かつてオリガ・ディスコルディアとクロエが住んでいた黒の城、そこ今"黒犬傭兵団"を率いている男、ヴォルトが占拠していた。
しかし、そこでは今ヴォルトに従っていた魔物や黒犬の傭兵達が無惨な死体となっていた。
その死体のどれもが腸を抉り取られていたり、頭を左右からペシャンコにされていたり、中には四肢がなく心臓を抜かれている物もある。
そんな中、黒の城にある玉座に肘を付いてふんぞり返っている青年、"黄泉閊 月光"は目の前で無様に転がっているヴォルトを見てほくそ笑んでいた。
「ぷふふっ。情けないねぇ?確か、傭兵王とか言ってたっけ?こんな程度なんて、笑っちゃうよ。」
「て、てめぇ……!いったい何者だ?!何故俺たちを襲った!?」
「う~ん?何でって特に理由はないよ?君達みたいな"カス"に何か思うわけないじゃん♪もうお馬鹿さん☆ミ」
「この、クソガキ……が!?ふざけんじゃ……ねぇ……!」
ヴォルトは剣を杖にして立ち上がる。そんな様子を見て月光は楽しげに笑う。
「へぇ、まだ立てるんだ?無能の癖に凄いね。女を犯すだけ。混乱してる兵士達しか殺せない。それに内通者の力を借りなきゃ何も出来ないクズの癖に粘るね。」
「はっ!?勝ちゃ良いんだよ!!世の中勝った奴が正義なんだよ!それが」
「なら負けてる君は悪だね♪負け犬傭兵団の隊長くん♪」
月光は笑いながらそう言うと、ヴォルトは額に青筋を浮き立たせ、月光に襲い掛かった。しかし、月光は右手を前に出すと、ヴォルトは動きを止めた。
「な、何……だ!?これは!?」
「にしし。凄いでしょ、これはね"イトイトの実"って言って、あ、良いや今から死ぬ奴に言っても仕方無いね。まぁ、こんなのは僕の使えるスキルの内の1つなんだけどね?」
ヴォルトはこの時、初めて目の前で笑う青年に恐怖を感じ、抜け出そうともがくが動けなかった。
「て、てめぇ、何……者、だ?!」
「僕は黄泉閊 月光。世界の破戒者だよ♪それじゃそろそろ……死ぬ?」
「や、やめ、止めろ!!?」
「ふふん……い・や・だ♪♪♪」
ヴォルトが目に涙を浮かべながら、そういうも月光はニヤリと笑いながら彼を細かい賽の目状に切り分け、ヴォルトは絶命した。
ヴォルトだったそれを一瞥した月光は、玉座に腰を下ろすと指を鳴らすと、身体中に包帯を巻いた男"シャムハザ"が現れる。
「さぁて、これで僕に協力する気になった?」
月光は微笑みながらそう訪ねると、シャムハザはため息をつく。
「断れるわけがなかろう。それに俺は目的さえ果たせればそれで良い。」
「にしし。ありがとう、それじゃあ早速だけど……君ってどれだけ敵を認知してる?」
「なに?どういう意味かは分からんが、俺はそんなものに興味はない。」
「ははっ、良いね。自分の事しか頭にないって考え……でも、これを見て。」
月光は右手を前に出して、黒犬と戦う少年タイガが映る光景を見せた。
「この小僧は?」
「タイガ・レーヴァンタイン……君の古巣で問題になってた鬼を倒したっていう奴だよ。」
「こんな小僧が鬼を……」
「しかもかなり強い。まともにやれば痛い目を見る……そこでさ、君にやって欲しい事があるんだ。」
そう言うと月光は彼に耳打ちをする。すると、内容を聞いたシャムハザは意外そうな顔をする。
「そんな事で良いのか?」
「まぁね。君なら出来るでしょ?というか、協力するんだからそれくらいはして欲しいね。」
「……良いだろう。それくらいなら容易い事だ。だが、俺の目的にも協力してもらうぞ。」
「ハイハイ、大丈夫大丈夫。僕は約束は守る男だよ。」
月光はそう言うと、シャムハザに向かって手を伸ばす。しかし、シャムハザは意味が分からず首を傾げる。
「握手。これから協力するんだから、これくらいはしてよね。」
「……あぁ。」
理解したシャムハザは、同じように反対の手を出して握手を交わす。
握手を終えた月光はシャムハザから手を離すと、懐から一枚のカードを取り出した。
「それは何だ?」
「これはね"ソウルカード"って言って、僕が壊した色々な世界の存在の魂が入ってるんだ。異世界の化け物が入ってるんだ。カードを破ると外に出てくるんだよ。因みに僕には逆らえないようになってる都合の良い道具なんだ。」
「そうか。」
「初めはこいつにするかな。」
そう言って月光はカードを破ると、その破れたカードから黒くドロッとしたモノが地面に流れ落ちると、中からドロリとした物が溢れだし床に落ちる。すると、その物体は触手を延ばすと、そこら中に転がっている死体を吸収していき、形を成していく。
「これは……。」
「こいつは僕のお気に入りの一体でね。使い勝手が良いんだ。さぁ、行ってきな……存分に暴れておいで。」
月光はその黒い物体が形を成した者に向かって、何処からか取り出した刀剣を投げた。
「どんなことになるか楽しみだ。さぁ行ってらっしゃい"剣豪"よ。存分に暴れてきな♪」
「……」
黒い物体はちょんまげに着物を着た人の形となり、コクりと頷くと、足下にある刀剣を拾い上げて七盾同盟の砦の方へ歩いていった……。
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「4997……4998……4999……5000!ふぅ、疲れた。走り込みもしたし、打ち込みもしたし、筋トレもして、素振りも終わり……なんだけど。」
素振りを終えた俺は木陰に座り、水筒に入った水を一口飲んで空を見ながら呟く。
最近、力が入りすぎてるのか剣が持たずにひび割れたり、砕けたりするようになっていた。そんなに力を入れている訳ではないのだか、何故か剣が壊れる。
今では壊れないように加減しているが、それでも下手すれば壊してしまいそうになってしまう。
「(俺、どうしたんだろ。何か変なんだよなぁ。これもスキルの影響なのか?)」
そんな時だった。
遠くから悲鳴のような物が聞こえ、俺は何事かと立ち上がった。すると、遠くから兵士が一人駆け込んできた。
「タイガ様大変です!!2の砦に妙な男が現れ、現在聖アイリス騎士団と交戦中です!」
「何?」
俺は素振りする手を止めて、兵士の方を見た。