白いウサギは人肌に溶ける~執筆中=彼氏持ちレフィーヤ光のNTRストーリー 作:37級犬築士
一話でだいぶ好き勝手しましたので、今回は少し大人しめの内容です。
それではどうぞ
「……はぁ」
「ふふ、ベル様」
「……暖かい」
「それはようございました。……もう、落ち着きましたか」
「……うん」
すっかり身も心も溶かされる。
姫さんのやさしさ、それを物理的に触れて、包まれて、僕は感じている。ふわふわと、いい匂いがして、こころなしか、懐かしい暖かみを感じる。
「……」
頭を乗せるのは春姫さんの太もも。硬すぎず、柔らかすぎない、最上級の枕。これだけでもたいそう贅沢なものだが、その上、僕はさらに贅沢を重ねている。
「……ぁ」
ふわりと、顔に触れる毛並みが僕の顔をくすぐる。いい香りがして、暖かくて、揺れるそれを、春姫さんのしっぽを僕は優しく掴み、いっそうそのもふもふに顔をうずめる。
「……ふふ、しっぽの加減は、いかがでございましょうか」
「はぁ……きもちい、です」
「それはようございました。ですが、少しこそばゆいですね……その、鼻息が」
「……ッ」
いい匂いがする。シャンプーの香料の匂いなのだろうか
少し甘く、さらさらとした毛並みに染みつくそれはなんとも甘美で、ついついそのしっぽ越しに息を深く吸ってしまう。
「……すみません、でも……これ、落ち着くから」
「……もう、仕方のないベル様です。……本当に」
そっと、頭に手が触れる。
頭を撫でられる。しっぽの柔らかさに包まれ、膝の上で春姫さんのぬくもりを感じる。次第に思考は溶ける。
睡魔が襲ってくる。
そう、いつもならすぐに眠ってしまうのに
「……」
何故か、寝ようとしても頭がさえて。気分はリラックスしているのに、妙に寝れない。
……なんでかな、まだ、寝れない
チクタクと、時計の音と息遣いの音だけが響く。
何かが足りない。ゆっくり熟睡するために、何かが
「……」
「…まだ、お眠りになられないですか」
指摘される。目をつぶってじっとしているけど、未だに目がさえている
母親係の面目躍如といったところか、そう言うところはすぐに見抜かれてしまう。
「……春姫さん」
「……はい、なんでございましょうか」
「今日は、まだ寝られないです」
「……そうで、ございますか。では、本をお読みになりますか」
「……それでも、いいけど」
「?」
不思議と、何か満足できない
ぜいたくを言っているのは承知だ。春姫さんに甘え……頼って、申し訳ないけど、それでも
……もったいない、なのかな
横向きに寝ている態勢から、体を上に。急に振り向いた僕に驚いた顔を見せる。あわあわと、恥ずかしそうに顔を背けて、しかしそれでも僕の頭を撫でる手を止めない。
「……」
「…あの、なにか」
「……いえ、すみません、つい」
視線がちらちらと合う。我に返り、自分のしていることの恥じらいを意識して、僕はまた体を横に向ける。
綺麗だった。それは常日頃抱いている感想だけど、それでも、綺麗だったのだ。
月明かりが綺麗で、金色の毛並みが光を吸い込みまるで霊的なオーラが出ているようで、とにかく、今の彼女はとても目を引き付ける。
「……」
春姫さんと、もう少し起きていたいと、このまま寝入ってしまうのがもったいないと、そうぼくは感じているんだと思う。
「……あの、春姫さん」
「…はい、なんでしょう」
「……その、……あ、いや」
「?」
胸に抱いた気持ちは理解した。けれど、これを具体的にどうすればいいか、その先の語彙が思いつかない。困ったように、僕はヒントを探すように部屋を見渡す。
そして、それはおあっつらえ向きに
「!……あの、あれって」
「?」
指をさす。その方向、机の上に置かれた一本の瓶
「…あぁ、あれはお酒ですね」
「…お酒、ですか」
「ええ、極東の清酒で……その、じつは……」
気恥ずかしそうに、顔を赤くしている。顔の前で、春姫さんのしっぽが慌ただしく揺れている。
「今日は満月と聞きまして……ほんのすこーしだけ、月見酒を……ですが、先ほどまで天気も悪うございましたので、その……」
「……月見酒、そうだったんですか」
夜分遅くに押しかけて、まだ寝入っていなかった理由に答えが得られた。しかし
…春姫さんが、お酒
いつもの彼女は控えめで、こうして夜中に酒に浸っているというのはそれだけ恥ずかしいものなのか。けど、だからといって幻滅するなんてことは無い。
むしろ、僕はお酒をたしなむ春姫さんに興味を抱いた。
「……その、飲むつもりだったんですよね」
「…はい、その……好きですので」
「……じゃあ、いっしょに飲みませんか」
「へっ?」
間の抜けた返事が飛び出る。しかし、この言葉に嘘はない。
普段からそんなにお酒と言うものに興味はないし、第一苦手だ。まだ若い時分にはあ酸いも甘いもなんていうのは理解しがたい。だから、場の雰囲気で飲むことはあれど、自分から好き好んで嗜むというのはまずない。
けれど、こんな月の綺麗な日に、春姫さんと一緒に晩酌をするという、その情景を浮かべて、僕は惹かれてしまった。
是非、そうしたい。彼女と一緒にお酒を飲んでみたいと、僕はそう素直に思ったのだ
「……春姫さんが良かったら、ご相伴、いただきたいです」
「……春姫と、いっしょに……そう、なのですね」
しっぽがはらりと顔から離れる。僕は体を起こし、春姫さんもベッドから降りる
「では、二人分ご用意します。ここでお待ちしていてください」
気持ち嬉しそうに、春姫さんはそわそわとした様子でその場を後にする。部屋を出ようとするその後ろ姿、揺れる彼女のしっぽはなんとも饒舌に感情を吐露していた。
〇
少しして、春姫さんは戻ってきた。
手に持つのは極東の酒瓶、おちょこととっくりだったか。場所は変わってベッドから窓際に。小さい机だったからそのまま移動して、二人分の椅子も設けて準備は整った。
まるでお店の席のように、どこかいいムードが流れそうな、そんな雰囲気を感じる。
「……ッ」
「夜風が気持ちよく、月の明かりは柔らかき、よい酒宴になりそうでございます」
「…ええ、そうかもしれないですね。あ、注ぎますよ、僕のは」
「いえ、こういうことは、慣れておりますから。ベル様、お先に召してくださいませ」
「……じゃあ、いただきます」
お猪口を掴み、僕はその透き通る清酒を口に運ぶ。
アルコール特有な刺さるような刺激。けれど、これはそんなに気にならない。少し温くて、何より香りも口当たりも柔らかい。
「……ふぅ」
「お口に、合いますでしょうか。それほど、強いお酒ではございませんが」
「……いえ、その、むしろ良かったです。これ、飲みやすいです」
気取って、強がりのようにそう言葉にする。確かに強くはない、けれど暖かいせいかやけに喉奥に染みる。熱が体内にこもってくる。
「……まあまあ、焦らずに、ゆっくりお飲みください……ん」
お猪口を持ち、手で口元を隠しながら一口あおる。
手慣れたように、ゆっくりと時間をかけて味わう。月の明かりを帯びて、どこか大人の雰囲気が漂う、お酒を飲むその所作の一つ一つに目を奪われてしまう。
「……」
「見られるのは……はずかしゅうございますね」
「あ、ごめんなさい……春姫さん、なんだか綺麗で……その」
歯の浮くような言葉、すぐに詰まり、僕は羞恥をかき消すように酒をあおる。
良い飲みっぷりと言われるけど、やっぱり無理してしまっている。もう少し、自分のペースで飲めるように、改めてお酒の飲み方を身につけないといけない、そう思った。
「……ベル様は、お酒は嫌いなのでしょうか」
「……いや、嫌いでは、でも、やっぱりまだ慣れないです。」
ここオラリオに来て、とかくお酒の場と言うのは多いものだ。普段はファミリアで夕食を取るから、けど、それでもときおり豊穣の女主人に行ったりと、他の冒険者の誘い、それと神様の強引な勧めなど、とかく飲みの機会は溢れかえっている。
「本当は、慣れないといけないんですけど、でも、やっぱり酔ってしまうのって怖いし、苦いお酒の味なんてまだわかりません」
「……そうでございますか。では、どうして、急に飲みたいと」
「……それは、なんでですかね。勢いかもしれないですし、でも、春姫さんとなら、いいなって」
「!!………ベルさま」
「……あの、ゆっくり自分のペースで飲みます。これ、飲みやすいですし」
ゆっくり、改めて味わうそれは舌に優しく、なにより甘すぎず、癖が少ない。
「……おいしいです。春姫さん」
「……さようでございますか、それは……んっ、ぷは」
嬉しそうに、お酒を飲み干し笑みを浮かべている。
お酒の席と言えば賑やかな談笑だったりするけど、こうして静かに、誰かとお酒を交わすなんてことはじめてかもしれない。
⚪
「………ぅ」
少し、酔いが回ってきた。
起きているのに、どこかが眠っているような、妙に落ち着かない。ゆっくりとはいえ、それなりに飲んでいるのだから、仕方ない。
「………もう、そろそろ、お開きに」
うつらうつらと、思い出したように眠気と疲労が体に戻ってくる。うつ向いて、そのまま額がつきそうになるのをこらえる。そんな時に
「………こん」
「…っ」
…こん………今、何か
耳に響く通った声、表をあげると春姫さんと目が合う。
けれど、合ってはいるけど、その目はどこか遠くを眺めているようで
「……こん……ひくっ」
「……?」
「あら、もう……まだ」
「あの……へっ」
気づけば、徳利のお酒はもう既に空で、さらにそこへ瓶の酒を注ぐ。とくとくと、注ぐ音を立たせ、並々に注いだそれを、こぼれないようにするためか徳利ごと直接口をつけて
「ん………んく、んっ」
「へっ………あの、そんないっきに」
「………んっ、ぷふぅ………ほっ」
「………飲んじゃった」
飲み干したのだ。それも一気に、清酒とはいえそんなに一気に飲んでいいものか?いや、そんなの僕がやったらすぐに気分が悪くなる。
「…あら、もうなくなって、少ない」
「!」
意外な飲みっぷりに唖然としているなか、春姫さんは悪びれもせずにまた徳利に酒を注ぎ、そしてお猪口なんて必要ないとそのままポーションを飲む気軽さでまたぐいぐいとあおる。
「……ま、まだ飲むんですね」
「んっ、ふぅ………ええ、なんだか今日は、そういう気分です」
「……」
僕のペースはと言うと、最初の勢いは薄れ、舐めるようにちびちびと口に運んでいる。けど、春姫さんのペースは一向に衰えない。
「……んっ…ひく」
というか、少し赤い。とても赤い。
座ったまま、やけにしっぽが後ろで揺れている。左に右に、とても上機嫌だ。
「……ッ」
「こん、こん……ふふ」
「!」
目が合って、春姫さんは僕に笑い返した。目の橋がとろんと蕩けて、どこか表情がいつもより艶やかに感じる。
「……あっ、えっと」
「……ベルさまはぁ、おかわゆぅございます……ふふふ」
「へっ」
「…べるさま、べるさまっ!……べぇる、さぁま……ひっく」
「……」
上機嫌に、色を変えて僕の名を繰り返す。ゆらゆらと、しっぽだけじゃなくてその体までも左右に揺れだす。
手すりも背もたれもない椅子で、今にも倒れそうで僕は心配になる。
そして、その心配は
「ふふ……あ、れ」
「!」
グラっと、体重を後ろに傾いた瞬間、僕は両手を伸ばし春姫さんの肩を掴む。
「……もう、少し飲みすぎです。」
「はぁ……ふふ、べるさまに、たすけられました」
「……はぁ」
自分で誘った手前、どこか申し訳ない。
とにかく、このままおいておくわけにはいかないわけで
「……ベッド、いきましょうか」
「……ぇ……あぁ」
両脇から抱え、僕は春姫さんを運ぶ。ぜんしんにちからがはいっておらず、着物が緩くはだけそうで、うまく運べない。
「……あの、足に力を……って」
「……ふふ、べるさま」
足に踏ん張りを入れたのは助かる。けれど、春姫さんは僕に倒れ掛かるように、両手を首に絡めて体重をかけてくる。
「……ッ」
……むにゅぅ
「……ッ!?」
「……こんっ」
体の前に触れるぽわぽわした何か、その名称が頭の中で何度も反芻している。
いや、触れていることも問題だけど、今はなお悪い。
もたれかかって、しなだれて、正せさえ緩い浴衣を纏っている彼女だ。見間違いと思いたいけど、今僕の足元に
「……ッ」
……腰ひも、ほどけてる
前が開いている。そして、浴衣と言うものは中に下着をつけないらしい。だから、今僕の体に触れている者、それは
「……あの、春姫さん」
「…ふぇ、ベルさま、やけに、へやがさむうございます」
「………ッ」
目のまえに、半裸の美女が酔っ払っている。この状況、どうしのぐべきか
「……あぁ」
状況がパニック過ぎて、やけに志向が落ち着いてしまっている。一周回って逆にと言う奴なんだろう。
「……とにかく、運ばないと」
両脇から抱え、僕は春姫さんを移動させる。今もなお体の前にあたる柔らかさにはあまり意識を向けないようにしないと
「……よし」
目をつぶり、僕はゆっくりと春姫さんの体を下ろす。ベッドのヘリに座らせて、ひとまず転倒の危険は消えた。
「春姫さん、あの、浴衣の帯び渡しま…」
「……」
「あの、春姫さん?」
眼を閉じているので、返事以外確かめようがない。
どうしようかと、考えを起こそうとしたその瞬間
「……こん!」
「へっ……うわ!?」
一瞬、何が起こったか理解できなかった。
思わず、とっさに目を見開いたが、視界に映る物は一面の肌色、そして消える。
「んぐっ!」
ぶわっと、顔が何かに包まれた。
「……ふふ、つかまえました」
「!!」
「……はぁ、かわいい」
「……ッ!!!」
ようやく理解した。
ベッドに引き込まれ、僕は春姫さんに抱かれている。その浴衣ははだけたまま
「は……ああぁあ!!」
目を見開き、谷間の中で僕は乳房の色を目に焼き付けている。
こめかみの下あたり、そこに微かに触れる肌のすべすべとしたものとは違う、部分的に固さを帯びた質感。鼻腔を刺激するほんのり湿った汗の香、間違いなく、自分は
「……ふふ、おきゃくさまぁ……春姫はぁ……あれ、なんで、べるさまはいずこに」
「……ッ」
当の本人は現実が曖昧で、娼婦時代の記憶と混じっているのだろうか。
とまあ、冷静に分析している僕もどうかしているわけで、とにかくここから抜け出さないと
「……」
でも、抜け出さないと、いけないのに
「……あ」
やさしく、後ろ髪を撫でられる。
包み込むように、宥めるように、春姫さんの母性が前後から流れてくる。逃げ場はない、跳ね除ける意識が、どこにも見当たらない。
「……ッ」
こんなのは駄目だと、僕は頭では理解している。けれど
「……べるさま」
「!」
耳元でささやかれる艶のある声、ガラスの弦をはじくような透き通る響き、その音色が僕の中の最後の理性を突き崩す。
「……はる、ひめ……さん」
「はい、はるひめは、ここいいます」
「……ぼく、その」
駄目だとはわかっている。酔っているから、普段ならきっとこんなことはあり得ない。
だから、平常ではない異常なひと時、僕の中の答えもきっと歪んでしまっている。全部を酒気に惑わされたせいにしたい。
「……ッ」
気づけば、僕は上側の腕を彼女の背中に回し、一層にその胸に顔をうずめていた。
「……」
「!……あぁ」
よりいっそう、春姫さんは僕を抱きしめる。
言葉はない、けれど、それでも僕の意をくみ取ってくれる。
「……ぁ」
…あたたかい、それに、いい匂いがする。
やわやわとした乳房に包まれ、僕は静かに睡魔の波にのまれていく。そういうえば、ここに来た目的は眠れないからだった。そんなことすら忘れていた。
ほどよく酔ったせいか、うちがわからぽかぽかと温かく。眠りお律にはそう時間は必要じゃなかった。ただ静かに、されるがままに僕は春姫さんを受け入れて、そして身を溶かしていく。
「……お眠りに、なられるのですね」
「……」
意識の境界はあいまいに、僕は眠り落ちる中で、春姫さんの声を聴いた。
「……夜伽は、またの機会に、今宵春姫は、あなた様を温める母の代わりになりましょう。」
「……」
月明かりが消え、また部屋が黒の世界に染まる。
けれども、包み込む暖かさが闇の不安から僕を守ってくれる。
その日のぼくは夢を見ることなく、心地よい母性の中で深い眠りに落ちていった。
以上です。次回はまたしばらくしたらで、期末試験も近いんで