※この作品はR-18です。

黒獣~転生戦記~   作:ボルボロックス

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今回は黒犬処刑!?


そして、皇帝が!!?



今回も破茶滅茶です!!


21 五神将

 広大な陸地と肥沃な大地にあるオスティア大陸、最大の規模を誇るアルファディオス。その国は他国の民達から最大限の畏怖を込めて、その国は"蹂躙国家"と呼ばれている。

 

 

その国を治める"皇帝"と恐れられている少年の側にいるのが、最強の家臣"五神将"であり、彼らは皇帝から直々に"星の力"を授かったメンバーである。

 

 

 そして、五神将のメンバーは……

 

 

皇帝に古くから仕えている槍使いの青年、"獅子"のグレン。

 

 

豪快に戦う戦斧使い大男、"金牛"のバラン。

 

 

水を自在に操れる女剣士、"宝瓶"のハリベル。

 

 

魔術師の郷から抜けた天才、"摩羯"のシュタイン。

 

 

そして、刀使いの少女、"巨蟹"のコク。

 

 

 この5人がおり、それぞれが皇帝に近い存在であり、皇帝になにかあった際にアルファディオス全軍に命令を出せる権利を有している。

 

 

 そして今、広場にて皇帝に"反逆"した黒犬傭兵団は、五神将の1人であり、メンバーの中で"最年少"の少女、刀使いの"巨蟹のコク"によって半数を殺され、ディレクや主だった幹部を加えた残り半数は捕らえられ、広間にある巨大な断頭台に括り付けられた。

 

 

「これから何が始まるんだ?」

 

 

「黒犬の処刑だってよ。陛下が命じたらしい。」

 

 

「誰が奴らを?」

 

 

「コク様らしいぞ。1人で倒して捕まえたらしい。」

 

 

「お若いのにすごいな!」

 

 

民たちがこれから起こるであろう処刑を見物しに来る中で、コクはというと黒犬達を無視してその隣りにある座椅子に座って、たい焼きを食べていた。

 

 

すると、他の五神将のシュタイン、ハリベルもやってきた。シュタインの手には水晶があり、それをテーブルに置くと水晶が輝き、空に映像が映し出される。

 

 

「用意出来た。」

 

 

「よし、では始めるか。

……コク、菓子をしまえ。」

 

 

「ん。」

 

 

ハリベルの言葉に頷き、食べていたたい焼きを飲み込むと、残りを袋にしまっていくコク。

 

 

しかし、これから首を落とされるかもしれないという時に、ディレクはハリベルを見て薄ら笑いを浮かべるのであった。

 

 

「くくくっ、こんな非道なことを許すとはなぁ?

あの皇帝の目も曇ったという所か?」

 

 

「……。」

 

 

「俺は、俺達は何一つ間違ってはいない。

あの女は裏切っていた。だから私刑を加えた……。

それを褒めるどころか、そこの小娘は俺の仲間を斬り殺した……大罪人はその娘ではないか!!」

 

 

「貴様がそれを言うか。貴様は"虫"を見つけておきながら、それを陛下に報告せず、それを軍全体に連絡せずに自分達で私刑を加えた……陛下を軽んじていると以外考えられないんだが?」

 

 

「あんな小僧に、俺の野望を遮られてきた!!

俺は、この国を奉仕国家にするために戦ってきたのだ!!それをあのガキは!!?」

 

 

 奉仕国家、それは100年前に傭兵王ヴォルトが建てようとした国であり、ディレク・ロンドはその国を造り、自分が新たな王となるつもりでいた。

 

 

しかし、皇帝はそれをすでに分かっていた為にディレクが攻めてきた際に、皇帝は彼を完膚なきまでに倒し、その事でディレクは皇帝に恭順の態度を見せて、機会を伺っていた。

 

 

そんな彼の思惑や心根を知っていた皇帝は、彼に気を許さず、常に警戒し、黒犬を冷遇し続け、奉仕国家を建てさせぬ努力をしていた。

 

 

 そんな彼らは、これから戦を起こす相手の同盟軍に通じていた"虫"……内通者とその一味を見つけ、私刑を加え、それを足掛かりにしようとしたのだが、それすらも皇帝は許さず、コクに始末を任せたのである。

 

 

「貴様らの不純な計画など陛下は分かっていた。

貴様が陛下に隠して行っていた裏金作り、奴隷商との繋がり、敗戦国の略奪や陵辱、さらに女帝への半旗の計画なども陛下は理解している。

……貴様は陛下を甘く見過ぎだ。」

 

 

「黙れ……!!貴様のような女はな!!男に跨ってヒィヒィ喚いてれば良いんだ!!

それを五神将などと……忌々しい売女が!!」

 

 

「ふんっ。その売女風情と笑う女に見下される気分はどうだ?私が売女なら、貴様は負け犬だな。

……始めろ。」

 

 

「ん。」

 

 

ハリベルの言葉に、コクが頷くと断頭台の刃を下ろす装置に近づき、レバーに手を掛ける。

 

 

しかし何故かディレクは笑みが消えずにおり、それを見たハリベルがシュタインに目配せすると、シュタインは黒犬騎士団の何かを調べる。

 

 

 そして、何故ディレクが笑みを浮かべているのか、そしてその笑みの正体が分かると、シュタインはコクを止めた。

 

 

「なに、シュタイン?」

 

 

「なにか分かったのか?」

 

 

「あぁ、奴らの足元と陛下の部屋の前、特殊な紋を仕込んであるようだ。

自分達が死んだら発動するタイプの。」

 

 

「「!?」」

 

 

 仕込みを読まれたディレクと、彼の配下であるシュタインと同じキミアの魔術師であるニコラが目を見開いて驚く。

 

 

その瞬間にディレクは初めて笑みを崩したのである。

 

 

「なるほど、私達がコイツらを始末すると術が発動する仕組みだったという事か。

……解除できるか?」

 

 

「この程度ならとっくに解除してる。

あと、陛下の周囲に潜んでいた奴らも始末済みだし、コイツらの策と呼べるものは全て始末した。

……コク、殺れ。」

 

 

「ん。」

 

 

全ての計画が崩され、ただ死ぬだけとなった黒犬。

 

 

それが分かった瞬間に、兵士達は死にたくない、助けてくれ、と様々な命乞いをしてきた。

 

 

その中でディレクが怒りの形相になって叫ぶ。

 

 

「貴様らぁ!!!絶対に許さんっ!!

この屈辱も、この怒りも決して忘れん!!

いつか、いつかお前らを――――」

 

 

………ガラガラガラガラッ!!ズバンッ!!!!

 

 

恨み言を述べようとしていたディレク達、それは最後まで続かず、コクが無情にも下ろした刃に首を落とされて、ゴトッと転がったのであった。

 

 

それを見た瞬間、野次馬たちは言葉を失い、全員が騒然となった。

 

 

「……処刑は終わった。コク、お前は陛下に報告にいけ。シュタインは死体の片付けを。」

 

 

「それは構わない……それよりハリベル、"虫"はどうなった?」

 

 

「さぁな。それはグレンに任せるとの事だ。

お前達、早く帰れ。」

 

 

 ハリベルはそう言うと、その場から野次馬を下がらせ、水の魔法で断頭台を掃除した……。

 

 

 

 

 その頃、内通がバレて捕らえられたエレオノーラは、とある部屋の中で軟禁されていた。

 

 

「はぁ、はぁ……ぐ、グレン殿……。」

 

 

「お前も馬鹿だよなぁ、司教さんよぉ。

俺らを裏切って、敵に尻尾振るなんてなぁ。

まぁ、それで黒犬は調子こいたみたいだが。」

 

 

 エレオノーラは今、半裸の状態である。

 

 

 彼女は黒犬に内通がバレ、そこでディレク・ロンドに犯され、そこから黒犬兵士たちによる輪姦陵辱を受け、それでも反抗心を絶やさずに、彼らに説法をしようとした。

 

 

 それを聞いたディレクが彼女を晒し者にしようとした時に、すべてを聞いていたコクによって阻まれ、ディレクはそこでエレオノーラを渡せばよかったものを、欲をかいてコクを犯させようとした。

 

 

しかし、コクは愛刀を振って黒犬は半壊し、さらに皇帝にも悪行がバレて彼らは処刑にされることになった。

 

 

 そんな中で皇帝は内通し、自身を裏切ったエレオノーラに対して、彼は怒鳴ったり殴ったりすることはなく、かと言って許すような事はせず、ため息を吐いた。

 

 

『エレオノーラさん……。まさか、裏切るなんて。』

 

 

『陛下、私は間違ったことをしたとは思っておりません。全ては陛下、そして、このアルファディオスを思ってのこと。

……理解してほしいとは思いません。何なりと処罰を。』

 

 

『貴女を斬っても血で部屋が汚れるだけです。

……グレン、エレオノーラさんを監禁して。

処分は追って伝える。』

 

 

『はいよ。』

 

 

 悲しげにエレオノーラから顔を逸らす皇帝。

 

 

その目には涙が溜まっており、それを見てエレオノーラは心を強く痛め、優しく、誰よりも温かい皇帝を傷付けた事に、酷く後悔していた。

 

 

そして、とある部屋に監禁されたエレオノーラは黙ってベッドに座り込んで俯いていた。

 

 

「本当なら、あんたはぶっ殺されてもおかしくねぇんだぞ?それを陛下は許したんだ、分かってるのか?」

 

 

「……どのような罰でもお受けいたします。

お優しい陛下を、あの御方を傷付けた事、決して許されるものではありませんから。」

 

 

「はぁ……。ん?」

 

 

「失礼いたします。グレン様、皇帝陛下より書状を。」

 

 

「おう、ありがとうな。」

 

 

 ため息を吐き、エレオノーラの真面目さにやれやれと肩を落としていると、兵士の1人が皇帝から預かったという書状を持ってきた。

 

 

グレンはその書状の中身を見ると驚き、エレオノーラを見るが、エレオノーラも何が書いてあったのか分からずに首を傾げる。

 

 

すると、グレンはエレオノーラに近付き、耳元で囁いた。

 

 

 

「…………………。」

 

 

 

「そ、それは誠なのですか?陛下がそのような!?」

 

 

「あぁ、陛下はあんたの顔を見るのが嫌らしいな?

相当怒ってるみたいだ。

……今日の夜、ここから消え失せな。」

 

 

「……分かり、ました。」

 

 

打ちひしがれるエレオノーラは俯きながら、下を向き涙を落とす。

 

 

グレンはそれを見てため息を吐くと、部屋を出ていく。

 

 

グレンが受け取った書状、そこには……。

 

 

『エレオノーラ・ベルン、教会より司教の位を剥奪。

 

即座にこの国より立ち去れ。

 

もし見つけた場合は、相応の対応をする。』

 

 

これだけが記されていたのである。

 

 

 これはいうなれば、エレオノーラにはこの国にはもう居場所が無く、見つければ娼婦に落とすか死刑、もしくは女帝ラドミラに預け、罰に処するという事が書かれていた。

 

 

これは皇帝が彼女に行った最後の慈悲であり、それを知ったエレオノーラは涙を流した。

 

 

「(陛下、ありがとうございます……!

そして、お許し下さい。貴方様や神を裏切り、傷つけてしまいながら生き延びることを。)」

 

 

 エレオノーラはグレンがいないことを確認すると、人目を避けるように部屋を出て、城を飛び出すと馬小屋に行き、一頭の馬を連れてアルファディオスを飛び出した。

 

 

「(イリス様に、神聖同盟に伝えなくては。

もしかしたら、戦をせずに話しあいで解決が出来るかもしれない!!)」

 

 

エレオノーラは馬を走らせ、神聖同盟へと向かうのであった……。

 

 

 

 しかし、その頃。皇帝はすでに限界が来ていた。

 

 

「うぐっ!!?……がっ、かはっ……!!

く、くそ……!出る、な……!出て、来るな……!!

お前は、出したら……お爺さまやお祖母様が護ったこの地を……!!」

 

 

 皇帝は胸を抑えながら、床に頭を叩きつけて必死に堪らえようとしている。しかし、そんな彼を嘲笑うかのように彼の中にいる『ナニカ』は、彼を飲み込もうとしていた。

 

 

徐々に彼の背後に映る影が禍々しい姿となり、最後には影が皇帝を取り込もうと、彼を飲み込んでいく。

 

 

ーーーーズズズズズズズ………!!

 

 

「ぐ、くそ……!けど、"お前"にはあの力は渡さ、ない!あの力は、僕にはない!!

それに、お前は……絶対に負け―――」

 

 

ーーーードプンッ!!

 

 

笑みを浮かべた皇帝は最後まで言い切る前に影に飲まれ、そこには皇帝に似た『ナニカ』がいた。

 

 

「……成功だ。無駄な抵抗してくれた。

だが、まぁいいか。

まずは、ゴミ掃除をしないとなぁ。」

 

 

皇帝に似た『ナニカ』は窓から外を見ると、目標に向かって影から一匹の黒い蛇を飛ばしたのであった……。

 

 

 




次回!

大蛇が襲う!?
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