別に読まなくても平気なので、飛ばしても大丈夫です。
それは本当にあまりにも唐突で、突然だった。
「俺、参上!」
黒いのに、どこかキラキラとした長い髪の毛。
その目もすごく楽しそうに輝いていた。
俺って言ってるけど、その女の人はあっという間にアイツ等を魔法で倒した。
魔法を使えるなんてスゴイ…。
セリフは悪者ぽかったけど、私にとっては本当に正義の戦士だった。
「はー、スッキリした」
「あ、あの…」
アイツ等を一掃した女の人は、清々しい笑みで汗をぬぐった。
本当は怖かったけど、私は意を決してその人に話しかけた。
そうしたら、女の人はさっきとは別人のように優しい顔で私に振り返った。
「ん?なんだいエルちゃん?」
「!ど、どうして、私の名前……」
名乗ってないのに、自分の名前を知られていた。
驚いて聞けば、女の人はなんでもないような顔でこう言った。
「可愛い子の名前なら聞かなくとも分かるさ。名は体を表すと言うからね」
可愛いと言われて、私の顔はちょっとだけ赤くなった。
す、すぐに下を向いたけど、バレてないかな…?
そんなこと言われたの、初めてだったから。
女の人は私の変化には気付かなかったみたいで、会話を続けた。
ホッとした反面、少しだけ残念に思った。
「私の名前はツヅラカンラ。こっち風に言えばカンラ・ツヅラかな?」
「ツヅラ、さん?」
「いやいや、私のことは気軽にカンラと読んで欲しい。むしろ呼んで下さい」
「カンラ…?」
「今胸が確実にときめいた。今なら死因がきゅん死にでも私は構わない!!」
意味はよく分からなかったけど、すごい気迫だったから一歩下がってしまった。
あ、別に引いてるわけじゃないよ!ただ、いきなり叫ぶからビックリして…。
どう言い訳しようかと思っていると、カンラのほうから咳払いしてくれた。
「ゴホン!と、取り敢えず私は君たちを助けに来た」
「助けに?私たちを…?」
「オフコース!」
グッと親指を立てるカンラに、私は身を乗り出して聞いた。
嘘じゃないよね?冗談じゃないよね?
「じゃ、じゃあ!ジェラールもショウもミリアーナも、ウォーリーやシモンも!?ロブおじいちゃんも全員!?」
「モチのロン!容易い御用だぜ、お嬢さん?」
「本当に?本当に、助けに?私たち全員……助かる、の?」
どれだけ、そう言ってくれる人が現れるのを待ってたんだろう…?
この時をずっと焦がれていたはずなのに、いざそうなると涙が出てきて止まらない。
本当はもっと言いたい言葉があるのに!なのに……どうしても止まらないっ
わたわたと慌てながら、私の頭を撫でてくれるカンラ。
掌から伝わってくるその暖かさに、もっと涙が止まらなくなった。
「わ、私は泣かれるのが苦手だ!」
「!ぁ…ご、ごめ「だから!」
苦手と言われて、謝ろうとした私の言葉をカンラが先に遮った。
何を言われるのだろうと身構えていると、強い意思を秘めた目で見つめられた。
「その涙の原因を、私が消し去ってやろう」
カンラはそう言うと、歯を見せて笑った。
笑顔なのにどこか真剣で、私は今度こそ「あぁ助かるんだ」と確信した。
だってカンラの目は嘘をついていなかったから。
「エルちゃん。キミはここにいる全員を連れて、外の船から逃げて欲しい」
「え…で、でも、外にはアイツ等が……」
「大丈夫。エルちゃんたちが外に出るまでには全員、いなくなってるから」
カンラの言葉を聞くと、不思議と恐怖が無くなっていく。
どうしてだろう?と思ったけど、理由はすぐに分かった。
きっとカンラが、少しも恐怖を感じていないからだ。
楽しそうに前を見るカンラに、私は希望を感じているんだ。
「うん。分かった!」
力強く頷き、私は皆の所に走っていく。
また会った時、お姉ちゃんって呼んでみよう。
さっきみたいに嬉しそうな顔、してくれるかな?
セリフが使い回し?
だって同じ話だもの。