アスクレピオーズ・アナザー……そう名乗った怪物は平然と神聖同盟軍の前に立っており、異形の人形を前にした同盟軍は動こうとはせず、警戒していたがそんな彼らにアスクレピオーズ・アナザーは挑発のつもりで、軽く振るった。
「こんなものか。」
「二刀流!魔熊!!」
その腕はまるで太い蛇のようになっていき、大勢の兵士達を凪ぎ払っていく中でタイガは二刀を振り上げてアスクレピオーズ・アナザーへと飛び掛かり、刃を降り下ろすがその攻撃は容易く防がれてしまう。
「なっ!?」
「人間程度が調子に乗るな。はあっ!!」
「ぐっ!!おらっ!!」
吹き飛ばされるタイガは、御返しとばかりに斬撃を放つがそれも弾かれてしまう。
さらに何体もの蛇が襲いかかってきて、噛まれてしまう。
「ぐっ!?このっ……!龍巻!!」
龍巻で蛇を巻き上げて切り刻んでいくと、タイガは片膝を付き
「タイガ!!?タイガ!大丈夫か!?」
「平気だ。それよりこいついったい……。」
「お前らの相手するのもかったるいな。サクッと終わらせよう。ザ・ワールド!!!」
「!?ザ・ワールド!!?」
タイガがそう叫んだ瞬間、世界の全てが停止したかのように固まり、それを見たアスクレピオーズはちゅうにゆっくりと浮かび上がり、片手にエネルギーを込めていく。
「からの……アタックファンクション!デスサイズハリケーン、三連弾!!はああっ!!」
「……っ!?アリシア!!」
「!?」
『うわああああああああああああッ!!?』
アスクレピオーズの放った黒い回転する球体、それが地面に着弾した瞬間に渦巻く膨大なエネルギーとなって炸裂し、その瞬間にザ・ワールドの力が解除されたが回避が間に合わず、一同が吹き飛ばされていった。
タイガはアリシアを咄嗟に結界でなんとか護ったが、諸に膨大なエネルギーを受けてしまった。そして、土煙が止むとそこには痛みと苦しみに呻く兵士達や仲間達がいたが、その中でアリシアが見たのは……。
「タ、タイガ……?タイガあああああああっ!!?」
ボロボロになり、秋水と二代鬼徹が砕け、もはや息をしているのかも分からない程に傷付いたタイガが目の前に倒れていた。アリシアは結界が解けるとタイガに駆け寄ったが、触れることができなかった。
それだけタイガの傷は深かったのだ。
「タイガ……!タイガ……!?そんな、嘘だ……っ!タイガ、お願い目を覚まして……!!」
必死に呼び掛けるアリシア、しかし、タイガは応える事は無かった。その間にアスクレピオーズ・アナザーに捕まった女性達は辱しめられ、服を破かれ、大股に足を開かれてしまう。
その頃、タイガの意識は……おかしな部屋にあった……。
◆◆◆
タイガside
「あれ?ここは……?確か俺は、咄嗟にアリシアを庇って……それで……あれ?まさか死んだのか?」
そんなことを考えていたが、俺は今学校の教室らしき場所にいるんだが……なんというか、普通の感じはいっさいせず違和感だけがあった。そんな中、黒板の方を見ると、教壇に座っている黒髪の女がいた。
「やぁ♪初めましてだね、黒瀬大雅くん☆いや、タイガ・レーヴァンタインくん☆」
「あんた……誰だ?」
「これはよくぞ聞いてくれました☆僕こそは「平等なだけの
「……(胡散臭え奴。)」
安心院なじみ、そう名乗ったこの女は明らかに“異質”だった。アスクレピオーズや月光とかを見てきたが、こいつは底が見えない上に違和感が在りすぎて気持ち悪い事この上無い。
だが、悪人ではなさそうだ。
「あんた……安心院さんだったか?ここはあの世か?」
「う~ん、あの世でもありこの世でもあるかな。ここは僕の作った空間で認めた者以外は入れない空間さ。言うなれば“拠点を築くスキル”『
「……スキル?まぁいいや。それじゃあ一応聞くが、あのアスクレピオーズ・アナザーは、いやアスクレピオーズだったな。奴はいったい何者なんだ?」
「彼かい?彼は元々、バトルスピリッツというカードゲームの1キャラに過ぎなかった。でも、彼はある日、文字どおり命を得たのさ。そこからは元の世界で大暴れをして“皇”となり“神”にして“帝”になってからは、様々な異世界を滅ぼしては力を吸収していった。
それを見てあたふたしてしまったのが、神々と管理者さ。彼らも管理とは名ばかりの杜撰なやり方で世界を守っていた為に、その穴をアスクレピオーズに衝かれてしまって、大わらわの大騒ぎになって、アスクレピオーズはあれほどの力を身に付けてしまったというわけだ。」
ということは、あいつはマジ者の化け物ってことなのかよ。しかも聞いた限りじゃ、グリフィスやガッツでも勝てないかもしれない……。
「(そんな奴に……俺は勝てるのか?)」
「おやおや?キミは一人で戦うのかい?勇気があるねぇ?でも、それは蛮勇や無謀とも言うんだよ。僕の知ってる女の子、めだかちゃんと同じことを言うけど……君達はつくづく周りを見ないね?」
「え……?」
「君たちの周囲には仲間がいるじゃないか。そんな彼らと共に戦うのが良いのではないかな?」
「あ……。」
忘れていた。俺の周りには鷹の団ではない。今の仲間達がいる。
アリシア、プリム、カグヤ、ルー・ルー、マイア姉、母様、セレスティン様、オリガ、クロエ、それにこの時代のみんなもいるんだ。
それに俺は今分かった……。今更ながら分かった。
俺は……何かを、みんなを護りたいだけじゃなくて……。
「みんなと一緒にいたいんだ。」
「へぇ、これは中々……在り来たりではあるけど、面白い答えだね。ならば、僕としてはそんな面白い君にはまず……」
なじみはタイガの胸に手を突っ込むと、僅かに感じた痛みはすぐに消えたが代わりに力がみなぎっていた。
「これは……いったい何をしたんだ?」
「君の中にあったスキル、それ全部を弄って新たなスキルに書き換えたのさ。ややこしいのが幾つか有ったから、其処んところを弄らせて貰ったよ。因みに“レベレーター”、“ワンサウザンドフォース”で得た経験値はすでに君に還元して、望んだ相手に付与する事も出来る。」
「それでこんなに力がみなぎってるのか……。」
「あとはまぁ、君次第だよ。ヒーローよろしく世界を救ってみな。」
「……安心院。俺は世界なんてデカイ物は分からんけど、俺は仲間を……みんなを守りたい!てか、護ってみせる!!」
俺はそう言って教室の外へと飛び出すのであった……。