エレオノーラside
「(急いで伝えなくては!今ならまだ、戦争を回避できるかもしれません!
少しでも、少しでも情報を!!)」
アルファディオスから馬を飛ばし休み休みではありましたが、イリス殿のいる神聖王国へと走っていました。それはイリス殿に頼み込み、陛下やアルファディオス、そして神聖同盟軍との戦を避け、交渉によって和平を結んで貰う為です。
陛下は争いを嫌い他者を思いやれる方であり、国を良くしようとするお方であり、あの方の心根に惹かれて僅かではありましたが、協力していきました。
それに、あのお方は誰よりも優しい方なのですから。
『エレオノーラさん、僕はこの大陸を世界一にしたいです。』
『世界一、ですか?しかし陛下、既にこの国はこのオスティアで知らぬ者はいないかと。』
『エレオノーラさん、世界は広いんです!この大陸以外にも世界はあります!
僕は、いつかこの国を、どんな世界の国よりも住みやすい国にしたいんです!!
だから、貴女やみんなの力を貸してください!!』
『ふふっ。分かりました、私も微力ではありますがお力添え致します陛下。』
その時の陛下はとても楽しげに笑い、私も釣られて笑ってしまいました。
しかし、ある日を境に陛下は非情になられ優しい笑顔を見せることは少なくなり、それこそあの方の名前すら呼ぶのが恐れられる程になり、かつての面影はなくなっていました。
ですが、陛下はある時部屋で苦しんで倒れているを見つけましたが、その時の陛下は何かと戦っているのが察する事が出来ました。
「(陛下、私は必ず陛下の理想を。夢を実現させて見せます!
だから、もう少しだけ・・・)ん?あれは・・・きゃあっ!!?」
エルドニアの砂漠を越えて、アウレリア王国まで平原を越えるだけとなっていたその時、空から赤い光が私の前に落ちてきて、慌てて馬を止めましたが衝撃で馬から落ちてしまいました。
幸い、胸がクッションになってくれましたが、軽く痛む胸を抑えて前を見ると砂埃で前が見えません。
「(今の赤い光、あれはいったい・・・。それに、あれは何処から。)」
そんな中で、何か長い生き物が体を伸ばすのが見えて上を見ると、そこには天を仰ぐ程に巨大な体をした虹色に輝く大蛇がおり、こちらを睨むように見ておりました。
「こ、これは……いったい!?」
「シャアアァァァァァ!!!」
私の叫びに反応し、まるで答えるように叫んだ大蛇は牙を剥いて私へと襲い掛かってきて、私はそれを何とか避ける事が出来ましたが、大蛇は大地を削り、馬を飲み込みながら進んでいって体を反転させると、こちらを再び見てきました。
負けじと私も見返していると、大蛇は再び私に襲い掛かってきたのです。
そんな大蛇の猛攻に、私はただ逃げる事しか出来ませんでしたが、逃げながらも神聖アウレリア王国へと足を進めたのでした。
「(死ねない!陛下と、この大陸の為にも……必ず神聖王国へ!!)」
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その頃、神聖アウレリア王国では着々と戦の支度が進められており、キミア、フクスヴァルト、テュルルから来た勇士達は各々の武器などの調整をしたり、それぞれの国の者達や他国の者とで交流をしていた。
その中でタイガやアリシア達といった過去から来た者達も修練に余念がなく、各々がそれぞれの用意をしていた。その中でタイガとマイアはこの戦で戦うアルファディオスについて考えていた。
「タイガ、今回の戦……どう思う?」
「それがさぁ、何か引っ掛かってるんだよねぇ。
何で皇帝は戦の前に、仲間の処刑を伝えてきたんだ?
……そもそも皇帝は何が目的なんだ?」
「案外世界征服ってやつだったりして。」
「マイア姉、それは流石に無いと思うんだが。」
「2人とも、無駄話している暇はないぞ!戦が始まると言う時に!
もっと気を引き締めろ!」
雑談をしていたマイアとタイガに、アリシアが2人を叱責する。
「アリシア、無駄話って訳じゃないんだが。てか、気合いすごいな。」
「当然だ。この時代で変わってしまったアルファディオス、そして、その元凶である皇帝と女帝を倒し、我々でセレスティン様の建国した国を取り戻す!その為ならば、私は最大限力を貸すつもりだ。」
「まぁ気持ちは分からんでもないがな。」
「それに、こんな時代はプリムには辛すぎる……。あの子には戦なんか似合わない。」
アリシアが兵達に笑いかけているプリムの方を見ながらそう言う。
穏やかに優しく微笑むプリムに兵士達は、やる気を見せて気合いを入れていくが、プリムはわずかに震えており、これから起こる戦にわずかながら恐怖している。
「お優しいことで。」
「私はあの子を守る!この剣とローゼンメイデン騎士団の名に懸けて!」
「んじゃ、タイガにはあたしらを守って貰おうかな?何せ手を付けたんだから、責任持って貰わないと。」
「当たり前だっての。俺はみんな守るつもりで一緒に戦うんだからな。
命懸けたって守るわ。」
「ば、馬鹿!?そんなことで命懸けるな!!」
「頼もしいねぇ。ならお姉さん期待しちゃおうかなぁ?」
楽しげに笑うマイアに肩を組まれ、アリシアは顔を赤くしながら叫ぶ。
そんな中、1人の兵士が慌てた様子で駆け込んで来て、イリスの前に膝を着いた。
「も、申し上げます!!アウレリア王国とエルドニアとの境界に、巨大な蛇の魔物が現れたとの知らせが!さらに、その蛇の魔物は何者かを追いかけているとの報が!?」
「なんだとっ!?」
イリスが驚く中、タイガの頭にメルトの声が響いた。
『マスター!?物凄くデカイ魔力が現れたわ!この魔力は……っ!?キミアの時に感じた骨の龍よりもデカイ!あのハリベルって奴と同等よ!!』
「(あぁ、そうみたいだな……少し暴れてくるか。)イリス殿、兵を何人か借りるぞ。」
「借りるって、何をする気だ!?」
「ちょっくら暴れてくる。あとその襲われてる奴も助けるから馬車借りるぞ。」
「なっ!?おい!!」
タイガは数人の兵と馬車を連れてアウレリアを出ると、その大蛇はすぐに見つかり、その近くにはボロボロになっているが、身なりの良い白い服を着た女性、エレオノーラが襲われていた。
「(あれが報告にあった大蛇か。かなりデカイな。)みんな、俺があの大蛇を倒す。その間にあの人を助けろ!出来るか!?」
「「「「はっ、はいっ!!」」」」
タイガは二代鬼撤と秋水を抜くと大蛇へと向かっていき、大蛇がエレオノーラを食らおうとする間際に間に飛び込み、二刀で大蛇を受け止めた……。
エレオノーラside
大蛇に襲われ、足に力が入らずで逃げるのも限界だった私は大蛇に喰われる寸前の所で誰かに助けられました。
「(いったい、どなたが……もしかして、イリス殿が騒ぎを聞き付けて……?)」
しかし、私の前に立っていた人物はアウレリア王国の同士であるイリス殿ではなく、“陛下に似た”少年でした。
「(陛、下?いいえ、よく見ると違います。何処と無く陛下に似ていますが、何かが違う。)
貴方は、いったい?」
「話は後だ!!あんたは馬車に乗って逃げな!!っらぁぁぁぁっ!!」
少年は2振りの剣らしき物で大蛇を弾き飛ばすと、そのまま大蛇へと向かっていき交戦を始める。すると、私にアウレリア王国の兵の方々が近付いてきました。
「大丈夫か……って!?この人、エレオノーラ殿だぞ!?」
「急いでアウレリアにお連れしろ!!」
アウレリアの方々が私を支えて馬車まで乗せてくださると、私達はそのままアウレリア王国へと向かい、そこでイリス殿や神聖同盟の方々と直接会うことが出来ました。
「エレオノーラ殿!?なぜこの国に!?」
「イリス殿、会えて良かったです。お願いです、今からでも陛下と会談……を……。」
イリス殿に陛下との会談を頼もうとした時、身体に凄まじい疲労感が襲ってきて私はその場に倒れ込んでしまい、そのまま気を失ってしまうのでした。
「(陛、下……ラ■■陛、下……。)」