サトルさんがお父さんに頭を地面にこすりつけて、私をくださいってお願いしてる。
「娘さんのエンリを、俺の嫁にください!!全身全霊をもって幸せにして見せます!!」
顔から火が出そうなほどに恥ずかしい……サトルさんはこの村を助けてくれた
「あのサトルさん……もともとそのつもりでエンリを付けましたので……」
私もそのあたりは承知の上でついていったけど、こんな風に求められるとは思っていなくてきっと今顔がすごく赤くなってると思う。
「え?」
キョトンとした顔でお父さんを見るサトルさんに、姿が見えないはずなのにサトルさんの中にいるスズキさんがおなかを抱えて笑っている絵が浮かんでくる。
「おぉ、娘さんをくださいシーンが見れるとは……」
「教会ってどんな内装だっけ?」
「それなら俺が知ってるからチャチャっと作るか」
青井さん、ガーネット改め
「で・は・礼服が必要!っでございますねぇっ!!ウェディングドレスに!白のタキシード!皆様のタキシードやドレスも用意しなくては!!くぉれは忙しくなりそうですぞ!」
パンドラさんと短くされて呼ばれているけど、私も気安く呼んでしまっていいのだろうか。
最初に連れていた黒騎士のアルベドと呼ばれていた方はすごく気難しそうな方だったけど。
「おおっ!そうっでした!私、パンドラズ・アクターと申します。この見た目通り人ではありませんが不束な父上サトル様ともどもよろしくお願いいたします。あ、気楽にパンドラで大丈夫です」
わざわざポーズを決めたりとせわしなく動き回り、なんというか動きがうるさいと言えばいいのだろうか……なんというか春先の催し物で見られる道化師の方のように感じられた。
「息子となりますが、私に母は居りませぬ。魔法のようなもので無から造り出されたようなものですので……コブ付きとかバツイチというわけではないので、そこはご承知いただきたいのです」
動きをぴたりと止めて真剣な声でそう教えてくれるが、私にその手の知識は乏しく詳しいことは分からないが……なんとなく言いたいことは分かる気がする。
「大丈夫です。そんなことでサトルさんを嫌いになんてなりませんよ、そういったことを教えてくれないことにちょっと寂しい、とは思いますけど……えっと、サトルさんがそういったことをしたことがないのは……」
「ちょちょちょっとおまちおぉ!?さすがに父上と母上の睦みあいのことはご容赦を!?」
両手を振り、体を仰け反らせて大げさに驚く姿を見て思わず小さく噴き出してしまう。
「やっと不安が取れましたかな?私はアクター、役者でありますゆえ道化師の真似事もさせていただきましょう。笑われる道化ではなく笑わせる道化師を、ね」
「ふふ……ありがとう。パンドラ」
表情がないからどんなことを考えているのかいまいちわからなかったけど、身体全体を使って自分の感情を表現する子なんだ……ネムみたいに顔に出る子供もいれば、パンドラのような表現をする子もいるんだろう、もしかしたらそういった表現が小さい子もいるのかもしれない。
「「「採寸、採寸」」」
私の家からメイドさんが何人も出てきてて、大体五人がかりくらいでサトルさんやナシェルさん、ラフィニア王女が担がれてそれぞれの部屋に連れられて行く……その例にもれずに私も混乱しているうちに部屋に連れ込まれて、裸にされた。
「えぇ!?」
何かよくわからない文字の書かれた細い帯のようなものを体にあてられたり、いつも体をきれいにするのは水で拭うくらいだったのにオフロという花びらの浮かんでいて湯気の出ているが熱いほどではないものに入れられ、体を泡だらけになるよくわからない液体を付けられ体の隅々まで洗われてしまった。
「むむぅ、素材がいいのにもったいない」
「ナザリックの方から選ばれなかったのは嬉しいですし、ご主人様が望まれることをしましょう」
「化粧品みんなのところから持ってきたよぉ」
「採寸したデータを村の女性陣に持っていきますねー」
「裁縫できないのがすごく残念……とても残念。その分花嫁を綺麗にする」
「あ、あのこれから何がはじまるんですか!?あ、あとナザリックの方って……サトルさんのギルドの方では?」
なんだかんだおしゃべりをしながらマッサージや髪に櫛を通してアップにされたりビスチェで締め上げられたり、しばらくしてから持ってこられた白いフリルや飾り縫いのされたドレスを着せられたりしていた。
「ナザリックの方は、シズ様やパンドラ達とは違う、NPCのこと」
「えぬぴーしー?」
「そういったものだと思ってください、階層守護者の方々は忠誠の儀でとんでもないことをしたみたいで……」
「ナザリックの外に勝手に出ないようにってぇ、注意された人たちだねぇ」
「そうそう、『外見がモモンガ様ならその中身なんて誰でも関係ない』ってやらかしたんだってー」
「え?皆さんサトルさんに忠誠を誓っているんじゃないんですか?」
「「「「「私たちは、改めてサトル様に忠誠を胸に誓っております」」」」」
きゃいきゃいと私の知らないことを教えてくれるメイドさん達、それぞれアンナ、ドゥーチェ、トロワエ、キャトル、サンクリアという名前であるとか、モリガンさんに言われて敬語で話すのは壁があると感じてしまいサトルさんの求めるものとは違うのだと気づかされたとか、ホワイトプリムさんの描いたマンガという絵本だけど絵本じゃない書物を勧められたり、タブラさんガーネットさんブループラネットさんと揃って「結婚式じゃあ!盛り上げるぞぉ!ヒャッハーーー!」しているとか、お母さんから外でンフィーが燃え尽きてるって聞いたり、結婚式というものを見たことがないのでそれらのことを教えてもらったりしていた。
そんな風に時間が過ぎていくのに。
「あぁ、本当に結婚するんだなぁ……」
パンドラの取ってくれた不安とはまた別の不安が出てくる。
私はただの村娘なのに。
「サトル様も、ただの平民なんだそうです」
「私たちじゃぁ、どうしても至高の御方って考えがあるからねぇ」
「その辺りは直していくべき、至高の御方ではなくご主人様へと」
「うんうん、そうだねー」
「何よりもお互いに気楽に気負わずに暮らしていけるのがいいんだと思う」
「そんなもの、なのかな?」
「「「「「そんなものなんです。そして私たちは、支配者としての幸せよりも人としての幸せを、われらメイド一同、心より願っております」」」」」
そう締めくくられ、綺麗に揃ったお辞儀をされて私は送り出さられる。
タブラさん監修の突貫で建てられた教会で、俺は内心そわそわとしながら不安と共にあった。
不安は、俺は本当にエンリを幸せにできるのだろうかというのもあるが、初めてが初めてだったので少々、夜が不安になってくるのだ。
搾り取られるのではないかと。
そんな不安と戦いながら待っているとスパークさんがエンリと、バルブロ王がラフィニア姫と教会へと入ってくる。
外でも人の列ができているのだろう、おめでとうと祝いの言葉を投げかける人たちの声が聞こえてくる。
「妻エンリ=エモット、妻ラフィニア・ティエリア・マイセン・ライル・ヴァイセルフは病める時も健やかなる時も夫を愛しますか?」
「「愛します」」
「夫サトル=スズキ、夫ナシェル=スカードは病める時も健やかなる時も妻を愛しますか?」
「「愛します」」
「では指輪の交換を」
それぞれの名前が刻印された金色に輝く指輪をお互いに付けあい、そして誓いの口づけをする。
料理長が作ってくれた巨大ケーキに入刀したり、エンリの投げたブーケがンフィーレア君のもとにわたり何とも言えない空気になったりもしたが……夜、新しく建てられた俺たちの家と言われた部屋の中で俺はエンリと抱き合っていた。
「えーっと……初めての時みたいに激しくないと嬉しいんだけど……」
「うぅ……お母さんのいった通り……苦手意識持たれちゃいました?」
「あー……なんというか……気持ちいいのは確かなんだ、良すぎて腹上死しそうなのが怖い」
「あうぅぅ……善処します」
真っ赤になった顔を隠すように俺の胸に顔を埋めるエンリ。
そんなエンリをかわいいと思いながらやわらかい胸が性欲を掻き立ててむくむくと大きくなってしまう。
大きくなったのがわかったのか、エンリも大きくなった股間に自分の股間を押し付けるように動かしてくる。
お互いにキスをし俺がベットに腰掛けるように座り、エンリがそんな俺に向かい合うように座って支えるように臀部に手を伸ばせば、エンリの指が背中に這わされる。
ゆっくりとじっくりとじわじわと時間をかけてお互いに触りあう。
「サトルさんのこと教えてくれませんか?」
唇が離れお互いの唾液が糸を引くように落ちた時にそんなことを囁かれた。
「私はサトルさんのことを……どんな過去があったのか知らないんです。なんだか遊戯の力を得たとか、別の世界から来たと言われても……サトルさんがどんなことをしてきたのかが知りたいんです」
「どんなことを、どんな風に話せばいいのか……」
話すことを整理しているうちにベルトを外され、チャックも降ろされて……にゅぷりという音ともに挿入れさせられていた。
「エンリ……」
挿入れさせられた瞬間に背筋から登ってくる快感に名前を呼びながら見れば、いたずらが成功したみたいにてへぺろをしながらこちらを見上げてくる。
「繋がったまま、聞いちゃダメですか?私からは動きませんから」
「むぅ……」
これも惚れた弱みとでもいうのだろうか、こうしてそこまで無茶でもないお願いをされてしまうと聞いてあげたくなる。
順番こそ違うがこれもピロートークとかいうやつなのだろう。
「サトルさんが動くのいいですからね。あなたのお話聞かせてください」
「どこから話したもんだかなぁ……俺は貧困層、こっちではスラムとかになるのかなそこで生まれて……」
抱きしめられる人の柔らかさと、抱きしめることで返ってくるエンリの温もりに、髪から香ってくる優しい花の香り。
自分の生まれから育ちに就学して就職するまで、それからユグドラシルという世界に出会いその世界であった辛い事笑った事楽しかった事も、出会いそして別れ、その世界での終わりを迎えてこの世界で……君に出会った事……話すことは次から次へと出てきて。
その会話は自分の足跡を確かめるようで、改めて自分という『人間』がどんなものだったのかを再認識して、そして……それを愛する女性に受け入れられたことをうれしく思えた。
会話の最中に身動ぎするような動きや先を促す簡単な相槌ですら、繋がった部分が溶け合い一緒になっているという恍惚感にも似た感覚になっていた。
話に夢中になって語っていれば、カーテンを引いた窓から朝日が差し込んできていて、夜通し話をしていたんだと気が付いたとき。
「「クスッ」」
二人して声をそろえて笑う。
ただ繋がったまま自分を語る、それだけで何時間と時間がたっていたことに気が付かなかった。
それは二人とも同じで、ひっくり返すようにエンリを押し倒したら……絶頂が波のように押し寄せてきた。
「うぉあ!?」
「ふにゃあ!?」
エンリにも同じように来ていたようで、その絶頂は引いてはまた押し寄せ、何度も何度も白濁をエンリの中へと注ぎ込んでいく。
「と、止まらあああぁぁぁ……」
「んあっ!?ふにゅぅぅん……」
抱きしめあい、お互いに座る格好だったのも災いして、射精感と絶頂で痺れた下半身はこちらのいうことを聞いてくれずに意識の限界を迎えるまで快楽を与えて、二人して気絶した。
起きた時にはお昼だった。
パンドラ「あ、サトル様の結婚式がございますのでいろいろと取りに来ました」
デミ「なんと!?それはいったい誰とですか?ナザリックから出られる女性と言えばシャルティアくらいですが……」
パンドラ「カルネ村のエンリ母上で、ごっざいます!」
アウラ「えっと、モモンガ様が助けた村の娘ってこと?」
コキュ「ムウ……セメテ祝辞ノ言葉ダケデモ……」
パンドラ「ご安心を!映像で記録してきまっす!!」
ALL「「「任せた!!」」」
ナザリックでの結婚報告な風景……喜んでるならいいんじゃないかなw