※この作品はR-18です。

魔法少女をつくろう(全年齢版)   作:しおぽん

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「勘弁してくれよ...」

まだ、大丈夫だ。

やらなくてはいけないこと遅らせながら、

そんな考えがさらに俺を鈍らせる。

 

あのログが現実にリンクしている事を知りながら、

俺は動けないでいた。

 

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赤井 春

 

 

・7/8 8:15 イベント「守れ、私の学校」が発生。

 

・7/11 13:45 戦闘、ライトラットの群れ、ヘビィラットに勝利。

 

・7/11 15:00 イベント「守れ、私の学校」をクリア。

 

・7/11 15:00 二人目の魔法少女のキーイベントが解放されたました。

 

・7/18 18:30 イベント「折れそうな心」が発生 。

 

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見たくなかったイベント通知が表示される。

確信に近いものを感じつつ、後回しにしてきた結果がこれだった。

 

後一時間も経たない内に、あの魔法少女は凌辱されるだろう。

 

急いで階段をかけ降りる。

小市民らしい、倫理観が俺を動かした。

だらしない姿のまま、スニーカーをはく。

 

決意した数分後には、

たくさんの言い訳が頭を駆け巡った。

 

【ゲームが現実と連動してる?そんなことあるわけないだろ?きっと偶然だ、ちょっと出来すぎた偶然だろ?(笑)】

 

【だいたい、一般人の俺に何ができるんだよ?】

 

【魔力でしか、ダメージが通らない設定があったじゃないか。】

 

【そうだよ、仕方ないんだ。】

 

【気にする必要はないよ、所詮ゲームだろ?】

 

【新キャラのエロシーンが見れるじゃないか】

 

玄関までたどり着いた足は重く、

手はドアノブを掴めず止まった。

 

体は自分の物でないかのように固まり、

思考は妥協を許した。

 

「そうだよな…、今回は様子見にしよう、今回はだけは…」

スニーカーを脱ぐ。

何もしていないのに、喉はカラカラで額から伝う汗が流れる。

俺に彼女を助ける義務はない。

赤の他人で、ましてや現実かどうかもわからない。

何も俺が頑張る理由はないはずで…、

モヤモヤする気持ちがないと言えば嘘になる。

 

赤井 春というキャラクターの背景に同情にも似た感情を抱いていた。

彼女の心持ちや境遇に。

 

お母さんが大好きで、

その思いに曇りはなく純粋だった。

それだけで彼女は現実に立ち向かうことができる。

 

体は自然とある場所の側に向かっていた。

写真たてには、母親の姿が。

 

満面の笑みを浮かべる母親、

厳しい親ではあったけれど、どんな時も味方で居てくれた人だった。

 

感謝はしていた。

父親を早くに亡くして、一人で俺を育ててくれた。

 

感謝はしていたけど、

社会人になり、忙しさにかまけて連絡をとらなくなった。

ある日、病院からの連絡で母親が亡くなった事を知った。

 

母親が癌であることを亡くなってから知ったのだ。

痩せていた母親にも違和感を感じず、

親孝行どころか、連絡も取らない内に母親が亡くなった。

 

病院の先生には、母親からの手紙を渡されたが

未だに開けることができないでいる。

 

薄情な息子への恨みごとだろうか?

むしろ、そうあってほしいと思った。

ただ、あの人が恨み言を遺すような人で無いことは、

俺が一番に理解していた。

 

「ああ…くそ…」

 

母親を大事に思う彼女に待つ未来は暗い。

犯され、誰の助けもないままに絶望を知るだろう。

 

「くそ…」

自身への情けなさに涙が出そうになる。

 

 

「くそ…」

思いは決まった。

後は重い腰をあげるだけ。

 

「くっそがああああ!!」

土嚢でも担いでいたのかと思うほどの体が嘘のように、動きだす。

 

スニーカーは履いた、

金はズボンのポケットにある。

鍵は閉めた。

準備は何もしていない。

だけど、知識はある。

90時間程で詰め込んだ、

モンスター、イベントへの知識が。

 

スマホからリモートで、

PCを確認する。

 

ログは変わらず、戦闘開始の文言はない。

「まだ、大丈夫。」

だが、猶予はない。

 

目的地は最初に戦闘が行われた場所。

『湊公園』

 

けれど、その前に寄らなくちゃ行けないところがある。

拙い作戦だが、何も無いよりはマシだ。

ログの更新がないことを祈りつつ、

早くも悲鳴を上げつつある体を無視し、

走り続けた。

 




一年経ちました(小声)
猫を飼い始めました。
東京は怖いところです。
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