※この作品はR-18です。

提督も艦娘もお年頃   作:dn88k

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 この執務室はだいぶ前から気まずい雰囲気が漂っていたようです。原因は提督と艦娘の双方にありそうなのですが、どうすれば良いのか分からない霞は不安で仕方がありません。


不協和音の解消法

 この鎮守府には一つ、変わった特徴がある。それはここの司令官、あるいは提督とも呼ばれる人間が、少年としか言いようのない年齢だという事である。

 彼がこの年齢でこの立場に就いた理由はよく分からない。ただし、その成人顔負けの指揮能力やその他マネージメントの能力を鑑みるに、なるべくしてなったのだろうと、外部から見る人間はそう考えた。なお、艦隊のトップ、すなわち提督にはその実務を補佐するべく「秘書艦」と呼ばれる艦娘がそばに控えている事が多い。この鎮守府も同様であり、ここの秘書艦は霞と島風という二人が同時に担当するケースが大半であった。

 

 なぜ、秘書艦が霞と島風なのか、それに関しては提督の意向という事ではなく、当の艦娘達の希望という事のようであった。ただし、霞に関して言うと、その持ち前の指導力が買われて、海軍の上層部から担当するように、と指示を受けた部分もあったようである。そんな訳で、鎮守府の執務室には、提督の他に霞と島風という、二人の艦娘が常駐するのが原則であったのである。そこは別段問題ではなかった。問題なのは提督の方である。

 海軍の司令官という立場に置かれていても、あくまで本人は年頃の男の子である。島風のようなきわどい服装の女の子と一緒にいれば、それが気になってしまうのはどうしようもない。だが、そんな事は分かっているつもりだとしても、島風と共に提督を補佐する霞にとって、それはやはり不快でしかなかった。もちろん、提督がこちらを見てくれる事も多い。しかしながらこの場合の彼の目つきは欲望を秘めたような眼差しではなく、どこか安心したという心境を表すようなものであった。すなわち、性的興奮が避けられる対象、島風を見たくない場合の視線の避難先、といったような意味合いがあり、つまりは霞の事を異性としてはほとんど意識していないという事を意味するものであった。

(ああそう、結局のあんたの中で私はそんな扱いなのね)

 元々提督に対する態度には手厳しい物がある霞であったが、島風と共に提督の秘書艦を勤めるようになってからはそれが顕著になった。ただし、そんな態度をあえて取ってしまう背景には、提督には立派な艦隊司令になってもらいたいという親心的なものが当初はあったのだが、それに加えて私怨じみた物が混ざるようになって来ているのが、最近の霞における心理的な余裕の無さを表していた。

(あんなの、島風とイチャイチャしてれば良いのに……)

 そう思おうとしても、苦しい。何故、自分に対しても島風に向けるような熱い視線を向けてくれないのか。仮に、そんな熱い視線を浴びたら果たして自分はどうなってしまうのか、一人、霞はそんな事を考える。

 もしかしたら、そんな思考も悠長だったのかもしれない。余裕が無いのは何も自分だけでは無さそうだと感じたからだ。提督も、そして島風でさえも正体の分からない何かに追い詰められていっているように感じられた。

「島風、これ、片付けておいて」

「は、はい。分かりました」

「あと、それが終わったら今日はもう帰っていいから」

「え……あ、は、はい……」

 指示を出す提督の態度は極めてそっけない。以前、島風が背中を見せている時に向けていたような欲望に満ちた視線を向ける事も無い。ひたすらに死んだような目で執務のために机に向かっているだけだ。

 こんな感じで、近頃の提督はそれまでよりも更に島風に対して突き放すような態度を取るようになっていた。彼がいないところで霞が島風に原因を聞いて見ても、心当たりはないと言う。提督はどこか不機嫌そうで、島風も悲しそうな表情をする事が多くなった。

(ホント、何やってんのよアイツ……)

 このまま行けば色んな歯車がいよいよ狂ってしまいそうだ。そんな不安が霞の意識をよぎるようになった。

 

 ところが、そんな薄ら寒いような思いに耐えている霞に意外な転機が訪れた。ある日、「そろそろ夏だし、霞も涼しい格好をしてみたら」という礼号組の提案を受け、彼女達の用意した水着を試着する事になったのである。別段面白い話でも無いが、それ自体は霞だって特に断る理由は無い。ただし、実際に着る段階になって問題となったのはその水着のデザインであった。

「この水着……生地が少な過ぎない!?」

 大淀達が渡してきた水着は明らかに駆逐艦が着用して良いかどうかの基準を逸脱するものであった。いわゆるマイクロビキニだが、霞程度の肉体年齢であれば、まず着用する事などないだろうという露出の多い過激なもので、もしかしたら、男の劣情を煽るという意味においては、共に秘書艦を勤めている島風の格好よりもえげつない代物かも知れなかった。彼女達は一体どこからこんな物を見つけてきたのだろうか。

「良いじゃない。レーベとかマックスも似たようなの着てるんだし」

 足柄が楽しそうに言う。

「いや、あの二人は……」

 現状、レーベとマックスが着用している水着も露出が多いが、あの二人は真面目そうに見えて意外とノリが良い。提督を除けば女ばかりという職場にいるという事もあって、そういった水着を着ていたところで肌の露出が多い事自体はさほど気にしていないのかも知れない。

 だが、常に異性である提督と顔を合わせなければいけない霞にとってはそうもいかない。

 

「着た、けど……」

 その途端、何故か撮影会が開始されてしまった。本人の厳しい口調や態度とは裏腹に、礼号組にとっては霞はアイドルとも言える存在だったのである。

 そんな時大淀が楽しそうに言った。

「提督も喜ぶかもしれないですね?」

「はあっ!?」

 あり得ない、と言おうとして、考え直した。仮に島風に向けている視線を少しでも自分に向けてくれる可能性があるのなら。そして、最近の執務室に静かに鳴り響いている不協和音。この原因について霞なりに推測を立て、ある程度の見当をつけていた。この推測が当たっているかどうか、そのチェックにもこの水着は使えそうだ。だから多少恥をかいたとしても、今の自分の姿を晒す価値はあるのではないだろうか。

 

「さ、今日の仕事もさっさと片付けちゃいましょ!」

 そう言いながら勢いよく執務室に入室してきた霞を一目見た瞬間、提督は驚きと怯えをないまぜにしたかのような表情を浮かべた。島風も提督程では無いにしても、霞の格好に驚いたような表情を浮かべている。

「……何?」

「い、いや。何でもない……」

 提督はあらぬ方向へ視線を投げ、誤魔化そうとしているが、彼が動揺しているのなんて霞でなくても明らかに分かるレベルであった。

(へえ、私で慌ててくれるんだ……?)

 提督の反応を見た霞は内心でほくそ笑み、浮ついた気持ちを抑えつける必要に迫られてしまった。

 

 執務室に漂う雰囲気はいつも以上にぎこちない。が、霞にとって、流れは悪い方向には向かっていないように感じられた。

(このクズ司令官の態度をはっきりさせるいい機会だわ……)

 執務中も霞は提督の前を横切り、自分の姿を見せつけるといった行為を連発した。もちろん、わざと、である。本来なら恥ずかしくてやろうとも思わないが、提督の気持ちを知りたいという思いの他に、自分を盗み見るような彼の視線が感じられてしまい、たまらなくなってしまったというのもある。

(あっは! このクズったら、エロい格好してれば誰だっていいのかしら?)

 提督をからかうかのような気分でそう考える霞は、自分を欲望まみれの目で見てくれた事にテンションが上がりっ放しであった。

 そして、それだけでは無かった。

(本当、動き難いわね……)

 霞は心の中でそう悪態をつくが、決して不快ではない。

 その露出の多さのせいで異性の視線を集める事間違いなしであろうという、非常にきわどいデザインの霞の水着。当然、この場の異性は提督一人だが、それだけでも大いに羞恥心を煽られてしまう。更にこの水着は、布面積の狭さゆえに何らかのきっかけで生地の位置が簡単にずれてしまうかも知れず、そうなればかろうじて包み隠されている女の大切な部分をも曝け出してしまうかもしれない、そんなスリリングな感覚をも成立させてしまっていた。だからこそ、この水着を着用することは、霞が自分でも自覚していなかった、マゾヒスティックな感覚を刺激し、ちょっとした興奮を得るに至るには十分だったのである。

(島風の気持ちが分かるわね……あの子ったらズルいんだから)

 提督の視線を受け止めながら、女として見られるというのはこういう事か、と納得しながら執務を続ける。彼にとっては意地の悪い行動に写っているのかも知れないが、これまでの経緯が経緯なだけに、むしろいままで自分の中に居座っていた、ある種の負の感情が解消されていく感覚を覚えているというのが、霞の素直な心境であった。

 

 この日、執務室の室内に最後まで残っていたのはいつものごとく提督と島風と霞の三人であった。

「よっし!! 今日はもう仕事も終わりだな!! 全部終わってるし!! よっし!!」

 本日分の作業を終えた提督は大きな声で言う。どちらかと言えば、自分に聞かせるかのようだ。

「じゃ、お前らも帰っていいからな!!」

 そうホッとしたように言って立ち上がろうとした提督。途端、その両肩を押さえつけ、彼を椅子から離れらないようにしてしまった者がいる。霞である。

「霞、どうかした……?」

 明らかに挙動不審な目つきの提督は目の前のマイクロビキニを身にまとった秘書艦に問う。

「……あんたに聞かなきゃいけない事があるのよ」

 提督を見つめる霞の視線は真剣そのものだ。

「聞かなきゃいけない事って、何だよ……」

 そっぽを向いている提督は聞き返す。明らかに動揺を隠しきれていない。そんな提督を真っ直ぐに見つめながら、霞は言う。

「顔をそらしてないで、こっち見なさいな」

 提督の顔を両手で押さえ、こちらに向けさせる。それでも、提督は視線だけはそらしてなんとか霞を見ないようにしていた。

「……なんでこっちを見ないのかしら」

「や、あのな? その……」

「その、何?」

「えっと……」

「はっきり言いなさい。なんでこっち見ないのかしら?」

「…………」

「島風、口出しはやめてちょうだいね? 私はコイツ自身の口から理由を聞きたいの」

 島風は複雑な表情で二人を見つめていた。先ほどの霞の発言は島風に対する牽制も兼ねていたから、面白くはないだろう。

 提督はしばらく目を逸らして黙り込んでいた。彼の回答を待つ霞と島風も同様だ。そのうち、提督が観念したように言う。

「霞、の、水着が、エッチ、だから……」

「聞こえなかったわねえ!? 私の何が何ですって?」

 悪意があると捉えられかねないが、ここは念押しをしておく必要がある。提督の発言は霞の女としての意地だけではなく、この執務室に常駐する三人の関係にも関わってくるからだ。

「霞の水着がエッチだったからだよっ!! なんでそんなヤベえの着てんだよ! 俺が霞の事全然見れないじゃんか!!」

 霞は提督のこの発言を聞いて内心ガッツポーズした。私だってそういう目で見てくれるんだ。島風に負けてる訳では絶対に無い。そして、内心ホッとしながらも外見上は無表情の霞は更に質問を続ける。

「いいじゃないの見れば。私を見たら何か不味い事でもあるのかしら?」

「……っ!」

 提督は再び黙り込んでしまう。

「ねえ、私はあんたをイジメたいんじゃないの。あんたが今の私を見たらどうなるか、その確信が欲しいのよ。目をそらしちゃう理由……それから、島風と何となく微妙に距離置いてる感じになっちゃってる理由。私の推測が合っているのかどうか、確かめさせて欲しいの」

 二人に驚きの目を向ける島風。そして、ゆっくりと霞と視線を合わせる提督。

「……っちゃうからだよ……」

 小さな声で、判然としない言い方をする提督だが、この答え方は霞にとって落第点である。

「何て!? あんただって軍人だったらハッキリ言いなさい!」

 そう強い口調で言われた途端、キッと霞の事を睨みつけた提督の口が今度は大きく開いた。

「チンコ勃っちゃうからだよっ!! ムラムラしちゃって仕事になんないしっ!! 収まんないんだよ!! それで自分の部屋帰ってオナニーすんだよっ!! 終わった後スッゲー凹むんだぞ!? お前らオカズに抜いちゃったって!! こんな嫌な事やめたいのに島風だけじゃなくて霞までムラムラするような格好して来て俺はどうすりゃいいんだよ!?」

 思い切り吐き出すように言った後、提督は脱力したかのように椅子の背もたれにもたれかかった。

「いい加減にしろよ……。俺が下品なの分かっただろ? 俺は自分の秘書艦の事思い出しながらオナニーする最低野郎なんだよ……」

 その目には涙が浮かんでいた。思春期の男の子は身近な女の子や、本当に好きな子をオカズにはしないというルールを自らに課している場合がある。恐らくは自分の劣情でその子を汚したくはないという心理が働くからだろう。ところが、鎮守府という閉鎖的な空間に長時間身を置かざるを得ない提督には余りにも選択肢が無さすぎた。そして汚したくはないと思っている子は劣情を抑えようとするには余りにも魅力的過ぎた。だからそんなルールを課したところで遵守することなど到底出来ず、実際にはルール違反の連続だったのである。恐らくは一人でする度に罪悪感に囚われて、そして一人で苦しんでいたのであろう。

 深みへと沈んでしまいそうな提督の耳に意外な言葉が響いた。

「やーっと白状したわね」

 提督は、「え」という声とともに意外そうな顔で霞を見つめる。自分が秘書艦をオカズにしていた事がバレていないと思い込んでいたようだ。目の前には先程の冷酷さを感じさせるような表情とは一転した穏やかな霞の姿があった。

「島風はこのクズからどう見られてたか分かってたわよね?」

 いきなりそう聞かれて一瞬呆気に取られたが、やがて島風は照れ臭そうな表情をしながら、

「……うん。この格好ってやっぱりエッチじゃない? 提督が見てくるのは気付いてたし、それで私も結構ドキドキしてたんだよね。まあ、提督が一人でして、その、そんなに凹んだりしてたのは分からなかったけど」

 と言い、クスクスと笑った。

「たまーに私を見るとき辛そうな顔するんだもん、提督って。そういう事だったんだね」

 そう言ってホッとしたように見つめてくる島風に提督は唖然としている。

 提督は欲望まみれの視線ばかり投げかけてくるかと思えば、極めて暗い目つきを偶に覗かせる事がある。それは島風の内心を凍らせてしまうには十分であった。何か悪い事をやってしまったのかと考えつつも、それに対する心当たりなど無い。しかし、提督の自分に対する態度がまるで自分を排除するかのようなものへと変化するにつれて、提督がそんな目つきをする頻度も上がっていき、島風の意識から離れないようになってしまったのである。自分は本当に提督に何かやってしまったのではないか、そこまで考えて怯えていたのがここ最近の島風なのであった。

「ほおらあ、あんたの身勝手のせいで島風だって嫌な思いしてたみたいよ?」

 霞は優しく提督に語りかける。

「何で悪い事だなんて勝手に思ってるのかしら? こっちが気にしてる訳でも無いのに?」

 そう言う霞に対して提督は言う。

「そっちが気にしなくても、こっちが気にするんだよ」

 そう言った後、

「辛くなるから、そういった格好はやめてくんね? 俺、もう嫌なんだよ……」

 と言って、提督はすっかり意気消沈してしまった。即座に、

「却下ね」

 と言う霞の言葉が響いた。

「ええっ!?」

 顔を上げた提督の表情は絶望感を漂わせていた。ここまで自分を追い込んでおいて一体どうするつもりだ。

「悪い事でもなんでもないのに『凹むからやめてくれ』って自分勝手すぎじゃないかしら?」

 少し楽しそうに、そして少し上気した表情で霞は続ける。

「だから見ていいのよ。ムラついて勃ったりしてもね」

「でも、それだと俺、オナニーしないと……」

 これは提督からすれば当然の発想であったが、霞は少々赤面した表情のまま、彼の常識を打ち砕くようなセリフを言った。

「何でオナニーする必要あるのよ? ちゃんと相手がいるでしょ?」

「……え?」

「勃ってるから辛いって言うんなら抜いてあげる。それだって秘書艦の役目なんだから」

 かすかに息の荒くなっている霞はそう言ってのけた。

「え、え? いや、流石にそれは違うよな? 秘書艦ってのは別にそういうものじゃ……」

 嫌な予感を覚えた提督は、慌てながらもそう言いつつ霞の手を振りほどいて椅子から立ち上がり、とにかくその場を逃れようとしたが、遅かった。そんな彼を今度は島風が背後から抱きしめてその身動きを塞いでしまったのである。

「……何で逃げようとするのかなあ?」

「『何で』じゃないって!! 島風も何してんだよ!? こんなもん普通に考えたら分かるだろ!? こんなの他所じゃありえ……」

「他の鎮守府の事なんて知らないよ? 大体、提督に見られるのが嫌なら交代を申請しても良いと思わない?」

 そう提督に語りかける島風の口調は何時ものような威勢の良い物ではなく、静かでどこか色気のあるものであった。

「私、提督の事が好きだから、ずっと秘書艦やってたんだよ? それにエッチな目で見られるって結構嬉しかったし」

「私は今までそういう目であんまり見てくれなかったから悔しかったのよねえ」

 提督が前方に視界を戻すと霞が彼のズボンのベルトを外し、チャックを下ろして硬直しきった逸物を取り出そうとしていた。

「か、霞……それはやめ……」

「その指示には従えないわ。私達があんたの欲求不満を解消しなければいけないんだから」

 相変わらず口調はきついが、霞のその表情は赤面しつつも楽しそうだ。

「そ、そんなの義務でもなんでも……」

「この鎮守府の効率的な運用の為にもこれがベストだって事なの! 大体、オナニーが嫌なら私か島風に頼めば罪悪感無しでスッキリ出来るじゃない? こっちは望むところなんだし」

 そう言って霞はズボンから取り出した提督のペニスを優しくしごき始めた。

「くあぁ……!」

 提督が甘ったるい声を上げる。彼にとって、気になる異性にしごかれるというのはたまらない感覚のようだ。その熱い吐息を繰り返す様は霞と島風にしてみれば庇護欲と、そして欲望とを刺激してやまないものであった。

「提督ってばかわいー……オチンチン触られるとこんなに気持ち良くなっちゃうんだね」

 熱い視線で提督の顔を眺めている島風。ここまで彼を蕩けさせてしまうペニスへの刺激とはどんなものなのか、大いに興味をそそられた彼女は霞に対して聞いた。

「ねえ、霞……オチンチン弄るのって私がしてみても良いかなあ?」

「ふえっ!?」

 提督は島風の発言に驚いているが、霞にしてみれば不思議な事でも何でもない。島風が提督の気付かないところで、自分と同じように彼に情欲を秘めた視線を度々送っていた事などとうに知っていたからだ。

「いいわよ。でも、あんまり乱暴にしちゃダメだからね? ここ、結構デリケートみたいだし」

 そう言って霞は島風とポジションを交代した。その間も提督は暴れて逃げるなどという事はしなかった。この二人から逃げられる気などしなかったし、何よりもこれからもっと気持ち良くなれるかもしれないという期待感が、彼をその場に縛り付けていたのである。

「あはっ! すごく硬くなるんだね!!」

 提督のペニスを握る島風は紅潮した表情ながらも感心していた。人体の一部がこんな変化を引き起こすなど彼女は知識レベルでしか知らず、現物を目にして驚いていたのである。

「優しく、ゆっくり、ね? 強く握ったら多分痛いだけだから」

 今度は提督の背後に回ってその体を押さえつけている霞がアドバイスをする。

「うん、こんな感じかな? シュッシュッ……」

 島風は提督のペニスをしごき始める。

「ふあああっ……!」

 またも蕩けた表情のまま、甘い声を上げる提督。その姿に可愛らしさを感じると同時に、それが自分の行動の結果としてそうなっている事が嬉しくてたまらない島風は、ペニスをしごく動作を止める事が出来なくなった。

「はああ……提督ってば可愛い……」

 そう言う島風の表情はもはや提督と同様に蕩けていた。精神的な充足感が彼女をそうさせていたのであろう。

「もー、何なのコイツ? 人の事こんな所でも誘惑しちゃってさあ」

 霞は提督の拘束を続けつつも、うっとりとした表情で彼の横顔を覗き込みつつ、その頬を指でつつく。もはや島風と同様、提督の反応を心の底から楽しみ、そして欲求を覚えているようだ。

 しばらくの間、島風の手コキは続いたが、やがて、提督はこんな事を言い出した。

「なあ、もう、いいだろ? やめて……やめてくれよお……」

「……それは、何で?」

 霞が提督に聞く。

「出ちゃう……。出ちゃうからあ……」

 うわ言のように言う提督。それを聞いてむしろ嬉しそうな霞は島風に言う。

「出るんだって、島風?」

「ふうん、出ちゃうんだあ……!」

 それを聞いてますます楽しそうな表情になった島風はやめるどころか、むしろ手コキの速度を上げてしまった。

「うあああっ!! 島風っ!! やめてえ!! 出ちゃう!! 出ちゃうからあ!!」

 提督は悲鳴のような声を上げるが、もはや島風がやめるはずも無い。

「出せばいいじゃないですかあっ! 別に誰も困らないんですよおっ!?」

 情欲に突き動かされるかのように懸命にペニスをしごく島風。その一方で、必死に堪えようとする提督。そして、

「そんな可愛い顔されて止められると思う? ほらほら、いいから素直に出しちゃいなさい!!」

 と、提督の顔を覗き込みながら娼婦のような表情を浮かべて言葉で彼を追い込む霞。

 もはや決壊するまでに時間を必要とはしなかった。

「う、うああああっ!!」

 提督が悲鳴のような声を上げると同時に、その剛直の先端から白濁とした粘液が勢いよく放出され始めたのである。

「きゃっ!!」

 突如として自らの顔に液体が浴びせられ始めた事に驚いた島風。しかし、それが提督の射精であり、自分の手コキの結果であると分かった彼女はすぐに落ち着きを取り戻し、放たれる精液を受け止め続けた。

 提督もまたこのような形で射精するのは初めて。しかもここまで気持ちの良い射精も初めてである。喘ぎながら精液を放つ提督を横から眺めていた霞もよほど嬉しいのか、うっとりとした表情を浮かべていた。

 

「うわ……ご、ごめん……」

 一度射精して冷静になった提督は、暗い表情をしながら島風に謝る。顔を中心として、自分の邪な感情の証拠で彼女の身体を汚してしまったからだ。ところが島風はというと、そんな事を気にしないどころか、それがまるで悦びであるかのような表情をしながら、言う。

「何で謝る必要があるんですかあ? 気持ち良かったんですよねえ?」

「それはその……うん」

 いつもとは全く異なる雰囲気を醸し出している島風を不思議そうに見ながら、提督は頷いた。すると、島風はフラリと立ち上がって、熱のこもった表情で彼を見つめながら、

「好きな人が私で気持ち良くなってくれたんだもん……嫌な訳ないよ……」

 と呟き、その両手をそっと提督の両頬に添えて、フワリとキスをした。

「…………!?」

 またも提督の思考は混乱し始める。罪悪感を抱いていた対象に唇を奪われてしまうとは。

 顔を離した島風を見れば、若干の照れが混ざっているように感じられるものの、これ以上なく嬉しそうな表情をしている。その表情に提督が見とれていると、

「もう、島風ったらズルいじゃないっ!!」

 と言う声が横から聞こえ、片方の頬に手が添えられる感触を覚えた。そして、その手に力が入ったせいで声のする方向へと自らの顔を向けられてしまったと思えば、またも自分の唇がふさがれてしまう。当然ではあるが、相手は霞である。

 長く感じられた口付けからようやく解放されると、提督の視界が捉えた霞の顔はすっかり上気してしまっていた。

「……え? ……え?」

 もはや状況を把握する余力を完全に喪失してしまったのか、提督は小さな声でそう言いながら、島風と霞を交互に見るだけである。そんな彼を見ていた霞は、

「ふふ、このクズ、のぼせてて訳分かんなくなってるみたいね。これ、チャンスだって思わない?」

 と言い、島風に目配せした。島風もまた、上気しつつも悪戯めいた表情をして、

「だね……クスクス。提督にはキチンと分かってもらわないと、ね」

 と言う。その言葉を合図としたかのように、二人によって提督に力がかけられ、彼は床へと転がされてしまった。

 混乱したままの提督が目を上げると、二人は下半身からパンツの部分を脱ぎ去りつつあり、そして最終的にはそれを横へと放り投げて完全に女性器を露出させてしまった。

「もういい加減限界なのよねえ……ココってあんたに弄ってもらえないんなら誰が弄るんだって感じだったし」

 提督を見下ろす霞はすっかり発情しきった表情だ。その女陰はまだ幼いながらも実にいやらしく粘液を滴らせていた。

「嫌われてるんならともかく、そうじゃないのも分かったしね? 散々オカズにしておいて今更何も無しとか言わないよねえ?」

 霞と同じく、愛液をトロトロとその股間から分泌させ続けている島風も提督を見つめつつ言う。そのあまりにも扇情的な光景に再び興奮しつつも、未だに混乱が収まらない提督が辛うじて把握できるのは、この場でこの二人を相手に最後までいってしまうのであろうという事だけである。

「い、いいのかよ……」

 興奮しつつも、二人の豹変ぶりについていく事が出来ない提督が言えるのはそれだけだ。

「あんたじゃなきゃ、ダメね。もうそれ、私達に挿すつもりが無いんなら後が酷いわよ?」

 霞がカチカチになってしまったままの提督の陰茎を指差す。

「他なんて、ありえないもんね」

 そう言って島風が素早く寝ころんだままの提督の頭の上の位置へと回り、

「霞、提督の初めて奪っちゃえば?」

 と言いながら、彼の事を押さえつけて身動きを取れないようしてしまう。

「……っ? 島風、あなたいいの!?」

 意外そうな表情で霞が聞く。

「クスッ。私一人じゃどうしようもなかったもん。こうなれたのは霞のおかげだし」

 と言ってから、

「どうせ提督に初めてを奪ってもらうんだもん、そんなに違いは無いと思わない?」

 と、そう島風は口にする。

「んー、島風がそう言ってくれるんなら、ね。クスッ……」

 そう言って霞は、島風に押さえつけられて身動きが取れずに、仰向けで寝転がったままの提督の上にその身体を移動させ、更にはすっかり硬化した彼の一物を手に取った。

「え、ちょっと今、すごい事言ってるのが聞こえたような……」

 慌てた表情の提督がそう言うか言わないかのうち、

「あんたはこっちに集中しなさい!!」

 と言う霞はそのセリフと共に自らの膣口に提督の剛物を当て、そしてそこから一気に腰を下ろした。

 ニュルリとしたかのようで、先端を含めてペニスをこそぐような、そんな感覚に包まれている事に驚きを覚えながらも、提督は霞と自分の結合部を見て更なる衝撃を受け、こう言った。

「血、血が出てる!!」

「当たり前、でしょっ!! 初めて、なんだからあっ!!」

 この状況と発言で、提督は自分が霞の処女を奪ってしまった事を理解した。流石に彼も女の子の初めては痛いらしい、という事は知識として知ってはいたし、実際に目の前の相手は流血してしまっている訳だから動揺を隠せない。しかし、当の霞はと言えば、

「でも、やっとここまで入ってきてくれたのね。すごく嬉しい……」

 と泣いているような表情でありながらもそう言っている。その表情は痛覚がもたらすものなのかもしれないが、彼女の発言通り、嬉しさがもたらしているようにも思えた。

「だ、大丈夫なの……?」

 提督は不安そうに言うが、

「あんたが気にする程じゃないわ。それよりも……」

 と言って、霞は若干身体をかがめて顔を提督の方へ寄せ、

「……ちゃんと気持ち良く、なれてる?」

 と聞いてきた。そこには若干の不安が混ざっているように見える。確かに、霞の女性器があたえてくるその感覚は実に強烈だ。男というものを初めて知ったがせいであろうその強い締め付けもそうだが、どうもその構造は提督の想像以上に複雑であるらしい。ペニスのあらゆる部分にありとあらゆる甘い刺激を与え続けてやまないのである。

「すげえ、気持ち良い……。これ、ヤベえ……」

 快感を自覚した提督はそうとしか言えない。その返答を聞いて実に満足そうな表情を浮かべた霞は、

「ねえ、そのヤバい所に思いっきり出したらどうなるのかしら?」

 と言い、ゆっくりとその身体を上下に動かしだした。刺激の強度が急激に上がった提督は大慌てであるが、しかし霞の陰唇からはいまだに血液が滴っている事が気になった。

「な、なあ。痛くないのかよ!?」

 そう聞いてくる提督に対して、

「気にする必要は無いの!! あんたは私の中で出す事だけ考えてればいいのよ!!」

 と叫ぶように霞は言った。痛みがあるのは間違いないはずであるが、その声には心持ち甘さが混ざっているように感じられた。

 霞に「出す事だけを考えていればいい」とは言われたが、別に何も考えていなくてもそうなってしまうと提督は思った。彼女が与えてくれる快感はそれくらい強かったし、何よりマイクロビキニの下だけを脱いで懸命に腰を振る霞の姿は余りにも扇情的であった。射精による性的快感を覚えたてのお年頃である提督にとってみれば、もはやこんな状況は凶器でしかない。

「うああっ!! 霞っ!! 出るっ!! 出ちゃううっ!!」

 ついにそう叫ぶように言った提督に、

「いいわよっ!! 来なさいっ!! 遠慮なく、出しなさいっ!!」

 と、腰を振る動きを止めない霞は言う。

「……うあっ!!」

 霞に言われてからその瞬間まではわずかであった。提督のペニスは決壊し、霞の膣奥に向かって精液を放出し始めたのである。

「あっは!! 出てるっ!! 司令官のが、出てるっ!!」

 腰を提督に密着させた霞は嬉しそうに叫んでいた。

 しばらくして提督の射精が収まると、

「フフ、本当に私で気持ち良くなってくれたみたいね……」

 と霞は言った。その表情は実に満足げだ。そして彼女は、ゆっくりとその身体を持ち上げ、陰唇から提督のペニスを引き抜いた。どうやら破瓜の血は止まっているらしい。

「女って、すげえ……」

 蕩けたような表情で提督は言った。初めて知った感覚が彼の想像を遥かに上回っていたせいで、こんな感想を言うのが精一杯であった。

 しかし、これでは終わらなかった。霞は相変わらず寝ころんだままの提督の側方へと自分の身体を移動させつつ、

「なあに満足した気になってんのよ?」

 と言った。彼女はいまだに勃起状態の提督の一物を見ると、島風の方を向いて、

「ホラ、コイツまだ硬いまんまじゃない!! 今度は島風よ!! あなたが初めてを散らすチャンスは残ってるわっ!!」

 と言う。提督が唖然としている間に彼の肩を押えて身動きを取れなくしている相手が島風から霞に交代してしまい、そしてその島風はと言えば、

「分かってるってえっ!! 奥がウズウズしてるのに痛くて掻けなかったんだもんっ!! 提督に掻いてもらわなきゃ!!」

 と言って提督にまたがった。

「え、お、奥……?」

 島風の発言の意味が分からない提督をよそに、

「いーから動かないでえっ!!」

 と言って島風は彼のペニスを陰唇にあてがい、そしてすぐさま腰を一気に落とし込んだ。霞の時と同様に、狭く熱い肉の壁を強引に押し広げていくような感触が提督に伝わってくる。

「うわ、また、血が……」

「もう二回目なのに、引いちゃダメでしょお?」

 島風は目に涙を浮かべながらも蕩けそうな表情を浮かべている。やはり霞同様、決して痛みだけでは無いのだろう。

「やっと、奥に来てくれたあっ!! ここ、触りたいのに触れなくて、辛かったあっ!」

 そう言う島風に対し、霞は、

「コイツが中にいるって、すごくない?」

 と、楽しそうに言う。

「うん……。提督のオチンチン、アツアツゥ……。ずっといて欲しいって、思っちゃうよお……えへへ」

 そう言う島風も実に嬉しそうだ。

「……ずっとなんて、いられないよ」

 そんな声が聞こえた。流石に島風と霞は不思議そうな顔をして下を向く。発言した提督はのぼせたようでありながらも複雑そうな表情をしていた。

「えっと、もしかして、気持ち良くない……?」

 島風は不安そうな表情を浮かべて言う。

「違う……。島風の中も気持ち良すぎて、すぐ出ちゃうからあ……」

 返ってきたのは提督のそんな弱々しい言葉だ。同じ初めてだから締め付けは霞同様にきついものの、どうやら別種の感触があり、結局はその刺激が極めて強烈な為に提督のペニスは長持ちさせることが出来ないようだ。顔を上げて目を見合わせた島風と霞はクスリと笑った。

「だったら出せばいいじゃない……ねえ?」

 と、霞が言えば、島風も、

「そーだよっ! 提督が気持ち良くなってくれるって、とっても嬉しいし!」

 と言い、そのまま彼女は上下運動を始めた。

「うああっ! やめてえっ!!」

 余りの快感に提督は悲鳴を上げた。

「本当にやめて欲しいっておもってるのお!? なんだかすっごい可愛い顔してるけどお!?」

 悦楽に浸ったような表情でそう言う島風。

「私に出したんだから、島風にも出さないと不公平じゃない? 射精が嫌な訳無いわよねえ?」

 霞も提督の顔を覗き込みながらそんな事を言っている。

「嫌じゃないけど……嫌じゃないけどおっ!!」

 提督は首を振りながらそう言い、そしてすぐに、

「……あっ!!」

 と、一瞬だけ甲高い声を上げた。そのペニスが島風の膣の刺激に耐え切れず、またも射精を始めてしまったのである。

「……くっ……はっ……」

 小さくそんな声を吐き出しつつ、プルプルと身体を震わせながら膣内射精の快感に耐える提督。そして、

「ふああ……あったかくなってる。出してくれてるんだあ……」

 ウットリとした表情を浮かべながらそう言う島風。一方の霞は、

「……コイツ、本当に可愛すぎじゃない?」

 と、提督の顔を眺めながら実に満足そうに呟いていた。

 

 

 ようやく三人は初めてのセックスの興奮がひいて、落ち着いてきた。

「あー、そういえばこれ、妊娠しちゃうのかなあ? まあ、私のせいだから仕方ないか」

 と、下腹部をさすりながらいかにも気まずそうに言った霞に対して、島風が驚いたように、

「ちょっと霞! あなた避妊してないの!?」

 と言った。

「だって、アレってコンドーム……? とかそういうのがいるんでしょ?」

 それを聞いた途端、島風は心底呆れたようにため息をついてから、霞に耳打ちをする。

「あのね、OCとかピルって言って、飲んでればちゃんと避妊出来る薬があるんだよ。産婦人科で処方してもらえるの。行くのは恥ずかしいかもしれないけど、どっちにしろあなたは対策無しでエッチしちゃったんだから、産婦人科行って緊急避妊薬っていう妊娠を避ける為の薬を処方してもらわないとダメだよ」

 顔を真っ赤にした霞は、

「それ、本当……?」

 と聞く。訝し気な表情を浮かべた島風は、

「本当だって。まさかお腹大きくしたまま戦場出る気?」

 と聞き返した。そう言われた霞は戸惑いつつも、こう言った。

「まあ、このクズの子だったら、別に良いかなあって…」

「そんな話が通ったら私も薬飲むの止めたいんですけどっ!?」

 一瞬ではあるが思い切りブレた霞を島風は怒鳴りつけた。更に彼女は、「かかりつけの病院教えてあげる。ちゃんと一緒に付いてってあげるから」と言いつつ、深刻そうな表情を霞に向けている。

「うわあ……。そっかあ、仕方無いかあ……」

 霞はそう言って頭を抱えたが、ふと顔を上げて、

「そう言えば、なんで島風がそんなもの飲んでるのよ?」

 と聞いてくる。至極当然な問いだろう。しかし、島風は、

「生理対策だよ。私、生理が結構重くてさ。緊急の出撃なのにあの日で辛いなんて嫌でしょ?」

 と、少々難しそうな顔つきをしながらそう返した。おそらく生理痛の軽減が第一の目的で、避妊に関してはついでだったのだろう。彼女は元々、仕事を優先させる生真面目な部分があるようだ。他の艦娘でもそういった子はいるし、霞も同様だろうと思っていたら、そちらに関しては何の対策もしていない事を今この場で初めて知り、驚いたという事らしい。

 

 そんな中、提督は少々不満を覚えていた。確かに、自分は島風と霞に劣情を覚えていた。欲求不満と言い換えても良いだろう。そんな自分に嫌気がさしていたのだが、今回島風や霞と交わった事で、ある事に気が付いた。それは時たま彼女たちが自分を見るときに見せる不思議な表情、それも熱を帯びたような眼差しを伴った表情の正体について、である。今回行為に及んでしまった事が、その解答であったと言っていい。だから提督はこう呟く。

「何だよ、こいつらだって欲求不満だったんじゃないか。なのに……」

「何か問題があるのかしら?」

 その声に反応して提督が視線を上げると、いつの間にか彼の事を霞が見つめていた。

「あんたが欲求不満なのに、私達が欲求不満じゃいけないのかしら?」

 不機嫌そうな表情のいつもの霞である。

「別に、いけないとかそういうんじゃないけどさ……」

 提督は、女の子というのは男のように下品なものではなく、よりストイックな存在なのだと思い込んでいたのである。欲望など男が一方的に抱くものなのだと、そう考えていたのだ。ところが実際には、霞と島風という二人の女の子の方がはるかに積極的であった訳で、じゃあ自分が我慢を重ねていたのは一体何なのかという話になる。おまけに先程の行為を振り返ってみれば二人の女の子に強引に迫られ、行為に及んでしまったという側面は否定出来ない。自分はと言われればここまで望んでいなかったのだ。

「だってさあ、こういうのって男がリードするもんなんじゃないの? 俺、リードされっぱなしだったような気がするんだけど……」

 そう言われた二人は、ハア、と大きなため息をつく。

「な、何だよ……」

 提督は聞く。

「あんたさあ、私達を誘ってリードするなんてそんな度胸あるの?」

 ジトリとした目付きの霞にそう聞かれて提督は言葉を失う。

「出来ないわよね? だから一人でオナって凹んでって繰り返してたのよねえ?」

 そう言われてしまうともう提督には反論のしようが無い。

「大体、そうやって一人でするのが男だけって思い込んでるのがおかしいんじゃない? ドキドキする男の子の事考えながら一人でするのは女の子だって同じなんだから!!」

 こんな島風の発言に唖然とする提督に向かって更に彼女は言った。

「そばにいてドキドキするのはお互い様なの! だからこういうのもあり!」

「ありなの!?」

 提督は思わずそう聞き返す。

「そう、あり! 霞はどう思う?」

 状況が飲み込めていない提督をよそに島風は霞に話題を振る。

「ありよね。……だって、もう一人でしなくて、良いんだし」

「……へ?」

 そう、実のところこれまでは霞も島風同様、提督をオカズにオナっていたんである。

「本当にオナニーしてたのが自分だけだって思い込んでたみたいねえ」

 更に理解が追いつかなくなっている提督に霞は言う。

「あんたみたいに終わった後ですごく落ち込むなんて事はないけど、でもやっぱり寂しいのよね……」

 再び下腹部をさすりながらも、今の霞は少しばかり嬉しそうだ。

「気持ち良くても結局一人だもん。今日みたいに好きな人の暖かさとか感じられるのとは全然違うなあ」

 これまでのようなオナニーではなく、セックスという相手の伴う行為を初めて体験した島風は照れ臭そうに言う。

「うーん……」

 それまではポカンとしたような表情をしていた提督が考え込んでいる。

「……どうかした?」

 そんな彼の態度が気になった霞が怪訝そうに聞く。

「だってさ、こういうのって一生に一度だろ? だから本当に大切な人の方が良かったんじゃないかって思うし、そういう意味じゃ別に俺じゃなくても……」

 と言いかけたところで、提督は思わず、

「……あれ?」

 と声を出してしまった。目の前の霞と島風が極めて険しい表情をしているのである。

「まーだ分かってないんだねえ……」

 ジトリとした目付きの島風。そして霞は普段の不機嫌さが可愛く見えるレベルの表情で言う。

「コイツってここまで頭悪かったのかしら? ……ちょっとここに正座なさい。私達がどれだけあんたの事好きかイチから説明してあげるわ」

 そして剣呑な雰囲気を放ちながら霞と島風はゆっくりと立ち上がった。流石にそんな二人を見て身の危険を覚えた提督は、

「い、いやあ、俺、もうそういうのは、ちょっと……」

 と言いながらその場を速やかに離脱しようと試みたが、先の発言の時点でそんなものはもはや手遅れである。霞が、

「いいから正座あああああぁっ!!」

 と猛烈な怒声を放ったせいで、

「はいいっ!!」

 と、反射的に提督は正座してしまったんである。

 

 

 その後、提督は二人から愛情たっぷりのお言葉、すなわち、一般的には説教と呼ばれるものをこれでもかという程たっぷりと頂戴させられた。

 そしてそれがようやく終わって解放された後、提督は虚ろな目をしながら、

「愛ってのは押し売りができる物なのか……」

 と、他者には聞こえない程度の音量でこんな意味不明な発言をしつつ、その脳裏につい「カカア天下」と言う言葉を思い浮かべてしまったのであった。

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