ!」
「レフィーヤさん、なんで」
「ここ、カップルシートしかチケットが無いんです。言っときますけど、変な事したら焼きますからね。強火でこんがりと骨も残らないように」
「生々しいからやめてください!……変なことなんか、しませんしできません。」
「………なら、良いですが」
「……」
「……ほら、足を動かしてください。入りますよ」
結局、ぎこちない偽カップルは無事劇場に入ることに成功した。ちなみにたくさんの荷物は専用のロッカーがあったのでそこに全部預けていたりする。
……なるほど。僕みたいに荷物持ちする人のため…なのかな
…ほら、行きますよ!
「……は、はい!」
〇
劇場は広く、そして高い。
舞台から見て左斜め上、そこの升席に私たちの席があった。
というか、私たちの席しかなかったのだ。
「これ……どうしましょう。」
「……です、ね」
カップル席、それの意味するのは二つの椅子があるということじゃない。一つの席で二人分だったのだ。
しかも、あからさまな♡マークの形で、見ているだけでもあれなのに今からここに座る自分たちを浮かべるとなお頭が痛い。
しかし、そこを選んだのは安さに惹かれた自分と、誰かに買われてしまう焦燥でよく見ないで購入した、これまた自分のせいでもある。
「……あの、僕立ち見でも」
「いいですよ。買った私の責任です。先輩のおごりと言うことで受け入れてください」
そう言い、先に私はその痛いカップルシートに座る。ふかふかで沈むような心地、素材の良さを台無しにする椅子の形状を無視すれば大変良い家具だ。
「……えっと」
「…んっ」
ぽんぽんと、空いたスペースを手でたたきレフィーヤは恥じらいながらベルに
「どうぞ、座ってください。劇、始まっちゃいますよ」
「……はい」
おそるおそる、ベルはレフィーヤの隣に腰を下ろす。ふかふかとした椅子がベルの尻を飲み込み、そして
「!」
「!……もう、何してるんですか」
「いや、あの……ちょっと態勢を」
据わり具合が思いのほか柔らかく、対姿勢を傾け今ベルとレフィーヤは肩と肩が……しかもそれだけじゃない
「……顔、近いんですけど」
「!!……ご、ごめんなさい」
向かい合って、ほんの少し進めばどこかが重なり合いそうな距離。咄嗟に両端に互いに離れる。
結局、彼らがこのシートで落ち着くのは劇場が幕を上げて照明が落とされるまで続いた。時間にして10分ほど、それは長すぎるほどの10分間だった。
―劇が始まる
内容は誰もが聞いたことのあるフェアリーテイルで、そのストーリーは精霊と人間との禁断の恋をテーマにしたもの。
知ってはいる展開でも、そこに劇場の音楽と役者の演技が乗ればそれは目を離せないものだ。
「……」
ふと、横にいる相方の表情もうかがってみる。真剣に、息をするのも忘れてるのではないかと思うぐらい没頭している。
ストーリーは山場に、頑なだったヒロインが主人公に心を打ちとけ、その手と手が触れ合う。
役者たちの感情のこもったセリフが劇場内をこだまする。歯の付くようなセリフを、どうどうと美しく語りかけるのだ。
ムードが最高に達したタイミングで二人の顔は近づく。
「…っ!」
積み重ねた苦難と悲劇の果てに、ようやくたどり着いたキスシーン。私は前のめりになりその一瞬を、かたずをのんで注目していた。が、その瞬間に
「へっ?」
舞台の幕は下りた。
しかし、これが終わりではなく…どうやら、舞台の転換のようだ。劇語り部から小休止の知らせと注意の諸事情が通達される。
「はぁ、良い所なのに」
「まぁ、そういうものなんじゃあ」
「うぅ……気になる。」
「ええ。…でも、とても悲しいですね。確か、あの二人は……きっと」
「……」
結末は知っている。精霊と人間の決まりごとを破った二人におとずれるのは悲しい別れだ。しかし、それを知ってなお彼らは触れ合い、短い愛を生きる道を選んだのだ。
「……」
「触れられない、それは精霊にとって死ぬよりつらい……だから」
「……そうですね」
視線が自分の手に、そこにあるのは自分の…エルフの手だ。
エルフには、未だ故郷の神聖な里で暮らす者たちは、他種族の触れ合いを許さない、そんな清廉潔白な考えがある。
それを揶揄して潔癖だの、高く気取っているなどとからかう輩も多いが、事実そう受け取られても仕方ない。
「……あの、レフィーヤさん」
「……なんです」
「いや……もしかして、気に障ることを」
「別に……ああ、そういう」
彼の言いたいこと、エルフ故に他人に触れづらい自分に、精霊の話は酷だったかと不安になっている。
「……んっ」
「…!」
しかし、それは誤解だ。エルフが触れたがらないのはもう一つ
「あの……レフィーヤさん?」
「……ほら。触れても大丈夫、と言うか初対面の時も手を握ったじゃないですか」
「ああ……確かに」
「……まあ、あながち間違ってはいないんですよね」
手を握る、たったそれだけなのに手の感覚を通して彼の熱、鼓動、感情の機微までこっちにまるまる繋がっていく。ただ触れ合う、それだけで
「……緊張してる。握られるだけで照れているんですね」
「!?……だって、それは」
「……つまり、同じですよ」
「?」
「私たちエルフは、自然と共に生きて自然に身を返す、他の種族よりもずっと繊細に自然と関わって生きているんです。そのせいか、感覚も繊細で……その」
、
「……その?」
「……び」
「……び?」
「敏感なんですよ。他の種族より、私たちは」
「……そ、そうなんですか?」
「ええ、だから……」
「じゃあ……あ、すみません!僕、ずっと」
動揺したベルは握った手を振りほどく。だが、手が離れたにもかかわらず…レフィーヤの浮かべる表情は安堵でもなく、逆にどこか惜しむような
「……いえ、別に手で触れるぐらいは良いんです。」
触れられる。それを忌み嫌うエルフだが逆に触れ合うことの尊さも理解している。潔癖と揶揄されようと、皆根底には誰かの温もりを欲しているのだ。人一倍に感じやすい、その感覚で
「…触れられる気持ちよさも不快感も、私たちは人一倍なんです。個人差もありますけど、私は特にその……」
「そう、だったんですか。」
「ええ、だから悩みの肩こりも容易に直せないんです。結構凝り性なんで、マッサージに行きたいんですけど、背中なんか特にくすぐったくて……本当に困りごとなんですよ。」
「……レフィーヤさん」
不思議と、何故かそんなことをペラペラと打ち明けている。
敏感だの、あまり大ぴらにいえないことを、なぜか私は彼に打ち明けてしまった。別に今更彼が邪なことをするとは考えられないし、話しても帰ってくるのは同情ぐらいなのに
……なんで、私……雰囲気のせい、だよね
暗い中、カップル席に座る。それだけで十分におかしいシチュエーションなのだ。だから、これは気の迷い
「まあ、特に気にする必要はないですよ。別に、これはただの独り言……適当に聞き流して…「あの、レフィーヤさん」
「?」
「…手を、もう一度出してくれませんか」
「……はぁ」
いわれるまま手を前に差し出す。彼は私の手を両手でつかみ、そしてゆっくりと
「あっ」
「痛く、無いですか?」
にぎにぎと、手の内側に指圧を加える。痛すぎず、不快ではない…というか
「え、何を……して」
ぎゅっ…ぎゅうぅ……。
振り払うはずなのに、そうしようとしたはずの意志が、どこか遠いかなたへと消え去っていく。
不快ではない。むしろ、この感覚は
「……これ、気持ちいですね」
「はい。掌ですけど、結構効くものでしょう」
「え、ええ……」
そのまま手をにぎにぎと、ベルはレフィーヤの手のひらをもみほぐしにかかる。唐突に始まったマッサージだが、実際その腕前は
「……上手い、ですね」
手の平を押されるだけなのになぜか疲れが取れる。押されているのは右手なのに右肩あたりが少し軽く感じる。
「僕のお爺ちゃんが凝り性で、実はちょっとした僕の特技なんです。神様にもしてあげているんですよ」
「へえ………あっ」
軽く腕を回す。まだ少し疲れはあるがさっきよりも腕の回し具合がいい。というか、軽い
「どうです?あんがい、気持ちいモノでしょう」
「……そう、ですね。ちょっと驚きです」
「……左手も、しましょうか」
「……」
腕は軽い。左手も、なぜかうずうずと…どうやら、体の方は正直のようだ。
「じゃあ、甘えて……」
差し出す左手。彼の両手が私の手を包み、右と同じように優しく丁寧に指圧を繰り出してくる。
「んっ……!」
「あの…声は」
「わかっています。もう少し、優しく」
ベルの指圧は的確にレフィーヤのツボを刺激する、手の中にある反射が肩の凝りにまで届くのだ。普段であれば敏感で身もだえするのだが、間接的な刺激は程よく心地よい。
これ、良い……この人、やっぱりいい人かもしれません
マッサージが上手い、しかも先輩風を吹かすと多少のことは聞いてくれる。そんなどこかはき違えたような考えに浸っていると
ポーン…!
…皆さま、長らくお待たせしました。後編舞台、間もなく再開いたします……!
「……へっ」
「ああ、もうそろそろですね」
「あっ」
ベルの手が離れる。未だに手に残る感覚が少しずつ冷め切って消えるのを感じる。
……まだ、もう少し
しかし、すぐに照明が消え、横のベルの顔も良く見えない。手探りでベルの手を探そうとして……
ぎゅっ…!
「よし…!」
「?」
そして、そこでようやく自分のしていることに気づく。
…あれ?これじゃあただの
まだ演出のせいか照明が暗く顔が見えない。今自分のしたことに対して、彼がどんな顔を浮かべていることだろうか
「あ、ああ……その」
まるで、本当に恋人みたく手をつなぎたいみたいに、そう受け取られたのではないか?
「レフィーヤさん……もしかして」
「いや、別に手をつなぎたいわけじゃ……えっと、これは」
何故か、自分から積極的に動いたという事実がとてつもなく恥ずかしい。異性に対してアプローチをしてしまった、そう考えてしまい余計に血液が沸騰しそうになる。
「………」
「へっ」
「……レフィーヤさん」
左手を包む感触、心地よい揉み加減が乱れた精神を落ち着かせる。
「……良いですよ。これぐらい」
「……あぁ」
包み込む手はどこまでも暖かく、この人の優しさが、その感情の温もりが感覚を通して内側に流れてくる。
「……んっ、その…すみません」
「いえ……」
舞台が始まる。照明がともされ、明るく華やかに物語が動き出す。見ながらでも、その手つきはいっさい変わらず、程よい揉み心地は次第に体の力を抜いていく
「……」
「…あっ、レフィーヤさん」
「別に、肩にもたれただけです。寝たりしません」
ベルの肩に頭を置き、体を密着させる。
程よい空調と座り心地のいい椅子、薄暗い光に……そして左手から伝わる心地よさ。当然眠くなることなど承知の上だが、いかんせんこの欲望にあらがうことはできない。
「……んっ」
「ああ、もう……劇は」
「見ます、見てますから……」
「……でも」
「いいから、先輩命令です。ちゃんと……続けてください」
「………はい」
しかし、当然なことだが……この後五分もしないうちにレフィーヤは深い眠りについた。ベルの肩にもたれ、くうくうと愛らしい寝息を立てて、そして
「!」
「んっ……アイズしゃぁん」
そのままベルに抱きかかえられるように膝の上で身を倒してしまった。
「ああ、どうしよう……」
しかし、依然舞台は進行中で、動こうにも彼女を起こすことはできない。であれば取るべき選択肢は
「……はぁ」
そっと、ベルはレフィーヤの髪を優しく撫でた。なんとなく、今はこうするべきだと……言われてもないのに本能が察した。それに夢の中で誰かと間違えているせいか、レフィーヤもあながち不満どころか満足のようだ。
「……お疲れ様です。先輩」
「んん………くるしゅうない。もっとやれぇ……ふぅん」
「あはは……どんな夢なんだろう?」
今回はここまで、次回から少しエッチな雰囲気出したいです。励みます