TS憑依して美少女になったので、エッチな日常を満喫する。 作:宇治金時正宗
第1話 運命の歯車が狂う時 △
高梨
高梨クンは、180センチ近くある身長でワイルド系のイケメン。いちいち動きが大袈裟でキザったらしいやつで、一言で言えばうざい。
おまけに頭のネジまで足りてないのか、僕が憑依して初めて電車に乗った時に痴漢をしてきた。あんな公共の場でディープキスをした上にスカートの中に手を入れるなんて頭がおかしいとしか思えない。
痴漢してきた後に「もっと気持ちいことして欲しかったら今日の放課後、教室棟の4階のトイレにおいで」って言ってきたことも許せない。勝手に人のことをビッチだと思いやがって。たしかに僕も気持ちよくなっていたが、生理現象だったんだよ。
何が「エッチな子も好きだよ」だよ、クソが。高梨クンの性生活は知らないが、あれだけ女に慣れてる素振りをするのだから十中八九ヤリチンなのだろう。
僕はそんな高梨クンは1ミリたりとも好かないのだが、クラスの女子にはそうではないようで、彼の人気は高く、女子たちはよく黄色い声をあげている。
キザなヤリチンとは関わるつもりがない僕は、痴漢されて以来、高梨クンとは距離を取ってきた。幸か不幸か、僕はクラスの高嶺の花。話しかけられても、軽い男になら適当にあしらってスルーしてもおかしくはない。
だから、彼にまた性的な嫌がらせはされないだろうと思っていたのだが──
──ヤリチン男高梨とTS美少女梓沙がひょんなことから出会う時、物語は再び動き出す。
◇
「やあ吉祥院さん」
「っ! ……高梨クン、おはよう」
電車に乗る列で待っていたところ、横からひょいと顔をのぞき込まれた。なんと犯人は、高梨クン。
かなり僕は驚きつつも、反射的に挨拶を返した。
「うん、今日も吉祥院さんは可愛いね」
「……恥ずかしいからやめて」
「別にいいじゃないか。僕と君との仲なんだし」
どうしてこんなことになった。こんなところで一番会いたくないやつと出くわしてしまうなんて
足元に目を向け、横のヤツのことは頭に入れないようにする。
何か考え事をしようと思って一番最初に思いついたのは、昨日の騎乗位セックスのことだった。制服を着てヤった初めての騎乗位。自分で攻めたいところを攻められる。その感覚は、いつも平野くんに動いてもらっている僕にとって新鮮で刺激的だった。
一言で言ってしまえば、平野くんの身体をつかったエッチなオナニー。だけどオナニーと違って彼の温かみ、彼からの愛を感じられた。
そういえば、以前彼は僕に告白してきたけれど、まだ僕に恋愛感情を抱いているのだろうか──
彼のことを想っていたからか、お腹がジュンと切なくなる。
だが、僕の現実逃避も長くは続かない。
顔を覗き込まれる。高梨クンだ。否応なしに視界の内に入ってこられたことで水を差された気分になった。
「ねえ、吉祥院さんのこと、あずちゃんって呼んでもいいかい? 孤高の天使なんて呼ばれているけれど、可愛いところもあるって
「……え」
「もちろん君が気高き天使であることは否定しないよ。君を初めて見た時、僕は確信したね。羽のない天使も世の中にはいるんだなって」
あまりの歯の浮くようなセリフに鳥肌が立つ。
前世を含めて考えて、甘いセリフを息をつくように吐くキザなやつにまともな人はいない。僕はたしかに可愛いが、顔だけの能無しに褒められてもちっとも嬉しくはないのだ。
僕が黙っていると高橋クンは、つれないなあと呟きながら僕の腰に手を回した。
「……そういうの大丈夫です」
「遠慮しないでいいって。女の子は男をいくらでも頼っていいんだよ。ね、あずちゃん」
僕の細い体は彼の腕にスッポリと収まってしまう。
高梨クンは女の子は頼っていいんだなどと言っていたが、今日みたいな最高気温が30度を超える日にこうもくっつかれていると、ただ暑苦しいだけだ。夏用のセーラーと彼のシャツ越しに伝わる体温が不快に感じる。
混雑しているホームで無理に暴れたくなくない僕は、くっついてくる彼をただただ我慢する。
警笛を鳴らしてホームに電車が滑り込んできた時にはほっと安堵のため息が漏れた。
「もう電車来たから……離れて大丈夫です」
「ダメだよ。電車混んでてはぐれちゃうよ? 知っている人が近くにいた方がいいでしょ?」
「本当に大丈夫、です」
「いいからいいから」
高梨クンが僕を諦めることはなかった。
腰に手を回され、密着したまま混み合う車内へと僕はドナドナされていく。
どうしてこの手の男はこうも積極的なのだろう。「どしたん話聞こか」などとは彼は言っていないけれど、あくまでも君のことを気遣っているよ、というスタンスは変わらない。下心満載のくせに。
「奥行くよ奥」
「あっ……」
あれよあれよと反対側のドアのところまで押し込まれる。ドアを背に立つ僕と、僕に向き合う高梨クン。背の高い彼が僕を隠す壁となっており、他の乗客から僕のことはほとんど見えないだろう。つまり彼がナニをしてもバレないってこと。
これって……前の展開と同じじゃん。
「窮屈だろうけど我慢しててね」
高梨クンが長身を屈めて僕の耳元で囁いた。
たしかあの時僕はディープキスをされて、太ももを触られた。改めて考えればあれは「痴漢」という列記とした犯罪だ。
彼のとてつもなく上手いキステクニックに気持ちよくさせられていたかもしれないが、それは不可抗力。とにかく犯罪は犯罪。
彼はまた僕を──痴漢してくるのだろうか。
当然高梨クンにも腹が立つが、彼のいいようにされディープキスまでされてしまったあの時の僕も憎い。彼の性的好奇心を満たすためだけに僕は電車に乗ったわけではないのだ。僕の知らないところで僕の感触を思い出されてオカズにされるかと思うとぞっとした。
また今日も、何かしてくるのではないかという恐怖に襲われる。
冷房は入っているはずなの車内はいつもより暑く感じられ、梅雨の時期特有のべっとりとした空気は肌にまとわりついて鬱陶しい。
次の駅まですら遠く感じた。
◇
高梨クンの手が制服の裾から入ってきた。
──あぁ、やっぱり。
セーラー服の下にインナーは着ておらず、ブラジャーだけ。暑いのでキャミソールなんかは着ていない。
高梨クンは、僕のおへそのあたりを一撫でした後、少しずつその手を上へ上へとずらしていく。
それにつれて早鐘を打っていた僕の胸がさらにスピードを上げていくのがわかった。自分の心臓の音がバクバクと煩くて周りの音は耳に届かない。
恥ずかしい。恥ずかしくて堪らないのに声は出ない。
まるで喉が塞がってしまったかのようで。自分が痴漢されていることを言うのは僕が想像していた以上に勇気のいることだった。次に痴漢されたら大声で叫んでやろうと思っていたのに。
僕が拒否しないのをいいことに高梨クンは図に乗っていく。
お腹や脇腹はもう満足したのだろう。手の甲を胸の下に添えたかと思うとブラの下から指が侵入してくる。その手つきは厭らしく、僕の下乳を指先で数度突いたのち、手のひら全体を使っておっぱいを包み込んだ。
「……やめてぇ」
僕の口から出たのは蚊の鳴くような声。それは抗議の声のしてはあまりには小さ過ぎてゴトゴトと揺れる電車の音にかき消されてしまう。
それでも高梨クンだけくらいには聞こえていたはずなのに、彼は 聞こえてないふりをする。
そして僕のおっぱいをむにむにと揉んだ。
「あずさちゃんって、胸結構大きいよね。清楚系なのにさ」
そういうギャップも素敵だよ、と付け加えて高梨クンが僕の耳元て囁く。
もう、なにがなんだかわからなかった。
「ひゃっ」
乳首を摘まれる。
おっぱいを揉まれている間に立ってしまった乳首は高梨クンのいいようにされ、指先で弄くり回された。
「あずちゃんが可愛すぎてこんなことになっちゃったよ」
僕のお腹には、生地の薄い夏用のスラックス越しに彼のペニスが押し当てられている。そして嫌なことにその温かさからだいたいの大きさまでわかってしまい、ぞわぞわっとする。
高梨クンのペニスは既に臨戦態勢。
同じペニスでも平野くんのモノは愛おしかったのに、今僕は言い知れぬ恐怖を感じている。
おい、お前が公共の場での痴漢も厭わない性欲魔人だって僕は知っているんだぞ、と言って振り払ってやりたい。けれど、恐怖を前に屈してしまった僕の身体はいうことを聞いてくれない。
ただ悔しく、自分が情けなかった。
ほろりと涙が零れた。
◇
何十分にも感じられた高梨クンの痴漢行為は、電車が高校の最寄駅へ到着したことで終わりを迎えた。
もちろん実際には十数分の出来事であったのだろうが、僕にとっては永遠のようにも感じる時間だった。
電車のドアが開くのと同時に鞄を掴んで外へ飛び出す。電車の外は、蒸し暑い天気のはずなのに気持ちがよかった。
それは、僕の頬を撫でる風のせいか、それとも彼の猥褻行為によって火照った身体の錯覚なのか。
僕の顔は泣き腫らしてひどい顔になっているに違いない。こんな顔で学校に行くわけにはいかった。
だって、『吉祥院梓沙』は皆の羨望の眼差しが向けられる偶像、『孤高の天使』だから。
「あずちゃん、いや──あずさっ!」
後ろで高梨クンの僕を呼ぶ声が聞こえたが、出勤ラッシュの喧騒ですぐに掻き消える。
人の波を掻き分けて走った僕は、高梨クンを撒いたことを確認して駅のトイレに駆け込む。朝の時間帯だがトイレは空いているようで幸いにも誰も入っていないようだった。
個室に入り鍵を占め、壁に手をついてバクバクしている心臓を落ち着かせる。
息が整い、心も落ち着いてくると、悔しさや怒り、平野くんへの申し訳なさなんかの感情のごちゃ混ぜになって込み上げてくる。
顔だけの高梨クンなんかに負けるわけにはいかない。
僕──私は吉祥院梓沙。こんなことでへこたれてちゃだめなのだ。
◇
教室は至って平和そのものだった。なんの代わり映えのない、普段と同じ光景。いつもの日常に戻ってこられたことに安心感さえ覚える。
教室の隅でゲームの話をしている前世の僕達のようなグループに、黙々と勉強している平野くん。そして、出入口付近で高梨クンを中心にして談笑する女子グループに、うちのクラスのマスコット、心愛ちゃんを中心とした男女混合グループ。
席についてから僕はちらりと高梨クンのことを見たのだが、一瞬目が合ったものの彼の方から逸らした。彼はそのまま女子に囲まれて談笑を続けている。どうやら今朝のことはなかった事にするつもりらしい。
教室に着いたら高梨クンに何か言われるんじゃないかという僕の不安は杞憂に終わった。
「梓沙ちゃん、おはよー! 今日遅かったね」
僕が来たことに気づいたのか、心愛ちゃんが僕のところへ駆け寄ってくる。別にそのまま話していてもいいのに、とは思うが、優しくて律儀な彼女はこうして毎日僕に話しかけに来てくれる。
「う、うん。朝ドタバタしちゃって」
「そうだったんだ。風邪ひいちゃったのかと思ったよ」
「今は夏だよ? そんな風邪だなんて……」
心愛ちゃんは面白いことを言うなあ、だなんて思っていたのだが、次の彼女の一言で僕はハッとさせられる。
「お腹出して寝ちゃったのかと思ったんだもん。それに今日の梓沙ちゃん、少し元気なさそうだし」
「え……?」
もしかして顔に出ていたのだろうか──
◇
「んー、少しこってる、かな」
「ちょ、ちょっと、汗かいてるからいいって」
心愛ちゃんは僕を元気づけようとしたのか、僕の静止も聞かずに肩もみを始める。
彼女は、困っている人のために自分のことを省みず他人のために全力で何かしようとするきらいがある。その力を発揮する方向がズレていたとしても、他人への思いやりは本物なのだ。
彼女の好意を跳ね除けるのを申し訳なく思った僕は、肩揉みを受け入れた。
だが、心愛ちゃんの手は程なくして止まってしまう。
「え、うそ……」
「どうしたの……?」
「梓沙ちゃん、その、すごく言いにくいんだけど……」
振り返れば、普段笑みを絶やさない心愛ちゃんは真面目な顔をしていた。
その表情にただ事じゃない雰囲気を感じ、僕は身構える。彼女の声は、震えていた。
「ここ、見て」
心愛ちゃんは僕のスカートの後ろを指さす。
そこに付着していたのは、白いモノ──精液だった。
痴漢は小説で読む分にはいいですが、実際は怖いものです。宇治金時正宗も高校生の時に何度か電車内で被害に合いましたが、冗談抜きで足が震えました。