「はぁっ、はぁっ……ぁ、リュー……さん……」
「ベ、ベル……」
ぴくんっ、と肩を揺らすリュー。その理由はもちろん、彼女に掛けられた声の主だ。
白髪に赤い瞳をしたヒューマンの少年。ベル・クラネルである。
「すみません……迷惑、かけちゃって……」
「い、いえ……ベルは何も悪くありません……」
場所は【イシュタル・ファミリア】が築き上げた高級娼館、その跡地の内の一つ。時刻は夕方に差し掛かり、大通りでは今宵の酒場を求めて冒険者たちが思い思いの場所へと行き交っている。
二人がこうして歓楽街跡地にいるのは、リューの犯してしまった過ちのせいであった―――。
ベルの身に異変が起きたのは、昼食を終えて一時間ほどが経過した頃であった。
それまでは普通だったベルの顔色が紅潮し始め、足取りも重たくなり、終いには壁に手をついてしまった。その理由は言わずもがな、リューが飲み物に入れた精力剤のせいである。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「べ、ベル。た、体調でも優れないのですか?」
「はぁ、はぁ……すいませんリューさん。何だか少し、身体が熱くて……」
無理に笑いながらも上目遣いにこちらを見上げるベルに、リューの中にある良心が今更ながらに悲鳴を上げる。
彼をこのようにした張本人が何を言っているのかと自覚しながらも、一先ずはベルを休ませる場所を探すべく、周囲へと目をやる。
が、ここでハッと気が付いた。
(このような場面を見られようものなら、お終いだ!?)
まだまだ日は高い。このような時間に宿屋などに行けば、そしてそれを誰かに目撃でもされれば、間違いなく後でバレる。そうすれば白い目で見られるのは火を見るよりも明らか。
馬の幻覚に血迷ってしまったリューは、後先を考えていなかった過去の自分を呪いたくなる。しかしそもそもの原因は自分なのだ。ベルの身を案じる良心と淫らな考えを抱いた自分自身に板挟みになりながらも、彼女は極力一目に付かなそうな宿屋を探し始めた。
が、しかしそう都合良くはいかない。
そもそも人通りの少ないところに建っている宿屋など少なく、あったとしてもそれは無法者や不審者のたまり場になっている可能性もあるのだ。
それに
(どっ、どどどどどどうすれば……!?)
ポンコツエルフの本領、ここに極まれり。
いよいよ後がなくなり時刻も夕方に差し掛かった……その時。リューに天啓が舞い降りた。
「………あそこしか、ない………っ!!」
ぐったりとしたベルに寄り添うリュー。
彼女の視線の先には、今や廃れた【イシュタル・ファミリア】の
目をぐるぐると回したリューがやって来たのは、とある高級娼館跡にあった最上階の一室だった。
室内には物が散乱しうっすらと埃がたまってはいるものの、一目で高価なものだとわかる絨毯に装飾の施された魔石灯、更にはキングサイズの天蓋付き
ひぅ、と小さく喉を鳴らすリューだが、すぐさま持ち直しぐったりと項垂れるベルを
「ベル、だ、大丈夫ですか……?」
「はぁ、はぁ……すみません、リューさん。……迷惑、かけちゃって……」
「い、いえ……貴方は何も悪くありません……」
ここで冒頭の会話へと戻る。
立っている時よりはマシになったが、それでも辛そうな様子に変化はない。ベルの顔はさらに紅潮して汗も酷く、吐息は湯気かと思うほどに熱い。
そして何よりも、その股間。
丈夫で厚い生地を突き上げ、そこに隠されたモノが激しく自己主張をしていた。
「はぁ、はぁ……っく、うぅ……!」
自身の身に起きている事も分からない程にうなされているベル。
まだまだ子供っぽさの残る少年をこんな姿にしてしまった事への罪悪感に押し潰されそうになりながらも、リューの心に潜む欲望が悪魔的に囁く―――ヤってしまえ、と。
「……ベル……!」
脳内で繰り広げられた壮絶な葛藤の末……覚悟を決めたリューはごくりと生唾を飲み、
ベルトを外すという行為がここまで大変だとは思わなかった。
予想よりもかなり手こずったが、終わってしまえば後は早い。激しくなる動悸を無理やりに静めつつ、リューは震える指先でベルのズボンに手をかけ、恐る恐るといった様子で下ろしてゆく。
―――直後、ばちんっ!と。はち切れんばかりに怒張したベルの肉棒が、リューの鼻先に直撃した。
「ッ!?」
思わずのけ反りそうになるリュー。しかし、そうはならなかった。
何故なら彼女の視線は、露出したその肉棒に釘付けになってしまったのだから。
(あ、あぁ……これが、ベルの……!)
瞳孔が開き切っているのが自分でも分かる。
エルフにあるまじき、酷く淫らな顔になっているのだろう。事実、彼女の眉は情けなく八の字を描き、口は半開き。そこから漏れる吐息もベル同様に荒く、発情し切った娼婦のそれと遜色ない。
そこまで分かっているのに……目の前の肉棒から目が離せないのだ。
(すごい……こんなに大きく……!)
天を突かんばかりにそそり勃つベルの肉棒。
血管が浮き出し、血の流れすら目視できる程に脈打つその姿は正しく
これを
自身の狭い秘所を無理やりにこじ開けられ、
(駄目だ。自分を見失うな!リュー・リオン!!)
そう。彼女の名はリュー・リオン。
かつては正義を掲げる女神が率いる【アストレア・ファミリア】の団員だったエルフ。その矜持が、己の欲望に打ち勝とうとしていた。
(こうなったのは全て私の責任だ。ここで私の欲望を叶えようとするのは、絶対に間違ってる!!)
……娼婦街跡で欲望を叶えるのは間違っているだろうか。勿論、間違っている。そして自分を見失った結果がコレなのだ。
もうすでに色々と手遅れな気もするが、それでもこの場で欲望の虜となるのは違うと判断したリューは、ベルを苦しみから解き放つ事だけを考える事にした……即ち。
「し、射精させれば、落ち着くはず……!」
そう、手コキである。
まだまだ色に染まる前にも知識としては知っていた。男性は一度射精させればしばらくは勃たない。そんな知識を持っている事を汚らわしく感じていたと言うのに、まさかこうして役に立つ日が来ようとは。
そうしてリューは、ぷるぷると震えながらベルの肉棒へと手を伸ばす。人生で初めてのそういう場面が、まさかこんな形になるとは思ってもいなかったが、悪いのは自分なのだ。
いつまでも浸っていたいような甘酸っぱい恋物語とは程遠い、罪悪感に満ちた淫時を一刻も早く終わらせるべく、リューはベルの肉棒の亀頭に触れた―――次の瞬間。
びゅるるるっ!!と、勢いよく白濁液が噴き上がる。
「ううぅっっ!?」
「きゃっ!?」
跳ねた魚のように腰を浮かせるベルと、年相応の乙女な声を上げるリュー。
噴水の如き射精はすぐには止まらず、尋常ではない量の精液を吐き出し続けた。それは
(は、え?い……今のは……)
呆然とした表情で固まるリューは、今しがた起きた出来事を脳内で反復させるので精一杯だ。知識として知っている射精と、余りに現実離れした実際の光景との差異に付いていけていないのだ。
(し、射精?今のが?でも、しかし、私の知っている知識では、あんなに……)
脳内で巡る知識の奔流。しかし現実はその一切を無慈悲に捻じ伏せる。
鼻で感じる匂い。網膜に焼き付いた光景。他にも、他にも……それら全てが、リューの知識を使い物にならなくさせる。
故に、今の彼女に与えられたのは目の前にある現実のみ。
今もびくり、びくりと怒張を続けるベルの肉棒である。
(っ……まだ、足りない……!?)
あれだけ凄まじい射精の後だというのに、ベルの肉棒は未だ猛っていた。精液の滲む亀頭は赤黒く、まるでモンスターのよう。
静めなければ。そう理解するや否や、リューはベルの肉棒へと手を伸ばす。
己で蒔いた種は己で摘まねばならない。そういった建前を出すには、その手付きはいささか情熱的過ぎていたが。
シュッ、シュッ、シュッ。
にちっ、にちっ、にちっ。
激しく、そして水っぽい淫らな音を立てながら、自分たち以外に誰もいないかつての淫都で肉棒をしごく。その行為の何と背徳的な事か。
「くっ、ぅう……ぁああ………!?」
「はぁ、ぁあ………ベル……ベル………っ!」
両手で確とベルの肉棒を握り、しごくリューの息はやはり荒い。先程の射精による精液と、止めどなく溢れる我慢汁が混じり合い、彼女の白い手を犯してゆく。
この指で自慰をすれば、妊娠してしまうかも知れない。不意に浮かんだその考えを振り払うように、リューは肉棒をしごく手を速めていった。
……だからだろう。
射精するその瞬間まで、彼女は亀頭が自分の真正面にある事を忘れてしまっていたのは。
「ぅう、っあ!!」
「へっ?」
そんな間抜けな声がリューの唇から漏れ出た直後。
リューの顔に、先程と同じ勢いのままに精液が叩きつけられた。
「んぷっ!?」
半開きだった口に、目に、精液が入ってくる。白い肌を白濁液が汚し、それでも飽き足らないとばかりにエルフ長い耳にまで飛んでいく。
顔中余すところなく精液塗れとなったリュー。その鼻腔を満たすベルの匂いと、口内に入り込んできた味。独特の生臭さは、しかし今の彼女には
「―――――っ」
プツン、と切れてしまった理性の糸。リューの鋼の精神も、もはやひとたまりもなかった。
「…………はぁ、ぁ」
気が付けば、リューは舌先で口回りの精液を舐めとっていた。
続いて指を使い、頬に付いた精液を拭い去る。粘性が強いのか、指先にあるそれはぷるぷると震えている。そしてそれを、彼女は迷う事なく口へと運んでいった。
「ぁむ、ちゅっ……っぷぁ」
そこからはもう止まらない。
猫が顔を洗うようにリューは顔中の精液を手で拭い、そして舐めとっていく。手のひらにこびり付いたものすら大きく口を開け舌で舐める様は、完全に娼婦の姿だ。
ようやく顔中の精液を舐めとったリューは、おもむろにワンピースに手をかける。ピタリと肌に張り付いた布地を邪魔だとばかりに脱ぎ捨てた彼女の脳裏には、それがシルからの借り物だという自覚はとうに消え去っていた。
パサリ、とワンピースが床に落ちる。
「ベル……ごめんなさい」
それが最後の理性の一欠片だったのだろう。
短い謝罪を終えたリューは……雌豹のような仕草で、するりとベルの股ぐらに顔を