※この作品はR-18です。

三歩進んで二歩下がる   作:夜鐘

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前回切るとこ間違えたせいでちょっと短い


熱に溺れて、後ずさり

 

「……ごめんなさい。困らせてます、よね」

 

 その場に蹲み込んでしまった玲さんに、慌てて弁解の言葉をかけようとする。するが、位置が悪かった。本当に位置が良くなかった。玲さんを見ようとすると、目をやってはいけないところに目が吸い寄せられてしまう。なんだこの吸引力。ただ一つ変わらないのか?確かに変わらなさそうだけど……!そうではなく!鉄の意思をもって玲さんの胸元から目を逸らして、玲さんの顔に視線を固定したまま、しゃがみ込む。

 

「さっきも言ったけど、迷惑ではないよ。まあ、びっくりはしたけどさ」

「びっくりしたんですか?」

「した」

 

 俺が大きく頷くと、玲さんが少し瞳を丸めてから、ぎこちなく微笑みの形を作った。そらもう、ゲームの中ならひっくり返った拍子に空中で二回転して壁に思いっきりぶつかってシミになるぐらいの衝撃だった。正直、現時点で、玲さんも俺も倒れていないのが奇跡である。玲さんにこの策を入れ知恵した奴は、男子大学生の理性の脆さを考慮するべきだと思う。……いや、俺が理性飛ばさないギリギリのラインを狙って、俺が頭を抱える姿を酒肴にしている可能性もあるか? そんなことやりそうな奴なんてーー心当たりが……三人ぐらい居るな?なんてこった。

 

「誰に言われたのか分からないけど、玲さんは玲さんのペースで良いよ」

 

 勿論、心当たりの通りなら、苦言と仕返しはしたいので、余計な事を言ったやつは後で教えて欲しいのだが。

 

「…ぃ、……ぁの……」

「……?え、ごめん。聞こえなかった」

「〜〜違う、んです」

 

 玲さんが腕で茹でたった顔を隠したまま、ボソボソと声を絞り出した。

 

「あの、確かにその…….アドバイスというか、その、一例としてですね、言われただけで」

「あー、大丈夫大丈夫。庇う事ないよ」

 

 ぱたぱたとてを振りながら、苦笑混じりに返答する。よし、調子が戻ってきた。玲さんがそういう言い方するってことはお姉さんじゃない。つまり鉛筆か、ペンシルゴンか……大穴で京極だが、おそらく鉛筆だろう。この悪役非道で躊躇わない癖に、徹底的な関係の溝にはならないだろう、このさじ加減……。何処ぞの外道の高笑いが聞こえてくるようだ。

 玲さんとしては、俺と奴の付き合いにヒビが入るのではと、思ったに違いない。でも大丈夫。俺らはとても仲のいいフレンズなので、血で血を洗って仲が深まるんですよ。

 

 

「や、あの……!わた、私が……!」

「玲さんが?」

 

 慌てた様な表情で、口火を切った玲さんは、あわあわと意味の無さない言葉を口の中でかき回している。

 

ーーあ、やべえ。

 

 意図的にピントを合わせないようにしていた玲さんとばちり、と目があった。ーーかわいらしい。慌てている。いつもよりも頬が火照っている。涙目のせいか瞳がキラキラと光って見える。触ったら、やわらかそう。目の前に火花が散ったかのように鮮烈な印象と共に、情報が洪水となって思考にラグを生む。  意図的に無視しなければいけない情報を省くのに時間がかかってしまう。処理落ちしてしまうPCの気持ちがちょっとだけ分かった。捌かないといけない情報が多いと、挙動にまで意識がさけない。

 早く視線をそらさなくては、と思えば思うほど、どうしてこの衝動を我慢しなくていけないのか、という矛盾した思考が湧いてくる。

 

「……わたし、が、あのっ、らくろ、君に、さ、触ってみたかった、だけ、で……」

「……は」

「決して、そ、そういう、そっっっ!そういう、あれそれでは、なく!!!そういう、あの……そうではなくてですね。ちが、違うんですよ、あの」

 

 

 一瞬で、今まで考えていた事が全て吹き飛んでしまった。玲さんはこういうことに慣れてないんだから、我慢しなきゃ?理性をしっかりと持って、玲さんのペースに合わせて?

 

ーー無理だろ。

 

 むしろ、よく我慢した方だと思う。自分を褒めてやりたい。まじで。白旗を胸の内で掲げながらそんなことを思った。ストン、と肩の力が抜ける。玲さんが求めてくれているなら、少しぐらい自分を甘やかしても良いはずだ。空回りした唇で、言い訳を積み重ねる玲さんに、最終確認の言葉をそっと吐き出した。

 

「……違うの?」

 

 びっくりするほど、静かで、熱っぽい声が出た。はは、自分がこんなに性格が悪かったなんて知らなかったな。玲さんに逃げ道を自分自身の手で、塞がせようだなんて。外道という言葉に、本格的に否定が出来なくなってしまったかもしれない。

 きっとこんな俺の本心なんか露ほどにも察していないだろう玲さんは、視線を彷徨わせ、どもった上で、決心したかのように口を開いた。

 

 

「ち、ちち……違、ちが……わ、ない、かもしれませ……」

 

 一度天井を振り仰いでから、浅く息を吐き出した。くそ、吐く息まで熱いじゃないか。鏡を見なくても分かる。今自分は玲さんに負けず劣らず真っ赤に火照っている、なんてことは。




筆がのりました。
 えろなくても良かった気がしてきたけど、ちゃんとえろに入る準備はできたので上手くいけば、次話からえろです。えろから逃げるな
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