魔法少女との出会いへの前話です。
外からの日差しが目にかかり、
俺は目を覚ました。
時計を確認すると、まだ昼にもなって居なかった。
ただ1日以上、睡眠をとっていたことはわかった。
口のなかはからからに乾燥していて、蓋をきっていたビールをあおる。
「ぅー、まずい」
冷えてもいない、喉に来る刺激もない
コミュニケーションツールがおいしい訳がなかった。
覚めきらない意識をどうにかするため、
服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
三日ぶりに頭や体を洗う。
人と会わなくなるにつれて、
身だしなみはだらしなく、適当になっていった。
誰が見るわけでもない故に仕方ないことだった。
浴室からでて、リビングに置かれた大型テレビをつける。
どうでもいいようなことをグダグタ、ダラダラ文句を言うコメンテーターが映る。
直ぐにチャンネルを切り替えると
近所で起きた事件のニュースが流れていた。
「同一の市にて、学校と公園で爆発が起きました。」
ニュースでは、窓ガラスが飛び散りその周辺を調査する警察官の姿、遊具だったものの映像が映っていた。
「物騒だな...やっぱり外出は控えないと。」
そんな引きこもりジョークをこぼし、テレビを消して
自分の部屋へと戻る。
「さてはて、ログの方は、と!」
起動していたゲーム画面のログを確認する。
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赤井 春
・7/5 16:15 特殊イベント「堕落の予兆」
・7/5 16:30 特殊イベント「人形劇の開演」発生
・7/5 18:50 初戦闘、ゴブリン(チュートリアル)に勝利。
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「うっそだろ、全然進んでないわ...」
ログの頭には日付と発生時刻が記載されていた。
日付は昨日を指しているのを見て、
リアルモードってこういうことか、と愚痴る。
「それにしても、チュートリアル前に特殊イベント多発してんのな...」
【堕落の予兆】はデフォルトで用意されたもので、
簡単に言うと闇落するための前段階イベントである。
発生すると、魔法少女達の心の闇(カルマ値)が加算される。
一定数以上貯まると敵陣営に寝返り、魔法少女陣営の葛藤は加速する。
また、心の闇を克服する【覚醒イベント】もあるため、
個人的に大好きなイベントだった。
それに併せて発生しているのが、人形師イベント。
これは俺がmobの性能作成からイベントの作成まで、
手をかけたもので、魔法少女の身近にいたものが魔物化し牙を剥くようなシチュエーションを意識したものの一つだ。
中でも特殊且つ鬼畜で、
負けた時点、いや、戦闘を始めた時点で
エロシーンへ直行する。
人形師というmobの特徴として挙げられるものは、
低ステータス、鬼スキルだろうか。
早い話が相手の【マリオネットコントロール】というスキルをもらうと、意識ごと操られる。
マリオネットコントロールのスキル範囲は広く、
対象を複数にすることもできるため
一度、もらってしまうと取り返しがつかなくなる。
スキルの解除条件はスキル使用者を倒すことで、
初戦で相手の能力を知らない魔法少女がかなう訳もなかった。
救いがあるとすれば、発生タイミングだろうか。
発生タイミングは前期、中期、後期に分かれており、
遅ければ遅くなるほど、
ステータスが強化されて状態異常にもかからなくなる。
人形師が永遠と魔法少女で弄ぶだけとなり、
前回のプレイでは途中で人形師を削除し、無理に進行させた。
攻略方法があるにしても、初見では勝ち目がないだろうなと考えているとあることに気付いた。
「んお?」
見慣れたログ画面に虫眼鏡のマークがある。
何気なくそのマークを選択すると、イベント詳細が見ることができた。
「赤井 春ちゃん、か...」
かなりヘビーな設定だな。
母親から一杯の愛情を受けて育つ、
本人は片親であることを気にしてはいないが、
大好きな母親の泣く姿を見て、幼いなりに母親を守ろうとしている。
だからこそ、周りに助けを求めるのが下手で
それを嗅ぎ付けて利用する人間たちがいると。
闇落ちイベが来るのも頷けるわ。
しかも、サンタさんや魔法少女が好きだけど
周りが子供っぽいからと避けているのを知って、
控えようとしているあたり慎ましくて好感が持てる。
魔法少女になれたというのは、彼女にとっては幸運なのかもしれない。
まあ、これからのイベントを知らなければの話だけど。
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「ふぃー、疲れた。」
目元を揉みほぐしながら、目を通したログを振り返る。
単純にキャラクター背景が濃かった。
本当に生きた人間の話を目にしているようだった。
恐らく、あの変態教師が魔物かするんだろうけど、いつ頃復帰するかが問題だなあ。
冷蔵庫のチーズを摘まみながら、これからのイベントを夢想した。
学校での暴走、公園での戦闘をへて、次は必殺技の回。
待ち受けているのは、
ゴブリン三兄弟、ライトラット、ヘビーラット、
そして、色欲スライム
何れもチュートリアルの様なイベントとなっており、
ゴブリン三兄弟戦は必殺技の説明、
ネズミの群れは、一般人に姿を見られることで影響の出る周知度についての説明。
色欲スライムでは敗北によるバッドステータスの付与について説明される。
つまり直近の色欲スライム戦で、エロシーンが見れるわけだ。
あの変態教師の話だけでも、大分かなりくるものがあったしリアルモードの進行自体には、時間はかかるが楽しみではあった。
ふと、戦闘時のCGを見ていると違和感に気づく。
「この公園...、どこかで見たことあるような...」
既視感というのだろうか、行ったことはないが何処かでみたことがあるような。
結局、思い出そうとしても答えは出ず、
ネットで似たような画像を見ただけだと諦めた。
ログの進行も見えず、暇になった俺は、
携帯の電源を入れる。
立ちあげられた携帯は、これまで受け取れなかったデータを拾い始めた。
それは断続的に震え、それは5分以上も続き、
無意識に震える手で携帯を拾い、メーラーを開いた。
他愛ない内容のメールが続く、
メルマガやら迷惑メールだった。
とある名前が目に入り、息が詰まる。
なんでもない、名前だった。
辞めた会社の同僚からで、なんでもない名前だった。
けれど、体は拒絶した。
胃の中から液体がせり上がる。
口元を押さえ、トイレに駆け込む。
吐瀉物は便器に吐き出されたが、吐き気は止まらずに何度もえずいた。
嫌な記憶が何度も何度も、今の吐き気のようにぶり返す。
何度も、何度も吐いて吐き気は治まったが、過去の記憶が消えることはなかった。
洗面所で口を濯ぎ、口に残る不快なものを吐き出す。
部屋に戻ると、扉の前には携帯が落ちていた。
拾いあげると画面にはヒビが入っていて、スリープ状態になっていた。
ロック画面でタッチが効くことを確認して、
携帯をベッドに置く。
深いため息をつきながら、
pcディスプレイ前の椅子に座った。
「もう、大丈夫だと思ったんだけどなあ…」
一年以上も経っていた。
時間が解決してくれると思っていた。
いつか、立ち上がる力が湧くと思っていた。
だけど実際は、力の入れ方すらわからなくなってしまっていた。
もう一度、ため息をつく。
そして、ただ呆然と虚空を見つめる。
「あっ…」
幾ばくかの時間が経過し、
ふとしたタイミングであれを思い出す。
戦闘CGが近くの公園で起きた、爆発事件と酷似していることを。
再度、pcに向かい
昨日の事件を調べる。
ネットには幾つか爆破事件の画像が挙がっていて、
今朝がた見たニュースの画面を切り抜いたものを見つけた。
立ち上がっていたゲームのログから、
公園での戦闘CGを表示させる。
「おい…嘘だろ?」
細かな違いはあった。
ただ、その違いは爆発によって壊される前と後だということ。
「まさかな」
小説やアニメでもあるまいし、
偶然の一致だと戸惑いながらもぎこちなく笑う。
その次の日の晩に、現実だと知らされる事になる。
ログに記載された時刻、戦闘時のCGが翌日の事件現場や発生時刻と一致したからだ。
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赤井 春
・7/5 16:15 特殊イベント「堕落の予兆」
・7/5 16:30 特殊イベント「人形劇の開演」発生
・7/5 18:50 初戦闘、ゴブリン(チュートリアル)に勝利。
・7/7 22:15 戦闘、ゴブリン三兄弟に勝利。
・初必殺技、「弩レッドショット」を発動した。
・7/8 8:15 イベント「守れ、私の学校」が発生。
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「どうすんだよ…これ…。」
呆然とpcを見つめながら、呟いた。
東京、家賃高杉内俊哉
離れたとこに賃貸借りたら、職場まで一時間以上
電車混んでるとかなんなのなの!
あとミリシタに出てくる。
周防桃子可愛すぎ、悲惨な目にあってほしい